最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

【ツアーネタバレ注意】20210606/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年TOUR 2020~CHAOSMOLOGY~”@ Zepp Haneda

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2019年の“FEEL THE DEEP BLUE TOUR”以来、約1年半振りのツアー。

元々は昨年、9mm初のトリビュートアルバム「CHAOSMOLOGY」のレコ発として各地ゲストを迎えて開催する予定だったが初日の横浜公演は中止(その代わり無観客配信ライブが開催された)、その他の公演は延期に。座席を全席指定にしたりワンマンライブに変更したりと、今の状況の中で出来る限り安全に開催するための対策を取ってようやくツアーが開催されることとなった。

開催の少し前に公演内容の詳細が発表された。二部構成で「第一幕は6人編成でBABEL再現ライブ」「第二幕は4人編成でGjallarhornとPhantomime再現ライブ」という、全く予想していなかったものだった。リリース当時、滝さんがライブ活動を休んでいたため参加出来なかったBABELの完全再現を武田さん、爲川さんという頼もしいサポーターズも迎えて全員で。そしてかなりのレア曲も含まれるインディー盤2枚の再現を4人だけで…!



開演20分ほど前に会場内へ。今回も入口では感染対策のため自分でチケットの半券をもぎり、検温と消毒を済ませて入場。ロビーにはZeppでは珍しい手書き看板と、9mmメンバーからZepp Hanedaに贈られたサイン入りポスターカレンダーが展示されており、撮影のための列ができていた。それに並んだりドリンクを受け取ったりしてから場内へ。ステージは黒い幕で覆われ、各座席には入場特典のCDが置かれていた。

自分のこの日の座席は上手側だった。事前に届いたチケットには「B列」と書いてあったので2列目に自席を探そうとしたが場内に「A列」の座席は設置されていなかった…「B列」が、この日の最前列だった。

 

定刻を少し過ぎた頃、劇場で流れるような音のブザーが鳴って開演を知らせると場内が暗転。今まで聴いたことのない、ガットギターで演奏されたようなプレリュード的なSEが流れ、ステージを覆っていた黒い幕が開くとそこには既に6人の姿が。ステージには今回のツアーのために用意された、入場特典CD「泡沫」のジャケット6ヶ所分の柄を使用したデザインのバックドロップが掲げられていた。後で気付いたがツアータイトルの「2020」の部分が「2021」と手書き風のデザインで上書きされていた。

前列に9mmメンバー4人、後列上手側に武田さん、下手側には爲川さん(自分の席からは卓郎さんのアンプの後ろから爲川さんの首から上だけが見えた)という立ち位置。ここで予想外だったのは、2017年のTOUR OF BABELではステージ前列上手にいたかみじょうさんが、ステージ前列下手、和彦さんの左隣にいたこと。



ロング・グッドバイ

Story of Glory

I.C.R.A

ガラスの街のアリス

眠り姫

火の鳥

Everyone is fighting on this stage of lonely

バベルのこどもたち

ホワイトアウト

それから



イントロから滝さんのタッピングが鳴り響くロング・グッドバイからライブがスタート。普段から比較的よくセトリに入るのでライブで聴く機会は多い曲だけれど、ギター4本というとんでもない音の厚みの特別感と、改めて「BABELの1曲目」として聴くと普段とはちょっと違う心地の良い緊張感があった。滝さんは口を尖らせながら少しリラックスしたように見える状態でリフを弾いたり、サビではオフマイクで口を大きく動かしながら歌っていたり、時折笑顔のような表情を浮かべたりしていた。最後のサビ前、滝さんがギターのペグとナットを鳴らす瞬間にスポットライトが一斉に滝さんを照らす、という演出が素晴らしかった。

続いてはStory of Glory、6人の最強の布陣で演奏されるこの曲、「おれたちは今夜無敵なんだ」の部分の、文字通りの無敵感たるや。「You and I Try to Fly~」のところは滝さんがほぼひとりで、一際大きな声で歌っていた。

I.C.R.A、滝さんが1番のAメロで素早く控えのギターに持ち替えていた。その後はアルペジオをサポーターズに任せ、カッティングを奏でる滝さん。下手に目を移すと、和彦さんがドラムセットが載っている一段高いところに足をかけて弾いていた。かつてのライブではフロアから大合唱が巻き起こっていたサビの「愛し合え」は卓郎さん、滝さん、武田さん、爲川さんが歌声を揃える。間奏のタッピングを滝さんがしっかりと弾き切った瞬間、嬉しくて思わず歓声を上げてしまいたくなったが、堪える。

ガラスの街のアリスでも滝さんが1番のAメロでギターを持ち替えていた。サビで和彦さんがステージ前方まで出てきて弾いていたのを観られたのは確かこの時だったか。2番では卓郎さんが「透明な“羽田”の星を指でなぞったよ」と歌詞を変えて歌っていた。この部分で歌詞を地名に変えるのは今までにもあったが、「羽田の星」とは何ともロマンチックな響きがあって、とても素敵だった。自分が上手にいるのでこの日は全体的にステージ上手側を多めに観ていたが、個人的に好きな部分、この曲中に数ヶ所出てくるかみじょうさんがシンバルを叩くと同時に掴んでミュートする瞬間には毎度視線を下手側に移した。

 

ここまでの激しい曲調から空気が一変する眠り姫、イントロでこの日初めてアコギの音が聴こえた。自分の席からは見えなかったが、爲川さんがアコギを弾いていたようだった。間奏では滝さんがボリュームを下げたり上げたりしながら幻想的な音を出していて、独特の空気感を作り出していた。

突然ステージがかなり濃いスモークに包まれ、原曲の半音下げキーで火の鳥の演奏が始まった。濃いスモークに包まれちょっと姿が隠れ気味になった滝さんから聴こえる、イントロの半端ないタッピングの音には何とも言えない荘厳さがあった。サビでは卓郎さんが遠くを観るように視線を移しながら歌ったり、別のサビでは和彦さんが遠くを指差すような仕草をしたりと、屋内でのライブなのに歌詞の通り羽ばたいて空高く、遠くへ飛び立ってゆく火の鳥の影が見えるかのような瞬間だった。

Everyone  is fighting on this stage of lonely、Aメロのカッティングは武田さんが担当、サビでは武田さんがキリっとした視線でギターを弾き続けるなど武田さんの見せ場が多くそちらに目を奪われた。最後のサビ、「戦え」と声高に歌う卓郎さん、その後ろで滝さん、武田さん、爲川さんが重ねた力強い歌声は強く胸を打つものだった。

そこからバベルのこどもたち、という重厚なアルバムの中でも最もシリアスな流れ。サビで白の照明を使っていたのが少し意外な気がした。6人編成で全体的にとんでもない音の厚みが繰り出されていたBABEL再現の中でもやはりこの曲の間奏の音圧は最も凄まじく、分厚い音の壁を間近で食らって身体中がビリビリするような感覚。

次のホワイトアウトでまた空気が一変。エレガントなリフが優しげでもあり、少し物寂しさもあり、全体的に重いアルバムの中で照明がバックドロップに白い四角のような模様が薄っすらと落としていた。この時には和彦さんが一際優しい手つきでベースを弾いていた。

MCを挟まずに演奏していったので、あっという間にBABEL最後の曲・それから へ。Aメロの高速ピッキングは武田さんが弾いていた。「浮かれた世界を沈めていく」で歌詞に合わせるように手を沈める卓郎さん。中盤、卓郎さんがスッとした立ち姿のまま、ほぼ動かずに独白のように捲し立て、言葉が途切れると滝さん、和彦さん、武田さん、爲川さんが激しく動き出すといった“静”と“動”の対比は視覚的にも非常に美しさがあった。最後、「わたしはあなたと乗り越えたいのさ」の一節を聴いた瞬間には反射的にこの4年間を思い出し、本当に乗り越えてこの日のステージに辿り着いた6人の姿を目の前にして、感慨深い気持ちが込み上げた。

 

「BABEL」全10曲をMCなしで一気に演奏。全体的に演奏、というよりもはや歌劇を観ているような感覚になった。照明も演奏中はBABELのアートワークを思い起こさせるような赤を基調としたもので、曲と曲の間の僅かな時間はそれぞれ青い照明になる、という切り替わりを繰り返していて、1曲ごとにまるで場面を切り替えているかのようにも見え、それも10曲を通して一つの物語を観ているかのように思わされたところ。

 

リリースから4年、2017年当時はライブに参加できなかった滝さんも一緒に、6人という大所帯でBABELという緻密なアルバムを遂に完全再現してみせた。今回のMCを挟まない形式や開演を告げるブザーの音は、2017年のTOUR OF BABELと同じだった。そんなところからも、復活した滝さんと共に遂にリベンジを果たしたことを実感した。

 

自分の目の前ということで主に上手側を観ていた。滝さんはどの曲も基本的にAメロ部分は原曲通りのリフは武田さんに任せて手数を抑えて弾いていたり、弾かずに曲のリズムに合わせて調子良さそうに体を揺らしたりしていた。

卓郎さんが何度も滝さんの方を向いてアイコンタクトを取ろうとしたり、かみじょうさんが曲に入る時にシンバルの下から覗き込むようにしてステージ全体の様子を窺うようにしていた。和彦さんは下手のかみじょうさんの方を向きながら弾いていることが多く(エフェクターボードもドラム側に置いていたように見えた)、上手からだと和彦さんの後ろ姿を見る時間が多かったが、普段のライブと比べたらそれも貴重な機会だったのかもしれない。




演奏が終わると幕が閉じ、15分の休憩を挟むことがアナウンスされた。休憩時間中はアンビエント的な音楽が流れ続けていた。

休憩が終わり客が席に着くと場内が暗転。Digital Hardcoreが鳴り響くと再び幕が開き、派手な点滅の照明の中お馴染みの巨大な双頭の鷲が描かれたバックドロップがステージの下からゆっくりと上がってきた。

ここからは4人での演奏、ということでステージ上の立ち位置も中央に卓郎さん、上手に滝さん、下手に和彦さん、後方真ん中にはかみじょうさん、という普段通りのものに変わっていた。



(teenage)disaster

Talking Machine

interceptor

atmosphere

Beautiful Target

marvelous

farther

Caucasus

Mr.Suicide

Vortex

少年の声

sector

 

泡沫



Gjallarhornの1曲目、(teenage)disasterからライブが再開。この時のアウトロは普段ライブでよくやっているようなカオス音を出すのではなく、音源通りのメロディーを弾いていた。4人だけとなり先ほどより広々としたステージで早くも滝さんが上手側を大きく動き回っていた。続いてはTalking Machine、定番曲だがいつものライブ用アレンジのイントロがなく、ここも音源通りに入る。2番の「空を見上げてるだけ」で天井を差す卓郎さん。サビに入る前には2回とも滝さんと和彦さんが大きくジャンプしていた。元気に高く飛び上がる和彦さんと滝さんの姿を見られるこの瞬間は、何べん観ても堪らなく嬉しい。3曲目は久々のセトリ入りとなったinterceptor、ということでGjallarhornも収録順に演奏されるようだとここで把握。すっきりとした青い照明の中、シャープな演奏が繰り広げられる。

atmosphere、ぽつりぽつりと続く演奏から曲調が一変して一気に轟音とシャウトを叩き付けるパートへ切り替わり、やがてベースだけが轟音の余韻を残してまたぽつりぽつり…の緩急がものすごいことになっていた。和彦さんが音の大洪水の中で床にうずくまって演奏をし始め、曲の最後までその体制で弾き続けている様子があまりにも音と一体化していて、小さくなってゆく音と一緒に溶けていってしまいそうだった。

Beautiful Targetはただひたすらリズムが気持ちよかった。声を出せない代わりに思いっきり拳を突き上げ、裏で頭を振り気持ち良さに浸っていた。最近のライブでは割と演奏されることの多かったmarvelous、中盤には卓郎さんが歌いながら拳を上げてフロアを煽っていたり、和彦さんと滝さんが思いっきり両手を上げたりととても楽しそうな様子。終盤で客も手拍子をすると会場全体ののリズムがひとつになる。カオスパートでは和彦さんと滝さんが思い思いに暴れまくっていた。

そしていつ振りに聴けたのかを忘れてしまったほどに久し振りのセトリ入りを果たした、fartherは歌を引き立たせるような演奏の中、卓郎さんがゆったりと歌声を響かせる。語尾のビブラートがどこまでも伸びていくようで美しかった。長く活動してきた中で、9mm以外のソロ活動なども経て卓郎さんが磨き上げた表現力が見事に出ていた。

 

Gjallarhorn全曲の演奏が終わると、ここでこの日初めてのMCが入る。

セトリが実質確定している今回のツアーについて卓郎さんは「出るカードは知っているけど、タネが割れている訳じゃないでしょ?」と絶妙な言い回しで表現していた。



ここからはPhantomimeの曲を演奏。これもかなり久々に聴けたCaucasus、全体的にシンプルなリズムで構成されているが、よく見るとかみじょうさんが時々スプラッシュを叩いたりしてアレンジを加えていたように見えた。時々ライブで聴けるMr.Suicideもこの流れで聴くとやはり普段とは少し違った新鮮さがあった。

Vortexも少年の声もライブで聴けたのは本当に久々だった。あまりに久々過ぎて夢を見ているような気持ちになりながら音に集中していたので、ステージの様子はあまり覚えていない。

本編最後の曲はsector、ここでもイントロはライブでお馴染みのアレンジを入れず音源通りに演奏。滝さん、和彦さんの暴れっぷりはいよいよ激しさを増し、アウトロでは滝さんがギターのネックをバットのように握って本気のフルスイングまで決めていた(ちなみに左打ちだった)。空間が轟音で満たされる中最後に卓郎さん、滝さん、和彦さんが一斉にかみじょうさんの方を向き、4人で向かい合った光景には感極まることを抑えきれなかった。

 

ライブ定番曲もありつつ数年、長いと10年くらいライブで聴けていなかった曲まで入ったセトリ。演奏力や表現力を爆上げした今の9mmがインディーズ期の曲をやるとこんなにも凄いことになるのか…と。全体を通して非常にシンプルな照明の中、ただただ音が、リズムが気持ちよくて全身で音を吸収しながら体を動かしていたり、ステージに釘付けになった。

滝さんはずっと派手に動き回っていて、演奏中にものすごい形相でマイクスタンドからピックをもぎ取ったり、膝立ちのような体制のままぴょんぴょんと跳ねたり転がったり何度も大ジャンプをしたり。滝さんがステージ前方まで来るとフロアに3人ほどいたカメラクルーの方が一斉に滝さんのところへすっ飛んできて写真を撮りまくっていた光景も楽しいものだった。広いステージを存分に使って生き生きと動き続ける様子は、ここ数年間の出来事を一瞬忘れさせるかのような、「何事もなく17周年を迎えた9mm」の姿そのものに見えた。




演奏が終わり、4人が順番に退場。

フロアが明るくなりアンコールの手拍子が続く中、しばらくするとステージに卓郎さんが再び登場。

9月9日にKT Zepp Yokohamaにて“カオスの百年 vol.14”を開催することを告知(ライブします、と言った時にマイクがハウリングしてしまって少し和やかな空気になっていた)、その日はOAにfolcaが出演することも告げられた。去年の9月9日にやるはずだったライブと同じ会場、同じ出演者。完全に去年のリベンジ公演ということになる。

この時に武田さんも再びステージに登場、卓郎さんに紹介されフロアに向かってお辞儀をしていた。

演奏を始める前に卓郎さんが言っていた言葉。表現はうろ覚えだけれど、こんなひと言だった。

「川の底にある石のように、周りが流れていっても、そこで変わらず音楽を続けていきたい。」

 

そんなひと言からこの日最後の曲にして9mmの最新曲、泡沫の演奏へ。青と白の照明が揺らめく様子はさながら水の中のようだった。滝さんが卓郎さんの1オクターブ上の音を歌う部分では澄んだファルセットが綺麗に空間に響く。中盤のテンポが遅くなり、雰囲気に重みが増す部分ではそれに合わせるかのように身を低くして弾く和彦さん。今のところ9mmで一番新しい曲、ではあるがインディー盤の曲と続けて聴くと何となく空気感が近いような印象もありつつ、曲構成などの部分などを見ると新しい9mmの要素も一緒に練り上げたような不思議な曲だなと感じた。

 

演奏が終わるとまず滝さんが退場。和彦さんと卓郎さんがそれぞれフロア中をまんべんなく見ながら笑顔を向けたり手を振ったりしていた。スティックを2本持って出てきたかみじょうさん、それを下手の方に投げ入れてから退場。最後にステージ中央に戻ってきた卓郎さんが恒例の万歳三唱(客は声を出せないため無言で万歳をする様子がどうしてもシュールで毎回笑ってしまう)、最後にもう一度こちらに笑顔を向けてから袖に消えていった。



