最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20200909/9mm Parabellum Bullet “白夜の百年”@KT Zepp Yokohama(Streaming+配信)

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今年も9月9日=“9mmの日”がやってきた。
毎年何かしらの楽しい出来事がある9月9日、今年はシングル「白夜の日々」とトリビュートアルバム「CHAOSMOLOGY」のリリース、そしてそれに伴うツアー“カオスの百年 TOUR 2020 〜CHAOSMOLOGY〜”初日公演が9mmの結成地・横浜に新しくできたライブハウスKT Zepp Yokohamaにて行われる、予定だった。しかしこのご時世…ツアー初日の9月9日公演は中止、他の公演は来年に延期となってしまった。
それでも9mmが、“9mmの日”を何もせずに終わらせる訳がなかった。ライブが中止になった代わりに配信ワンマンを開催、しかも事前に聴きたい曲のリクエストを募り上位の曲をセトリに入れるという嬉しい企画、更に「CHAOSMOLOGY」参加アーティストのうちfox capture planの岸本亮さん、チャラン・ポ・ランタンストレイテナーホリエアツシさんがゲストで出演することも発表された。

 

今回はライブの前に1時間ほど、事前収録のトークが配信された。まずは卓郎さんと和彦さんが近況やこの日リリースされた「白夜の日々」と「CHAOSMOLOGY」について話す、という内容。後半では9月9日のライブに出るはずだったfolcaの3人を迎えてのトークも。9月9日が誕生日のケンジさんをお祝いしたり、卓郎さんと爲川さんが似ているというお馴染みのネタから卓郎さんが爲川さんのご家族と会った際にお兄さんより似ていると言われたらしい、という話も。出演予定のライブが中止になってしまったfolcaに、この場で来年のライブに出て欲しいというオファーをサプライズでしていたので、9mmとfolcaの対バンは来年のお楽しみ、ということになった。トークが終わりしばらく待機画面が続いた後、画面がメンバーのいるステージに切り替わった。

 


(teenage)Disaster
Lost!!
Vampiregirl
The Revolutionary
光の雨が降る夜に
エレヴェーターに乗って
Keyword
白夜の日々
ロードムービー
Calm Down
ガラスの街のアリス
ハートに火をつけて
カモメ
Answer And Answer
名もなきヒーロー
Black Market Blues
太陽が欲しいだけ
ロング・グッドバイ

Lovecall From The World
Punishment

 

9mm Parabellum Bulletです、こんばんは」という卓郎さんのひと言からライブがスタート、曲に入る前から滝さんが元気にギターを振り回す。1曲目は(teenage)Disaster、天井から派手にスモークが出てきて、赤い照明を浴びてステージを赤い靄で包む。アウトロでも滝さんはかなり大きく動いていた。曲中に気付いたがステージにいるのは4人だけ、最初はサポートなしでの演奏だった。結成地・横浜で9月9日にやるライブの1曲目がこの曲というのは何とも嬉しい。ステージに掲げられたバックドロップはいつもの双頭の鷲ではなく、今年初めから販売されているグッズでも使用されている、心臓のような絵に「CHAOS IN 100 YEARS」と書かれたロゴが描かれたものだった。更にその上に手書き文字風にバンド名が書かれていて、照明が当たるとそれが浮かび上がってくるようになっていた。
続いてはLost!!、先程まで赤かったステージが今度は青へと変わる。要所要所で抜かれた、和彦さんのベースを指弾きするしなやかな手つきが美しかった。何が正解なのか分からないこのご時世に聴くと余計に切実な歌詞だなと思わされる。最後のサビに入る前に卓郎さんが、気合を入れるかのように声を上げていたのが聞こえた。
そのまま間髪入れずにVampiregirlへ。早口のパートで卓郎さんのマイクにエフェクトがかかっているように、声が少し歪んで聴こえる気がしたが…。間奏ではモニターに腰かけてベースを弾く和彦さんとお立ち台に上がってソロを弾く滝さん。最後のサビでは卓郎さんが「頭空っぽに“しなくちゃ”」と歌詞を変えていた。トリビュートでVampiregirlをカバーしたUNISON SQUARE GARDENがそのように歌っていたので、それに倣ったことに気付く。
かみじょうさんがステージの前の方を確認するように目線を遣りながらドラムを叩き続け、卓郎さんが楽しそうにイエーイ!!と声を上げてから演奏されたのはThe Revolutionary、曲調に合わせ眩く照らされるステージ。間奏では和彦さんはステージ中央に移動しかみじょうさんと向かい合わせになって弾き始め、卓郎さんと滝さんが同時に前へ出てきてツインリードを披露、それが終わると滝さんがフラフープのように思いっきりギターを一回転させた!久し振りに観られたような気がする滝さんのギター回しに思わず笑顔になった。

