最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20200115/KEYTALK“モルタルレコード presents“SLIP INTO THE 20th YEAR”北浦和KYARA閉店公演『realにあの日に戻れる〜バック・トゥ・ザ・フューチャーチャレンジ〜』”@北浦和KYARA

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1月で閉店してしまう北浦和KYARAにて、KEYTALKのワンマン。ライブのタイトルからKEYTALKの前身バンドrealKEYTALKの初期曲を聴けるのではないか、という期待。


出遅れて開演の少し前にフロアに到着、上手後方にて待機。キャパ170ほどと聞いていたKYARA、キャパに対してステージが高く、後方からでも見やすそうだった。ほぼ定刻に暗転すると「物販」が流れ4人が登場。ステージ前方にお立ち台があったのか?4人の顔がよく見える。びっくりするほど近い!!


Oh!En!Ka

ララ・ラプソディー

YURAMEKI SUMMER

view

MATSURI BAYASHI

パラレル

sympathy

blue moon light

a leaf

旋律の迷宮

MURASAKI

a picture book

アーカンザス

ナンバーブレイン

夕映えの街、今


1曲目はOh!En!Ka、割と新しい曲ではあるが自分はしばらくライブでは聴いていなかったため、いきなり嬉しい選曲。続いて昨夏の新曲ララ・ラプソディー、そしてお馴染みYURAMEKI SUMMER。最後のブロックでは武正さんがアドリブを入れまくっていた。やはり驚くほど表情がよく見えるほど近い。早くもフロアに投げていたピックの軌道もよく見えた。


曲が終わると武正さんと八木君が何故か「ありがとうございます!」を連発、「どちらがありがとうございますを多く言えるか」勝負を突然始めつつここでMC。今回の主催、モルタルレコード山崎さんはKEYTALKがかつてパンク系のイベントに出た時に観に来ていてダイブしたりしていたらしい。かつて山崎さんとご飯を食べに行った時に、ハンバーグが来る前に200gのライスを平らげてしまってびっくりした(ちなみに塩で)というエピソードが語られた。その食べ方埼玉式?と巨匠が尋ねると義勝さんと武正さんが俺等も埼玉だけどと返していたような。


ここまでは意外と最近の曲が続いたな、と思いながら聴いていたが「そろそろrealになりますか、まずは1曲だけ」という感じのひと言から、KEYTALKの楽曲ではない曲が演奏される。realの曲、view。初期KEYTALKを彷彿とさせるフュージョン的な曲は、サビに入るといきなりテンポが早くなるというなかなかトリッキーな曲。

これに続くのがど定番曲のMATSURI BAYASHI、聴き慣れたこの曲も小箱だとガラッと印象が変わる。普段よりメロディーの美しさとほんの僅かに浮かぶ哀愁が際立つ。小さな空間いっぱいに、普段通り赤と白の照明が広がっていた。言わずもがなviewと曲調はかなり違うが、この2曲のメロディーを並べて聴いても全く違和感がない。間奏では武正さんがorange and cool soundsのリフと思しきメロディーを弾いていたような気がした。その勢いのままパラレル、そしてsympathyへ。どちらも普段のライブではたまに聴ける曲だが、特にSUGAR TITLEの曲であるsympathyをこういうコンセプトのライブで聴けることは、普段とはまた違った嬉しさがある。


ここで、real時代にはメインボーカルが武正さんでコーラスを八木君がやっていたこともあるという話が出てくる。しかし後に巨匠が歌った時に“こんなにいいメロディーだったんだ”と思ったらしい。(八木氏コーラス上手いんですよ的な話も)武正さんが1番だけ歌うと言いながら客に拍手と歓声を求め、巻き起こった大歓声からのblue moon light、武正さんがステージ前方まで出てきて表情豊かに、途中で歌詞を飛ばしながらも1番を歌う。サビでは八木君がコーラス。今となってはかなりレアな光景2番でボーカルを巨匠、コーラスを義勝さんにバトンタッチ。武正さん&八木君のどこかやんちゃで元気な歌声も好きだなと思いながら聴いていたが巨匠が歌い始めると「巨匠歌上手いなぁ!!」とつい頭の中で呟いてしまった。2番に入る前に巨匠が若干何かを確認するような表情を浮かべているように見えた。次も初期の曲a leaf、歌ったのは巨匠!!KEYTALKだと歌っているのは義勝さんである。これもrealバージョンということか

それに続いたのがKEYTALKの中でも最も新しくリリースされた曲、旋律の迷宮。あくまで個人の感想ではあるけれど、初期曲と最新曲、アルバム単位で間を空けて聴くとKEYTALK結構曲調が変わってきたな、という印象が少なからずあるが曲単位だとやはり違和感なく、とても心地よく繋がるような感覚があった。旋律の迷宮がどちらかというと非常にメロウなメロディーだから、というのもあるかもしれないが。

一際歓声が上がっていたMURASAKI、メジャー曲だけれど最近あまりライブで聴けていなかったような気がして、これも嬉しい選曲。


このあたりで話が出たが、この日のセトリを考えたのは八木君だという。その紹介を受け「次の曲で歓声がブーイングになるかもしれません」と言い始める八木君。それを受け、武正さんが「次の曲はラストクリスマス」と続けると時期がずれてるとか、2ビートでやるとか、それだとモルタル山崎さんが飛んじゃうからダメだとか、しばらくふたりで喋り続ける。


まだまだいけますかー!!!と武正さんが煽ってからa picture book。緑色の細かいレーザーのような照明が大変綺麗だった…KYARA、予想以上に照明の美しい箱だった。

そこからアーカンザス。ここまで後半はインディー時代〜メジャー初期の曲が続く。原曲よりキーを1音上げたアーカンザスを巨匠が朗々とした歌声で頼もしく歌い上げる様が堪らなくかっこいい。いよいよ勢いが止まらず最高潮に盛り上がるフロアに投下されたのはナンバーブレイン!!そして最後に巨匠が「アンコールはやりません!最後の曲!!」と言って演奏された夕映えの街、今。灼熱の空間に激しいモッシュが巻き起こり次々と人が飛んでいく。ナンバーブレインからの夕映え、KEYTALKの剥き出しの熱さが炸裂する、大好きな曲をこんなに激しい空間で観られるとは!!ともみくちゃになりながら、最高に嬉しい気持ちでこの光景を見届けた。



