最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20190809/キツネツキ“キツネノヨメイリ~2019夏~”@東京キネマ倶楽部(メモ)

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9mm Parabellum Bulletの卓郎さんと滝さんによるバンド、キツネツキのワンマンライブ。8月7日にリリースされたミニアルバム「キツネノナミダ」のレコ発的ライブで、これまでに何度もキツネツキのライブに“取り憑かれメンバー”として出演し、本作のレコーディングにも参加している渡部宏生さん(ドラム/heaven in her arms,SZKN)爲川裕也さん(ギター/folca)、下上貴弘さん(ベース/アルカラ)、東出真緒さん(バイオリン/BIGMAMA)の4人も出演が発表されていた。

 

ステージと天井が高く独特の雰囲気が素敵な東京キネマ倶楽部。入場してまだ真ん中あたりが空いていた下手側で観ることに。この会場の大きな特徴である、下手にあるバルコニーとそれに続く階段もよく見える位置。

出演メンバーが多いためステージにはたくさんのアンプが置かれ、上手の一番端にドラムが置かれている。上手端と下手端にひとつずつ、天井から見慣れない丸い赤いものがぶら下がっていた。

 

 

※セットリストは暫定。演奏された曲はこれで間違いないと思うけれど順番を失念してしまったため。「かぞえうた」と「MONDAY NIGHT BEER RUN」の場所が違う可能性が高い。確定情報が出たら更新予定。

 

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ドラム)

キツネツキのテーマ

odoro odoro

ケダモノダモノ

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ドラム)、爲川裕也(ギター)、下上貴弘(ベース)

 アイアイ

 犬のおまわりさん

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ギター)、爲川裕也(ギター)、下上貴弘(ベース)、渡部宏生(ドラム)

 ふたりはサイコ

 GOHONG-ZONE

菅原卓郎(ボーカルギター)、滝善充(ギター)、爲川裕也(ギター)、下上貴弘(ベース)、渡部宏生(ドラム)、東出真緒(バイオリン)

 てんぐです2019

 ちいさい秋見つけた

 かぞえうた

 MONDAY NIGHT BEER RUN

 小ぎつね

 証城寺の狸囃子

 ハイカラちゃん

 It and moment

 Intro~きつねのよめいり~

 まなつのなみだ2019

 四川省

 

 キツネツキのテーマ2

 ケダモノダモノ2019

 C.C.Odoshi

 

お馴染みのゆるいSEが流れる中、2階の高さにあるバルコニーから登場したのは卓郎さんと滝さん。卓郎さんは曲に合わせて手拍子を、滝さんは持っていたスティックで拍を取りながら階段を下りてくる。卓郎さんは下手にてゴールドのBricoleurを手に取り、滝さんは上手端にあるドラムセットへ。ステージの端と端にスタンバイしたふたりが向かい合うようにして演奏が始まると、ちょうどふたりの頭上にぶら下がっていた丸い赤いものが光る。あの見慣れないものはふたりを照らすための照明だった。その赤い照明の放つ光がふたりを怪しく照らす。

最初はふたりの口笛が響くキツネツキのテーマ、そしてodoro odoroという定番の流れから。

続いてケダモノダモノ、この曲をふたりだけで演奏するのは珍しい気がして、ふたりでやるんだ!と普段とは少し違うものが聴けることへの期待が高まる。下手がほとんど見えなかったため、ドラムを演奏する滝さんはほんの僅かしか見えなかったが、卓郎さんは手元までよく見える位置。9mmに比べればシンプルな曲構成のキツネツキ、卓郎さんあの辺弾いてるんだな…と手元を凝視したり、時には一緒に手を動かして観ていた。

ふたりで演奏していたこのブロックだったか、卓郎さんが滝さんを「右の狐(ステージ上手にいたため)」、自分のことを「左の狐」と紹介。狛犬みたいな…と言っていたので卓郎さんが何を想像しながら話していたのかがよく分かる。狛犬のように片方が口を開けていて「口を開けているのはおれの方」、歌うから!と続けるとフロアから納得したような反応が返ってきた。

