最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20170611/9mm Parabellum Bullet“TOUR OF BABEL ”@神奈川県民ホール 大ホール 簡易レポート

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5月にリリースされたアルバム「BABEL」を引っ提げて行われる今年のツアーは、9mmにとって7年振りとなるホールツアーです。

 

事前に公表されている通り、滝さんに代わって各箇所サポートギタリストが2人参加するという布陣。

ツアー初日、神奈川県民ホールのサポートギタリストは、お馴染みHEREの武田さんと、folcaの為川裕也さん。

更に、ワンマンツアーは結果的に2014年の“Next Bullet Marks Tour”以来ということもあり、セトリに何が入るのか?曲数はどうなる?とそわそわしながら当日を待っていました。

 

神奈川県民ホール、初めて来たけれどロビーの床など、内装の一部が赤くて如何にも大ホール、といった感じだしBABELのツアーに相応しい会場だなぁと思っていたのは先行物販に並んでいた時のこと。

 

 

会場に入るとステージには白い幕

卓郎さんのマーシャルの、紫のライトがうっすら見える

定刻を過ぎてしばらくすると突然けたたましいブザー(音が大きすぎてびっくり)が鳴り、やたら良い声の場内アナウンスが流れ始め

また数分経ってから再度ブザー(2度目のびっくり)が鳴り場内が暗転

 

 

 

1部“LIVE OF BABEL

 

ロング・グッドバイ

Story of Glory

I.C.R.A

ガラスの街のアリス

眠り姫

火の鳥

Everyone is fighting on this stage of lonely

バベルのこどもたち

ホワイトアウト

それから

 

2 OUTSIDE OF BABEL

サクリファイス

The Revolutionary

ダークホース

Keyword

黒い森の旅人

キャンドルの灯を

インフェルノ

新しい光

ハートに火をつけて

Cold Edge

Punishment

 

Black Market Blues

Discommunication

 

 

場内が暗転すると「ロング・グッドバイ」のイントロのタッピングの音源が流れ、幕にメンバーの影が映る  そして落ちる幕  メンバーの背後にはBABEL仕様のバックドロップ

予告通り、前列下手から和彦さん、卓郎さん、かみじょうさんが一列に並びサポートのお二人は下手から武田さん、為川さんの順で後列の一段高いところに。

そこからBABELの曲たちを収録順に演奏。MCは一切無く、照明は場面によって赤一色だったり白一色だったりなどと普段のワンマンと比べるとかなりシンプル。

 

あまり手元が見えなかったので間違ってたらすいません、タッピングやコーラスの一部などは恐らく滝さんが弾いたり歌ったりしている音源を使っていたかと。

コーラスは基本的に為川さんが担当。

 

I.C.R.Aでは予想通り、「愛し合え」での一体感が半端ない。

 

ガラスの街のアリスは最近のライブでも欠かさず演奏されていたこともあり、すっかりライブ定番曲のテンションになる客席。

 

眠り姫では為川さんがアコギに持ち替える。まるで羽三枚のプロペラのような模様を描く照明。それが間奏に入った瞬間、花びらが散るかのようにぱっと細かい模様に変わる、という演出と同じく間奏の、深みのあるベースの音がホールの空間に広がっていく様がとても幻想的。

 

火の鳥、心なしか多めに焚かれた地面を這うように発生し上へ流れていくスモーク越しに歌う卓郎さんの姿に荘厳ささえ感じられた。しかし高音が続くため、卓郎さんの様子からサビの部分は少しきつそうにも感じられた。

 

Everyone〜のラストではかみじょうさんもコーラスに参加…してましたよね?この曲も最近のライブで披露されることが多いけれどラストのコーラスの部分の力強さはやはり胸を打つものがあります。

 

バベルのこどもたちの間奏は和彦さんのシャウトと共に炸裂する音源通りの重たい音、この部分を生で体感できることを一番楽しみにしていたのですがとにかく何かが音を立てて崩れるようなイメージが浮かぶ程の音圧に予想以上に圧倒され、ただ立ち尽くすしかなかった。素晴らしかった。

 

ホワイトアウトでは為川さんが再びアコギに持ち替える。アコギの音が入ることでこの曲のエレガントな雰囲気が強調される。タイトル通り、客席の頭上まで真っ白なライトが伸び、会場全体が白く染まる美しさに息を呑んだ。

 