MC2回ほど挟んでいたが、その間KEYTALKKYARAの思い出話が途切れることなく出てきていた。あまりにも出てきた話が多かったので以下覚えているだけメモ。


今回このような内容のワンマンを開催したが、実は出ていたのは移転前のKYARAであり移転後の現在のKYARAには初めて出たらしく、この場所自体にはあまり思い入れがないらしい。


real時代のMC再現もあり、武正さんがボサノヴァ的メロディーをクリーンサウンドで弾いているところで八木君が現在のテンションとは真逆の淡々とした口調で「次回のライブは明日渋谷クアトロです」などと喋る。義勝さん加入前にKYARAでライブしていた頃はベースを先輩に弾いてもらいながらMCでメンバー募集をしていたらしく、義勝さんはそれをきっかけに加入したがこのやりとりを聞きながら「どうかしてる……」と呟いていた。それが20061226日、だと。

real時代は曲をMDに録っていて、それを加入前の義勝さんにMDで音源あげたという話もあったか。あとからベースの音を入れて返したりしていたという話も。それからrealのホームページのキリ番を踏んだ義勝さんがその際にコメントを残したという話。(かつてはHPのアクセス数で一定のキリのいい番号を踏むとコメントが残せるというシステムがあった)MDキリ番のくだりではこの話が分かる人がある一定以上の年齢だと想定できるためにフロアに向かって「こちら側の人間」とか「ババア!」などといじり倒していた。別のくだりで「可愛い声」を出した八木君に向かって「(31)」と年齢を言っていじっていた。


KYARAは楽屋にファミコンがあり、もうそれができなくなってしまうという話から巨匠はロックマンXが上手い、それを八木氏が隣でずっと見てる(昔そういう、ゲームやってるところをずっと見てる友達いたよねという話もあった)巨匠のゲーム見ている間の八木君の反応がいいから、ゲーム実況でもやったらいいんじゃないか、と。是非やってください!!


さっき演奏したview、実はあの曲がきっかけでKEYTALKKOGA RECORDSに入った、という話。から「今日、古閑いなくね?」「そこに鳴るがライブなんじゃないの?」「最近そこに鳴る にハマってるから」と古閑さんいじりに変わる。


何のくだりだったか忘れてしまったが、武正さんが「今日はMONSTER DANCEはやりません!!」と宣言すると義勝さんが「今ので50人くらい帰っちゃうよ」と返したり、高校生の時に武正さんと義勝さんが大宮駅の真ん中にある「まめの木」でずっと喋ってて、話している間に改札にどんどん近付いていってその流れで解散する話、など細かいエピソードも次々と出てきていた。

普段からMCでは仲良く喋っている4人だがこの日は特に、時間の制約がなければもっと終わりが見えないくらいに思い出話が出てきただろうな、というくらいに話が止まらなかった。自分の位置からは義勝さんが一番見えていたが、MC中終始リラックスしたような穏やかな表情で武正さんや八木君の話を聞いていた。



ライブのタイトル的にセトリはほぼreal期とインディー時代の曲で構成されるのかなと思いきやメジャー初期の曲に最新曲まで、KEYTALKの歴史の中から満遍なく持ってきたようないいとこ取りのようなセトリだった。繰り返しになるが曲調の全く違う初期曲と最新曲を並べても全然違和感がないのは流石だなと、今更ながら改めて驚嘆しながら聴いていたので、特にa leafから旋律の迷宮、という流れは大変貴重で有難いものだった。

real時代とTIMES SQUARE期はまだKEYTALKを知らず、SUGAR TITLEからリアルタイムで聴いてはいたもののその当時はなかなかライブに行けなかったので、数年経って遂にKYARArealKEYTALK初期の曲を聴けた嬉しさに浸りながら、終始ライブを観ていた。


自分は今までKYARAに行ったことがなかった。だからこの日が最初で最後のKYARAだった。駅から近くて、入口では着ぐるみを着た陽気なお兄さんが迎えてくださり、クロークやドリンクでも優しく対応してくださるスタッフさんがいて、ステージが高めで照明も綺麗という居心地のいい箱だった。何で今まで来なかったんだろうかと後悔するくらいには好きな箱になってしまった。もう閉店してしまうのに。

最後の最後にKEYTALKKYARAとの縁を繋いでくれた。それが今回一番嬉しかったことだった。

ありがとうございました。


20191130/9mm Parabellum Bullet“FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019”@Zepp Tokyo

 

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アルバム「DEEP BLUE」リリースツアー、ファイナル。

約2ヶ月、全部で10公演。滝さん復帰以降では最も長いツアーだった。自分は11月開催の公演しか観ていないからというのもあるかもしれないが、やはりあっという間にファイナルまで来てしまった。

この日はフロアの様子を見て、2柵目中央あたりを選んだ。ツアー中で初めて1階のほぼ中央から観る。開演前の自分の視界には卓郎さんのマイクスタンドとアンプ、ドラムセット・PHXが見える。前日にも2階席から観ていて気付いたが、この日もPHXがステージ中心からバスドラ1個分くらい左寄りに置かれていた。

チケットが完売していた日だったこともあり、開演15分前にはフロアの見える範囲は満員という様子だった。開演が若干押していて、開演時刻である18時からアナウンスが流れ始めた。「映像収録用のカメラが入っています」のひと言に期待が膨らむ。周りからも歓声が上がり、アナウンスが終わると早くも拍手が起こっていた。

定刻を5分ほど過ぎたところで場内が暗転。Digital Hardcoreと大歓声が響く中、前日と同じく左右からスポットライトの点滅を浴び、15周年仕様の巨大な双頭の鷲がステージに現れた。 

 

DEEP BLUE

名もなきヒーロー

The Revolutionary

太陽が欲しいだけ

Getting Better

Scarlet Shoes

反逆のマーチ

The Revenge of Surf Queen

Beautiful Dreamer

君は桜

Calm down

Ice Cream

夏が続くから

Mantra

ロング・グッドバイ

Black Market Blues

新しい光

Carry On 

 

いつまでも

Punishment  

 

この日もDEEP BLUEからライブが始まる。自分の真正面に卓郎さんがいた。かみじょうさんは卓郎さんの影に隠れている、滝さんは何となく見える、という感じの視界。真ん中で観ていたので当たり前ではあるが、上手や下手で観ていた時よりもドラムの音が目立つので、サビ前の三連符が真っ直ぐに自分の体を突き刺すような感覚が心地良かった。卓郎さんが歌いながらフロアのあちこちに視線を移している様子がよく分かる。

かみじょうさんが演奏を繋げ、滝さんがギターのペグとナットの間を搔き鳴らし、ライブアレンジのイントロに入った名もなきヒーロー。前日に2階席で観ていた青とピンクの照明が左右対称に交差する様子は、下から見上げるとバックドロップの双頭の鷲を囲むように見えた。サビの「また明日」の部分でいきなり真っ赤になる照明はバックドロップ下のLED横照明の光が強いため、2階席より1階で観ている方がインパクトが強かった。最後のサビ前で滝さんがギターのボディを叩いて手拍子を煽っていた。そして最後のサビ、滝さんが音源通りにピックスクラッチを入れていたがツアー前にはやっていなかった気がする。自分が気付かなかっただけで、このツアーから導入されていたのかもしれない。

続いてはThe Revolutionary、眩しい白い照明が卓郎さん達を包む。間奏では卓郎さんと滝さんがお立ち台に上りツインリードを弾く間に和彦さんと爲川さんがかみじょうさんの前で向かい合って弾き、ふたりでタイミングを合わせて同時に各々の定位置に戻っていった。

ステージが純白から目の覚めるような赤へ、滝さんの爆速ピッキングから太陽が欲しいだけ!「さあ両手を広げてすべてを受け止めろ」と卓郎さんが歌うとフロアにいる多くの客が両手を高く上げる。赤い空間に無数の手が上がり、それ越しに白いシャツを着た卓郎さんが見える。歌い切ると卓郎さんも両腕を大きく広げ、その様子が無数の手の隙間から見えた。 

