最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20181205/AC 9mm~グローブ座ワンマン~@東京グローブ座(メモ)

                  f:id:sleet_fog:20181209002354j:plain

卓郎さん・和彦さん・かみじょうさんの3人が9mmの曲をアコースティック編成で演奏するバンド、AC 9mmのワンマン。会場は普段はジャニーズの人の芝居で使うことが多いらしい東京グローブ座、という普段なかなか行く機会のない場所。

キャパ700余りということでコンパクトな劇場ながら3階席まであり天井がとても高い。ステージには丸い球体が特徴的なドラムセット、その左隣には3人が使わないはずのキーボード。それからステージにはいくつか、ドラムセットに合わせたような様々な大きさの白い球体が置かれていた。

 

SEもなく3人が順番に登場。卓郎さんは白シャツに黒カーディガンを羽織り第一ボタンは開けたような感じで黒ネクタイを締め、黒デニムと足元はブーツ。和彦さんは黒シャツを肘あたりまで捲って両手首にリストバンド。そして何と髪を結んで登場!前髪を片側だけ垂らすような感じで後ろですっきりとまとめていた。髪を結んだ状態でステージに出るの、もしかしてこれが初めて?かみじょうさんは半袖の白シャツを第一ボタンまできっちり留め、黒ネクタイに黒ベスト。3人とも野音や辰野とは衣装が変わっていた。

 

 

黒い森の旅人

ハートに火をつけて

Battle March

Discommunication

次の駅まで

カモメ

Answer And Answer

Snow Plants

氷の世界

キャンドルの灯を

サクリファイス

どうにもとまらない

星に願いを

The Revolutionary

荒地

 

Black Market Blues

太陽が欲しいだけ

 

 

演奏が始まる直前にドラムセットの球体が光ると客席からは何故か歓声ではなく笑いが漏れる。実は自分のいる位置からはドラムの球体部分がモニターにすっぽりと隠れて全く見えなかったけれど、どんな色に変わったのかはシンバルやタムに映る光で確認できた。

最初は卓郎さんの弾き語りでもお馴染みの黒い森の旅人、それから和彦さんが手がけた、ダウナーなアレンジのハートに火をつけて。最初の2曲は随分とシンプルな照明だった気がするが、Battle Marchではサビでステージ背後の壁に薄っすらと太陽のようにも見える模様を映していた。Battle Marchの間奏は卓郎さんがアコギの音を思いっきり歪ませて掻き鳴らすという、アコースティックらしからぬ音色を出す。こういうアレンジがACの面白いところ。黒い森の旅人とハー火の間だったか、かみじょうさんがひと息吐くように横を向いていた一瞬の表情が綺麗だった。和彦さんは卓郎さんやかみじょうさんの方を向いていることが多かったけれど、たまに横目で客席に視線を向けていて、その時の表情に思わず見惚れてしまった。

 

客席の様子を見、こちらに向かって緊張してる?というような感じで声を掛ける卓郎さん。普段よりかしこまった会場で、普段のライブより大人しい様子だったからか。

ここでゲストを呼び込む。出てきたのはFLOWER FLOWERの村山☆潤さん。

ACとして初の4人編成での最初の曲はDiscommunication、リードギターの役割を担うようにキーボードが入る。

ここでACでは初めて演奏する曲、次の駅まで。9mmのアコースティックでは演奏されていたが、それよりも削ぎ落とされたアレンジにピアノの音が入ることで何というか、曲は淡々と進んでゆくのだけれどとてもシリアスな感じ。

9mmでは聴けないような、卓郎さんの一際柔らかな歌声から始まったカモメ、サビ以外ではステージの両脇に雲が流れてゆくような模様を映していた。

 

個人的にACの中でも一番といっていいくらい好きなアレンジのAnswer And Answer、サビに入る直前のドラムの三連符が大好きなところ。ピアノが入り、3人の時よりもとても華やかな演奏になっていた。

そして次の曲、出だしを聴いて絶句。9mmのライブでも聴いたことのなかったSnow PlantsをACで先に聴けてしまうとは!曲調的にももちろんアコースティックのアレンジはよく合っていた。その次、「皆が冷えた所で…」と続けられた氷の世界では村潤さんがこの日唯一鍵盤ハーモニカを吹いていた。キリッとした演奏が冬の緊張感を表現しているようだった。

 

キャンドルの灯を では和彦さんがそれまで使っていたベースからフルアコの(フレットレスのように見えた)ベースに持ち替える。こちらの方が太くてあたたかみのある音のような気がした。

この曲をACでやるのはかなり意外だと咄嗟に思った、サクリファイスは原曲のメロディーが結構直球なこともあり、また勇ましい歌詞をテンポを落として卓郎さんが朗々と歌い上げていたのが意外にも合っていた。

どうにもとまらない は割とアッパーなアレンジでピアノも元気よく、村潤さんもよく頭を振って演奏するという熱演ぶり。2番の歌詞を「グローブ座で誰かに声かけて」「グローブ座で誰かとひと踊り」というように変えていた。「グローブ座で誰かとキs…」ここで噛んでしまったのか狙ったのか、つっかえてしまう卓郎さん。