 

9mm Parabellum Bulletです」と言ってから拍手をする卓郎さん。同じく拍手をする和彦さんと、ギターを鳴らす滝さん。
ここで今回ライブを開催するにあたり、曲のリクエストを募ったことを説明し始める卓郎さん。
「聴きたい曲を1曲上げてくださいと言ったら、選びきれないって何曲も候補を上げてくれたりしてる人もいましたが…今からリクエストの結果、TOP3の曲を演奏します。タイトルは言いませんが…なのでライブでよくある、イントロでワーって(歓声が上がる)やつがないのは寂しいなと思いますけど、それぞれの場所で(歓声を)上げてくれれば届きますから、気配は。おれたちに。」

 

話し終えた卓郎さんが「いけるかー!!」を入れてから演奏が始まったのは、光の雨が降る夜に。卓郎さんが話している間にステージには武田さんが登場しており、ここからは5人での演奏となった。この編成だとイントロがトリプルリードになるのが個人的に大好きなところ。アウトロで卓郎さんと滝さんが揃ってお立ち台に上がると、その後ろで和彦さん・武田さん・かみじょうさんが向かい合っていた。このフォーメーションの見事さも5人編成ならではの見どころ。2年前のツアーでリクエストを募った時の第1位がこの曲だったので、相変わらずの人気の高さが窺える。
次に演奏された曲のイントロを聴いた瞬間、思わず声を出してしまった。もう何年振りに聴くのかも忘れてしまったほど、久々だった。エレヴェーターに乗って!!この曲こそ、今回自分が一番聴きたくてリクエストした曲だった。抑揚強めに歌う卓郎さん、ギター3人の編成でより分厚くなった音…と2020年バージョンのエレヴェーターが聴けてちょっと泣きそうになった。嬉し過ぎてアーカイブで何度も何度も繰り返し聴いた。
そして最後はKeyword、順位は発表されなかった気がするが順番的に今回の1位はこの曲だったのだろうか。この曲もかなり聴きたかったのでやはり嬉しい。間奏のギターソロで生き生きとタッピングを弾き切った滝さんの姿に、画面の前で拳を振り上げそうになった。

 

ここで再びMC。「リクエストからTOP3を演奏しましたが…エレヴェーターに乗って を演奏したのは…もう百年くらい前ですね」と和彦さんの方を向いて笑いながら言う卓郎さん、笑顔で頷く和彦さん。この曲は「命ノゼンマイ」というシングルのカップリングで…この配信時代にカップリングと言われてもピンと来ないかもしれませんが、とも。
「たくさんのご応募ありがとうございます。おれたちはまだやったことないですけど、そのうちレア曲縛りとかね、やりたいですけどね。」「こんな状況ではありますが、2020年ライブがバタバタと中止や延期になってどうなることやらと思いましたが、それでも9月9日にめでたくシングルとトリビュートアルバムをリリースすることができました、ありがとうございます。」
卓郎さんが話す間、滝さんとかみじょうさんがBGMを付けるかのように音を出していた。また気付くとステージには武田さんではなく爲川さんの姿があった。次の曲からまた編成が変わるようだ。
「9mmが何を考えて過ごしていたのかっていうことは、白夜の日々というシングルの中に…今のところは、とてもいい形で込めることができたと思っています。…さっき入りました速報によりますと、シングル、トリビュートアルバム共に…(ここでかみじょうさんが短く控えめにドラムロールを入れる)…オリコンデイリー10位!共に、惜しい!9位まで!(ここで滝さんが残念そうな効果音を入れる)(かみじょうさんはカウベルを叩く)もうひと頑張りして9位を目指したいですね~。」などと言いながら思いっきり笑う卓郎さん。
「もう聴いてくれているとは思いますが、今日、2020年9月9日のライブで聴いてもらおうと思います。9mm Parabellum Bulletの、2020年の新曲、白夜の日々、聴いてください。」

