最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20190909/9mm Parabellum Bullet“6番勝負”@昭和女子大学 人見記念講堂

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 9mmの15周年企画、6番勝負の5戦目。対戦相手に凛として時雨を迎え、三軒茶屋にある昭和女子大学人見記念講堂にて。6番勝負の中で最大のキャパであり唯一の座席指定の会場での開催となった。

“9mmの日”である9月9日、結成15周年の9mmの日が2019年9月9日、西暦では10年振りに「9」が3つ並ぶというかなりめでたい日付。9mmの2年振りのアルバム「DEEP BLUE」の発売日でもある。卓郎さんが以前出演したラジオ番組で、6番勝負は対戦相手に日付と場所を決めてもらったという感じの話をしていたので、 開催日を“9mmの日”、そして会場を2017年に“TOUR OF BABEL Ⅱ”として9mmがワンマンライブを行い、当時ライブ活動休止中だった滝さんが一時復帰を果たした人見記念講堂を指定したのは時雨側であると考えられる。これだけでも時雨の9mmに対する思い入れが伝わってくる。 

 

同世代である9mmと時雨、どこから話せばいいか分からないくらいこれまでに色々な事があった。何度も対バンしているし、滝さんと中野さんが同じプロジェクトに参加したり(ZiNGやKAT-TUN番組収録のバックバンドなど…)9mmが出演するイベントにDJピエール中野も出ていたり、またメンバー個人の付き合いも深いので挙げていくとキリがない。2マンライブに限ると2008年に“ニッポニア・ニッポン”というツアーを廻り、2014年には時雨の企画“トキニ雨”でも2マンを開催している。

 

 6番勝負、もちろん行ける公演は全てとても楽しみにしていたし、毎回その期待を遥かに上回るほどの楽しさだった。その中でも、正直に言うと時雨との対バンが一番楽しみだった。2019年のライブの中で最も楽しみにしていた。“ニッポニア・ニッポン”も“トキニ雨”も観に行けなかったため、遂に9mmと時雨の2マンを初めて観られる、というライブだったから。また、大変個人的な話になるが三軒茶屋のある世田谷区は自分が生まれてから現在まで長年住み続けている愛すべき地元であり、結成15周年の“9mmの日”というめでたい日に地元・世田谷区でライブが開催されることが本当に嬉しかった。1月1日にその報せを見た瞬間嬉しさで膝から崩れ落ちたほどに。  

 

 

“9mmの日”という特別な日だからか、会場のロビーではモバイル会員向けのスタンプラリー的な企画や、9月9日にリリースされたアルバム「DEEP BLUE」のジャケット柄の記念撮影スポットなどが用意されていた。

入場し自分の座席に着く。この日の座席は上手側。ステージには既に特大サイズの15周年仕様バックドロップが掲げられていて、広いステージの真ん中にぎゅっと集まるようにして時雨3人の機材が用意されていた。

定刻を5分ほど過ぎたところで暗転、3人が登場。  

 

凛として時雨

 

 Telecastic fake show

nakano kill you

DIE meets HARD

High Energy Vacuum

Enigmatic Feeling

DISCO FLIGHT 

laser beamer

感覚UFO

傍観

 

自分の席からはTKは見える、中野さんはTKに隠れてほぼ見えない、345も人の頭であまり見えない、という感じ。ギターを取るために後ろを向いたTKの背中が見えた瞬間に驚きと嬉しさで小さく声を上げてしまった。

TKの背中には、大きな双頭の鷲が描かれていた。 

 

Telecastic fake showからライブが始まる。スティックを振り回し煽る中野さん。アウトロが終わってもTKのギターが唸り続ける。続いてはnakano kill you、手数の多いドラムに合わせるかのごとく照明がストロボのように派手に点滅し、その後も緑・赤・青と目まぐるしく変わり続ける。この、たった2曲の間に普段より多めにシャウトを入れたり間奏で早弾きしまくるTK 、最初から凄まじい振り切れっぷり。

TK がギターを掻き鳴らしダウナーなリズムで始まるDIE meets HARDでは淡い黄緑と“ハチミツ色”の甘ったるい照明がステージに広がる。三軒茶屋の近所にある下北沢に縁のある曲(下北沢が舞台のドラマの主題歌であり、歌詞の内容が下北沢の街を思い起こさせるようだったり、「下北」を連呼しているように聞こえる箇所がある)であるため、世田谷区で凛として時雨がライブをするというただでさえ貴重な機会にこの曲が選ばれたことで、世田谷区でこの曲を聴きたいという悲願が叶った瞬間だった。 

 

ここでTK が「凛として時雨です、よろしくお願いします」と穏やかな口調でひと言、そして再びギターを掻き鳴らす。何の曲だ…?と考えながら観ていると繰り出される高速カッティング、High Energy Vacuum…!!緑と紫の照明が不穏な空気を演出する。曲のテンションに合わせるように片足を上げながらぐいぐいと演奏する345。定番曲やシングル曲が2曲続いた後にアルバム曲であるHigh Energy Vacuum、ワンマンでもないのにこの曲を入れてきたことに驚かされる。

Enigmatic Feelingはシングル曲ではあるが、演奏される機会はあまり多くないため嬉しい選曲。中野さんとTKがタイミングを合わせるようにしながら演奏を始める様子が見えた。一番の盛り上がりだったDISCO FLIGHT、やはりTKが普段の時雨ライブと比べてもかなりテンション高めに見えたのは気のせいか…?シャウトの威力がすごい。最後のサビの「揺れる紫色のDISCO FLIGHT」と歌う345が本当に紫色に包まれる。 

 

曲が終わると中野さんが立ち上がり「凛として時雨です!9mmとは同世代の仲間としてシーンを駆け抜けてきたので…6番勝負に呼んでもらえて嬉しいです!」という感じで大声で元気いっぱいに話し始める。それを聞いて拍手をする345。

「9mmの情報はよくチェックしてるんですけど、前にLINE LIVEをやってて、それにコメントしたりして…どうやら課金してアイテムとかを送ると順位が表示されると。それで2回、1位を取りました!!」

「なのに今日20歳の誕生日を迎えるかみじょうくんがなかなか名前を覚えてくれなくて“エリエール坂田”って呼んでくる…でもまだ20歳だからね。」

※かみじょうさんの誕生日が公式プロフィール上で1999年9月9日(仮)とされているため

「僕は色々SNSをやっていて、345もインスタをやっていて…最近インスタを始めたTKが今からピュンピュさせるんで!!」 

 

ピュンピュンといえばこの曲、laser beamer(レコーディング中のTK のツイートにて“ピュンピュン丸”と呼ばれたことがある)、緑一色に支配された空間をギターで出している音とは思えないピュンピュンが次々と客席目掛けて飛ばされてゆく。中盤、照明の色の関係でバックドロップの赤と黒の部分が完全に見えなくなり、白く巨大な双頭の鷲だけが3人の背後に浮き上がる。こちらを狙撃するようにスリリングな演奏を繰り広げる3人が双頭の鷲を従える光景はとても現実とは思えないもので、一瞬怯んでしまったほど。

そのままセッション的な演奏が続けられる。それだけでどの曲か把握して嬉しくなる。345の思いっきり歪んだフレーズから感覚UFOへ。曲調に合わせ段々と動きが大きくなり、下を向くようにして美しい髪を揺らす345。ライブ序盤から凄まじい振り切れっぷりのTKが更に激しくシャウト、「5・6・7 1・2・3!!!」と絶叫しながら中指を立てる。

 

 感覚 UFOでライブが終わる事も多いので、これで終わりか…?と寂しい気持ちになったがまだ3人はステージにいる。すると先ほどまでシャウトしまくっていたTKがまた穏やかな口調で話し始める。「短い時間でしたが…次が最後の曲です。9mmとは長い間ずっと対バンしてきました。これからも死ぬまで対バンしたいです。」

 

最後の曲は傍観。ステージが暗くなり、赤色が足元から侵食してゆくように広がる。狂気的な赤に照らされて黒い影になる3人。静かな演奏と独白のようなTKの歌声、そこからTKと345がありったけの声量で歌声を重ねる。「消えたい」と絶叫するTK、ステージ前方まで出ていって激しく動き回る345。TKが思いっきりギターを掻き鳴らす間に345と中野さんが退場。ひとりステージの上でギターを弾き続けたTK、演奏を終えギターを投げると最後に右腕を伸ばし、9mmを称えるかのようにバックドロップの双頭の鷲に手を向けるとステージから去っていった。

 

序盤から定番曲で盛り上げつつ最新曲とコアな選曲も入れ、更に感覚UFOと傍観をどちらもやるという素晴らし過ぎるセトリだった。コア曲枠として凄まじいテンションのHigh Energy Vacuumを選んだあたりからも、時雨がどれだけ本気で9mmとバチバチにやり合おうとしたかを感じられて、両バンドのファンとしてこんなに嬉しいことはない。9mmのバックドロップを背負って演奏する凛として時雨、という光景だけでもその嬉しさは言葉ではとても言い表せないほどであった。

 

 

 転換の様子をあまり見ていなかったが、9mmの機材がひと通り用意されたあたりでステージを見ると卓郎さんのアンプはマーシャルのヘッドにOrangeのキャビという今までに見たことのないセッティング、滝さんのギターは最近よく使っている薄いギターではなく、ウルトラトーンのようなボディにSufferのようなネックのギターという、これまた見たことのないものだった。そして長いカーペットを敷いているのも確認できた。1階席だったため、そのカーペットのようなものが何なのかは最後まで分からなかった。後日ライブ写真を見てようやく“9mm Parabellum Bullet”の巨大なロゴだったことを把握した。

 

9mm Parabellum Bullet

 

(teenage)Disaster

新しい光

DEEP BLUE

Beautiful Dreamer

Bone To Love You

ガラスの街のアリス

黒い森の旅人

ハートに火をつけて

Black Market Blues

名もなきヒーロー

ロング・グッドバイ

 

 Punishment 

Lovecall From The World 

 

自分の席からは卓郎さんと滝さんは見える、かみじょうさんは卓郎さん越しに見える、和彦さんはあまり見えない、武田さんは見える時もある、という感じ。1曲目は(teenage)Disaster、最近はアンコールで演奏されることが多いため、久々に1曲目に来たな…と思いながら聴いていた。赤と白が交互に点く照明がとてもめでたい感じ。アウトロはお立ち台でギターを弾く滝さん、カオス音は出さずに原曲通りのメロディーを弾いていた。後から気付いたが、10年前、2009年の9月9日の999(アットブドウカン)も1曲目は(teenage)Disasterだった、だからこの曲を最初に持ってきたのだろうか…。

間髪入れずに新しい光へ、今年のライブから毎回ライブ用の新しいイントロから曲に入る、という構成で演奏されているが、この日はそれが無くいきなり曲へ。このバージョンの新しい光を聴くのは久し振りだった。ステージが柔らかな水色に包まれる。サビ後の間奏、1サビ後は前に出る卓郎さんと滝さん、その後ろでは和彦さんと武田さんがかみじょうさんの前まで出てきて、ステージ中心に5人集まるようにして一斉にギター・ベースのネックを上げる。それが終わると和彦さんと武田さんは同時にかみじょうさんの前から離れるという、美しいフォーメーションを見せる。変わって2サビ後は卓郎さんが和彦さん寄り、滝さんが武田さん寄りに移動。すると武田さんがこちらから観るとちょうど滝さんの真後ろに付くような位置まで移動してそのままネック上げを。この曲の時には武田さんがよく見えて、曲中に顔を伏せるようにしてネックを上げながら弾き、直後に顔をこちらに向けると素敵な笑顔を見せる。曲中に卓郎さんが「東京!!!」と叫んでくれたのが東京の人間としては堪らなく嬉しかった。

続いて演奏されたイントロ、ライブで聴いたことない曲だ…?と思ったらこの日が発売日である新しいアルバム、「DEEP BLUE」収録の表題曲、DEEP BLUEだった。何の前置きもなく演奏されたことに驚きながら聴いていた。タイトルに合わせるように濃い青に染まるステージ。ひとつ前の新しい光の時からグラデーションのように変わるステージの様子が鮮烈。まだアルバムを聴き込んでいないためほぼ第一印象という感じだが何だか爽やかさを感じるような。これからツアーで聴き込むうちにこの印象がどう変わってゆくのかが非常に楽しみになる。ライブで披露されたのが初めてだからかフロント4人の動きは控え目なようにも見えたが、かみじょうさんは腕と頭を大きく振りながら叩いていた。 

 

ここで最初のMC。卓郎さんが話し始める前に謎の音がすると笑い声が起きる。こちらからだと状況がよく分からなかったが、曰く「話すより先に喉が鳴っちゃった!」と。なるほど。対戦相手である凛として時雨について「リハから観ていて、凄いとかかっこいいの向こう側でもはやウケました」と言う卓郎さん。おれたちも何かの向こう側に行きたいです、とも。

滝さんは新しいギターだからか、曲中や転換中に何度か音を調整しているようだった。演奏の合間にマイクの位置も何度か直していた。 

 

卓郎さんがひと通り話し終わると演奏へ。ギターのクリーンなサウンドが大きな空間にふわりと広がる。アルバム「DEEP BLUE」から続けてもう1曲、Beautiful Dreamer!イントロやサビ後のギターのメロディーは滝さんと武田さんがユニゾンで、サビの早弾きフレーズは武田さんが弾いていた。MVや音源でもこの曲の力強さは伝わってきていたが、目の前で聴くとそれは予想以上のものだった。

次の曲は6番勝負で毎回セトリ入りしているBone To Love You、滝さんはイントロからゆらゆらと小さく頭を振る。間奏の後、一気に速くなるパートに入ると和彦さんがかなり大きく動き回るのが見えた。ガラスの街のアリスでは2番の歌詞を「透明な“9月”の星を指でなぞったよ」と歌詞を変えて歌う卓郎さん。

徐に何となくどろどろとした音が奏でられ始め、次の曲は何だ?と考えていると、暗闇に一筋の光が射すように滝さんの澄んだギターの音が入ってくるという素晴らしいアレンジから黒い森の旅人。照明には緑ではなく青が使われていたことで夜明け前の森の雰囲気が出ていた。自分が上手にいたからというのもあるかもしれないが、武田さんのブリッジミュートの分厚さがよく伝わってきてとても心地よく聴いていた。サビに入るとかみじょうさんが大きく頭を振る度に耳元がきらっと光っていた。おそらく、ピアスに照明が当たって光っていたと思われるが、普段ならそんな細かい部分が見えることもなかなかないので些細な事ではあるがはっきり記憶に残っている。この日は最後のサビ前のスネアにはリバーブがかかっていた。やはりこの曲はホールが似合うな…と、思いセトリに入ったことを喜びながら聴き浸る。 

 

「10年くらい前に“ニッポニア・ニッポン”というツアーを廻ったんだけど…ニッポニア・ニッポンってどういう意味か分かる?…トキのことです」何故トキだったかというと、あの時に9mmや時雨のような音楽をやってるバンドは珍しかったので、両者とも絶滅危惧種みたいだということで。

時雨の音楽について「さっきも袖でライブ観てたけど……自分が持っているけれど気付かないような感情を表してくれるような時がある」という感じの表現をされていた。9mmも時雨と同様であると。両者の違いについて「温泉で例えると肩に効く、とか腰に効く温泉、みたいな…」と言うと客席にたくさんの「?」が浮かんでいるような空気に。それを見た卓郎さんが「こういうのが迷MC…“迷う”の方の迷MCって言われちゃうんだよね笑」と続ける。

「10年前にはBlack Market Bluesという曲ができて…」

「おれたちも10年生きました!!」 

 

そんなMCがあったので次はBlack Market Blues…?と思いきやハートに火をつけて、間奏で左にスライドする和彦さん・卓郎さん・武田さんとお立ち台の上でギターのネックを大きく左に振る滝さん。次に続いたのがBlack Market Bluesで、卓郎さんが「昭和女子大学人見記念講堂に辿り着いたなら!!」と歌詞を変えて歌っていた。「迷える子羊たちが~」の部分で下手に視線を映すと、この日も和彦さんがベースを高く掲げ、自身の左胸をトントンと叩くと思いっきりベースのボディを叩いていた。

そのままほぼ音を途切れさせることなく演奏が続いていたような気がする。今までに聴いたことのないメロディーだったので何の曲だ…?と考えながら聴いていた。卓郎さんと滝さんがお互いに様子を確認するように顔を合わせると次に滝さんが同じく様子を確認するようにかみじょうさんの方を見る。こちらからだと最終的に卓郎さん・滝さん・かみじょうさんが向かい合って演奏を合わせているように見えた。そんな中でピンクの照明が一筋ステージに入ってきたところでようやく何の曲か気付く。名もなきヒーロー!リリースして僅か5ヶ月ほどの新曲に、もう新たなアレンジを!?そうして少し長めのイントロが演奏されてから曲へ。この曲で驚いたことがもうひとつ。間奏でかみじょうさんが音源と違うフレーズを叩いていたように見えたこと。ドラムに関してはど素人なので自信はないが、明らかに手数が多くなっていたり、ギターのメロディーをなぞるように叩いていたような。「守りたいものにいつも守られているんだね」と歌う卓郎さんは優しい眼差しで客席の遠くの方を見ていた。

本編最後の曲。滝さんの元気なタッピングの音が響く…ロング・グッドバイ!最後のサビ前では滝さんが思いっきり勢いをつけて、ギターのナットとペグの間を鳴らす。生き生きと演奏する5人の姿を観ながら頭の中では、かつて観た光景を思い出していた。 

演奏が終わると武田さん、滝さんがまず退場。卓郎さんと和彦さんはステージ前方まで出てきて客席に向かって短めにお手振り。その間にかみじょうさんがドラムセットの方から出てきて、ひらひらと手を振りながら上手から下手へ、悠々と歩いて退場。

 

客電が点き、アンコールの手拍子がしばらく続くと再び暗転。まず出てきた卓郎さんはステージ上を歩いている間、ずっと2階席に視線を遣り手を振ったりしていた。2階席のみんなのことも見てるよ!と伝えるかのように。

「かみじょうくん20歳おめでとう!」と卓郎さんが言うと、かみじょうさんは何?と言いたげに目を丸くして卓郎さんを見つめ、(かみじょうさんから見て)右のイヤモ二を外すと背中を丸め、「何言ってるか全然分かんない、ごめんな~」とドラム用のマイク?を使って返す。卓郎さんが再度かみじょうさんに「おめでとう!」と言うとようやく聞き取れたようでかみじょうさんが卓郎さんに向かってOKのサインを手で作ったり、投げキッス的な動きをしていた。

 卓郎さんとかみじょうさんが話しているのに気を取られていたが、この時ステージ上にいたのは卓郎さん、滝さん、和彦さん、かみじょうさん…武田さんがいない。4人で演奏するようだ。これまでには「4人でやります」と卓郎さんが宣言してから演奏に入る、ということもあったが今回は特に何もなく演奏へ。“4人で演奏する時もある”というのが徐々に“普段の流れ”に近づいているのだろうか、と考えると嬉しい。

 

滝さんが静かにギターを弾き始めればどの曲かすぐ分かる。穏やかなイントロから滝さんの爆速カッティング、Punishment が始まる!滝さんは早弾きも交えながら弾いていた気がする。そして卓郎さん・滝さん・和彦さんが同じメロディーを重ねる間奏の無敵感!!

