MCで卓郎さんも仰っていましたが、ツアーファイナルです。
この後にモバイル会員イベントを控えているため、ファイナルという感じがあまりしませんでしたが、それはまた別…ということで、ファイナルです。
神奈川と神戸でサポートギターとして参加した為川さんに代わり、武田さんと同じくHEREのギタリストである三橋隼人さんが参加。
ビレッジホール、入ってみるとこれまでで一番小さい会場で、その分ステージとの距離も近くて観やすい。今回のツアーは全て上手側という偏りまくった座席だったのですが、この日は惜しくもドラムセットが丸被りしてしまった三橋さんを除いては、ステージ全体が良く見える席でした。
また、全体的に年月を重ねた雰囲気と内装もあってか、卓郎さんがこの会場が一番BABELっぽい、とも仰っていました。
第1部“LIVE OF BABEL”
ロング・グッドバイ
Story of Glory
I.C.R.A
ガラスの街のアリス
眠り姫
火の鳥
Everyone is fighting on this stage of lonely
バベルのこどもたち
ホワイトアウト
それから
第2部 “OUTSIDE OF BABEL”
サクリファイス
The Revolutionary
ダークホース
The Lightning
黒い森の旅人
キャンドルの灯を
インフェルノ
Black Market Blues
ハートに火をつけて
Cold Edge
Punishment
Discommunication
新しい光
神奈川・神戸とは違いステージに幕がなく、開演のブザーが鳴ると暗いステージにメンバーがぞろぞろと登場、スタンバイが終わるとロング・グッドバイのイントロが鳴り響きメンバーの背後から強い光が当たる。きっと神奈川・神戸の、幕の裏側はこんな感じだったのでしょう。
I.C.R.Aのツインギターは武田さん&三橋さんがそれぞれ担当。
ガラスの街のアリス、武田さん三橋さんでメロディーをオクターブで弾いていて、流石の息ぴったりな演奏。
眠り姫では三橋さんがアコギ、武田さんがコーラス。
火の鳥 曲の頭であれ、何か違うぞと思ったら原曲より半音下げて演奏が始まる。確かに卓郎さん、サビの高音が結構キツそうだったから下げることにしたのか…
ひとつ前の曲、眠り姫が半音下げチューニングだから全員楽器を持ち替える必要もない。
Everyone〜では初めてかみじょうさんがコーラスしている時の表情がちゃんと見えて(今まではシンバルの陰に隠れて見えなかった)力強く歌うかみじょうさんの姿がやっと観られて嬉しいです。コーラスのパートでは手数が減るから、とはいえ忙しい曲の合間の、つかの間の手数の少なさなのにそこにコーラスを入れるという…
バベルのこどもたちの間奏、和彦さんがシャウトする時に卓郎さんがサポート陣のスペースの真ん中まで下がっていた。ここが和彦さんの見せ場だから、なのかなと。ここの音圧、和彦さんの切実ささえ感じられるようなシャウトに毎度圧倒され、絶望の中に叩き落とされたような感覚があり、完全に曲の空気感に支配されるよう。
神奈川と神戸で大きな違いがあったので注目していたホワイトアウトの照明は、ステージの上からミラーボールが現れ、そこに左右から光を当てると白い細い光が放射状に放たれていく。息を呑む美しさ。これが3会場の中で一番雪舞う景色に見えた。
それから は「悪魔のささやきは〜」の部分、赤く暗い照明の中で卓郎さんだけが切れかけの電球のような小刻みに点滅するようなスポットライトに照らされ、曲中の「わたし」の心の中に放り込まれたような空気で、アルバムの世界観をこんなにも視覚でも感じられることに毎回感動させられるところ。ここと、卓郎さんがまくしたてる中盤のパートで陰鬱な気分に完全に支配され、それがあるからこそ「わたしはあなたと乗り越えたいのさ」の一言が発する希望が引き立っているのかなぁと、そう捉えました。
アナウンスを挟み第二部へ。
The Revolutionaryはイントロ序盤で弦楽器隊の4人が真ん中に集まってネックを振り上げる、その姿がただただかっこよくて、ただかっこいいというそれだけなのに泣けて泣けて。文章にするとおかしなテンションの人みたいですが、自分でもびっくりするくらい突然に視界が滲むという。
アウトロで和彦さんがかみじょうさんの近くまで移動して、リズム隊2人が向かい合ってアイコンタクトを取りながら演奏してたのがとてもよかった。
後ろでは卓郎さんが武田さん三橋さんのところへ行って3人でギターを弾いていたのがまた良かった。
The Lightning間奏、前半では武田さんと三橋さんが4小節ずつ交互にリフを弾くという今回ならではのパートの振り方、また原曲にないツインリードのアレンジが出たのも確かこの曲の間奏だったかと思いますが、ここでも元々同じバンドで活動するおふたりならではの息ぴったりなところがちゃんと見せ場としてあるのが素晴らしい!ギター3人いるとこういうアレンジ出来るのが本当に良い!