 

ステージが一際明るく照らされて白夜の日々の演奏が始まった。そっと寄り添ってくれるような優しさを含んだようなサウンドが煌めき、心がじわじわと温かくなるような感覚があった。やっぱり、祈りのようなイメージが湧く、美しい曲だなと思いながら眩いステージを見つめていた。
続いてはロードムービー、配信ではあるがこれがライブ初披露。明るい音階と歌を引き立たせるような落ち着いた演奏が新鮮であり、青みがかった爽やかな照明がぴったりだった。終盤に曲展開が変わり、音が重たくなるにつれ真っ赤に変わるステージが予想以上のインパクトだった。
そしてCalm Downへ。「白夜の日々」シングルの収録順通りに3曲が続いた。どこかオリエンタルな夢現的メロディーがだんだん激しくなる様、赤と青のコントラスト。焼き尽くすような轟音を叩き付ける迫力のラスト。昨年のツアーでピンチをチャンスに変えたこの曲が正式に楽曲としてリリースまでされてセットリストに入る嬉しさ。

 

演奏が終わると卓郎さん、滝さん、爲川さんがステージから退場。カメラがステージ全体を映すのをやめ、バックドロップを画面いっぱいに映す。ステージ全体を映さないようにして何やら準備が始まったらしく、微かな物音がする。
「はい、えーっと、ここからは2人で…何人か人数が減ったんですけど…出張9mm radioということで」と沈黙を破ったのは、和彦さん!!9mmのライブでは仙台でしか喋らない和彦さんが、話し始めた。それに相槌を入れるのは同じく9mmのライブではほぼ喋らない、かみじょうさん。ちなみに9mm radioとは大体メンバー2人ずつのトークが配信されるモバイル会員限定コンテンツのことである。
「本日9月9日はですね、かみじょうちひろ君の誕生日ということで、おめでとうございます。」と和彦さんが拍手をしながら続ける。「その設定まだ生きてたんですね、ありがとうございますー。」と低いトーンで返すかみじょうさん。(公式プロフィール上のかみじょうさんの誕生日は1999年9月9日[仮]なので)「1999年生まれ、21歳?俺。大学3年生ぐらい」と笑顔を浮かべながら当の本人が言い出す。
「ここからはゲストを迎えて一緒にやろうかな、という感じですね。ゲストというのは、トリビュートに参加して頂いたアーティストの中から、今日は何組か出て頂けるということで、一緒にやろうと思います。」と和彦さんが進行に戻る。話しながらきょろきょろとしていた和彦さん、普段喋らないからやはり慣れないんだろうか。
「何でこの2人が残ってるかってのは理由があるんだよね。」と和彦さんがかみじょうさんに振れば、「えっどんな理由?」とすっとぼけて返すかみじょうさんに、和彦さんが思わず笑ってしまっていた。かみじょうさんのボケを全然拾わずに和彦さんが続ける。「じゃあもう呼んじゃっていいかな…紹介します、fox capture planの岸本亮君です。」


和彦さんの拍手に迎えられて岸本さんが登場。かみじょうさんが「通称メルテンさんでーす!」と紹介しつつ「メールテン、メールテン、ピアノが上手いのよー…」と童謡のメロディーで謎の替え歌を披露すると「これ配信されてるからね」と和彦さんがばっさり。その様子を見ながら「よろしくお願いします!」と挨拶をするメルテンさんにかみじょうさんがごめんねー、と謝っていた。
「ゲストが3組いる中で、CHAOSMOLOGYの…インスト勢の代表ということで身が引き締まる思いなんですけど、もともとは先週リハーサルがあって、9mmのフルメンバーに僕がキーボードとして入ってセッション的な感じでやるんだと思って、リハーサル着いた日にfox capture planのバージョンでお願いしますって言われて、そこから1週間ほど眠れない日々が続いてました。」と裏話を披露。逆にそれ言われていきなりリハでよくできたもんだな、と和彦さんが返していた。
和彦さん「fox capture planと同じ編成で…トリオでやるということで。」かみじょうさん「トリオを再現させて頂こうと思って、それでギタリストとボーカリストにはけてもらって…ごめんねリズム隊で、華が無くて。」にメルテンさんがいやいや…大船に乗ったつもりで…と、和やかな雰囲気で会話が進む。