 

演奏が終わるとフロアから5人の名前を呼ぶたくさんの声が飛んでくる。誰かが「裕也!」と言った後に何故か少しだけ笑いが起こっていた。すると卓郎さんが、「何で裕也を呼ぶと笑うの?」とその様子を拾っていた。

 

 次の曲はGetting Better、和彦さんが赤いスポットライトを浴びながら歪んだベースの音を響かせ、続けて滝さんが軽快なタッピングを披露。この部分の切り替わりは個人的にとても好きなところ。「まだ良くなる きっと良くなる もっと良くなるさ」という歌詞には実は若干皮肉な意味も込められているとインタビューで読んだが、ステージ上で生き生きとした演奏と歌声を響かせる5人を観ていると、ひたすら真っ直ぐな頼もしい歌に聴こえる。

引き続き赤いステージのScarlet Shoes、歌い出した卓郎さんの何気ない仕草にエレガントさがあり、曲の雰囲気にとても合っていた。間奏では滝さんが音源通りオートワウを踏んでいただろうか、小気味よいリズムに揺れていたフロアが、まったりとしたリズムに変わる間奏では音に聴き入るように動きが止まっていたのが、フロアも曲と一体化していたようでとても気持ちが良かった。

そのままカウントで繋ぎ反逆のマーチへ。やっぱりこの曲の滝さんは序盤の間で一番動きが大きいような気がして、特に弾くのが楽しい曲なのだろうか、と思いながら観ていた。この日も3連続で赤を基調とした照明の曲が並んだ。

演奏が終わり少し明るさを落としたステージがここで青色に変わり、The Revenge of Surf Queenへ。曲調的にフロアの熱気が一旦おさまったからという理由もあると思うが、空間がすっきりとした青に包まれ一気に体感温度が下がったような気がした。間奏に当たる部分をお立ち台で弾きまくっていた滝さんが、アドリブでクロマチックランを入れ卓郎さんと一緒にテケテケと音を出していた。何年もライブで聴けなかった曲がツアー後半で立て続けに聴けるようになったのは本当に嬉しいこと。

 

僅かに静まり返る空間に少しずつ音が放たれ段々と重厚な演奏へと変わってゆくBeautiful Dreamer、全体的に煌びやかな青を基調とした照明だったが、和彦さんがシャウトする瞬間だけステージが燃え上がるような赤で埋め尽くされる演出は、このツアーの中でもかなり印象に残る、屈指の名演出だった。フロアから9mm自身に向けて「You’re Beautiful Dreamer!!」という一節を投げかけられることによって、遂にこの曲が本当の意味で完成したのではないか…と考えながら、ステージに向かって声を上げた。

春の青空のような照明が瑞々しい君は桜、確かこの曲だったと思うが序盤で滝さんが拍を確認するかのようにかみじょうさんの方を窺っている様子が見えた。ストレートなリズムから開放感のあるサビに入った瞬間にステージが薄紫のような、桜色のような色になる瞬間と最後のサビ、「花ひらいた君は桜」と歌う卓郎さんを桜色のスポットライトが照らす瞬間は何度観ても心を奪われる光景だった。

音が止まると卓郎さんが退場、ツアー中盤からセトリに入れられている和彦さん、滝さん、かみじょうさん、爲川さんによるインストナンバー・Calm down が始まる。始めは4人が静かに演奏する穏やかなメロディーに合わせるかのように淡い青の照明、徐々に演奏が激しさを増してくるとステージを赤と青の照明が縦に二分し、そのまま終盤ではかなりの音圧を叩きつけ、4人の動きも大きくなる。カオス音が空間を塗り潰す頃には滝さんと和彦さんが鬼気迫る暴れっぷりを見せ、最後の一音で照明が赤一色に変わる。“Calm down ”には静まる、や落ち着く、といった意味があるらしいが、序盤はそんな印象もあったものの最後には“Calm down ”とは真逆の演奏が繰り広げられていた。ツアー中盤で卓郎さんの喉に不調が出た後からライブでやり始めたとのことなので、タイトルの意味はもしかしたら演奏中に卓郎さんの調子を落ち着かせる、というところから来ているのかもしれない。

卓郎さんが再びステージへ戻ってくると不穏な雰囲気からIce Creamへ、今度はステージを赤と青の照明が横に二分するような配色。サビでは滝さんのファルセットがとても綺麗に響いていた。ドラムをほぼ正面から聴いていたからか、「もう このまま 眠ってしまえ」の部分で段々と大きくなっていくドラムの音が上手や下手で聴いていた時よりも際立って聴こえた。大変抽象的な歌詞なので、捉え方は人によってかなり変わる曲だと思っているが、音源で聴くよりもかなりヘビーな印象と個人的な歌詞の解釈から、僅かにBABELの面影を感じた気がした。

そんな雰囲気から一転、卓郎さんの歯切れの良いアコギの音から爽やかな白い照明へと変わる、夏が続くから。この曲もドラムのほぼ正面から聴いていたからか、上手で聴いていた時よりもバスドラの音が重たく、どっしりとしたリズムが目立って聴こえた。アルバムの中でこの曲が一番、フロアのどの場所で聴くかによって印象が大きく変わる曲だった。間奏では青い空間の中、滝さんがエレガットを歪ませアルバムの中でも随一の情熱的なソロをかなりの熱量で弾く。その姿とメロディーの美しさは何度観ても強く心を揺さぶられる。

 

ここでまた卓郎さんが話し始めるアルバムのテーマ、“一生青春”について。(CDに貼ってあるシールにも書いてあるけど…と言いながら指で丸を作っていた)“一生青春”とは、ワーワーキャーキャー、チャラチャラしていることではなくて青を塗り重ねて、その他の色も混ざりあって…でも黒くなるのではなくて深い青になっていく、ということ。そしたら“一生青春”と言えるのではないか、と。

次の曲について客に叫んで欲しいものとしてこれまで「嫌いな人の名前」「好きな人の名前」「好きな食べ物の名前」「自分だけのマントラ」など色々なものを挙げていた卓郎さん、この日は「好きな曲」「好きな土地」と「好きなチーズの名前」が入っていた。3秒あげるから考えて!と卓郎さんが言うと滝さんがギターでカウントを始め、3秒目にはかみじょうさんが音を一発鳴らすというファインプレー。

 

卓郎さんの「いけるかーー!!」からMantra!この曲はどちらかというと歌詞にも大きな意味がある訳でもなく、軽い気持ちで聴けるポジションの曲であるようだが、滝さんが大きく口を開けて顔を歪ませながらありったけの声で「終わってたまるか」と叫んでいたその様子がとても切実な、心の底から叫んでいる様子に見えてその気迫を目の当たりにした時には思わず込み上げるものがあった。最後は卓郎さんと滝さんが声をそろえて「なんとかなんのか!!!」