9mmは感染対策をしながら、徐々に有観客ライブを増やしている。この日も卓郎さんは、「元に戻るのではなく新しい形を作れたらいいと思います」と言っていた。柔軟に形を変えつつ、音楽を鳴らし続ける意志を揺らぐことなく持ち続ける卓郎さんの言葉と、それと共に聴いた泡沫が、ライブが終わって時間が経ってもしばらく頭から離れず流れ続けていた。

 

一寸の隙もないような緻密に作り込まれた演奏の第一幕、BABEL完全再現。

持ちうるエネルギーを惜しみなく爆散していたような演奏の第二幕、GjallarhornとPhantomime再現。

待ち焦がれた1年半振りのツアーは丸2時間、全23曲、4人だけで演奏した曲は13曲、間違いなくここ数年のワンマンの中で一番のボリューム。立ち位置や演出も変え、対極とも言えるような二部構成で終演後には一気にライブを2本観たかのような気分になり、膨大な情報量と大きな満足感と凄いものを観たという驚きで終演後しばらく放心状態になるほどの内容だった。

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20210317/9mm Parabellum Bullet “カオスの百年 vol.13“@LINE CUBE SHIBUYA

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3月17日は9mmにとって「結成記念の(疑いがある)日」という大きな意味を持つ日であり、昨年の3月17日にはワンマンライブ“カオスの百年 vol.13“を開催するはずだった。昨今の状況のせいで丸一年延期してしまったが、2021年3月17日にようやく開催することができた。

多くのライブが時短の対応やキャパを減らすなどの対応を余儀なくされている中、全席指定のホールワンマンということもあって各方面に確認を取り万全の対策をした上で、キャパ100%でやるという大勝負に出た9mm。

 

今回のライブではレア曲やライブ未演奏曲を披露する“裏ベスト10連発”をやることが開催1週間ほど前に突如発表された。更にどの曲が入るのかを予想し10曲全て当てた人は抽選でプレゼントがもらえる企画もあり、自分もどの曲が入るか予想しながら当日を楽しみに待っていた。ライブ未演奏曲は2曲ほどしかないので予想ができたが、レア曲の方は把握できただけでも数年レベルでセトリに入っていない曲がかなりあって、10曲に絞るのが難しくギリギリまで悩んでいた。

 

当日は感染症対策のため来場者シートに個人情報を記入して提出し、検温・手の消毒・紙チケットを自分でもぎって入場。場内にも数ヶ所に消毒液が置かれていた。先行物販でも検温と手の消毒は都度実施されており、本当に出来る限りの対策を取っている印象だった。

この日、自分の座席は1階某列のほぼど真ん中という位置。開演15分ほど前に自席に着きステージを見ると卓郎さんのマイクスタンドとドラムセットの位置が完全には被っておらず、ドラムセットが若干下手寄りにあるように見えた。ステージ上はバックドロップがまだ掲げられていない状態。2度ほど流れた場内アナウンスでは感染対策の案内と、収録用のカメラが入っていることも告げられた。生配信は実施されなかったが、後日何らかの方法で公開、もしくは映像作品になるのだろうか、と少し期待してしまった。

 

定刻を数分過ぎたところで場内が暗転、Digital Hardcoreが流れると今回のために作られたロゴのバックドロップが下からゆっくりと上がってきた。大きな拍手が巻き起こる中メンバー4人と、この日のサポートギター・武田さんが登場。和彦さんはすっかり長く伸びた髪を一つに結んでいた。

 

 

太陽が欲しいだけ

DEEP BLUE

白夜の日々

Burning Blood

Heart-Shaped Gear

EQ

オマツリサワギニ

Face to Faceless

銀世界

Lady Rainy

Snow Plants

午後の鳥籠

Faust

名もなきヒーロー

marvelous

Talking Machine

Lovecall From The World

 

Discommunication

Punishment

 

 

1曲目は太陽が欲しいだけ、そのタイトルに相応しい赤い照明はお馴染みだが、普段と違っていくつかのスポットライトが同系色の細い光の線を描くようにステージに差し込んでいた。「さあ両手を広げてすべてを受け止めろ」の部分で赤い空間に上がる無数の手、それ越しに見える卓郎さん、という光景を見て序盤から晴れ晴れとした気持ちになった。続いて演奏されたのはDEEP BLUE、ステージが赤から深い深い青へ。確か昨年は一度も演奏されなかったので、レアではないものの久々に聴けた曲。出だしの「あっけなく終わりにしたくない」という一節に、この状況の中でどうにかして音を鳴らし続けようとする卓郎さん達の姿が重なった。

3曲目の白夜の日々ではステージを眩い白い照明が包んだ。ただの白一色ではなく、最初は純白のような透明感のある白、歌に入ると少しあたたかみのある白、と変化していたことに驚く。ここまで1曲ごとに赤→青→白、とステージの色が変わってゆく様子が美しかった。優しい眼差しで歌う卓郎さんは終盤で2階席、3階席の隅々まで見渡すように視線を上に向けていた。和彦さんも遠くを見るように視線を動かしていた。

 

ここで最初のMC。昨年からあまりにも有観客のライブが減ってしまったためか、卓郎さんが「9mm Parabellum Bulletです…本当におれたちです!!」と、みんなも本当だよね?と嬉しそうに話していた。この一言に聴いた直後は単純に和やかな気持ちになったが、久々にキャパ100%=今までの日常に一番近い環境で演奏できる、ライブを観られる、その喜びを凝縮したような言葉だったなと後からじわじわ嬉しくなった。

ここからいよいよ“裏ベスト10連発”へ、卓郎さんが「いけるかー!!!」と煽る。

 

裏ベスト10連発”の幕開けは滝さん&武田さんのタッピングが炸裂、昨年10月に配信リリースされたばかりのインストナンバー・Burning Blood!いきなりライブ初披露の曲が来た!!広いステージを大きめに動き回っていた滝さんが中盤ではステージ中央、卓郎さんの前あたりまで元気に出てきて弾き倒していた。終盤にはまるでプロレスの入場シーンのようにいくつものスポットライトがグルグルと派手に動き回っていて、それが余計にかっこよかった。次の曲はHeart-Shaped Gear、ここからは1曲ごとにライブで聴けたのいつ振りだ…?と振り返りながら聴き進めていった。改めて今聴くと、メロディーや歌詞の口調などに何となく卓郎さんソロ曲に通じるものを感じたり、Termination収録曲は何となく赤のイメージがあったので、ここの照明は青なんだな、意外だなと勝手に思ったりしながら聴いていた。よく演奏していた当時は1番サビ後の間奏で音源とは違うライブアレンジのメロディーが入っていたが、この日は滝さんがピックスクラッチを一発入れた以外は音源通りのメロディーを弾いていた。音域的に結構高めのコーラスを滝さんが綺麗に歌い上げていたのが強く耳に残った。

続いてはEQからオマツリサワギニ、共に2014年の武道館公演で初披露された2曲が揃って裏ベスト入り。

不穏なギターのフレーズに頭を揺らされ心を揺さぶられるEQでは転調パートの後の「生きるべきか いやさ死ぬべきか」の部分で、この一節を強く目立たせるかのようにいくつものスポットライトが一斉に卓郎さんを照らした瞬間に息を呑んだ。性急なリズムのEQとは正反対に民謡的なゆったりしたテンポのオマツリサワギニでの深い赤の照明の中どことなく和風なメロディーが流れる様子は、何となくこの世のものではない祭りを覗き見ているような雰囲気があって不思議な心地よさにすっかり陶酔しながら聴いていた。

オマツリサワギニからカウントも入れずにノンストップで演奏されたのはFace to Faceless、あまりにも綺麗に繋がって曲に入ったので一瞬どの曲に入ったのか分からないほどだった。つかみどころのない序盤からサビで核心に触れるようなシリアスな曲展開が、リリース当時よりも迫力を増していたように思えた。今回セトリに入る可能性は大いにあったとはいえ個人的にはほぼノーマークの曲だったのでびっくりだった。もちろん大好きな曲だし、かなり久々に聴けて嬉しかったけれど、驚きの方が大きかったかもしれない。

 

5曲の演奏を終えここで再びMC。卓郎さん曰く「一気にやると目眩がするかもしれないから」とのこと。本当はみんなに札を持ってもらって、セトリ予想的な意味で今どのくらい振り落とされているか?をやりたかったらしい。客側は言わずもがなだけれど、卓郎さんたち演奏する側もこの企画をそうやって楽しんでいるんだな、と思うと嬉しい。

 

裏ベスト10連発”後半戦、演奏が始まったのは銀世界。ギターとベースの音が控えめな分、バスドラの連打が一際強く目立っていて、自分の体のど真ん中を貫通するようにその振動が伝わってきた。ここまで全然気づかなかったがステージの上手と下手の端にそれぞれミラーボールが床置きされていて、それがサビで突然雪を降らせていた。思わずステージから目を離し、天井を見上げたり会場全体を見回してしまうほど美しい雪景色だった。中盤、「とぎれとぎれの文字で~君の眠りが覚める朝に」のパートを卓郎さんが丸ごと飛ばしてしまっていたが、そんなところからもこの曲がどれほど久々に演奏されたかを実感した。

ミラーボールがきらめく銀世界を作り上げた後、スポットライトが雨を降らせたのはLady Rainy 卓郎さんのしなやかな歌声とそれを引き立たせるような優しい演奏。その演奏にじっくり浸る間もなく脳裏に蘇ってきたのは2016年の野音ワンマン。この曲の演奏中に滝さんの腕に不調が出てしまった、因縁の曲。もうすぐ5年経つがあの光景は今でも忘れることができない(もしかしたら聴き手側の感情が大きくなりすぎてしまっただけかもしれないけれど)。だからついあの時のことを思い出してしまったが、滝さんはしっかりと弾ききってみせた。最初はどうしても不安な気持ちになってしまったけれど、途中から集中して聴けるようになり、演奏が終わると何とも言えない嬉しい気持ちになった。

雨が上がって次の曲はSnow Plants、再び雪の曲。ステージは熱を奪うような青に包まれていたが最後のサビに入ると雪の曲なのにいきなり照明が真っ赤に変わるという演出に驚かされた。曲全体の情景から歌詞の情念に視点を移したかのような演出に思えた。アウトロのツインリードのようなパートは上の音を滝さん、下の音を武田さんが重ね、澄んだギターの音を息ぴったりに響かせていたのが見事だった。自分は今までライブでSnow Plantsを聴けたことがなかったのでここでようやく、聴けた…!!

次の曲、午後の鳥籠もBurning Bloodと同じく今まで一度もライブで演奏されたことのない曲。4年前にリリースされてからいつ聴けるのだろうか、とずっと待ち遠しかった曲もここでついにセトリ入りを果たした。細いスポットライトがステージに何本もの縦線を描き、まるで大きな鳥籠のようだった。ようやく聴けた嬉しさに浸りつつも本当に聴けたんだ…と夢のような気分で立ちつくしてしまった。

裏ベスト10連発”最後の曲は、Faust 演奏が始まると歌詞に合わせて日差しをイメージしたのだろうか、細いスポットライトがステージの上に何本かの斜線を描いていた。

 

「どれだけ歩き続けても ここにいるただの自分が 抱きしめられない 抱きしめたいのに」

 

リリースが2008年、自分がこの曲を最後にライブで聴いたのはおそらく10年以上前。リリース当時から存在感のある曲ではあった。でも年齢を重ね演奏力・歌唱力・表現力を爆上げした状態の現在の9mmが投下したこの一節は重みが全く違っていて、同じく当時から年齢や色々な何かを重ねてきた聴く側の人間の心に想像以上にのしかかってくるものがあった。それが本当に素晴らしかった。

 

ここでのMCだったか、卓郎さんがもうマスクをしていてもここ(自分の目元を両手で囲いながら)だけで笑ってるとか、怒ってるとか表情が分かるようになったよね?だからみんなが楽しんでいるのも伝わってくるというような話をしていた。客席に向かってそれぞれの健康を気遣う言葉を投げつつ、「ライブのような特別なものが日常にあって欲しいからまたライブをしたりCDを出したりしていきたいと思います。6月にはツアーもありますから。」と今後の活動に向けての前向きな言葉も出てきていた。

 

その言葉に続いたのは名もなきヒーロー、歌い出しの時の青く染まった空間にピンクのスポットライトが線を描いた照明が鮮烈だった。6月開催のツアーという具体的な未来の話をしてからの「生きのびて会いましょう」がとてもいい意味で実態のある、現実的な前向きさのある言葉に聞こえて普段よりさらに強く心に突き刺さった。次に演奏されたのはmarvelous、直近だと2019年のライブで演奏されていたがどちらかというとレアな曲なので、“裏ベスト10連発”ではない=レア曲扱いではない!という流れに完全に意表を突かれた。前半の「分かり合えた“ことにしよう”」の部分で滝さんが客席めがけて腕を真っすぐ伸ばし、勢いよく指をさしてみせた。後半に入ったあたりでは武田さんが高速ブリッジミュートを弾きながらかみじょうさんの方を見てしっかり息を合わせている様子が見えた。

marvelousからの Talking Machineというかつてのお馴染みの流れが嬉しかった部分、イントロセクションで突然別の曲の演奏が始まった!?という感じの、今まで聴いたこともないアレンジが入っていて更に驚かされる。初期からずっと演奏され続けてきた定番曲でまだ新しいアレンジが聴ける、それが堪らなく嬉しかった。本編最後の曲はLovecall From The World、あっという間に駆け抜けるような演奏の中で滝さんが卓郎さんと共に出だしから元気に歌い、和彦さんはアンプに駆け寄ってノイズを生み出したり、一切の出し惜しみをしないぞという感じで大きく動き回ったりしていた。

 

演奏が終わると滝さんから順番に退場。武田さんもちょっと急ぎ足で袖に消えていった。いつの間にか髪が解けていた和彦さんがステージ前まで来て挨拶、卓郎さんも客席のあちこちに目を遣り、丁寧に挨拶して退場していった。

 

本編のどこだったかを失念してしまったもの、MCで卓郎さんが話し始めると滝さんがギターで陽気に演奏し始めるものの盛り上がって手拍子をしたり踊ったりする人が増えてくると演奏をやめてしまう、というくだりがあった。また終盤のどの曲だったか、ステージの前方まで飛び出して滝さんがギターを弾いている時にシールドがマイクスタンドの向こう側に引っかかってしまい袖のスタッフさんが急いで直しに行っていて、滝さんが特に元気いっぱい動いている時のお馴染みの光景なので、そんなところも観ていて嬉しかった。

 

 

アンコールの手拍子がしばらく続いた後に再び4人が登場。卓郎さんが、キャパ100%で開催させてくれた会場・LINE CUBE SHIBUYAへの感謝の言葉を述べていた。この時既に20時まで10分を切っており卓郎さんが、もう時間が少ししかないから…と急ぎつつ、「3月17日9mm Parabellum Bullet、4人で演奏します」と卓郎さんが言ってから演奏へ。大事な大事な3月17日に4人で演奏することを強く意識したようなこのひと言を聞いた瞬間、嬉しいとか泣きたいとか、そんな単純なものではない感情が湧き上がってくる感覚があった。

アンコール1曲目はDiscommunication、銀世界で登場したミラーボールが再び会場に光の粒を散りばめていた。1番のサビ後の間奏はライブの時用のアレンジではなく、音源通りに弾いていたかと思う。昨年の2Q2Qで聴いた時にも思ったが、この状況で聴く「わたしはあなたの探し物 早くここまで迎えに来て欲しいの」の一節にはつい、余計に焦がれるような気持を重ね合わせてしまった。そしてこの日最後に演奏されたのはPunishment、時間が迫る中でもアンコールに2曲入れてくれた。もはや笑ってしまうほど痛快なスピード感で土砂降りのように降ってくる音に合わせるように、床に置かれたミラーボールに点滅する照明を当てて光の粒と幾つもの放射状の線を描くことで、ステージに大嵐を起こしていた、圧巻の締め括りだった。

 

演奏が終わると滝さんが真っ先に退場。和彦さんと卓郎さんが3階席の後方まで視線を送るかのように遠くまで視線を送ったり、客席の隅々まで見回して丁寧に挨拶。最後に卓郎さんがいつもの万歳三唱を始めるが、歓声を出せないので無言で万歳を繰り返すことになり、その時だけは我慢できず客席に静かな笑い声が漏れていた。ドラムセットの後ろからゆっくり前に出てきたかみじょうさんはスティックを2本持ってきていて、1本目は遠くに投げると見せかけて前の席へ、2本目はもう少し後ろの席めがけて投げ、その後軽く手を振りながら退場していった。