この日最後の曲はLovecall From The World、滝さんはこの日も卓郎さんと一緒に最初から最後まで熱唱していた。本編でもそうだったが、滝さんはTシャツの裾からお腹が見えてしまうくらい高く腕を上げ、ギターを掲げるところが何度もあった。アウトロでは和彦さんがシャウトを入れた後にベースを軽々と振り上げ、思いっきり動き回っていた。1分足らずのこの曲で残ったエネルギーを全て出し切るように音を叩きつけ、演奏が終わる。 

うねる様なベースの音がまだ残る中、早々と退場する滝さん。卓郎さんと和彦さんは下手、上手、真ん中と客席を見て挨拶しながらピックを投げる。かみじょうさんは頭の上で両手を合わせ、その状態で軽く振るようにしながらゆっくり歩いて袖に消えていった。最後に卓郎さんが万歳三唱、から丁寧にお辞儀をし、客席に笑顔を向けステージから去っていった。

 

 

最初にも少し書いたが、人見記念講堂は2017年7月に9mmモバイル会員限定ワンマンライブ“TOUR OF BABEL Ⅱ”を開催した会場である。当時9mmのライブ活動をお休みしていた滝さんが、数ヶ月振りに9mmライブへの復帰を果たした公演。滝さんが久々に帰ってきた“4人の9mm”で、アンコールにて2曲、新しい光とロング・グッドバイを演奏した。

だから、もしかしたら2年前のことを思い出して過剰に感情的になってしまうかもしれないな…と少し懸念していたが、自分でも驚くほどフラットな気持ちでライブを観られた。良かった。新しい光もロング・グッドバイも両方セトリに入れたのは、やはり2年前のことを意識したのだろうか。どちらの曲も聴きながら2年前の光景を思い浮かべ、それからたった2年後の現在、滝さんが全ての9mmライブに出演できるまでになったことを嬉しく思った。思いのほかフラットな気持ちでいられたとはいえロング・グッドバイのイントロを聴いた瞬間は静かに涙が零れた。

 

9mm Parabellum Bulletと、凛として時雨。彼らが登場した頃に「2000年代後半の突然変異型バンド」というアイキャッチを読んだ記憶がある。その言葉通りにカテゴライズ不可能なバンドが台頭していた世代。同世代の中で当時と同じ形で活動を続けられなくなったり、解散や活動休止を余儀なくされたバンドもいる中で卓郎さんの言葉通り9mmも時雨もずっとバンドとして生きて、TKの言葉通りずっと対バンしてきた。

ここ最近では「9mmと時雨」としての対バンなどの機会は少なくなってしまったが、盟友、を通り越して最早家族のようにも思える関係なのは変わらない。普段から9mm愛溢れる中野さんが元気いっぱいに15周年を祝い、普段あまりライブで喋らない(この日のTKは普段のワンマンより多めに喋っている)TKは穏やかな中に9mmへの親愛と敬意が込められた言葉を贈った。また、中野さんは何を着ているのか残念ながら確認できなかったが、TKは黒のバックドロップTシャツ、345は黒の6番勝負Tシャツと9mmのものを身に着けてステージに立ったことからも9mmへの愛が伝わってくる。

TKが言っていた「死ぬまで対バンしたい」という言葉が心の底から嬉しかったのは、9mmと時雨がこれからもずっと盟友で居続けることはもちろん、死ぬまでバンドを続けるという意志が込められたものでもあったから。

 

 

振り返ってみれば、時雨だけでなくこれまでの6番勝負の対戦相手も同じだった。9mmと長く付き合い、お互いに敬意を持ち、幼馴染のような間柄の同世代バンド。avengers in sci-fithe telephonesUNISON SQUARE GARDEN。これから対戦するTHE BAWDISもそうだ。アルカラは厳密に言うとちょっとだけ上の世代で、9mmとはここ数年で仲良くなったとはいえもはや運命共同体と言えるような特殊な間柄であり、太佑さんの言葉を借りると「思春期ぐらいから付き合い始めた」、とても濃い付き合いの盟友。

それぞれの対戦を観ながら、月並みな感想に聞こえてしまうかもしれないがこんなにも変わった音楽を生み出す人達が集まり、高め合って第一線で活躍し続けている面白さと、それを観続けられている嬉しさを実感した。

 

 

アルバム「DEEP BLUE」の発売日であることから、MCでは卓郎さんが「今言いたいことは全てアルバムに入っているのでたくさん聴いて下さい」と言っていた。6番勝負が終わるとすぐに「DEEP BLUE」のリリースツアーが始まる。今年は6番勝負を含め様々な15周年記念企画で9mmがここまで続いてきたことを祝う節目、という気持ちが強かったが、ここからはまた新しい9mmの、その先を観に行くんだ、という気持ち。これから「DEEP BLUE」の中に深く潜りながら、もうすぐ始まるツアーを楽しみに待っている。

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20190905/a flood of circle“SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY×a flood of circle 10th Anniversary 「BUFFALO SOUL×PARADOX PARADE」@新宿LOFT”

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新宿LOFTの20周年、そしてa flood of circleの1stアルバム「BUFFALO SOUL」と2ndアルバム「PARADOX PARADE」10周年記念として開催された、その2枚のアルバムを再現するというライブ。LOFTのレーベルからインディーズデビューし、独立するまでLOFTの事務所に所属していたフラッドにとってLOFTは“ホーム”である。故郷と自身の節目を同じ年に祝えるというのも、両者のとても強い縁を感じさせるな、と。

そんな記念すべき公演なのでチケットは即完、フロアは超満員だった。普段からライブに来ている人はもちろん、色々な事情でフラッドから少し離れていたが久々に観に来たという人達も少なくなかったと思われる。

 

 

シーガル

Thunderbolt

Buffalo Dance

エレクトリックストーン

-session #1-

ブラックバード

陽はまた昇るそれを知りながらまた朝を願う

僕を問う

-session #2-

春の嵐

ラバーソウル

ノック

 

黒い革ジャンの佐々木さんを筆頭に黒を基調とした衣装で登場する4人。この記念すべきライブの始まりを告げたのはシーガル!1曲目とは思えないくらいに爆発的に盛り上がり普段と同じように人が飛んでゆく。いつもより前髪が長く伸びていた佐々木さんに、10年前の佐々木さんの姿と同じものを感じたのは流石に考え過ぎだろうか。次の曲はThunderbolt、ここでセトリがアルバムの曲順通りであることを察する。バンド編成では久々に聴いたThunderboltは姐さんの唸るようなベースとテツ君の威勢のいいギターのおかげで桁違いの威力があった。「轟く雷鳴の中じゃ祈る声も全て馬鹿馬鹿しい」という一節が堪らなく好きだ。

バッファローの足音が聴こえてくる…」という佐々木さんによる懐かしい一言からBuffalo Dance、イントロではテツ君が注目を集めるように両腕を広げた後に口に手を当てて「ワワワワワ…」と、これも久々に観られたんじゃないか…という光景がとにかく嬉しい。間奏では佐々木さんとテツ君が近付いて向かい合ってバチバチと張り合うようにギターを弾く。この10年間で佐々木さんと歴代のギタリストたちが同様にこの曲の間奏で繰り広げ続けてきた光景がぱっと浮かび、そして今目の前でフラッドに“最後のギタリスト”として入ってきたテツ君がそれを継承している様子が繫がって見えてそれもまた嬉しかった。

「行かないでよ消えないでよ死なないでよ」と歌う声が胸に深々と刺さるエレクトリックストーン、演奏が終わると佐々木さんが「10年間愚かなるロックン・ロールを鳴らし続けたa flood of circleですよろしくどうぞ」とひと言。

 

ここで-session #1-へ。ちゃんとsessionも演奏されるんだなと思いつつ、ある意味このシリーズをライブで聴けることが一番レアかもしれないな、と。「テッちゃん、好きに弾いちゃって」と佐々木さんが言うとぐいぐいとソロを弾いてゆくテツ君。続いてどっしりとしたリフから始まるブラックバード、サビでは佐々木さんとなべちゃんが一緒に「未来」を連呼してゆく。このふたりは10年以上、ずっと一緒に肩を並べて「未来」を歌い続けてきたのだという感慨深さを一際噛みしめる場面だった。

陽はまた昇るそれを知りながらまた朝を願う、BUFFALO SOULの中でも特に歌に寄り添い引き立たせるようなこの曲ではステージがあたたかい橙色に染まり、サビでは朝日のような一筋の光も射していた。

僕を問う、一転してテツ君がワウを踏みながらの軽快なカッティングを聴かせるリフがフロアを楽しそうに踊らせる。記憶違いでなければテツ君のギターで聴いたのは初めてかもしれない。テツ君のカッティングは本当に心地よくていつまでも聴いていたいと思ったくらい。

-session #2- ここでは佐々木さんがリードを弾いていて、テツ君が途中で「亮介もういっちょ!」と煽っていた。

BUFFALO SOUL収録曲の中では今でもセトリ入りする回数が多い春の嵐、でもLOFTで聴くといつもより特別な感じがする。「何もかもが明日を思い描いている!」から最後のサビに入るとステージが薄っすら淡いピンクに染まった瞬間と曲の突き抜けるような開放感がぴったりで見事だった。

これも久々に聴けたか、ラバーソウルの「帰り道はないよ 転がるだけさ」という一節はフラッドの10年間の生き様を体現しているように思えた。

 

「LOFT20周年おめでとうございます、a flood of circle10周年ありがとうございます」と佐々木さんが話し始め、「10周年だからもっと大きなところでやれば良いのにと言われたけどうるせえ!って感じ」とこの記念すべきライブを決してキャパが広いとは言えないLOFTで開催することへの思い入れを語る。

生きているともう会えなくなった人もいる…と話す佐々木さん。LOFTの最初のボス、と紹介されたシゲさん、という方もそうなんだと。あまり詳細に話すことは控えていたがその話を経て「また会えるから転がってゆくことと、もう会えないから転がってゆくことは同じなのかも」と言って締めくくる。

そしてBUFFALO SOUL最後の曲、ノック。「次の世界を開くために ドアを叩くんだよ」という一節も今こうして聴くとフラッド自身を表してるかのよう。

 

中盤では佐々木さんがテツ君に「10年前って生まれてた?」と尋ね、テツ君が「高2だった、ギター始めた頃」と返し、次に佐々木さんが姐さんに「姐さんは生まれてましたよね?笑」と話を振ったり、10年前にはまだこのバンドにいなかった2人に和やかに話しかけていた。その当時もうフラッドと出会ってはいたよね、と姐さんが話すと佐々木さんが食い気味に「その時に俺となべちゃんが姐さんに挨拶しなかった話するつもりでしょ!」と加わる。それを聴いていたなべちゃんが「今日はその時に来ていた服を着て来ました」と言うと佐々木さんが「今日も姐さんに挨拶する気ないんじゃん」と言って笑い話に変えていた。

 

BUFFALO SOULの曲が全て終わるとステージから去る4人。フロアが明るくなり、早くもアンコールを求める手拍子が発生したりもしていた。少し長く感じたしばしの間を開けて再びフロアが暗転する。

 

-session #3-

博士の異常な愛情

Paradox

Ghost

アンドロメダ

月に吠える

Forest Walker

噂の火

Flashlight&Flashback

水の泡

プリズム

 

Lucky Lucky

シーガル

 

ステージに戻ってきた4人は赤い革ジャンの佐々木さんを筆頭に全員真っ赤な衣装に着替えていた(この後のMCにて佐々木さんが「まさかフラッドのライブで衣装替えがあるとは思わなかった」と言っていた)。第1部では全てアルバムの曲順通りに演奏されたが、暗転後に登場SEとして-session #3-が流れ、4人が位置に着くとSEに乗っかるようにしてそのまま演奏が始まる。次はPARADOX PARADEの1曲目、博士の異常な愛情。サビでフロアからも飛んでくる「ふっふっふー!」の声が揃う瞬間の嬉しさ。間奏のソロはテツ君が音源とは違うオリジナルのメロディーを弾いていて、以前にもライブで弾いていた(自分はこの日と同じく新宿LOFTで開催されたBATTLE ROYAL 2017で聴いた)とはいえ、この曲をとっくに自分のものにしているという感じの弾きっぷりが頼もしかった。Paradoxのエレガントなリフもテツ君らしいやんちゃさを感じさせつつ、曲調に合わせどこかスマートな印象の弾き姿。最後のサビに入る前にはここでも佐々木さんとテツ君が向かい合って徐々に上がってゆくメロディーを綺麗に重ねてゆく。

佐々木さんがぐっと声量を落として歌い始めるGhost、熱さを内に秘めたようなParadoxと一気に熱量が爆発するようなGhost、という対比。暗闇から這い上がろうと必死にもがくような歌詞はやはり当時の佐々木さんの心情そのものだったのか…とどこか冷静に考えながらもこの曲ではステージの様子を観ることはほぼできなかった。食い入るように聴いていた歌詞に取り憑かれたような状態になり涙が止まらなかった。

イントロ、リフ、そして間奏のソロとギターの超絶的なフレーズが並ぶアンドロメダ、こういう機会に聴くと歌詞も含めフラッドの曲の中でも特にロマンチックだなと思いながら聴いていた。あの凄まじいソロをテツ君が弾いてゆく様子は本当にワクワクする光景だった。

佐々木さんの僅かにかすれた声が結果的にこの曲の寂しげな雰囲気を際立たせていた月に吠える。続いて、「もう2度と作れないであろう曲」と佐々木さんが前置きして(フロアが一瞬ざわついたように見えた)演奏されたのはForest Walker、緑色に染まるステージは天井の低さも相俟って鬱蒼とした森を思わせるようだった。間奏で佐々木さんが屈んでいたのはその部分が見せ場であるなべちゃんを目立たせるためか。

ベース、Hisayo!と佐々木さんが言うと姐さんが先陣を切って弾き始めるイントロ、噂の火。この時の姐さんの音の迫力たるや。良い意味で荒々しさのあるメロディーはテツ君のギターの音が一際よく合う。久々に聴けた、ずっと聴きたかった大好きな曲は今のフラッドの演奏力で恐ろしいほどの化け方をしていて、その気迫に飲み込まれる。Flashlight&Flashbackも特に聴きたかった曲で、もちろんしっかり聴いていたが音に集中しすぎてステージ上の記憶はあまりない。「だから生きることやめないで」という一節が切実に耳と胸に刺さる。

控えめな青い照明がステージを包み、優しい歌声が響く水の泡。そして次の曲がPARADOX PARADE最後の曲、つまりこれでこのライブが終わってしまう…。プリズム、イントロのメロディーを弾くのはテツ君…ではなく、佐々木さん。アンドロメダと同じくかなりの超絶的なメロディーをテツ君ではなく佐々木さんが自ら弾いてゆく。7月にファイナルを迎えた“Tour CENTER OF THE EARTH”でもこの曲は演奏され、その時にもイントロは佐々木さんがメロディーを弾いていた。テツ君ではなく佐々木さんがこのメロディーを弾く理由は本当のところは分からないけれど、PARADOX PARADEのアルバム音源でこの曲のギターを弾いていたのが、フラッドとはかなり古い付き合いであるバンド・FoZZtoneの竹尾さんであり、自分はFoZZtoneのファンでもあるため、竹尾さんの弾いていたメロディーを自ら弾く佐々木さんを目の前で観られることは、どんな言葉を使っても足りないくらいに嬉しかった。

 

 

本編にて話されていたがどこで入るか忘れてしまったMC。

BUFFALO SOULとPARADOX PARADEが同じ年にリリースされたことから「デビューした年に2枚アルバム出したのは知る限りではフラッドかツェッペリンだけ」と話す佐々木さん。「当時のレコード会社の人もいかれてた」とも言っていたが、「いかれてる」というひとことは言うまでもなく、佐々木さんからスピードスター時代のスタッフさんへの最大級の賛辞だ。

