最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20171126/THE BAWDIES“EXPLOSION OF MUSIC MONSTERS”@新木場STUDIO COAST

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初めてBAWDIESのツアーを観に行きました。

対バンが9mm、そしてドレスコーズという、同年代に登場し活躍していて、お互いが仲の良いバンド同士だったことが決め手でした。更に、DJとして石毛さんとノブさんも出演、と。これはただの対バンでは終わらないだろうなという大いに期待しながら当日を迎える。

 

 

開場直後、まだ外で入場待機している間にもう中から音漏れが聴こえてくる。きっともうDJ石毛&ノブ始まってるんだな、と思いながら入場するも、普段サブステージとして使われる下手側のスペースには誰もいない。

周りを見渡すと、入り口の真上のスペースに石毛&ノブ!これは気付かなかった人もいたのではないだろうか…

おふたりで楽しそうに、しかしあまり目立たずDJに徹している。まさかこのまま開演まで淡々とDJを務めるつもりか?と思っていると、17:30頃にマイクを手にした石毛さんが喋り始める。

フロアに向かって、遠い!とか、ここでやると思わなかった、下手側のスペースだと思っていたというようなことを仰っていた。

バカになって踊ろうぜ!という石毛さんの一言からの「A.B.C.Disco」や、運動会シーズンだね、という一言からのYMO(何故運動会?)など、淡々とダンスミュージックを流していた前半から一転、アグレッシブな選曲に。

前半は大人しく卓の前にいたノブさんも、YMOの曲に合わせエアキーボード(腕や持っていたタオルをキーボードに見立てていた。タオルはその後フロアにぶん投げた)をしたり、DJブースを飛び出し、柵をよじ登り、普段関係者がよくいる2階のバルコニーへ移動して踊った後に今度は柵を引っ剥がして持ち上げたりするなどのやりたい放題っぷり。

かつてBAWDIESやtelephonesも参加していた“KINGS”のメンバーであるPILLS EMPIERの曲、という盟友ぞろいのライブならではの選曲もあり。

18時になると、石毛さん自ら「ドレスコーズ!with B!!」とあのハイトーンボイスで呼び込み、ライブが始まった。

 

 

 

the dresscodes with B

 

この時には自分の位置からはステージがあまり見えなかったため、メンバーの登場の瞬間や演奏中の様子などははっきりと捉えられなかった。

黒いスーツのBAWDIESと、揃えたようなデザインのスーツで登場した志磨さん。

ドレスコーズの曲はもちろん、BAWDIESの曲で、志磨さんが好きだという「LEMONADE」のカバー、更に毛皮のマリーズの曲や共作してSMAPに提供されたという曲も入れられたセトリ。

マリーズの曲もドレスコーズの曲も少しだけ知っていたし、あまり観る機会のないバンドのライブは敢えて予習をせずに観るのが好きなため今回もそのように臨んだのですが、今回ばかりは予習をしなかったことを悔やむこととなりました。

それは、BAWDIESの演奏があまりにもそれぞれの曲にぴったりで、まるで元からそういうアレンジだったかのように思えたから。それぞれ原曲を知っておいた上で聴き比べをしたかった。

 

久し振りに観た志磨さん、物腰柔らかな佇まいなのにオーラが半端ないのは相変わらずで、人だかりの中から時折姿が見えた時には目を離すことが出来なかった。

立ち位置は志磨さんがセンターということで、普段センターにいるROY君は立ち位置に慣れておらず、しかも「“ベーシスト”としてステージに立つのは初めて」なので自分のキャラが定まらず、何故か志磨さんを「兄貴」呼ばわりするという迷走ぶりを見せる。また、ベーシストとして初めてステージに…という発言を受け、じゃあTAXMANが歌ってる時はどうなんだとつっこまれる。

 

志磨さんとBAWDIESは2003年頃からの付き合いで、出会った当初はマリーズのことを怖がっていたらしい(便所サンダル履いている人がいたり、やたらセクシーな恰好をしている人がいたから、だそう)

また、ある日のライブで富士山さんがリハ中に自分のスネアを壊してしまった時に、まだ話したことのないMARCYが自分のスネアを貸したが、本番が終わった後にMARCYのスネアもぶっ壊れて帰ってきたという思い出話もありつつ、この時にMARCYが使用していたドラムセットは富士山さんのものであることが紹介された。