その勢いのまま滝さんのタッピング、ロング・グッドバイへ。赤のイメージである「BABEL」曲のロング・グッドバイが、青がテーマカラーの「DEEP BLUE」曲と同じ青い照明に彩られる演出は、一見正反対に思えるようなこの2枚のアルバムを繋いでいるようにも見えた。これもツアー中でとても好きな演出のひとつ、後のサビ前で滝さんが勢いよくペグとナットの間を鳴らすあの瞬間にスポットライトが一斉に滝さんを照らす。

いよいよ終盤というところでフロアが爆発的に盛り上がるBlack Market Blues、卓郎さんが「Zepp Tokyoに辿り着いたなら!!」と歌う。それに続く新しい光、この日も1サビ後に卓郎さんと滝さんがお立ち台へ、和彦さんと爲川さんがかみじょうさんの前まで出てくるという美しいフォーメーションを見せる。最後のサビ、一瞬静かになる演奏の中でフロアでは大合唱、前日に2階席で聴いていた時にはそれがとても優しい歌声に聴こえていたがいつものように1階で聴く力強さの方が際立っていた。

本編最後の曲、Carry On。卓郎さんが「声を聞かせてくれーー!」と叫べば大歓声と無数の拳がフロアから上がる。滝さんが最後の「いつか鼓動が」をとびきり大きな歌声で歌い、最後の音を卓郎さんの「過去も未来も追い越すまで」にすっかり被るくらい長く伸ばし続けていた。 

 

本編が終わり、滝さんと爲川さんが退場、その後に卓郎さんと和彦さんがフロアに挨拶してから退場。かみじょうさんがドラムセットの後ろから出てくると、どこから持ってきたのかティッシュを手にしていて、ステージ上で鼻をかむとそれをフロアに投げようとしていた。(本当に投げたのかは見えなかったので不明)

 

5人がステージを去り、しばらくアンコールの手拍子が続くと再びフロアが明るくなり、卓郎さんがひとりで出てくる。

前日にも告げた、2020年3月17日に開催する“カオスの百年vol.13”について。平日の開催になることに触れ、理由を「3月17日は9mmの結成記念日……という疑いのある日」「正しくは始めて4人でスタジオに入ったとされる日」と説明。

来年は今年よりもライブをします、色々な場所に行ってライブをします、と話し始めた卓郎さん。メンバーの地元、山形、長野、茨城、仙台…そして「裕也は神戸だね」としっかり紹介。ということは来年は5人の地元でもライブをやるのだろうか。その話に続けて、「今は東京に住んでいるから、東京はホームなんだ」と言う卓郎さん。

 

個人的な話になってしまうが、卓郎さんのこのひと言が、東京生まれ東京育ち東京在住である自分には嬉しくて堪らない一言だった。9mmは結成地=バンドのホームは横浜であり、各メンバーの出身地も卓郎さんが言っていた通り東京ではない。現在は東京を拠点にしているとはいえ、東京はホームではないから9mmを東京の地で「おかえりなさい」という気持ちで迎える訳にはいかないと思っていた。でも卓郎さんは東京のことも“ホーム”の仲間入りさせてくれた。卓郎さんはこの日のライブ中に何度も何度も「東京!」と言っていて、どの曲で言っていたのかを覚えきれないくらいたくさん言ってくれていた。それもずっと嬉しく思いながら聴いていた。これからは「おかえりなさい」という気持ちで迎えさせてください。

 

アンコール1曲目はいつまでも、歌い始める前に卓郎さんが柔らかい表情で笑っているのが見えた。卓郎さんの声がずっと、数週間前の喉の不調を感じさせないほど伸びやかに響いていた。

この日の、そしてこのツアー最後の曲、Punishment。滝さんによるクリーンなギターの音が聴こえるとフロアから歓喜の声が漏れる。曲の速さを視覚でも表すかのように白い照明が高速で回転していた。アウトロで卓郎さんが定位置から動いたためかみじょうさんの姿が見えた。普段澄まし顔や真剣な表情で演奏していることの多いかみじょうさんが、笑顔を浮かべていた。

 

全ての曲が終わり、滝さんと爲川さんはやはり真っ先に退場。和彦さんと卓郎さんはいつものように下手と上手を行ったり来たり、丁寧に挨拶。かみじょうさんが下手から上手側に向かって投げたスティックが勢いよく自分の頭上を飛んで行った。最後に卓郎さんがステージ中央で万歳三唱をしたが、万歳を1回する度に笑みがこぼれていた、というより完全に笑ってしまっていた。そんな表情を見せる程、卓郎さんも楽しい気持ちでいるのかと思うとこちらもとても嬉しくなる。最後にマイクを通して話し始める卓郎さん。

「みんなのおかげでツアーを終えることができました。」

「それぞれの会場に来てくれたみんなを代表して、東京のみんなに受け止めてもらおうと思います。」

「ありがとうございました!」

 

 

これで“FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019”全公演が無事、終了した。

この日のMCで卓郎さんが爲川さんを「全公演、熱烈サポートしてくれた」と紹介していた通りで、DEEP BLUEの曲たちを始めレア曲Scarlet ShoesもThe Revenge of Surf Queenも、突然のインストナンバーCalm downも見事弾き切りサポートを完走した。どの日も基本的には定位置の上手端で楽しそうに歌詞を口ずさみ、モニターに足を掛けて勢いをつけ、ギターのネックと素敵な笑顔でフロアを撃ち抜いていた。 

卓郎さんはツアー中盤で喉の不調が出てしまっていたが、無事にツアーファイナルを迎えることができた。滝さんはずっと調子が良さそうに見えた。ファイナルでもとても元気いっぱいで、卓郎さんとかみじょうさんの間まで出ては卓郎さんの後ろで拳を振り上げる場面もあった。 

このツアーで導入された、バックドロップ下に設置されたLEDの横一列の照明がかなり目を惹くもので、とにかく美しかった。色を変え向きを変え自在に点滅し、ステージの下半分を紗幕のような光で覆ったり、バックドロップに模様を描いたり、波を出現させたり、ステージを真っ赤に燃え上がらせたり、特定の誰かを照らし出したり。今後のライブでもこの照明は使われるのだろうか。

 

ライブを観ている途中で気が付いたが、結成15周年仕様の特別なバックドロップはこの日が見納めだったのではないかと。思えば3月17日の札幌から始まりこの日まで色々なところでこのバックドロップを見てきた。これが年内最後のワンマンであり、12月はライブハウスのイベントやフェスへの出演はあるが、バックドロップが使われる可能性は低い。それに気付いたらとても名残惜しくなってしまい、終演後もしばらくフロアの中央で真紅の“ⅩⅤ”を背負った巨大な双頭の鷲を眺めていた。

 

今回のツアー、自分の観た公演では全て、アンコールを除くとDEEP BLUEの「君を抱いて暗闇の向こうまで突き抜けたいのさ」で始まり、Carry Onの「君をかならず連れて行くよ」で終わるセトリだった。だから「DEEP BLUE」というアルバムはそれを言うためのアルバムであり、このツアーはそれを各地で言って回るためのツアーだったんだな、と思った。「あっけなく終わりにしたくない」「終わってたまるか」という一節も心に深く突き刺さるものだった。