 

 

これでBUFFARO SOULとPARADOX PARADEの曲がすべて演奏された。4人がステージを去った直後から絶え間なくアンコールの手拍子が続いていたが、この後にどの曲が演奏されるのだろうか…とぼんやり考えながら待っているとステージ上になべちゃんが、この日から発売になった、自身がデザインしたTシャツを着て登場、ステージ中央で一度止まると少し得意げな顔でこちらにTシャツを見せてくる。その後、他の3人も再びステージへ。

11月にリリースされるミニアルバム「HEART」について、読み方は「ハート(平坦に読む)だっけ、ハート(ハ から下がるように読む)だっけ?」と佐々木さんがテツ君に確認すると「ラード(平坦に読む)と同じ」と返すテツ君。ピンと来ていない様子の佐々木さん。ここだったか、BUFFALO SOULはなべちゃん、HEARTはテツ君が付けたタイトルらしく、佐々木さんが「俺、重要な時にタイトル付けない…」とこぼしていた。

 

その話から披露されたのはテツ君が作詞作曲を手掛けた新曲、Lucky Lucky!2番ではテツ君がメインボーカルを務めるというバンドとしては新境地的な一面も。佐々木さんとふたりで演奏する「サテツ」としての活動が少なからず影響しているのだろうか。「ラッキーラッキー」を連呼する、底抜けに明るい印象の曲もテツ君らしい。

これで終わりではなく、もう1曲。「俺達とあんた達の明日に捧げる!!」というお決まりのひと言から最後にもう1回シーガル!うまく言い表せないけれどこのアンコールでのシーガルが、大袈裟ではなくこの日1曲目に演奏されたシーガルとは全く別物のように聴こえた。アレンジが変わった訳ではないし、1曲目のシーガルがよくなかったという訳では決してない。1曲目のシーガルは記念すべきライブの始まりを華々しく告げる祝祭感を象徴していたと感じたが最後のシーガルは……このライブでフラッドの10年間を思い返しながらBUFFALO SOULとPARADOX PARADEの全曲を聴いて、そして最後に再び歌われたこの曲は、何があっても転がり続けていればそれが報われてこうして笑える日が来ることを10年かけて証明してみせた、そしてこれからも「未来」を歌い「明日」に向かって手を伸ばし続けるフラッドそのものだった。もう数えきれないほど音源でもライブでも聴いているシーガルでこんなに泣いた日は他にない。思いっきり笑って涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらステージもフロアも一緒になって歌ったシーガル。堪らなく嬉しかった。本当に楽しかった。

 

 

この日のMCで特に嬉しかった話が2つ。

まず、佐々木さん。

「1stと2ndだけ聴いててもいいよ、俺にとっては宝箱だから…ちょっと煤けてるけど」

いつでも「今が最高」だと言い続ける佐々木さんのこのひと言が、佐々木さん達がこれまでのすべてをひとつも置いて行かず、大切に抱えながら前を向いているからこその言葉だと思えたから。

そして、なべちゃん。

MC中に10年前にLOFTでやったライブも来た人?とフロアに向かって尋ねると人数は少なかったけれど何人もの手が挙がって。それを観たなべちゃんが手を挙げた人に感謝を述べつつ「好きになったタイミングは関係ない」と。

フラッドのことをかなり初期から応援している人も、最近フラッドを好きになってBUFFALO SOULとPARADOX PARADEをリアルタイムで聴けなかった人達も、ここにいるすべての人を肯定するひと言だった。なべちゃんからこのひと言が聞けたのが、嬉しかった。その後で「俺は今良い事を言おうとしている」というようなひと言をすかさず入れて笑いに変えていたのがなべちゃんらしかったけれど。

 

自分がa flood of circleを聴き始めたのはBUFFALO SOULとPARADOX PARADEの間、PARADOX PARADEがリリースされる少し前だった。正確に言えばBUFFALO SOULリリース時にフラッドの名前はどこかで見かけたBuffalo DanceのMVや、元々好きだったFoZZtoneがツアーの記事だったかで彼らを載せていたのを見て薄っすら知っていたけれども。

だからPARADOX PARADEはリアルタイムで聴いていたが、BUFFALO SOULは後追いで聴いた。リアルタイムで聴けなかったBUFFALO SOULと、個人的にフラッドのアルバムの中で一二を争うほど大好きなPARADOX PARADEを全曲時系列で、しかもフラッドのホーム・新宿LOFTで聴けるなんて…。この2枚を並べてライブで聴いてみると、ブルースをベースにしながらもポップさを感じさせるBUFFALO SOULから、1曲目「博士の異常な愛情」を筆頭にハードに振り切った曲が何曲も収録されたPARADOX PARADE、という曲調の変化にも今更ながら驚かされ、当時のファンの人たちが味わったであろう感覚を追体験することができたのも嬉しい。

 

そして新宿LOFT。何度も足を運んでいるし色々なバンドをここで観てきたけれど、LOFTで一番観ているバンドはa flood of circleだと思う。 個人的に新宿は思い入れのある場所で、新宿・歌舞伎町にあるLOFTもそういう意味でもとても好きな場所。一歩足を踏み入れるとワクワクする不思議な雰囲気の空間。a flood of circleを見つけ出してくれて、新宿に存在してくれて、ありがとうございます。

 

佐々木さんは「今がどんなに辛くても10年経てば笑えてる」と言った。10年間、どんな苦難があっても転がり続けてきたa flood of circleのひとつの“到達点”がここにあった。そして同時に「フラッドを死ぬまで続ける」と宣言した通り、これからも転がり続けるa flood of circleの“未来”もここにあった。

ずっと「未来」を歌い続けるフラッドを、これからも観続けていたい。

 

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20190809/キツネツキ“キツネノヨメイリ~2019夏~”@東京キネマ倶楽部(メモ)

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9mm Parabellum Bulletの卓郎さんと滝さんによるバンド、キツネツキのワンマンライブ。8月7日にリリースされたミニアルバム「キツネノナミダ」のレコ発的ライブで、これまでに何度もキツネツキのライブに“取り憑かれメンバー”として出演し、本作のレコーディングにも参加している渡部宏生さん(ドラム/heaven in her arms,SZKN)爲川裕也さん(ギター/folca)、下上貴弘さん(ベース/アルカラ)、東出真緒さん(バイオリン/BIGMAMA)の4人も出演が発表されていた。

 

ステージと天井が高く独特の雰囲気が素敵な東京キネマ倶楽部。入場してまだ真ん中あたりが空いていた下手側で観ることに。この会場の大きな特徴である、下手にあるバルコニーとそれに続く階段もよく見える位置。

出演メンバーが多いためステージにはたくさんのアンプが置かれ、上手の一番端にドラムが置かれている。上手端と下手端にひとつずつ、天井から見慣れない丸い赤いものがぶら下がっていた。

 

 

※セットリストは暫定。演奏された曲はこれで間違いないと思うけれど順番を失念してしまったため。「かぞえうた」と「MONDAY NIGHT BEER RUN」の場所が違う可能性が高い。確定情報が出たら更新予定。

 

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ドラム)

キツネツキのテーマ

odoro odoro

ケダモノダモノ

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ドラム)、爲川裕也(ギター)、下上貴弘(ベース)

 アイアイ

 犬のおまわりさん

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ギター)、爲川裕也(ギター)、下上貴弘(ベース)、渡部宏生(ドラム)

 ふたりはサイコ

 GOHONG-ZONE

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ギター)、爲川裕也(ギター)、下上貴弘(ベース)、渡部宏生(ドラム)、東出真緒(バイオリン)

 てんぐです2019

 ちいさい秋見つけた

 かぞえうた

 MONDAY NIGHT BEER RUN

 小ぎつね

 証城寺の狸囃子

 ハイカラちゃん

 It and moment

 Intro~きつねのよめいり~

 まなつのなみだ2019

 四川省

 

 キツネツキのテーマ2

 ケダモノダモノ2019

 C.C.Odoshi

 

お馴染みのゆるいSEが流れる中、2階の高さにあるバルコニーから登場したのは卓郎さんと滝さん。卓郎さんは曲に合わせて手拍子を、滝さんは持っていたスティックで拍を取りながら階段を下りてくる。卓郎さんは下手にてゴールドのBricoleurを手に取り、滝さんは上手端にあるドラムセットへ。ステージの端と端にスタンバイしたふたりが向かい合うようにして演奏が始まると、ちょうどふたりの頭上にぶら下がっていた丸い赤いものが光る。あの見慣れないものはふたりを照らすための照明だった。その赤い照明の放つ光がふたりを怪しく照らす。

最初はふたりの口笛が響くキツネツキのテーマ、そしてodoro odoroという定番の流れから。

続いてケダモノダモノ、この曲をふたりだけで演奏するのは珍しい気がして、ふたりでやるんだ!と普段とは少し違うものが聴けることへの期待が高まる。下手がほとんど見えなかったため、ドラムを演奏する滝さんはほんの僅かしか見えなかったが、卓郎さんは手元までよく見える位置。9mmに比べればシンプルな曲構成のキツネツキ、卓郎さんあの辺弾いてるんだな…と手元を凝視したり、時には一緒に手を動かして観ていた。

ふたりで演奏していたこのブロックだったか、卓郎さんが滝さんを「右の狐(ステージ上手にいたため)」、自分のことを「左の狐」と紹介。狛犬みたいな…と言っていたので卓郎さんが何を想像しながら話していたのかがよく分かる。狛犬のように片方が口を開けていて「口を開けているのはおれの方」、歌うから!と続けるとフロアから納得したような反応が返ってきた。

 

3曲終わると“取り憑かれメンバー”の爲川さんと下上さんが呼び込まれる。バルコニーからまずは大きな帽子と眼鏡という出で立ちの下上さん(アルカラの時には眼鏡も帽子も着用していない)が登場、出てくると深々と一礼。続いて爲川さんは出てくるなり両腕を体の前でクロスさせてメロイックサイン(と見せかけてキツネだったりして…?)を作る。ステージに降りてくると爲川さんは卓郎さんの右隣、下上さんは爲川さんと滝さんの間へ。為川さんは胸元にバッジを6個つけていたのでこの日の限定ガチャのメンバー缶バッジだと思われる(このあと卓郎さんにバッジをさりげなく付けていたことをいじられていた気がする)。更に爲川さんが着ていたのはfolcaのグッズである自身の顔が描かれたTシャツであったため、上半身が顔だらけになっていた。

4人になって演奏されたのは「キツネノナミダ」よりアイアイ。キツネツキのゆるい雰囲気と童謡が演奏される様子は随分見慣れたとはいえ、あの卓郎さんと滝さんが「おさーるさーんだよー」と歌っている光景はもちろん楽しいものではあるけれど、この5日前に9mmのライブを観たばかりだったので一瞬「自分は今何を観ているんだ…?」という不思議な気持ちになった。

卓郎さんが「ワオーン!」と軽く吠えるような声を出してから始まった犬のおまわりさん、曲中で犬の鳴き声が聴こえてきたがステージ上の4人ではなく、音源を使っていたのか、それとも実は裏で…だったのかどちらかは分からなかった。

 

ここで卓郎さんが話していた間だったか、上手の袖からロッキーさんがさりげなく登場してドラムセットへ。バルコニーからの登場ではなかったため、上手袖からいきなりスルッと登場してきた様子を見て一瞬狐につままれたような気分に。滝さんはロッキーさんの左隣に移動、リバースヘッドのSufferを構える。

5人になって演奏されたのはふたりはサイコとGOHONG-ZONE、単純に人数が増えたからというのもあるがロッキーさんのパワーのあるドラムの音が入ると音の迫力が一気に増す。

 

2曲終えると真緒ちゃんが呼び込まれる。可愛らしい笑顔を見せながらバルコニーから登場してきた真緒ちゃんは下上さんと滝さんの間にやってくる。下手から卓郎さん、爲川さん、下上さん、真緒ちゃん、滝さん、ロッキーさん、という順番。これでこの日の取り憑かれメンバー全員もステージ上に揃った。このタイミングだったか、キツネツキの昨年のツアーにも3公演参加していた真緒ちゃんに関連するエピソードとして卓郎さんが、男所帯の中に真緒ちゃんが入るとみんな演奏が若干二枚目になっていた、という話をしていた。誰が一番二枚目な演奏に変わっていたのが気になったが…滝さんなのか、取り憑かれメンバー達なのか、彼らもそんな感じでかっこつけたくなる時もあるんだな、という微笑ましい話だった。

6人揃った最初の曲はてんぐです2019、音源でもこの6人で演奏されていて、特にバイオリンが入るとだいぶ印象が変わるなという感じ。歌詞のイメージの“風が吹いている感”を音で表しているかのような。客たちの振り上げた手が自然発生的に左右に振られたりと盛り上がる。

ちいさい秋見つけた、童謡カバーの中でもバイオリンが最も映えるのはやはりこの曲で、メロディーの美しさと曲の持つ哀愁が引き立つ。繊細さもあるような演奏が響いたちいさい秋見つけた と一転して重厚な音が繰り出されるかぞえうた の対比が何となく記憶にあるのでここはこのような流れだったかと思う。

このあたりで入ってきた気がするMONDAY NIGHT BEER RUNは静かに空気を震わす様に音を鳴らすパートからなだれ込むように裏打ちの軽快な演奏に入るのが楽しい!短い曲なのであっという間に終わるが、楽しそうな様子で演奏され思いっきり裏拍で体を動かしながら聴けるこの曲は個人的には大好きな曲。

 

小ぎつねと証城寺の狸囃子、去年からお馴染みとなっている2曲では小ぎつねの「やまのなかー!」というレスポンスもバッチリ、卓郎さんは終始リラックスしたような笑顔を浮かべながら歌っていた。

それがまた一転、ハイカラちゃんのイントロを弾き始めると卓郎さんが赤い光を浴びながら遠くの方に視線を遣り、凛々しい表情に瞬時に変わる。卓郎さんが纏う雰囲気の見事な変化に目が離せなくなる。鋭い目つきは9mmの時とも少し違うような…ソロ曲を歌っている時に見せる眼差しに近いかなと個人的には思った。この曲が一番キネマ倶楽部に合っていたかもしれない。ここでキツネツキを観られて本当に良かったと、ハイカラちゃんを聴きながら考えていた。

その次には再びまったりとした雰囲気のIt and momentへ。天井から優しく降り注ぐ白系の照明が雲間から差し込む陽光のように見え、どことなく雅なメロディーが広がっていく様子はとても開放感があった。この曲も天井が高いキネマ倶楽部の空間にぴったりだった。

 

次の曲に入る前に卓郎さんが話し始める。少し真面目な話になるんだけど、と前置きをして。キツネツキについて、最初は遊びのつもりで始めたが、生きるために必要なものだった、そして生きるために音楽が必要だったんだと。また、まなつのなみだについて「滝と一緒に曲を作っていると、もう会えない人の事が思い浮かぶような曲がたまにできる」とも。それは9mmで言うと黒い森の旅人なのだそう。そして、もう会えないけれど会いたい人のことを思い浮かべながら聴いて下さい、というようなひと言。

それに続いてIntro~きつねのよめいり~ から まなつのなみだ2019へ。青と緑の照明が夏の空と瑞々しい緑の風景を描き、その中で響くバイオリンの音がふわりと流れてゆく風のようだった。つい先ほどの話を思い出しながら卓郎さんが丁寧に歌ってゆく言葉を聴きながら、頭の中では薄っすらと色々な人の顔が浮かんでは消えていって、懐かしいような少し物寂しいような気持になった。

本編最後の曲は四川省、若干しんみりとした空気を和やかにさせるような優しい曲でしめくくる。こうやって聴いてみるとエンドロール感もあるような。

 

本編が終わり、アンコールに応えて再び出てくる卓郎さんと滝さんは、新しいグッズ“化けTシャツ”を着用。卓郎さんは卓郎さんの顔がプリントされたTシャツ、滝さんも滝さんの顔がプリントされたTシャツをそれぞれ着ていた。バルコニーに登場するとTシャツのプリント部分を両手で隠して恥ずかしがるような仕草をする卓郎さん。爲川さん、下上さん、ロッキーさん、真緒ちゃんは6人の顔がプリントされているワンマン限定の“化けTシャツ”で登場。本編のどこかで卓郎さんが化けTシャツについて、「他の4人にも着てもらってステージでパッと見せる」「(多分客に向けての話)おれと滝のTシャツどっちが多いか、みたいなのは…心がもたないのでやめます」と冗談交じりに言っていた。自身の顔がTシャツになっている卓郎さんと滝さんはどっちがどっちを着ればいいのか、という話にもなり「おれが滝のTシャツ着て、滝がおれのTシャツ着たらオセロの最初みたいだよね」とも話していたので後で卓郎さんの言った通りの出で立ちで出てくるのかな…と思っていたが、ふたりとも自身の顔のTシャツを着用。

 

まなつのなみだを再録したことについて、単純に「良い曲だからベース入れたいよね!」という気持ちだったと言って和ませる卓郎さん。「キツネノマド」のアレンジもとても素敵だったが、確かにあれほどの曲であればフルメンバーでアレンジを再構築してレコーディングしたくなる気持ちもよく分かる。

まなつのなみだの話なのでこのあたりで出たか、良い曲だからみんなのうたとかで流れたらいいねという感じの話になって、「みんなのうたは曲をリクエストすることができるんだって」と言った卓郎さん、客たちに向かって「リクエスト、みんな好きでしょ…?」と圧をかけてくる。卓郎さんにしては珍しい物言いが面白かった。それに関連して、みんなのうたで今放送されている曲?パプリカの振りを卓郎さんが真似していた。