 

“9mm史上最遅”のアレンジ、でお馴染みの星に願いを この日一番といってもいいほど照明が美しかったのがこの曲で、まるでステージ上が満天の星空のようだった。ライブが始まる前から、小さな電球がたくさん付いている照明が消灯した状態でステージ上からいくつもぶら下がっているのが見えていたから、あれは何だろうかと不思議に思っていたが、星に願いを の前にそれが降りてきて、ぱっと光った時の息を呑むような美しさ。もっとよく見るとステージ前方、真ん中、壁側と同じ照明が3列あって、それが奥行を出していて本当の星空みたいだった。和彦さんはこの曲でもフルアコのベースに持ち替えていた。

 

ここで村潤さんが退場、最後にまた3人での演奏。村潤さんがいなくなった後にかみじょうさんがキーボードを触って卓郎さんに「勝手に触っちゃダメ」と怒られていた。また、次の曲に備えてハーモニカの用意を始めた卓郎さんを見て和彦さんが思い出したように「さきがけ」の話を突然し始める。早めにハーモニカを準備することを「さきがけ」と呼ぶ、というかつての発言を思い出したらしい。(6月のAC辰野ワンマンにて出た話だと思われる)

ハーモニカが登場ときたら次はこの曲、元気なアレンジの方のThe Revolutionary。本編最後は荒地で、ここの曲のアウトロでも卓郎さんが音を歪ませアコースティックらしからぬ音色でソロを弾き切る。

曲が終わると卓郎さんと和彦さんはステージの上手や下手の端まで来てお手振りや挨拶。かみじょうさんは少しだけ前に出てきて、2人より早く退場。裏に消える直前に客席に向かって軽く微笑みながら手を振るのが見えた。卓郎さんはステージ上の球体をサッカーボールのように蹴るような仕草も見せていた。

 

アンコールで再び登場した3人。卓郎さんと和彦さんは本編と同じ服装で、かみじょうさんだけグッズのTシャツ(黒)に着替えて出てきた。再び村潤さんも登場。

Black Market Blues、間奏から最後のサビに差し掛かるところで卓郎さんがかみじょうさんと顔を見合わせ、曲の続きに入…ろうとしてなかなか入らない、とフェイントをかけるようにしていて思わず笑ってしまった。

そして最後、太陽が欲しいだけ で再び満天の星空のような照明が点く。最後まで美しい光景だった。

 

 

終わってみればこの場所は本当にACのライブにぴったりな場所だった。普段とは違った、少しだけきっちりした服装の3人、村潤さんが入ったことでよりエレガントなアレンジになった曲たち。会場に合わせるように、めかしこんだ客も多くて、普段とは違った雰囲気をとても楽しむことができた。あの星空のような照明も、劇場だからこそできた演出なのだろうし。

そういえばドラムセットと合わせたかのような球体がステージにいくつも置かれていたが、あれも照明で曲によって点いたり消えたりしていた。MCで言及されていたが、ドラムセットに合わせて用意されたものではなかったらしい。

 

ACといえば、卓郎さんしか喋らない普段の9mmとは違い和彦さんとかみじょうさんも喋るスタイルで、それもACの楽しみのひとつ。卓郎さんはひとりで喋ると(かみじょうさんもそんなことを言っていたけれど)普段通りのワンダーで、だけどかみじょうさんが話し始めた途端に容赦なくつっこみ、かみじょうさんは思いっきりふざけ、和彦さんはそんなふたりに冷静に突っ込むというMCにおける最後の砦的な役割。

でも和彦さんも割と思いつきで話すようになっていてちょっとワンダーがうつったのだろうか?前述の「さきがけ」の話もそうだし、ライブの序盤でかみじょうさんの左に並ぶ村潤さんを見て突然思いついたから、と前置きして「純と蛍…」と言い出したりしていた。「純」が村潤さんで、「蛍」がかみじょうさんのドラムセット(丸くて光る様子がホタルみたいだから) 卓郎さんが「じゃあおれが五郎さんじゃん」と乗っかる。

 

とにかくMCの量が多いので以下覚えてるだけメモ

卓郎さんは3人のMCについて「地雷原」と表現していて、村潤さんを巻き込まないようにしたり、村潤ごめんね、なんて言っていたのでその辺りの自覚はあったのか、という。笑

 

村潤さんはエレカシのライブにも出ていて、今年のアラバキで卓郎さんは同じステージに出演したり、夏のオハラブレイクにて卓郎さんがFLOWER FLOWERに飛び入りした時に一緒になったそう。エレカシの宮本さんに卓郎さんが「いい声の好青年」と称されたそう。そういえば卓郎さんと村潤さんは同い年とのこと。

あと村潤さんについてかみじょうさんが「三浦大地に似ている」と言っていて、卓郎さんは「ジュリアン・カサブランカサスに似ている、ストロークスの」と言っていたが客の反応が今ひとつだったようで「あとでぐぐってください」

 

卓郎さんがかみじょうさんに対して「“遭遇”してから17年…」と言い始めたり、その流れで自らを「危険物処理班」と呼び始める。ちなみに「危険物」とはかみじょうさんのこと。

