最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

【ツアーネタバレ注意】20180915/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年TOUR 2018”@仙台PIT

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“カオスの百年”というタイトルを冠したツアーは2015年以来、3年振り2度目の開催。

初めから告知されていた通り、来場者にCDが配布されること。また後々情報が解禁になっていったように、CDは新曲に加え各地で異なるライブ音源が収録されること。それが、5月に開催された野音ワンマン“カオスの百年 Vol.12”の音源であること。更に、ツアー開催にあたってリクエストを募ったこと。

こんなに特別なことだらけのツアーなんて、過剰に期待するしかないじゃないですか!

 

初日は地震の影響で2019年3月17日(9mmの結成記念日であり、15周年に突入する非常にめでたい日である)に延期。しかし急遽行われたスタジオライブがリクエスト曲上位5曲全て演奏されるという驚愕のセトリだったため、結果的に今ツアーのセトリに更なる期待が膨らむ。和彦さんの地元である仙台から、本格的にツアーが始まる。

 

 

会場に入ると、何とフロアの真ん中には花道が!これを見た瞬間に、楽しそうにここまで出てくるメンバーの様子が頭に浮かんできて、絶対にここで見るしか…!!と、花道の前で待機。

ステージにいつものバックドロップは無い。開演時刻を少し過ぎて、客電が落ち、普段通りDigital Hardcoreが流れると大箱用の巨大なバックドロップが派手に点滅するライトを浴びながらゆっくりと上がってくる。何度見ても大好きな演出、緊張が高揚感に変わる、遂に、始まる。

 

 

生命のワルツ

Wildpitch

Discommunication

Sleepwalk

カルマの花環

Vampiregirl

インフェルノ

21g

Sundome

光の雨が降る夜に

キャンドルの灯を

ホワイトアウト

Termination

marvelous

Talking Machine

Answer And Answer

sector

 

キャリーオン

Punishment

 

 

順番に出てくるメンバー。黒いカオスTを着た滝さんは曲が始まる前から花道に出てくる。真っ黒なTシャツ、笑顔の卓郎さん。和彦さんは珍しくワインレッドのような色のシャツ。気付くと既にドラムセットに到着していたかみじょうさんは青のタイダイTシャツ。(為川さんは黒い衣装、しかし残念ながらよく見えず)

 

メンバーが揃うと生命のワルツの音源版のイントロが流れる。もう最初からよく動く滝さん、和彦さんはネックを叩いてみたり、最後にはオフマイクで叫ぶ。少し離れているこちらにも僅かに聞こえるくらいの気合の入った叫び。滝さんは花道に出てきて、ステージと向かい合ってギターを弾く。巨大な双頭の鷲と対峙する滝さんの立ち姿、頼もしい背中。

 

次はWildpitch、まさか2曲目で入って来るとは、という驚き。リクエストした曲だったこともあり、嬉しさのあまり和彦さんのシャウトを聴いた瞬間、大歓声を上げてしまった。

数年振りに目の前で聴けたWildpitch、今の9mmの演奏で聴いたWildpitchは本当にキレがとんでもないことになっていた。Aメロではあんなに早い曲なのにかみじょうさんがスティックを回しながらハットを叩いていた。「答え以外は何でも」の、“何でも”の部分、卓郎さんが音源よりも少し抑揚を長くして歌っていた。序盤のタッピングは為川さんが見事に決め、サビの卓郎さん滝さんによるツインボーカルと間奏のツインリード、これが聴きたかった!!これを今の9mmの演奏で聴きたかった!!!ありがとう!!!

そういえばこの曲は和彦さん、ピック弾きだった。昔の曲はピック弾きが多めな気がする…?

 

ディスコミュを挟んでここでリクエストのTOP10には入っていなかったSleepwalk!卓郎さんの「む だ づ か い……」がもちろん聴きどころで、これも聴きたかった。それ以上のハイライトは1サビ後、花道に出てきた和彦さんがベースだけになるパートを弾き、卓郎さんがその後ろで「む だ づ か い……」を歌う。

花道の先のあたりにいたのでこの時の和彦さんを下から見上げるように観ていて、長い手足のすらっとした長身でベースを構える和彦さんの立ち姿、そのままサビまで花道でベースを弾く和彦さんの姿があまりにも美しくて目を奪われ、ずっと和彦さんを観ていた。

 

ここでMC。卓郎さんが「イントロクイズ状態のセトリ」と表現していたが、序盤にしてもうレア曲を連発という出し惜しみ一切なしのセトリ。終わったら忘れずにCDを受け取って帰ってね、忘れないように最初と最後に言うから!(笑)という優しい忠告の後に続くのはその新曲に入っている、カルマの花環。

キャリーオンや21gは割と明るい印象の曲で、それとは逆にカルマの花環は結構重たい印象。メロ隊とベースがユニゾンで弾くイントロが不穏な雰囲気を出していてかっこいい。まだやり始めたばかりの曲だからか、メンバーの動きは控えめな気がした。

 

次はVampiregirl、この曲すらしばらくの間、あまりセトリに入っていなかった。久々でもフロアからは大合唱が返ってくる。

インフェルノ、あっという間に終わってしまったが、最近はよく穏やかだったり楽しそうな笑みを浮かべる卓郎さんがこの曲では鋭い眼差しで真っ直ぐ前を向き、「命を燃やし尽くせ」と歌っていた、その瞬間がはっきりと記憶に焼き付いている。

 

次の新曲、21gは滝さんによると2006年ぐらいに作った曲で、Terminationリリースの時にちゃんとレコーディングまでしたが日の目を見なかった曲。それをこうして2018年に届けられることができた、と。卓郎さんは「曲は宝だね」と言っていたが、この言葉には共感しかなくて、10年以上の時を経て素晴らしい新曲として、日の目を見るなんて素敵な話じゃないですか。古いバージョンの21gもそのうち聴けるようにしたいと話していたので、今後Termination期の21gが聴けることにも期待。

 

かみじょうさんが小刻みにハットを叩く、もうそれだけでどの曲か分かる。一点を見つめながら黙々と叩くかみじょうさん、この時の真剣な表情にはかなり見惚れるというか、惹かれるものがあり、目が離せなくなった。そこに緩やかに重なるギター、卓郎さんの高速カッティング、溜めて溜めて炸裂する音、Sundome。

この緊張感を、今の9mmの演奏で、聴きたかった。配信で観ていただけでもそれが伝わってきていた。それを目の前で演奏された時、何か圧倒的なものと向き合っているような気分になり、聴いているだけなのに全く気を抜けないような緊張感に包まれて曲が終わるまで動けなかった。

これも本当はリクエストしたかったけれど泣く泣く諦めた曲だったので嬉し過ぎるセトリ入り。

 

リクエストでぶっちぎりの1位だった光の雨が降る夜に、イントロはトリプルリードになったことで音が分厚く、妖しげな雰囲気が更に増していて、ギターが3人いるこの編成だからこそできる贅沢なアレンジ。

間奏では上手を観れば滝さんが台の上でソロを弾きまくり、下手を観れば和彦さんが派手なスラップを披露、後ろを観ればかみじょうさんがシンバルをミュートする(個人的にかみじょうさんがシンバルを掴むところがとても好きなので)という、どこを向いても眼福、目が2つでは足りないような光景。アウトロのツインリードは卓郎さんと滝さんが花道まで出てきて、本当に楽しそうな笑顔で向かい合って弾いていた。

 

暗転、和彦さん側から歓声が上がる。アップライトに持ち替えた和彦さん。と来れば次の曲はもちろん、キャンドルの灯を。仙台だから和彦さんの見せ場が多い曲として選ばれたのだろうか。アウトロではお馴染み、アップライトを華麗に回して魅せる。

 

キャンドルからホワイトアウト ステージが真っ白い照明で雪景色のように染まる。滝さんが弾くホワイトアウトをライブで聴けたの、よく考えたらこれが初めてなんじゃないか?それまではどっしりと構えて力強くベースを弾いていた和彦さんが、この時にはすらっと真っ直ぐに立ち、柔らかい手つきで優しげに弾いていた。

 

Termination、イントロで高くネックを掲げる和彦さんと卓郎さん。卓郎さんに煽られると返ってくる大合唱、間奏では生き生きと花道に出てきてソロを弾き、弾ききると勢いよくフロアに向かって腕を伸ばし指をさす滝さん!真っ直ぐ前を見据える滝さんの強い目力と勇ましい表情!!

 

marvelousからTalking Machine、かつてはライブ終盤のど定番の流れだったこの2曲。

marvelousのアウトロのカオスパートに久々に飲み込まれる嬉しさ、トーキンではふと滝さんに視線を移すと卓郎さんがマラカスを振る横でペットボトル振ってた!!そういえば野音の時にはマラカスを一つもらって一緒に振っていた。ここのギターを為川さんに任せたことで滝さんが何かしら振れるようになったのか、と終わった後に気付く。2サビ前の「何べんやっても」では和彦さんが飛び上がる。後から聞いた話によると、滝さんも同時に飛んでいたらしい。この両翼のジャンプが復活したことがたまらなく嬉しい。

 

Answer And Answer、イントロのギターは滝さんが復帰した今でも卓郎さんがそのまま引き継いでいているようで、花道まで出てきて弾き始める。これを弾く卓郎さんの姿を真横から観られたのは大変貴重な光景だった。

 

最後の曲、sector、あのイントロの三連符がもの凄い音圧で叩きつけられた瞬間、大袈裟かもしれないけれど、「凱旋」のイメージが浮かんできて、sectorをよくライブで演奏していたあの時の9mmが、巨大なバックドロップを背負って暴れまわる無敵のギタリスト滝善充が遂に「9mmのワンマンライブ」に、帰ってきた!いや、ただ帰ってきただけではなくて当たり前かもしれないけれどあの時の何倍もかっこいいバンドになって、帰ってきたのだと実感した。単純にsectorで終わるライブがあまりにも久し振りで、ここ最近の状況を考えるとこんなにも早くsector締めのライブがまた観られるなんて思っていなかった。とにかく嬉しかった。

 

 

アンコールで再びメンバーが登場。

卓郎さんが嬉しそうに「今日は滝も最後までいるよ」「目撃者多数ってことでよろしく」と話す。2年前のツアー(太陽が欲しいだけ)では、滝さんはアンコールに出られなかった。だからその時のことを指していたのだろうか。

 

「みんなを連れて行く」という言葉からのキャリーオン 卓郎さんが「声を聞かせておくれ」と歌った後にそれに返事をするようにかみじょうさん、和彦さん、滝さん、為川さんが音を返すこの部分が大好きで、来るぞ…来るぞ…と楽しみにしていた瞬間。ここに完全に予想外だったが、更に客席からも卓郎さんの呼びかけに返事をするように無数の拳と大歓声が上がった。ステージもフロアも関係なくあの場にいた皆が卓郎さんの呼びかけに応えた!!驚きつつもこの一体感に胸を打たれながら観ていた。

 

この日最後の曲、Punishmentでは卓郎さん滝さん和彦さん、そして為川さんも遂に花道へ!花道に4人並んで間奏のソロを弾く!元気に客を煽る滝さん!ありがとう花道…!!

 

本編終わりでもそうだったけれど、滝さんは普段通り早々とステージを去る。為川さんも少しこちらに挨拶をして、すぐに去ってゆく。和彦さんと卓郎さんは花道まで出てきて丁寧に挨拶。卓郎さんのあのお辞儀を、真横から眺めるというこれまた貴重なものを観られた。頭を深々と下げる様子、しなやかな長い腕は指先までとても美しかった。

そんな中でステージの方を見てみると、スティックを投げ入れていたはずのかみじょうさんが何故かステージの下に降りていて、何やってるのかなと不思議に思っていると、どうやら投げたスティックがステージ前の通路に入ってしまったようで、それを自ら取りに行き、ステージに上がって投げ直していた。かなりの高さのあるステージに軽々と飛び乗るかみじょうさん、すごい…。

和彦さんがピックを大量に投げ込み、笑顔でステージを去る。

 

 

仙台は和彦さんの地元、ということで普段9mmではマイクを通して話さない和彦さんも喋る。中盤、スタンドからマイクを取ると下手から大歓声。

みんな気付かなかったかもしれないけれど今日から和彦さんのマイクが変わった、という話から入る。四角いフォルムのマイクに変わっており、和彦さんマイク変えたのか、と何となく気付いてはいたけれども。

スタンドに刺さっている時は良いけれど「手に持つと車掌さんみたいになってしまう」という絶妙な例えで笑いが巻き起こる。

また、ワインレッドのシャツを着ている理由について「楽天カラーです」とのこと。なるほど。

そんな感じでのんびりと和彦さんが喋っていると卓郎さんがドラムセットの台に座ってニコニコしながら和彦さんの話を聞いていて、そのうち滝さんが卓郎さんの横に座り、更に為川さんも滝さんの隣に座る。3人揃ってちょこんと座っていた様子が大変微笑ましくて、(年上の男性にこんなことを言うのは失礼にあたるかもしれないが)佇まいが可愛らしくて。かみじょうさんも徐にドラムセットに足を乗せて寛ぐような姿勢で和彦さんを見守るという、和やかな場面があった。この時だったか?和彦さんと話す卓郎さんがいきなり訛ってみせ、つい東北訛りが出る…という流れもあった。

 

どこかで入ったMCにて、卓郎さんがリクエストの結果について話し、

「シングル曲…シングリー(笑)な曲は2票ずつぐらいしか入ってなかった。Black Market Blues、2票!新しい光、2票…」と話していた。

先日9月9日のスタジオライブについて、公演が中止になるかもしれないと聞いた時に、卓郎さんもスタッフさんも同じ気持ちで、配信をやりたいと思ったこと。延期にはなったけれどあれがツアー初日だった、と卓郎さん。あの素晴らしいセトリの配信が、まぎれもなくツアー初日だと思っていたけれど、それは9mmチームも同じ気持ちだった。

 

また来年について、札幌公演の振替日が3月17日で9mm結成日の「疑いがある」日です、と。やはり狙ってこの日にしたのかなと思ったのと、疑いとは?と思ったが初めて4人でスタジオに入った日だから、「結成日の疑い」ということらしい。そろそろ新しいアルバム聴きたいでしょ?年内に仕込みたい、と。「出す出す詐欺にならないように」しないと、というようなことを少し表現が違うかもしれないが仰っていた。

仙台という事でARABAKIの話題も出していて、来年おれたち15周年で出ない訳ないよね、今年も6、8?(ステージ)出てるから…と何かを匂わすようなことを言っていた。この日の夜に解禁されたARABAKIのロゴには二丁の銃と弾丸。何かあるのだろうか。