 

「じゃあ、あの曲をやります。」という和彦さんのひと言からいよいよ演奏へ。fox capture planがカバーしたアレンジでの、ガラスの街のアリス。曲に入る前にメルテンさんがサビの歌メロをアレンジして弾くという音源にはない部分を追加していた。和彦さんとかみじょうさんは普段と同じ、メルテンさんが上手という位置。キーボードにエフェクトをかけ、楽しそうに演奏するメルテンさん。貴重なトリオ編成で、シャープなアレンジでのガラスの街のアリス。2回目のサビに入る前には大きく頭を振って眼鏡を吹っ飛ばすほどの熱演ぶりだったメルテンさん。演奏が終わるとメルテンさんが「ありがとうございました!」と言って和彦さん、かみじょうさんとグータッチをして退場していった。「慣れないMCやるといつものライブより疲れたな…。」と、かみじょうさんがぼそっと言っていた。

 

再び画面がバックドロップを映し、しばらく経つとステージに卓郎さん、滝さん、爲川さんが戻ってきていた。
和彦さんとかみじょうさんに「こんなに長いMCしたことないでしょ」と言い、メルテンさんには拍手を送る卓郎さん。続いてのゲスト、チャラン・ポ・ランタンを呼び込む。お揃いのワンピースで元気に登場したももちゃんと小春さん。ももちゃんは和彦さんと卓郎さんの間に、小春さんは卓郎さんと滝さんの間に立つ。
2人を紹介し始める卓郎さん。2018年にチャランポがラジオ番組に出演した際に9mmをカバーしたと聞きつけて、セッション等のステージに出てもらういい口実ができた…ということになって、2019年の荒吐にも出てもらった、と。その縁のままトリビュートアルバムに参加してもらった、と。
「なんか、9mmのファンの人達が参加しちゃったみたいな。さっきから足元すごーい!とか、右も左も頭がもじゃもじゃ!とかいろんなことが気になっちゃって。」と、9mmへの愛もさりげなく込めつつ小春さんが話す。
トリビュートアルバムでは二人で演奏してもらって…と卓郎さんが紹介を続けると、トリビュートを聴いてきたんですけど、歌とアコーディオンだけだと音圧がない!と言うももちゃんと小春さんに対して、2人の演奏が相当ヒリついてるからねと、「インスト盤に入っているハートに火をつけても2人だけの演奏だから(インスト盤は→Pia-no-jaC←)、すごくいい、対称的な。」と称賛していた。

 

ラジオがご縁で出会ったので、と卓郎さんがももちゃんに曲紹介をお願いし、ももちゃんが「それでは聴いてください、ハートに火をつけて」と言ってから演奏へ。イントロから情熱的なアコーディオンの音を奏でる小春さんと元気に踊りだすももちゃん。ハンドマイクで目元に力を込め熱唱するももちゃんがかっこいい!間奏でアコーディオンを弾きまくる小春さんもかっこいい!!卓郎さん、ももちゃん、小春さんが歌声を重ねるサビの華やかさ。アウトロで笑顔で踊るももちゃんが思いっきりジャンプして曲を締めた。歌い終わって「楽しい~~!!」と満面の笑顔を見せるももちゃんの可愛らしさ。ステージ中に「ありがとうございました!」を振りまいて2人が退場していった。昨年の荒吐で観たあのハー火が、また観られるなんて思わなかった。とにかく嬉しかった。

 

ステージが暗くなり、滝さんが静かにギターを鳴らす。「続いてのゲストを紹介します…ホリエアツシ!」と卓郎さんが言うと最後のゲスト、ストレイテナーのホリエさんが登場。開口一番「外、大雨らしいです。」と言って卓郎さんを驚かせる。ホリエさんがこの日のライブ前にみなとみらいを散策していた時には星が見えていたらしいが…。「もしこんな日にお客さんを入れてたらまた雨バンドって言われる…それは避けられました。」と笑う卓郎さん。
卓郎さんが選曲でもう泣く、と言っていたがストレイテナーがトリビュートでカバーしたのは、カモメ。「荒吐良すぎてね…あれでもう来すぎちゃって。」というホリエさん。選曲のきっかけが荒吐だったということか。それを聴いて卓郎さんが「荒吐感謝シリーズだね!」と。このライブの前にテナーの配信ライブを観た卓郎さんが、「MCでTITLE(テナーが配信ライブで再現したアルバム)の曲は、鳥がメッセンジャーの役割を果たしているような歌詞が多いと言っていて、それでこの曲(カモメ)だから…。」と言っていた。だからリンクしているような気がした、と。