 

終演を告げるアナウンスが終わると再び大きな拍手が巻き起こった。

 

 

終演後は3階席の後ろから一列ずつ規制退場が始まり誘導に従って特に混乱もなくスムーズに退場。最後まで徹底的な感染対策がされていた。

本当に久しぶりのキャパ100%ということでどんな感じになるのだろうか…とも思っていたが、最初から最後まできちんとした対策があり、指定席の会場で自分の両隣の席に人が座っているのが久々だったのでライブ中にうっかり腕が当たってしまわないように…と少しそわそわしてしまった以外はそんなに不安もなかった。自分の周りは自席で声を出している人はほぼいなかった(最後の万歳で堪えきれなかった小さな笑い声くらい)し、隣に人がいるとはいえその感覚は椅子を出した状態のライブハウスとさほど変わらなかった気がする。

 

卓郎さんの言葉通り、1年延期になったからこその特濃セットリストだった。ライブ初披露曲のBurning Bloodと午後の鳥籠の他、どれも数年振りに聴けた8曲も詰め込んだ“裏ベスト10連発”はもちろん、それ以外にも久々のDEEP BLUEやまさかのレア曲ではないところに入ってきたmarvelousなど、全体的に普段とは様子が違う選曲に驚かされっ放しだった。このセトリを弾きこなした武田さんが凄すぎる!感謝してもしきれないという気持ちです。

 

Faustを聴いた時に特に強く思ったが、何年もライブで演奏されていない曲を今の9mmの表現で、またギターがひとり多いという大きなプラスのアレンジができる状態で聴くとリリース当時、もしくはライブで演奏されていた頃とまた違う捉え方ができるので本当に楽しい。ここまでのレア曲ずくめというわけにはいかないかもしれないが、もしかしたら今後もライブで少しずつ、久し振りの曲を聴けるようになるかもしれない。

そして久々となったキャパ100%のライブ、もう少し日にちが経って結果的に何の問題もなく終われていれば、今後も同様に会場等の条件が合えば同じ環境でライブを観る機会が増えるかもしれない。

そんな風に、今後の状況への楽しみや希望を持てたことも嬉しいライブだった。

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20210120/ THE BACK HORN&9mm Parabellum Bullet “荒吐20th SPECIAL -鰰の叫ぶ声 - 東京編”@昭和女子大学 人見記念講堂

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ARABAKI ROCK FEST.の20周年を記念して1月19日・20日の2日間にわたり開催された、THE BACK HORN9mm Parabellum Bulletによるライブの2日目。

この日は前半の40分がバクホンのライブ、後半が9mm&バクホンによる合同バンド“鰰の叫ぶ声”とメンバーをシャッフルしたバンド“黒組”と“白組”でのライブ、という流れ。ステージには前日と同じく最初から2バンド全員分の機材が並んでいた。この光景だけでもかなり貴重なものだなと思いながらステージを眺めていた。

 

18時を過ぎるとお馴染みの荘厳なSEが流れ、客席から拍手や手拍子が起こる中バクホンのメンバーがステージに登場。

 

コワレモノ

ブラックホールバースデイ

心臓が止まるまでは

美しい名前

瑠璃色のキャンバス

シンフォニア

太陽の花

無限の荒野

 

聴いた瞬間に体を揺らしたくなるような軽快なリズムのセッションが始まる中、手拍子を煽る将司さん。そこから低いベースの音へ繋がるコワレモノからライブがスタート。サビまでのどこか飄々としたパートの時には青、サビで演奏の熱量がグッと上がると赤、と視覚的な面でもメリハリを強調していた照明が見事だった。1曲目ながら終盤では将司さんと栄純さんの動きが段々と激しくなっていった。続いてはブラックホールバースデイ、サビの「手を伸ばせ 一人消えてしまうその前に」の一節に声が掠れるほどの力を込めていた将司さんの歌声が、確かな救いを感じさせるように頼もしく響いた。

 

演奏が終わると松田さんが話し始める。「“鰰の叫ぶ声”2日目、THE BACK HORNがやらせて頂いてます。昨日“鰰の叫ぶ声”で演奏しましたがTHE BACK HORNとしては今年最初のライブということで。荒吐でやる予定だったこのライブ、先に東京編を開催することになりましたけど、同じ時間を共有できることを嬉しく思っています。」

 

「生きるための言葉を刻もう」という歌い出しから始まる、心臓が止まるまでは サビではリズムに合わせ客席からたくさんの手がゆらゆらと伸びる光景が目に焼き付いている。「生き抜くために」とか「生きたがって」とか、何度も何度も曲中で歌われる言葉に心をぐいぐいと引っ張られるような感覚になった。

一旦暗くなったステージの中を穏やかなギターの音が流れてゆき、岡峰さんの儚げなベースの音から美しい名前 へ。先ほどまでの力強さとの対比もあり、一つ一つの音や言葉が余計に切実なものとして刺さる。最後の音が消えていくと一瞬の静けさの後に大きな拍手の音が響いた。

 

ここで話し始めたのは将司さん。「ライブに行く機会もやる機会もなくなって、ライブというものに日々生かされているんだなと感じてます。久し振りにライブすると感情が乗り過ぎて泣いてばかり」という突然の告白。それだけ心を動かす場だったんだな、というようなことも話していた。

 

そんなライブへの想いが溢れた話から、昨年6月にリリースされたバクホンの最新曲、瑠璃色のキャンバス へ。この曲だけ将司さんはギターを弾きながら歌っていた。曲名に合わせるかのように青一色に染まったステージに優しくあたたかなメロディーが広がる。「約束するよ僕ら また会う事を」という一節に昨年の困難な状況の中での祈りのような気持ちと、この困難は必ず乗り越えられるという想いを感じる。この前日には9mmが、同じく昨年あの状況下で作られた白夜の日々 を演奏していた。瑠璃色のキャンバスと白夜の日々、曲調は全然違うけれど曲に込められたものはとても近い。前日に卓郎さんがバクホンと9mmについて「似てる、というわけではなくて何かが近いんだなと思った。」と言っていたのを思い出した。

続いてはシンフォニア ハンドマイクに戻った将司さんがステージの上手辺りを歩きながら歌い始める。イントロや間奏などでは将司さんが客席に向かって大きく両手を動かし煽る。「帰る場所なら“ARABAKI ROCK FEST.”にあるから」と歌詞を変えて歌っていた。オレンジの鮮やかな照明が華やかさを際立たせた太陽の花、演奏や歌声は力強いがメロディーに何となく可憐な印象もあり、それが本当に美しいものだった。「君が 君がまだ 辛いなら 何度でもこの手伸ばすから」の一節には瞬間的にステージに向かって手が伸ばしてしまった。

最後の曲は無限の荒野、自分が観たバクホンのライブではコバルトブルーからの刃でライブが終わることが多かったのでかなり久々に聴けた、それだけで嬉しかった。将司さんが思いっきり力を込めて「否、まだだ、ここでは死ねない」と叫ぶ声に気持ちが強く昂った。

 

全体的に気持ちを強く奮い立たせるような、腹の底からものすごいエネルギーを引っ張り上げるような、バクホンの不屈の魂そのものと言うべき生命力に溢れたセトリだった。バクホンのライブを会場で観たのが久々だったので、太陽の花や瑠璃色のキャンバスなど比較的新しい曲を初めて目の前で聴けたことも本当に嬉しかった。

 

 

バクホンのライブが終わり、この日も休憩・換気タイムを挟んでから再び場内が暗転。本家荒吐と同じSEの三味線の音が流れバクホンと9mm両バンドのメンバーが登場し、ここからは合同バンド“鰰の叫ぶ声”のライブ。バクホンのライブの時に黒いシャツを着ていた将司さんは白シャツに、白っぽいTシャツを着ていた松田さんは黒っぽいTシャツに着替えていた。前日将司さんに「明日は光舟と同じ髪型にするんでしょ?」と言われていた和彦さんは、変わらず長い髪を一つに結んでいた。

 

8人全員で演奏されたのは前日と同じくコバルトブルー、そしてハートに火をつけて。ハートに火をつけて ではこの日も卓郎さんが「手触りだけの“人見記念講堂”は」と歌詞を変えて歌っていた。2日目だからなのか、この時点で既にステージ上の動きが前日よりも明らかに激しくなっていて、伸び伸びと演奏しているような印象だった。勇ましい将司さんの歌声としなやかな卓郎さんの歌声、正反対のように思える2人の声が重なると驚くほど相性がいい。オクターブで同じフレーズを重ねる栄純さんと滝さんのギターの音が嬉しい。松田さんとかみじょうさんの息ぴったりな様子はスティックの動きから伝わってきたが、場所柄2人の表情はよく見えなかったので、どういう風にアイコンタクトを取っていたのか気になる…。そして岡峰さんと和彦さんは2人で並んでいる様子を遠目から見ると、やっぱり似ている。

 

ここからは卓郎さん・栄純さん・和彦さん・岡峰さんの4人=黒組のライブ。

こんばんは、と挨拶する卓郎さん。「我々が“鰰の叫ぶ声”です。今ステージに残っているのが“黒組です。”」と自己紹介。全員黒い衣装を着用。前日には白シャツに黒のロングジャケットという出で立ちだったが、この日はシャツまで黒。

偶然にも両バンドのよく喋る人達が集まった黒組は、「昨日黒組が喋り過ぎたせいで白組の話すことがなくなった」と言われたらしい。「だから、こっちは関係ないこと喋っとけば白組が本題を喋れるよね。」と栄純さんが言った。卓郎さんが関係ない話と言うか、昨日言い忘れた話で…と前置きをしつつステージに掲げられているバックドロップが“鰰の叫ぶ声”が出演するはずだった荒吐のHATAHATA STAGEのものであると紹介していた。まそれを受け松田さんが「だから、荒吐への思いも背負ってライブをしているような気持ち。」と話していた。

そんな話をしている中、栄純さんが突然「卓郎って本当にいい声だよね」と言うと卓郎さんが「そんなに褒めてもらえるとシャツのボタン1個外しますけど」と返しながら首元に手をかけると栄純さんが「同じ個数になったね!」と、松田さんが「“菅”同士だからね」と続けるなど、時間があればいつまでも話し続けてくれそうな感じだったが、ここで会話を切り上げて曲へ。

 

卓郎さんが「いけるか東京!!」と言ってから始まったのはVampiregirl  栄純さんが2番に入ったあたりで卓郎さんの方を向き、両手を横に伸ばすという不思議なポーズをしていた。間奏での栄純さんの振り切れっぷりが凄まじく、大きく頭を振りながらギターソロを弾いていた。そんないい意味での荒々しさもありつつ、やはりどこか淑やかさを感じさせるところが絶妙だった。続いては罠 前日に聴いていた時にも思ったが、やはり卓郎さんの柔らかく伸びてゆく歌声が、将司さんとは違うベクトルの貫禄があってこの曲に抜群に合っていた。

 

黒組と入れ替えにステージに将司さん、滝さん、岡峰さん、かみじょうさん=白組の4人が登場。

真っ先に話し始めたのは岡峰さん。「昨日滝くんが白着ないって言ったから、今日は白黒の服にしました。」と言うと滝さんが岡峰さんの方を向いて反応を返していた。続いて、この日も白のロンTを着ていたかみじょうさんに向かって「ちーちゃんは昨日もそれ着てたけど洗ったの?」と聞くと、かみじょうさんが首を縦に振っているのが見えた。そこへ将司さんが自分の着ている白シャツについて「俺も洗った、これ1着しかなくて。」と会話に入っていった。将司さん曰く「白のロンTにしようと思ったが、リハで着たら学生みたいになってしまった」とのことだが、岡峰さんに「そっちの方が学生っぽい」と言われてしまう。

そんな中でも普段通り喋らない滝さん、かみじょうさんを見つつ将司さんが困ったときに気候の話を出してしまう…と「今日は大寒らしいですね」と話しを続けてみたりもしていた。

岡峰さんが話題を変え、「ステージに8人もいると(配信用の)カメラマンさんやスイッチャーさん(配信画面を切り替える人)もどこ選んだらいいか分からないよね。4人になると喋らないから、滝くんとちーちゃんだけ映しといてください!」と言ってみたり、2人が話している間ギターで静かな音を奏でていた滝さんに将司さんが「滝くんはギターでお喋りしてるもんね。」と声を掛けたりしていた。

 

眩い光に包まれたステージで演奏されるThe Revolutionary 間奏に入ると滝さんが将司さんのところにすっ飛んできて2人でツインリードのソロを弾き始めると、岡峰さんもそこにやってきて中央に3人集まって弾いていた光景が嬉しかった。将司さんが思いっきり叫んだ「世界を!!!」の瞬間は、その一言だけで本当に世界を変えてしまいそうなほどの迫力があった。滝さんとかみじょうさんの音がさすがの重厚感を放っていた戦う君よ では将司さんと滝さんが朗々と歌声を重ねる「今はまだ闇に震えていても 笑いあえる日が来る」の一節に心を鷲掴みにされた。

 

将司さんが黒組の4人を呼び込み、ステージ上に再び8人が揃った。将司さんと卓郎さんが「今年の荒吐は無事に開催されることを願っています」「何かしら工夫して、違う形で開催された時にはきっと我々はライブやりますから。開催された時のためにみんな、めっちゃ良かった、って発信してください」卓郎さんが「来てくれてありがとう」というと将司さんが「配信も観てくれてありがとう」と言ってから足元のカメラを覗き込むようにしている様子が見えた。

 

卓郎さんが「いけるかー!!!」と叫ぶとすかさず将司さんが「行こうぜー!!!」と続け、刃からはステージ上が完全に無敵状態に入ったようなテンションでの演奏が始まった。アウトロでは前列の6人が全員でコーラス。和彦さんもあの低い位置にあるマイクでコーラスに参加していた。オクターブ下を歌う声も聴こえたが、誰の声だったかは分からなかった。

将司さんの「元気でね、また生きて会おうぜ」から最後の曲、Black Market Blues この日も卓郎さんが「 人見記念講堂に辿り着いたなら!!」と歌っていた。2番に入ると和彦さんと岡峰さんが2人でアンプに向かい合って一緒にノイズを出していた。終盤でかみじょうさんがフロント全体を見回すように下手側から上手側へ目線を移している様子が見えた。最後は前列6人がかなり振り切れたテンションで動き回っていて、ステージ上の全員がこの時間を思いっきり楽しんでる様子に最高に気持ちが昂った。ただただ楽しかった。

 

 

20時までに終わらなければならないためか、この日もアンコール無くライブが終了。8人が次々と退場する中、栄純さんが客席に向かって元気に手を振ったり、卓郎さんが短めにお辞儀をしたり、一番最後に残ったかみじょうさんもゆっくりと手を振ったりしていた。ステージ上に誰もいなくなり、終演のアナウンスが流れると再び大きな拍手が巻き起こった。

 

 

バクホンと9mm、対バンしたりそれぞれのライブに誰かがゲストや代打で出演したりということは何度もあったが、8人全員で一緒に演奏する機会は今までなかったので、実際に8人で演奏するとこんなにも壮観なのかと圧倒されっ放しだった。言葉にすると単純に聞こえてしまうかもしれないけれど、本当にものすごく元気が出た。この状況にすっかり疲れて心の中に溜まったもやもやとしたものを全部吹っ飛ばしてくれたような、きっとまだやれるぞ、という思いを分けてもらったような気分になった。また少し経って心が疲れても、あの8人のステージを思い出せば頑張れるような気がする。

 

上手を見れば栄純さんと滝さんが元気いっぱいに動き回っていて、下手を見ればどことなく似ている岡峰さんと和彦さんが並んで仲良く全く同じ動きをしていたりして、ステージ中央では舞うように動き回る将司さんと笑顔の卓郎さん、後方では松田さんとかみじょうさんが息ぴったりにドラムを叩く…ステージ全体が視界におさまるくらい後方の席で観ていたのに、8人での演奏はあまりにも見所が多過ぎて目が2つでは全然足りないほどだった。

初日も本当に素晴らしいライブで、とても楽しかった。しかし2日目の全員の伸び伸びとした様子や振り切れっぷりは凄かった。“鰰の叫ぶ声”3度目のライブになる荒吐は、この2日間を更に超えるはず。こんなに素晴らしいステージ、絶対にこれだけで終わらないで欲しい。4月の荒吐が、どうか無事に開催されますように。荒吐のステージで再びこの8人が演奏できますように。

 

◆鰰の叫ぶ声(全員)

コバルトブルー

ハートに火をつけて

◆黒組(菅原卓郎・菅波栄純・中村和彦・松田晋二)