 

 

全部で2時間足らずとはいえ、アンコールも含め全19曲。滝さんがフル出場し、更にこのセトリ。

振り返ると、何より為川さんがこの初期曲連発セトリを弾き切ったことへの驚き。凄腕のギタリストであることは去年十分に思い知らされたけれど、本当に化け物みたいなギタリストだなと改めて。

 

花道があるなんて想像もつかなくて、入場してかなり驚いた。9mmの皆様は花道があると普段以上にテンションが上がって楽しそうにするから、よくぞ作ってくれた!!と。更に花道を囲むように柵が出来ているので、結果的に柵の距離が増えていて、最前列状態で観られる人数が通常の倍くらいに増えてとても観やすくなっているという有難さもあり。メンバーが近くで演奏して下さるのを真横から見られるのがもの凄く面白い。

 

今回は花道先端のすぐ近くで観ていて、上手に背を向けるような体勢だったのでギター陣はあまり見えず。その代わり、リズム隊はとてもよく見えた。かみじょうさんもちょうど卓郎さんが被らない位置だったため、こまかいところまでしっかりと観ることが出来た。どの曲だったかすっかり失念してしまったが、セッションからイントロに入る直前、卓郎さんがかみじょうさんとアイコンタクトを取っていた。そんなところまでよく見えた。かみじょうさんがその一瞬、ほんの僅かに表情を緩めていた、気がした。

滝さんがその暴れっぷりでキャップを吹っ飛ばすも、すぐさま拾ってかぶり直したり空中でキャッチするのが昨年末からのお馴染みになりつつあるが、この日はよく見えなかったもののキャップが上手くギターのヘッドに引っかかっているようだったり、落ちたキャップを卓郎さんが拾ったり、というような場面もあった。

滝さんはMC中に相槌を打つようにギターを鳴らしていた。気の抜けたようなフワフワなメロディーを弾いたり、運指練習みたいなフレーズを鳴らしてみたり。休養する少し前はあまりやらなくなってしまっていた気もするが、復帰後はまたこのような相槌が聴けるようになった。

髪がまた伸びてきた和彦さん、演奏中は目元が髪の毛ですっぽりと覆われていることが多かったけれどMC中には髪をかき分けて顔がよく見えるようになっていた。ずっと笑顔だった。

それから今更かもしれないけれど、演奏中の和彦さんをずっと見ていて佇まいの美しい人だな、と実感した。勢いのある曲では長い脚を広げてどっしりと構え力強く弾く姿。緩急のある曲では頭から足まで真っ直ぐにして立つ、すらっとした立ち姿。ステージギリギリ前まで出てきてはフロアを煽り、曲が盛り上がるところでは思いっきりベースをぶん回したり自らがぐるぐると回転する。どれもとても絵になる。セトリ入りを期待していた和彦さんの曲は入らなかったけれど、Sleepwalkやキャンドルは和彦さんの見せ場が長くて、もしかして仙台だからそういう曲を入れてきたのかな、とも思った。地元という事でMCも聴けたし、地元ならではの特別感をここで味わうことが出来た。

 

あと5公演はセトリをガラッと変えてくるのか、ランキングに入った曲はどの程度採用されるのか?久し振りの「セトリが全く予想できないツアー」、期待以上にとんでもないツアーが、始まった!!

 

20180909/9mm Parabellum Bullet “カオスの百年TOUR 2018”@スペシャアプリ(スタジオライブ生配信)

2018年の“9mmの日”、本来であればZepp Sapporoにて「カオスの百年TOUR」初日公演が開催されるはずだった。

ほんの数日前に北海道を襲った地震により、当然の判断ではあるがこの公演は延期が決定。

しかし、すぐさま公式から告知されたのは「9月9日にスタジオライブを生配信する」という、嬉しい報せ。

被災地のために、アーカイブを長めに残すという配慮付きで。

 

この日の公演は特別に、メンバーが正装でライブをすること、そして客は携帯であればライブの模様を撮影することが許可されているという企画「フォーマル&モバイル」が予定されていた。

配信でも正装なのか、そもそも何曲ぐらいやるのか、事前に募ったリクエストからはどの程度反映されるのか…などとあれこれ考えながら、まるで本当のライブの開演前のような気持ちで配信開始を待つ。

 

 

ライブの開演時刻に合わせた17:30、いよいよ配信が始まるとぼやけたバックドロップの一部、続いてバスドラに描かれたロゴが映る。いつものSEもなく(版権の関係か)、メンバーを映し、ライブが始まる。

 

やはりメンバーは正装。スーツに蝶ネクタイ姿の卓郎さん、ハットに黒スーツの滝さん、見慣れた黒シャツの和彦さん、端に映るため様子がよく分からないが暗めのスーツを着た為川さん。

ここまでは何となく予想していた通りの、とても素敵なフォーマル衣装。しかしただ一人、かみじょうさんは袖にフリルの付いたシャツに青いジャケット、まるで貴族のような衣装でこれは流石に予想外だった!確かにフォーマルですけどかみじょうさん!笑 ドラム叩きづらそうな衣装なのでそこにも驚き。

 

 

  1. Discommunication
  2. ハートに火をつけて
  3. Sundome
  4. Wildpitch
  5. 21g
  6. カルマの花環
  7. The Silence
  8. Sector
  9. キャリーオン
  10. 光の雨が降る夜に

 

 

最初は定番曲から。序盤から滝さんも生き生きと動き回り、本当のライブの様子を観ているかのよう。

どちらの曲でもソロでは滝さんが同じ音を使っていた。先日のLINE LIVEで滝さんが最近作って気に入っていると仰っていたオルガンのような音がきっとこれなんだろう。確かに不思議で面白い音。

この流れで、定番曲を多めに入れてくるのかと一瞬思ったが、そのつまらない予想を一瞬でぶっ飛ばすかのような一言が卓郎さんから告げられる。

 

「カオスの百年TOURではリクエストを募りまして…そのTOP5をこれから演奏します」

 

文字にすると伝わり辛いが、この一言にどれだけ驚いたか!上位曲をごっそりセトリに入れる、と。

リクエストは募ったが、ランク入りしたから必ずやるとはっきり言及されていた訳ではないので、いきなりここで聴けてしまうという大盤振る舞いである。

 

まずは5位のSundomeから。ライブではハットの速い刻みから入り、徐々に音が重なっていくというアレンジ。かつてのライブでは度々聴いていて、とても好きだったアレンジ。

シリアスな空気、心地いい緊張感の中でギターのメロウなフレーズが重なる。卓郎さんの高速カッティング、そして溜めて溜めて一気に爆発するようなイントロ。今の体制、今の機材、今の演奏力で繰り出したSundomeは、やはりキレがとんでもないことになっていた。滝さんは前述のオルガンのような音をここでも駆使。

 

続いて4位。事前にランキングを聞いていたので次の曲を知っていた。

いよいよ聴ける、と身構えた。リクエストを募る、と聞いた際に頭の中に真っ先に浮かんできた1曲。早々と願いが叶った。画面越しとかもうそんなのは関係ない。

 

Wildpitch!!!4年振りのWildpitchだ!!!

 

カウントから和彦さんのシャウトが炸裂した瞬間に腹の底から喜びが湧き上がってきた。ギター3本の重さは想像を遥かに越えていた。滝さんが思いっきり弦を掻き鳴らす。タッピングは映らなかったけれどきっと為川さんだ!間奏のツインリードは最高にかっこよかった、もう余計な表現など要らないくらいにかっこよかった。やっとこのツインリードを聴けた…という実感が込み上げてきてじわじわと視界が滲んだ。思いっきり頭を振ったりネックを振り下ろす和彦さん、そして渾身のシャウトを叩きつける和彦さんの姿に思わず歓声を上げそうになった。嬉しかった、ただひたすら嬉しかった。

 

次は3位の曲…と思いきやここで、来場者に配られるCDに収録される新曲が。

既に解禁されている21gから。イントロが始まったと思ったら一旦演奏が止まり、卓郎さんが何事もなかったかのようにもう一度曲紹介を始める。笑 こんなところも本当のライブを観ているよう。

まだ聴いて日が浅いのでざっくりした印象だけれど、サビの開放感と明るさはこのバンドにしては意外な程だけれど、新しい一面がまた観られたようで楽しい。(とはいえこの曲はTermination期に作られた曲というのがまた驚き)

続いて何の説明もなく、聴いたこともないリフが演奏される。ギターとベースの若干不穏なユニゾンがかっこいい。

まだ解禁されていなかった、カルマの花環!21gとは打って変わってマイナー調の威勢の良い曲。これもざっくりした印象になってしまうが、個人的にはかなり好みで、間奏で拍子が変わるのもワクワクする。まだ解禁されていないから、もしかしたら配信では演奏しないのでは、とも思っていたが、そんな出し惜しみをするようなバンドではなかった。

 

新曲の説明と、かみじょうさんの貴族のような衣装にほんの少しだけ触れ、また為川さんが着ている正装が卓郎さんのソロの際の衣装だと説明される。暗くてよく分からなかったが、よく見ると確かにあの青いスーツ。素敵に着こなしているのはやはり卓郎さんと似ているから当然なのか…細身だから、というのもあるとは思うけれど。

 

ランキングに戻り、3位のThe Silence

嵐の前の静けさ、のようなイントロから、滝さんの爆速カッティングへとなだれ込む。この曲も随分久々に聴けた!壮絶なイントロはこれもギター3本で聴きたかった!今や滝さんはすっかり元気になっているご様子とはいえ、滝さんによるあの爆速カッティングがまた聴けたと心から嬉しくなる。大サビ前の和彦さんのシャウトの裏では3本のギターが凶悪な音を出している。実際に目の前で聴いて、この部分の音圧を体感したかった。

 

2位はSector、これもいつ振りだろうか。卓郎さんと滝さんの元気なツインボーカル、威勢のいい演奏に嬉しさが止まらない。アウトロでぐるぐると動く和彦さん、ドラム乱れ撃ち状態のかみじょうさん。自宅で観ていることを忘れて、拳を振り上げそうになった。

 

「本当にシングル曲が一曲も出てこないという。素晴らしいですね」と卓郎さん。

圧倒的な人気で1位となった曲…の前にキャリーオンを演奏。

スカッとしたメロディー、ひとつひとつがとんでもないエネルギーを発する言葉。解釈は色々あると思うが私はこの歌詞が卓郎さんから滝さんへのメッセージにしか聴こえなくて、また「声を聴かせておくれ」という卓郎さんの呼びかけに答えるようなフレーズを全員が弾いている、この部分が堪らなく好きで、また不安の多い現状でこの歌が流れてくることへの頼もしさを噛みしめながら聴いていた。

 

この曲が主題歌となっている映画「ニートニートニート」は北海道が舞台らしい。

振替公演を必ずやるから、待っていてくださいと北海道の人たちに告げた、卓郎さんの優しさ。

 

そして最後に、満を持して1位、光の雨が降る夜に

イントロのツインリードはトリプルリードの贅沢なアレンジに!これも、今の編成で聴きたいと思っていた部分のひとつ。サビで一緒に歌う卓郎さんと滝さん、そしてその向こうにいる和彦さんが並んだ光景を時折カメラが抜く。最強の並び。かっこよすぎる画。どんどん高揚感を煽りいよいよアウトロのツインリード、卓郎さんと滝さんが向かい合ってギターを弾く!滝さんが復帰して、こんなにも早くこの光景を観られるなんて正直思っていなかった。それだけに本当に本当に嬉しかった。最後に和彦さんがベースを高く掲げた、その瞬間にまた思わず大歓声を上げそうになった。

 

 

約1時間、全10曲、とても濃い10曲。

今年の新曲3曲を全て、そしてランキング上位5曲も。配信だからと言って、全く出し惜しみのないセトリ。

本当に目の前でライブを観ているような気持に何度もさせられた、迫力と熱のこもった演奏。

いつもフロアを見渡す時と全く同じ眼差しで画面のこちら側を見てくるかのような卓郎さんの目。安全第一とはいえよく動く滝さん。以前は曲の中でも休み休みギターを弾いていたが、今回はほとんど弾いているようにも聴こえた。安全第一の滝さんに代わるかのように、思いっきり動いていた和彦さん。カメラにあまり抜かれなかったが、本当は為川さんの様子ももっと観たかった。そして衣装は奇抜ながらいつも通り冷静な表情のかみじょうさん。

 

本来であれば、札幌の会場に居る人達だけが目の当たりにできるはずのライブだった。それが配信になったお陰で、結果的に日本全国、リアルタイムでは難しい方もいたとはいえアーカイブを含めれば「この日のライブを観たいと思う全ての人が観られるライブ」となった。

本来のライブ通りメンバーは全員正装。更に配信という形だからライブの模様をスクショできる、つまり本来のライブと同じく携帯であれば撮影しても良いという状況。曲数の制限と配信であることを除けば、予定通りの「フォーマル&モバイル」だった。

しかもカメラを何台も駆使しメンバーを映すことで、客は全員特等席状態でライブを観覧できたことになる。

「フォーマル&モバイル」を、全国の9mmファンが参加できた。結果的に余りにも粋な計らいだった。

さながら“カオスの百年TOUR初日公演@日本全土”だったな、と。

確かに今日がツアー初日だった、最高のツアー初日だった!