 

ACにとって9mmは“親”であり、ACは「親の七光り」でバンドやっていると例える。「親はおれなんだけど」とも。「片親…片親って笑」と続ける。もう片方の親はここにはいない滝さんのことだと言いたかったのだろうか。

 

Answer And AnswerとSnow Plantsを続けて演奏したのはCDの曲順通りに演奏してみるという狙いからだそう。CDだとSnow Plantsの後はインストナンバー、Mr.Brainbusterが続くがこれを入れることは全く考えていなかったそう。そんな話をしながら卓郎さんがリフを少し弾いてまだ覚えてる!なんてやっていた後に続いてかみじょうさんも少し叩いてみせる。しかしそれを聞いた卓郎さんは「ゲストが分からないことやっちゃダメだよ」

 

今回のグッズの話になり、トートバッグについて卓郎さんがこういうバッグは好き、と言いつつこちらも薄々思っていたけれど「お稽古バッグみたい」と言い始め、野菜も入ります、ギターは入りません、ウクレレは入る、ギタレレは入るけどこれくらい(手で表しながら)はみ出る…とひとしきり話した後に和彦さんに「この流れいる?」というようなことを聞いていて和彦さんが少し苦笑していたり。

同じくグッズの話。ノートを出しましたというくだりで「9mmではノート出さないからね」という卓郎さん。

いけるかーー!!と言いながらノートを掲げる仕草をし、「いけるかー!!」「バリバリバリ…って笑」と続ける。いけるかに合わせてノートを破く様子のようでした。だから9mmではノート出さないということか?

 

かみじょうさんの光るドラムセットについて。手元にスイッチがあり、自分でスイッチを操作して光らせているとのこと。曰く「人件費削減のために」自分でやっていると…笑 卓郎さんか和彦さんが(雇うとしたら)いくらで雇うの?的な感じのつっこみを入れていた。どこかのMC中に派手に点滅させたり、序盤のある曲…Battle Marchあたりだったか、実は曲調に合わせて赤くするつもりだったが緊張もあり違う色にしてしまっていたという話も出てきた。バスドラやタム?などは別々に光らせることもできるようで、別のMCの時に(多分)タムひとつだけ残して他を先に光らせ、最後にタムを素手でえいやっという感じで叩くと同時に光らせて歓声を浴びていた。

かみじょうさんは細かいネタがとても多くて拾いきれなくて…話すテンションの低さを指摘されて自らの「やる気スイッチ」をポチってみたり、あんまり喋ってないねと卓郎さんに突っ込まれれば「(ハンドマイクなので)毎回マイクを持ってオンにしなきゃならないから大変」とのこと。

 

卓郎さんがどこかのくだりで困ってしまいかみじょうさんの方を向くとかみじょうさんに「困った時にこっち向くなよ笑」と言われていた。そこからいつも困っている、と話し、例えばコーヒーにミルクを入れるか入れないか、そういうことを積み重ねて壁を乗り越えていく…と続ける。それを聞いていた和彦さんがひと言「ちっちぇえな」

 

何かのタイミングでむせてしまった卓郎さん、こう見えてむせやすいんだと言い出すと和彦さんが「むせやすいとか見た目で分からないでしょ」と返す。それに対して卓郎さんは「見た目的にむせにくそうじゃない?」と更に返すワンダーな会話。

 

MC中に会場を見渡した卓郎さんが「3階が凄く3階ですねー」と突然話始め「2階は2階で…フロアは凄くフロアですね」と続け、聞いているこちらも頭の上に「?」状態だったが卓郎さんが更に続けて、よくMCで何を言ってるんだと周りから言われているらしく、9mmのライブ映像を反省も兼ねて見返したりすると卓郎さんは自分のMCを聞いて「こいつ何言ってるんだろう…」と思うんだそうです。

 

9mmのライブでお馴染み、卓郎さんの「いけるかーー!!!」を流れは失念してしまったがかみじょうさんも言っていて。「いけるかー!」「いけるか?」「いけちゃうのか?」「いけちゃうまんか?」と段々意味不明になっていた。次に和彦さんに振ると和彦さんも控えめに「いけるか?」と。これは貴重なものが聴けた…!

 

そんな感じでMC中はとにかくワンダーな無法地帯で、終始笑いっ放しだったけれど、ひとつ、卓郎さんの言っていたことで、表現や単語は違うかもしれないし、どのくだりだったのかもうろ覚えだけれど、「おれはみんなを愛しているから」みんなに助けてもらおうと…という感じのひと言があった。そんな言葉を投げかけてもらえることに、とても嬉しい気持ちになった。

 

 

普段の9mmとまた違った3人の演奏と全員で喋るMCを交互に聴けるのが本当に楽しいACのライブ。

とりあえず今後のライブ予定は出ていないし、来年は9mmが15周年で忙しくなるからどれだけ活動するのかは予想が出来ないけれど、きっと近いうちにまた観られると信じて楽しみにしている。音源は難しいかもしれないけれど、ライブ音源で良いから出してくれないだろうか…すっかりACのアレンジが大好きで、ライブから数日しか経っていないのに既にAC不足がどうにもとまらないので。