これでツアーが終わり記念すべき15周年ももうすぐ終わろうとしているが、卓郎さんが「青を塗り重ねて深い青になっていくこと=“一生”青春」だと言っているように、9mmはこれからもバンドを続け、青を塗り重ねていく。去年のツアーでも9mmがバンドを続けるための新しい在り方を提示しているんだな、という印象を受けたが、やはり一度はバンドが止まってしまうかもしれない状況があっただけに、節目の年に「DEEP BLUE」というアルバムが生まれたこと、そして「来年は今年より盛りだくさん」という卓郎さんのひと事から、ずっと9mmは続いていくんだな、という更に先への期待と楽しみがあることが嬉しくて堪らない。「DEEP BLUE」と共に、“一生青春”という言葉と共に、ずっと青を塗り重ねていきたい。

20191129/9mm Parabellum Bullet“FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019”@Zepp Tokyo

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アルバム「DEEP BLUE」リリースツアー9本目!東京2days初日。

この日は2階席を取った。9mmをZeppの2階席で観るのは初めて。何となくずっと1階で観ていたが、折角の東京2daysなので片方を2階席にしても良いのではと思ったため。

 

席に到着したのは開演時刻の数分前。着席してしばらくするとすぐに場内が暗転。

Digital Hardcoreが鳴り響く中、交互に点滅する左右のスポットライトと大歓声を浴びながら15周年仕様のバックドロップが下からゆっくりと上がってくる。ステージに現れる巨大な双頭の鷲は、2階席最後列にいる自分とちょうど目が合うくらいの高さだった。

 

DEEP BLUE

名もなきヒーロー

Discommunication

太陽が欲しいだけ

Getting Better

Scarlet Shoes

反逆のマーチ

The Revenge of Surf Queen

Beautiful Dreamer

君は桜

Calm down

Ice Cream

夏が続くから

Mantra

ロング・グッドバイ

ハートに火をつけて

新しい光

Carry On

 

いつまでも

Punishment

 

この日もバックドロップの下あたりに長い横一列のLED照明が用意されていた。1曲目、滝さんがひとりでギターを弾き始めた瞬間に、その横照明が滝さんの後ろだけ光り、滝さんの姿を浮かび上がらせる。1階で観ていた時には全く気付かなかった。こんな使い方が出来るのか…!!といきなり美しい瞬間から始まったDEEP BLUE。澄んだ水色に包まれるステージを、2階席だと隅々まで視界におさめることができる。

2階席のほぼど真ん中の見晴らしの良さに感激している間に次の曲、かみじょうさんがスティックをくるりとひと回ししながら叩くと徐々に4人の音が重なっていく。その間、滝さんが何度もギターのペグとナットの間を鳴らしていた。ライブアレンジのイントロから名もなきヒーローへ。青とピンクのスポットライトが、こちらから観るとかみじょうさんと卓郎さんの間あたりで交差するように線を描いていた。サビも青とピンクの照明が交差していたが、卓郎さんが「また明日」と歌い切った瞬間に全ての照明が赤に変わりスポットライトがフロアをなぞるように縦に動く。間奏では滝さんがギターのボディを叩きながら手拍子を煽っていた。

続いてはDiscommunication、普段から青や赤の照明が多い9mm、今回はそれが特に顕著な気がしたがこの曲では黄緑の照明がとてもよく映える。次の曲、滝さんの爆速ピッキングから太陽が欲しいだけ!自分が観た中ではこのツアーで初めてセトリ入りしたのでイントロで思わず歓声を上げてしまった。燃え上がる太陽を表すかのように赤い照明がステージを包んでいたが「ツキに見放されて 流れ星は消えた それでも最後には笑え」の部分では、ステージ下半分は青く、上半分は赤く、ステージに鮮烈な夜明け空を描き出すようだった。

 

卓郎さんがフロアに「東京!」と元気に呼びかける。東京、よく来たね!とも。

続けて、このツアーの中で色々と実験をしてきたけれど、“まだ良くなる”、“もっと良くなる”…

 

と前置きしてから始まったGetting Better、和彦さんがステージの前方へ出てきて歪んだベースを鳴らす。その瞬間、ステージ全体が青くなる中で和彦さんだけを赤いスポットライトが照らす、という演出で和彦さん渾身の見せ場を盛り上げていた。曲中で一度「東京!!」と卓郎さんが叫んでいたような。

次はScarlet Shoes、最初のサビ後のドラムだけになる僅かな瞬間にかみじょうさんが一際明るく照らされていて、かみじょうさんの見せ場をしっかりと目立たせていた。間奏で滝さんが弾くゆらゆらとしたフレーズに合わせるかのようにバックドロップを赤と青の斑に色付けていた照明が不穏な雰囲気を作り出していた。

カウントから間髪入れずに反逆のマーチへ。毎回この曲では滝さんの動きが序盤の他の曲よりも大きいような気がするな、と思いながら観ていた。「戦ってるんだろ“東京”のみんなも!!」と歌う卓郎さん。

3曲続けて赤を基調とした照明だったが、一度ステージが薄暗くなり、滝さんが次の曲が何となく予想できるような音を出し始め、そのままThe Revenge of Surf Queenへ。一転して爽やかな青い照明がステージいっぱいに広がる中、曲調に合わせるように控えめな動きで演奏する5人。サビにあたる部分では滝さんがギターを歪ませお立ち台へ。間奏のような部分ではお立ち台に乗った滝さんが更に動きを大きくしながら弾いてゆく。その間に下手では和彦さんがモニターに座り足を伸ばし、リラックスしたような様子でベースを弾いていた。バックドロップ下の横照明は濃淡をつけてウェーブを描き、ステージに波を出現させていた。

 

卓郎さんが「東京」と優しい口調で語りかける。語り口は失念してしまったが、どんどん黒に近づくほどに青を塗り重ねる、そんな話だったかと思う。

 

そのひと言から始まったBeautiful Dreamer 、音源の印象とは比べ物にならないほど重厚な演奏が段々大きくなるにつれてステージも明るくなり、爆速感のあるメロディーになだれ込んだところで煌びやかな青が視界一面に広がる。サビ前、和彦さんのシャウトの瞬間に照明が赤に変わる。名もなきヒーローの時もそうだったが、ピンポイントなタイミングで入れられる赤が曲の見せ場をさらに目立たせる。

君は桜、最初は水色、そこから白が差し込むような照明。ピンクじゃないんだな、と思いつつ春の晴天と日差しを思わせる色合いが若々しさのあるこの曲にぴったりだった。サビではステージが淡い紫のような、桜色のような色へ。最後のサビ、「花ひらいた 君は桜」と卓郎さんが歌う直前に桜色のスポットライトが一斉に卓郎さんを照らした。最後の一音の後にかみじょうさんがシンバルを静かな手つきで止める。