Vampiregirl

◆白組(山田将司・滝善充・岡峰光舟・かみじょうちひろ)

The Revolutionary

戦う君よ

 

◆鰰の叫ぶ声

Black Market Blues

 

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20210119/9mm Parabellum Bullet&THE BACK HORN“荒吐20th SPECIAL -鰰の叫ぶ声 - 東京編”@昭和女子大学 人見記念講堂

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 1月19日・20日の2日間にわたり開催された、THE BACK HORN9mm Parabellum Bulletによるライブ。ARABAKI ROCK FEST.の20周年を記念した企画で、本来は昨年4月にバクホン&9mmの総勢8人で荒吐のHATAHATA STAGEに出演し、その後5月9日・10日に東京の人見記念講堂でライブをする予定だったがどちらもこの状況で延期となってしまった。

東京編は昨年4月の時点で延期後の日程が1月19日・20日に決定しており、延期に伴う払い戻しでキャパが50%を下回ったため、有観客と生配信にて開催されることになった。昨年の時点で延期の報せを聞いた時には、来年にはこの状況も収まり無事にライブが開催されるだろうと思っていたので、まさかここまで状況が悪化するなんて…。

 

会場では感染対策として、来場者は入口で個人情報を記入したシートを提出、消毒・検温の実施、チケットの半券は自身でもぎり入場、そして市松模様のように一席飛ばしに配置された指定席で観覧するという形式。そのため空席には「この座席はご利用いただけません」の貼り紙を、使用する座席には元々書かれている番号の上にこの日のために配置を変えた席順に対応する番号が貼られていた。

この日は前半の40分が9mmのライブ、後半が9mm&バクホンによる合同バンドとメンバーをシャッフルしたバンドでのライブ、という流れ。ステージには既に2バンド全員分の機材が並んでおり、その後ろには格子状の骨組の照明機材とともに荒吐のHATAHATA STAGEと同じバックドロップが掲げられていて、本家荒吐のステージをそのまま東京に持ってきたようだった。

 

18時過ぎに場内が暗転、お馴染みのSEであるDigital Hardcoreが流れ9mmメンバーとこの日のサポートギター、武田さんがステージに登場。

 

太陽が欲しいだけ

Answer And Answer

白夜の日々

サクリファイス

Supernova

The World

名もなきヒーロー

新しい光

Talking Machine

ロング・グッドバイ

 

太陽が欲しいだけ からライブがスタート。「さあ両手を広げて全てを受け止めろ」の部分では客席から無数の手が上がり、この一節を歌い切った卓郎さんも笑顔で両手を上げていた。アウトロでは滝さんがモニター前に飛び出しながら轟音を出し、和彦さんは派手に回るように動いていた。続いてAnswer And Answer 、滝さんが続けてモニター前やお立ち台でギターを弾き続ける。間奏では和彦さんがモニターを軽々と飛び越えてステージ前方まで出てきていた。開幕から2曲続いたカラッとした明るさの曲たちを、清々しい気持ちで聴いていた。

白夜の日々ではステージが眩い白に包まれ、その中を煌びやかなメロディーが流れてゆく様子が美しかった。「流されずに 生きるために 君に会いに行くよ」の一節が、この状況下でも出来る限りの最善を尽くしてライブを開催してくれた彼らの姿と重なって聴こえた。最後の一音が鳴り終わるとかすかに残った余韻が空間いっぱいに広がって消えていった。

音が止まりステージが暗くなる中、卓郎さんが「ありがとう!」と言うと客席から拍手が巻き起こる。歓声を上げることができない代わりに拍手をし続けた。それは他の人も同じだったようで、長い間拍手が鳴り止まなかった。

 

ステージが明るくなり、卓郎さんが話し始める。「みんなの長い拍手でちゃんと気持ちが、声が届いてるので。なかなかこれまでのライブとは違いますけど、その調子で楽しんで下さい。」卓郎さんが話している間、滝さんがギターで何となくバイオリンのような音を奏でていた。

「9mmは今年初ライブなので、新年一発目をみんなと過ごせてとても嬉しく思います。今日も明日もここに来た人も正解だし、今日来ない、家で観ようと思った人も正解だと思うからそれぞれの場所で余すところなく楽しくやってください。」この言葉に再び大きな拍手が起こった。

 

卓郎さんが「次の曲は昔ここで9mmがやった時におれがイントロを弾こうとして盛大にミスった曲」と紹介してから始まったのは、サクリファイス。ステージが真っ青な空間に変わる。昨年のライブで演奏された時もそうだったが、原曲よりキーを下げての演奏。1サビ後のパートを滝さんと武田さんがオクターブで引いているように聴こえた。間奏後、真っ青なステージに差し色で赤が入った瞬間の鮮やかさがとても良かった。最後のサビでは滝さんが卓郎さんのパートを追いかけるようなコーラスが入れられていた。

サクリファイスのアウトロから音を切らずにそのままSupernova へ! この繋ぎ方が本当に綺麗で、思わず歓声を上げそうになってしまった。久し振りに聴けたのでそれも嬉しかった。終盤では和彦さんのシャウトと同時に滝さんが広いステージを動き回り何度もギターのネックを振り下ろしていた。The Worldでは間奏あたりで放射状に広がる光がいくつもステージを彩っていた様子がクリーンのアルペジオにとても合っていた。「目を凝らして焼き付けてみる 明日も僕らが生きていく世界を」の一節はやはりどうしても今の状況を重ねながら聴いてしまう。最後にかみじょうさんが左右のシンバルに両手を静かに落として音を止める様子が見えた。演奏が終わると暗くなるステージの中で卓郎さんが丁寧にお辞儀をしていた。

 

滝さんがギターで重たい電子音のような不思議な音を奏でる中、卓郎さんが会場である人見記念講堂についてここは本当に素晴らしいホールですね、内装も美しいし、と話し始める。

「9mmの演奏が終わったら、9mmとTHE BACK HORNが合体して“鰰の叫ぶ声と”いうバンドとして登場しますので、楽しみにして頂いて。すごいよ!」「THE BACK HORNとおれたちのことを好きでいてくれるみなさんは、いつかこういうことが起こるんじゃないかと思ってたかもしれませんが、今日がその日だということで。」

「今日はおれたちと“鰰の叫ぶ声”、明日はTHE BACK HORNと“鰰の叫ぶ声”なので先攻と言いましたが、まだ俺たちの攻撃は少し残ってるから。いってもいいですか?」

 

卓郎さんの「いけるかーー!!!!」から名もなきヒーローへ、 ステージ後方の照明が青とピンクの強い光を放っていて、ホールの大空間の天井まで薄っすらと染め上げていた。サビの「また明日」で真っ赤な照明に切り替わるのはこの曲での定番の流れ。「勝ち目が見当たらなくたって 逃げたくないから笑ってんだろ くじけそうな心をふるいたたせて」の一節が、この状況で沈みきった心を引っ張り上げてくれるように力強く響いた。最後のサビの、優しく広がる滝さんのファルセットが心地よかった。

名もなきヒーローのアウトロからカウントも入れずそのまま新しい光へ!照明も一瞬名もなきヒーローと同じ青とピンクを入れた後に真っ白な光に変わっていて、その流れも2つの曲がひとつになったようで良かった。2回目のサビ後にステージ中央を挟むようにして和彦さん・卓郎さんと武田さん・滝さんがギターやベースのネックを立てるという綺麗なフォーメーションを見せる。声が出せない客席、最後のサビでは歌声の代わりにいくつもの拳が上がった。

滝さんが飛び跳ねながらギターを弾き、卓郎さんがマラカスを振るライブアレンジの繋ぎからTalking Machineへ。曲に入る時の「1,2,3,4!!」は卓郎さんがマイクから少し離れ、 オフマイクに近い状態で思いっきり叫んだ。「踊れー!!」と卓郎さんに煽られれば、体を動かさずにはいられない!2サビに入る瞬間に滝さんと和彦さんが同時に大きくジャンプ、かみじょうさんも大きく頭を振りながらの演奏。アウトロの入りで卓郎さんが「踊れ踊れ踊れー!!」と更に煽り、滝さんの動きも一層大きくなっていった。

最後の曲はロング・グッドバイ、イントロでこの日一番の轟音を叩き付ける。1サビ後に滝さんがタッピングする瞬間に上側の後ろの照明、アウトロでは和彦さんが思いっきり体を屈めてベースを弾いた後に思いっきり蹴り上げるように立ち上がってぐるぐると回ったり、滝さんも最後に大ジャンプを決めていた。

 

演奏が終わり拍手が巻き起こる中、卓郎さんがステージ中央でお辞儀をする瞬間に拍手の音が止まり、卓郎さんのお辞儀を見届けると再び大きな拍手の音が巻き起こっていた。滝さんと武田さんは早々に退場し、卓郎さんに続いて和彦さんが客席に向かって拳を向けるようにしながら退場、最後にかみじょうさんが客席に大きく手を振って袖に消えていった。

 

広々としたステージを最大限に生かすように、和彦さんと滝さんが終始大きく動き回っていた。下手の和彦さんはすっかり伸びた髪を振り乱しながら何度も回ったり、大きくジャンプしたり。上手の滝さんはお立ち台に上ったりステージ端まで行ったり、ギターのネックを振り回したり。上手の壁に滝さんのすらっとした影が大写しになる様子も大きい会場ならではの光景だった。

この日、9mmがステージに登場する際にいつも通りAtari Teenage Riotの「Digital Hardcore」が流れたが、実は昨年は配信ライブ・有観客ライブともにこのSEは使われなかったため、Digital Hardcoreで入場するといういつもの光景を観られたのは何と1年振りだった(権利関係など何らかの都合で流せなかったのではないかと思っている)。それも嬉しかったところ。

卓郎さんがサクリファイスの時に「昔ここでイントロをミスった」と言っていたが、それは2017年7月の“TOUR OF BABEL Ⅱ”での出来事。その公演は当時ライブ活動をお休みしていた滝さんがアンコールで一時復帰を果たし、ロング・グッドバイと新しい光を演奏したライブでもあった。今回再び同じ場所で新しい光もロング・グッドバイも演奏され、卓郎さんの思い出話も出てきたので2017年当時を思い出しつつ、2021年に同じステージで滝さんが元気に演奏している姿を観られることを本当に嬉しく思いながら聴いていた。

 

 

9mmのライブが終わり、休憩・換気タイムを挟んでからロビーに出ていた客が自席に戻り再び場内が暗転すると、三味線の音が流れ始める…それは荒吐で使用されているSEだった。それに合わせ9mmとバクホン、両バンドのメンバー8人がステージに登場。拍手は途中で三味線のリズムに合わせた手拍子に変わる。前列は下手から和彦さん・岡峰さん・卓郎さん・将司さん・栄純さん・滝さんの順に並び、後列には左にかみじょうさん、アクリル板のようなものを挟んで右に松田さん、という並びでドラムセットが2台。和彦さんは髪を一つに結び、卓郎さんはアコギを構えていた。

 

松田さんとかみじょうさんが同時にドラムを叩き始め、栄純さんと滝さんがイントロのリフをオクターブで弾く、コバルトブルーからこの特別な編成のライブがスタート。歌い出しは将司さん、「変わらないこの世界~」の部分からは卓郎さんと滝さんが2人で歌声を重ねる。サビでは将司さんの勇ましい歌声と卓郎さんのしなやかな歌声が重なる。ギター3本、ツインベースにツインドラムという大所帯の編成には高揚感が止まらなかった。

2曲目はハートに火をつけて。将司さんの歌声と栄純さんのギターの音が乗るといい意味で不穏さが出ていて、もうバクホンの曲なのでは?という雰囲気さえあってそれが堪らなくかっこよかった。序盤で岡峰さんが、自分の弾くところを忘れてしまったようで途中で気付いて弾き始め、それを横で観ていた和彦さんが手を叩いたり岡峰さんを指さしながら爆笑するという微笑ましい場面があった。間奏後には卓郎さんが「手触りだけの“人見記念講堂”は」と歌詞を変えて歌っていた。

 

演奏が終わるとステージが暗転。しばらくして照明が点くとステージには卓郎さん、和彦さん、栄純さん、松田さんが残っていた。

「おれたちが“鰰の叫ぶ声”です!」と自己紹介をする卓郎さん。この名前は、荒吐のボスである菅さん(主催のGIP・菅真良さん)が名付けたらしい。その話をしながら「菅」原卓郎さんと「菅」波栄純さんが、ややこしいよねーと言い合っていた。“鰰の叫ぶ声”は2つに分裂するんですよ、9mmとバクホン、ではなく混合バンドに…この4人は便宜上“黒組”という名前である、と話を続ける卓郎さんと松田さん。(それを聞いて栄純さんがもう本番なのにまだ便宜上なんだ?と返していた。)そしてステージから退場した残りの4人が“白組”とのこと。9mmのライブ中は白シャツ1枚だった卓郎さんが後半になって黒いロングジャケットを着て出てきたのは、黒組だからということか。

卓郎さんが「だから、黒白(こくはく)歌合戦ですよねー」と言うと松田さんが「過去に決闘披露宴(2014年開催)という2マンもやったし、“披露宴”とか“こくはく”とか、何か縁があるんですよね」と続け、それに対して卓郎さんが「何でLOVE寄りなんですか!」栄純さんが「ラブコメ感あるのかな」とそれぞれ返すなど、しばらく3人のほんわかしたやり取りが続いた。

 

「お互いの曲を演奏していきます」と卓郎さんが言ってからの1曲目は9mmの曲、Vampiregirl 松田さんのドラムの丁寧さのおかげか普段よりほんの少し淑やかさを感じさせていたのが新鮮で、とても良かった。間奏に入ると上手では栄純さんがアドリブも混ぜながらソロを弾き、下手では和彦さんがモニター?に座ってベースを弾いていた。終盤では和彦さんがいつものように大きくぐるぐると動き、栄純さんも大きく頭を振っていた。

続いてはバクホンの曲、罠 卓郎さんの歌声は9mmの時よりも柔らかく、それがかえって曲にどろどろとした凄みと何とも言えない美しさを出していた。

 

演奏が終わると卓郎さん・和彦さん・栄純さん・松田さんが退場し、入れ替わりに将司さん、岡峰さん、滝さん、かみじょうさんが登場。滝さんは変わらず黒いTシャツだったが、先ほどまでそれぞれ黒っぽい服を着ていた岡峰さんとかみじょうさんが白いロンTを着て出てきた。将司さんは最初から白いシャツを着ていたので4人中3人が白を着ているという出で立ち。

最初に話し出したのは将司さん。「どうも白組です…大事なことはもう卓郎が全部言ったね。皆さんご存じの通り、心が白組と心が黒組ということで…」と言うと客席から堪えきれず笑い声が漏れる。

岡峰さんが「滝くんとちーちゃんは喋らないの?(無言で同意する2人)じゃあ白は全然喋らないね。黒組のドラムの人凄い喋るからね…“黒いドラム”っていいね。」と言った時に、確かに普段両バンドでMCをやる人達がみんな黒組だったことに気付く。喋り慣れていない将司さんと岡峰さん、時折話し始めが被ってしまい譲り合う場面もあった。

1人だけ黒い服だった滝さん、岡峰さんは「滝くんに、俺ら白着るけど…まあ着なくてもいいんだよ」と声を掛けていたらしい。滝さんは将司さんが「白あんま着ないもんね?」と聞くと大きく頷き、岡峰さんが「何か(理由が)あるんでしょ?」と聞くと首をブンブンと横に振っていた。「好みの問題なんだ?」と聞かれると再び大きく頷く滝さん。それを見た岡峰さんが、「今後差し入れできるようになったら滝くんに白い服をあげてください」と言っていた。

将司さんが、岡峰さんが最近髪を切ったことに触れると岡峰さんが下手2人とも長いと重たいでしょ、というような言葉を返していた。将司さんはライブが始まる前、和彦さんに「明日は光舟と同じ髪型にするんでしょ?」と言ってシカトされたらしい。

 

話がひと通り終わると演奏へ。1曲目は9mmの曲、The Revolutionary  将司さんはギターボーカルでの演奏。強い頼もしさのある歌詞は将司さんの勇ましい歌声にぴったりだった。間奏のツインリードは滝さんが将司さんのところまで行って2人で向かい合って弾いていた。最後の「世界を変えるのさ おれたちの思い通りに」でありったけの力を込めて叫ぶ将司さんと滝さん。

続いてはバクホンの曲、戦う君よ 将司さんはいつものようにハンドマイクに戻っていた。コーラスパートが多いこの曲、将司さんと滝さんの歌声が重なるのをたくさん聴けたのも嬉しかった。終盤で将司さんが「綺麗事じゃなく美しい日々 探し続けていこうぜー!!!」と変えて歌っていた。