 

キツネツキのテーマ2から再び演奏が始まる。続いて卓郎さんが「ケダモノダモノ2019!」と叫ぶと本編ではふたりで演奏したケダモノダモノを再び6人で。この日一番、というくらいに盛り上がるフロア。ステージ上もそれは一緒で、曲が始まるとドラムを叩くロッキーさん以外はステージ前方まで一斉に出てきて演奏を始め、その後もステージ上を思い思いに動き回る。ここまでずっと大きな帽子と眼鏡を着用してアルカラの時よりは控えめに動いていた下上さんがいつの間にか帽子も眼鏡も外れ、普段と同じように鋭い目つきで思いっきり動きまくっていた。2番を歌ったのは卓郎さんではなく滝さん!澄んだ歌声で元気に歌っていた。まさか滝さんがソロで歌うのを観られてしまうとは…!とびっくり。

畳み掛けるようにこの日最後の曲、C.C.Odoshiへ。更に動きが激しくなる6人、この時だったか卓郎さんが途中でギターを置いて階段を登り始め、バルコニーから一度退場、しばらくするとどこからかステージに帰ってくるというやりたい放題っぷりを見せていた。演奏している本人たちが一番楽しんでいるように見えた。卓郎さんの自由さも痛快な光景で余計楽しい気持ちになった。

 

演奏が終わると順番に階段を上がってバルコニーへ。6人がバルコニーに揃ったところでステージにいた時と同じ順番で横に並び、手をつないでお辞儀。やり切った!楽しかった!という表情、良い笑顔の6人を見てまた嬉しくなった。それも終わると次々と退場していったが、最後に残った卓郎さんが流れていたBGM(キツネツキの登場SE)に合わせて足踏みをしながらゆっくりとカーテンの中へ入って行…きそうで行かない、というフェイントをかけたり、一度下がったりと長々とその場にいて、最後に一際いい笑顔をこちらに向けてカーテンの向こうへ消えていった。

 

この日、卓郎さんはずっとゴールドのBricoleur、滝さんはリバースヘッドのSufferで演奏していた。これまでのキツネツキのライブで登場していた、卓郎さんのスーパーソニックと滝さんのフライングV、キツネみたいな色のギターはそれぞれサブとして用意されていたが、最後まで使われなかった。

 

この日、キツネツキの持ち曲をほとんど(QB以外?)演奏したと思われるが、曲が少ないからと卓郎さんが何度もMCを入れ、のんびりと喋っていた。以下、覚えてるだけメモ。

 

キツネツキは以前から卓郎さんが話し始めると滝さん達が徐にBGMを奏で始める、というのが恒例となっているがこの日も何度もあり、卓郎さんがMCにこんなにしっかりしたBGM付いてるバンドいないよね、と話していた。

卓郎さんがチューニングをしている?時にもBGMが演奏され、卓郎さんが「みんなちょっと踊ってて!」とフロアに向かって言う場面もあった。

 

何かの曲に入る前だったか、卓郎さんが何の気なしに「いきますよ~!」と客に向かって言った後に、「9mmとは“いけるかー!”だけど、キツネツキでは“いきますよ~!”にしよう!」と閃いたように言っていて、これ以降卓郎さんの煽りは「いきますよ~!」になっていた。ゆるい感じがキツネツキにぴったりで、9mmとも近いし、「いきますよ~」と煽られた客たちは呼ばれて返事を返す時のように「はーい!」と言わんばかりに手を上げていたのも和やかな光景で、それもキツネツキに合っていた。

 

まなつのなみだの再録の話に関連して?だったかもしれないが、「2023年にはテクノバージョンになってるかもしれない」と言ってから自分で「台無し…」と言ってしまった卓郎さん。2034年?にはアフリカ民謡みたいになってるかも、ロッキーが打楽器持ってきて…とも話していた。一見微笑ましいワンダーな雑談にも思えたが、卓郎さんがそんなことを言うくらい、当然のようにこれからもキツネツキを続けるつもりがあるからこそ出てきた話だったのかな、とライブが終わった後に考えて嬉しくなった。

 

ロッキーさんがひまわり柄の短パンを穿いていることを紹介する卓郎さん。上手の様子は下手のこちらからは見えなかったが、最後に退場する時によく見えた。とても可愛い柄だった。

 

この日の5日前にロッキンに出演した9mm、その時に卓郎さんがMCであまりの暑さに「おれたちもソーラーパネルみたいに発電できればいいのに」と言ったことに言及…していたがどういうふうに言及していたかをど忘れしてしまった。その表現についてこちらに同意を求めるような感じ、だったか。

 

新しいグッズのBIG尻尾キーホルダーを付けてライブをしていた卓郎さん、付けている位置的にギターの陰に隠れて客側から見えないことに気付いてMC中に逆側に付け替えていた。アンコールで取り憑かれメンバー達も尻尾を付けていて、各々の楽器を手に取るために後ろを向くと尻尾が見えた。それを見た卓郎さんが「隠さないとバレちゃうよー」

もうひとつの新しいグッズであるタオルを可愛いと言った卓郎さん、多分その流れからだと思うが取り憑かれメンバー達がそれぞれ徐にタオルを使い出して、真緒ちゃんやロッキーさんは肩にかけて、滝さんは卓郎さんが思わずそっちを向いてしまうくらい長めに顔を拭いていて…という“さりげない”宣伝が行われていた。

 

アンコール?何かのタイミングで「さ~て」と、何か(日曜日に放送している某アニメ)を彷彿とさせるような言い方をした卓郎さん。しかし元々意図した何か(恐らく金曜日に放送している某アニメ)ではない台詞を間違えて言ってしまったらしい。その後、「さ~て」に関連付けるように「姉さ~んおやつまだ?」と言ったり「あ、違う“ただいま~!”だった!」と言ったり。その間に状況を察した下上さんと滝さんがどこかで聴いたようなメロディーのBGMを演奏し始めるという見事な連携プレー。

 

取り憑かれメンバーに向かって「告知とかある?」と卓郎さんが話しかけるも、遠慮してなのか?誰も何も言わなかったという場面があった。その時だったか、また別のブロックだったか、この日の21時に9mmの新しいMVが解禁になります、という情報が一足お先に卓郎さんから告げられた。表現はかなりうろ覚えだが、もちろん発売するまで絶対に聴きません!というのもいいし、事前に聴きながら楽しみにしてくれるのも嬉しいな、と言っていた、気がする。

 

 

繰り返しになってしまうが、本当にステージ上の6人が一番楽しんでいる、というくらいに楽しそうに演奏していてその様子が本当に嬉しかった。上手側はあまり見えなかったが、滝さんがギターのネックを振り回したり、何度もステージ前方まで出てきて元気に弾いていた。どこかの曲で真緒ちゃんと爲川さんがふたり向かい合ってバチバチな感じでそれぞれ弾きまくっていたのがその光景だけははっきりと記憶に焼き付いているほどかっこよかった。弓を振り上げながらこちらを煽る威勢のいい真緒ちゃんの姿も、アンコールで完全にスイッチが入った時の下上さんも。

卓郎さんも少し言及していたが「はちがつはあなたにあいたい」と歌うまなつのなみだを8月に聴けたこともとてもよかった。もう会えない人に思いを馳せることが身近にある季節に、この歌が聴けたことを。

そしてキツネツキという存在が今や卓郎さんと滝さんにとって“生きるために必要なもの”だったという話が聴けたこと。キツネツキ結成の頃には滝さんのリハビリ的な意味も兼ねていたからそういう意味でも大きかったと思うけれど、ふたりが難しいことを考えず気の向くままにのんびり活動できるという環境にとても助けられていたんだな、と。だからこちらも、サイコーなふたりがこれからもキツネツキとしてどこまでもいくのを、楽しく観続けていきたい。

20190804/ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019 DAY 2 の記録

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暑さに滅法弱い人が2度目のロッキンに行ってきました。今後の参考にすべく、ざっくりと記録を残す。

2年前に初めて行った時には天気が良く、暑さはあったものの気温はそんなに高くなかったような…意外と過ごしやすかった、という記憶。とにかく、どれだけ体力を温存して過ごせるかを考えながら回った。結果的に初見のアーティストや観たことはあってもそれほど詳しくないアーティストを中心に少しずつ観ていたため、セトリ等詳細を把握できたのは9mmと途中から観たアルカラぐらい。しかし、普段なかなか観ない人達を観られた、いい回り方をしたと思っている。

 

2019年8月4日、快晴。

10:30~のアルカラを観るためにある程度時間に余裕を持って勝田駅に到着したが、精算やバス乗り場等色々な行列に引っかかりバスに乗れたのが10:30という幸先の悪さ。

 

◆10:30 LAKE STAGE

アルカラ

 

新曲(タイトルなし/ROCK IN JAPANに出た瞬間)

キャッチーを科学する

さすらい

 

聴けたのは上記の3曲。到着すると太佑さんが何やら真面目なコードの話をしているようだった。すぐに、まだタイトルがないという新曲をこの日に合わせ“ROCK IN JAPANに出た瞬間”という仮タイトル?で演奏し始める。

演奏が終わると、かっこいい新曲があと2曲出来てるけど今日はこのくらいにしたるわ!という感じのことを太佑さんが話す。

流石の盛り上がりだったキャッチーを科学する。後方中央あたりで観ていたためステージ全体がよく見えた。さすらい で中盤で下上さん、疋田さん、為川さんが一斉にギター・ベース・スティックを高く掲げた瞬間は見事だった。

 

後ろで涼んでる人もありがとうございます、と後方にいる人に感謝の気持ちを述べつつフロントエリアの客にそろそろ下がり、年齢考えろや!と言って笑いを取る太佑さん。出演者についても20年前から出てるってどういうことや!的なことを言っていじる。20年という長きにわたり開催されているこのフェスと、それに長く出続けているアーティスト達を太佑さんらしい言葉で称賛していたように聞こえた。

後から聞いた話によると、アルカラと同じ時間にGRASS STAGEに出演していた欅坂46の「不協和音」をカバーするというここでしか見られないような選曲があったらしい。自分のミスでそれを観ることができなかったことが悔やまれる。

 

 

◆11:40 LAKE STAGE

パスピエ

 

まだ昼前にも関わらず、既に日差しがきつい。後方の日陰の下、真ん中あたりで座って観ることにした。風が吹いてくると結構涼しく、ステージ全体がよく見渡せるため終始かなり快適に観ることができた。

パスピエは知っている曲が少なかったため、この日のセトリの中で知っていたのは「MATATABISTEP」のみ。でも曲を知らなくてももちろん楽しかった。勝手なイメージではあるが、曲は頭脳派でライブはかなり熱い、という印象だったが今回も個人的にはその印象通りだったな、という感想。可愛らしい声で煽ったりもしながら、羽織のような衣装の大胡田さんが上手下手とステージ上を悠々と動き回りながら歌う。その様子と響く軽やかな歌声は大胡田さんの周りだけ5℃くらい気温が下がっていそうな爽やかさもあった。

中盤の曲でナリハネさんが見事なソロを披露している間には大胡田さんがそちらに注目させるように屈んでナリハネさんを指していた。最後の曲では三澤さんが露崎さんの方まで出て行って隣でギターを弾きまくるなどの見所も。

最後に大胡田さんが休憩、水分補給気をつけて最後まで楽しんでね、という感じの優しいひと言を投げかけて退場。

 

 

パスピエ後、森のキッチンにて食事を摂りつつ涼んでいるとSOUND OF FORESTでライブ中だったSAKANAMONの「マジックアワー」が聴こえてきたのでそれを聴きながら休憩。その後一旦LAKE STAGEの方へ戻るとSKY-HIの演奏中(サウンドチェックだったかもしれない)だったので少しだけ様子を窺う。DJ+生バンド、という編成だったのか、曲を全く聴いたことがなかったのでとても気になったが、カエラちゃんが既に始まっていたのでPARK STAGEに向かう。

 

 

◆12:50 PARK STAGE

木村カエラ

 

15周年スペシャルメドレー

BEAT

Magic Music

 

聴けたのは上記の曲。PARK STAGEに近付くとButterflyが聴こえてきた。ようやくステージが見えるくらいの所まで辿り着くと、自身が15周年を迎えたこと、私の15年はこの45分ではとても足りない、という感じのひと言からメドレーを作ってきましたと言って演奏が始まる。STARs、Samantha、Ring a Ding Dong、Jasper、TREE CLIMBERS、Yellow、など…よく知っている曲たちが次々と演奏される。

メドレーが終わるとカエラちゃんがギターを弾きながら歌うBEAT、最後に「みんなの笑顔が見たい!!」とカエラちゃんがとびきりの笑顔を見せたMagic Musicへ。

ちゃんとライブを観たのはもしかしたらこれが2度目くらいだったかもしれないが、かつてカエラちゃんがモデル時代からMCとして出演していた番組「sakusaku」のファンだったためその時からよく観ていた存在だったし、曲もある程度聴いてきた。だから時間が経ってからこういう形でまた観ることができ、よく知っている曲たちを目の前で聴くことができて嬉しかった。

 

 

◆14:00 PARK STAGE

9mm Parabellum Bullet

 

カエラちゃん終了後に人の流れに乗って前方へ進んでゆくと辿り着いたのは下手のフロントエリア。和彦さんは近い、かみじょうさんは見えない、卓郎さんと滝さんは見えそう、武田さんはほぼ見えなさそう、という位置。一番気温が高くなるであろう時間帯、そして当然日陰などないフロントエリア、とにかく暑い…。

転換が始まってしばらく経つと、黒いTシャツ姿の和彦さんが出てきて自らチェックを始める。見逃していたが最初にピック弾きで確認していたのか?その後ピックを咥えながら指弾きで確認をし、足元の確認もするとステージを去る。その後には武田さんも出てきて、同様に自らチェックを始めていた。

転換中は様々なアーティストの曲がBGMとして流れていたが、あと2分ほどで定刻というタイミングで9mmにも縁のあるa flood of circleの「Flyer's Waltz」が丁度流れてきて大喜びで聴いているとサビに差し掛かったあたりで定刻になり曲が途絶えてしまう。それと同時にジングルが流れ始める。

Digital Hardcoreが流れる中登場する5人。この日のサポートギタリストはHEREの武田将幸さん。滝さんがサングラスをかけて登場するといういきなりレアな姿を見せるが、演奏が始まる直前には既に外していた。

 

ハートに火をつけて

Cold Edge

キャリーオン

ガラスの街のアリス

黒い森の旅人

名もなきヒーロー

新しい光

太陽が欲しいだけ

Black Market Blues

 

初っ端からハー火という灼熱のステージを更に熱くする選曲!和彦さんは最初から前に出てきて何度もこちらを煽る。煽る時に舌をぺろっと出す仕草も。間奏ではいつものようにお立ち台の上でギターのネックを横に振る滝さんの姿が見えた。最後まで歌い終わった卓郎さんが客席を覗き込むように僅かに身を屈めて楽しそうな表情を見せた。

間髪入れずにドラムを2小節挟み、Cold Edgeへ!益々熱量の上がるステージ、間奏前には和彦さんが「ひたちなかー!!!」と思いっきりシャウト!!勇ましい目つきでソロを弾く滝さん。「逃げ切れるつもりで罪を~」の部分ではかみじょうさんが華麗に回すスティックが辛うじて見えた。

続いてキャリーオン、卓郎さんが2番で「声を聴かせてくれ!!!」と叫ぶと大歓声が返ってくる。当たり前かもしれないがその歓声も普段のライブより圧倒的に声が大きく、フェスならではの迫力があった。

この辺りのブロックでは、和彦さんが足元の機材を飛び越えるようにぴょんとジャンプして横に出てきたり勢いをつけて1回転ジャンプをしたり、という場面も。滝さんは曲の途中でかみじょうさんか卓郎さん(下手側から見るとどちらを見ていたのか角度的には分からず)の方を確認し、その時に少し目元を緩めている様子が見えた。とても調子が良さそうだ。

 

ここで最初のMCが入る。卓郎さんの第一声は「みんな無事かー!!?」だった。こちらの様子を心配してくれるようなひと言を真っ先に掛けてくれたのが優しい卓郎さんらしいなと思いながら聴いていた。しかしそれに応える客の歓声が心なしか少し弱かったのが暑さの影響を表しているようでもあった。その後にはこちらを煽るようなひと言を卓郎さんが続けていた気がする。

ロッキンが20周年を迎えたことに触れ、9mmは2007年?に初出演してからずっと出ていて干支が一周した、という感じの話も出ていた。

 

MCに続いてガラスの街のアリス。この時には人の動きが変わりあまりステージが見えなかったので聴く方に集中。この曲がフェスの定番曲としてセトリに入っているのが嬉しい。

そこから滝さんが音を切らずに静かにギターを奏で続ける。ここから黒い森の旅人に繫がる静かなアレンジへ。ピックを咥えながら指弾きで優しい音を奏でる滝さん。ここまではかなりの暑さだったPARK STAGE、この瞬間、静かなギターの音に合わせるかのように心地よい風が吹いてきた。曲に入った後も森の中を思わせるような爽やかな風が吹いていた。自然をも味方につけたような、この上なく素晴らしい演出のようだった。序盤から卓郎さん越しにかみじょうさんの腕とスティックだけが見え、かみじょうさんがどれほど大きく腕を振りながら叩いていたのかがよく分かる。9mmの曲の中でも野外が似合う曲のひとつで、今思えばPARK STAGE後方の木陰で聴いていた方が曲に合っていたかもしれない。

 

