9mmの15周年企画、6番勝負の3戦目。名古屋ElectricLadyLand(以下ELL)にて対戦相手にアルカラを迎えての開催。
9mmとアルカラ、ここ数年でかなり親密な間柄になり、何度も対バンをしていて、滝さんがアルカラのサポートギタリストとして参加したことがあったり、為川さんが両者のサポートギタリストを務めているという縁もある。その他の話はライブ中に太佑さんや卓郎さんが話していたので後述。9mmとアルカラ、同じライブに出ているのは何度も観たことはあるが、2マンとなると今までのライブは観に行けなかったため、個人的には今回も遂に観られた、という念願の2マン。
大変失礼ながらこの機会まで存在も知らなかった(関東の人間というのもあり)ELL、キャパ600ぐらいの箱にしては天井が高く開放感があり、キャパより広く感じるほど。入場時には既に前の方は埋まっていて前に進めなかったので下手後方の柵より少し下がったところに落ち着く。人の頭は被るもののステージの真ん中以外は見える、という感じ。フロアが3段になっていたこととステージが結構高かったことを終演後に知る。そのお陰で後方からでもかなり観やすかった。
開場中はよく分からなかったが、定刻を少し過ぎたあたりで暗転しステージが薄っすらと照らされると、ステージの天井から壁の上半分にはおびただしい数のライトがびっしりと並んでいて圧巻だった。
アルカラ
アブノーマルが足りない
半径30cmの中を知らない
サイケデリンジャー2
サースティサースティサースティガール
水曜日のマネキンは笑う
誘惑メヌエット
チクショー(ゲストボーカル:菅原卓郎)
いびつな愛
踊れやフリーダ
授業参観
曲に入る前に太佑さんが、9mm15周年おめでとう!!みんなのハートに火をつけます!という感じの宣言から始まったのはハートに火をつけて のイントロ!原曲より半音ほどキーを下げて演奏していた。そのままアブノーマルが足りない へ。この日はハー火のイントロがあったためか、間奏後のベースソロがないパターン。
続けて半径30cmの中を知らない、この時点で下上さんは勢いよく回ってみせたりと派手な動きが多い。「空っぽの手を握って突き出したんだ」の部分ではいつものように拳を突き出していた。
サイケデリンジャー2でも暖色系の照明がステージを情熱的に染め上げる。丁度聴きたいと思っていた曲だったので嬉しかった…動き回る下上さんを観ながら聴き浸る。
ここで太佑さんと為川さんが向かい合ってギターを弾き始める。セッションをしながら、「こういうギターの弾き方をする人はエロい」などと言って為川さんをいじり倒す太佑さん。その言葉に笑ってしまっているように見えた為川さん。
「滝くん…いや滝善充公と作った曲です」と太佑さんが言って始まったサースティサースティサースティガール ここまでの3曲は赤や暖色系の照明だったがここでは青と紫を基調とし一気にステージの空気が変わる。サビでは色とりどりの照明が彩っていた。間奏が始まると前に飛び出してきてソロを弾く為川さんは男前なビブラートを響かせ、弾ききるとギターを高く掲げる。下手では、為川さんと対になるように下上さんも前の方に出てきていた。
続く水曜日のマネキンは笑う でも青と紫に染まるステージ。Aメロあたりで疋田さんがスティックを自分の目の前で一旦クロスしてから叩くような動作をしているのが見えた。青と紫の照明がサビでは赤へ。個人的な感覚だけれど、最初の3曲がアルカラの勢いと熱さが出ている曲だったのに対し、サースティ~マネキンの流れはクールかつシャープな一面が目立つような曲だったので、その対比の美しさに完全に撃ち抜かれていた。
続いて披露されたのは新曲、誘惑メヌエット。間奏では太佑さんがギターをバイオリンに持ち替え弾き始める。間奏が終わるとそのまま歌い出し、歌い終わってアウトロに入ると再び、すかさずバイオリンを弾き始める。この日初めてこの曲を聴いたが、太佑さんがインストではない曲でここまでバイオリンを弾くのは新しいスタイルなのではないか…。曲が終わると太佑さんがいい笑顔を浮かべ、突然手にしたバイオリンの弓でこちらを指した。あまりにも真っ直ぐに視線と弓の先がこちらを指していたのでびっくりすると同時に、その時の太佑さんのいい表情がはっきりと見えたことが嬉しかった。