そんな話からのカモメ、卓郎さんがアコギに持ち替えていた。エクリプスに持ち替えた滝さんが静かにギターを奏でる。この曲では全体を通してリードを爲川さんが弾いていた。ベースのフレーズで、原曲ではなくテナーのアレンジで演奏していることに気付く。ホリエさんが澄んだ声で歌い、サビで卓郎さんの歌声が重なる。原曲よりもグッと音数を抑えたようなアレンジに乗る2人乗る声がどこまでも広がっていった。終始心が落ち着く、いつまでも聴いていたくなる気持ちの良い演奏だった。「ホリエアツシ fromストレイテナー!」と最後に卓郎さんがもう一度紹介すると「ありがとう!!」と言ってホリエさんがステージから退場していった。

 

「改めて、ゲストの3組に大きな拍手をお送りください。」と卓郎さんが言いながら拍手をする。「気持ち的にはすべてのアーティストの皆さんに来てもらってやりたいところですけど、ディスタンスの概念が崩壊しますので。」
「おれたちは結成して16年経つんですけど、錚々たるアーティストの皆さんにカバーしてもらっても、それでも9mmだと分かる曲をたくさん生み出して、それを楽しんでもらえているということがとても幸せです。ありがとうございます。」と言いつつこの日もサポートギターとして参加した武田さん、爲川さんに感謝の言葉を述べた。この時点でまたステージにいるのが4人だけだと気づく。


「ここからはまた4人で演奏します、9mmの日!みんな準備はいいか!!」
「いけるかー!」
「いけるかーー!!」
「いけるかああああああ!!!!!!」

威勢よくAnswer And Answerへ。赤と青を散りばめた、明るさを落としたステージがサビで一気に明るくなると同時に非常に晴れやかな気持ちになった。最後のサビ前に卓郎さんがまっすぐ上に伸ばした腕を思いっきり振り下ろしたり、アウトロ前に和彦さんも思いっきり腕を上に伸ばしていたりと気合が滲み出ている様子も見えた。続いて名もなきヒーローへ。ライブアレンジのイントロはなく、スパッと曲に入る。勇ましい曲に合わせるかのように、青とピンクの照明が派手に点滅する。最後のサビに入る前、滝さんが勢いよく蹴りを入れるように動いていたのが記憶に残っている。特に今年、この曲の「生きのびて会いましょう」という一節に、どれほど助けられてきたか。それを噛み締めながら聴いた。
和彦さんが思いっきり腰を落としながら弾き、卓郎さんと滝さんが声を揃えて出だしを歌ったBlack Market Blues、卓郎さんが「Zepp KT Yokohamaに辿り着いたなら!!」と歌詞を変えていた。「迷える子羊たちが~」の部分では普段ベースを高く掲げる和彦さんが、この日はアンプと向かい合いノイズを出していた。この曲はトリビュートでa flood of circleがカバーしているのでセトリに入れられたのかもしれないな、とも思った。(演奏は原曲アレンジだったが)
「マジで大雨なの!?マジで大雨!?じゃああれが欲しい!!!」と卓郎さんが素晴らし過ぎる前フリを入れてからの、太陽が欲しいだけ!!ステージ上に置かれた円形の照明が輝き、太陽のような眩さでステージを照らした。卓郎さんがまっすぐな眼差しでこちらに向かって歌う。
「最後の曲です、また会いましょう!」の言葉からロング・グッドバイのイントロのタッピングへなだれ込むとスモークとレーザーがステージを派手に盛り上げる。太陽が欲しいだけからのロング・グッドバイという流れで、自分でも最早よく分からないほどに感情が昂ぶり、体が熱くなり、画面に釘付けになっていた。
演奏が終わると卓郎さんが晴れやかな笑顔で「ありがとうございました!」と言う間に滝さんが退場、続いて和彦さん、卓郎さんも退場し最後にかみじょうさんがひらひらと手を振りながら退場していった。