君は桜 が終わり暗くなるステージ。卓郎さんが速やかにステージから退場し、ギターも下げられると滝さんが穏やかにギターを弾き始める。序盤はしばらく東洋的なまったりとしたメロディーが奏でられ、中盤から段々と演奏が激しくなり最後にはステージが青と赤に二分される中、思いっきりカオス音を叩きつける。距離が離れている2階席にいてもその迫力に言葉を失うほどの音圧だった。激暴れする和彦さんと滝さん、上手端から離れないまま、でも動きを大きくしていく爲川さん。最後の最後に滝さんがかみじょうさんの前、普段卓郎さんがいるあたりまで出て思いっきりギターのネックを振っていた。最後の音が鳴った瞬間に突然ステージが轟音で焼き尽くされたかのような真っ赤に変わり、音が止まるのとほぼ同時に暗くなった。これが、ツアー中盤から突如として現れたセッションパート、Calm downである。

 

卓郎さんが戻ってくると暗いステージにどろどろとした音が放たれる。「DEEP BLUE」の中でも異色の雰囲気を持つIce Creamが始まる。そんな不思議な雰囲気に浸りながら卓郎さんと滝さんによるツインリードの掛け合いを聴いていた。 バックドロップの双頭の鷲の体に、波形のような模様の照明が青や赤に色を変えながらずっと浮かび上がっていた。

卓郎さんがアコギ、滝さんがエレガットに持ち替える。卓郎さんのギターから夏が続くから へ。澄んだ白の照明とアコギ・エレガットの音色がとても合っていた。間奏前からは青い照明に変わった。どの公演でも同じことを思いながら聴いていたが、滝さんのギターソロがあまりにも情熱的で美しいメロディーなので、人はただただ「目の前に存在する音が美しいから」という理由だけでこんなにも心を掴まれるのかと毎回胸を打たれながら聴いていた。この曲を聴いていると自分でもうまく言葉にできないが、何かに焦がれる気持ちが沸々と湧いてくるような、不思議な気持ちになる。

 

このあたりだったか、滝さんがクリーンサウンドで静かにギターを弾き始める。何だか可愛らしいメロディーを弾いているとかみじょうさんがハイハットで合わせ始め、最終的にCメジャー調?のジャムセッションのようになっていた。その様子に卓郎さんが後で「セッションタイムが増えましたね…20年、30年続けていたらもっと増えるかもね!」と楽しそうに言っていた。

アルバムについて「みんながたくさん聴いてくれているのが分かる」と言ってくれたりもしていた。

また、アルバムのテーマである“一生青春”について改めて説明します、と。“一生青春”とは、ワーワーキャーキャーしていることではなくて青を塗り重ねていくこと、ここにいるみんなには伝わるってるかな、と。

そして次の曲について、客に叫んで欲しいものとして「嫌いな人、好きな人、好きな食べ物…自分だけのマントラ」と卓郎さんが言うと「マントラ」の部分で歓声が上がっていた。

 

卓郎さんの「いけるかーー!!!」の勢いのままMantra!赤いスポットライトが猛スピードで回転しながらステージとフロアに鋭い光を飛ばす。 最初の「終わってたまるか」のブロックでは卓郎さんはマイクから離れ、滝さんが思いっきり歌詞を叫び始める。中盤は和彦さん、滝さん、爲川さんが「終わってたまるか」を叫んでいたが、和彦さんは普段のシャウトのような叫び方ではなくはっきりと歌詞が聴こえるように叫んでいた。最後は卓郎さんと滝さんがふたり揃って「なんとかなんのか!!!!」

更にその勢いのまま滝さんのタッピングからロング・グッドバイへ!「僕には君がいれば何もいらなかった」と卓郎さんが歌う間に和彦さんが前に出てきて、オフマイクで思いっきり叫んでいた。その声はさすがに2階席までは届かなかったが、和彦さんがどれほどの力を込めて叫んでいたのかは視覚からはっきりと伝わってきた。そしてこの日も、最後のサビ前で滝さんが勢いよくペグとナットの間を鳴らすあの瞬間にスポットライトが一斉に滝さんを照らした。

再びステージが燃え上がるような赤に包まれたハートに火をつけて。間奏では和彦さん、卓郎さん、爲川さんが左にスライドする中ひとりお立ち台でソロを弾く滝さんが3人が移動するのと同じ方向にネックを振る。間奏後には卓郎さんが「手触りだけの“Zepp Tokyo”は」と歌っていた。最後のサビでも滝さんはお立ち台の上でかなりの熱量でギターを弾いていた。

毎回5人のサビ後のフォーメーションが美しいため、2階席でその様子をステージの上から観られるのを一番楽しみにしていた新しい光。2回目のサビだったと思うが、滝さんがお立ち台の上で一度大きく両手を広げた後、ギターで歌のメロディーを弾いていた。なかなか珍しいものが聴けたと大喜びしながらその様子を観ていた。その後の間奏では和彦さんと爲川さんが同時にかみじょうさんの前へ。卓郎さんと滝さんがお立ち台の上でギターを弾き、その後ろで和彦さんと爲川さんが向かい合い、中心にはかみじょうさんがいるという左右対称の美しいフォーメーション。4人がネックを上げると直後に和彦さんと爲川さんがまた同時にそれぞれの定位置に戻る。アウトロでは和彦さんと爲川さんがそれぞれ上手と下手の端まで出て行って、卓郎さんと滝さんは先程と同じ位置、そしてステージ奥の中心にはかみじょうさん、というフォーメーション。期待していたものが本当に観られた。見事な美しさだった。

今までに何度も何度もライブで聴いてきた新しい光。多くの客たちが出せる限りの歌声を響かせる最後のサビの部分、いつも1階にいるとそれがとても力強い歌声に聞こえていた。ところが2階席にいて下から聞こえてきた大合唱は普段と全然聞こえ方が違ったことにとても驚かされた。たくさんの人の色々な声が混ざって、ひとつの優しい歌声になっていた。あんなに優しい歌声が聞こえてくるとは思わなかった。眩い白い照明とクリーンな演奏の中で聞こえたその歌声は、思わず感極まるほど希望に満ち溢れたものだった。あの歌声を、きっと一生忘れないだろうなと思う。

本編最後の曲、Carry On。かみじょうさんが チャイナシンバルでカウントを3拍入れると、かみじょうさんの方を向いているように見えた滝さんがそれに合わせて片腕を振って拍を取っていた。青空のような澄んだ水色のステージに双頭の鷲が浮かんでいる、その光景は今思い出すとアルバムのジャケットを表しているかのよう、とも取れるものだった。かなり大きな声でコーラスをしていた滝さんが最後に一回転するように動いていたのが記憶に残っている。

 

5人が退場し、アンコールの手拍子が鳴り始める。自分の目線の高さと同じ位置にいる双頭の鷲を見ながら再び5人がステージに戻ってくるのを待つ。

しばらくするとステージが明るくなり、卓郎さんがひとりで出てきた。卓郎さんが話し始めたのは9mmの来年の活動について。「来年は今年よりも盛りだくさんです」と言いつつ、2020年3月17日に渋谷公会堂にてワンマンライブ“カオスの百年 vol.13”を開催することを告げた。(渋谷公会堂、現在は渋谷LINE CUBEって名前だっけ、という卓郎さんのひと言で渋公の名前がまた変わったことを初めて知った)そしてこれが9mmの来年一発目のライブになるとのこと。