 

卓郎さんはいつものように「ありがとう!」と言ってスタジオライブを締めくくっていたけれど、今年の9mmの日を今できる限りのことで最高の一日に変えて下さった、その配慮にこちらがありがとう、と言わせてください。

20180609/AC 9mm“ほたるの里ロックフェスティバル”@辰野町民会館

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長野県・辰野町にてこの時期開催される辰野ほたる祭り。 その70周年記念イベントとして開催されたライブ。

辰野町出身であり、「たつのふるさとパートナー」を務めるかみじょうさんの凱旋公演にして、先日の野音公演で初御披露目されたAC 9mmの初めてのワンマン公演。

かみじょうさんの地元ということで、2年前に長野でアコースティックライブをやった時のように、かみじょうさんがたくさん喋るのではという期待も大いにあり、また新プロジェクト・AC 9mmへの期待や、近くの公園ではホタルも見られる!ということでチケットを早々に取っていたのでいよいよ当日、意気揚々と辰野へ向かいました。(終電の関係でホタルは見られず、それだけが残念でした。)

 

 

会場である辰野町民会館、キャパ700席ほどのホールでありながら天井が高く、広々とした座席とかなり座り心地の良い椅子で最後までゆったり快適に観られました。

入り口やロビーにはAC 9mmのフライヤーがいくつもの「9」をかたどるように貼られていました。

広いステージには野音の時と同じようにアコギ(アンプはジャズコ)、ベース、真ん中には球体がいくつか集まったようなドラムセット。終演後にステージを覗いてみるとそれぞれのスペースにラグが敷かれていた。

野音と違うのは、タムの右側あたりに辰野町のキャラクター・ぴっかりちゃんが鎮座していること。

開演直前に辰野町の方(町長さんでしょうか?)より挨拶があり、それが終わってしばらくすると客電が落ちる。今回も客席では誰も立たず、全員着席のままライブが始まる。

 

 

Answer And Answer

ハートに火をつけて

Psychopolis

Battle March

黒い森の旅人

星に願いを

どうにもとまらない

Heart-Shaped Gear

荒地

太陽が欲しいだけ

The Revolutionary

 

カモメ

Black Market Blues

 

 

登場SEは無く、薄暗いステージにまずはかみじょうさんが登場。ドラムセットに到着し、いざドラムを叩くぞというその瞬間に、球体が鮮やかに黄色く光り、その瞬間に客席からは大歓声。野音ではまだ明るかったため、球体が光る様がよく分からず、この暗い室内でどのように光るかとても楽しみだった。同じ気持ちの人がたくさんいて、一斉に歓声が上がった時のあの高揚感!!野音に行っていなかった人はもっと衝撃だっただろうし。この後は曲に合わせて赤、青、緑にも光っていて、目まぐるしくカラーチェンジしているような時もあった。

続いて和彦さんが登場、ベースを弾き始め、最後に卓郎さん。椅子に座ると歌い始める。3人とも野音の時と同じフォーマルな衣装。心なしか卓郎さんの襟元は野音の時よりきっちりしているように見えた。

 

野音でも1曲目だったジャズっぽいアレンジのAnswerは、歌い出しの部分がベースとドラムのみで始まるところが卓郎さんの歌声を引き立たせているし、とてもシャープなアレンジでとにかくかっこいい。サビ直前など、随所に入ってくるドラムの三連符が良いアクセントでこれがまたかっこいい。個人的にとびきり好きなところ。

続いては和彦さんによるアレンジだと野音で明かされた、ダークでどことなく不穏な空気のアレンジのハー火。控えめな赤い照明と相俟って良い雰囲気。

 

このあたりで早くもMCが入った気がする。どの話題だったかは失念してしまったが、途中でかみじょうさんがマイクを手に取り「やっほー辰野!」と挨拶をされたのは確かこの辺りだったか。

 

原曲離れしたイントロから始まるPsychopolisはシンプルなアレンジになると意外とストレートな歌詞が目立ってくるのが面白い。

軽快なドラムから始まるBattle Marchではサビの一番高い音で卓郎さんがファルセット交じりに歌っていて、これがとても美しかった。間奏ではベースにリバーブを掛け、ギターも思いっきり歪ませる。アコギならではの弦の音、アコギ本来の音がしっかりと鳴っているのを歪んだ音が包み込んでいるような不思議な感覚。アコースティック編成らしからぬ音の広がり。

 

諏訪湖を囲む森のことを歌った…訳ではありませんが(笑)と卓郎さんが前置きを入れてから演奏された黒い森の旅人。卓郎さんがよく弾き語りで歌われている時のアレンジをベースにしたような、優しい演奏。アウトロのルルル~というコーラスが美しく、また物寂しさも感じさせるよう。この時にはドラムセットはずっと緑一色に光っていて、森をイメージしていたのかな、と。赤と青を入れつつ、下から白い光がステージを包むような照明がさながら朝焼けの陽光のようだった。

 

辰野は星が綺麗に見えるという話、卓郎さんの地元も星が綺麗に見えるが、辰野は標高が高いから星が近く、「星降り度」が高いという話の後に演奏されたのは星に願いを。その話を聞いた後だとこの曲のようなロマンチックな歌詞が卓郎さんから出てくるのも頷ける。

続いてはこの日一番予想外だったどうにもとまらない!2番では「辰野で誰かに声かけて~」としっかり歌詞に辰野を入れてくる卓郎さん。語感もぴったりでかなり盛り上がったところ。(「誰か」を「ちひろ」に換えたらもっと面白かったな、などと考えてしまった)

原曲に近いアレンジのHeart-Shaped Gearでは、イントロや間奏の入りで一小節だけ和彦さんが原曲の滝さんパートと同じメロディーを弾いてから入る。和彦さんの大きな見せ場のひとつだと思っているし、この一節がきちんと入ってくるのが大好きです。

前半のPsychopolisもそうだけれど、アコースティック編成で削ぎ落とされたアレンジになるととてもいわゆるJ-POP的と言うか、歌詞も良い意味で分かり易く、過度に刺激の強い表現ではないので実は幅広い層に受け入れられるかもしれないな…なんて聴きながら思っていました。

 

荒地はアコースティックになるとこんなにも繊細な印象になるのか、という驚きがあり、

「枯れた花のために ささやかな祈りの雨を」という一節が引き立つような儚さもある。アウトロでは一転、卓郎さんが思いっきり音を歪ませ長いソロを弾ききる。

 

軽快かつ陽気な印象さえ受けるような太陽が欲しいだけ、穏やかなあたたかさのあるアレンジが「もうひとりにはしない」という優しい一節を目立たせる。

最後はThe Revolutionary、こちらも軽快なアレンジ。2曲続けてとても前向きなエネルギーのある曲でカラッと締める。ここでは卓郎さんのハーモニカが登場。アウトロで徐に唇をぺろっと舐めていた卓郎さん、あれはハーモニカを吹く準備だったのかな。この少し前のMCで帽子を取り、ハーモニカを首から下げ始めた卓郎さん。しかしすぐ「まだいいや」、なんて言いながらハーモニカを戻してしまっていたが、それはこの曲の3曲ほど前のタイミングだった。準備が早すぎたのか。笑

その時にハーモニカを先に掛ける=「さきがけ」と言い出し、一文字で書ける(おそらく「魁」)などと言いながら徐々に脱線し始める場面も。

 

 

本編終了、しばらく続いたアンコールの拍手に呼ばれ再び出てきた3人。

フォーマルなシャツ姿ではなく、ロビーのスタッフさんが着用していたものと同じ、ホタルのいる風景が描かれたTシャツを揃って着て出てくる。

和彦さんは何かを齧りながら出てくるという…笑 おやきかな?と思っていたらあたりで、座ってからもしばらくもぐもぐと食べ続けていた。卓郎さんに「町長に怒られるよー」などと言われると、食べかけのおやきを傍らにあったタオルで挟んで隠す。この様子には客席から爆笑。何種類かおやきが用意されていて、卓郎さんはきのこを食べたらしい。和彦さんが食べていたのは大根だそう。ただ、和彦さんは既に大体食べていて、あとはあんこを食べていないと。そこから、辰野で売っているおいしいどら焼きの話へ。かみじょうさんのご家族が差し入れをしてくれたりするそうです。

 

アンコールの1曲目はカモメ。9mm曲の中で最もこの編成が似合うのではないだろうか。長野でこの曲を演奏したのは少し意外だったけれど。卓郎さんのしなやかな歌い方に女性口調の歌詞がとても似合うのだと改めて実感。

 

そして最後はBlack Market Blues、今日は滝さんがいないからと客にコーラスを求める、という卓郎さんの弾き語りなどではお馴染みの流れ。(卓郎さんが、おれが弾けばいいってのは無しだよ?というような事を言っていたような気がする)

しかしここで卓郎さんがBMBの声出しのためにとこれまた長野でのライブでは定番の流れになっている、客に長野県歌「信濃の国」を歌わせる。この流れはあらかじめ決まっていたのか、卓郎さんに向かってかみじょうさんが「よく覚えてたねー、俺忘れてた」というようなことを言っていた。

かみじょうさんがそれに合わせてドラムを叩いていたが、途中からスティックの片方をマイクに持ち替え、ドラムを叩きながらオンマイクで歌い出す!!途中から歌詞があやふやになっていたが、1番を最後まで歌いきる。かみじょうさん曰く、マーチングドラムは片手では無理、とのこと。歌詞が飛んだのではなく、叩きながら歌うのが難しかったのか。それにしてもまさか、かみじょうさんがオンマイクで信濃の国歌うとは…卓郎さんがこの日MCでよく喋っていたり、普段以上に表情豊かだったかみじょうさんに本編で言っていたが、本当にこの日は大サービスだった。(MCについては後述)

信濃の国大合唱が終わり、BMBのコーラス練習もしっかり済ませいよいよ演奏へ。結局最後まで着席しながら観ることになったけれど、この曲は練習したコーラスあり、いつもの手拍子もあり、やはり着席でもこの日一番の大盛り上がりだった。

 

これで全曲終了し、3人が客席に向かって挨拶をし始め…ると、スタッフさん3名がそれぞれ大きな花束を持って登場するというサプライズが!どう受け取ればいいのか?で若干ぐだぐだになりかけるステージを卓郎さんが仕切って整列し、揃って花束を受け取る。かみじょうさんも満面の笑みで花束を受け取り、真っ先にスタッフさんに自ら手を差し伸べて握手。大きな花束を受け取り、改めて客席に笑顔を向ける3人。そのまま順番に退場してゆく。

 

まだやれる曲が少ない、と卓郎さんも言っていたが、それでもこの曲数。更にMCでは3人で喋りまくっていたため、90分余りにわたるライブ。MCが長い分ゆったりしていたような、それでもあっという間に終わったような気もする。

今後ACのライブが決まっていないのがとても残念だけれど、9mmや卓郎さんの活動がこれから増えるから、ACはそれらの活動が少し落ち着いたら再開するのだろうか。ライブだけでなくどうか音源化も…という気持ちも大いにある。

 

 

以下、思い出せるだけ箇条書きでMCを書き出していこうかと思いますが、何しろもの凄い量だったこと、筆者の記憶力が残念なため、どのタイミングでどの話が出てきたのかをほとんど失念してしまっていて、このような形での文字起こしにて失礼します。

 

 

卓郎さんがかみじょうさんについて「バンド始めた頃は頼れるリーダーだったけど、パーソナリティーがおかしい」と言うような話を出してきて、その時に「あらー」と言いたげにおどけてみたり、頬に手をやって驚いたような顔をしてみたり、思いっきり舌を出して本気のてへぺろ顔を披露するかみじょうさん。

 

(きっかけは忘れた)卓郎さんがかみじょうさんに「町長の座を狙っているんだよね?」という振り。かみじょうさんも「玉座を空けて頂いて」的な事を言いながら話に乗っかる。しかし卓郎さん、「この男を町長にしてはいけない!」

 

かみじょうさんと和彦さんはライブ前日にホタルを観に行っていて、和彦さん曰く「宇宙みたいだった、宇宙行ったこと無いけど」とのこと。 昨日は雨だったのにそんな感じなら、晴れたらどうなるんだろうね、と卓郎さんに聴かれた和彦さん、「分かんねっす」

 

(何かのタイミングで)かみじょうさんが喋ると黙る卓郎さん。かみじょうさんが「そんなに拾いにくいこと言った?」と尋ねると卓郎さんが「あとで反省会しようね」

 

各メンバーの実家に泊まると受ける「地獄のもてなし」について。2006年あたり?かみじょう家に着くと早朝だったのに御馳走が用意されていて、かみじょうさんがきゅうりに明太子のっけて食べ始めた話。きゅうり一本に明太子を一房?一卵巣…?と謎の数え方をするかみじょうさん。(正解は一腹、ひとはら)

 

これもかつて辰野に来た時、卓郎さんと和彦さんがコンビニに行こうとしたが寒かったのでジャージの上にジーンズを重ね履きして行って、とてもぱつぱつ(うろ覚え)な状態になってしまったのを「もこみち」と呼び始めて笑い転げて道端で凍死しそうになった、という話。卓郎さんはその話するつもりなかったらしいが、ぶっこんできたのは和彦さん。

また、和彦さんが車に水の入ったペットボトルを置き忘れ、翌日取りに行ったら水がバキバキに凍っていた、という寒さにまつわる話。

それからその頃、卓郎さんと滝さんは卒業するのに単位が足りないかもしれない、もし卒業できなかったら追試受けに行くから3人でライブして、と言った滝さんの話。から、今日滝がいないのは追試を受けに行ってる、と。(本当は上海にいるらしい。)追試のくだりは2年前の長野アコースティック公演でも出てきた話でした。

 

辰野の名物であるホタルは、元々一人の先生が始めた取り組みらしいよ、と卓郎さん。(かみじょうさんは知らなかったらしい。)沢の水は寒くて、ホタルの餌となるカワニナが棲めないから、諏訪湖の水を引いてきて混ぜているのだそう。諏訪湖の水は栄養もあるのだと。

卓郎「諏訪湖の川の水…川じゃないや海だ」

和彦「海じゃねーし」

つっこみが鋭い&素早い和彦さん。

 

辰野には「夜明け前」という美味しい酒がある。卓郎さんも美味しいと言っていた。諏訪湖の水は入っていない。

もう一つ酒の話で、かみじょう家ではスズメバチを漬けた酒を作っていたという話。卓郎さんがあの時は味が分からなかったと言う一方、和彦さんは美味しかったと。かみじょうさんのお父様?おじい様?が作っていたらしいがお酒に弱いらしく、かみじょう家は代々酒に弱いのではと。そこで強がるかみじょうさん。

 

かみじょう「辰野の人口が現在1万9000人程で、2万数千人をピークに減少の一途を辿っている…その一端を担っているのが、この俺!!」(親指を立て自分を指しながらどや顔で)

「俺が戦うには辰野はフィールドが狭すぎた」とも。

 

アンコールにて。前述のように3人揃ってホタルTで登場し、卓郎さんが「ホタT(ホタティー)」と言い出し、和彦さんが「ホタテ」と聞き間違えたのを皮切りに

卓郎「ホタテ」「SHISHAMOの妹分みたいだね」「妹分なのにホタテの方が大きい」と散々膨らませた挙句「今のは無かったことにしてください。」

 

これもアンコールか、ぴっかりちゃんの話から派生したんだったか…?ドラムセットがホタルみたいだという話を卓郎さんがすると何故か音頭的なリズムを叩き始めるかみじょうさん。その後卓郎さんに向かって真顔、と言うか虚無の表情を向ける。卓郎さん、「フォローしないよ。」

 

 