この辺りで2回目のMCが。あまりの暑さに「おれたちもソーラーパネルみたいに発電できたらいいのに」という発言が飛び出したり、太陽を指さしながら(卓郎さんに合わせて和彦さんも一緒に指さしていた)「カエラちゃんの時にもう暑さのピーク(的な表現だったが失念)だと思ったけど…まだ余力残してましたねこの人」と暑さを表現していた卓郎さん。おれたちには夏を感じさせる曲がないから…という感じの話や、9月にリリースされるアルバム、DEEP BLUEの話題にも少しだけ触れていたのはこの時だったか。

 

そして次の曲はDEEP BLUEにも収録される名もなきヒーロー、手拍子が発生するところで滝さんがギターを掲げてネックを叩いて手拍子を煽るような動きをしていた。4月にリリースされたこの曲も、今ではすっかり他の曲に負けないくらいに盛り上がる曲になっていた。

続いては新しい光、今年からイントロ前に卓郎さんと滝さんが曲中のフレーズに近いようなメロディーをふたりでギターで弾いてから徐々にベースとドラムが重なり曲に入る、というアレンジで演奏されている。だがこの日はこれまでとは違い卓郎さんと滝さんが静かに音を出している間にかみじょうさんがカウントを入れ、そこからライブアレンジのギターに入るという、初めて聴く入り方だった。限られた持ち時間の中で多少の時間短縮という意味もあったのだろうか。正直、ほんの僅かに普段とは違うアレンジを聴けたこの瞬間を観られただけでここまで観に来た甲斐があった、と思った。サビではこの日一番の大合唱!!1サビの後には卓郎さんが下手へ、入れ替わるように和彦さんが真ん中へ移動してからギター・ベースを一斉に掲げる部分へ。間奏後には和彦さんがシャウトする時にこちらから姿が全く見えなったので、それほど屈んでマイクに近づいていたことが窺える。この時だったか、それまで見えなかった武田さんが下手のこちらから見えるくらいにステージ前に張り出してきていた。

 

「おれたち欲張りだからさ、もうちょっと欲しいよね!」という卓郎さんのひと言で次の曲を察する。太陽が欲しいだけ!!快晴の下で真っ直ぐに響く力強い演奏と卓郎さんの歌声が最高にかっこいい!「さあ両手を広げて~」の部分では歌詞に合わせるように無数の手が客席から上がる。それ越しに観るステージ、という光景は圧巻だった。

最後の曲はBMB、卓郎さんが「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019に辿り着いたら!!」と捲し立てるように歌う。2番の「迷える子羊たちが~」の部分では和彦さんが片手でベースを高く掲げ、何度も自身の胸を拳で叩いてからベースのボディを思いっきり平手で叩く。9mmの中でも一番の定番曲とも言えるBMBを最後に持ってきたことで、これ以上ないというくらいの盛り上がりでこの日のライブを締めくくった。

 

演奏が終わると武田さんと滝さんは早々と退場。下手に視線を移した時に丁度和彦さんの投げたペットボトルが頭上を通過していった。卓郎さんは時間的な問題か、いつもより短めに挨拶。後ろからかみじょうさんが顔を拭いながら出てきて客に向かって軽く手を振るようにして退場していった。

 

今年ロッキンに来るという決断をした最大の理由は「9mmをひたちなかで観たい」だった。14時の野外、本当に暑かったし、ステージは言わずもがなの熱さだった。それでも、本気を出した太陽の下で聴けた「太陽が欲しいだけ」は最高に気持ち良かった。ここまで観に来て本当に良かった。

 

 

9mmの次はLAKE STAGEのthe band apartを観に行くつもりだった。しかし、フロントエリアで暑さにやられて一気に体力を減らしてしまったので断念。PARK STAGE近くの木陰で休んだ後、ハングリーフィールド~みなと屋などGRASS STAGEの周りをゆっくり歩く。みなと屋で休憩を取っているとGRASS STAGEでライブ中のPerfumeの「P.T.A.のコーナー」が聴こえてきた。折角なので、とGRASS STAGEに向かう。

 

 

◆15:30 GRASS STAGE

Perfume

 

FAKE IT

TOKYO GIRL

無限未来

 

GRASS STAGEに辿り着いてから観られたのが上記の3曲。かなり後方からステージを観ていたが、蛍光色の衣装が黒いステージによく映えていて、遠くからでも3人の動きがよく分かる。恐らくPerfumeを観たのは9年振りくらいか。3人の美しい動きに目を奪われ、可愛らしい口調のMCにとても和んだ。この日のセトリは今後リリースされるベストに入っている曲で構成されていたそう。

無限未来の前にあ~ちゃんが、「日本の音楽は世界レベルだと胸張ってくれよ!」「私達も頑張って音楽を続けるから」と言っていた。今や海外のステージにも立っているからこその言葉、胸を打たれると同時に色々と考えさせられる重い言葉だった。

あ~ちゃんが、最後まで残っていてくれてありがとう、優しい~、と満員の客席に向かってひと言。こちらからするとPerfumeならGRASSが人で埋め尽くされて当然だと思っていたが、それを当たり前と思わずに客に向かってそのようなひと言を投げかけていたことにあ~ちゃんの誠意や優しさが窺えた。

 

 

◆16:20 BUZZ STAGE

THE PINBALLS

 

GRASS STAGEから移動して来たらちょうどライブが始まっていたので寄ってみた。ライブを観たことがなく、それどころか実は1曲も聴いたことがないバンド。

屋根のあるBUZZ STAGE、風が入ってくるとかなり過ごしやすい、涼しい。それとは対照的にもの凄い熱量の演奏が繰り広げられ、威勢のいいロックンロールがこれでもかと繰り出される。全然知らない曲なのに、気付けば拳を振り上げ歓声を上げていた。とにかく楽しかった。

 

ボーカル・古川さんが喉の不調でしばらくライブを休んだ、という報せはどこかで読んだので何となく知ってはいたが、復帰後最初のライブがこのステージだったらしい。客席から「おかえり!!」という声が上がり、MC中にステージ横のモニターに映されていた、おそらく最前列にいると思われるファンの方の感極まる様子を観て、これが初めましてだったけれどもこのバンドがロッキンで無事に音を鳴らせていることを一緒になって喜んだ。

 

 

THE PINBALLS終了後には再びみなと屋に戻って休む。この時には暑さも結構和らいでいたかと思う。GRASS STAGEとBUZZ STAGEに近く、昼過ぎには混雑もなく、冷たい美味しいものが色々あったみなと屋は暑くて広い会場内ではとてもありがたい存在だった。

 

 

◆18:05 GRASS STAGE

10-FEET

 

かなり後方にいたためモニターでステージの様子を観ていた。赤い照明の中、羽織っていたシャツの裾をなびかせながら登場したTAKUMAさんがやたらかっこよかった。

とても楽しみで、本当は全部観たかったが特急の時間とシャトルバスの混雑を懸念して1曲目のVIBES BY VIBESのみ聴いたところで泣く泣く切り上げる。

 

シャトルバス乗り場へ向かっているとPARK STAGEを過ぎたあたりで花火が上がった。丁度PARK STAGEトリ、KREVAのライブが終わったところだったようだ。LAKE STAGE近くまで到着すると[Alexandros]のワタリドリが聴こえてきた。忘れらんねえよサウンドチェック中だった。

忘れも観たかったが急いでバス乗り場へ。既に長くなっていたシャトルバスの列に並ぶ。LAKE STAGEから聴こえてくる「この高鳴りをなんと呼ぶ」の演奏に見送られながら会場を後にした。

 

 

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厳しい暑さの中、多めに休息を取りながら回ったおかげで何とか1日元気に過ごせた。

服装はTシャツ、その下にユニクロのエアリズム、膝下丈のワイドパンツ。それに帽子(アウトドア用のゴアテックスのやつ)とバスタオルを装備。帽子とバスタオルのお陰でほとんど日焼けせずに済んだ。

また、会場の気候が自分の住んでいる所よりも湿度が少なく、涼しい風が吹いていたため日差しを避けられれば思いのほか快適な時間もあった。

 

<良かった点>

 

・休憩を小まめに取り、食事と水分補給の時間もしっかり確保した

・ステージ間移動もかなりゆっくり、時間をかけた

・9mm以外はフロントエリアに行かないようにした

  →これでかなり体力を温存できた

 

・自宅にあった数年前のポータブル扇風機が意外と役に立った

・荷物を最小限にまとめた(小さめのショルダー1個+タオル)

・帰りのシャトルバス混雑を予想して早く出てきたため焦らずに済んだ

 

<反省点>

・行きの特急は特急券のみ切符購入にすれば精算しないで済んだ

シャトルバス・切符売り場の混雑を甘く見ていた

・そもそも水戸駅からバスの方が良かった

・帰りのシャトルバス混雑を予想して早く出過ぎてしまい勝田駅で暇を持て余した

→主に移動に関することで反省点が多々あった。

 

 

会場内にはミストや水を撒いているスペースがあったり、GRASS STAGEに至る道、観覧車の下あたりで砕いた氷を撒いていたりと暑い中でも少しでも客を涼しい気分にさせるものがたくさんあった。暑さ対策をきちんとして無理せずゆっくり回れば自分のように暑さに弱くても1日過ごせると分かったので、今後はひたちなかに行く回数が増えるかもしれない。最高に暑く、最高に熱い、楽しい夏を過ごすために。

20190722/9mm Parabellum Bullet“6番勝負”@LIQUIDROOM

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9mmの15周年企画、6番勝負の4戦目。恵比寿LIQUIDROOMにて対戦相手にUNISON SQUARE GARDENを迎えての開催。

ニゾンも今年15周年なのでバンドとしては9mmと同い年。ユニゾンも今年15周年企画が色々あり、そのひとつであるトリビュートアルバム「Thank you,ROCK BANDS!」には9mmも参加しているし、そのリリースを記念して新木場STUDIO COASTにて開催されるライブの8月29日公演には卓郎さんと滝さんが出演する。

更に、LIQUIDROOMも現在の場所・恵比寿に移転してから今年で15周年ということで三者共に15周年を迎えた非常にめでたい組み合わせのライブ。9mm・ユニゾンLIQUIDROOMという組み合わせのライブはこれが2度目で、6年前の2013年にはLIQUIDROOM主催のイベントという形で“TRIPLE 9th ANNIVERSARY”として開催されたことがある(LIQUIDROOMは毎年7月~9月頃に周年イベントとして多くのライブを開催している)。卓郎さんが以前出演したラジオ番組で、6番勝負は対戦相手に日付と場所を決めてもらった、という感じの話をしていたので、そこから考えるとこの“同い年三者の組み合わせでのライブ”を再び開催することを、ユニゾン側が希望したと考えられる。

 

この日会場に入れたのは客が半分以上入場した後だった。リキッドは柱の後ろ以外は大体どこにいても観やすい会場ではあるが、やはり後方の段の上は大方埋まっていた。一番後ろの段の上は何故か入れないようになっていた。フロア前方も当然半分くらいは埋まっていたが、下手前方は意外とスペースが空いており、最終的にその辺りに落ち着く。真ん中から上手まではほぼ見えなさそうだけれど下手は結構近い、という感じの視界。

 

 

UNISON SQUARE GARDEN

 

シュガーソングとビターステップ

何かが変わりそう

天国と地獄

サイレンインザスパ

フィクションフリーククライシス

BUSTER DICE MISERY

WINDOW開ける

天国と地獄

fake town baby

桜のあと(all quartets lead to the?)         

 

1曲目からシュガーソングとビターステップで華々しく始まる。最初から田淵さんが目を大きく見開いてベースを弾いているのが見えた。楽しい気持ちで聴きながら、最初は定番曲から入るのかな、などというつまらないことを考えていたがその予想をいきなり2曲目からひっくり返した次の曲…何かが変わりそう!とても祝祭感がある流れで更に楽しい!ユニゾンの普段のセトリをそこまで把握していないため、もしかしたら意外とセトリに入る曲なのかもしれないけれど、対バンでこの曲やるんだ!という驚きと共にこの後のセトリへの期待が膨らむ。この時、田淵さんが曲中にベースを交換していたから何かあったのか…スマートに交換して何事もなかったかのように演奏に戻っていた見事な瞬間を食い入るように見てしまった。そのあと次の曲に入る前に斎藤さんが下手の様子を確認するように見ていたような瞬間があった。偶然かもしれないけれど。

次の曲は天国と地獄、自分がユニゾンを観る時にはライブの終盤で演奏されることが多いため3曲目という早さでこの曲が入ってきたことに驚かされる。曲に入る前に入れられるライブバージョンのアレンジは何度聴いてもとても好きなところ。田淵さんがいつものように足を高く振り上げながら弾いていたり、僅かに見えた斎藤さんがその時にはキリッとした表情で歌っている様子が記憶に残っている。

 

そして更に驚かされることとなった次の曲…イントロを聴いてどの曲が来るかを把握した瞬間に喜びとあまりの驚きで思いっきり声を上げてしまった。サイレンインザスパイ!!緑と紫の照明に照らされながら歌う斎藤さんの姿ははっきりと覚えているが、あまりの嬉しさに視覚的な記憶が吹っ飛んでしまった。この曲も意外と普段は演奏されるのだろうか…ユニゾンの中でも特に好きな曲のひとつで、ライブで聴けたのはこれが初めてかもしれない。予想外のタイミングで聴けたのが嬉し過ぎて、観ている間もどこか現実味が無いように思えたほど。

まだまだ驚かされっぱなしのセトリは続く。軽快なギターから始まったのはフィクションフリーククライシス、イントロの軽快なリズムに合わせるように田淵さんが横に揺れる。くるくる変わってゆく曲展開にぐいぐいと引き込まれる心地良さ。間奏では斎藤さんが見事なギターソロを弾ききる様子が何とか人の隙間から見えた。

次はBUSTER DICE MISERY…サイレンインザスパイからここまでとにかく攻めまくるようなセトリ、ユニゾンのワンマンに来たんだっけ?と思ってしまうほどの展開。キレのあるイントロに痺れ、続く裏拍のリズムにゆらゆらと身を任せる。この曲も初めてライブで聴けた。間奏のソロに入るとすかさず斎藤さんがチョーキングでぐっと体を反らし弾き始める熱い弾きっぷりに目を奪われ、斎藤さん・田淵さん・貴雄さんが見事に音を止めるタイミングを合わせるとフロアからは大歓声。

ここまで攻めまくるような流れが続いたが、僅かな間を空けて静かなギターが鳴ると空気が一瞬にして変わる。WINDOW開ける、間奏では斎藤さんと田淵さんが同時に体を反らすなど息ぴったりな様子が見えた。最後までじっくりと聴き浸る。

 

ここで斎藤さんが話し始める。「9mm Parabellum Bullet、15周年おめでとうございます!偶然ですがユニゾンLIQUIDROOMも15周年です。」(喝采)「正直15年続くと思わなかった!人間で言うと中3でしょ?」と例える。

6年前、2013年の9周年の時にも今回と同じ組み合わせでライブをやったという話で、その時に卓郎さんが「同い年ということは、この三つ巴で毎年周年が出来る」と言っていたと。それを聴きながら頭の奥の方に眠っていた記憶が僅かに蘇ってくる。「続けていたらまた一緒にやるかもしれないけれど、価値が下がるから頻繁にはやらない!笑」「でも続けていればまた一緒にやれると思えるのは心強い」と続ける。この話をしている間、斎藤さんはずっと笑顔だった。

斎藤さんが更に続ける。ユニゾンが始めて3人でスタジオ入って音を出したのが7月24日なのでその日を結成日としており、明後日かな…結成15周年のその日にトリビュートアルバムが出ます、9mmにも参加してもらっている、と。

「6年前(9周年で対バンした時)に出来たばかりの曲をライブでやったら9mmに“その曲いいね、馬鹿っぽくて!”と言ってもらって。」と斎藤さんが話すその曲こそトリビュートで9mmがカバーした、徹頭徹尾夜な夜なドライブ。「聴かせてもらったらもう笑っちゃうくらいめっちゃ9mmで!」だから24日にトリビュートが出たら夜な夜なドライブはしばらく9mmの曲になりそうだから本家が今のうちにやっておきます!というような紹介をして…

 

…それに続く曲はもちろん、徹頭徹尾夜な夜なドライブ!!9mmがカバーしたからきっとこの2マンで聴けるはず、聴きたい、という願いが叶った!おそらくライブで聴けたのは5年振りくらい。間奏では斎藤さんがソロを弾きながらステージの真ん中へ出てきて、それに合わせるように田淵さんも真ん中の方に出てきてふたり並んで弾いていたように見えた。その前後だったと思うが、貴雄さんが音源以上にドラムを叩きまくっているようだった。 間奏の後には田淵さんが「東の空から夜な夜なドライブ」と歌いながら、両手を目の上に当てて遠くの方まで見渡すような仕草をしていた。とにかく楽しかった!