 

3曲終わると“取り憑かれメンバー”の爲川さんと下上さんが呼び込まれる。バルコニーからまずは大きな帽子と眼鏡という出で立ちの下上さん(アルカラの時には眼鏡も帽子も着用していない)が登場、出てくると深々と一礼。続いて爲川さんは出てくるなり両腕を体の前でクロスさせてメロイックサイン(と見せかけてキツネだったりして…?)を作る。ステージに降りてくると爲川さんは卓郎さんの右隣、下上さんは爲川さんと滝さんの間へ。為川さんは胸元にバッジを6個つけていたのでこの日の限定ガチャのメンバー缶バッジだと思われる(このあと卓郎さんにバッジをさりげなく付けていたことをいじられていた気がする)。更に爲川さんが着ていたのはfolcaのグッズである自身の顔が描かれたTシャツであったため、上半身が顔だらけになっていた。

4人になって演奏されたのは「キツネノナミダ」よりアイアイ。キツネツキのゆるい雰囲気と童謡が演奏される様子は随分見慣れたとはいえ、あの卓郎さんと滝さんが「おさーるさーんだよー」と歌っている光景はもちろん楽しいものではあるけれど、この5日前に9mmのライブを観たばかりだったので一瞬「自分は今何を観ているんだ…?」という不思議な気持ちになった。

卓郎さんが「ワオーン!」と軽く吠えるような声を出してから始まった犬のおまわりさん、曲中で犬の鳴き声が聴こえてきたがステージ上の4人ではなく、音源を使っていたのか、それとも実は裏で…だったのかどちらかは分からなかった。

 

ここで卓郎さんが話していた間だったか、上手の袖からロッキーさんがさりげなく登場してドラムセットへ。バルコニーからの登場ではなかったため、上手袖からいきなりスルッと登場してきた様子を見て一瞬狐につままれたような気分に。滝さんはロッキーさんの左隣に移動、リバースヘッドのSufferを構える。

5人になって演奏されたのはふたりはサイコとGOHONG-ZONE、単純に人数が増えたからというのもあるがロッキーさんのパワーのあるドラムの音が入ると音の迫力が一気に増す。

 

2曲終えると真緒ちゃんが呼び込まれる。可愛らしい笑顔を見せながらバルコニーから登場してきた真緒ちゃんは下上さんと滝さんの間にやってくる。下手から卓郎さん、爲川さん、下上さん、真緒ちゃん、滝さん、ロッキーさん、という順番。これでこの日の取り憑かれメンバー全員もステージ上に揃った。このタイミングだったか、キツネツキの昨年のツアーにも3公演参加していた真緒ちゃんに関連するエピソードとして卓郎さんが、男所帯の中に真緒ちゃんが入るとみんな演奏が若干二枚目になっていた、という話をしていた。誰が一番二枚目な演奏に変わっていたのが気になったが…滝さんなのか、取り憑かれメンバー達なのか、彼らもそんな感じでかっこつけたくなる時もあるんだな、という微笑ましい話だった。

6人揃った最初の曲はてんぐです2019、音源でもこの6人で演奏されていて、特にバイオリンが入るとだいぶ印象が変わるなという感じ。歌詞のイメージの“風が吹いている感”を音で表しているかのような。客たちの振り上げた手が自然発生的に左右に振られたりと盛り上がる。

ちいさい秋見つけた、童謡カバーの中でもバイオリンが最も映えるのはやはりこの曲で、メロディーの美しさと曲の持つ哀愁が引き立つ。繊細さもあるような演奏が響いたちいさい秋見つけた と一転して重厚な音が繰り出されるかぞえうた の対比が何となく記憶にあるのでここはこのような流れだったかと思う。

このあたりで入ってきた気がするMONDAY NIGHT BEER RUNは静かに空気を震わす様に音を鳴らすパートからなだれ込むように裏打ちの軽快な演奏に入るのが楽しい!短い曲なのであっという間に終わるが、楽しそうな様子で演奏され思いっきり裏拍で体を動かしながら聴けるこの曲は個人的には大好きな曲。