 

将司さんが黒組の4人をステージに呼び込み、再び8人が揃う。それぞれのパート同士でお互いを称え合うように笑顔で向かい合ったり、オフマイクで何か話したりしていたので誰からだったか、自然と「マイク通してよ」という声が飛んだりもしていた。「白組見てテンション上がっちゃったよ」と言いながら栄純さんが滝さんと嬉しそうに笑い合っていた。

将司さんと卓郎さんが話し始める。たまたまではあるが、黒組の4人はかつて荒吐BRAHMANコピーバンドとして出演したことがある、という話。主催の菅さんに東北出身者で何かやってよ、と言われたのがきっかけとのこと(卓郎さんが菅さんの真似をしながら)。今回の組分けは公正にじゃんけんで決めたのに結果そうなったので不正を疑われたが、それじゃ全員で話し合わせないとダメだから逆に難しいよという話に落ち着いていた。

 

松田さんが「荒吐が作ってくれた機会なので、順番が逆になって東京編が先になってしまったけど、荒吐が開催出来たら東北の地でもまたやりたいですね。」と言っていたが、本当にどうにか、今年の荒吐が開催されて再びこの8人でのステージが観られますように。(ちなみに松田さんが話し始めた時に将司さんが「おっ、黒いドラムが」と話しかけていたがスルーされていた)

 

再び8人での演奏、将司さんが「人見――!!」と思いっきり叫んでから演奏されたのは、刃!イントロではかみじょうさんがスティックを2本まとめて両手で持ち、持ってシンバルを叩いていた。ここでもリフをオクターブで弾いていた栄純さんと滝さん。この8人がステージに並んで刃を演奏する様子は月並みな言葉になってしまうが壮観、そして圧巻だった。この曲で声を一切上げられないというのが、本当にもどかしかった。

最後の曲はBlack Market Blues 、卓郎さんが「人見記念講堂に辿り着いたなら!!」と歌詞を変えて歌っていた。中盤だったか、一際大きく動き回っていた滝さんがステージの上手端、シールドの届くギリギリのところまで来てくれた。普段和彦さんがこの曲のイントロで屈んでベースを弾いたり、2番の入りでベースをアンプに近づけてノイズを出したりしているが、それを岡峰さんが真似して和彦さんと一緒にやっていたのが2人の仲の良さを窺わせる、嬉しい場面だった。

 

演奏が終わり滝さんを筆頭に順番に退場していく中、卓郎さんが「気をつけて帰って下さい、また会いましょう!」と挨拶。和彦さんが袖に消える前に客席に一礼、最後にかみじょうさんが手を振って退場していった。

20時までに終わらなければならないこともあり、アンコールは無かった。終演のアナウンスが流れると再び大きな拍手が巻き起こった。

 

 

この日卓郎さんがMCで9mmとバクホンについて、「似てる、というわけではなくて何かが近いんだなと思った。音楽的に親戚。」と表現していた。かつて栄純さんと滝さんが別の機会でそれぞれライブに出られなかった時にお互いの代打をした話が出た時には、将司さんが「親戚の助け合い」とも言っていた。実際8人が一緒にステージに立って演奏する様子を観ながら、“親戚”という例えの絶妙さを実感した。この2組が一緒に演奏するなら楽しいに決まってる、と当日まで期待を膨らませていたが、それを軽く飛び越えてきたライブに翌日の公演への更なる期待が高まった。

 

 

◆鰰の叫ぶ声(全員)

コバルトブルー

ハートに火をつけて

◆黒組(菅原卓郎・菅波栄純・中村和彦・松田晋二)

Vampiregirl

◆白組(山田将司・滝善充・岡峰光舟・かみじょうちひろ)

The Revolutionary

戦う君よ

◆鰰の叫ぶ声

Black Market Blues


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20201225/a flood of circle“LOVE IS LIKE A Beer!Beer!Beer!”@新宿LOFT(2部)

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HISAYO姐さんがフラッドに加入して今年で10周年、ということで姐さんの10周年を記念して開催されたライブ。姐さん加入後初めてリリースされたアルバム「LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL」を再現するという内容。今回は収容人数を制限する代わりに2部制でライブが行われ、自分は2部を観に行った。

ちなみに昨年は、同じくLOFTにて1stアルバム「BUFFALO SOUL」と2ndアルバム「PARADOX PARADE」の再現ライブを開催している。LOFTのレーベルからインディーズデビューし、独立するまでLOFTの事務所に所属していたフラッドにとっては“ホーム”である新宿LOFTが、今でもこのような節目には欠かせない存在となっているのが嬉しい。

 

検温や消毒を済ませ入場しようとすると、入り口でCDを渡された。盤面に「The Greatest Day HISAYO Remix」との記載。これは事前告知が無かったと思う。思いがけない嬉しいクリスマスプレゼント。

今回は自由席ということでフロアには椅子が並べられていた。2部は配信もされるので、上手の段の上には配信用機材のスペースも設けられていた。自分が入場した時点で空いていた上手前方端の席で観ることにした。場内ではこの日に合わせて姐さんがプロデュースしたグッズである、赤いタッセルの付いたイヤリングと、ベースのヘッドやバンド名を散りばめたデザインのタイツ(肌色と赤の2色展開)を販売していた。

 

I LOVE YOU

Blood Red Shoes

Whisky-Bon Bon

Sweet Home Battle Field

賭け(Bet!Bet!Bet!)

Hide&Seek Blues

YU-REI Song

Boy

The Beautiful Monkeys

King Cobra Twist

-session #6-

感光

 

Beer!Beer!Beer!

Beast Mode

 

SEは流れず、客の拍手だけが鳴り響く中ステージに真っ先に出てきたのはこの日の主役・HISAYO姐さん。黒いノースリーブのワンピースに自身がプロデュースしたイヤリングとタイツ(肌色の方)を身に付けていた。普段は綺麗めのデザインが多い姐さんのワンピース、この日は大きなフリルのような飾りが縦にいくつも付いたデザインで、全身がリボンで飾られているように見えるとても可愛らしいものだった。いつも可愛い姐さんだけれど、この日の装いは特に可愛かったので視線が姐さんに釘付けになった。

続いて登場したのはなべちゃん。何と髪をばっさりと切って黒髪短髪になっていた。最後にテツ君と佐々木さんが登場。10年前の再現という意味なのか、佐々木さんはI LOVE YOUのMVや「LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL」のアートワークで着用していたものと同じ白い革ジャンだった。

 

I LOVE YOUからライブがスタート。イントロから素敵な笑顔で手拍子する姐さん。客は感染防止のため声を出すことが出来ず、いつものコーラスパートで声を出せないのがもどかしい。終盤では佐々木さんが「夜明けが近づく“新宿LOFT”!!」と歌詞を変えて歌っていた。続いてはBlood Red Shoes、ここで今回はアルバムの収録順通りに演奏されるセトリなんだろうな、というのを把握。先ほどまでは可愛らしい笑顔を見せていた姐さんが、イントロの入りで思いっきり歪ませたベースの音を叩き付ける。間奏のギターソロではテツ君がステージ前方まで出てきていた。終盤になるにつれ姐さんが大きく動いているのが見えた。演奏が終わると佐々木さんがひと言、「おはようございますa flood of circleです、よろしくどうぞ」

 

ここで最初のMC。佐々木さんが「LOVE IS LIKE A Beer!Beer!Beer!ということで…姐さん10周年ありがとう、おめでとう!!」と言うと姐さんが笑顔で「気付けば10年、みんなも最初から見てる人は一緒に年取ってますよね。今日という日を迎えられたことがとても嬉しいです。」と可愛らしい仕草を交えながら続けた。

 

続いてはWhisky Bon-Bon、なかなかレアな曲で個人的にはこのアルバムの中でも特に好きな曲のひとつなので、イントロで歓声を上げたくなるのをなんとか抑える。間奏に入る際に佐々木さんが「オンベース、HISAYO!」と叫んで姐さんの見せ場を引き立たせる。間奏のギターの掛け合いの部分では、佐々木さんが《ひいらぎかざろう》のメロディーを弾いていた。この日は12月25日、クリスマスということで入れられた微笑ましいアドリブ。終盤では跳ねたリズムに合わせるかのように姐さんがステップを踏んでいた。

佐々木さんがギターを置きタンバリンを手にして始まったのはSweet Home Battle Field、佐々木さんが間奏で姐さんの首にタンバリンをかける。間奏後にマイクスタンドを退けて歌い始める佐々木さん、普段ならここでステージから客の上に移動して歌うところだけれど今回はそういう訳にもいかず、ステージ前方で止まって歌い続けた。アウトロではタンバリンを首にかけたまま叩いていた姐さんの姿が可愛かった。

ブルージーなイントロからテンポの速い本編へなだれ込む賭け(Bet!Bet!Bet!)では姐さんがその場で足を小さく踏み踏みするようなステップ。テツ君のギターソロが始まると近づいて行ってそれを覗き込む佐々木さん。一瞬の間を開けてHide&Seek Bluesへ。先ほどの陽気な雰囲気から一転、スローで重たい音がLOFTのフロアに響く。なべちゃんのドラムの音は体感的に、この曲の時が特に重たかった気がする。4人の目つきは鋭く、姐さんが俯きがちにベースを弾く姿がかっこいい。間奏のギターソロはテツ君がほぼオリジナルのメロディーを弾いていた。再現ライブではあるけれど、ただの再現ではなく確かに今のフラッドが鳴らしている音だぞ、というように聴こえたのが嬉しかった。

 

ここで再びMC。「10年前の今ぐらいに姐さんが加入して、姐さんと作った最初のアルバムがLOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLLなんだけど、10年前はこのステージでRUDE GALLERYのイベントがあって。元々入っていた予定だったと思うけど、姐さんの初ライブになっちゃってみんなびっくり、みたいな。でも今日に辿り着けて良かったですよね。」と佐々木さんが言うとそうね、と応える姐さん。

姐さんが続ける。ファンクラブのブログにて、10年前にLOFTで行われたフラッド加入後最初のライブにどんな感じで至ったかを自粛期間にひとりで振り返りをしたという話。「結構劇的な出会いがあってあそこに辿りついたっていうのを言ってこなかったから、この機会に言っとこうかな、みたいな。是非知りたい人は読んでほしいな、お金出さないと読めないということにしたいのよ、あの出来事を…タダじゃ喋らない」と悪戯っぽく言う姐さんに佐々木さんが「祝われに来たのに妙にがめつさ出してるじゃないですか(笑)」と突っ込みつつも、思い出がいっぱいってことですよね…と姐さんに言っていた。

ここからは姐さんと佐々木さんの掛け合いが続き、

姐さん「ブログ4~5月から始めたのに(2010年の出来事から書き始めて)まだ2013年とかで…」

佐々木さん「スラムダンクレベルの…」

姐さん「試合が長いんだよね……テツが全然出てこないね。2013年頃だと上京?専門学校行ってるくらい?」

佐々木さん「まだミルク飲んでる頃かな?」

テツ君「20か21くらい」

姐さん「お酒覚えたてぐらいの頃やね…(腕を組みながら)」

佐々木さん「怖い、説教始まるのかと思った、覚えたてぐらいの頃やね~って(姐さんの口調を真似しながら)」

姐さん「でもそんな片鱗もないのに今こうやって一緒に出来てるのってすごいね」

更に佐々木さんが続ける。「何が起こるか分からないのっていいよね、再現ライブってそれには全く向いてないんですけど…でもこれを再現するってことは予想してなかったから。今日は今日しかないし楽しんでいきましょう。」

 

佐々木さんが話し終えると次の曲へ入る…ような空気になったがなかなか曲が始まらない。話し始めたのはなべちゃん。「曲始めちゃっていいの?」と言うとフロアから笑い声が漏れる。

佐々木さんが始めたくなければ喋ってもいいし、飲んでもいいし、と言うとそれに促されるようになべちゃんがこんにちは、とひと言。またフロアに笑いが起こる、和やかな空気。

「不思議な感じですよね再現ライブって……話し出す勇気がないんで行こうかな。みんな曲順分かってると思うから、可愛いやついきます、次」

 

なべちゃんがそう言ってから始まったのはYU-REI Song、歌声も演奏もこのアルバムで一番穏やかな曲、ドラムをマレットで叩いているので音がコロコロと優しく響いていて可愛らしい。そんな穏やかな雰囲気からシリアスな空気への切り替わりが見事だったBoy、ステージを照らした夜明けみたいな照明のような照明が美しかった。「どこにも行かないで」の一節で心臓をグッと掴まれたような感覚になるのは、この曲をほぼ9年聴き続けた今でも変わらない。

佐々木さんが「Are you ready!!!?」と叫んでからThe Beautiful Monkeysへ、性急なリフに合わせるかのように姐さんが一際大きく跳ねる。間奏のギターソロでは佐々木さんがここでもテツ君に近付いて覗き込むようにしていた。続くKing Cobra Twist、姐さんが音を歪ませて弾くソロパートの直前に佐々木さんが「オンベース、HISAYO!」と再び入れる。また、次のブロックでは佐々木さんがなべちゃんのソロパートが来るとステージ中央辺りにしゃがんでフロアからなべちゃんがよく見えるようにするなど、それぞれ見せ場のあるリズム隊を目立たせるようにしていた。ソロパートを叩き切った直後になべちゃんがパッと笑顔になっていたのを見て反射的に嬉しい気持ちになった。そのまま音源通り-session #6-へ。この曲では最初から最後までステージ前方に出てきてギターを弾きまくっていた、テツ君の独壇場だった。

 

「2020年12月25日のことを多分誰も昨日まで分かんなかったはずで、だから確かめに来てみんなに会えて嬉しい」とフロアに話しかけるように言う佐々木さん。ステージ下で回されているカメラに向かって、カメラ目線で「観てる人もそうだし」と、配信を観ている人たちにも話しかける。

a flood of circleはたくさん曲あるんで…ずっと曲作ってるし今年も2020っていうすごいの出したし、って思ってるんだけど、ガンガンやってるけどちょいちょい振り返ってる俺達、という(笑)」

「こういうのしょっちゅうやってるしそれが不思議な気持ちになる時もあるんだけど、でも昔の曲やってる時って、昔のことあんまり思い出せない。今の気持ちしか歌えなくてそれでいいなって感じがある。そうやって、どうせ元には戻れないので、昔には誰も。これはみんな一緒の条件なんで」

「この先古い曲やってもその時の気持ちしか絶対歌わないし歌えないし、だからロックンロールやってるんだと思う。それが何十年目のスタイルでもこれが俺達だからこのまま行きますんでよろしくお願いします」

 

「じゃあ、元気で。《感光》」

本件最後の曲は、LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLLの最後を締めくくる、感光。「I Feel The Shine」の部分で優しい日差しのような照明が降り注いだ。終盤、演奏が止まると暫しの静寂。佐々木さんがフロアを見回すように目線を動かしているのが見えた。そしてありったけの力を込めるようにして歌われた「生きていて」の一節が胸に迫る。思えばこの曲は2011年3月、日本が危機的な状況だった時のことを内容に込めて生まれた曲だったので、今違う困難に直面している今の状況と重なるような気がして、切実なものに聴こえてくる。佐々木さんが昔の曲でも今の気持ちしか歌えない、とつい先ほど言っていたのでこの時の「生きていて」はあの時の再現ではなく正真正銘今現在の、佐々木さんの言葉だということ。

 

本編が終わると4人が順番に退場。姐さんが両手で大きく手を振りながら退場していった。

 

アンコールの手拍子がしばらく続く中、再び4人がステージに登場。

佐々木さんが「俺が言うのも変だけど、姐さんの10年目をみんなが祝ってくれて最高、嬉しいです、ありがとう。」と言ってから、12月29日に生配信を行うことを告知。出演予定だったCOUNTDOWN JAPANが中止になってしまい「その日暇になっちゃったから」と、一緒に暇潰ししよう、とのこと。また、来年1月9日に下北沢SHELTERから無観客生配信で行うライブの案内もあった。このライブは事前にリクエストを募っており、もうセトリは決めたらしいが練習がすごく大変、と言っていたのでかなりのレア曲が聴けるのではないか、と一層楽しみになった。更に来年開催する“2020 TOUR 2021”について、また状況が心配になってきた中ではあるが「やれると信じていく、やれることをやっていくだけ。15周年もどうぞよろしくお願いします。」と言っていた。

 