これでもかというくらい盛り上がったところに投下されたfake town baby、再び攻めの展開へ。虹色の照明がステージを彩る。文字にすると月並みな表現になってしまうが、頭の中が「かっこいい!!」のひと言でいっぱいになる。

「ラスト!」のひと言から桜のあと(all quartets lead to the?)へ。ステージが淡いピンクに染まる。最後のサビ前、田淵さんがフロアを隅々まで見回すように視線を動かしていて、その時の田淵さんが本当に楽しそうな笑顔を浮かべていた。

演奏が終わると「次は9mm Parabellum Bulletです!!」と斎藤さんが笑顔で言い、退場。

 

下手にいたので斎藤さんはたまにしか見えなかったし、貴雄さんはもっと見えなかった。けれども貴雄さんがスティックをくるくると回してみせた瞬間が奇跡的に見えたり、終盤ではステージの空いているスペースいっぱいに動き回る田淵さんを見て笑顔になっていた斎藤さんの姿が見えた。

ニゾン、もの凄い、攻めまくりのセトリだった。次々と繰り出される曲を聴きながらずっと驚かされっぱなしだった。そして今更だと言われてしまうかもしれないけれど、やっぱり、なんて華のあるバンドなのだろうか…とかなり久々に(ここ数年で観てきた会場と比べると)近くで観られて改めて思った。

斎藤さんが6年前の対バンの話を出してくれたのも嬉しい。自分は6年前の対バンも観に行っていて、今やユニゾンの中で最も大好きな曲である徹頭徹尾夜な夜なドライブは、その時には名前も分からない新曲だったにも関わらずたった1回聴いただけで頭から離れなくなり、一発でこの曲好きだ!と思い、あの曲をまた聴きたいと思い続け、その後運良くライブで聴ける機会もあり、益々大好きになった曲。初めて聴いた時にはそれほどの衝撃だった。あの時に卓郎さん達も夜な夜なドライブを聴いて同じように好きになったんだなと思うと何だか嬉しかった。

 

転換を挟み9mmへ。普段30分くらいかけて丁寧にセッティングを行う9mm、この日も同じくらいの時間をかけていたと思われるが、いつもより短く感じられた。ユニゾンのライブがあまりにも良過ぎて、1曲1曲を思い出していたら時間があっという間に過ぎすぐにフロアが再び暗転した…ぐらいの感覚。ライブ中に多少流されはしたが、相変わらず下手で観る。先に書いてしまうが、和彦さんはよく見えた。卓郎さんも時折見えたし前の人の動きによって滝さんとかみじょうさんが僅かに見えた時もあった。しかし上手の一番端にいた武田さんが終始全く見えなかったのがとても残念だった。(このあと武田さんについて一切書いていないのは、全く見えなかったからという理由です。)

 

 

9mm Parabellum Bullet

 

The Revolutionary

ハートに火をつけて

Cold Edge

ガラスの街のアリス

名もなきヒーロー

Bone To Love You

黒い森の旅人

太陽が欲しいだけ

Black Market Blues

新しい光

ロング・グッドバイ

 

Punishment

Lovecall from The World

 

 

1曲目はThe Revolutonary、普段はセトリの終盤に来ることが多いためいきなり予想外の選曲!和彦さんはイントロから1回転ジャンプを披露したり、こちらを煽ったり。自分がいた場所から和彦さんの手元がちょうど遮る物なく見えた。この曲はピックで弾いているのだが、かなり柔らかい手つきで弾いていたことに驚きながら観ていた。

ステージが真っ赤に燃え上がるハートに火をつけて、2番では「かたく結びついてる」と歌いながら卓郎さんが自身の両手をマイクの前でぎゅっと握っていた。最後の「二人を燃やして すべてを燃やして」の部分でちらっと上手を窺うとコーラスをする滝さんが元気そうな様子だったので安心した。卓郎さんも終始笑顔で楽しそう!

かみじょうさんがドラムを2小節分入れると間髪入れずにCold Edgeへ!真っ赤なステージが一瞬にして青く染まる。この流れは定番になりつつあるが、一気にステージの空気が変わるようなこの一瞬は何度観てもとてもいい。卓郎さんは眉間に力を込めキリッとした表情に変わる。和彦さん、「リキッドーー!!!」と思いっきりシャウト!そこから、6番勝負の横浜以来のセトリ入りとなったガラスの街のアリス。折角下手にいるからとベースラインに集中して聴いていた。

 

今日は何度言ってもいいと思うので…9mm、LIQUIDROOMUNISON SQUARE GARDEN、15周年おめでとうございます!という感じで卓郎さんがひと言。その間、静かなギターの音が流れ続けていた。この時上手は全く見えなかったが、滝さんがギター弾いてるんだな、と。

 

名もなきヒーロー、イントロは真っ青な照明がこの曲の勇ましさを際立たせるかのような演出。その後はCDのジャケットに近いような配色だったか。「守りたいものにいつも守られているんだね」の部分、卓郎さんがどんな表情を浮かべているか観たくて視線をそちらに遣ると、優しげな視線でフロアを見渡しているように、こちらからは見えた。

続いてはBone To Love You、イントロでは照明が紅白の配色になっていて、この曲の祭り感を一層際立てていた。間奏では卓郎さんが左右の手を交互に上げたり下げたり、その後はパンチを繰り出すような仕草をしていた。滝さんが静かにギターを鳴らし、柔らかな音でメロディーを奏で始める…黒い森の旅人、淡い青を基調とした照明の中に白い光が射し込んできて、それをステージ近くの場所から見上げると木々の隙間から射し込む光のように見えた。

 

このあたりで「ユニゾンのトリビュートに9mmが参加していることが先ほど斎藤くんの口から報じられましたが…」と笑いを誘うような言い回しで卓郎さんが話し始める。要約すると、9mmはこれまで洋邦問わず多くのトリビュートアルバムに参加してきた(洋楽は1回だっけ…というような感じのひと言に2回!というような補足がフロアから入るという場面があったりした) 、“トリビューター”だけれど、今回は今までで一番の出来だ、とのこと。

 

そういう話の後だったのでここで夜な夜なドライブやるのか!?と勝手に期待をしてしまったが、卓郎さんの「いけるかーー!!!」から始まったのは太陽が欲しいだけ、でも嬉しい!曲中のどこかで和彦さんが左拳(こちらから見て右)で自身の頭を小突いていた。「さあ両手を広げて~」では無数の手が上がり、それ越しに見るステージは圧巻だった

Black Market Blues、「LIQUIDROOMに辿り着いたなら!!」と歌う卓郎さん。「迷える子羊達が~」の部分で和彦さんがベースを高く掲げるのはもう見慣れている大好きな光景で、それをほぼ真正面から見られた嬉しさ。それから、和彦さんがこの時には右拳(こちらから見て左)で自身の頭を小突いていた。

卓郎さんと滝さんが向き合いながら静かに音を合わせ始めるイントロから新しい光。中盤だったか、いつものギター・ベース3人がネックを上げるタイミングで卓郎さんが下手まで出てきてくれた。ほぼ見えなかったがその間に和彦さんは卓郎さんと入れ替わるように中央の方まで行っていたと思われる。

本編最後の曲はロング・グッドバイ。何度聴いても滝さんが元気にあのけたたましいタッピングを奏で始める瞬間にとても嬉しくなる。「孤独な光たちが~」の部分で、ステージ全体が赤く染まる中卓郎さんにだけスポットライトが当たっていた光景は何とも言えない美しさがあった。その後に和彦さんがステージ前方まで出てきてオフマイクでシャウト、普段離れた場所でも僅かに聴こえる程なので、和彦さんの近くで聴くとどれほどの声量かがよく分かる。「すべて壊してやるのさ」と歌う卓郎さんの声が心なしか他の部分より力強く聴こえて、とても頼もしく思えた。

 

本編が終わり、5人が退場。長めに間を空けて再び卓郎さん達がステージに出てくる。

卓郎さんが「4人でやります」と言ってから演奏に入る。今年に入ってからアンコールを9mmの4人だけでやることが増えてきたから、また観られるんだなと嬉しく思いつつ、これまでの傾向から(teenage)Disasterなどが聴けるのだろうか、と楽しみな気持ちでいた…しかし予想とは違いドラムのカウントではなく、クリーンなギターの音が鳴り、その瞬間にまさかあの曲を4人でやるのかと察して驚愕…滝さんが弾き始めたのは、Punishmentに入る前に弾くフレーズだった。滝さんの爆速カッティングから4人だけのPunishmentが始まった!!いつ振りだろうか、4人でのPunishment…!間奏でほんの僅かな間、同じメロディーを弾く卓郎さん・滝さん・和彦さん、そしてかみじょうさんまで全員の姿が視界におさまった瞬間があった。斜めから見ると4人が真っ直ぐ前を向いて演奏しているように見え、その光景はとても言葉では表せないほど嬉しいものだった。

最後の曲、Lovecall from The World、本来歌い出しは卓郎さんのみで途中から滝さんのコーラスが入る、という構成だがこの日は滝さんが最初から卓郎さんと一緒に歌っていた。ここでも卓郎さんと共に、元気いっぱいに歌声を響かせる滝さん。1分足らずのこの曲で残りの全エネルギーを出し切るかのような圧倒的な演奏。轟音を思いっきり叩きつけて、演奏が終わる。

退場するところはあまり見えなかったが、和彦さんがペットボトルやピックを、かみじょうさんがスティックを数本投げるところは何となく見えた。卓郎さんが最後にフロアに笑顔を向け、退場。

 

 

ライブ中に2回、和彦さんがステージから突然飛び降りてきてその場でベースを弾く、ということがあった。本編で1回、アンコールで1回。どの曲だったかはどうしても思い出せなかったが…(1回目はBone To Love Youだった気がするが自信がない)。降りてきたことで客と同じ高さになったため細かい様子は見えなかったが、降りてくるその瞬間はしっかりと目の当たりにできた。1回目に降りてきたあと、再びステージに上がった直後に後ろを向いたままフロアに向かってノールックでピックを投げていた。ピックがかなり綺麗に飛んで行ったのがよく見えた。その投げた瞬間の和彦さんの姿がどれほどかっこよかったか…。

 

卓郎さんのMCのうち、かなりうろ覚えの部分。2013年に続いて再びLIQUIDROOMでユニゾンと対バン出来た今回のライブについて話していたかと思うが、今回は9mm主催のライブなのでうちの土俵に上がってもらって…土俵といってもLIQUIDROOMなので借りものなんですけど、なんて話があったような。

それからこの日のユニゾンのライブをワンマンか!?というくらい盛り上がっていたね、という感じで表現していたような…。その話をする卓郎さんがとても嬉しそうだったことも薄っすら記憶に残っている。

 

この日のライブ中に卓郎さんがユニゾンについて話していたこと。まず、ユニゾンとの出会いは2007年の9mmのツアーで「“The World Tour”という日本しか回らないツアー」を一緒に廻った時であること。

また9mmとユニゾンの関係について、表現はちょっと違うかもしれないがこちらも要約すると、学生で例えるのもあれなんですけど…と前置きをしてから、学校を卒業してからたまにしか会わないけれど、どこかで頑張っているっていうのを確認してたまに会ってお互い良い歳の重ね方したねと思う人、という感じに例えていた。

9mmとユニゾンはしょっちゅう一緒にいるという訳ではないかもしれないが、同じイベントやフェスの同日出演なども多く、また2013年にLIQUIDROOMで2マンをやった後は2015年に9mmのツアーで、2017

年にユニゾンのツアーで2マンをやっており、大体2年周期でこのような対バンの機会があった。

卓郎さんのこの話と、斎藤さんが9mmについて「(自分たちがバンドを)続けていればまた一緒にやれると思えるのは心強い」と言っていた話から9mmとユニゾンの存在が互いにとってとても大きいものであることは容易に伝わってくる。ふたりの語り口や、斎藤さんが「トリビュートが出たら夜な夜なドライブはしばらく9mmの曲になりそう」と茶目っ気のあるひと言を楽しそうに言っていたのを思い出すと、9mmとユニゾンは気の置けない大親友、と表すべきとても素敵な関係なんだな、と思えてまた嬉しくなった。

だから斎藤さんは冗談交じりに「価値が下がるから頻繁にはやらない!」なんて言っていたけれど、9mmとユニゾンがいつまでもバンドを続けてこの素敵な関係を続けていくと信じているし、かなり気が早いかもしれないけれど、また近いうちにこの対バンが観られると信じて、もう今から楽しみに待っている。

20190714/9mm Parabellum Bullet“6番勝負”@名古屋ElectricLadyLand

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9mmの15周年企画、6番勝負の3戦目。名古屋ElectricLadyLand(以下ELL)にて対戦相手にアルカラを迎えての開催。

9mmとアルカラ、ここ数年でかなり親密な間柄になり、何度も対バンをしていて、滝さんがアルカラのサポートギタリストとして参加したことがあったり、為川さんが両者のサポートギタリストを務めているという縁もある。その他の話はライブ中に太佑さんや卓郎さんが話していたので後述。9mmとアルカラ、同じライブに出ているのは何度も観たことはあるが、2マンとなると今までのライブは観に行けなかったため、個人的には今回も遂に観られた、という念願の2マン。

 

大変失礼ながらこの機会まで存在も知らなかった(関東の人間というのもあり)ELL、キャパ600ぐらいの箱にしては天井が高く開放感があり、キャパより広く感じるほど。入場時には既に前の方は埋まっていて前に進めなかったので下手後方の柵より少し下がったところに落ち着く。人の頭は被るもののステージの真ん中以外は見える、という感じ。フロアが3段になっていたこととステージが結構高かったことを終演後に知る。そのお陰で後方からでもかなり観やすかった。

開場中はよく分からなかったが、定刻を少し過ぎたあたりで暗転しステージが薄っすらと照らされると、ステージの天井から壁の上半分にはおびただしい数のライトがびっしりと並んでいて圧巻だった。

 

 

アルカラ

 

アブノーマルが足りない

半径30cmの中を知らない

サイケデリンジャー2

サースティサースティサースティガール

水曜日のマネキンは笑う

誘惑メヌエット

チクショー(ゲストボーカル:菅原卓郎)

いびつな愛

踊れやフリーダ

授業参観

 

曲に入る前に太佑さんが、9mm15周年おめでとう!!みんなのハートに火をつけます!という感じの宣言から始まったのはハートに火をつけて のイントロ!原曲より半音ほどキーを下げて演奏していた。そのままアブノーマルが足りない へ。この日はハー火のイントロがあったためか、間奏後のベースソロがないパターン。

続けて半径30cmの中を知らない、この時点で下上さんは勢いよく回ってみせたりと派手な動きが多い。「空っぽの手を握って突き出したんだ」の部分ではいつものように拳を突き出していた。

サイケデリンジャー2でも暖色系の照明がステージを情熱的に染め上げる。丁度聴きたいと思っていた曲だったので嬉しかった…動き回る下上さんを観ながら聴き浸る。

 

ここで太佑さんと為川さんが向かい合ってギターを弾き始める。セッションをしながら、「こういうギターの弾き方をする人はエロい」などと言って為川さんをいじり倒す太佑さん。その言葉に笑ってしまっているように見えた為川さん。

「滝くん…いや滝善充公と作った曲です」と太佑さんが言って始まったサースティサースティサースティガール ここまでの3曲は赤や暖色系の照明だったがここでは青と紫を基調とし一気にステージの空気が変わる。サビでは色とりどりの照明が彩っていた。間奏が始まると前に飛び出してきてソロを弾く為川さんは男前なビブラートを響かせ、弾ききるとギターを高く掲げる。下手では、為川さんと対になるように下上さんも前の方に出てきていた。

続く水曜日のマネキンは笑う でも青と紫に染まるステージ。Aメロあたりで疋田さんがスティックを自分の目の前で一旦クロスしてから叩くような動作をしているのが見えた。青と紫の照明がサビでは赤へ。個人的な感覚だけれど、最初の3曲がアルカラの勢いと熱さが出ている曲だったのに対し、サースティ~マネキンの流れはクールかつシャープな一面が目立つような曲だったので、その対比の美しさに完全に撃ち抜かれていた。

続いて披露されたのは新曲、誘惑メヌエット。間奏では太佑さんがギターをバイオリンに持ち替え弾き始める。間奏が終わるとそのまま歌い出し、歌い終わってアウトロに入ると再び、すかさずバイオリンを弾き始める。この日初めてこの曲を聴いたが、太佑さんがインストではない曲でここまでバイオリンを弾くのは新しいスタイルなのではないか…。曲が終わると太佑さんがいい笑顔を浮かべ、突然手にしたバイオリンの弓でこちらを指した。あまりにも真っ直ぐに視線と弓の先がこちらを指していたのでびっくりすると同時に、その時の太佑さんのいい表情がはっきりと見えたことが嬉しかった。

そのまま太佑さんがバイオリンで独奏を始めたのはハートに火をつけて のサビのメロディー。この部分だけ抜き出してバイオリンで演奏すると元々のメロディーの美しさがよく分かる。

 

このあたりでMCが入る。為川さんの紹介はここだったか。為川裕也がお世話になってます、と神戸の仲間として太佑さんが言う。卓郎さんに顔が似ているというお決まりの紹介から「こいつのことはにんべん(人偏)付けて“偽川裕也”って呼んでください~」「一体何の“為”になっているのか…」(と言った後に謝っていた)とやたら上手いいじり方も飛び出す。

そんな話をしつつ、太佑さんが「卓郎来るかな…?」と言いながら下手の袖を窺うと僅かな間を空けてステージに卓郎さんが登場!先ほどのMCを受け卓郎さんが為川さんと肩を組むと、為川さんがより卓郎さんに似せるかのようにキリッとした表情を作る。その後太佑さんに促され、下上さんと太佑さんの間に卓郎さんが立つと「卓郎と裕也に挟まれたら俺も卓郎になるんちゃうか」と言ってふたりに似せるかのようなキリッとした表情を作る太佑さん。すると卓郎さんが「おれがあっちに行けば下上さんも(卓郎さんの顔に)なるの?」と言い出し、最初は卓郎さんが何を言っているのかピンと来ない様子だった太佑さんが「オセロの複数取りのやつか」と意味を把握し、それは後でやろうかと言いつつ話を先へ進める。この流れを疋田さんはニコニコしながら聴いていて、ステージ上では普段からあまり表情を変えない下上さんもいきなり自分が巻き込まれたからか、僅かに笑みが浮かんでいた。(うろ覚えだけれども、このブロックで「菅原卓郎検定」という単語も太佑さんから出てきた。)

 

そんなやり取りが続いた後に太佑さんが話し始める。まとめると、今から俺が卓郎にお前が為川裕也だな!?って言うから、そしたら卓郎に違うよ!チクショーチクショー!と言ってもらってチクショーに入る、という曲への前フリのネタバラシ。1回練習しますという流れになり、太佑さんが「お前が為川裕也だな!?」と言うと卓郎さんが「違うよ~!!」に続き「チックショーチックショー!!」と予想外の何ともゆるい言い方をしてみせる。卓郎くんの言い方で曲がどうなるかが変わりますと太佑さんが言っていよいよ本番、太佑さんが卓郎さんを指差して「お前が為川裕也だな!?」と言うと卓郎さんが

「違うよ~~!!」

「チックショーチックショー!!」

という訳でそのノリで演奏がスタート、何と表現したらいいか…原曲よりだいぶスローで跳ねたリズムのかなり愉快なチクショー、という感じ。途中で原曲アレンジに戻るのかと思いきやそのまま最後まで。今までもアルカラのライブに卓郎さんが出たことがあり、今回も…と期待していたが、期待以上のものが観られた!チクショーにこんなアレンジを入れるとは…!