恐らくこれでも拾いきれていないはず…とにかく3人で喋り倒していました。

ゆるすぎて楽屋みたいな空気をステージ上で出していた時もあった、それだけ和やかなひとときでした。

 

MCの端々に、かみじょうさんの地元愛が垣間見える発言もあった。

途中でドラムセットの傍らにいるぴっかりちゃんの頭を撫でていたり、なんにもないけど良いところがあると、うろ覚えですが仰っていたり。好物である辰野の食べ物(ローメン?)の話も出てきていました。

MC中に終始穏やかな笑顔を浮かべられていて、普段のライブよりも心なしか楽しそうに見えた。

最後にはふわっと、でもしっかりとマイクを通して「愛してるよ、辰野」と仰っていた。

一番愛を感じたのは、最後にスタッフさんから花束を受け取った時。おどけた顔など、散々百面相を見せていたかみじょうさんがこの時に完全に素の表情で、満面の笑みを浮かべていたこと。今までに観たことがないような笑顔だった。本当に辰野が好きなんだな、と。

 

この町を出て全国区で活躍するようになったかみじょうさんが、丸くて光る、まるでホタルのようなドラムセットを携えて、ホタルが美しく飛ぶ季節に凱旋する、こんなに粋な帰郷の仕方他にないですよ、素敵過ぎる。

 

今度は9mmとして辰野に来たい、という話も出ていたし、またここでライブをやる機会が近いうちにあるかもしれません。その時にはきっとまた来たいと思いました。ホタルのリベンジも兼ねて。

20180527/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年vol.12”@日比谷野外大音楽堂

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9mmが2年振りに野音のステージに戻ってきた。

野音の地で初めて開催する“カオスの百年”であり、野音のライブが告知されたのと同時にその存在が発表されたAC 9mm御披露目公演でもあり、サポートの武田さんも為川さんも出演、そして滝さんはフル出演するという盛りだくさんの公演。激しい期待と少しの不安。

 

思えば2年前のあのライブから、9mmの苦難とバンドを続ける為の試行錯誤が始まった。

これまで当たり前だったことが当たり前ではなくなってしまった。

 

それでもメンバーそれぞれが滝さんの代わりにできることを増やし、様々な人たちの協力を得ながら、9mmを続けてきた。少しずつ滝さんも帰ってきて、その試行錯誤が報われ始めた。

卓郎さん達は過度な気負いは持たずにこの公演に臨むようだった。だからこちらもなるべく感傷的にならないように、ただ楽しみに待つようにしていた。それでも数日前からどうしようもない緊張感に襲われたりもしたけれど。

 

 

当日の天気は朝から晴れ。割と雨を降らすバンドである9mmの野外公演でこんなにいい天気だと、もう既にライブの成功に対しての良い予感がする。5月らしく風が気持ちよく、絶好のライブ日和。

 

会場内に入るとステージにはお馴染みのバックドロップ、その下には“CHAOS  IN 100 YEARS”と書かれた幕。ステージ左右の床には大きなミラーボールがひとつずつ。

そしてステージのど真ん中には白い大きな球体がいくつか集まっているような不思議な物体。よく見れば随分変わった形のドラムセットだと気付く。

開演が近付き運び込まれたのはアコギと、それからセミアコタイプのように見えるベース。

 

野外なので客電落ちもなく、メンバーどうやって登場するの?と思っていると開演時刻になり、何の合図もなくまずはかみじょうさんが登場。黒っぽいシャツをきっちりと着こなし、更にこれまたきっちりとネクタイを締めている。

かみじょうさんがドラムを叩き始め、続いて和彦さんがステージへ。同じく黒シャツに、首元にはバンダナ。最後に白シャツ、黒いネクタイ、黒いハットを被った卓郎さんが出てくる。

普段からモノトーンの衣装が多いけれど、ここまでシックな服装でのライブは数少ないだけにまずはそれぞれの装いに目を奪われる。

突然メンバーが登場したため、立てばいいのか座ったままで良いのか、それすら分からないで辺りをきょろきょろと見回していると全体的にそんな感じ(に見えた)で、結局座ったままスタート。

 

 

AC 9mm

 

Answer And Answer

Heart-Shaped Gear

Psychopolis

Battle March

荒地

星に願いを

ハートに火をつけて

太陽が欲しいだけ

 

 

1曲目のAnswer、全く予想外だった、ジャズのような軽やかさのある、とびきりお洒落なアレンジ。ドラムの三連符が何故かとても印象に残っている。

まだ明るい野音のステージと森の中に、そのサウンドと卓郎さんのしなやかな歌声が広がってゆく。

これまで、4人編成、卓郎・和彦・かみじょう の3人編成、卓郎・和彦の2人で、そして卓郎さんの弾き語り と様々な編成のアコースティックで9mmの曲を聴いてきた。そのどれとも全く違うアレンジ。全く違う音。想像と期待をいきなり軽く越えてきて、早くもこの編成がとんでもないことに驚くばかり。

 

続いて「1stゾーン(Termination収録曲だから)」と名付けられたHeart-Shaped Gear、Psychopolis、Battle March、(アコースティックと言えども、やはりかみじょうさんの仕事量は多め)

またその後には「Movementゾーン」として荒地と星に願いを、と9mm本体でも今やほとんど聴けないような曲を惜しげもなく披露。

荒地では卓郎さんがしっかりとソロをきめ、“最遅”のアレンジと卓郎さんが表した星に願いを では、音数を減らしのんびりと繰り広げられる演奏が心地よい。

 

情熱的な原曲と大きく変わり、ダウナーでどこかダークで不穏さのあるような曲調に生まれ変わったハートに火をつけて がまた意外なアレンジ。歌のメロディーがとにかく目立つことで、少し歌謡曲っぽさが強まったようにも感じる。後から卓郎さんが語っていたが、このアレンジは和彦さんによるものらしい。そんな紹介を受けると、いやいやいや…と言いたげなリアクションを取る謙虚な和彦さん。

 

そして最後の太陽が欲しいだけ 原曲では凄まじいエネルギーを放っているこの曲、跳ねたリズムとカラッと明るい曲調がとても多幸感があり、穏やかな楽しさで会場を包む…

という空気だったのでしょうか、全体的には。私もそのつもりで楽しく聴き始めていたのですが、この曲、このアレンジ。2年前にツアー“太陽が欲しいだけ”の、中止になった長野公演 その代わりのアコースティックライブで披露されたアレンジとほぼ同じだったんですよね。

その公演は、2年前の野音の直後だった。

あの時に、あの状況で出来る限りの事をして楽しませてくれた、そんなライブで披露されたアレンジを、この晴れ舞台でまた聴けたという嬉しさと感慨深さに、少し視界を滲ませながら聴いていました。こんなに粋な選曲してくれるなんて…と。

 

ライブ中の雰囲気と同様にMC中も非常に穏やかで、卓郎さんがうっかり喋りすぎそうになって自分で止めていた場面もあった。

「かみじょうくんが登場して、みんな立ち上がるかと」思ったらしい卓郎さん。結果は全員着席のまま、という事で、これには驚きだったようだ。

よくある「新人バンド」設定(何せこれがAC 9mmの初ライブである)で「9mmさんに曲と胸をお借りして…」なんて卓郎さんが言ってみせたり。

 

白い球体がいくつか集まったような不思議なドラムセット、かみじょうさん登場の後に球体の色が微妙に変わったのが見えたので、もしや…と思っていたらやはり球体が光るドラムセットだった!日が落ちる前だったので、分かり辛かったのが惜しかったけれど、MCの途中で話を振られて光らせてみたり、激しくカラーチェンジさせたりしていました。その時にかみじょうさんが思いっきりどや顔をしていて卓郎さんにつっこまれたり、驚いたようなおどけた表情をされていて、演奏中は淡々とした表情なのにこういう時に思いっきり表情豊かになるかみじょうさんを観てこちらも思わず頬を緩めてしまう。

 

アコースティックだけれどこのような編成で、時に卓郎さんはアコギを歪ませソロを弾いたり、和彦さんもベースでコードを弾くような感じだったのが3人とは思えないようなどっしりとした音を生み出していたり(MC中に和彦さんが手首をばたばたと振っていた時があったので、それなりに負担はあったんだろうか) 去年あたりにかみじょうさんが「ジャズドラムを学んだ」と仰っていたが、もしかしてこのアレンジに繫がったのか…と途中で気付いて喜び。

アコースティックだけれども穏やかなだけはなく、長年慣れ親しんだ9mmの曲たちの新たな一面を見ることとなった。5月の爽やかな陽気がぴったりで、この時期に野外で聴けた贅沢さ。まだまだ知らない一面がたくさんある、観ながらそんな事を思っていたらより嬉しくなった。

 

 

AC 9mmが終わるとすかさず転換へ。

何と“CHAOS  IN 100 YEARS”の幕の後ろにいつもの機材が隠れており、次々とお馴染みの機材が登場するという早業。

ひと通りの準備が終わり、だんだん暗くなってきた野音に「Digital Hardcore」が鳴り響く。いよいよ9mm!!

順番に出てくるメンバー、最後に滝さん…滝さんだ…大歓声が爆発する。

 

 

9mm Parabellum Bullet

 

The World

Mr.Suicide

Lost!!

Supernova

Story of glory

I.C.R.A

Vampiregirl

キャリーオン

Everyone is fighting on this stage of lonely

生命のワルツ

Scenes

Termination

Talking Machine

新しい光

 

Black Market Blues

Punishment

 

 

ど頭からThe Worldという初期曲を入れてきたこの時点で、もう既に「特別感」が出ていたような気もするし、「あの頃の9mm」が帰ってきたようでもあった。滝さんは今まで見たことのない、黒いレスポールタイプのようなギターを弾き始める。

続いてはもう本当に久々のこの曲、でもライブアレンジのイントロが何一つ変わっていない!Mr.Suicide!!

初期らしい爆裂っぷりと儚い美しさが混じったこの2曲を野外の開放感の中で聴けた、過度な感慨深さのせいではなく、ただただ曲が美しかった、それだけでもう目頭が熱くなった。

 

Mr.Suicideから間髪入れずにLost!!へ、という繋ぎ、熱すぎる展開に大いに熱狂し、

その次は先日ビバラでも披露されたSupernova ギターが3人いるので、印象的なリフはトリプルリードのアレンジという贅沢さ。この時既に薄暗くなり、「満月」ではなかったけれど、下手側の上空には月が輝いていた。まさか本物の月を眺めながらSupernova聴けるとは…と感激していたので最後はステージもあまり観ず、

“満月の向こうで 満月の向こうで

満月の向こうで神は見ていたの?”

の一節を聴きながら月を眺めていた。その後は薄曇りといった空模様だったため月も隠れてしまい、Supernovaの時だけこんなにもよく月が見えていたことが奇跡的にも感じられた。

 

続いてStory of glory この1年間にあった出来事に思いを馳せながら聴くと、余計に今の9mm自身を歌っているように聴こえる。

“わけなんてなくて笑っていた

おれたちは今夜無敵なんだ”

と、絶叫するように歌ったのは滝さん!!!

滝さんがこんなに力強く、無敵なんだ!!!と叫んだ、それが言葉にならないくらい嬉しかった。

 

次もBABELからI.C.R.A  ここでやらないでどうする、と言いたくなるくらい、会場の規模が大きければ大きい程映える曲、だから嬉しいセトリ入り。間奏のタッピングは為川さんが見事に弾ききる。滝さんはここでライター奏法を披露。

同じくこの大人数で圧巻の大合唱を巻き起こしたVampiregirl かつて定番曲としてたくさん聴いてきたこの曲も久々に聴いた気がする。ギターが3人いるから最後のサビでは音源を再現するかのように演奏。

 

 

ここで卓郎さんが武田さんを呼び込むと、登場した武田さんが為川さんとステージ上でハイタッチして交代。

数日前のLINE LIVEにて予告されていた通り、新曲をここで披露。

BABELの選曲から漏れた、という話も何となく分かるような、相変わらず重たいけどそれ以上に爽やかさもある曲。

“キャリーオン やぶれた夢をつないで”

というサビの一節がまるで今の9mmをそのまま歌っているようだった。

 

Everyone is fighting on this stage of lonely  去年この曲を演奏していた時には、最後のコーラスをかみじょうさんが担当していた。しかしこの日はドラムセットにコーラス用のマイクは無かった。その代わりに頼もしい歌声を響かせたのは武田さんと、滝さん。

かみじょうさん、やはり去年は滝さんの代わりを担っていたんだ。かみじょうさんのコーラスがなくなったのは少しだけ寂しくもあるが、滝さんが帰ってきた実感がまたここで湧いてきて嬉しくなった。

 

原曲のアコギのイントロが音源で流れてから演奏に入った生命のワルツ、これは2年前の野音と同じ。その時は1曲目だった。アウトロでは和彦さんが思いっきり勢いをつけぐるぐると回る。キャリーオンからこの生命のワルツまで、「前に進む」姿勢や生命力に溢れた曲を並べてきた、これが今の9mmの意志を表しているように聴こえてならなかった。

 

そんな前向きな流れから次はかなりのレア曲、Scenes

“また会おう かならず”   の一節が頼もしい。

“燃えるように赤く舞い散る花びら”

の歌詞通り、温かみのある赤い照明、幾つもの四角が花のような模様を描き出す。それが一転、

“雪のように白く舞い散る花びら”

からは真っ白く変わり、ステージの壁に水玉を描く様が見事だった。

 

Terminationではサビの大合唱、間奏でソロを弾きながら最終的にステージを元気いっぱいに転げ回る滝さんの姿。ステージの上で思いっきり動き回る滝さんが、遂に、帰ってきた!

この曲の

“最後の駅の向こう 何から始めよう”

という一節が大好きで、それは退廃的な雰囲気があるこの曲に、最後の最後に少しの希望を持たせるような言葉だから。

この日に聴いたこの一節はこれからの9mmが見据える確かな希望を表しているかのように聴こえた。

 

Talking Machineのいつものイントロ、いつも通りマラカスを手にする卓郎さん。いつも通りの光景…かと思いきや、滝さんが卓郎さんからマラカスの片方をもらい、ふたり一緒にひとつのマイクの前で一緒にマラカスを振るというまさかの展開!細かい表情は見えないものの、卓郎さんと滝さんの楽しそうな様子はよく伝わってきた。

トーキンでの照明、細かな光の粒が上へ上へと上がっていくような。ステージ床に置かれたミラーボールはこの為のものだった。光の粒がステージいっぱいに広がる美しさ。ミラーボールをこんな風に使うんだ!!という驚き。

トーキン2サビの前、“何べんやっても”で和彦さんと滝さんがぴったりのタイミングで飛び上がる。かつてはこれもお馴染みの光景だった。しかししばらく、この光景すら観ることは叶わなかった。ようやく、ようやく観られた…これが観たかった!!