 

ひと通り告知が終わると卓郎さんが「そろそろ呼んでいいかな?」「9mmの皆さんです!」と言いながらメンバーを呼び込む。最初に和彦さんが出てきて、どうもどうも、というような感じで軽く頭を下げる。滝さん、かみじょうさんに続き登場した爲川さんが定位置に辿り着きアンプに向かったところで卓郎さんが「サポートギター爲川裕也!」と突然紹介を始めると爲川さんがすぐに客席側を向き、スマートな仕草で挨拶。

 

アンコール1曲目、いつまでも。この曲は公演によっては演奏されないこともあったため、今日は聴けるんだな、という喜びと共に聴いていた。白い光の中をオルガンのようなギターの音色が広がってゆく様子がとても晴れやか。優しい演奏と卓郎さんの歌声がそれに合わさると会場全体がこの日一番やわらかい空気に包まれたように感じられた。最後に寒色系の白い照明が暖色系の白へ変わり、優しい光がフロアを撫でるように動いていた。

そんなやわらかい空気を一変させるこの日最後の曲、Punishment!Ice Creamに似た雰囲気の低音が響き、そこからお馴染みのリフへ。曲の速さに合わせるかのように白いスポットライトが高速で回りまくっていた。アウトロでは和彦さんがシャウトの代わりに爆速で指弾きしているように見えた。最後の最後に滝さんが軽々とギターを掲げ、振り回していた。

 

演奏が終わり、滝さんと爲川さんが退場。滝さんが袖に消える前に一度立ち止まってフロアを見、頭の上で拍手をしていた。和彦さんと卓郎さんがフロア上手下手真ん中と丁寧に挨拶をしている間にゆっくりと前に出てきたかみじょうさんが、いつの間にか手にした水を飲みながら顔の横で手を振っていた。ペットボトルにストローが刺さっていたのでもしかして卓郎さんの水か?と思いながら見ていると、ペットボトルを卓郎さんのアンプに戻していたのでその通りだった。最後に卓郎さんが万歳三唱、袖に消える直前までフロアに笑顔を向け、ステージを去った。

 

 

今回のツアーで唯一2階席から観ていたこの日の感想。とにかく照明の美しさを余すことなく視界におさめることができたことが嬉しかった。アルバムのアートワークやMV、歌詞を思い起こさせたり曲のメロディーとリズムに連動するような照明を目一杯楽しめたこと。特に今回のツアーは、バックドロップ下に設置された横一列のLED照明が光り方と色のパターンが多くてとにかく美しく、1階で観ていた時とは印象が大幅に変わったところがあったり、1階で観ていた時には気付かなかった照明の使い方を2階席では確認することができた。照明の角度を変えることでステージの下半分を色付けしたり、バックドロップを照らしたり、メンバーを紗幕のような光で覆ったり、流れる水のように見えたり、など。照明を観たい、でも5人の動きも追っていたい…と遮るもの泣くステージが全部見えるので、途中で目が2つでは足りない!と思ってしまうくらいだった。

全席指定の場合を除いて、これまで9mmのライブはほぼ1階のチケットを取ってきた。熱量の高いファン達に混ざって、照明の範囲内にも入り、ステージと近い高さから観るのが好きだから。2階席では最初こそほんの少しだけ外野感あるかな…という気もしたが、1階にいる時とは違う楽しみ方ができる、2階席でも静かに盛り上がった気持ちで観ることができるな、ととても楽しむことができた。これからは機会があれば大箱の2階席で観ることも増えるかもしれない。

 

この日、卓郎さんがMCで「これでもうアルバムの曲やりませんというのは嫌だなと思ったので、次のアルバムが出るまではDEEP BLUEのプロモーション期間ということにします。」と言っていた。リリースツアーが終われば当たり前だけれどアルバムの曲は一部を除いて演奏される機会がかなり少なくなってしまう。ツアーが終わったら次に聴けるのは何年後、という曲ももしかしたら出てくるかもしれない。あと1本でこのツアーが終わってしまうという寂しさも抱えながら観ていただけに、この言葉は本当に嬉しいものだった。フェスなど持ち時間が短いライブだとなかなか厳しいかもしれないが、ツアーが終わってもきっと近いうちに聴ける日が来るんだな、と。卓郎さんのおかげでツアーが終わる寂しさが少しだけなくなり、翌日のファイナルへの期待を一層膨らませながら会場を後にした。

20191123/9mm Parabellum Bullet“FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019”@Zepp Nagoya

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アルバム「DEEP BLUE」リリースツアー7本目、名古屋。

朝、地元を出発する際には雨が降っており11月らしい寒さだったが名古屋に到着するといい天気で、季節が1ヶ月ほど逆戻りしたかのような暖かさ。しっかり着込んでしまったので少し暑いくらいだった。名古屋の街中を歩きながら「夏がまだ続くから…」とつい頭の中で反芻してしまった。 

 

会場に入り、ステージを見回しながら開演を待つ。ステージ最後方の下の方に横一列のLED照明が用意されているのを確認、今回も照明器具は札幌や仙台と一緒だな、とか卓郎さんが最近使い始めた、背の低いOrangeの黒キャビにお馴染みのマーシャルのヘッドが乗っている様子がとても可愛らしいな、など。ステージの奥の方を見るとドラムセット・PHXと滝さんのアンプ・メサブギーの間あたりにバックドロップの双頭の鷲の右側の頭が見えた。開場時間中はまだバックドロップがステージに掲げられておらず、ステージ下に畳まれている状態だったためである。

 開演時刻を数分過ぎた所で暗転、Digital Hardcoreが流れ、照明の激しい点滅と大歓声を浴びて15周年仕様の巨大なバックドロップがゆっくりと上がってくる。

 

 DEEP BLUE

名もなきヒーロー

The Revolutionary

Discommunication

Getting Better

Scarlet Shoes

反逆のマーチ

The Revenge of Surf Queen

Beautiful Dreamer

君は桜

Calm down

Ice Cream

夏が続くから

Mantra

ロング・グッドバイ

Black Market Blues

新しい光

Carry On 

 

(teenage)Disaster

Punishment 

 

この日は上手側で観ることにした。滝さんは自分の視線の真っ直ぐ先、右側を向けば爲川さん、左に視線をずらすとかみじょうさん、更に左に視線を向けると何とか卓郎さんも見える。和彦さんは残念ながら視界におさまらず。

曲に入る前に滝さんがピックスクラッチを一発、ステージが爽やかな青に包まれDEEP BLUEからライブがスタート。第一声で「あっけなく終わりにしたくない」と歌う卓郎さんは眼差しに力を込め、歌声も力強く響く。上手の一番端では爲川さんがすらりとした脚を、エフェクターボードを軽々と跨ぐようにしてモニターに乗せ歌詞を口ずさみながらギターを弾いていた。