続けて、姐さんが自身でプロデュースしたグッズの紹介を嬉しそうな様子で始める。グッズが出来まして…と言いながら長い髪を耳にかけ、付けているイヤリングを見せる。客の中にはイヤリングやタイツをすでに装着している人もいたようで、姐さんが嬉しそうに言及していた。今回のグッズはどちらかと言うと女性向けだが、情報によるとイヤリングを買っていた男性もいたようで姐さんが「プレゼントにも良いと思いますし、男性が付けても良いと思う」と勧めていた。

話を続ける姐さん。「漫画が好きじゃないですか私」と言うと佐々木さんがすかさず「知らんけど…」と入ってくる。「好きな漫画家の先生にお願いして私を書いて頂きました。“女の友情と筋肉”の作者、KANA先生と何度かやり取りをして、私の人となりを知ってもらって書いてもらいました。」と言いながら大きな白いパネルを持つ姐さん。なべちゃんのドラムロールが始まる中、しばらく勿体ぶっていた姐さんがパネルを裏返すと、美しいタッチで描かれた姐さんの絵が。

「めっちゃ嬉しいです、10周年のご褒美ということで、かなり美人に書いて頂いているんですけど…何とこれ、Tシャツになります !どなたも着られますので!」と。もうひとつの姐さんグッズとして、誰でも身に付けやすいTシャツの発売を発表。そして「会場のみなさんにはクリスマスプレゼントをお渡ししてますので、お家で楽しんで下さい」と入場時に配布されたCDについてもここで言及。

 

パネルを置いて、一旦アンプ側に向かった姐さんが手にしたのはベースではなく缶ビール。こいつ全然ベース持たへんやんって思われてるよね~、と言いながら。

佐々木さんが、祝われに来てますからねと言えば姐さんが「わがままが許されるのは、私のためにこんなに時間取って良いの今日ぐらいだと思うから」と言って、更に佐々木さんが「全然いつでも時間取って下さい」と返す。

 

姐さんが続けて話す。「“LOVE IS LIKE A Beer!Beer!Beer!”ってタイトルを決めたのは私なんですけど、Beer!Beer!Beer!は佐々木くんが私をモチーフにして作ってくれた唯一の曲なので…唯一のは要らんか。ということで、私がライブの時にしたかったやつをやらせてもらいます!」

姐さんがマイクの前に来るように缶ビールを持つとプルタブを開ける。リバーブがかかったマイクがプルタブの音をフロアいっぱいに響かせるとそれを合図にBeer!Beer!Beer!の演奏が始まる。その中で嬉しそうにビールを飲む姐さん、開けてから飲むところまでをやりたかったらしい。ビールを置いてようやくベースを手にする。

佐々木さんがイントロに乗せ「HISAYOがいないと始まらない」とご機嫌に歌えば姐さんが「そうなんです、終わりたくないから始まらんとこうかなって。どうしようかなー、始めよっか」と名残惜しそうに言ってから姐さん自らのカウントで「1,2, 1,2,1,2,3,4!!」から歌へ入る。姐さんをモチーフにしているだけあって、フラッドの中でもとびきりキュートなメロディーの曲。聴きながら多幸感で満たされるような気持になった。フルコーラス演奏が終わると姐さんがマイクに向かって何か言っていたが、マイクの音量が大きくならない。すると姐さんが佐々木さん、なべちゃん、テツ君に向かってオフマイクで「行くよ、1,2,3,4!!」と音頭を取ってサビをおかわり!

これで終わりと思いきや最後にもう1曲、Beast Mode!この日は「LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL」の曲とBeer!Beer!Beer!しか演奏されないと思っていたので完全に予想外だった。今年、もう一度生で聴くことが出来て、本当に嬉しかった。音源にはこんな状況になる直前にライブ会場で録った大勢の客の歌声が入っているが、ライブで披露される時にはもうライブハウスで声を出すことが出来なくなってしまった。早くこの曲をライブで大合唱できる世の中になって欲しいと思ってやまない。

演奏が終わるとテツ君が「サンキュー、またどこかで会おう」と言って退場。それに続いて佐々木さんも袖に消えていった。姐さんは大手を振って退場、なべちゃんはマイクの前を通る時に「良いお年を!」と言って退場していった。

 

 

2010年12月24日にフラッドのベーシストとして初めてステージに立ったHISAYO姐さん。

姐さんが加入した時、自分はtokyo pinsalocksのことはバンド名くらいは認識していたが、姐さんのことは知らなかった。自分が初めてライブで姐さんを観たのは2011年4月だったが、ノースリーブのワンピースに網タイツでクールな佇まいの綺麗な人、というのが第一印象だったと思う。そこから年月を重ねていくごとに段々と姐さんの人柄を知るようになった。ベースを構えすらっと立つ姿は美しく、演奏中のステップや繰り出す音はかっこよく、話している時など普段はどこかほんわかとした雰囲気のある可愛らしさがあり、ビールが大好きな姐さん。愛称どおり「姐さん」として、メンバーの安定しなかったフラッドを10年間共に支えてきた頼もしさ。色々な一面を知るごとに姐さんのことが大好きになった。姐さんがフラッドに出会ってくれて良かった。こんな状況の中でも姐さんの節目をお祝いすることができて、良かった。

改めましてHISAYO姐さん、a flood of circle加入10周年おめでとうございます。

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20201122/9mm Parabellum Bullet“2Q2Q”@渋谷CLUB QUATTRO

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11月21日・22日の2日間、渋谷CLUB QUATTROにて開催された9mmの今年初となる有観客ライブの、22日公演を観に行った。

9mmが最後に客の前でライブをしたのは同じく渋谷CLUB QUATTRO、今年の年明け直後だった(バンドの中では2019年のライブという扱いになっている)ので実に11ヶ月半振り。6月の緊急事態宣言解除後から9mmは非常に慎重に活動していて、年内のツアーを延期にしたり、中止にした分を配信ライブに変えるなどの対応をしているため今年9mmは有観客ライブをやらないと思っていただけに嬉しかった。

 

今回はシングル&e.p.曲のみでセトリを組むということが事前に発表されていた。シングル縛りなんて今までなかった気がするし、シングル曲でも長いことライブで演奏されていない曲もあるので楽しみにしていた。シングル縛りということは、普段ライブの終盤に演奏されることの多いTalking MachineもPunisumentも(teenage)Disasterもロング・グッドバイもやらないということなので、どの曲をセトリの最後に持ってくるのかが個人的には一番気になっていた。

 

昨今の状況を受け、各地でライブが再開した後も自分はしばらくライブハウスに行くのを控えざるを得なかったので、ガイドライン制定後にライブハウスに来たのはこれが2回目で、会場がどのような対策を取っているのかも気になっていた。入場時に体温測定、間隔を開けて並びチケットのアプリ画面での操作も自ら行う、などの対応が徹底されていた。また開演前にはアナウンスが2回あり、座席移動は禁止、自席での立ち見や手拍子や拍手は可、終演後は規制退場となること等がしっかりと案内された。

 

会場に入るとステージではなくフロアの下手側の壁に、いつものバックドロップが掲げられているのが目に入った。フロアとその周りの段差の上にパイプ椅子が並べられており、席数は200を少し超えるぐらいだろうか。クアトロと言えば下手前方に柱が立っているが、さすがにその後ろには椅子は並べられていなかった。

自分が入場した時に下手側の段差の上にある座席が空いていたので、そこで観ることにした。下手端の方から斜めにステージを観るような角度。開演10分前にはサウンドチェックが始まったがその光景も随分懐かしいような気持ちで観ていた。ほぼ定刻に客電が落ち、ライブが始まった。

 

 Blazing Souls

The World

Answer And Answer

ハートに火をつけて

新しい光

インフェルノ

サクリファイス

Wanderland

命ノゼンマイ

生命のワルツ

カモメ

白夜の日々

名もなきヒーロー

Cold Edge

反逆のマーチ

Black Market Blues

 

 Discommunication 

 

暗転後に流れたのはお馴染みのSE、Digital Hardcore…ではなく先月配信リリースされたばかりの新曲、Blazing Soulsだった。曲が流れるとそれまで座っていた客が一斉に立ち上がる。卓郎さん、滝さん、和彦さん、かみじょうさんの4人がステージに揃うと曲の途中から演奏が始まった。完全に予想外だったのでびっくりしてしまったが、Blazing Soulsでの登場はとても勇ましさがあり、一気に気持ちが昂ぶった。真っ先に新曲を聴いてもらいたいという意図もあったかもしれないが、このライブは生配信もされており、権利関係など何らかの問題でDigital Hardcoreを流すことが出来ないためにこうなったのかもしれない、とも思った。(今までの配信ライブでもDigital Hardcoreは一度も流れなかった。)

自分がいた下手側の端からステージを観ると和彦さん、卓郎さん、滝さんがちょうど被らずに見え、かみじょうさんは卓郎さんのアンプが被っており更に顔の前にシンバルがあったため動き方によっては若干見える、という感じの視界だった。ちょうど自分の目線が和彦さんの手元と同じくらいの高さだったので、この日は全体を通して和彦さんの手元に釘付けになることが多かった。

 

次の曲はThe World、今まで何度も何度も聴いてきた「目を凝らして焼き付けてみる 明日も僕らが生きていく世界を」の一節をこの状況と重ねて聴いてしまった。2回目のサビでは滝さんがアドリブのフレーズを入れていた。続いてAnswer And Answer、和彦さんがすっかり伸びた髪をなびかせ、長い手足とベースのネックを大きく動かしながら演奏する様子に迫力がすごい…!!と初めてライブを観た人のような感想が出てしまった。そんな感想が出るほど久々の生9mmなんだな…と実感した。

ハートに火をつけて ではベースラインに合わせて終始和彦さんが小さくステップを踏むように足を動かしていた様子が小気味良く、その動きをずっと観ていた。最初のサビで卓郎さんが「灰にならないか渋谷ーー!!」と思いっきり叫んだ。間奏で卓郎さんと和彦さんが左にスライドしなかったのが珍しかったところ。

いつもライブ終盤に来ることの多い、新しい光が5曲目に入ってきた。2回目のサビ後の間奏では和彦さんがかみじょうさんの前に移動して向かい合うようにしゃがみ、その姿勢でベースのネックを上げていた。最後の「君を連れて行くのさ」の部分でかみじょうさんがだんだん音が大きくなるようにドラムを叩いていたのが曲の高揚感を一層盛り上げていた。 アウトロでは和彦さんが定位置を飛び出し、ステージのかなり端まで来てくれた。

 

「みなさんようこそお越しくださいました!来てくれて本当にどうもありがとう!」と卓郎さんが嬉しそうに話し始める。「今日は配信もやってますけど…今までの配信ライブは、みんなの好きなところで観られるし、本当は一人ひとりの家でやってもいいくらいのもんでしたけど、今日は渋谷CLUB QUATTROでやってる、みんなが観ているライブを配信で観てもらおう、という日なので、みんなの声は出せなくても、拍手で伝わる…(ここで拍手が起こる)あ、いいよ拍手してください…伝わるからひとつ、盛大なやつをしてください!」卓郎さんが「大丈夫だな渋谷!いけるかー!!」と叫ぶと、声を出せない代わりにフロアから全力の拍手が起こったり、拳が上がった。

ここまでの5曲は4人で演奏していたが、卓郎さんが話している間にこの日のサポートギター・武田さんがステージに登場。武田さんが定位置に立つと、滝さんの奥にその姿が見えた。

 

ステージが真っ赤になり、あっという間に駆け抜けるインフェルノ。鋭い眼差しで歌っていた卓郎さんが、歌い切った瞬間にパッと笑顔に変わった瞬間を観た。ステージが真紅から深い青へ切り替わり、滝さんが弾き始めたのはサクリファイスのイントロ。いつもと何か違うなと思ったら原曲よりキーを一音下げていた。キー下げのサクリファイスは初めて聴いた気がする。それまでしなやかにドラムを叩いていたかみじょうさんが、この曲の時には腕を思いっきり振り上げ、力強く叩き始めたのでついそちらに目を奪われる。シンバルの揺れ方がそれまでとは明らかに違っていたほど。(また当日は気付かなかったが、翌日にアーカイブを観た際に最後のサビで滝さんが卓郎さんの歌を追いかけるようなコーラスを入れるという新しいアレンジがあったことを知った。)次の曲はWanderland、シングル曲の中ではあまりライブで演奏されない曲なので イントロで歓声を上げそうになったが声を出してはいけないので何とかこらえる。

 

「今日はシングル&e.p.祭りです。その時々の9mmの顔としてみんなの前に届けられた曲ですが…おれたちも今年結成16年になるので、なかなか演奏できない曲もありますが、今日は彼らにも活躍してもらおうと思います。」

卓郎さんが話している時から滝さんがギターで静かに奏でていた不穏な音色で次の曲を何となく察した。その怪しげな雰囲気のまま滝さんがギターのナットとペグの間を鳴らす。卓郎さんの言った通り、シングル曲でありながら今や滅多にライブで聴けなくなった曲、命ノゼンマイ。自分が最後に聴いたのはもう6年も前だったかと思う。なので5人編成で演奏される命ノゼンマイはこれで初めて聴けたことになる。その編成の良さを最大限生かすように、間違いなくこの日一番の音圧を叩き出していたアウトロが圧巻だった。

拍手と一瞬の静寂の後、生命のワルツのイントロ音源が流れ、そのまま演奏へ。1番に入ったあたりで滝さんと武田さんが同時にギターのネックを大きく振る。最初のサビ後の間奏で和彦さんが大きな手を広げ、両手でネックを叩くようにして音を出している様子が記憶に強く残っている。

卓郎さんがアコギに、滝さんがエクリプスに持ち替えてから演奏が始まった、カモメ。空間いっぱいに広がる、包容力のあるリバーブがかかったギターのメロディーがとにかく心地よく、じっとステージを観ながら聴き惚れていた。間奏の途中でかみじょうさんのスティックが折れてしまったらしく、滝さんの後ろ辺りまで折れたスティックが飛んできて転がっていた。

 

ここで再びMC。卓郎さんが武田さんの方を見ながら、「サポートギター、武田将幸!」と紹介すると笑顔で手を上げる武田さん。かみじょうさんがドラムロールで盛り上げると武田さんが深々とフロアに向かってお辞儀をしていた。

「9mmが最後にお客さんの前でライブをしたのは2019年12月31日、正確には日付が変わって…そのクアトロのステージでした。それから11ヶ月振りに昨日、お客さんの前でライブしたんですけど、今日はそれに続き2日目のライブで、もう何回も、それしか言うことないんだけど、今日は来てくれて本当にありがとうございます。」

「配信ライブをやっていても、観ている人がいるのを感じると言うか…気のせいかもしれませんけど。同じ時間に物事が動いているのを感じながら演奏できたから配信ライブでも情熱的に演奏できたと思ってたけど、たとえみんなが声を出せなくてもみんながそこにいて反応してるだけで全然違う。ライブしている意味がある。」「いろんな人が集まって同じものを見て楽しもうという空間を、ちょっとずつ対策をしながら動かし始めてますけど、行ったり戻ったりするかもしれないけど、みなさんこれからも9mmを応援よろしくお願いします。」卓郎さんが話すたびにフロアが拍手で応えた。

「白夜の日々という…今年はツアーをたくさんするつもりだったから、君に会いに行くよ、という歌詞の曲を作ったんだけど、なかなか会いに行けませんで、11ヶ月。代わりにみんなに今日来てもらったけど、会いに行くぞという気持ちは変わらないので、配信で観てくれているみなさんもいずれ必ず会いましょう。今日ここにいるみなさんも、必ずまた会いましょう。」

卓郎さんが「いけるかーー!!」と叫んでも声でそれに応えることが出来なくてもどかしかったが、全力で拳を振り上げて応えようとした。フロア全体が声を出せない代わりに各々できる方法で卓郎さんに応えた。声を上げられないフロアを援護するかのように、かみじょうさんが思いっきりチャイナシンバルを鳴らした。

 

 白夜の日々の演奏が始まると、ステージ上のおびただしい数の照明が一斉に白く輝き、ステージを眩い光で包み込んだ。もしかしてこの演出のためにバックドロップをステージに掲げなかったのだろうか。曲の煌めきを視覚で完璧に表現したような、美しい光景だった。卓郎さんが2番で「星が見えなくなった“渋谷”の街は今夜も」と歌詞を変えて歌っていた。間奏のソロは武田さんが滝さんのオクターブ下を弾いているようだった。その息ぴったりな様子に感嘆しきりだった。遂に生で聴けた白夜の日々、先ほどの卓郎さんの話と共にひとつひとつの言葉が深く沁み入り、何とも言えない安心感とこみ上げてくるものがあった。

「流されずに 生きるために 君に会いに行くよ」と歌う白夜の日々に続けて演奏された名もなきヒーロー、「勝ち目が見当たらなくたって逃げたくないから笑ってんだろ くじけそうな心をふるいたたせて」の一節でそれまで抑えていたものを止められなくなってしまった。昨年のツアーからずっと変わらない、青とピンクの照明がサビの「また明日」で赤一色に切り替わるという色の変化が個人的にとても好きなところで今回も観られて嬉しかった。「守りたいものにいつも守られているんだね」の歌詞で真っ先に頭に思い浮かんだのは、自分がまさに今立っている場所だった。最後のサビに入るところで和彦さんと滝さん、という両翼が同時にギターとベースのネックを大きく振り下ろした光景も堪らなく嬉しかった。

名もなきヒーローのアウトロから間髪入れず、ドラムのカウントも入れずにCold Edgeへ。客が声を出せない代わりにイントロで叫んだのは卓郎さん!マイクから離れていたのにかなり大きな声だったので、卓郎さんがどれだけ全力で叫んでいたのかがよく伝わってきた。和彦さんが間奏の入りで「渋谷ーー!!」と叫んでいたが、この日の和彦さんのシャウトの中でこの部分が一番の声量だった。間奏後、再び歌に入るところでかみじょうさんがスティックを回したり投げたりするのが見えた。最後のサビ前、「飛び立て」と歌われた瞬間に和彦さんが両足で高くジャンプしながらぐるっと一回転した。アウトロで客の代わりに叫んだのも和彦さんだった。

Cold Edgeから更にノンストップで、ここでも照明の青と赤の切り替わりが見事だった反逆のマーチ、間奏の入りで和彦さんがベースを大きく振り回すとシールドが卓郎さんのギタースタンドに絡まってしまった。するとすかさずシールドをほどき、ギタースタンドを後ろに放り投げ素早く演奏に戻っていった。思わぬアクシデントも鮮やかに切り抜けた和彦さん。

本編最後の曲はBlack Market Blues、卓郎さんが「渋谷CLUB QUATTROに辿り着いたなら!!」と歌った。2番の入りでは和彦さんがアンプのキャビの前にしゃがみこんでノイズを出していた。その後和彦さんも手拍子を煽っていたが、元々手拍子が多く入っているこの曲なら、この状況でも遠慮なくいつも通り盛り上がれる!