そのまま太佑さんがバイオリンで独奏を始めたのはハートに火をつけて のサビのメロディー。この部分だけ抜き出してバイオリンで演奏すると元々のメロディーの美しさがよく分かる。
このあたりでMCが入る。為川さんの紹介はここだったか。為川裕也がお世話になってます、と神戸の仲間として太佑さんが言う。卓郎さんに顔が似ているというお決まりの紹介から「こいつのことはにんべん(人偏)付けて“偽川裕也”って呼んでください~」「一体何の“為”になっているのか…」(と言った後に謝っていた)とやたら上手いいじり方も飛び出す。
そんな話をしつつ、太佑さんが「卓郎来るかな…?」と言いながら下手の袖を窺うと僅かな間を空けてステージに卓郎さんが登場!先ほどのMCを受け卓郎さんが為川さんと肩を組むと、為川さんがより卓郎さんに似せるかのようにキリッとした表情を作る。その後太佑さんに促され、下上さんと太佑さんの間に卓郎さんが立つと「卓郎と裕也に挟まれたら俺も卓郎になるんちゃうか」と言ってふたりに似せるかのようなキリッとした表情を作る太佑さん。すると卓郎さんが「おれがあっちに行けば下上さんも(卓郎さんの顔に)なるの?」と言い出し、最初は卓郎さんが何を言っているのかピンと来ない様子だった太佑さんが「オセロの複数取りのやつか」と意味を把握し、それは後でやろうかと言いつつ話を先へ進める。この流れを疋田さんはニコニコしながら聴いていて、ステージ上では普段からあまり表情を変えない下上さんもいきなり自分が巻き込まれたからか、僅かに笑みが浮かんでいた。(うろ覚えだけれども、このブロックで「菅原卓郎検定」という単語も太佑さんから出てきた。)
そんなやり取りが続いた後に太佑さんが話し始める。まとめると、今から俺が卓郎にお前が為川裕也だな!?って言うから、そしたら卓郎に違うよ!チクショーチクショー!と言ってもらってチクショーに入る、という曲への前フリのネタバラシ。1回練習しますという流れになり、太佑さんが「お前が為川裕也だな!?」と言うと卓郎さんが「違うよ~!!」に続き「チックショーチックショー!!」と予想外の何ともゆるい言い方をしてみせる。卓郎くんの言い方で曲がどうなるかが変わりますと太佑さんが言っていよいよ本番、太佑さんが卓郎さんを指差して「お前が為川裕也だな!?」と言うと卓郎さんが
「違うよ~~!!」
「チックショーチックショー!!」
という訳でそのノリで演奏がスタート、何と表現したらいいか…原曲よりだいぶスローで跳ねたリズムのかなり愉快なチクショー、という感じ。途中で原曲アレンジに戻るのかと思いきやそのまま最後まで。今までもアルカラのライブに卓郎さんが出たことがあり、今回も…と期待していたが、期待以上のものが観られた!チクショーにこんなアレンジを入れるとは…!
チクショーが終わると卓郎さんが退場し次の曲はいびつな愛、定番曲ではないから久し振りに聴けた気がする。先ほどまでとは変わりシリアスな空気になるが、太佑さんは歌詞を飛ばしてしまったり、次の部分で本来の歌詞ではなくさっき飛ばした歌詞を歌ってしまう。曰く、チクショーに引っ張られてる!と。それでもその後はしっかりと決める。この時だったか、太佑さんと為川さんが横にぴったりと並んで完全にシンクロした動きでギターのネックを上げていた。
続く曲のイントロを聴いた瞬間、咄嗟に叫び声を上げてしまった…踊れやフリーダ!いびつな愛からのフリーダ、アルバム「ドラマ」の曲順通りの流れ。こちらも久々に聴いた曲であり、密かに聴きたいと思っていた曲!サビでは「暗闇の中で踊れ名古屋!!」と太佑さんが歌う。間奏のドラムだけになる部分では疋田さんがスポットライトと歓声を浴びる。演奏が終わると太佑さん、為川さん、下上さんがステージ中央に集まって横並びになりそれぞれのネックを同じ角度で上げる、といった感じの体勢でしばらく止まる。
この日最後の曲もかなり久々の曲だったので曲名を言われた瞬間、驚愕。授業参観…!!この曲がどういう曲か説明してから(ほぼ失念してしまったが授業参観に行くお母さんの、歌詞そのままの説明だった気がする)演奏に入る。歌詞はコミカルの極みであるが、改めてライブで聴くと演奏、特にベースラインがとにかくかっこいい。カズーを吹く太佑さんも久し振りに観られて嬉しい。間奏では太佑さんが「裕也が昔十三ファンダンゴに9mmを観に行ったら、案の定めっちゃ見られたそうです」という謎の暴露を入れる。終盤では太佑さんがいつの間にか外していたタンバリンを付けて、忘れてた!というような表情を浮かべていた。