黒い森の旅人 のツインリードは武田さんと卓郎さんだっただろうか…卓郎さんがソロ弾く時の、ビブラートのかけ方が大好きでどこまでも伸びていくようなビブラートがとても聴いていて気持ち良い。卓郎さんのギターの上手さが分かるところ。
今回もBlack Market Bluesから卓郎さんがハンドマイクで歌う。その次のハートに火をつけて でも同様で、イントロなどでゆるく踊る卓郎さんが見るからに楽しそうで見てるこっちまでワクワクする。
ハートに火をつけて の間奏で最近やっている弦楽器隊が左に横移動するところで、左にずれた後に卓郎さんがおどけた表情を浮かべていたのが可愛らしかったです…ちょっと目を見開いて口も「あれー?」と言いたげに開けているところ。
メンバー紹介、まずサポートおふたりを
「もはや後ろHEREじゃん!」
「日本一ハイテンションなロックバンド、HERE!」と紹介、名古屋城のしゃちほこのかわりにこのふたりを置こう、とワンダーなMCをしつつまず武田さんを左のしゃちほこ、またお馴染みの
「誰よりも9mmを愛する男」と紹介。速弾きも取り入れたハイテンションなソロを披露。
次に三橋さんを右のしゃちほこと紹介。ものすごくキレのあるロックンロールなソロを披露。これがめっちゃかっこよくて。大きな歓声が上がる。
「次はどっちかな〜」と言いながら和彦さんを見たり、かみじょうさんを見たりキョロキョロする卓郎さん…
で、次は和彦さん。卓郎さんが20歳の頃から一緒にいるが、出会って2年くらい経った時には今くらいの髪の長さだったらしい。今回はひたすら髪の長さをいじり、神奈川・神戸同様スローでグルーヴィーなソロを披露。
そしてかみじょうさん。普段は要塞に隠れて見えないと言われるけれど、今回は要塞ごと前に出ました、と。スティック回しも入れながら圧巻のソロを披露。
最後は卓郎さん…ということで和彦さんが徐にマイクを握り、
「おい!!!」
とまた喧嘩腰で話し始める。
「やっぱりギター持つのかよ!弾きたがりか!!!」
と食ってかかり、ここでも
「山形一の弾きたがり!!!」と紹介。
卓郎さんソロ、各地で元ネタにしてる曲があるんですか?今回もわからず。ギタリスト菅原卓郎としての見せ場があるのがやはり嬉しい。
ハー火からまたドラムで少し繋ぎCold Edgeへ。赤から一気に青くなる照明の切り替わる様さえかっこいい。
本編ラスト、静かなイントロが流れただけで大歓声。
5人編成のPunishmentの半端ないキレと、間奏の5人並んで演奏するあの光景。間奏に入ると武田さんと三橋さんが顔を合わせてタイミングを計り、同時に飛び出てきたところが「くるぞ…くるぞ……きたー!!!」という感じで観てるこっちがテンション上がりました。
最近はセトリに入ることがすっかり減ってしまったとはいえ、やっぱり9mmライブの終盤と言えばこの曲だし、あのイントロの爆速カッティングを聴けば一瞬で血が騒ぐ。
本編終了後かみじょうさんが、ありがとうと言いたげに頭上で合わせた手を前後にぴょこぴょこ動かしながら、同時に足も跳ね上げるようにぴょこぴょこ動かしながら可愛らしく退場していった。(この日一番笑った)
毎度ライブの時に密かに楽しみにしている、かみじょうさんの退場シーン…ですがライブハウスだとなかなか見えなかったりするので、こういうところが良く見えるのも指定席の楽しみのひとつ。
新しい光のアウトロ、卓郎さん和彦さんがサポート陣のところへ行き、後列で4人揃ってネックを振り上げたのが最高にかっこよかった…けれど、そのせいでかみじょうさんひとり前列に残されるという、ちょっと面白い光景になっていて。
いや、今思い返せばかみじょうさんを目立たせるためか?