 

チクショーが終わると卓郎さんが退場し次の曲はいびつな愛、定番曲ではないから久し振りに聴けた気がする。先ほどまでとは変わりシリアスな空気になるが、太佑さんは歌詞を飛ばしてしまったり、次の部分で本来の歌詞ではなくさっき飛ばした歌詞を歌ってしまう。曰く、チクショーに引っ張られてる!と。それでもその後はしっかりと決める。この時だったか、太佑さんと為川さんが横にぴったりと並んで完全にシンクロした動きでギターのネックを上げていた。

続く曲のイントロを聴いた瞬間、咄嗟に叫び声を上げてしまった…踊れやフリーダ!いびつな愛からのフリーダ、アルバム「ドラマ」の曲順通りの流れ。こちらも久々に聴いた曲であり、密かに聴きたいと思っていた曲!サビでは「暗闇の中で踊れ名古屋!!」と太佑さんが歌う。間奏のドラムだけになる部分では疋田さんがスポットライトと歓声を浴びる。演奏が終わると太佑さん、為川さん、下上さんがステージ中央に集まって横並びになりそれぞれのネックを同じ角度で上げる、といった感じの体勢でしばらく止まる。

この日最後の曲もかなり久々の曲だったので曲名を言われた瞬間、驚愕。授業参観…!!この曲がどういう曲か説明してから(ほぼ失念してしまったが授業参観に行くお母さんの、歌詞そのままの説明だった気がする)演奏に入る。歌詞はコミカルの極みであるが、改めてライブで聴くと演奏、特にベースラインがとにかくかっこいい。カズーを吹く太佑さんも久し振りに観られて嬉しい。間奏では太佑さんが「裕也が昔十三ファンダンゴに9mmを観に行ったら、案の定めっちゃ見られたそうです」という謎の暴露を入れる。終盤では太佑さんがいつの間にか外していたタンバリンを付けて、忘れてた!というような表情を浮かべていた。

最後の最後にもう一度、ハートに火をつけて のアウトロを演奏しライブを締める。ライブの初めにイントロ、中盤ではバイオリン独奏でサビ、最後にはアウトロ。ハー火で始まりハー火で終わるライブだった。

 

いつものように喋りまくっていた太佑さん、途中で時間押してることを気にするほど。最初の ハートに火をつける、という発言から中盤、ハートに火をつけようと思ってたけど火を付けんでももう付いてた、と言っていたり。

また、6番勝負のグッズのラババンについての話が突然始まり、付けてる人?と聞くとあまり手が上がらなかったらしくそれしか最先端はいないのか!と言う太佑さん。ラババンのデザインを大正製薬みたいなマーク(双頭の鷲のこと)、「6番勝負」の文字が突然の明朝体、これが最先端!「Battle of the Bands Tour…略してBoB(ボブ)ツアー…」といじり倒す。しかし6を逆さにすると9になる、そして9+6は?と客に話しかけ、「15…」という声が上がるとその意味に気付いたフロアから納得、驚き、といった反応。15周年!!太佑さんの頭の回転の速さが炸裂していた場面。太佑さんはこの日何度も「9mm15周年おめでとう!」と言っていて、コール&レスポンスとして太佑さんの「15周年」からのみんなで「おめでとう!!」という流れもあった。

そして9mmとの出会いについて。2014年のネコフェスに出てもらったのが最初か、その後のネコフェスがキツネツキ結成のきっかけになった話にも触れる。だからみんなの方が先に9mmを知っている、言わば幼少期から。俺たちは幼少期のことは知らんねん!と。俺たちは思春期ぐらいからの付き合い、でも思春期に知り合った人ってやんちゃなことするでしょと、(少し表現は違うかもしれないが)やはり太佑さんらしい巧い例え方で両者の関係について話していた。

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終演後にはアルカラの物販コーナーにいつものようにこの日のセトリが置かれていたが、チクショーが入っていない。あれは予定外だったのか…と考えると咄嗟にあのアレンジでフルコーラス演奏した下上さん、疋田さん、為川さんの技量に驚きが止まらない。

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「突然の明朝体

大正製薬みたいなマーク」

「BoBツアー」

 

アルカラのライブを聴きながら、このライブハウスの音響の良さに驚いていた。今回観に行くにあたりELL について調べていた時に、音がいいという評判を見つけていたので期待はしていたがそれ以上だった。後方で観ていたから場所が良かったのかもしれないが、全ての音がかなりクリアに、普段場合によっては聴き取りづらいコーラスまではっきりと聴こえてきた。

 

 

 30分ほどの転換を挟み9mmへ。6番勝負の横浜と浜松は為川さんがサポートだったが、この日は為川さんがアルカラのSSGHとして出演したこともあり、6番勝負では武田さんが初のサポート入り。

 

 

9mm Parabellum Bullet

 

Discommunication

Answer And Answer

キャリーオン

ハートに火をつけて

名もなきヒーロー

Bone To Love You

黒い森の旅人

太陽が欲しいだけ

Black Market Blues

新しい光

ロング・グッドバイ

 

(teenage)Disaster

Lovecall from The World

 

1曲目のDiscommunicationから和彦さんがオフマイクで「かかってこい!!」と煽るのが見えた。ステージ前方まで来て前方の客を煽るように見たり、口元に力を込めたり舌をぺろっと出してみせたり、目元が隠れていたものの口元で色々な表情を見せる和彦さん。アウトロの最後の音ではいきなり片足をモニターにかなりの力を込めて乗せていた。最初のAメロではかみじょうさんが(今まで気付かなかっただけかもしれないが)いつもと違う、素早く2連続で叩くようなシンバルの入れ方をしていて咄嗟にかみじょうさんの方を見る、という瞬間もあった。

Answer And Answer、イントロの入りは卓郎さん、それと同じメロディーを弾く最後のサビ前は滝さん、とそれぞれ担当を分けていたように見えた。間奏の、ドラムが入る一拍で下手の和彦さんと上手の武田さんが離れていながらも息ぴったりに頭を振っていた。

キャリーオン、「声を聞かせておくれ」と卓郎さんが歌えばそれに応えるようにフロアから大歓声。最後のサビ前に卓郎さんがマイクを通さずに1、2、3、とカウントしている口の動きが僅かに見えた。

 先ほどの太佑さんの言葉を受け、もう一回ハートに火をつけようかという感じの一言からハートに火をつけて、間奏の卓郎さん、和彦さん、武田さんが左にスライドするところでは卓郎さんが珍しく後ろを向き、かみじょうさんと向かい合うようにしてスライドしていた。

 

ここで少しMCを。9月に出るアルバムは、まだ発売日を発表してないけどみんなの予想通りの日です、と。そのアルバムの…と少し期待してしまうような口調だったが紹介されたのは「4月にリリースした、みんなの新生活を応援する…」と名もなきヒーローだったためか、フロアの反応が今ひとつだったようで「あんまり好きじゃない…?」とちょっと心配そうな卓郎さん。

そういえば、卓郎さんが話している間に和彦さんが手にしたピックを咥えていた。上手に目を移すと、滝さんが左腕を揉みほぐしていて、この時から滝さんのことが少し心配になってしまった。

 

紹介通り、次の曲は名もなきヒーロー。今までのライブではCDのジャケットやMVに合わせるかのように淡いピンクの照明が多かったが、この日は青と紫がステージを照らしていた。ピンクの時には曲の持つあたたかさや優しさが際立つように感じられたが、寒色系の照明だとメロディーのシャープさ、ヒーロー的なかっこよさの方が際立つようで、色によってこんなにも印象が変わるんだなと、その変化を楽しみながら聴いていた。

4月の荒吐以降毎回演奏されているBone To Love Youがこの日もセトリ入り。 間奏では卓郎さんがギターで控えめなノイズを出していた。

次は黒い森の旅人、滝さんが静かにギターで細かい音を奏で、イントロのメロディーを独奏してから曲に入る。自分が下手側にいたことと、会場の音響がいいお陰で普段よりベースの音がくっきりと聴こえてきたので美しいベースラインに意識を集中して聴いていた。

 

このあたりでアルカラと9mmの話を始める卓郎さん。太佑さんが9mmとの出会いを2014年のネコフェスと言っていたけれど、本当は2012年くらいに対バンしたのが最初です、と。人の記憶は曖昧ですからと卓郎さんは言っていた。(それで言うとこの対バン、正しくは2013年に開催されたライブ。HEREのレコ発としてO-WESTにて3マンを開催。)

「9mmのサポートに裕也が入ってくれて…そのあと裕也がアルカラのサポートにも入って。最近はかみじょう君がHEREのサポートドラム、疋田さんがHEREのサポートに入ってて笑」と、ここ最近の9mm、アルカラ、HEREの状況を話す。「HEREのサポートドラムに…」と紹介された時にかみじょうさんが片手を頭に当てて恐縮するような、照れるような仕草を見せていた。それにしても、こうして改めて聞くと本当に特殊な状況にいる3組だなと実感する。また、アルカラとは遂にレーベルメイト(アルカラは次にリリースするアルバムから9mmと同じレーベル・TRIADに移籍する)になったという話も。

「これからもおれたちは進み続けるために支え合っていきます」という卓郎さんの言葉は両者をずっと観続けてきた、これからも観続ける身としては堪らなく嬉しい言葉だった。

 

次の曲は太陽が欲しいだけ、この日は雨模様だったため、この曲が余計に嬉しかったというのもある。最後のサビ前に和彦さんが弦をスライドしていた音が、曲に更なる勢いを付けていたのがとてもかっこよかった。

Black Market Bluesでは卓郎さんが「ElectricLadyLandに辿り着いたなら!!」と歌詞を変えて歌っていた。2番の入り、和彦さんがベースを高く掲げボディを叩く姿が自分の位置からよく見えた。その時のすらっとした立ち姿は何度観ても見惚れてしまう。ここまで、人の頭の隙間から時々、上手の滝さんの様子を窺っていたが明らかに動きが小さい。

次の曲、新しい光…演奏前にお互いのタイミングを計るかのように卓郎さんと滝さんが顔を見合わせ、静かにメロディーを奏で始める…。卓郎さんと滝さんの優しいギターの音に和彦さん、かみじょうさん、武田さんの音が重なってゆく。この部分の徐々に音が重なり広がってゆく部分は何度聴いてもその美しさに息を呑む。静かな間奏を経て、最後のサビの前の部分はツーバス連打が続き普段もとても迫力があるが、この日の迫力は桁違いで、ELLの音響の良さがここにも良い影響をもたらしているようだった。

最後の曲、けたたましいタッピングが響き渡る。ロング・グッドバイ、最後まで滝さんはあまり動いていなかったように見えたがタッピングは見事に決まる。「僕には君がいれば何もいらなかった」の後には和彦さんが後方にいるこちらにもはっきりと聴こえる程の声量でシャウト。

 

5人が一度退場するとアンコールの手拍子が巻き起こる。滝さんは大丈夫だろうか、このままアンコールまでやるのか…と思いながら待っていると、少し長めの間を空けて再びステージに登場してくる。

「9mmに出会えてよかったね!」とこちらに向かって話しかける卓郎さん。その言葉はフロアに向かっていたが、それ以外にアルカラにも、そして自分たちにも向けた言葉かもしれないと、後になってから考えた。アルカラにも出会えてよかったね、今日が初めてという人もいただろうから、とも。

そこから、卓郎さんの「4人で演奏します」という言葉に驚いていると演奏が始まる。最初の曲は(teenage)Disaster、アウトロでは滝さんはカオス音を叩きつけるのではなく原曲通りにメロディーを弾いていた。

そしてもう1曲、Lovecall from The World!!滝さんはコーラスパート以外も、卓郎さんと一緒に最初から全部歌っていた。アウトロでは和彦さんの姿が見えなくなる。マイクに向かってしゃがんでシャウトしていたのだろうか。曲が終わり、まだ音が残っているうちに滝さんは少し申し訳なさそうな様子で早々と退場してしまった。音が消えると武田さんが退場、和彦さんはピックやペットボトルをフロアに投げてから挨拶をし、退場。卓郎さんはいつものようにフロアのあちこちを見渡し、片腕を高く挙げると太佑さんの真似をするかのように手首を直角に曲げながら挨拶。最後にかみじょうさんがスティックを何本かフロアに投げ入れ、退場。

 

 

そういえば中盤では卓郎さんがELLの思い出を話していた。最後に出演したのは12年くらい前で、スパルタローカルズとの対バンだったらしい。その後卓郎さんのソロアルバムとツアーにスパルタの伊東さんが参加した、その縁もあったと。

 

この日、滝さんは終始あまり動かなかった。こちらから観ていた限りではお立ち台に上る様子も無かった。最近はギターを弾く割合もかなり増えていたが、この日は武田さんにお任せして弾くのを休んでいた部分も少なからずあった気がする。アンコールでの退場の仕方から見ても、やはり不調が出てしまっていたのだろうか。腕の症状と付き合っていくということは、こういう日も出てしまうということか。

それでも動きを控えめにして確実に弾いていくような演奏だった。最後まで弾き切った。Disasterも短い曲だしLovecall~に至っては49秒しかないので、これならできると急遽やる曲を変えた可能性もあるかもしれない。(これまでの6番勝負のアンコールはいずれもTalking MachineとPunishmentだった)可能な範囲でアンコールに応え最後まで演奏してくれて、ありがとうございます。今はただ、次回の6番勝負では元気に弾き切れることを祈っています。

 

9mmとアルカラ、太佑さんの言う通り出会ってからの年月はそんなに長くない。恐らく6番勝負の対戦相手の中では一番付き合いが短い。しかしその短い期間の中で本当に色々な事があった。数年前のフェスで滝さんがアルカラのステージでバイオリンを弾いたこともあるし、最近ではサースティサースティサースティガールを共作し、その曲を作った頃のアルカラのワンマンで滝さんがサポートギタリストとして参加(ちなみにそのライブには卓郎さんも乱入していた)。太佑さんも「劇団ナイアガラったり…」とさらっと言っていたが、一度だけCDを出した滝さんのプロジェクト“劇団ナイアガラ”のボーカルは太佑さんだった。新木場STUDIO COASTで開催されたアルカラの15周年記念イベントには9mmが呼ばれた。去年のJAPAN JAMではアルカラのステージに卓郎さんが、9mmのステージに太佑さんが出演した。他にも対バンの機会は書き切れない程たくさんあった。

そして両者とも困難を乗り越えてきた、時にはお互い支え合いながら。

もちろん今までだって分かっていたが、付き合いの長さは全く関係ないし、今の親密な関係は決して馴れ合いではなく、卓郎さんの言う通りこれからも支え合って前に進んでいく間柄であることを目の当たりにした。

 

だから、「勝負」というよりも「共闘」という言葉の方が似合っていた、と思ったライブだった。

20190614/9mm Parabellum Bullet“6番勝負”@浜松 窓枠

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9mmの15周年企画、6番勝負の2戦目。浜松窓枠にて対戦相手にthe telephonesを迎えての開催。

9mmとtelephones、2マンは2014年の“Next Bullet Marks TOUR”以来であり、更に窓枠は2010年、移転後のこけら落とし公演に9mmのツアー“命ノゼンマイ大巡業”でtelephonesと9mmが対バンした、両者にとってはとても縁のある場所。個人的にはこけら落とし公演を観に来ることができなかったため、窓枠にて9mmとtelephones、という当時と同じ組み合わせのライブを、9年越しで遂に観に来ることができた、嬉し過ぎるライブ。

 

整理番号がかなり遅かったため、会場に入ると既にフロアは満員。初めて来た窓枠、キャパ450の小箱とは思えないほど天井が高く、開放感がある。また後方に1段高くなっているスペースがあるのも小箱では珍しい。小規模な2階席まである。段の上に登ってみると人の頭の隙間から僅かにステージが見える状態。下に行ってもきっと見えないだろうと、今回はここで観ることにした。

 

 

the telephones

 

I Hate DISCOOOOOOO!!!