 

 本編が終わり、滝さんが真っ先に退場、武田さんもそれに続く。かみじょうさんも早めにステージから去る。和彦さんと卓郎さんはいつものようにフロアのあちこちに視線を遣り挨拶。最後に卓郎さんがいつものように万歳三唱を始めたが、客が歓声を上げられないため無音でみんなで万歳をするというシュールな画になってしまい、それまで声を出すのを我慢していたフロアからクスクスと静かな笑い声が漏れた。

アンコールの手拍子が鳴る中、フロアにひっそりと掲げられていたバックドロップにちゃんとスポットライトが当たっていたことに気付いた。ステージではないところにあっても普段と同じように扱われていた様子を見てちょっと嬉しくなった。

 

 ステージの照明が点くと5人が再び登場。卓郎さんは先ほどまで着ていた白シャツから新しいグッズである2Q2Qの白Tシャツに着替えていた。かみじょうさんも新しいグッズであるコーデュロイキャップを被って登場。かみじょうさんが帽子を被っている姿はかなりレアなのでは…。

アンコールに演奏されたのはDiscommunication、この曲は以前から9mmのライブでは珍しい、黄緑っぽい色の照明が使われていたがこの日も黄色い照明が使われていた。また、サビではフロアの2ヶ所くらいに設置されたミラーボールが回っており、とても綺麗だった…と言いたいところだが、柱の陰になってしまいちゃんと見えなかった。今日は柱に邪魔されずにライブを観られるぞ!と思っていたのに思わぬところで結局あの柱に邪魔されてしまうとは。

最後のサビの歌が終わりアウトロに入るあたりで和彦さんが徐に卓郎さんのギタースタンドを後ろに退け、その後演奏に戻ると遠慮なくぐるぐると大きく動きながら弾いていた。反逆のマーチの時にギタースタンドを倒してしまったのを受けて今度は事前に退けたと思われる。先ほどと同じことが起こらないように対処してから思いっきり動く和彦さんの姿が最高にかっこよかったのと、その判断が曲中にできるほど和彦さんが冷静だったということに驚きながら観ていた。演奏が終わり、卓郎さんがギターを置こうと後ろを向いたところでスタンドがなくなっていてあれ?というリアクションを取っていたのがちょっと面白かった。 

 

演奏が終わると滝さんが上手からふらふらと歩いてきて退場していった。全エネルギーを出し切ったことが伝わってくるような後ろ姿だった。続いて武田さんも退場。かみじょうさんが前に出てくると被っていたキャップを取り、そのままフロアへ投げた…が、キャップはフロアへ落下せず、上手いこと天井の照明に引っかかってしまった。これには笑いを堪えきれなかったフロア。大きく目を開いてびっくりしている表情を浮かべるかみじょうさん。卓郎さんのマイクで「どうする?」的なことも言っていた気がする。その様子を見ていた卓郎さんが「アンコールはアーカイブが無いんだけど…生配信はしてるけど、アーカイブなくてよかったね!」と言うので更に笑ってしまった。(事前にアンコールは生配信の時のみ流し、アーカイブではカットすると告知されていた。)一旦ドラムセットの方に戻ったかみじょうさんがスティックを2本手にして戻ってくると今度は和彦さんのマイクで「新品のスティックあげるから許して!」と言ってからフロアにスティックを投げた。卓郎さんがスティックを取った人に向かって「ちゃんと消毒してね~」と声をかけるとかみじょうさんが何とも言えない表情をフロアに向けてから退場していった。このくだりの途中でいつの間にか和彦さんも退場し、最後に残った卓郎さんが面白がるような表情で再度静かな万歳三唱をし、フロアに挨拶をしてステージを去っていった。

 

 

本編では16曲も演奏されたが、曲と曲の繋ぎやMCを簡潔にして僅か1時間余りでやり切った。状況に配慮しながらもしっかりとワンマンの曲数を詰め込んでみせた。アンコールを含めても1時間半ほどだったかと思う。

久々に画面越しではなく直接自分の目で観られた9mm、演奏中に卓郎さんと滝さんが何度もアイコンタクトを取る様子や、和彦さんがステージの前の方まで出てきて何度もフロアを煽ったり、曲のいいところでお立ち台に片足を乗せて時にはベースを掲げるようにして弾く様子などのお馴染みの光景が嬉しかった。

 自分の見えていた範囲だと、和彦さんと卓郎さんがライブ中ずっと、フロアの隅々まで視線を送っていた。和彦さんは演奏中にフロアを覗き込むようにしていたし、卓郎さんはMC中もあちこちに視線を遣り、自分のいた下手の端まで観てくれていた。卓郎さんは目線が止まった瞬間に更に目を細めて優しい笑顔を向けていた。

 

 ライブが始まる前から気になっていた、シングル&e.p.縛りセトリの最後の曲はDiscommunicationだった。ライブを観ている時にはこれを最後に持ってくるのは意外だったな、などと思ったくらいだったが、ライブの最後を締め括った歌詞が「朝までかけて近付いても 最後の最後にすれ違う わたしはあなたの探し物 早くここまで迎えに来て欲しいの」という激しく焦がれるような一節だったことに後で気づいてはっとした。

今年の不安定な状況に翻弄されて一進一退を繰り返さざるを得ない音楽周りのあらゆる物事、それ以外にも会いたい人に会えない、やりたいことができない、手に入れたいものを諦めざるを得ない、といったどうしようもないまま抱えている色々な気持ちがこの一節に全部重なった。

繰り返しになるが9mmはこの状況でかなり冷静に状況を見極めて焦ることなく活動してきた。先月の配信ライブではこの状況に対して卓郎さんが「正しい怖がり方をしましょう」と言っていた。その姿勢を見せてくれたからこそ、こちらも焦る気持ちを抑えて配信ライブなどを楽しむことが出来た。自分の勝手な解釈かもしれないけれど、その冷静な行動や姿勢の奥に隠していた、生き甲斐としてきたことに焦がれる強烈な思いをあの一節に見た気がした。

 

卓郎さんがMCで言っていた通り、徐々にライブが再開されつつあるとはいえ全体的な状況は行ったり戻ったりを繰り返している。そんな中でやっと、やっと9mmも有観客ライブを再開できた。今までと勝手が違う状況はしばらく終わりそうになさそうだけれど、守るところはしっかりと守って出来る範囲の中で、ライブを楽しめる生活が徐々に戻ってくることを切に願っている。

 

20200909/9mm Parabellum Bullet “白夜の百年”@KT Zepp Yokohama(Streaming+配信)

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今年も9月9日=“9mmの日”がやってきた。
毎年何かしらの楽しい出来事がある9月9日、今年はシングル「白夜の日々」とトリビュートアルバム「CHAOSMOLOGY」のリリース、そしてそれに伴うツアー“カオスの百年 TOUR 2020 〜CHAOSMOLOGY〜”初日公演が9mmの結成地・横浜に新しくできたライブハウスKT Zepp Yokohamaにて行われる、予定だった。しかしこのご時世…ツアー初日の9月9日公演は中止、他の公演は来年に延期となってしまった。
それでも9mmが、“9mmの日”を何もせずに終わらせる訳がなかった。ライブが中止になった代わりに配信ワンマンを開催、しかも事前に聴きたい曲のリクエストを募り上位の曲をセトリに入れるという嬉しい企画、更に「CHAOSMOLOGY」参加アーティストのうちfox capture planの岸本亮さん、チャラン・ポ・ランタンストレイテナーホリエアツシさんがゲストで出演することも発表された。

 

今回はライブの前に1時間ほど、事前収録のトークが配信された。まずは卓郎さんと和彦さんが近況やこの日リリースされた「白夜の日々」と「CHAOSMOLOGY」について話す、という内容。後半では9月9日のライブに出るはずだったfolcaの3人を迎えてのトークも。9月9日が誕生日のケンジさんをお祝いしたり、卓郎さんと爲川さんが似ているというお馴染みのネタから卓郎さんが爲川さんのご家族と会った際にお兄さんより似ていると言われたらしい、という話も。出演予定のライブが中止になってしまったfolcaに、この場で来年のライブに出て欲しいというオファーをサプライズでしていたので、9mmとfolcaの対バンは来年のお楽しみ、ということになった。トークが終わりしばらく待機画面が続いた後、画面がメンバーのいるステージに切り替わった。

 


(teenage)Disaster
Lost!!
Vampiregirl
The Revolutionary
光の雨が降る夜に
エレヴェーターに乗って
Keyword
白夜の日々
ロードムービー
Calm Down
ガラスの街のアリス
ハートに火をつけて
カモメ
Answer And Answer
名もなきヒーロー
Black Market Blues
太陽が欲しいだけ
ロング・グッドバイ

Lovecall From The World
Punishment

 

9mm Parabellum Bulletです、こんばんは」という卓郎さんのひと言からライブがスタート、曲に入る前から滝さんが元気にギターを振り回す。1曲目は(teenage)Disaster、天井から派手にスモークが出てきて、赤い照明を浴びてステージを赤い靄で包む。アウトロでも滝さんはかなり大きく動いていた。曲中に気付いたがステージにいるのは4人だけ、最初はサポートなしでの演奏だった。結成地・横浜で9月9日にやるライブの1曲目がこの曲というのは何とも嬉しい。ステージに掲げられたバックドロップはいつもの双頭の鷲ではなく、今年初めから販売されているグッズでも使用されている、心臓のような絵に「CHAOS IN 100 YEARS」と書かれたロゴが描かれたものだった。更にその上に手書き文字風にバンド名が書かれていて、照明が当たるとそれが浮かび上がってくるようになっていた。
続いてはLost!!、先程まで赤かったステージが今度は青へと変わる。要所要所で抜かれた、和彦さんのベースを指弾きするしなやかな手つきが美しかった。何が正解なのか分からないこのご時世に聴くと余計に切実な歌詞だなと思わされる。最後のサビに入る前に卓郎さんが、気合を入れるかのように声を上げていたのが聞こえた。
そのまま間髪入れずにVampiregirlへ。早口のパートで卓郎さんのマイクにエフェクトがかかっているように、声が少し歪んで聴こえる気がしたが…。間奏ではモニターに腰かけてベースを弾く和彦さんとお立ち台に上がってソロを弾く滝さん。最後のサビでは卓郎さんが「頭空っぽに“しなくちゃ”」と歌詞を変えていた。トリビュートでVampiregirlをカバーしたUNISON SQUARE GARDENがそのように歌っていたので、それに倣ったことに気付く。
かみじょうさんがステージの前の方を確認するように目線を遣りながらドラムを叩き続け、卓郎さんが楽しそうにイエーイ!!と声を上げてから演奏されたのはThe Revolutionary、曲調に合わせ眩く照らされるステージ。間奏では和彦さんはステージ中央に移動しかみじょうさんと向かい合わせになって弾き始め、卓郎さんと滝さんが同時に前へ出てきてツインリードを披露、それが終わると滝さんがフラフープのように思いっきりギターを一回転させた!久し振りに観られたような気がする滝さんのギター回しに思わず笑顔になった。

 

9mm Parabellum Bulletです」と言ってから拍手をする卓郎さん。同じく拍手をする和彦さんと、ギターを鳴らす滝さん。
ここで今回ライブを開催するにあたり、曲のリクエストを募ったことを説明し始める卓郎さん。
「聴きたい曲を1曲上げてくださいと言ったら、選びきれないって何曲も候補を上げてくれたりしてる人もいましたが…今からリクエストの結果、TOP3の曲を演奏します。タイトルは言いませんが…なのでライブでよくある、イントロでワーって(歓声が上がる)やつがないのは寂しいなと思いますけど、それぞれの場所で(歓声を)上げてくれれば届きますから、気配は。おれたちに。」

 

話し終えた卓郎さんが「いけるかー!!」を入れてから演奏が始まったのは、光の雨が降る夜に。卓郎さんが話している間にステージには武田さんが登場しており、ここからは5人での演奏となった。この編成だとイントロがトリプルリードになるのが個人的に大好きなところ。アウトロで卓郎さんと滝さんが揃ってお立ち台に上がると、その後ろで和彦さん・武田さん・かみじょうさんが向かい合っていた。このフォーメーションの見事さも5人編成ならではの見どころ。2年前のツアーでリクエストを募った時の第1位がこの曲だったので、相変わらずの人気の高さが窺える。
次に演奏された曲のイントロを聴いた瞬間、思わず声を出してしまった。もう何年振りに聴くのかも忘れてしまったほど、久々だった。エレヴェーターに乗って!!この曲こそ、今回自分が一番聴きたくてリクエストした曲だった。抑揚強めに歌う卓郎さん、ギター3人の編成でより分厚くなった音…と2020年バージョンのエレヴェーターが聴けてちょっと泣きそうになった。嬉し過ぎてアーカイブで何度も何度も繰り返し聴いた。
そして最後はKeyword、順位は発表されなかった気がするが順番的に今回の1位はこの曲だったのだろうか。この曲もかなり聴きたかったのでやはり嬉しい。間奏のギターソロで生き生きとタッピングを弾き切った滝さんの姿に、画面の前で拳を振り上げそうになった。

 

ここで再びMC。「リクエストからTOP3を演奏しましたが…エレヴェーターに乗って を演奏したのは…もう百年くらい前ですね」と和彦さんの方を向いて笑いながら言う卓郎さん、笑顔で頷く和彦さん。この曲は「命ノゼンマイ」というシングルのカップリングで…この配信時代にカップリングと言われてもピンと来ないかもしれませんが、とも。
「たくさんのご応募ありがとうございます。おれたちはまだやったことないですけど、そのうちレア曲縛りとかね、やりたいですけどね。」「こんな状況ではありますが、2020年ライブがバタバタと中止や延期になってどうなることやらと思いましたが、それでも9月9日にめでたくシングルとトリビュートアルバムをリリースすることができました、ありがとうございます。」
卓郎さんが話す間、滝さんとかみじょうさんがBGMを付けるかのように音を出していた。また気付くとステージには武田さんではなく爲川さんの姿があった。次の曲からまた編成が変わるようだ。
「9mmが何を考えて過ごしていたのかっていうことは、白夜の日々というシングルの中に…今のところは、とてもいい形で込めることができたと思っています。…さっき入りました速報によりますと、シングル、トリビュートアルバム共に…(ここでかみじょうさんが短く控えめにドラムロールを入れる)…オリコンデイリー10位!共に、惜しい!9位まで!(ここで滝さんが残念そうな効果音を入れる)(かみじょうさんはカウベルを叩く)もうひと頑張りして9位を目指したいですね~。」などと言いながら思いっきり笑う卓郎さん。
「もう聴いてくれているとは思いますが、今日、2020年9月9日のライブで聴いてもらおうと思います。9mm Parabellum Bulletの、2020年の新曲、白夜の日々、聴いてください。」