 

配信なのでこれで終わりかと思ったが、画面は変わらずステージを映す。アンコールまでやってくれるのか!
卓郎さんが拍手をしながらステージに戻ってくると、それに合わせて会場内のスタッフさんも拍手をしていた。
「アンコールありがとうございます。9mm Parabellum Bullet Presents “白夜の百年”ご覧頂きありがとうございました!何が起こるか分からない世の中ではありますが…そんなの早く終わるぜ!と無責任なことも言えないですが、こうやって音楽を皆さんのところに届けたい、というかおれたちは演奏がしたい!バンドだから!と思っているので、皆さんに会えるのを楽しみにしています。」
アーカイブが残るとはいえ今日観てくれた皆さん本当にありがとう、と視聴者に感謝の言葉を述べ、続けて先程ゲストで出演してくれたメルテンさん、チャランポの2人、ホリエさんにももう一度感謝を伝える卓郎さん。
「またツアーとかやるぜ、おれたちは絶対やるぜ、と思っているので皆さんも絶対、会いましょう。今日は本当にありがとうございました。」
「アンコールも4人で演奏します!」「いけるかー!!!」からカオス音を思いっきり叩き付けたLovecall From The Worldは卓郎さんと滝さんが2人で歌い、和彦さんがありったけの気合を込めてシャウト、かみじょうさんは冷静に叩き続ける。一瞬の静寂を経てこの日最後の曲、凄まじいキレの爆速Punishmentへ。間奏で滝さんとともに手拍子をしながら、暴れ倒す滝さんを観ながら、歌いながら、あの暴風のような演奏の中で、卓郎さんが何度も笑顔を見せていた。

 

演奏が終わるとやはり真っ先に退場していった滝さんの背中が映った。いつものようにフロアに向かって丁寧にお辞儀をする卓郎さんが続いて退場。和彦さんの姿は既にステージから消えていた。最後まで残っていたかみじょうさんがゆっくり歩きながら手を振り、すまし顔のままこちらに向かって投げキッスをしてステージから去っていった。

 


前半のトークも入れると2時間半を大幅に超えた配信だった。セトリはアンコールも含めると20曲で、今回の編成をまとめると、
最初の(teenage)Disaster、Lost!!、Vampiregirl、The Revolutionaryは4人編成。
光の雨が降る夜に、エレヴェーターに乗って、Keywordは武田さんを入れた5人編成。
白夜の日々、ロードムービーCalm Downは爲川さんを入れた5人編成。
ガラスの街のアリスは和彦さん、かみじょうさん、メルテンさんによるピアノトリオ。
ハートに火をつけては9mmの4人と爲川さん、チャラン・ポ・ランタンの7人編成。
カモメは9mmの4人と爲川さん、ホリエさんの6人編成。
Answer And Answer、名もなきヒーロー、Black Market Blues、太陽が欲しいだけ、ロング・グッドバイ、そしてアンコールのLovecall From The World、Punishmentは再び4人編成。
武田さんも爲川さんも参加、ゲストが3組、そして20曲中11曲を4人だけで演奏、と“9mmの日”ならではの盛りだくさんの内容だった。
今年に入ってから4人で演奏する曲数が大幅に増えていて、再び4人で長い時間演奏できる9mmを観られるようになったことが本当に嬉しくて堪らない。滝さんが雑誌のインタビューでも言っていたが、今は4人でもライブがしたい、できそうな気がするというモードだという。だからといって完全復活だ!!と区切りをつけるつもりは無いそうなので、こちらも4人の9mmも5人の9mmも観られて楽しいな、というフラットな気持ちで観続けていこうと思う。


卓郎さんがMCで「レア曲縛りもやりたい」と言っていたが、今回のように4人、4人+武田さん、4人+爲川さんと一度のライブで3編成組めば充分実現可能なんじゃないか、と考えると期待が膨らむ。
大好きなもの、楽しみにしていたことを悉く奪われてきた2020年。でも2020年の“9mmの日”も「楽しみ!」という気持ちで迎えられ、「楽しかった!!」という気持ちで終わることが出来た。今年の9月9日も最高に良い1日だった。