最後の最後にもう一度、ハートに火をつけて のアウトロを演奏しライブを締める。ライブの初めにイントロ、中盤ではバイオリン独奏でサビ、最後にはアウトロ。ハー火で始まりハー火で終わるライブだった。
いつものように喋りまくっていた太佑さん、途中で時間押してることを気にするほど。最初の ハートに火をつける、という発言から中盤、ハートに火をつけようと思ってたけど火を付けんでももう付いてた、と言っていたり。
また、6番勝負のグッズのラババンについての話が突然始まり、付けてる人?と聞くとあまり手が上がらなかったらしくそれしか最先端はいないのか!と言う太佑さん。ラババンのデザインを大正製薬みたいなマーク(双頭の鷲のこと)、「6番勝負」の文字が突然の明朝体、これが最先端!「Battle of the Bands Tour…略してBoB(ボブ)ツアー…」といじり倒す。しかし6を逆さにすると9になる、そして9+6は?と客に話しかけ、「15…」という声が上がるとその意味に気付いたフロアから納得、驚き、といった反応。15周年!!太佑さんの頭の回転の速さが炸裂していた場面。太佑さんはこの日何度も「9mm15周年おめでとう!」と言っていて、コール&レスポンスとして太佑さんの「15周年」からのみんなで「おめでとう!!」という流れもあった。
そして9mmとの出会いについて。2014年のネコフェスに出てもらったのが最初か、その後のネコフェスがキツネツキ結成のきっかけになった話にも触れる。だからみんなの方が先に9mmを知っている、言わば幼少期から。俺たちは幼少期のことは知らんねん!と。俺たちは思春期ぐらいからの付き合い、でも思春期に知り合った人ってやんちゃなことするでしょと、(少し表現は違うかもしれないが)やはり太佑さんらしい巧い例え方で両者の関係について話していた。
終演後にはアルカラの物販コーナーにいつものようにこの日のセトリが置かれていたが、チクショーが入っていない。あれは予定外だったのか…と考えると咄嗟にあのアレンジでフルコーラス演奏した下上さん、疋田さん、為川さんの技量に驚きが止まらない。
↑
「突然の明朝体」
「大正製薬みたいなマーク」
「BoBツアー」
アルカラのライブを聴きながら、このライブハウスの音響の良さに驚いていた。今回観に行くにあたりELL について調べていた時に、音がいいという評判を見つけていたので期待はしていたがそれ以上だった。後方で観ていたから場所が良かったのかもしれないが、全ての音がかなりクリアに、普段場合によっては聴き取りづらいコーラスまではっきりと聴こえてきた。
30分ほどの転換を挟み9mmへ。6番勝負の横浜と浜松は為川さんがサポートだったが、この日は為川さんがアルカラのSSGHとして出演したこともあり、6番勝負では武田さんが初のサポート入り。
Discommunication
キャリーオン
ハートに火をつけて
名もなきヒーロー
Bone To Love You
黒い森の旅人
太陽が欲しいだけ
Black Market Blues
新しい光
(teenage)Disaster
Lovecall from The World
1曲目のDiscommunicationから和彦さんがオフマイクで「かかってこい!!」と煽るのが見えた。ステージ前方まで来て前方の客を煽るように見たり、口元に力を込めたり舌をぺろっと出してみせたり、目元が隠れていたものの口元で色々な表情を見せる和彦さん。アウトロの最後の音ではいきなり片足をモニターにかなりの力を込めて乗せていた。最初のAメロではかみじょうさんが(今まで気付かなかっただけかもしれないが)いつもと違う、素早く2連続で叩くようなシンバルの入れ方をしていて咄嗟にかみじょうさんの方を見る、という瞬間もあった。
Answer And Answer、イントロの入りは卓郎さん、それと同じメロディーを弾く最後のサビ前は滝さん、とそれぞれ担当を分けていたように見えた。間奏の、ドラムが入る一拍で下手の和彦さんと上手の武田さんが離れていながらも息ぴったりに頭を振っていた。
キャリーオン、「声を聞かせておくれ」と卓郎さんが歌えばそれに応えるようにフロアから大歓声。最後のサビ前に卓郎さんがマイクを通さずに1、2、3、とカウントしている口の動きが僅かに見えた。