 

小ぎつねと証城寺の狸囃子、去年からお馴染みとなっている2曲では小ぎつねの「やまのなかー!」というレスポンスもバッチリ、卓郎さんは終始リラックスしたような笑顔を浮かべながら歌っていた。

それがまた一転、ハイカラちゃんのイントロを弾き始めると卓郎さんが赤い光を浴びながら遠くの方に視線を遣り、凛々しい表情に瞬時に変わる。卓郎さんが纏う雰囲気の見事な変化に目が離せなくなる。鋭い目つきは9mmの時とも少し違うような…ソロ曲を歌っている時に見せる眼差しに近いかなと個人的には思った。この曲が一番キネマ倶楽部に合っていたかもしれない。ここでキツネツキを観られて本当に良かったと、ハイカラちゃんを聴きながら考えていた。

その次には再びまったりとした雰囲気のIt and momentへ。天井から優しく降り注ぐ白系の照明が雲間から差し込む陽光のように見え、どことなく雅なメロディーが広がっていく様子はとても開放感があった。この曲も天井が高いキネマ倶楽部の空間にぴったりだった。

 

次の曲に入る前に卓郎さんが話し始める。少し真面目な話になるんだけど、と前置きをして。キツネツキについて、最初は遊びのつもりで始めたが、生きるために必要なものだった、そして生きるために音楽が必要だったんだと。また、まなつのなみだについて「滝と一緒に曲を作っていると、もう会えない人の事が思い浮かぶような曲がたまにできる」とも。それは9mmで言うと黒い森の旅人なのだそう。そして、もう会えないけれど会いたい人のことを思い浮かべながら聴いて下さい、というようなひと言。

それに続いてIntro~きつねのよめいり~ から まなつのなみだ2019へ。青と緑の照明が夏の空と瑞々しい緑の風景を描き、その中で響くバイオリンの音がふわりと流れてゆく風のようだった。つい先ほどの話を思い出しながら卓郎さんが丁寧に歌ってゆく言葉を聴きながら、頭の中では薄っすらと色々な人の顔が浮かんでは消えていって、懐かしいような少し物寂しいような気持になった。

本編最後の曲は四川省、若干しんみりとした空気を和やかにさせるような優しい曲でしめくくる。こうやって聴いてみるとエンドロール感もあるような。

 

本編が終わり、アンコールに応えて再び出てくる卓郎さんと滝さんは、新しいグッズ“化けTシャツ”を着用。卓郎さんは卓郎さんの顔がプリントされたTシャツ、滝さんも滝さんの顔がプリントされたTシャツをそれぞれ着ていた。バルコニーに登場するとTシャツのプリント部分を両手で隠して恥ずかしがるような仕草をする卓郎さん。爲川さん、下上さん、ロッキーさん、真緒ちゃんは6人の顔がプリントされているワンマン限定の“化けTシャツ”で登場。本編のどこかで卓郎さんが化けTシャツについて、「他の4人にも着てもらってステージでパッと見せる」「(多分客に向けての話)おれと滝のTシャツどっちが多いか、みたいなのは…心がもたないのでやめます」と冗談交じりに言っていた。自身の顔がTシャツになっている卓郎さんと滝さんはどっちがどっちを着ればいいのか、という話にもなり「おれが滝のTシャツ着て、滝がおれのTシャツ着たらオセロの最初みたいだよね」とも話していたので後で卓郎さんの言った通りの出で立ちで出てくるのかな…と思っていたが、ふたりとも自身の顔のTシャツを着用。

 

まなつのなみだを再録したことについて、単純に「良い曲だからベース入れたいよね!」という気持ちだったと言って和ませる卓郎さん。「キツネノマド」のアレンジもとても素敵だったが、確かにあれほどの曲であればフルメンバーでアレンジを再構築してレコーディングしたくなる気持ちもよく分かる。