それから の、あのフルピッキングのイントロの弾いたのは卓郎さん!イントロや間奏では照明が無数の渦を壁に描き、さながら「大きな嵐」のよう。

卓郎さん、「指と指の〜」の部分は歌いながら本当に両手の指の間に隙間を作った状態で掌を上に向け、「浮かれた世界を沈めていく」で何かを沈めるように手を下げる。

 

 

それから のアウトロで音源通りスパッと音を止め、演奏が終わるとステージから去ってしまうメンバー。

 

元々収録時間が短い上にMCも挟まなかったので、本当にあっという間に終わってしまった、BABEL再現。

 

 

ざわつく会場、しばらくするとまた良い声のアナウンスが

 

「たった今、第1部“LIVE OF BABEL”が終わったところだ。まもなく“OUTSIDE OF BABEL”が始まる」

 

と告げ、よりざわつく客席。

そして鳴り響くいつものSE「Digital Hardcore」

 

BABEL仕様のバックドロップに被さるように降りてきたいつものバックドロップ…のはずが、真ん中あたりがひっかかってしまったようでうまく下がらず、メンバー登場後に一旦バックドロップを床付近まで下ろし、(この時に誰かが下で直したのか?は見えず)再度上げ直すというアクシデントが。

 

まずはきっとセトリに入るだろう、と予想していたサクリファイス、からのThe Revolutionaryという流れ。

 

からいきなりダークホース!ライブで聴くのは少し久し振りな曲です。これはもしかしたらこの状況でもレア曲を少なからず入れてくるのでは…とここで確信。

 

などと考えているとここで早くもMCが入る。

 

やたら声の良いアナウンスは何と「ベルセルク」でガッツ役の担当されている岩永さんなのだそうで、それを聞いた瞬間客席から歓声が上がる。これは卓郎さん嬉しかっただろうな。「声だけで男前ってわかるよね!」と。

また、BABELの曲と今までの9mmの曲にはどこかつながっているようなところもある、というMCを挟み次の曲が

 

Keyword

 

最後に聴いたのは確か2015年9月のLIQUIDROOMのイベントではなかっただろうか。

久々の曲でも、間奏後の「捨ててゆくばかりの~」で自然に手拍子が巻き起こる。

 

Keywordが終わると和彦さんが何かに腰掛け(ているように見えたのですが)聞き覚えのあるイントロをつま弾く。柔らかいベースの音で奏でられたその曲は

 

黒い森の旅人

 

これも久し振りの曲で、ベースであのライブ版のイントロを弾いているのは今まで観たことがなかった。ライブ中はただ驚くばかりで終わってしまって、後から気付いたが普段なら滝さんが弾くはずのあの部分をサポート陣でもなく卓郎さんでもなく、和彦さんが買って出た、その意味。

 

和彦さんがアップライトに持ち替え、歓声が上がる。キャンドルも久々なのでここでツアーならではのレア曲3連発。

 

ここからは再びライブ定番曲を連発、最近は間奏でフロント3人が謎の横移動を始めたハートに火をつけて では、間奏が終わると歌に入らず、卓郎さんがギターを置いてマイクを手にし、何とここでメンバー紹介を始める。

 

誰から紹介しようかな、という感じでまずは

「何度も9mmを助けてくれた…誰よりも9mmを愛する男!9mmモバイル会員!武田将幸!!」

 

「おれに似ていると言われている…笑  でもおれの100万倍ギターが上手い男!為川裕也!!」

と、まずはサポートのおふたりを紹介。ちなみに紹介されたメンバーがそれぞれソロ回しを披露、という流れ。

 

次はそこのお兄さん…と和彦さんの方を見ると、卓郎さんと同じ方向に顔を向けてすっとぼける和彦さん。

「おめぇだよ!」と卓郎さんがすかさず突っ込み、

「我らがベーシスト…BABELのコメントで(THE BACK HORN)山田さんに“どこまでも伸びてゆく和彦の髪”と言われた男」と紹介、

また、最近マイクの高さが段々上がってきている疑惑を指摘されると、首を横に振って否定する和彦さん。

ソロ回しで弾いたのはスカっぽいリズムではなくスローでグルーヴィーな感じのメロディー。

 

次はかみじょうさんに近付き、

今までこんなところでライブしたことないよね?いつもよりスティックを回すところがよく見えますね、と。

卓郎さんがいける?と声をかけかみじょうさんがそれに頷き、ソロ回しへ。

 

最後に残った卓郎さん、どうする?と思っていると話し始めたのは、9mmでは仙台でしかマイク通して話さないはずの和彦さん!!