 

本編ラストの新しい光では卓郎さんに煽られるとこの日一番の大合唱が巻き起こる。最後にはまるで祝砲のように放たれた金テープがすっかり暗くなった夜空を彩った。

 

 

 

アンコール、メンバー4人と武田さん、為川さんと全員ステージに出てくる。事前に「6人では演奏しない」と告知されていたが、6人で演奏が始まる。

BMB、卓郎さんが「日比谷野外大音楽堂にたどり着いたなら!!!」と歌詞を変えて歌う。武田さんも為川さんも隣に並んで楽しそうにギターを弾き、時には滝さんがそれに加わる。

 

そしてこの無敵の6人編成でのラスト…静かなイントロが鳴り響き、滝さんの爆速カッティングが炸裂する!間違いなく9mm史上最強の、6人でのPunishment!!

曲に入る直前、滝さんが卓郎さんと何やら確認を取るように顔を見合わせていた。もちろん声も聴こえず、細かい表情も分からない。でも「いけるよ」と言っているように、見えた。ほんの僅かな瞬間で、もしかしたら思い違いかもしれないけれど、こんな瞬間でさえ嬉しかった。

間奏ではかみじょうさん以外の5人がステージ前方に並んで弾く圧巻のほぼBABELスタイル、また滝さんがソロを弾いた時だったか、無数のスポットライトが一気に滝さんを照らす。この時の滝さんのギターヒーローっぷり…暴れ回りスポットライトが大体外れる滝さんだから、これは貴重な光景だったかもしれない。

 

 

曲が終わると卓郎さんが

武田将幸!為川裕也!中村和彦!かみじょうちひろ!(「かみじょう」で噛んでしまって痛恨のやり直し)菅原卓郎!滝善充!!とメンバーの名前を順番に呼ぶ。言わずもがなではあるが、今やサポートの武田さん、為川さんも大事な9mmメンバーであり、全員でこの歓喜の公演を締めくくった。また割れんばかりの大歓声が巻き起こった。

 

滝さんはいつものように真っ先にステージから消えていったが、どこかやりきった表情に見えた。卓郎さんは上手、下手、真ん中、前も後ろもまんべんなく、丁寧に客席に向かって手を振ったり、笑顔を向ける。和彦さんもピックを投げまくりながら同様にゆっくりと挨拶をしてゆく。かみじょうさんはスティックを何本も客席に投げ入れ、Tシャツの両端をつまみながらバレリーナのようにエレガントな挨拶をし、ステージを後にする。

 

 

終わった。無事に、野音公演が終わった。

 

滝さんが全16曲を完走した。

まだ大変そうなところはサポートのおふたりに任せ、それでもここぞというところは台の上に立ったり、前に出てきたり、動きまくり転げまわりながら全部、弾き切った。

昨年の7月にはわずか2曲、それが12月には9曲を弾き、そして今回16曲も。正直、予想よりも遥かに早く、滝さんが復帰してきている。まず、それにとても安心した。無事に終わった。終わった後に安心して完全に力が抜けてしまった。じわじわと嬉しさがこみ上げてきた。滝さんが、帰ってきた。

 

卓郎さんはMCで「新しい伝説作ろうか!」と言っていた。野音の少し前には「リベンジではない」とも言っていた。本当に「リベンジ」なんかじゃなかった。因縁のステージを、あの時の何倍も素晴らしい景色にすっかり塗り替えてしまった。

 

セトリ全体を見てみると、どこまでも前向きなメッセージが込められているようにしか見えなかった。

去年から卓郎さんが言い続けていた通り、9mmはもう前に進むことしか考えていない。

何せAC 9mmの1曲目から

“はじまったんだ 何言ってんだ 終わりじゃないのさ”と宣言して始まったのだ。

 

ここ2年間で聴けなかった曲がたくさん演奏された。間違いなく、BABEL曲まで弾きこなすサポートのおふたりのお陰だ。ギター3本の5人編成は、結果的に原曲を再現するようなツインリードやそれ以上のアレンジが可能になり、単純に既存曲の表現方法が増えた。これまでのアコースティック編成の経験から、AC 9mmという新しい表現方法を手にして、更に演奏できる曲が激増した。

大変な2年間だったことは間違いないけれど、9mmがこの2年間で得たものはこんなにも多かった。それを実感できたライブでもあった。

 

最後に、卓郎さんが中盤で言ったこと。

「もうダメかもしれない。やめようと思った。その度にライブで見てきたみんなの顔が浮かんできて、考えるのをやめた。」

言葉は多少違うかもしれないが、卓郎さんはこんな言葉を客席に投げかけてきた。

 

2016年、満身創痍の状態で客席に向かって「助けてくれ」と言いながらステージに立ち続けた卓郎さん。

2017年、9mmを止める可能性があったことを明かしながらも、「9mmを続けるんだ」と言いながらステージに立ち続けた卓郎さん。

そして2018年。以前のように弱音を隠すことがなくなった。それはもう人前で言えるくらい、今は「大丈夫」だということ。卓郎さんがすっきりしたような笑顔で、この言葉を言った瞬間が、強く目に焼き付いている。

 

卓郎さん、2年前のあの時から、客席に向かって、ファンに向かって、何度も何度も感謝の気持ちと優しい言葉を投げかけてくれた。自分たちがどんなに大変な時にも、こちら側への気遣いの言葉を口にしてくれた。

(ちなみにこの公演、チケットのとあるトラブルが発生してしまった。それが発覚した時にも卓郎さんはすぐに、「だいじょうぶ」「一緒に楽しもう」と気遣いの言葉を下さっていた。)

 

野音公演の後からこの日に披露される新曲が9mmからの「プレゼント」として無料ダウンロードできるようになることが発表されていた。嬉し過ぎるプレゼントを、ライブと同じくらい楽しみにしていた。

ところがライブ中盤、何とこの新曲を来場者へのお土産に、CDとしてプレゼントするという更なるサプライズが発表された。形は何であれ新曲を聴けるだけで嬉しい、でもやはりCDとして手元に来ることはもっと嬉しい。

 

本当は、感謝の気持ちを表したいのはいつだってこちらの方なのに。でも、ただのファンなので何ができるわけでもない。それが当たり前で、ただ9mmの曲を聴きライブを観続けることが唯一できることだと思っていた。

それだけに、卓郎さんのこの言葉は、ただライブを観続けていたことがほんの僅かでも力になれたのか、とおこがましいことは分かっていながらも嬉しかった。本当に優しい、卓郎さん。優しいバンドだ、9mmは。

 

 

卓郎さんの言葉通り、間違いなく伝説の一夜になった。

その瞬間が目の前で繰り広げられていたこと、その瞬間に立ち会えたことが感無量です。

 

でもこの公演も、やがてこれからの9mmの中で輝かしい出来事のひとつ、あくまで“歴史のひとつ”として記憶に残るライブとなるのでしょう。だって、9mmはこれからもっと「最高」と「無敵」を更新し続けるのだから。

9mm Parabellum Bullet「BABEL」2017/05/10

 

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2016年11月5日、豊洲PIT

ツアー“太陽が欲しいだけ”追加公演終演直後に突然告知されたアルバム

それが9mm7枚目の、後に「BABEL」と名付けられることとなるアルバムである

 

 

収録曲全10曲、すべてが新曲。最近のアルバムではメンバー全員が作詞作曲に携わっていたが、今作は全曲作詞を卓郎さん、作曲を滝さんが担当。しかも滝さんがかなり作り込んだほぼ完璧なデモを作り、それを元に制作されていること、歌詞も滝さんが卓郎さんにイメージを伝えてから書かれた、というだけにアルバム全体の統一感はこれまでの音源の中で一番だと言っても過言ではない。

 

収録曲がまだ解禁される前、卓郎さんは今作について「岩の塊」と表現したり、リリースが近づくにつれてライブで毎回のように「きっと初めて9mmを聴いた時のように驚く」と仰っていた。

初期9mmが“速い、暗い、日本語”というコンセプトだった、などと聞いた覚えがあるのを思い出し、これまでの曲を超えるような激しくて分厚い音のアルバムなのだろう、と期待をしていた。

実際、豊洲で観たアルバム告知映像で流れていた新曲と思しき一節はかなり激しそうなサウンドであった。

 

ところが、今作の中で最初に解禁されたのが5曲目の「眠り姫」で、卓郎さんが今作を言い表した言葉“岩の塊”というイメージが全く浮かばず、次いで解禁された4曲目の「ガラスの街のアリス」も激しいところはあれどイメージ的には岩というよりもそれこそ繊細な工芸のような美しさもあり、どういうことか…と思っていたがいざ全曲聴いてみると実はその他の曲が激しかった、という。それを狙ってこの順番での解禁になったのかは分からないが、リスナーを驚かせるには最も効果的だったのではないだろうか。

 

音についての第一印象は予想通り、いやそれ以上にやはり分厚い音であったこと、特にギターについてはアルバムの1曲目のイントロからけたたましいタッピングで幕を開け、その後もタッピングが多用されていたり、ギターに関しては前作「Waltz on Life Line(以下WoLL)」の「火祭り」で登場した“ライター奏法”や新たに出てきた“ガムテープ奏法(後述)”などのぶっ飛んだサウンドが多々あり、滝さんが現在腕に不調を抱え9mmのライブをお休みしている状況だなんてとても信じられないような完成度である。ライブで観ると、これまでもただでさえ手数の多かったドラムが更に複雑になっているように感じられるあたりにもこのアルバムのエクストリームさが出ている。

 

歌詞について。最近の9mm曲は力強い言葉、前向きな表現が多くなってきた印象だったが、今作はその系統の歌詞もありつつ迷いや苦悩を連想させる言葉が多く、じっくりと読んでみると、若者のやりきれなさが滲み出ているようだった「Termination」あたりの詞に近いような、そんな気がした。

ただ今作の歌詞は読めば読むほど、ライブで実際に聴けば聴くほど多くの箇所について、これは9mm自身について歌っているのではないか、としか思えない言葉が多く、どちらかというと抽象的な表現の多かった初期とはこの辺りで違いがある。

 

そのような特長があり、アルバム全体から烈々たるエネルギーを感じさせる今作を卓郎さんは自信をもって「初めて9mmを聴いた時のように驚く」と表現されたのでしょう。

9mmと出会った時から一度も離れず聴き続けているファンにはもちろん、初期に9mmと出会い、何らかの考えがあって現在は9mmと距離を置いている人が聴いても少なからず驚きや衝撃があるようなアルバムなのではないかと信じている。そういった人達が音源か、それともどこかのライブか、フェスか、とにかく何らかのきっかけで今作を耳にする機会を持ってもらう事ができたら、と願って止まない。

 

 

リリースから既に半年以上が経ち、もう何度もライブで聴いてきたので今では冷静に聴くことが出来るようになったが、実はリリース直後、今作を聴いて真っ先に受けた印象は

「怖い。何だか分からないが怖い。」

というものだった。

 

自分でも理由はよく分からなかったが、曲たちを構成している音の一つ一つは確かに慣れ親しんだ「9mmの音」なのに、何だか得体の知れないものを覗き込んでいるかのような、体の中をじわじわとどす黒い何かに侵食されるような、思い出してはいけない何かを引っ張り出されるような。

聴き始めて最初の一週間は完全にアルバムの雰囲気に呑まれ、普段のように歌詞やパート毎の細かいところに集中することもできなかった。

それと同時に、もう10年近く聴き続けているバンドの新譜で「怖い」と思える程の衝撃を受けるなんて凄いことだ、本当にとんでもないバンドだと実感しそれが素直に嬉しくもあった。

 

理由が分からないままリリース1ヶ月後からツアーが始まり、実際にアルバムの世界観を耳からだけでなく視覚からも受け取ることで得体の知れない怖さの正体が何となく掴めてきた。

それは卓郎さんがツアーのMCで、今作について

「BABELはおれたちの喜びや迷いや苦しみもすべて入っている」

と仰っていたから。

 

やはり卓郎さん自身や恐らく9mmが置かれた現状についての苦悩が少なからず取り込まれていて、9mmを観続けてきた身として昨今の9mmから感じていた僅かな不安と、元々の自分の思考がかなりそれに影響を受け、漠然とした怖さを感じていたのだろう、と結論付けた。

この怖さは9mmが困難な中でこんなに素晴らしいアルバムを作れた、という卓郎さんの言葉や、聴き続けるうちに不安の中にも僅かな希望を感じられるようにもなった。

 

 

アルバム全体については以上です。

以下、主観とライブで聴いた感想も交えて1曲ずつ。

 

  1. ロング・グッドバイ

いきなりけたたましいタッピングから始まり、一聴目から驚かされた曲。また、別れを連想させることから聴く前には若干動揺しかけましたが聴いてみるとむしろ始まりを想起させる曲だった。

「旅に出かけよう」の部分で入ってくるベースのスラップと最後のサビに入る前のだんだん大きくなり突き抜けるようなスネアの音から(9mmの曲ではしばしば登場する)ギターのナットとペグの間の弦を鳴らす「キーン」という音、更に畳み掛けるように入ってくるドラム、の流れがとても好きなところ。

「TOUR OF BABEL Ⅱ」で滝さんが9mmライブに一時復帰した時に演奏された曲で、滝さんがギターを弾く隣で卓郎さんが「僕には君がいれば何もいらなかった」と歌った時には言葉にならないくらいの嬉しさがありました。また、毎回最後のサビで一際力を込めて卓郎さんが「すべて壊してやるのさ」と歌うのがまるでこの困難な状況だって打破してやる、と言っているように聴こえてならない。

 

  1. Story of Glory       

これは聴いた瞬間に今の9mm自身のことだ、と思った曲のひとつ。ただ、「さえない栄光」という部分は決して当てはまらないけれど。その「さえない栄光の日々に」の部分で鳴るファンファーレのようなギター、「僕らは確かめた 風の中で」の部分での、パンク的なリズムにゆったりしたメロディーが乗っているあたりに貫録のようなものを感じる。

ライブで聴く「おれたちは今夜無敵なんだ」の部分では本当に9mmが無敵に見えるし、「ステージに刻まれたいくつもの奇跡を 思い出して 終われないって」の一節は今作に怖さを感じていた時にも9mmはきっとまだまだ終わらないんだ、と思わせてくれた。