まなつのなみだの話なのでこのあたりで出たか、良い曲だからみんなのうたとかで流れたらいいねという感じの話になって、「みんなのうたは曲をリクエストすることができるんだって」と言った卓郎さん、客たちに向かって「リクエスト、みんな好きでしょ…?」と圧をかけてくる。卓郎さんにしては珍しい物言いが面白かった。それに関連して、みんなのうたで今放送されている曲?パプリカの振りを卓郎さんが真似していた。

 

キツネツキのテーマ2から再び演奏が始まる。続いて卓郎さんが「ケダモノダモノ2019!」と叫ぶと本編ではふたりで演奏したケダモノダモノを再び6人で。この日一番、というくらいに盛り上がるフロア。ステージ上もそれは一緒で、曲が始まるとドラムを叩くロッキーさん以外はステージ前方まで一斉に出てきて演奏を始め、その後もステージ上を思い思いに動き回る。ここまでずっと大きな帽子と眼鏡を着用してアルカラの時よりは控えめに動いていた下上さんがいつの間にか帽子も眼鏡も外れ、普段と同じように鋭い目つきで思いっきり動きまくっていた。2番を歌ったのは卓郎さんではなく滝さん!澄んだ歌声で元気に歌っていた。まさか滝さんがソロで歌うのを観られてしまうとは…!とびっくり。

畳み掛けるようにこの日最後の曲、C.C.Odoshiへ。更に動きが激しくなる6人、この時だったか卓郎さんが途中でギターを置いて階段を登り始め、バルコニーから一度退場、しばらくするとどこからかステージに帰ってくるというやりたい放題っぷりを見せていた。演奏している本人たちが一番楽しんでいるように見えた。卓郎さんの自由さも痛快な光景で余計楽しい気持ちになった。

 

演奏が終わると順番に階段を上がってバルコニーへ。6人がバルコニーに揃ったところでステージにいた時と同じ順番で横に並び、手をつないでお辞儀。やり切った!楽しかった!という表情、良い笑顔の6人を見てまた嬉しくなった。それも終わると次々と退場していったが、最後に残った卓郎さんが流れていたBGM(キツネツキの登場SE)に合わせて足踏みをしながらゆっくりとカーテンの中へ入って行…きそうで行かない、というフェイントをかけたり、一度下がったりと長々とその場にいて、最後に一際いい笑顔をこちらに向けてカーテンの向こうへ消えていった。

 

この日、卓郎さんはずっとゴールドのBricoleur、滝さんはリバースヘッドのSufferで演奏していた。これまでのキツネツキのライブで登場していた、卓郎さんのスーパーソニックと滝さんのフライングV、キツネみたいな色のギターはそれぞれサブとして用意されていたが、最後まで使われなかった。

 

この日、キツネツキの持ち曲をほとんど(QB以外?)演奏したと思われるが、曲が少ないからと卓郎さんが何度もMCを入れ、のんびりと喋っていた。以下、覚えてるだけメモ。

 

キツネツキは以前から卓郎さんが話し始めると滝さん達が徐にBGMを奏で始める、というのが恒例となっているがこの日も何度もあり、卓郎さんがMCにこんなにしっかりしたBGM付いてるバンドいないよね、と話していた。

卓郎さんがチューニングをしている?時にもBGMが演奏され、卓郎さんが「みんなちょっと踊ってて!」とフロアに向かって言う場面もあった。

 

何かの曲に入る前だったか、卓郎さんが何の気なしに「いきますよ~!」と客に向かって言った後に、「9mmとは“いけるかー!”だけど、キツネツキでは“いきますよ~!”にしよう!」と閃いたように言っていて、これ以降卓郎さんの煽りは「いきますよ~!」になっていた。ゆるい感じがキツネツキにぴったりで、9mmとも近いし、「いきますよ~」と煽られた客たちは呼ばれて返事を返す時のように「はーい!」と言わんばかりに手を上げていたのも和やかな光景で、それもキツネツキに合っていた。

 

まなつのなみだの再録の話に関連して?だったかもしれないが、「2023年にはテクノバージョンになってるかもしれない」と言ってから自分で「台無し…」と言ってしまった卓郎さん。2034年?にはアフリカ民謡みたいになってるかも、ロッキーが打楽器持ってきて…とも話していた。一見微笑ましいワンダーな雑談にも思えたが、卓郎さんがそんなことを言うくらい、当然のようにこれからもキツネツキを続けるつもりがあるからこそ出てきた話だったのかな、とライブが終わった後に考えて嬉しくなった。