先ほどの太佑さんの言葉を受け、もう一回ハートに火をつけようかという感じの一言からハートに火をつけて、間奏の卓郎さん、和彦さん、武田さんが左にスライドするところでは卓郎さんが珍しく後ろを向き、かみじょうさんと向かい合うようにしてスライドしていた。
ここで少しMCを。9月に出るアルバムは、まだ発売日を発表してないけどみんなの予想通りの日です、と。そのアルバムの…と少し期待してしまうような口調だったが紹介されたのは「4月にリリースした、みんなの新生活を応援する…」と名もなきヒーローだったためか、フロアの反応が今ひとつだったようで「あんまり好きじゃない…?」とちょっと心配そうな卓郎さん。
そういえば、卓郎さんが話している間に和彦さんが手にしたピックを咥えていた。上手に目を移すと、滝さんが左腕を揉みほぐしていて、この時から滝さんのことが少し心配になってしまった。
紹介通り、次の曲は名もなきヒーロー。今までのライブではCDのジャケットやMVに合わせるかのように淡いピンクの照明が多かったが、この日は青と紫がステージを照らしていた。ピンクの時には曲の持つあたたかさや優しさが際立つように感じられたが、寒色系の照明だとメロディーのシャープさ、ヒーロー的なかっこよさの方が際立つようで、色によってこんなにも印象が変わるんだなと、その変化を楽しみながら聴いていた。
4月の荒吐以降毎回演奏されているBone To Love Youがこの日もセトリ入り。 間奏では卓郎さんがギターで控えめなノイズを出していた。
次は黒い森の旅人、滝さんが静かにギターで細かい音を奏で、イントロのメロディーを独奏してから曲に入る。自分が下手側にいたことと、会場の音響がいいお陰で普段よりベースの音がくっきりと聴こえてきたので美しいベースラインに意識を集中して聴いていた。
このあたりでアルカラと9mmの話を始める卓郎さん。太佑さんが9mmとの出会いを2014年のネコフェスと言っていたけれど、本当は2012年くらいに対バンしたのが最初です、と。人の記憶は曖昧ですからと卓郎さんは言っていた。(それで言うとこの対バン、正しくは2013年に開催されたライブ。HEREのレコ発としてO-WESTにて3マンを開催。)
「9mmのサポートに裕也が入ってくれて…そのあと裕也がアルカラのサポートにも入って。最近はかみじょう君がHEREのサポートドラム、疋田さんがHEREのサポートに入ってて笑」と、ここ最近の9mm、アルカラ、HEREの状況を話す。「HEREのサポートドラムに…」と紹介された時にかみじょうさんが片手を頭に当てて恐縮するような、照れるような仕草を見せていた。それにしても、こうして改めて聞くと本当に特殊な状況にいる3組だなと実感する。また、アルカラとは遂にレーベルメイト(アルカラは次にリリースするアルバムから9mmと同じレーベル・TRIADに移籍する)になったという話も。
「これからもおれたちは進み続けるために支え合っていきます」という卓郎さんの言葉は両者をずっと観続けてきた、これからも観続ける身としては堪らなく嬉しい言葉だった。
次の曲は太陽が欲しいだけ、この日は雨模様だったため、この曲が余計に嬉しかったというのもある。最後のサビ前に和彦さんが弦をスライドしていた音が、曲に更なる勢いを付けていたのがとてもかっこよかった。
Black Market Bluesでは卓郎さんが「ElectricLadyLandに辿り着いたなら!!」と歌詞を変えて歌っていた。2番の入り、和彦さんがベースを高く掲げボディを叩く姿が自分の位置からよく見えた。その時のすらっとした立ち姿は何度観ても見惚れてしまう。ここまで、人の頭の隙間から時々、上手の滝さんの様子を窺っていたが明らかに動きが小さい。
次の曲、新しい光…演奏前にお互いのタイミングを計るかのように卓郎さんと滝さんが顔を見合わせ、静かにメロディーを奏で始める…。卓郎さんと滝さんの優しいギターの音に和彦さん、かみじょうさん、武田さんの音が重なってゆく。この部分の徐々に音が重なり広がってゆく部分は何度聴いてもその美しさに息を呑む。静かな間奏を経て、最後のサビの前の部分はツーバス連打が続き普段もとても迫力があるが、この日の迫力は桁違いで、ELLの音響の良さがここにも良い影響をもたらしているようだった。