 

最後の曲「愛に気をつけてね」では曲に入る前に志磨さんが客を前方に集め、そのままダイブ。

ちらっと見えた志磨さんの足が靴下しか履いていない!どうやら靴を脱いでからダイブしたようで、今までそんな紳士的なダイブした人観たことがない…!と最後まで志磨さんの独特な佇まいが素敵でした。

 

曲が全部終わり、5人で挨拶をし、何やらひそひそと話をしていると思ったら

 

志磨「ドレスコーズ!」

BAWDIES「with!B!!」

 

と掛け声もポーズもバッチリと決め、退場。

最後まで素敵な5人でした。これが初ライブだったそうです。一度で終わるのは勿体ない。またどこかで是非に。

 

 

 

ドレスコーズが終わると再びDJ石毛&ノブが登場。自分がしばし中座してしまったため、あまり観ることはできなかった。転換中にもDJの時間があって、待ってる間も楽しい、というのはとても嬉しい!

ここでも石毛さんが次の出番である9mmを呼び込む。

 

 

 

9mm Parabellum Bullet

 

サクリファイス

ガラスの街のアリス

Cold Edge

ハートに火をつけて

Black Market Blues

バベルのこどもたち

Discommunication

ロング・グッドバイ

新しい光

太陽が欲しいだけ

 

今回のサポートギターはHERE・武田将幸さん

 

定番曲多めのセトリの中に、今年リリースのアルバム「BABEL」からバベルのこどもたちとロング・グッドバイがしっかり入っている。フェスやイベントでもよくセトリ入りしているが、曲調的に何というか、初見の人にとっては色々な意味で攻めたセトリに思われてしまうかもしれない。それでもセトリに入れ続けるのは普段9mmを聴かない人たちにも、今年BABELという素晴らしいアルバムが出来て、その曲を少しでも味わって欲しいという事なのかな、と勝手に思っています。

 

 

ここ最近1曲目にやることの多いサクリファイスで始まり、Cold Edgeではアウトロで和彦さんがいつの間にかベースを置いてハンドマイクでシャウト、というテンションの上がりよう。

 

MCで卓郎さんが突然「イエーイ新木場!!コード引っかかったー!!(ギターのシールドを直しながら)」とハイテンション気味に言いだしたり、

突然ROY君の真似を始めたり(声色も口調も激似過ぎて爆笑を巻き起こしていた。ちなみに袖でROY君が観ていたらしい)

やっぱり友達ばかりで普段よりテンション上がっていたのだろうか卓郎さん。

 

どこのMCで入ったか忘れてしまったのでまとめて書いてしまうと、先程のwith Bが羨ましかったのか、「おれたちBulletまでいかないとBがないから…」と言うものだからこっちはもの凄く期待をして聴いていたのに結局やってくれなかった。和彦さんと武田さんならやってくれそうな気もしたのですが…残念。

BAWDIESとの出会いは2008年?2009年ぐらい?でおれたちにとっては2009年の方がいいよね!正確な情報は求めてないからね!というワンダーな発言も飛び出す。

そんなBAWDIESとの思い出話として、いつぞや9mmとBAWDIESが一緒に新幹線に乗った際、乗車している間ずっと「英語禁止」というルールで会話を繰り広げたことがあるという。(ニルヴァーナを“涅槃”と言ったりしてたそう)

 

しかし中盤のMCだったか、 「みんな色々あると思うけど…」「何かのお祝いでまたこうやって集まれたらいいよね」というようなことを仰る卓郎さん。

一度自身のバンドの解散を経験した志磨さん、現在活動休止中であるtelephonesのメンバーである石毛さんとノブさん、そして滝さんがライブ活動休止中という状況の9mm…と、自分や同世代の仲間達を取り巻く状況から自然と出てきた言葉だったのではないだろうか。そしてあの場にいた人の多くが、彼らと同じく同世代のバンドであるチャットモンチーが先日突然告げたバンドの「完結」を思い浮かべたでしょう。自分もその一人ですが。

 

 

新しい光では2番に入る前に和彦さんがかみじょうさんと向かい合せになるような位置に移動、そのままいつものキメ、という光景。9mmの時、幸運にも下手後方にぽっかりとちょうどいいスペースができていて、ステージ全体を良い感じで見渡せたから見えた光景でした。間奏の手拍子のところで、ふとDJブースを見上げると、ノブさんも一緒に手拍子しているのが見えて、これまた嬉しい光景。