以下、またMCを箇条書きで
場内アナウンスがベルセルクのガッツ役、岩永さんであると紹介。開演前のアナウンスは岩永さん、第2部に入る時はガッツとして読んでいる。ガッツではなく岩永さんとして読んでくださいとお願いしたが、ガッツはこういうことは言わない、“ありがとうございます”とか言わないから、と原稿を書き換えてくださっていたらしい。
「OUTSIDE OF BABEL」という副題を考えたのは和彦さん。
BABELの外側だけど、9mmの4人が作っているから、他の曲とも繋がっているから、と。どうつながってるかを考えるのはみんなだから、とも。
この日は滝さんが観にいらしていて、しかも2階席1列目のど真ん中に座っていたので2階席がざわついていたのか?途中で卓郎さんも滝さんが来ていることに触れる。「滝が来てます…ひとりにばれちゃったらもうみんなにばれたのと一緒だからね。笑」と。その紹介をしていた時に2階席に目を遣るとそこにはいい笑顔の滝さんが。
また、滝さんがいないから9mm見ないという声もあることを言いつつ、今の9mmについて、客席に「どう思う?」と問いかける。客席から返ってきたのは、あたたかい拍手。
インフェルノに入る前だったか、去年のツアーの名古屋公演で、卓郎さんがライブの途中でもうダメなんじゃないかと思ってしまって、でも客席のみんなを見たらそういうことじゃないんだな、と思い直したという事があったのだと。
しかしアンコールの時には今日は楽しかった、次に名古屋に来るのが楽しみになった、と仰っていた。
去年の名古屋公演は観に行っていないのでその時の様子を知らなかったのと、自分が観に行った仙台公演では滝さんの調子がとても良いと卓郎さんが仰っていたので、卓郎さんのこの発言にはかなり驚いてしまった。
ライブの後で、去年名古屋公演を観た方達の声を耳にしたが、卓郎さんの言っていたような状況が客側から観ても分かる程だったことが窺えて、それを実際に目の当たりにしたことがどれだけ辛かったか、そして今年の公演で、卓郎さんがそのことを包み隠さず話してくれ、今日は楽しかったと伝えたことでどれだけ救われたのかは想像に難くない。
このくだりを聞いて、去年の9mmが自分の想像を遥かに超える程深刻な状態だったことを、また知ってしまった。
その状態からできることを考え、結果あんなに素晴らしいアルバムを作り上げたことも、改めて知ることとなった。
去年一番辛い時に一切の弱音を吐かなかった卓郎さんが今年になってインタビューやライブのMCなどでぽつぽつと、去年活動休止も考えた、とかもうダメだと思った、などと仰るのは、今ではもう口に出せるくらいに現状を受け止められて腹括ってるんだろうなと。
その度に「ちょっとだけほっとして吐いた弱音」という一節が思い浮かぶし、その度にこの歌詞の切実さを思い知る。
そりゃ卓郎さんがあんなに頼もしく見える訳だ…今までだって頼もしいフロントマンだったけれど、それ以上に。
卓郎さんはBABELというアルバムについて、
「9mmが(今の状況の中で)BABELという素晴らしいアルバムを作れたということが、9mmも頑張ってるなと思って頑張ってもらえたら、と。辛いことがあったらBABELを聴いてください。36分しかないし!」
と仰っていた。
(BABELについてはまた追々書くかもしれませんが)このアルバムがリリースされ、聴き始めた頃、確かに音は大好きな9mm…のはずなのにどことなく得体の知れない怖さを感じていて、何故か少し辛い気持ちになってしまったりしていて、それは聴きこむほどに薄れていって、端々に希望を感じられるようにもなったけれど
ツアーで実際に目の前で聴いたら何か印象が変わるだろうかと期待をしていたので、BABELについて神奈川公演でも“みんなに力を与えるアルバムになるように”という言葉があったが、9mmが困難を乗り越えようとしている時にできたこのアルバムにそういう前向きな力があるのだという事を聞き、本当に力強い言葉をもらうことが出来たと思い、つい毎回感極まってしまいました。この言葉を卓郎さんから聞けたことが、本当に嬉しかった。
“TOUR OF BABEL”にて、収録曲を最初から最後まで順番に目の前で演奏される様を観て、生の音で聴き、これがどんなアルバムなのか、どういう思いが隠されているのかを卓郎さんから直接聞くことで、ようやくこのアルバムを隅から隅まで堪能できた様な気がしていますが、まだまだ聴きどころがたくさんあり、このツアーを思い出してはこれからもっと見つけてゆくのでしょう。
残るは“TOUR OF BABELⅡ”
滝さんがもうすぐステージに帰ってくる。