(余談ですが一聴目はサウンド的にはjammingに近いなとつい思ってしまって、面白いな、と。)

 

3.I.C.R.A

全体的にシリアスな今作において、一番コミカルさのある曲。タイトルもサビの「愛し合え」から取っていて。この「愛し合え」がライブだと大合唱になって、あれだけの大人数で「愛し合え」って叫ぶ痛快さ。

間奏では凄まじいタッピング、Cメロでは前作WoLL収録の「火祭り」で異彩を放っていた、100円ライターをスライドバーのように使う「ライター奏法」、更にアウトロの和彦さんのシャウトの裏では弦の上にガムテープを張り、それを引っ剥がしてノイズを出した「ガムテープ奏法」によるユニークな音が詰まっているあたりが面白いところ。

個人的に好きなのはサビの「おやりなさい」の「さい」の部分の卓郎さんの伸び伸びとした歌い方。

 

  1. ガラスの街のアリス

近未来的というか、無駄のないシャープさがあり、歪んでいるのに透明感のようなものを感じる。4つ打ちに近いリズムがとっつきやすさもあり、フェスやイベントでもとても盛り上がっていました。

イントロ、タイトなギターのスタッカートとシンバルミュートから始まりツーバス連打へ、からしなやかなメロディーに続く。ライブではかみじょうさんがシンバルをミュートするところが大好きで、このイントロは決まってドラムに目を向けがち。個人的には是非そこに注目して頂きたいです。

最低限の登場人物と物寂しさや儚さを感じさせる言葉が並ぶ歌詞がさながらショートフィルムのよう。

「君」が「砂」になっても愛し続ける「ぼく」も、「最後の砂」になっても愛される「君」も、なんて美しいのだろうか。。

 

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  1. 眠り姫

今作で最初に解禁され、事前情報からのイメージとあまりにかけ離れたサウンドに驚かされた曲。

ゆったりとしたテンポと、9mmにしては激しい起伏があまりないリフ。その中でも太い音が目立つ、これまたゆったりとしたベースラインがうねる。

淡々と進んでゆくような前半。しかしライブでかみじょうさんの手元を見ると(ドラムは詳しくないので見たままの感想ですが)実は複雑な動きをしていたことに驚きました。間奏は夢現のような、鬱蒼とした場所に迷い込んだような深いリバーブが重なり、ホールツアーではリバーブのサウンドが会場全体を包み込むようだったのが幻想的にも思えた。その直後、現実を叩きつけるかのようにだんだん音が盛り上がってゆき、何かが迫りくるかのようなドラムの怒涛の3連符へ繫がる曲展開。ここが個人的には好きなところ。

 

この曲は初めて、歌詞を先に書いた曲とのこと。

寓話のような歌詞に込められたテーマは「原子力発電」だという。かつて9mmは「NO NUKES」にも出ていたので、この話題についてどういう思いを持っているのかは察するに難くない。

ただ、やわらかい表現を使って遣る瀬無さや行き場のない思いを感じさせるところ、特に「眠りたい 君を抱いて」という一節が単純に“排除”や“拒絶”で片付けるのではなく根本的にどう向き合えばいいのか、に目を向けているような気がしてその視点がとても卓郎さんらしいな、と思った。

 

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  1. 火の鳥

眩い、神秘的、荘厳。

曲が始まってしばらくは大空を舞うような悠々としたイメージ、続くツーバス、チャイナシンバル連打とギターのタッピングの音が煌めく。サビの凄まじい開放感は雲間から差し込む強い陽光のよう。2番の歌の裏で鳴る異国風の響きのリフも荘厳さがあり、まるで人の力ではないようなものを感じさせるような神秘的な曲。そんなことを初めて聴いた時に思いました。

サビ前の4小節、“ダッ、、ダダッ、、ダダダッ、ダダダダッ”と八分音符ひとつ分ずつ増やしながら、卓郎さんギター、ベース、ドラムが同じリズムを刻むところ、あの高揚感が堪りません。

ライブでも終始キレのある演奏で、最後の一音をスパッと止めた後の一瞬の余韻と静寂がまたとても良い。

ちなみに「TOUR OF BABEL」の神奈川と神戸では原曲通りのキーで演奏されましたが、名古屋公演以降は全て半音下げのキーで演奏されています。ボーカルのキーが高かったからなのか…。「眠り姫」も半音下げチューニングなので、ライブでは続けて演奏されることが多い。

ロッキンにて、晴天の野外で聴いた時の突き抜けるような開放感は今でも鮮烈に思い出せるくらい、素晴らしかったです。

「奈落に生まれ落ちた火の鳥よはばたけ」という一節につい9mmを当てはめて聴いてしまう。「輝かしい日々へと」もの凄いエネルギーを放ちながら活動を続けた今年の9mmを。

 

  1. Everyone is fighting on this stage of lonely

「太陽が欲しいだけ」豊洲PIT公演終了直後に会場で公開されたアルバムリリース告知の映像で流れていたのがこの曲のイントロだったので、厳密には最初に解禁されたのはこの曲。(YouTubeで公開されている映像は「太陽が欲しいだけ」に差し替えられているので、会場で観た人だけがいち早く聴けたということになる)

全体的に重たいパンチを繰り出すかのようなアレンジが9mmらしい。Aメロでの壮絶なカッティングが切羽詰っている感を出し、サビでたっぷりと音を伸ばしながら歌う「戦え」の一言が強大な何かに立ち向かう時に気持ちを鼓舞する。既発曲の「ラストラウンド」を彷彿とさせるがあの曲の歌詞よりも更に追い詰められた状況を歌っているかのよう。

間奏のツインリードからは若干哀愁のような感じもあり、挫折を乗り越えて最後のサビに向かうようなドラマチックな展開。壮大さのある最後のコーラス、ライブでは何とかみじょうさんも歌っています!間違いなく2017年の9mmにおける重大な出来事です。

「君の勝利を誰も望まなくても 生き残れよ」と、ただ戦うのではなく“ただひとりで”戦う事を肯定してくれることが、どれだけ嬉しく、どれだけ頼もしく思えたことか。

 

  1. バベルのこどもたち

事実上の表題曲。今作を聴き始めた頃に「怖い」と思っていたのは恐らくこの曲の影響が一番大きい。

イントロから不穏な空気が漂い、音の壁が迫りくる、Aメロでまた不穏な空気に戻る。

Bメロで、ドラムが複雑なリズムを繰り出し次いでギターとベースが揃って同じフレーズを弾く部分の、ドスの利いた低音が音源でもライブでも毎度聴き惚れるところ。

積み上げたものがいとも簡単に崩れ、路頭に迷い、見放された哀しみ、そんな感情に徐々に引っ張られていって間奏へ。間奏の音圧は音源でも充分迫力がありますが、ライブでこの曲と対峙した時には思わず立ち竦む程に圧倒されました。この部分の凄まじい音圧とここで入ってくる和彦さんの渾身のシャウトに絶望感を叩きつけられたような気分になってものすごい力で曲の中に一気に引き込まれるような感覚。

最後のサビからは何もかも崩れ去った後の僅かな希望を感じさせるようにも思えます。

詞も音もとにかく重く、間違いなく今作の核を担うこの曲、今年フェスやイベントでも何度もセトリに入りました。勿論ファンとしては嬉しいけれど、ライト層のリスナーにとっては初見で聴くのは重た過ぎることも想像できるはず。勝手な憶測ですがそれでも何度もセトリ入りしていたのは、出来る限り多くの人にこの曲を、「BABEL」という素晴らしいアルバムを届けたかったのではないか、と思っています。

 

  1. ホワイトアウト

重厚な「バベルのこどもたち」から一転して優しげな歌声、エレガントでノスタルジックなギターソロ。

前曲との対比で一層繊細さが際立っています。

寂寞感のある歌詞は読んだまま受け取ると別れや過日を惜しむ曲、しかし演奏する本人たちのことを思い浮かべると全く違う意味にも捉えることが出来る気もします。

最後のサビの前、「どれだけ昨日が」の部分、優しげな歌声と繊細なクリーンパートの掛け合いが美しい。

ライブでは真っ白な照明や、会場によってはミラーボールを使いさながら雪景色のようになり、ホールの大きな空間がこのエレガントなメロディーと雪景色で包まれた際には息を呑む程の美しさでした。

 

10.それから                         

土砂降りのように音が降りそそぐイントロ、邪悪なリフと終始モノローグのような歌詞で綴られる。

ライブではまた独特な空気が流れ、「悪魔のささやきは自分の声でした」で切れかけた電球が点滅するようなスポットライトを浴びながら、その後も歌詞を手振りで表現しながら歌劇のように歌う卓郎さんに、えもいわれぬ迫力を感じるようでした。心の「上澄み」だけで「浮かれた世界を沈めていく」程の陰鬱さを抱えた歌詞と中盤の語り口調のモノローグから、最初は気が狂う寸前の人のイメージすら思い浮かんでいた程。

様々な解釈の余地があるとは思いますが、聴き進めてゆくうちに救いの曲のように聴こえるようになった。

それは

「何が降ろうが逃げられないなら わたしはあなたと濡れていたいのさ」

「どんな未来が待ち受けていても わたしはあなたと苦しみたいのさ」

「どんな未来が待ち受けていても わたしはあなたと乗り越えたいのさ」

これが、今の9mmに完全に重なって聴こえるから。

 

 

 

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2016年後半、9mmは満身創痍だった。

 

 

周知の通り、滝さんの腕の不調により9mmは“いつも通り”のライブができなくなった。

ツアー前半は中止(結局アコースティックという形式で全箇所廻ったが) 、またツアー後半はサポートギタリストやゲストバンドを迎えて何とか開催できた。

ツアーが終わったら、2017年になったら、9mmは活動を休止してしまうのではないかという不安を抱えながら迎えた追加公演にて、まさかのアルバムリリースが発表された。

その時のあまりの驚きと嬉しさは、1年以上経った今でも忘れることはできない。

 

その数日後、滝さんが当面9mmのライブ活動を休止すると発表された。

アルバム告知で吹っ飛んだはずの不安がまた帰ってきた。

 

2017年に入り、出演するライブの告知がどんどん増え、9mmの活動は例年と変わらないペースで続いていた。他バンドのツアーにも積極的に出演しているようだった。滝さんがお休みしていても、今できる限りの活動をしていくんだな、とまた少しずつ安心できるようになった。

サポートギタリストを迎えてライブを続け、TOUR OF BABELからは各所で盟友ギタリストを2人ずつ迎え、ステージ上手前方にドラムセットを移動させた編成、通称「BABELスタイル」で多くのライブに出演した。

今年、最もサポートを務めた武田将幸さん、為川裕也さんを始め三橋隼人さん、そして石毛輝さん、辻友貴さん、西堀貴裕さんといったスーパーギタリスト達のサポートもなくてはならない存在だった。

 

 

その一方で3月、イベントに出演した卓郎さんがMCで突然話し始めた「去年活動休止も考えた」という話で、頭が真っ白になった。

それから卓郎さんは、時折同じような話をすることがあり、TOUR OF BABELの名古屋公演では、「(ツアー“太陽が欲しいだけ”名古屋公演の)ライブ中に“もうダメなんじゃないか”と思ってしまって」という話まで出てきた。

あの野音以降、私の記憶にある卓郎さんは、サポートしてくれる多くの仲間たちに「力を貸してくれ」と言うだけで、弱音は吐かず、フロントマンとしてステージに立つ頼もしい姿だけだった。もちろん、状況から考えると当然と言えば当然、だが2016年の9mmが予想を遥かに越える深刻な状態だったことを、知ることとなった。

 

 

一時期はそんな状態だったにも関わらず、9mmは立ち止まることを選ばなかった。

滝さんは9mmメンバーで居続けることを選んだ。

 

 

滝さんの代わりに卓郎さんがソロを弾き、和彦さんもベースで滝さんパートを弾き、かみじょうさんはコーラスを始めた。メンバー・チーム一丸となって「BABEL」の世界観を出来る限りの方法で表現し続け、滝さんの帰ってくる場所を守りながら戦い続けた。

 滝さんは9mmのライブは休んでも、それ以外のできることは何でもやっている、そのようにしか思えないほど積極的に活動を続け、7月には9mmライブへの一時復帰を果たした。

 

2017年を思い返すと、9mmはこれからも9mmを続けるのだと、今年完成した「BABEL」という素晴らしいアルバムで、また各地のライブで、宣言し続けた1年だったように思えてならない。

Story of Gloryで「ちょっとだけほっとして吐いた弱音」という一節が出てくるが、

9mmが活動を続けることしか考えていないからこそ、今になって活休も考えたと話せるようになったのだろうなと思うたびにこの一節を思い出す。

 

7月に9mmに一時復帰した滝さんが、年末に再び帰ってくる。

新年を迎えたらすぐ、何やらお知らせがあるらしい。

 

ただ活動を続けてくれることが、どれだけありがたいことか。

「来年の悪巧みを考えている」と、すぐ先の未来の話が出てくることが、どれだけ嬉しいことか。

 

思い返せば本当に苦難の道程だった。それでも9mmは乗り越えた。

乗り越えた先に「BABEL」という最高傑作があった。

もう9mmは大丈夫だ。

 

 

 

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20171126/THE BAWDIES“EXPLOSION OF MUSIC MONSTERS”@新木場STUDIO COAST

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初めてBAWDIESのツアーを観に行きました。

対バンが9mm、そしてドレスコーズという、同年代に登場し活躍していて、お互いが仲の良いバンド同士だったことが決め手でした。更に、DJとして石毛さんとノブさんも出演、と。これはただの対バンでは終わらないだろうなという大いに期待しながら当日を迎える。

 

 

開場直後、まだ外で入場待機している間にもう中から音漏れが聴こえてくる。きっともうDJ石毛&ノブ始まってるんだな、と思いながら入場するも、普段サブステージとして使われる下手側のスペースには誰もいない。

周りを見渡すと、入り口の真上のスペースに石毛&ノブ!これは気付かなかった人もいたのではないだろうか…

おふたりで楽しそうに、しかしあまり目立たずDJに徹している。まさかこのまま開演まで淡々とDJを務めるつもりか?と思っていると、17:30頃にマイクを手にした石毛さんが喋り始める。

フロアに向かって、遠い!とか、ここでやると思わなかった、下手側のスペースだと思っていたというようなことを仰っていた。

バカになって踊ろうぜ!という石毛さんの一言からの「A.B.C.Disco」や、運動会シーズンだね、という一言からのYMO(何故運動会?)など、淡々とダンスミュージックを流していた前半から一転、アグレッシブな選曲に。