最後の曲、けたたましいタッピングが響き渡る。ロング・グッドバイ、最後まで滝さんはあまり動いていなかったように見えたがタッピングは見事に決まる。「僕には君がいれば何もいらなかった」の後には和彦さんが後方にいるこちらにもはっきりと聴こえる程の声量でシャウト。
5人が一度退場するとアンコールの手拍子が巻き起こる。滝さんは大丈夫だろうか、このままアンコールまでやるのか…と思いながら待っていると、少し長めの間を空けて再びステージに登場してくる。
「9mmに出会えてよかったね!」とこちらに向かって話しかける卓郎さん。その言葉はフロアに向かっていたが、それ以外にアルカラにも、そして自分たちにも向けた言葉かもしれないと、後になってから考えた。アルカラにも出会えてよかったね、今日が初めてという人もいただろうから、とも。
そこから、卓郎さんの「4人で演奏します」という言葉に驚いていると演奏が始まる。最初の曲は(teenage)Disaster、アウトロでは滝さんはカオス音を叩きつけるのではなく原曲通りにメロディーを弾いていた。
そしてもう1曲、Lovecall from The World!!滝さんはコーラスパート以外も、卓郎さんと一緒に最初から全部歌っていた。アウトロでは和彦さんの姿が見えなくなる。マイクに向かってしゃがんでシャウトしていたのだろうか。曲が終わり、まだ音が残っているうちに滝さんは少し申し訳なさそうな様子で早々と退場してしまった。音が消えると武田さんが退場、和彦さんはピックやペットボトルをフロアに投げてから挨拶をし、退場。卓郎さんはいつものようにフロアのあちこちを見渡し、片腕を高く挙げると太佑さんの真似をするかのように手首を直角に曲げながら挨拶。最後にかみじょうさんがスティックを何本かフロアに投げ入れ、退場。
そういえば中盤では卓郎さんがELLの思い出を話していた。最後に出演したのは12年くらい前で、スパルタローカルズとの対バンだったらしい。その後卓郎さんのソロアルバムとツアーにスパルタの伊東さんが参加した、その縁もあったと。
この日、滝さんは終始あまり動かなかった。こちらから観ていた限りではお立ち台に上る様子も無かった。最近はギターを弾く割合もかなり増えていたが、この日は武田さんにお任せして弾くのを休んでいた部分も少なからずあった気がする。アンコールでの退場の仕方から見ても、やはり不調が出てしまっていたのだろうか。腕の症状と付き合っていくということは、こういう日も出てしまうということか。
それでも動きを控えめにして確実に弾いていくような演奏だった。最後まで弾き切った。Disasterも短い曲だしLovecall~に至っては49秒しかないので、これならできると急遽やる曲を変えた可能性もあるかもしれない。(これまでの6番勝負のアンコールはいずれもTalking MachineとPunishmentだった)可能な範囲でアンコールに応え最後まで演奏してくれて、ありがとうございます。今はただ、次回の6番勝負では元気に弾き切れることを祈っています。
9mmとアルカラ、太佑さんの言う通り出会ってからの年月はそんなに長くない。恐らく6番勝負の対戦相手の中では一番付き合いが短い。しかしその短い期間の中で本当に色々な事があった。数年前のフェスで滝さんがアルカラのステージでバイオリンを弾いたこともあるし、最近ではサースティサースティサースティガールを共作し、その曲を作った頃のアルカラのワンマンで滝さんがサポートギタリストとして参加(ちなみにそのライブには卓郎さんも乱入していた)。太佑さんも「劇団ナイアガラったり…」とさらっと言っていたが、一度だけCDを出した滝さんのプロジェクト“劇団ナイアガラ”のボーカルは太佑さんだった。新木場STUDIO COASTで開催されたアルカラの15周年記念イベントには9mmが呼ばれた。去年のJAPAN JAMではアルカラのステージに卓郎さんが、9mmのステージに太佑さんが出演した。他にも対バンの機会は書き切れない程たくさんあった。
そして両者とも困難を乗り越えてきた、時にはお互い支え合いながら。
もちろん今までだって分かっていたが、付き合いの長さは全く関係ないし、今の親密な関係は決して馴れ合いではなく、卓郎さんの言う通りこれからも支え合って前に進んでいく間柄であることを目の当たりにした。
だから、「勝負」というよりも「共闘」という言葉の方が似合っていた、と思ったライブだった。