 

ステージが一際明るく照らされて白夜の日々の演奏が始まった。そっと寄り添ってくれるような優しさを含んだようなサウンドが煌めき、心がじわじわと温かくなるような感覚があった。やっぱり、祈りのようなイメージが湧く、美しい曲だなと思いながら眩いステージを見つめていた。
続いてはロードムービー、配信ではあるがこれがライブ初披露。明るい音階と歌を引き立たせるような落ち着いた演奏が新鮮であり、青みがかった爽やかな照明がぴったりだった。終盤に曲展開が変わり、音が重たくなるにつれ真っ赤に変わるステージが予想以上のインパクトだった。
そしてCalm Downへ。「白夜の日々」シングルの収録順通りに3曲が続いた。どこかオリエンタルな夢現的メロディーがだんだん激しくなる様、赤と青のコントラスト。焼き尽くすような轟音を叩き付ける迫力のラスト。昨年のツアーでピンチをチャンスに変えたこの曲が正式に楽曲としてリリースまでされてセットリストに入る嬉しさ。

 

演奏が終わると卓郎さん、滝さん、爲川さんがステージから退場。カメラがステージ全体を映すのをやめ、バックドロップを画面いっぱいに映す。ステージ全体を映さないようにして何やら準備が始まったらしく、微かな物音がする。
「はい、えーっと、ここからは2人で…何人か人数が減ったんですけど…出張9mm radioということで」と沈黙を破ったのは、和彦さん!!9mmのライブでは仙台でしか喋らない和彦さんが、話し始めた。それに相槌を入れるのは同じく9mmのライブではほぼ喋らない、かみじょうさん。ちなみに9mm radioとは大体メンバー2人ずつのトークが配信されるモバイル会員限定コンテンツのことである。
「本日9月9日はですね、かみじょうちひろ君の誕生日ということで、おめでとうございます。」と和彦さんが拍手をしながら続ける。「その設定まだ生きてたんですね、ありがとうございますー。」と低いトーンで返すかみじょうさん。(公式プロフィール上のかみじょうさんの誕生日は1999年9月9日[仮]なので)「1999年生まれ、21歳?俺。大学3年生ぐらい」と笑顔を浮かべながら当の本人が言い出す。
「ここからはゲストを迎えて一緒にやろうかな、という感じですね。ゲストというのは、トリビュートに参加して頂いたアーティストの中から、今日は何組か出て頂けるということで、一緒にやろうと思います。」と和彦さんが進行に戻る。話しながらきょろきょろとしていた和彦さん、普段喋らないからやはり慣れないんだろうか。
「何でこの2人が残ってるかってのは理由があるんだよね。」と和彦さんがかみじょうさんに振れば、「えっどんな理由?」とすっとぼけて返すかみじょうさんに、和彦さんが思わず笑ってしまっていた。かみじょうさんのボケを全然拾わずに和彦さんが続ける。「じゃあもう呼んじゃっていいかな…紹介します、fox capture planの岸本亮君です。」


和彦さんの拍手に迎えられて岸本さんが登場。かみじょうさんが「通称メルテンさんでーす!」と紹介しつつ「メールテン、メールテン、ピアノが上手いのよー…」と童謡のメロディーで謎の替え歌を披露すると「これ配信されてるからね」と和彦さんがばっさり。その様子を見ながら「よろしくお願いします!」と挨拶をするメルテンさんにかみじょうさんがごめんねー、と謝っていた。
「ゲストが3組いる中で、CHAOSMOLOGYの…インスト勢の代表ということで身が引き締まる思いなんですけど、もともとは先週リハーサルがあって、9mmのフルメンバーに僕がキーボードとして入ってセッション的な感じでやるんだと思って、リハーサル着いた日にfox capture planのバージョンでお願いしますって言われて、そこから1週間ほど眠れない日々が続いてました。」と裏話を披露。逆にそれ言われていきなりリハでよくできたもんだな、と和彦さんが返していた。
和彦さん「fox capture planと同じ編成で…トリオでやるということで。」かみじょうさん「トリオを再現させて頂こうと思って、それでギタリストとボーカリストにはけてもらって…ごめんねリズム隊で、華が無くて。」にメルテンさんがいやいや…大船に乗ったつもりで…と、和やかな雰囲気で会話が進む。

 

「じゃあ、あの曲をやります。」という和彦さんのひと言からいよいよ演奏へ。fox capture planがカバーしたアレンジでの、ガラスの街のアリス。曲に入る前にメルテンさんがサビの歌メロをアレンジして弾くという音源にはない部分を追加していた。和彦さんとかみじょうさんは普段と同じ、メルテンさんが上手という位置。キーボードにエフェクトをかけ、楽しそうに演奏するメルテンさん。貴重なトリオ編成で、シャープなアレンジでのガラスの街のアリス。2回目のサビに入る前には大きく頭を振って眼鏡を吹っ飛ばすほどの熱演ぶりだったメルテンさん。演奏が終わるとメルテンさんが「ありがとうございました!」と言って和彦さん、かみじょうさんとグータッチをして退場していった。「慣れないMCやるといつものライブより疲れたな…。」と、かみじょうさんがぼそっと言っていた。

 

再び画面がバックドロップを映し、しばらく経つとステージに卓郎さん、滝さん、爲川さんが戻ってきていた。
和彦さんとかみじょうさんに「こんなに長いMCしたことないでしょ」と言い、メルテンさんには拍手を送る卓郎さん。続いてのゲスト、チャラン・ポ・ランタンを呼び込む。お揃いのワンピースで元気に登場したももちゃんと小春さん。ももちゃんは和彦さんと卓郎さんの間に、小春さんは卓郎さんと滝さんの間に立つ。
2人を紹介し始める卓郎さん。2018年にチャランポがラジオ番組に出演した際に9mmをカバーしたと聞きつけて、セッション等のステージに出てもらういい口実ができた…ということになって、2019年の荒吐にも出てもらった、と。その縁のままトリビュートアルバムに参加してもらった、と。
「なんか、9mmのファンの人達が参加しちゃったみたいな。さっきから足元すごーい!とか、右も左も頭がもじゃもじゃ!とかいろんなことが気になっちゃって。」と、9mmへの愛もさりげなく込めつつ小春さんが話す。
トリビュートアルバムでは二人で演奏してもらって…と卓郎さんが紹介を続けると、トリビュートを聴いてきたんですけど、歌とアコーディオンだけだと音圧がない!と言うももちゃんと小春さんに対して、2人の演奏が相当ヒリついてるからねと、「インスト盤に入っているハートに火をつけても2人だけの演奏だから(インスト盤は→Pia-no-jaC←)、すごくいい、対称的な。」と称賛していた。

 

ラジオがご縁で出会ったので、と卓郎さんがももちゃんに曲紹介をお願いし、ももちゃんが「それでは聴いてください、ハートに火をつけて」と言ってから演奏へ。イントロから情熱的なアコーディオンの音を奏でる小春さんと元気に踊りだすももちゃん。ハンドマイクで目元に力を込め熱唱するももちゃんがかっこいい!間奏でアコーディオンを弾きまくる小春さんもかっこいい!!卓郎さん、ももちゃん、小春さんが歌声を重ねるサビの華やかさ。アウトロで笑顔で踊るももちゃんが思いっきりジャンプして曲を締めた。歌い終わって「楽しい~~!!」と満面の笑顔を見せるももちゃんの可愛らしさ。ステージ中に「ありがとうございました!」を振りまいて2人が退場していった。昨年の荒吐で観たあのハー火が、また観られるなんて思わなかった。とにかく嬉しかった。

 

ステージが暗くなり、滝さんが静かにギターを鳴らす。「続いてのゲストを紹介します…ホリエアツシ!」と卓郎さんが言うと最後のゲスト、ストレイテナーのホリエさんが登場。開口一番「外、大雨らしいです。」と言って卓郎さんを驚かせる。ホリエさんがこの日のライブ前にみなとみらいを散策していた時には星が見えていたらしいが…。「もしこんな日にお客さんを入れてたらまた雨バンドって言われる…それは避けられました。」と笑う卓郎さん。
卓郎さんが選曲でもう泣く、と言っていたがストレイテナーがトリビュートでカバーしたのは、カモメ。「荒吐良すぎてね…あれでもう来すぎちゃって。」というホリエさん。選曲のきっかけが荒吐だったということか。それを聴いて卓郎さんが「荒吐感謝シリーズだね!」と。このライブの前にテナーの配信ライブを観た卓郎さんが、「MCでTITLE(テナーが配信ライブで再現したアルバム)の曲は、鳥がメッセンジャーの役割を果たしているような歌詞が多いと言っていて、それでこの曲(カモメ)だから…。」と言っていた。だからリンクしているような気がした、と。

そんな話からのカモメ、卓郎さんがアコギに持ち替えていた。エクリプスに持ち替えた滝さんが静かにギターを奏でる。この曲では全体を通してリードを爲川さんが弾いていた。ベースのフレーズで、原曲ではなくテナーのアレンジで演奏していることに気付く。ホリエさんが澄んだ声で歌い、サビで卓郎さんの歌声が重なる。原曲よりもグッと音数を抑えたようなアレンジに乗る2人乗る声がどこまでも広がっていった。終始心が落ち着く、いつまでも聴いていたくなる気持ちの良い演奏だった。「ホリエアツシ fromストレイテナー!」と最後に卓郎さんがもう一度紹介すると「ありがとう!!」と言ってホリエさんがステージから退場していった。

 

「改めて、ゲストの3組に大きな拍手をお送りください。」と卓郎さんが言いながら拍手をする。「気持ち的にはすべてのアーティストの皆さんに来てもらってやりたいところですけど、ディスタンスの概念が崩壊しますので。」
「おれたちは結成して16年経つんですけど、錚々たるアーティストの皆さんにカバーしてもらっても、それでも9mmだと分かる曲をたくさん生み出して、それを楽しんでもらえているということがとても幸せです。ありがとうございます。」と言いつつこの日もサポートギターとして参加した武田さん、爲川さんに感謝の言葉を述べた。この時点でまたステージにいるのが4人だけだと気づく。


「ここからはまた4人で演奏します、9mmの日!みんな準備はいいか!!」
「いけるかー!」
「いけるかーー!!」
「いけるかああああああ!!!!!!」

威勢よくAnswer And Answerへ。赤と青を散りばめた、明るさを落としたステージがサビで一気に明るくなると同時に非常に晴れやかな気持ちになった。最後のサビ前に卓郎さんがまっすぐ上に伸ばした腕を思いっきり振り下ろしたり、アウトロ前に和彦さんも思いっきり腕を上に伸ばしていたりと気合が滲み出ている様子も見えた。続いて名もなきヒーローへ。ライブアレンジのイントロはなく、スパッと曲に入る。勇ましい曲に合わせるかのように、青とピンクの照明が派手に点滅する。最後のサビに入る前、滝さんが勢いよく蹴りを入れるように動いていたのが記憶に残っている。特に今年、この曲の「生きのびて会いましょう」という一節に、どれほど助けられてきたか。それを噛み締めながら聴いた。
和彦さんが思いっきり腰を落としながら弾き、卓郎さんと滝さんが声を揃えて出だしを歌ったBlack Market Blues、卓郎さんが「Zepp KT Yokohamaに辿り着いたなら!!」と歌詞を変えていた。「迷える子羊たちが~」の部分では普段ベースを高く掲げる和彦さんが、この日はアンプと向かい合いノイズを出していた。この曲はトリビュートでa flood of circleがカバーしているのでセトリに入れられたのかもしれないな、とも思った。(演奏は原曲アレンジだったが)
「マジで大雨なの!?マジで大雨!?じゃああれが欲しい!!!」と卓郎さんが素晴らし過ぎる前フリを入れてからの、太陽が欲しいだけ!!ステージ上に置かれた円形の照明が輝き、太陽のような眩さでステージを照らした。卓郎さんがまっすぐな眼差しでこちらに向かって歌う。
「最後の曲です、また会いましょう!」の言葉からロング・グッドバイのイントロのタッピングへなだれ込むとスモークとレーザーがステージを派手に盛り上げる。太陽が欲しいだけからのロング・グッドバイという流れで、自分でも最早よく分からないほどに感情が昂ぶり、体が熱くなり、画面に釘付けになっていた。
演奏が終わると卓郎さんが晴れやかな笑顔で「ありがとうございました!」と言う間に滝さんが退場、続いて和彦さん、卓郎さんも退場し最後にかみじょうさんがひらひらと手を振りながら退場していった。

 

配信なのでこれで終わりかと思ったが、画面は変わらずステージを映す。アンコールまでやってくれるのか!
卓郎さんが拍手をしながらステージに戻ってくると、それに合わせて会場内のスタッフさんも拍手をしていた。
「アンコールありがとうございます。9mm Parabellum Bullet Presents “白夜の百年”ご覧頂きありがとうございました!何が起こるか分からない世の中ではありますが…そんなの早く終わるぜ!と無責任なことも言えないですが、こうやって音楽を皆さんのところに届けたい、というかおれたちは演奏がしたい!バンドだから!と思っているので、皆さんに会えるのを楽しみにしています。」
アーカイブが残るとはいえ今日観てくれた皆さん本当にありがとう、と視聴者に感謝の言葉を述べ、続けて先程ゲストで出演してくれたメルテンさん、チャランポの2人、ホリエさんにももう一度感謝を伝える卓郎さん。
「またツアーとかやるぜ、おれたちは絶対やるぜ、と思っているので皆さんも絶対、会いましょう。今日は本当にありがとうございました。」
「アンコールも4人で演奏します!」「いけるかー!!!」からカオス音を思いっきり叩き付けたLovecall From The Worldは卓郎さんと滝さんが2人で歌い、和彦さんがありったけの気合を込めてシャウト、かみじょうさんは冷静に叩き続ける。一瞬の静寂を経てこの日最後の曲、凄まじいキレの爆速Punishmentへ。間奏で滝さんとともに手拍子をしながら、暴れ倒す滝さんを観ながら、歌いながら、あの暴風のような演奏の中で、卓郎さんが何度も笑顔を見せていた。

 

演奏が終わるとやはり真っ先に退場していった滝さんの背中が映った。いつものようにフロアに向かって丁寧にお辞儀をする卓郎さんが続いて退場。和彦さんの姿は既にステージから消えていた。最後まで残っていたかみじょうさんがゆっくり歩きながら手を振り、すまし顔のままこちらに向かって投げキッスをしてステージから去っていった。

 


前半のトークも入れると2時間半を大幅に超えた配信だった。セトリはアンコールも含めると20曲で、今回の編成をまとめると、
最初の(teenage)Disaster、Lost!!、Vampiregirl、The Revolutionaryは4人編成。
光の雨が降る夜に、エレヴェーターに乗って、Keywordは武田さんを入れた5人編成。
白夜の日々、ロードムービーCalm Downは爲川さんを入れた5人編成。
ガラスの街のアリスは和彦さん、かみじょうさん、メルテンさんによるピアノトリオ。
ハートに火をつけては9mmの4人と爲川さん、チャラン・ポ・ランタンの7人編成。
カモメは9mmの4人と爲川さん、ホリエさんの6人編成。
Answer And Answer、名もなきヒーロー、Black Market Blues、太陽が欲しいだけ、ロング・グッドバイ、そしてアンコールのLovecall From The World、Punishmentは再び4人編成。
武田さんも爲川さんも参加、ゲストが3組、そして20曲中11曲を4人だけで演奏、と“9mmの日”ならではの盛りだくさんの内容だった。
今年に入ってから4人で演奏する曲数が大幅に増えていて、再び4人で長い時間演奏できる9mmを観られるようになったことが本当に嬉しくて堪らない。滝さんが雑誌のインタビューでも言っていたが、今は4人でもライブがしたい、できそうな気がするというモードだという。だからといって完全復活だ!!と区切りをつけるつもりは無いそうなので、こちらも4人の9mmも5人の9mmも観られて楽しいな、というフラットな気持ちで観続けていこうと思う。


卓郎さんがMCで「レア曲縛りもやりたい」と言っていたが、今回のように4人、4人+武田さん、4人+爲川さんと一度のライブで3編成組めば充分実現可能なんじゃないか、と考えると期待が膨らむ。
大好きなもの、楽しみにしていたことを悉く奪われてきた2020年。でも2020年の“9mmの日”も「楽しみ!」という気持ちで迎えられ、「楽しかった!!」という気持ちで終わることが出来た。今年の9月9日も最高に良い1日だった。