前半は大人しく卓の前にいたノブさんも、YMOの曲に合わせエアキーボード(腕や持っていたタオルをキーボードに見立てていた。タオルはその後フロアにぶん投げた)をしたり、DJブースを飛び出し、柵をよじ登り、普段関係者がよくいる2階のバルコニーへ移動して踊った後に今度は柵を引っ剥がして持ち上げたりするなどのやりたい放題っぷり。

かつてBAWDIESやtelephonesも参加していた“KINGS”のメンバーであるPILLS EMPIERの曲、という盟友ぞろいのライブならではの選曲もあり。

18時になると、石毛さん自ら「ドレスコーズ!with B!!」とあのハイトーンボイスで呼び込み、ライブが始まった。

 

 

 

the dresscodes with B

 

この時には自分の位置からはステージがあまり見えなかったため、メンバーの登場の瞬間や演奏中の様子などははっきりと捉えられなかった。

黒いスーツのBAWDIESと、揃えたようなデザインのスーツで登場した志磨さん。

ドレスコーズの曲はもちろん、BAWDIESの曲で、志磨さんが好きだという「LEMONADE」のカバー、更に毛皮のマリーズの曲や共作してSMAPに提供されたという曲も入れられたセトリ。

マリーズの曲もドレスコーズの曲も少しだけ知っていたし、あまり観る機会のないバンドのライブは敢えて予習をせずに観るのが好きなため今回もそのように臨んだのですが、今回ばかりは予習をしなかったことを悔やむこととなりました。

それは、BAWDIESの演奏があまりにもそれぞれの曲にぴったりで、まるで元からそういうアレンジだったかのように思えたから。それぞれ原曲を知っておいた上で聴き比べをしたかった。

 

久し振りに観た志磨さん、物腰柔らかな佇まいなのにオーラが半端ないのは相変わらずで、人だかりの中から時折姿が見えた時には目を離すことが出来なかった。

立ち位置は志磨さんがセンターということで、普段センターにいるROY君は立ち位置に慣れておらず、しかも「“ベーシスト”としてステージに立つのは初めて」なので自分のキャラが定まらず、何故か志磨さんを「兄貴」呼ばわりするという迷走ぶりを見せる。また、ベーシストとして初めてステージに…という発言を受け、じゃあTAXMANが歌ってる時はどうなんだとつっこまれる。

 

志磨さんとBAWDIESは2003年頃からの付き合いで、出会った当初はマリーズのことを怖がっていたらしい(便所サンダル履いている人がいたり、やたらセクシーな恰好をしている人がいたから、だそう)

また、ある日のライブで富士山さんがリハ中に自分のスネアを壊してしまった時に、まだ話したことのないMARCYが自分のスネアを貸したが、本番が終わった後にMARCYのスネアもぶっ壊れて帰ってきたという思い出話もありつつ、この時にMARCYが使用していたドラムセットは富士山さんのものであることが紹介された。

 

最後の曲「愛に気をつけてね」では曲に入る前に志磨さんが客を前方に集め、そのままダイブ。

ちらっと見えた志磨さんの足が靴下しか履いていない!どうやら靴を脱いでからダイブしたようで、今までそんな紳士的なダイブした人観たことがない…!と最後まで志磨さんの独特な佇まいが素敵でした。

 

曲が全部終わり、5人で挨拶をし、何やらひそひそと話をしていると思ったら

 

志磨「ドレスコーズ!」

BAWDIES「with!B!!」

 

と掛け声もポーズもバッチリと決め、退場。

最後まで素敵な5人でした。これが初ライブだったそうです。一度で終わるのは勿体ない。またどこかで是非に。

 

 

 

ドレスコーズが終わると再びDJ石毛&ノブが登場。自分がしばし中座してしまったため、あまり観ることはできなかった。転換中にもDJの時間があって、待ってる間も楽しい、というのはとても嬉しい!

ここでも石毛さんが次の出番である9mmを呼び込む。

 

 

 

9mm Parabellum Bullet

 

サクリファイス

ガラスの街のアリス

Cold Edge

ハートに火をつけて

Black Market Blues

バベルのこどもたち

Discommunication

ロング・グッドバイ

新しい光

太陽が欲しいだけ

 

今回のサポートギターはHERE・武田将幸さん

 

定番曲多めのセトリの中に、今年リリースのアルバム「BABEL」からバベルのこどもたちとロング・グッドバイがしっかり入っている。フェスやイベントでもよくセトリ入りしているが、曲調的に何というか、初見の人にとっては色々な意味で攻めたセトリに思われてしまうかもしれない。それでもセトリに入れ続けるのは普段9mmを聴かない人たちにも、今年BABELという素晴らしいアルバムが出来て、その曲を少しでも味わって欲しいという事なのかな、と勝手に思っています。

 

 

ここ最近1曲目にやることの多いサクリファイスで始まり、Cold Edgeではアウトロで和彦さんがいつの間にかベースを置いてハンドマイクでシャウト、というテンションの上がりよう。

 

MCで卓郎さんが突然「イエーイ新木場!!コード引っかかったー!!(ギターのシールドを直しながら)」とハイテンション気味に言いだしたり、

突然ROY君の真似を始めたり(声色も口調も激似過ぎて爆笑を巻き起こしていた。ちなみに袖でROY君が観ていたらしい)

やっぱり友達ばかりで普段よりテンション上がっていたのだろうか卓郎さん。

 

どこのMCで入ったか忘れてしまったのでまとめて書いてしまうと、先程のwith Bが羨ましかったのか、「おれたちBulletまでいかないとBがないから…」と言うものだからこっちはもの凄く期待をして聴いていたのに結局やってくれなかった。和彦さんと武田さんならやってくれそうな気もしたのですが…残念。

BAWDIESとの出会いは2008年?2009年ぐらい?でおれたちにとっては2009年の方がいいよね!正確な情報は求めてないからね!というワンダーな発言も飛び出す。

そんなBAWDIESとの思い出話として、いつぞや9mmとBAWDIESが一緒に新幹線に乗った際、乗車している間ずっと「英語禁止」というルールで会話を繰り広げたことがあるという。(ニルヴァーナを“涅槃”と言ったりしてたそう)

 

しかし中盤のMCだったか、 「みんな色々あると思うけど…」「何かのお祝いでまたこうやって集まれたらいいよね」というようなことを仰る卓郎さん。

一度自身のバンドの解散を経験した志磨さん、現在活動休止中であるtelephonesのメンバーである石毛さんとノブさん、そして滝さんがライブ活動休止中という状況の9mm…と、自分や同世代の仲間達を取り巻く状況から自然と出てきた言葉だったのではないだろうか。そしてあの場にいた人の多くが、彼らと同じく同世代のバンドであるチャットモンチーが先日突然告げたバンドの「完結」を思い浮かべたでしょう。自分もその一人ですが。

 

 

新しい光では2番に入る前に和彦さんがかみじょうさんと向かい合せになるような位置に移動、そのままいつものキメ、という光景。9mmの時、幸運にも下手後方にぽっかりとちょうどいいスペースができていて、ステージ全体を良い感じで見渡せたから見えた光景でした。間奏の手拍子のところで、ふとDJブースを見上げると、ノブさんも一緒に手拍子しているのが見えて、これまた嬉しい光景。

最後は何となく予想がついて、両手を広げて待っていたらその通りだった、太陽が欲しいだけ

ここ最近、カラッとした明るさのあるこの曲が最後に来ることも増え、Punishmentや生命のワルツのようにライブの最後を飾る曲として定着していくのかもしれない、と思うと嬉しい。今年の夏ごろからセトリにまた入るようになってきたけれど、昨年の秋頃から今年の前半までは確かほとんどセトリ入りしてなかったはずなので。

 

 

 

9mmが終わり、DJ石毛&ノブがもう一度登場。

BAWDIESと俺達と言えば、という前置きからかつてBAWDIESがカバーした、telephonesの「sick rocks」(BAWDIESではなくtelephonesの方)を流したり、同じくtelephonesの「Love&Disco」ではフロアも大盛り上がりで、ノブさんがDJブースを飛び出したかと思ったら、いつの間にかフロアの段差のあたりに乱入していて客を煽るというこの日最大のやりたい放題っぷりを見せる。

これでもかという程フロアを盛り上げ、BAWDIESを呼び込む。

 

 

 

THE BAWDIES

 

ドレスコーズの時の黒スーツから一転、全員白いスーツに着替えて登場。

演奏が始まったと思ったら、とても聞き覚えのあるメロディー…何と9mmの「ハートに火をつけて」のイントロ!!!!まさか歌ってくれるのか!?とワクワクしているとそのままアウトロに突入し、あっさり終了という。

そのままIT’S TOO LATEに突入。

個人的にBAWDIESのライブを観たのが久々で、普段のセトリを知らないため今回のセトリが普段とどう違っていたのか、とても気になるところ。YOU GOTTA DANCEやEMOTION POTION、ROCK ME BABYやTHE SEVEN SEASなど、知っている曲が多かったので。

密かに期待していた、BAWDIES曲の中でも特に好きなB.P.Bも聴けて本当に嬉しかった!のですが、この曲も実はよくやる曲なのか、それともレア曲寄りなのか、気になるところです。

 

ドレスコーズの際に富士山さんの話が暴露されたが、実はこの日、富士山さんが観に来ていて…という裏話もあった。まさか観にいらしていたとは。笑

また、ドレスコーズの時のMCの続きで、“ベーシスト”としての立ち位置に慣れていないROY君の話で

 

ROY「ねえカズ、ベース弾いてる時ってどんな気持ちなの?」

和彦「えっ??」

という会話が繰り広げられていたことも暴露される。和彦さんの反応、すごい想像できる…

 

今回のツアーの対バンについて、「モンスターを召喚しようとして間違えて悪魔を召喚してしまった」SiM、

同じく「間違えて破壊神を召喚してしまった」マキシマムザホルモン と紹介

そして今回は「完全に友達」という、何とも平和なツアーファイナル。

 

EMOTHIN POTIONではシャウトするように振られたMARCYの、渾身のシャウトが「モンスターの生贄となる妖精」呼ばわりされていたり、(その後のフロアからのシャウトは圧巻だった)、MCでも大いに笑ったが

「ずっと一緒にいる仲間とライブしていると、馴れ合いって言われるかもしれないけど、こんなに楽しいのなら馴れ合いも悪くないよね!!」というJIMのひと言には、今まさにその楽しい空間に居る身としては、共感しかなかった。

 

 

好きな曲はもちろん、知っている曲、知らなかった曲でも自然と体が動き、最後まであの底抜けの楽しさに巻き込まれてあっという間にBAWDIESのライブも終わってしまった。

 

本編が終わり、アンコールでメンバーが登場するとTAXMANが缶ビールをマイクの前で開け…そうで開けない、という焦らしを入れると、フロアから「早くしてー!笑」という声が飛ぶ。その瞬間他のメンバーがフロアに向かって、ナイス!と言わんばかりに親指を立てるという素晴らしい連携プレー!

そのまま美味しそうにビールを飲むTAXMAN、いきなりROY君にビールを吹きかけるという謎の行動。仕返し?当然怒ったROY君、「仕事中だぞ!とんでもねえ奴だな!!」と返す。

 

JIMが、今日使っているギターはしばらく前にライブから引退させていたが、久し振りに登場させたという話を嬉しそうに話すとTAXMANが「今日ライブ後に飲むビールは絶対美味しいだろうから、昨日珍しく休肝日を作った」という話で割り込んで、またROY君を怒らせる(ROY君が、TAXMANには厳しくてJIMには優しいのって通常営業なんでしょうか?)そんなやり取りの後で1曲演奏。

 

 

もうライブが終わろうとしているが、個人的に一番期待していたものが、まだない。今日は無いのか?と思っているとステージが暗くなり、それが、漸く始まった。

 

 

ざっくり要約すると、青髭番長(相手が中学生以上だと柔道やってそうだからと怖がる)に、甥っ子(8歳)が泣かされたという「平凡番長(志磨遼平)」と、弟(10歳)の背中にセミを入れられたという「東北連合 9mm Parabellum 番長 うねり髪の卓郎(菅原卓郎)」から11月26日21時に新木場に来い、という果たし状が届く。うっかり新木場に来てしまった青髭番長が平凡番長と東北連合、更には「北浦和連合」の石毛と「踊るノブ」まで参戦し、三者に“挟まれ”…からのHOT DOGという流れ。

番長、という言葉が似つかわしくないような(良い意味で)佇まいの志磨さん、そして革ジャンを着て睨みをきかせる卓郎さん。しかも卓郎さんは舎弟感満載でメンチ切ってる和彦さんを従えて登場!!という気合の入れよう。

(追記:ライブ後にBAWDIESインスタの投稿で判明したが、和彦さんの役名が「ジャックナイフ中村」だったそうで。ジャックナイフって…笑)

これ本当に最高でした…2日経った今でも忘れられない!志磨さんは自分の位置からはあまり見えなかったけれど(残念…)ただでさえ普段から眼光鋭い卓郎さんが見せたあの睨み。ROY君のビビりっぷり。笑

演出も、前録りのナレーションをROY君、志磨さん、卓郎さんの3人分用意しておくというこだわりようで本当に…語彙力が吹っ飛ぶくらい、最高!

(1年間ラジオで経験を積み演技力が上がった?卓郎さんがHOT DOG劇場に参加することを期待していたので、期待通り、いやそれ以上のものを観られてしまってもう最高です。ありがとうございます)

 

3人が交互にボーカルを取り、和彦さんもベースで参加したHOT DOGがそれ以上に楽しかったのは言うまでもなく。マラカスを手に踊っていたノブさんが、マラカスを高く投げ上げ、見事キャッチしているのも運よく観られました。

曲が終わるとHOT DOGに参加しなかった武田さんとかみじょうさんもステージへ。

武田さんはTシャツ着てたけれど、かみじょうさんはアウターまで着て、口を僅かにもぐもぐと動かしながら(ガムでも噛んでいたのでしょうか)の登場だったので、本当はステージに上がる予定ではなかったのでしょうか?