HABANERO

Don't Stop The Move,Keep On Dancing!!!

electric girl

Yeah Yeah Yeah

Urban Disco(ギター:滝善充)

sick rocks(シャウト:中村和彦)

Monkey Discooooooo

Love&DISCO

 

暗転後、下手のミラーボールが照らされ「happiness,happiness,happiness」が流れる中登場した4人はアフロのウィッグを被っていたが登場後すぐに取っていたように見えた。

石毛さんの「埼玉県北浦和からやってきましたthe telephonesです!」の挨拶でスタート、大合唱が巻き起こるI Hate DISCOOOOOOO!!!からのHABANERO、という初っ端からかっ飛ばすようなセトリ。ノブさんは最初から涼平さんの方へ走っていったりと元気いっぱいに動き回る。ノブさんは黄色いタンクトップのような服を着ていたが、よく見るとこの日の会場限定グッズである、9mmとtelephones両者の名前入りTシャツの首回りと袖を切ったものだった。若干切り過ぎていたのか、序盤なのにもう襟ぐりあたりから肩が出てしまうような覚束ない着こなしになっていたのがちょっと面白かった。

 

去年この対バンの話を聞いてからずっと楽しみにしていた、と言うノブさんが突然みんな自由に踊って、というような感じでダンスのレクチャーを始めて踊りまくっていたり、「Black Market DISCO!!」とコール&レスポンスを始めようとしたりとやりたい放題。それを聞いた石毛さんと涼平さんがステージ上で打ち合わせを始めたのが見えたので、本当に即興でやっていたらしい。ノブさん曰く、普通のバンドなら(コール&レスポンスを)リハでもやるところだけど、telephonesはやらない、とのこと。その流れでDon't Stop The Move,Keep On Dancing!!!へ。自由に踊っていたノブさんにつられるように、後ろで観ていてもお構いなし、という感じでついつい体が大きく動く。

このあたりで2010年の窓枠こけら落としの際の思い出話が出てくる。9mmのツアーのゲストとしてtelephonesが出演したため、9mmよりも先にこけらを落としてしまった、という話。

electric girlからYeah Yeah Yeahの流れはゆったりと頭で拍を取りながら楽しむ。涼平さんの歪んだベースの音が最高に気持ちがいい。

 

telephonesと9mmが一緒にいると事件が起こる、これから事件を起こします、と石毛さんが告げてからステージに呼び込まれたのは…滝さん!!登場するところは全く見えなかったが拍手の後にシンセの音が鳴り響き、上手側から笑いが巻き起こっていたので何が起こっているのか色々想像しながら様子を窺っていた。石毛さんのギターを構える滝さん。石毛さんが滝さんに「滝、そのギター弾くの何年振り?」と聞いて滝さんにマイクを向けるとそのままオンマイクで「10年振り!」と答える滝さん。

そして演奏されたのはUrban Disco!!テンポがかなり速い!この後のMCで石毛さんも速かったと言っていたくらい。この時には人の頭の隙間から上手が見えるようになり、滝さんがいい笑顔で弾いているのが見えた。サビではハンドマイクで歌う石毛さんが滝さんにマイクを向けると両腕を思いっきり広げた状態で拳を高く挙げ、弾けるような笑顔で「I am DISCO!!!」と元気に叫ぶ滝さん!終始楽しそうな石毛さんと滝さんの様子が嬉しかった!

 

演奏が終わると滝さんが退場。続いての曲はsick rocks、個人的にかなり好きな曲なのでそれだけで大喜びだったのと同時に、ある期待が浮かんできてそれを楽しみに待っていた。そして曲の終盤、その期待が現実となる。あまり見えなかったがいつの間にか和彦さんが登場、そして思いっきりシャウト!!しかもよく見ると和彦さんは「I am DISCO!!!」と書かれたTシャツを着て登場していた。おそらく涼平さんのマイクを普段の和彦さんセッティングのように下げてシャウトしたと思われる。これが観たかった!!2010年の“命ノゼンマイ大巡業”で対バンした時にもsick rocksで同じことが起こっていたのをDVDで観ていた(窓枠ではなく高松公演だったが)ので、今回もやって欲しいと思っていたら本当に観られた…!!

コール&レスポンスを普段と変えるから、何を言っても「DISCO!」と返してください、からの連続コール&レスポンスと、石毛さんの9mmへの愛が溢れるような「いけるかー!!!」のひと言からのMonkey Discooooooo、そして最後は「9mmと9mmのスタッフと窓枠、そしてみんなに愛とディスコを贈ります!」と言ってLove&DISCOへ。この一連の流れがフロアの熱狂を煽りまくるのは言うまでもなく、Love&DISCOが終わった時には熱狂の中に言葉にできないようなあたたかさがあるような、とにかく幸せな気持ちでいっぱいになった。

 

以下、どこで入ったか忘れてしまったMC。

卓郎さんが石毛さんのことを「輝」と呼ぶのは9mmファンで知っている人が多いためか、フロアから「輝ー!!」という声が飛んでくる。すると、石毛さんがそれを拾って自分のことを「輝」と呼ぶ人は卓郎さんの他に細美さん、ART-SCOOLの理樹さん、dustboxのスガさんだけだと言っていた。

9mmとはもう12年ぐらいの付き合いで、子供に例えるとどのくらい?と突然石毛さんが言い出すので涼平さんから小6だねという補足と、何で子供で例えるの、という適切なつっこみが入る。

また9mmを食うくらいの勢いでやります!というひと言もあった。(このひと言が後に繫がる。)

石毛さんが自分のことを普段からおかしい方だけど今日はもっとおかしい、でもライブハウスってそういう場所でしょ?と言っていた、それだけで石毛さんがどれだけこのライブを楽しんでいるのかが伝わってきた。「おかしくしてくれてありがとう!!」と言いながらご機嫌に手を振る石毛さん。

序盤だったか、ノブさんが卓郎さんの真似をしながら「みんな怪我してない…?」と言うとフロア爆笑。ノブさんによる卓郎さんの真似はこういう場で披露するのは久し振りらしいが、飲み会ではよくやっているという。SNSとかで「似てた」って盛って言っておいてほしい、と言うノブさんに石毛さんがそこの評価は欲しいのかという感じで尋ね、「卓郎そんなに乳首全開じゃないけどね」と付け加えるとフロア、更に爆笑。

それから、どこかの曲中でノブさんが多分最前にいたであろう客の頭をグシャグシャと両手で撫でているのが見えた。それを後ろから、あの人幸せ者だな…と思いながら見ていた。

 

そして9mmがtelephones活動休止前最後のライブ、2015年のLAST PARTYに出た時の話をする石毛さん。「湿っぽいのは嫌だったんだろうけど」と卓郎さんが「telephonesがいなくなったら焼きディスコになっちまうぞ」と言っていたことについて、訳が分からない的なコメントをしつつ、

フェスではこういうこと言わないけれど…という前置きから話されたことが、「俺達が戻ってこられたのは間違いなく9mmのお陰もある」「9mmもtelephonesも色々あったけれどまたこうして笑っていられる」と。その言葉で改めて、今こうして滝さんが帰ってきた9mmと圏外から帰ってきたtelephonesが一緒にライブをしている、そしてそれを観ることができている喜びを噛みしめた。

 

 

30分ほどの転換を挟む。telephonesでだいぶ人が動いたようで、後方から見えるステージの範囲が少しだけ広くなっていた。

 

 

9mm Parabellum Bullet

 

Discommunication

ハートに火をつけて

Cold Edge

キャリーオン

名もなきヒーロー

Bone To Love You

黒い森の旅人

Supernova(ギター:石毛輝)

Monkey Discooooooo(ボーカル:石毛輝)

新しい光

ロング・グッドバイ

 

Talking Machine

Punishment

 

1曲目はDiscommunication、後から気付いたけどまさか“DISCO”mmunicationということか…!?そしていきなり6番勝負横浜のセトリとは違う選曲だったことに驚かされる。

続いてはハートに火をつけて、為川さんが終始体を左右に揺らしながら良い笑顔でギターを弾いている様子が見えた。間奏のサビで卓郎さん・和彦さん・為川さんが左にスライドするとお立ち台に乗っていたと思われる滝さんはそれに合わせて左側にギターのネックを振る。最後の「二人を燃やして すべてを燃やして~」の部分では滝さんがお立ち台でギターを弾きながら、遠目でもはっきり分かるほど大きく口を開けて歌っていた。

 

ハー火のアウトロからドラムを2小節挟み、間を空けずにCold Edgeへ!真っ赤な照明の情熱的なステージがここで一気に青く染まった瞬間が見事だった。 1サビでは和彦さんがステージ前方?まで出てきて弾いているのが見えた。フロアに向かって何かを言いながら煽るような瞬間も。(間奏でシャウトした和彦さんが浜松、と言っていたのか窓枠、と叫んでいたのかを失念してしまった。)アウトロでは僅かなシャウトから足を高く蹴り上げて1回転。

キャリーオンでは2番で「声を聞かせてくれー!!」と卓郎さんが叫ぶとフロアから大歓声が巻き起こっていた。

 

MCを挟んで次の曲は名もなきヒーロー、この時にはステージがほとんど見えなかったため音に集中していて、細かい動きは全く把握していないけれど、1サビで僅かに見えた滝さんが真っ直ぐ前を見据えるような眼差しでコーラスしていたのが記憶に残っている。

 

続いてBone To Love You、横浜に続いてのセトリ入り。4月の荒吐から連続で演奏されているが、今年のライブでは今後もこの曲をセトリに入れていくのだろうか。何年もライブで聴けなかったのでとても嬉しいこと。間奏で和彦さんが静かにベースを弾く部分では卓郎さんが両手を下げるようにして客を落ち着かせるような仕草をしたり、滝さんと向かい合ってゆっくり動いたりしていた。そこから轟音のパートになだれ込む瞬間は何度見ても一気にテンションが上がる。この曲だったか、上手の一番端にいながらも不敵な笑みを浮かべていた為川さんの存在感がとても大きく感じられて、しばらく為川さんを目で追っていた瞬間があった。

 

少しの間を空けて、ピックを咥える滝さん。指で弦を弾いてやわらかいメロディーを奏でる。黒い森の旅人。イントロ、森を表すかのように青緑と青を混ぜた照明が美しい。後ろで観ていたためこの日ほとんど見えなかったかみじょうさん、この曲の時には大きく振り上げた腕だけが辛うじて視界に入ってきた。普段より見えないからこそ音に集中して、鬼気迫るような間奏のツインリードに聴き浸る。

 

ここで卓郎さんがステージに石毛さんを呼び込む。先ほど石毛さんが滝さんをステージに呼んだ際には「telephonesと9mmが一緒にいると事件が起こる…」といい感じに煽っていたのに、卓郎さんは「事件起こしまーす」と軽い感じで言っていたのが面白かった。

卓郎さんのギターを構える石毛さん、曲に入る前にギターや機材を触りながら確認をしているようだった。それを見て、おれのギターだから、と卓郎さん。

そして始まった曲はSupernova!イントロや間奏のツインリードは石毛さんと滝さん、で合っていただろうか。 音源通りにハモったり、たまにユニゾンになっているようにも聴こえた。同じマイクで歌ったり、ぴったり横に並んでギターを弾き、ネックを上げる角度までシンクロしていた石毛さんと滝さんが遠くから観ていると何となく似ていて、兄弟みたいだな…と思いながら観ていた。卓郎さんと滝さんがひとつのマイクで一緒に歌う場面も。 最後のサビ前では為川さんが若干ステージ真ん中寄りまで出てきて大ジャンプ!!

 

卓郎さんが「まだ帰って欲しくない!」石毛さんがそれを受け「まだ居てもいい?」と言ってからの、この日2回目のMonkey Discooooooo!!卓郎さんは唇サングラスを装着して演奏!2番では石毛さんが「a lot of HAMAMATSU girls」「a lot of HAMAMATSU boys」と歌っていたように聴こえた。石毛さんが卓郎さんにマイクを向け、卓郎さんがそれに向かって歌っている部分もあり、滝さんも楽しそうにコーラスをしていた。

 

石毛さんがステージを去り、すっかりお馴染みとなった新しいイントロから始まった、新しい光。ここでも大合唱が巻き起こる。

本編最後の曲、何が来るのか…と思っていると、けたたましいタッピングの音が鳴り響く。ロング・グッドバイ!ステージが再び真っ赤に染まる。「僕には君がいれば何もいらなかった」の後には和彦さんが、オフマイクなのにフロア後方にいるこちらまではっきりと聞こえるくらいの声量でシャウトをぶちかましていた。曲はシリアスでかっこいいのに、卓郎さんが石毛さんがステージを去った後もずっとTシャツの首元に唇サングラスをぶら下げていたのでそのギャップは少し面白かった。

 

本編が終わり、5人が一旦ステージを去り、しばらく経ってから再び出てくる。

石毛さんのこけら落としの思い出話を受け、「telephonesにこけら落としを奪われた9mm Parabellum Bulletです…」とほぼマイクを通さずに卓郎さんが話す。

アンコール1曲目、Talking Machineでフロアを大いに躍らせた後にまた事件が起こる。最後の曲、Punishmentでは途中でダイブする人の姿が見え、9mmで飛ぶ人が出るなんて珍しいな…?と思ったがよく見たら石毛さん!!更にステージ上にはノブさんもいて、上手から飛び込もうとしていたようにも見えたが既に石毛さんが客の上にいたため、下手に移動してダイブしていた。

 

演奏が終わると笑顔でピックを投げまくる和彦さんが見えた。また本編の後だったか、アンコール後だったか、かみじょうさんが目元に手をあててフロアに視線を向けて何らかの表情を作っていた。最後に卓郎さんが「9mm Parabellum Bulletでした…間違えた!9mm (ここから石毛さんのハイトーンを真似して)Parabellum Bulletでした!!!」と言って退場。

 

 

以下MCを覚えてるだけ。

序盤で石毛さんのハイトーンボイスを真似て「9mm Parabellum Bulletです!!」と言ったり、「みんな怪我してない?」と、先ほどの“卓郎さんの真似をするノブさん”を真似する卓郎さん。その後「これで(telephonesのMCを)全部回収できたかな」と言っていた。どちらも激似だった。その後だったか、やはり石毛さんの真似をしながら「We Are DISCO!!!」と何度も言ったり、とにかく何度も石毛さんの真似をしていた卓郎さん、「意外とできるもんだねー」と話していた。

石毛さんが「9mmを食うくらいの勢いでやります」と言ったのを受け、卓郎さんが「どんどん食べてもらって構わない」「美味しいよ?おれたち」と言い始めて客の上に若干の「?」が浮かんでいるのが見えた。

また自身のMCについて、みんなおれが話し始めると何言ってるんだ?みたいな反応するけど、それはみんながフィルターをかけているだけで後から考えるとまともなこと言ってるんだよ?という感じの弁明を入れていた。

 

 

この日の9mmのセトリはアンコールを含む13曲のうち6曲が1週間前の横浜と違う曲だった。セトリを半分も変えていたことになる。6番勝負、この調子で対戦相手に合わせて毎度セトリを大幅に変えてくるのではないか?と思うと、今後の公演への期待が益々大きくなる。

9mmと石毛さんがSupernovaとMonkey Discoooooooを一緒に演奏するはこの日が初めてではない。2017年に開催された“TOUR OF BABEL Ⅱ”本編にて石毛さんがサポートギタリストとして登場、この2曲を演奏した。(その時にはI.C.R.Aも演奏された。)ただその時、本編への出演がなかった滝さんはステージにいなかった。だから今回は滝さんも一緒に、再び石毛さんを迎えてこの2曲が演奏されたことが本当に嬉しかった。

そして新しい光とロング・グッドバイは“TOUR OF BABEL Ⅱ”のアンコールで、滝さんが一時復帰した時に演奏された曲。だからSupernovaからの流れで何となく当時のことを思い出しながら聴いていたが、最後にロング・グッドバイのイントロを聴いた瞬間、“TOUR OF BABEL Ⅱ”だ…!!と確信してじわじわと嬉しさが込み上げ、視界が滲み、ステージが見えなくなってしまった。本人達からセトリについての言及はなかったが、石毛さんが助けてくれた、という話は確か出ていたし、きっと“TOUR OF BABEL Ⅱ”を少なからず意識していたのではないか。だから、そういう意味ではこの日のライブは9mmにとってリベンジだったのかもしれない。

 

ライブ中に卓郎さんが、ここに集まった客たちについて「みんな9mmとtelephonesの対バンを観たかった、って顔してる!」と言っていた。9mmとtelephonesがどれだけこのライブを楽しんでいるのかがフロアにいるこちらにもはっきり伝わってきたのと同じで、この日窓枠に集まった客たちがどれだけこのライブを楽しんでいるかも卓郎さんに伝わっていたんだな、と思うと尚のこと嬉しい。

そして卓郎さんが今回の6番勝負について、同世代と言うか「同じ時代を生きている者同士の対バン」と言っていて、この話は横浜でも出ていたけれど今回はそれに「ここにいるみんなもそうだね」と、フロアの人までまるごと仲間入りさせてくれたひと言も堪らなく嬉しかった。ライブ中、大いに楽しみながら色々な事を考えていたが、全体を通して「9mmとtelephonesと同じ時代に生まれて本当に良かった…!!」という喜びで溢れていたので、卓郎さんのこのひと言が聞けて涙が出る程、嬉しかった。

 

嬉しかったことと言えばもうひとつ。窓枠のスタッフさんのあたたかさ。

クロークを利用した時に受付のスタッフさんが、荷物を預かる前にドリンク代やチケットを忘れていないか聞いてくれて、楽しんでね、という感じのひと言で送り出してくださったこと。

これだけで、ライブ前からとても嬉しい気持ちになった。きっとまた来たいと思えた。窓枠とも同じ時代に生きていて、良かった。