 

「身長2メートル…髪の毛も合わせて2メートル」

と、笑いを誘う紹介。卓郎さんがおれそんなにあったっけ?というようなことを言いながら髪の毛を上に引っ張る。卓郎さんのソロパートが終わると唐突に曲に戻る。

 

ハー火が終わるとそのままかみじょうさんが4小節ほどドラムを叩き続けて繋ぎ、Cold Edgeへ。ここのつなぎがかっこよかった…!

 

嵐の前の静けさのようなあのイントロ…の時点で思わず歓声を上げてしまったPunishment!!ギターが3人いるので、音源通りイントロはツインリードのアレンジ!このアレンジで聴きたかったPunishment…しかし普段はギター1本足りないので聴けることはないと思っていました。嬉しい!!

間奏では武田さんと為川さんも前に出てきて全員1列で演奏。ギター3本とベースで全員同じフレーズを弾くのもかなりの迫力があり、とにかくかっこいい。

 

これで本編は終了。卓郎さんと和彦さんは客席に挨拶をして去っていく。かみじょうさんは両手を頭の上に、うさぎの耳のようなポーズを取りながら退場。

 

アンコールのBlack Market Bluesでは卓郎さんがハンドマイクで歌う!2番に入ると和彦さんがサポート陣のいる一段高いところのセンターに立ちベースを高く掲げる。

 

この日のラストはDiscommunication  イントロではかみじょうさんが休符に入る度に右スティックを投げてみせる大技を披露。

アンコールはライブ定番曲だったけど、ディスコミュのアウトロで残った力を全て爆発させるかのように思い思いに暴れ倒す4人と、シンバル乱れ打ち状態のかみじょうさんの姿が安定の9mmといった光景で観ているこっちもテンションがすごい上がった。月並みな言葉だけれどやっぱり、9mmは最高にかっこいいな、という余韻のみを残してライブは幕を下ろした。

 

 

 

神奈川県民ホールについて、卓郎さんは内装の色合いからBABELのツアーの初日に相応しいよね、と仰っていた。

 

 

この日卓郎さんはMCで、去年と同じようにメンバー、スタッフ、そしてライブを観に来たファンに感謝の言葉を告げ、またこのような、傍から見たらアルバムなんて作れるのか、という状況でBABELというアルバムを作ることができたことを誇りに思う、と語った

 

「BABELが、みんなが何かと戦う時、…戦っているように見えない時でも…みんなに力を与えるようなアルバムになればいいと思います」

 

「おれは露骨に“頑張れ”とか言わないけど、みんなのことを心から応援しています」

 

座席指定ということもありいい意味で冷静な気持ちで途中までは観ていたのですが、この言葉を聞いた途端視界が滲んでしまいました。応援の言葉が単純に嬉しかったし、何と心強い言葉なんだろう、と。

 

 

 

BABELの曲たちをライブでやるとしたら、収録順に再現するのか。それとも今までのレコ発のように既存曲と混ぜるのか。ギターをひとり増やしてどうなるのか。

色々と予想がつかない、ということで楽しみにしていたツアーが遂に始まりました。

 

座席が上手側だったので、上手側で演奏するかみじょうさんがよく見えて普段のライブと違う景色がまた嬉しかった。

 

2部構成でやるのは本当に予想外だった…けれど、この形がBABELを演奏するには最も適していたでしょう。徹頭徹尾、統一された世界観とあのへヴィなサウンドを再現するためにギターを増やすのが必然だったことも、実際に目の当たりにして実感しました。

 

そして9mmのツアーでの最大の楽しみ、普段のライブではなかなか聴けないレア曲がこの状況でもお目に掛かれた、ということでサポートのおふたりにはどれだけ感謝しても足りないし、セトリが予想できない中でもいつものツアーのように大きな期待はやはりあって、そしていつものツアーのようにその期待を軽く超えてくるようなライブであったこと。単純にそれがとても嬉しかった。

 

 

初日という事でライブの構成に驚かされた部分が大きかったので、セトリがどういう感じか大体分かった上で観ることのできる残りの公演ではもう少し細かい部分まで目を向けられるであろう、それをとても楽しみにしています。