真顔に近い表情で端の方に立っていたかみじょうさんでしたが、もっと端にいた武田さんをステージの前方に行くよう促したり、わっしょい待ちの最中に近くにいたMARCYにちょっかいを出していたりという優しさを見せていた。

 

TAXMANのわっしょいの説明の際には後ろで楽しそうにわいわいとやっている(談笑したり勝手にビールを飲み始めたり)他メンバーがどうしても目についてしまって、それはフロアの多くの人がそうだったようで、TAXMANが途中で「俺を見て!」と言ってしまう場面も。

 

「わっしょい!!」で締め、出演者全員が並んで挨拶。そしてメンバーが退場…せず、ピックをばら撒きまくりながらいつまでもステージに居て、何だか名残惜しそうな様子にも見えた。メンバーも退場したくなかったくらい、楽しかったのだろうな。

 

 

17時の開場から21時半頃まで、どこから振り返ったらいいか分からないくらい、あまりにも楽しいことが盛りだくさん過ぎて。

ドレスコーズと9mmの出演が発表されてからチケットを取ったのですが、出演者全員が友達同士、という対バンで楽しくない訳がない!!と行くことを即決して正解だった。BAWDIESはこれまであまり観る機会が無かったことを後悔するくらい楽しかった。楽し過ぎて気の利いた言葉が出てこないのですが、本当に、観に行ってよかった!

20171103/9mm Parabellum Bullet TOUR 2017 “BABEL on Life Line”@Zepp Tokyo

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9mmの今年2本目のワンマンツアーのファイナル公演。

去年のツアー「太陽が欲しいだけ」でZepp Tokyo公演は予定通り開催されているので、“去年のツアーで中止になった場所のリベンジ公演”という括りからは外れている?とも思いましたが、当初ワンマンだったはずがゲストバンド(HEREでした)を迎えたツーマンライブでの開催になったので、ワンマン公演としてのリベンジという意味ではやはり東京も“リベンジ公演”なのでしょう。

 

 

京都~長野公演では各メンバーセレクトの曲を開演までのBGMとして流していましたが、この日は自分のいた場所からはあまり曲が聴き取れず。途中でHEREやGRAPEVINEの曲がうっすら聴こえてきたのは認識できたので、東京はメンバーセレクトとはまた違った選曲だったのでしょうか?

 

 

生命のワルツ

サクリファイス

Lost!!

モーニングベル

Black Market Blues

ロンリーボーイ

Kaleidoscope

眠り姫

火の鳥

バベルのこどもたち

ホワイトアウト

それから

スタンドバイミー

キャンドルの灯を

Discommunication

ロング・グッドバイ

火祭り

Cold Edge

太陽が欲しいだけ

 

Mad Pierrot

Punishment

 

 

先に書いてしまうと、この日のセトリはひとつ前の長野公演とほとんど同じ。3曲目が違うだけ、というこれまでの9mmの、ツアーでも公演ごとにセトリをガラッと変えるスタイルを考えるとあまりにも意外。

ライブの途中で、セトリがほとんど変わらないことに気付いてはいたのですが、箱の規模が全く違うので照明や演出は大幅に変わっていて、その違いを重点的に楽しむことができたので、このようなセトリのツアーも面白い。

 

 

SE「Digital Hardcore」が鳴り響くと、開演前にはステージに掲げられていなかったいつものバックドロップがゆっくりと下から上がってくる。大きな会場だと時折ある演出ですが、何度観てもとても好きな演出。

メンバーが登場し、位置に着くと流れてきたのは生命のワルツのCD音源のイントロ。そこに演奏が被さる。

生命のワルツで、為川さんが見せた一瞬の不敵な笑みが素敵で、ここから為川さんの表情に何度も目を奪われることとなる。

 サクリファイス、今年はイベントやフェスでもかなりの頻度でセトリ入りしていたのでしょっちゅうライブで聴いてきた曲ですが、リリースから僅か5ヶ月程しか経っていないのにライブを重ねる度になくてはならない切り込み隊長のようであり、どんどん存在感を増すような曲になっている。

 

長野とほとんど同じセトリ、という中で唯一変わっていた曲が3曲目のLost!!

 

 Kaleidoscopeではとても淡い色合いのまだら模様のような照明が、バックドロップの白い双頭の鷲をうっすらと染める。控えめな色合いが万華鏡を連想させつつ流麗なメロディーを際立たせるかのよう。

 

眠り姫、「TOUR OF BABEL」での照明とは違い、間奏で複数の円のような模様がステージに映る。あの時と同じような規模の会場だから同じ演出でやることもできただろうに、こういう細かいところを変えてくるのが素晴らしい。

 

火の鳥 ではイントロのタッピングの同期とツーバス連打の部分で、ステージ後方に設置された小さな黒い箱から炎が噴き出る演出が!その後も何度も、メロディーに合わせて炎が上がる。

これまで9mmはホールや武道館公演でも照明や音玉、金テープ以外の特別な演出はほとんどやらなかっただけに、この派手な特効には本当に予想外。

この日自分は上手の前の方にいたのですが、それでも炎からはかなり離れた距離だったのにとにかく熱い。フロアにいた自分がこれだけ熱気を感じる程だったので、ただでさえ熱いであろう照明を浴びながら動き、更に近くで炎の熱気を感じていたメンバー(特に炎と横並びに当たるような位置にいらしたかみじょうさん)はさぞ大変だっただろう…などとつい考えてしまった。

 

ホワイトアウトではやはり白を基調とした照明。序盤は普通にライトを当てているだけでしたが2回目のサビでステージ天井の左右にあるミラーボールが使用されさながら雪が舞うような照明に。ミラーボール2個使いをすることでZeppの大きな空間が一気に雪景色になる。曲とぴったりでただただ美しかった。思わず上を見上げてしばらく見惚れてしまうほどに。

 

それから で、独特の重苦しさと僅かな希望で空間を圧倒した後。

スタンドバイミーに入る前のMCで卓郎さんが「曲を聴いて浮かんだ景色をそのまま歌詞にした」「空に虹がかかるようなイメージ」と一連の説明を入れる。

そのMC中、穏やかな表情を浮かべ、時には目を閉じて話に聞き入っていた為川さん。

為川さんは演奏中も感慨深げな柔らかい表情を浮かべていて、曲の雰囲気に浸りながら弾いているようだったのがまた良かった。

 

 

火祭り では再びステージに火が噴き上がる。ここも間違いなく今回の大きなハイライトだと思うが、長野公演で卓郎さんが歌った「激しい火に煽られるちひろかみじょう」をまさかの完全再現!!という。長野でのアレはこの為の伏線だったのか…?この日は「ちひろかみじょう」ではなく、「激しい火に煽られるZepp Tokyo」と歌われていましたが。

 

本編ラスト、太陽が欲しいだけ に入る前に卓郎さんが客の上げた手をそのままで、と上げさせて歌詞通り「さあ両手を広げて」状態から曲に入る。去年の豊洲を境に、しばらくライブで披露されることのなかったこの曲が、今夏から再びセトリに入るようになった。正直、滝さんが復帰するまで聴けない曲だと思っていたところもあり、また聴けるようになって嬉しい限り。

 

本編が終わると、フロアに挨拶する卓郎さん、和彦さん。そして、徐にステージ真ん中に出てきて両手を組んで下におろすポーズ(元ネタをど忘れしてしまった)をした後に去っていくかみじょうさん。

 

アンコール1曲目のMad Pierrot、この日カメラマンを務めていらした橋本塁さんが、ドラムセットのところで写真を撮りまくっていた。上から覗き込むようなアングルや、かみじょうさんの後ろからも撮っていたが、途中でかみじょうさんが後ろを向き、塁さんのカメラに顔を向けていて、あれ絶対何かやってるな、普通にカメラ目線なのか、おどけた顔でもしていたのか…というのが気になってしまって。(ざっと各媒体のレポを見た限りではそれらしき写真は上がってなかったと思う)

いつか、どこかであの時の写真を観られる時が来るのを楽しみにしていますよ。

そして為川さんの華麗なソロ…で、卓郎さんと和彦さんが為川さんの近くに寄ってきて正座しながら、時にはもっと近づいて覗き込みながら、ソロを弾く為川さんを見守るという(こんな場面今年どこかで観たことあるぞ…という感じの)微笑ましい場面があり、流石の為川さんもこれには笑いをこらえきれず、ソロをミスってしまう。これは卓郎さんたちが悪いです。笑

しかし、9mmのライブに出るようになってまだ半年ほどの為川さんがもうすっかり馴染んでいて、卓郎さんたちとの和やかな様子が繰り広げられていてここは本当に良い場面を見ました…

 

最後は本当に今年はライブでたくさん聴けた、イントロの爆速カッティングを卓郎さんが弾くのもすっかりお馴染みになったPunishmentで。ステージに並んだフロント3人によるトリプルユニゾンが決まる瞬間の無敵感。

もう語彙力を失いひたすら「かっこいい!!」としか言えない。

 

アンコールも終わり、かみじょうさんは何かコミカルな動きを入れながら退場、和彦さんはいつも通りピックを投げまくったり長々とフロアに挨拶、また卓郎さんも下手に行ったり、上手に来たりしながら長々とフロアに挨拶。

卓郎さんは時折、ライブ中にみんなのこと見てるよ、と仰る時がありますが、確かにライブ中はフロアのあちこちを見ているし、この最後の挨拶の時にはまるで自分の視界に入る一人ひとりとしっかりと目を合わせるようにこちらを見てくる。(だから自意識過剰、という訳ではなく本当に卓郎さんの視界に入るとこちらが動揺してしまうくらいバッチリと目が合う事もある)

卓郎さんがお辞儀で締め、メンバー全員が退場するが再びアンコールを求める手拍子が発生し、鳴り止まない。

だいぶ長く続いたような気もする。まだ観ていたい、もっと見せてくれ、そんな空気に包まれていた。私だってそうだ。結局ダブルアンコールは行われなかったけれども。

 

 

 

どこで入ってきたか完全に忘れてしまったMCを以下まとめて。

 

序盤のMCの際、フロアからメンバーの名前が呼ばれ、為川さんだけ裕也“さん”と呼ばれていたことに触れ

裕也だけ「為川さん」なんだろう?じゃあ東京のみんなも「東京さん」だよね、と相変わらずのワンダー発言を序盤からぶっこむ。

 

また、MCで迷子になりかけたか何かの拍子に客から「頑張れ!」と声を掛けられ、それに「みんな知ってるだろ、おれがMCで頑張らないこと」と返したり、“MC”の意味は各自で調べて下さいとも言っていた気がする。

 

中盤?為川さんの所属バンド・folcaの11月22日に開催されるワンマンの話になり、

日付を11月2日…?と言ってしまう卓郎さん、「さっき裕也から、いい夫婦の日(11/22)で覚えて下さいって言われてたんだった」だそうです。

MC中に正しい日付を卓郎さんに教えた和彦さん?はその後卓郎さんから「ありがとう!」と言われるもよく聞こえなかったらしく聞き返すような仕草。

和彦さん、ライブ中に卓郎さんから声を掛けられても聞き取れずにえっ、何?というような仕草で聞き返すことが多いような気がする。ただ単に卓郎さんが話している間は気が抜けているのか、演奏中の轟音で聞こえづらくなっているのか?

 

 

序盤に書いたこと、前回の長野公演のレポとも重複しますが、今回のツアーの大きな見どころとして、為川さんのギタリストとしての魅力を思い知るという。

ライブですし、難易度の高い曲ばかりのセトリなのでもちろん細かいミスはあったりもするのですが、それをもう次の音で軌道修正してしまうほどの技術の高さ。

そして東京公演で、目の前で為川さんを見ていて素晴らしいと思ったのが、表情の豊かさ。

暴れる、という程ではないものの軽やかな動きでステージを動き回る様子。

ふと表情を変えたり、それ以外は基本的に笑顔で弾いていたり、客の顔を見ながらニッコリと満面の笑みを浮かべていたり。

弾き方も9mmの曲に合っていて、いつまでも観ていたいと思えるようなギタリストだった。

表情豊かでよく動くギタリストを観ているのはとても楽しい。

 

 

今回の本編のセトリはWOLLの最初の曲「生命のワルツ」で始まり、WOLLの最後の曲「太陽が欲しいだけ」で終わった。その中でツアータイトル通り、WOLLの曲とBABELの曲が混ざって並んでいた。

メンバー全員が作詞・作曲を手掛けたことで正に「多彩」だったWOLL曲と、全曲を卓郎さん&滝さんで手掛け徹頭徹尾「統一」されたBABEL曲という、それぞれのアルバムがまるで正反対のようにも思えるかもしれないが、実際混ざってみると何ら違和感がなく、それどころか何だか不思議な繫がりを感じるようだと、聴いていて思った。

 

特に中盤、それから とスタンドバイミーの2曲を続けて聴いていた時にふと勝手に考えてしまったことがあって

制作された時系列的にはスタンドバイミーの方が先だけれど、続けて聴くと綺麗に繫がっている気がして。

それから では「やけに大きな嵐が近づいて」いる中で、苦しみや戸惑いも見せつつ最後に「わたしはあなたと乗り越えたいのさ」と歌い切り、

続くスタンドバイミーで「嵐が終わったあと」の情景の中で「ただ近くに」「未来は分からないから」と歌い上げる。

「私」と「あなた」、それが例えば“9mm”と“滝さん”なのか、“9mm”と“リスナー”なのか、当てはまるものは色々あると思うが、今この状況を「乗り越えたい」から、「未来は分からない」けれど「ただ近くに」いること。

これが卓郎さんの仰っていた、“どうやって9mmを続けていくか”の答えのように聴こえた。

                                                                                                                         

 

別のタイミングでのMCで、9mmの身近なバンドであり、つい最近、状況は違えどのメンバーをそれぞれ欠くことになってしまったアルカラとHEREの件にも触れ、(たいすけさんにメールを送ったら「ありがとうニャ!続けることを選んだバンド同士これからもよろしくニャ!」という文章が返ってきたという話だった)

そのアルカラのサポートも為川さんが担っているということで、9mmとアルカラとHEREがとても近いところでバンドを回しているという話もあり。

そして9mmがメジャーデビューから今年で10年経ち、こんな変なバンドが10年も活動するなんてみんな思ってなかったでしょ?などとおどけながらもこうして続けてこれて嬉しい、と話していた卓郎さん。

 

終盤では「9mmはもう来年の悪巧みを考えている」とまで仰っていて、その言葉で来年も9mmが当たり前のように活動を続け、何か面白いことをやってくれるんだ!と、もう嬉しくてたまらない気持ちに。

9mmとして活動を続けてくれることがどれだけありがたいことかを痛いほど実感した1年間だったので、卓郎さんによるこの一連の言葉が、どれだけ嬉しいことで、どれだけ安心したか。どんな面白いことをやってくれるのか、大いに期待を込めて、来年を楽しみにしています。