最後は何となく予想がついて、両手を広げて待っていたらその通りだった、太陽が欲しいだけ

ここ最近、カラッとした明るさのあるこの曲が最後に来ることも増え、Punishmentや生命のワルツのようにライブの最後を飾る曲として定着していくのかもしれない、と思うと嬉しい。今年の夏ごろからセトリにまた入るようになってきたけれど、昨年の秋頃から今年の前半までは確かほとんどセトリ入りしてなかったはずなので。

 

 

 

9mmが終わり、DJ石毛&ノブがもう一度登場。

BAWDIESと俺達と言えば、という前置きからかつてBAWDIESがカバーした、telephonesの「sick rocks」(BAWDIESではなくtelephonesの方)を流したり、同じくtelephonesの「Love&Disco」ではフロアも大盛り上がりで、ノブさんがDJブースを飛び出したかと思ったら、いつの間にかフロアの段差のあたりに乱入していて客を煽るというこの日最大のやりたい放題っぷりを見せる。

これでもかという程フロアを盛り上げ、BAWDIESを呼び込む。

 

 

 

THE BAWDIES

 

ドレスコーズの時の黒スーツから一転、全員白いスーツに着替えて登場。

演奏が始まったと思ったら、とても聞き覚えのあるメロディー…何と9mmの「ハートに火をつけて」のイントロ!!!!まさか歌ってくれるのか!?とワクワクしているとそのままアウトロに突入し、あっさり終了という。

そのままIT’S TOO LATEに突入。

個人的にBAWDIESのライブを観たのが久々で、普段のセトリを知らないため今回のセトリが普段とどう違っていたのか、とても気になるところ。YOU GOTTA DANCEやEMOTION POTION、ROCK ME BABYやTHE SEVEN SEASなど、知っている曲が多かったので。

密かに期待していた、BAWDIES曲の中でも特に好きなB.P.Bも聴けて本当に嬉しかった!のですが、この曲も実はよくやる曲なのか、それともレア曲寄りなのか、気になるところです。

 

ドレスコーズの際に富士山さんの話が暴露されたが、実はこの日、富士山さんが観に来ていて…という裏話もあった。まさか観にいらしていたとは。笑

また、ドレスコーズの時のMCの続きで、“ベーシスト”としての立ち位置に慣れていないROY君の話で

 

ROY「ねえカズ、ベース弾いてる時ってどんな気持ちなの?」

和彦「えっ??」

という会話が繰り広げられていたことも暴露される。和彦さんの反応、すごい想像できる…

 

今回のツアーの対バンについて、「モンスターを召喚しようとして間違えて悪魔を召喚してしまった」SiM、

同じく「間違えて破壊神を召喚してしまった」マキシマムザホルモン と紹介

そして今回は「完全に友達」という、何とも平和なツアーファイナル。

 

EMOTHIN POTIONではシャウトするように振られたMARCYの、渾身のシャウトが「モンスターの生贄となる妖精」呼ばわりされていたり、(その後のフロアからのシャウトは圧巻だった)、MCでも大いに笑ったが

「ずっと一緒にいる仲間とライブしていると、馴れ合いって言われるかもしれないけど、こんなに楽しいのなら馴れ合いも悪くないよね!!」というJIMのひと言には、今まさにその楽しい空間に居る身としては、共感しかなかった。

 

 

好きな曲はもちろん、知っている曲、知らなかった曲でも自然と体が動き、最後まであの底抜けの楽しさに巻き込まれてあっという間にBAWDIESのライブも終わってしまった。

 

本編が終わり、アンコールでメンバーが登場するとTAXMANが缶ビールをマイクの前で開け…そうで開けない、という焦らしを入れると、フロアから「早くしてー!笑」という声が飛ぶ。その瞬間他のメンバーがフロアに向かって、ナイス!と言わんばかりに親指を立てるという素晴らしい連携プレー!