 

ロッキーさんがひまわり柄の短パンを穿いていることを紹介する卓郎さん。上手の様子は下手のこちらからは見えなかったが、最後に退場する時によく見えた。とても可愛い柄だった。

 

この日の5日前にロッキンに出演した9mm、その時に卓郎さんがMCであまりの暑さに「おれたちもソーラーパネルみたいに発電できればいいのに」と言ったことに言及…していたがどういうふうに言及していたかをど忘れしてしまった。その表現についてこちらに同意を求めるような感じ、だったか。

 

新しいグッズのBIG尻尾キーホルダーを付けてライブをしていた卓郎さん、付けている位置的にギターの陰に隠れて客側から見えないことに気付いてMC中に逆側に付け替えていた。アンコールで取り憑かれメンバー達も尻尾を付けていて、各々の楽器を手に取るために後ろを向くと尻尾が見えた。それを見た卓郎さんが「隠さないとバレちゃうよー」

もうひとつの新しいグッズであるタオルを可愛いと言った卓郎さん、多分その流れからだと思うが取り憑かれメンバー達がそれぞれ徐にタオルを使い出して、真緒ちゃんやロッキーさんは肩にかけて、滝さんは卓郎さんが思わずそっちを向いてしまうくらい長めに顔を拭いていて…という“さりげない”宣伝が行われていた。

 

アンコール?何かのタイミングで「さ~て」と、何か(日曜日に放送している某アニメ)を彷彿とさせるような言い方をした卓郎さん。しかし元々意図した何か(恐らく金曜日に放送している某アニメ)ではない台詞を間違えて言ってしまったらしい。その後、「さ~て」に関連付けるように「姉さ~んおやつまだ?」と言ったり「あ、違う“ただいま~!”だった!」と言ったり。その間に状況を察した下上さんと滝さんがどこかで聴いたようなメロディーのBGMを演奏し始めるという見事な連携プレー。

 

取り憑かれメンバーに向かって「告知とかある?」と卓郎さんが話しかけるも、遠慮してなのか?誰も何も言わなかったという場面があった。その時だったか、また別のブロックだったか、この日の21時に9mmの新しいMVが解禁になります、という情報が一足お先に卓郎さんから告げられた。表現はかなりうろ覚えだが、もちろん発売するまで絶対に聴きません!というのもいいし、事前に聴きながら楽しみにしてくれるのも嬉しいな、と言っていた、気がする。

 

 

繰り返しになってしまうが、本当にステージ上の6人が一番楽しんでいる、というくらいに楽しそうに演奏していてその様子が本当に嬉しかった。上手側はあまり見えなかったが、滝さんがギターのネックを振り回したり、何度もステージ前方まで出てきて元気に弾いていた。どこかの曲で真緒ちゃんと爲川さんがふたり向かい合ってバチバチな感じでそれぞれ弾きまくっていたのがその光景だけははっきりと記憶に焼き付いているほどかっこよかった。弓を振り上げながらこちらを煽る威勢のいい真緒ちゃんの姿も、アンコールで完全にスイッチが入った時の下上さんも。

卓郎さんも少し言及していたが「はちがつはあなたにあいたい」と歌うまなつのなみだを8月に聴けたこともとてもよかった。もう会えない人に思いを馳せることが身近にある季節に、この歌が聴けたことを。

そしてキツネツキという存在が今や卓郎さんと滝さんにとって“生きるために必要なもの”だったという話が聴けたこと。キツネツキ結成の頃には滝さんのリハビリ的な意味も兼ねていたからそういう意味でも大きかったと思うけれど、ふたりが難しいことを考えず気の向くままにのんびり活動できるという環境にとても助けられていたんだな、と。だからこちらも、サイコーなふたりがこれからもキツネツキとしてどこまでもいくのを、楽しく観続けていきたい。