そのまま美味しそうにビールを飲むTAXMAN、いきなりROY君にビールを吹きかけるという謎の行動。仕返し?当然怒ったROY君、「仕事中だぞ!とんでもねえ奴だな!!」と返す。

 

JIMが、今日使っているギターはしばらく前にライブから引退させていたが、久し振りに登場させたという話を嬉しそうに話すとTAXMANが「今日ライブ後に飲むビールは絶対美味しいだろうから、昨日珍しく休肝日を作った」という話で割り込んで、またROY君を怒らせる(ROY君が、TAXMANには厳しくてJIMには優しいのって通常営業なんでしょうか?)そんなやり取りの後で1曲演奏。

 

 

もうライブが終わろうとしているが、個人的に一番期待していたものが、まだない。今日は無いのか?と思っているとステージが暗くなり、それが、漸く始まった。

 

 

ざっくり要約すると、青髭番長(相手が中学生以上だと柔道やってそうだからと怖がる)に、甥っ子(8歳)が泣かされたという「平凡番長(志磨遼平)」と、弟(10歳)の背中にセミを入れられたという「東北連合 9mm Parabellum 番長 うねり髪の卓郎(菅原卓郎)」から11月26日21時に新木場に来い、という果たし状が届く。うっかり新木場に来てしまった青髭番長が平凡番長と東北連合、更には「北浦和連合」の石毛と「踊るノブ」まで参戦し、三者に“挟まれ”…からのHOT DOGという流れ。

番長、という言葉が似つかわしくないような(良い意味で)佇まいの志磨さん、そして革ジャンを着て睨みをきかせる卓郎さん。しかも卓郎さんは舎弟感満載でメンチ切ってる和彦さんを従えて登場!!という気合の入れよう。

(追記:ライブ後にBAWDIESインスタの投稿で判明したが、和彦さんの役名が「ジャックナイフ中村」だったそうで。ジャックナイフって…笑)

これ本当に最高でした…2日経った今でも忘れられない!志磨さんは自分の位置からはあまり見えなかったけれど(残念…)ただでさえ普段から眼光鋭い卓郎さんが見せたあの睨み。ROY君のビビりっぷり。笑

演出も、前録りのナレーションをROY君、志磨さん、卓郎さんの3人分用意しておくというこだわりようで本当に…語彙力が吹っ飛ぶくらい、最高!

(1年間ラジオで経験を積み演技力が上がった?卓郎さんがHOT DOG劇場に参加することを期待していたので、期待通り、いやそれ以上のものを観られてしまってもう最高です。ありがとうございます)

 

3人が交互にボーカルを取り、和彦さんもベースで参加したHOT DOGがそれ以上に楽しかったのは言うまでもなく。マラカスを手に踊っていたノブさんが、マラカスを高く投げ上げ、見事キャッチしているのも運よく観られました。

曲が終わるとHOT DOGに参加しなかった武田さんとかみじょうさんもステージへ。

武田さんはTシャツ着てたけれど、かみじょうさんはアウターまで着て、口を僅かにもぐもぐと動かしながら(ガムでも噛んでいたのでしょうか)の登場だったので、本当はステージに上がる予定ではなかったのでしょうか?

真顔に近い表情で端の方に立っていたかみじょうさんでしたが、もっと端にいた武田さんをステージの前方に行くよう促したり、わっしょい待ちの最中に近くにいたMARCYにちょっかいを出していたりという優しさを見せていた。

 

TAXMANのわっしょいの説明の際には後ろで楽しそうにわいわいとやっている(談笑したり勝手にビールを飲み始めたり)他メンバーがどうしても目についてしまって、それはフロアの多くの人がそうだったようで、TAXMANが途中で「俺を見て!」と言ってしまう場面も。

 

「わっしょい!!」で締め、出演者全員が並んで挨拶。そしてメンバーが退場…せず、ピックをばら撒きまくりながらいつまでもステージに居て、何だか名残惜しそうな様子にも見えた。メンバーも退場したくなかったくらい、楽しかったのだろうな。

 

 

17時の開場から21時半頃まで、どこから振り返ったらいいか分からないくらい、あまりにも楽しいことが盛りだくさん過ぎて。

ドレスコーズと9mmの出演が発表されてからチケットを取ったのですが、出演者全員が友達同士、という対バンで楽しくない訳がない!!と行くことを即決して正解だった。BAWDIESはこれまであまり観る機会が無かったことを後悔するくらい楽しかった。楽し過ぎて気の利いた言葉が出てこないのですが、本当に、観に行ってよかった!