ライブアレンジのイントロを演奏してから名もなきヒーローへ、序盤から滝さんが大きく開いた目を輝かせながら元気にコーラスをしていた。間奏ではかみじょうさんがシンバルを音源よりかなり多めに叩いていたが、いつの間にか左手からスティックが消えていて、右手に持っていたスティックを左手に持ち替え、右手で新しいスティックを取り出し、その間シンバルを叩き続けるというかなり器用なことをやっていたので驚きながら観ていた。

ここでThe Revolutionary、真っ白な照明がステージを眩く照らす。間奏では卓郎さんと滝さんがお立ち台でツインリードを弾き、和彦さんと爲川さんはかみじょうさんの前までやってきて向かい合うようにして弾いていた。お立ち台から後ろ向きに降りてそのまま定位置に下がる滝さんと、ステージ中央から上手端に戻る爲川さんがぶつかってしまいそうな瞬間があった。この日滝さんは「世界を!!」の部分は叫ばずに普通に歌っていた。

続いてDiscommunication、スポットライトの黄緑とバックドロップ下の横照明のオレンジが鮮やか。2番では和彦さんと爲川さんがライブアレンジのメロディーを弾いている中、滝さんが原曲通りのメロディーを弾いていた。アウトロでは滝さんが途中でピックを落としてしまったようで最後のリフを指で弾いていた。演奏が終わると少し表情を綻ばせながら新しいピックを手にしていた。 

 

演奏が終わるとフロアからステージ上の5人に向かって名前を呼ぶ声やたくさんの言葉が飛んでくる。その様子に卓郎さんが開口一番、「名古屋、元気だね〜」

卓郎さんが話している間、隣では滝さんが片手だけエアドラムをするかのようにリズムを取っていた。後ろではかみじょうさんがスタッフの方と何やら話したりイヤモニを付け直しているようだった。

卓郎さんが話を続ける。ツアーももう折り返したけど、まだまだ良くなる、と 。

 

それに続くのはもちろんGetting Better、下手から和彦さんの歪んだベースの音が聴こえてくる。イントロのタッピングは滝さん。この曲だったかと思うが、サビを卓郎さんと滝さんが一緒に歌い上げると同時に両腕を高く挙げ、爲川さんも一緒になって片腕を挙げていた瞬間が嬉しかった。

次はScarlet Shoes、レア曲が札幌、仙台に続きセトリ入り。“DEEP BLUE”のツアーで敢えて赤系の色をタイトルに冠した“Scarlet Shoes”を入れてくるところが面白いなと思いながら毎回聴いている。引き続き真っ赤なステージが情熱的な曲調を視覚でも表すかのよう。中盤では赤の中に青い照明も混ざり、双頭の鷲を斑らに染めていた。

そこから間髪入れずにかみじょうさんがカウントを入れ、反逆のマーチへ。曲が進むにつれて少しずつ滝さんの動きが大きくなっていった。最後のサビ前でかみじょうさんがカウベルを叩きながら、その隣に置かれているチャイナシンバルを掴んでいるのが見えた。カウベルの音に共振しないようミュートしていたのだろうか。  

 

次の曲、滝さんが徐に弾き始める音を聴いた瞬間にとある曲が思い浮かんではっとした、しかし本当にそれが来るのか…?と期待と緊張が入り混じった気持ちで待っているとカウントから演奏されたのはその期待通りのThe Revenge of Surf Queen!!!!まさかここで、このタイミングで…!!中盤以外は滝さんと爲川さんが滝パートのメロディーをふたりでユニゾン。その息ぴったりな様子、滝さんに完璧に合わせていた爲川さんが流石過ぎる…。深く爽やかな青い照明の中、バックドロップ下の横照明が小さいブロックに分かれ上下に動いてウェーブを描き、ステージに緩やかな波を作り出していた。そこで初めて、あの横照明が一直線すべてくっついている訳ではなく幾つものブロックに分かれていることを把握した。

 

ステージが暗い青の底に沈むと、青い影になった卓郎さんが「名古屋」と静かに呼びかけ、もっと音楽で色々な感情が出るところを見たい、もっとみんなの声を聞かせてくれ、そんな感じの内容だったかと思う。

 

 音が重なるにつれ段々と明るくなっていくような空間で、荘厳さすら感じさせるようなイントロから音も光も爆速感を出してゆくBeautiful Dreamer、卓郎さんの言葉通りサビでは何度も「You're Beautiful Dreamer!!」と大合唱が響く。タッピングを爲川さんに任せ、滝さんも大きな声でコーラス。

君は桜、薄紫の照明と可憐なリフから、真っ直ぐに突き進むようなメロディーへ変わる部分の高揚感にワクワクする。最後のサビ前、卓郎さんが歌い出す直前に柔らかな薄紫のスポットライトが一斉に卓郎さんを照らした瞬間はやはり言葉にならない美しさ。最後の音を鳴らした直後にかみじょうさんがシンバルの上からスッと手を下ろし、静かに音を止めた。

 

滝さんが弾き始めたフレーズから次の曲が読めず、何の曲だ?と考えながらしばらく滝さんを観ているとその間にステージから卓郎さんの姿が消えていた。そのまま滝さん、和彦さん、かみじょうさん、爲川さんの4人で演奏が続けられる。序盤はゆったりとした、どこか東洋的なメロディーを滝さんが弾き続けていて、聴きながらメロディーが何となくキツネツキみたいだな…と考えていた。しばらくすると演奏が少し激しくなり、最後にはステージを二分するような青と赤の照明の中、かなりの轟音を巻き起こしていた。この突然のセッションタイムに何が起こったか理解が追いつかず、呆然としながらもただひたすらメロディーの心地良さに聴き浸っていた。終演後に9mmの公式アカウントが出したセトリを見てこの枠が“Calm down”と名付けられていることが判明。

 

セッションが終わると卓郎さんが再びステージに登場し、ステージがどす黒い青に包まれどろどろとした音からIce Creamへ。中盤でステージ奥の横照明がバックドロップ側に向き双頭の鷲の銃を照らしていたり、演出の意図とは違う解釈になるがステージ天井から数本のスポットライトがバックドロップの前を真っ直ぐ下に光を伸ばした様子が双頭の鷲を檻に閉じ込めているように見えた光景が面白かったり、つい照明を多めに観ながら聴いていた。

卓郎さんがアコギ、滝さんがエレガットに持ち替え、卓郎さんのアコギの音から始まった夏が続くから、上手側で聴くとアコギとエレガットの歯切れの良さが目立つ。サビ前まではまろやかな音を響かせるエレガットが、サビではエフェクトをかけキレのある音に切り替わる流れがやっぱり好きで、間奏に入る前に三連符のシンバルが強めに入るのも大好きで、滝さんとかみじょうさんの手元を交互に観ていた。間奏のギターソロをお立ち台に上り、かなりの気迫で弾いてゆく滝さんの姿に釘付けになった。

 

ここで一旦演奏が終わると、また多くの人が名前を呼んだり、何かひと言飛ばしていて何を言っているかはほとんど聞き取れなかったが、「米美味しかった~!」というひと言が辛うじて聞き取れた。いつまでも客の声が止まらず、卓郎さんがその様子を見ながらのんびりと「僕喋っていいかな?」と話しながらフロアを鎮める。

歌詞があるようでない、日頃の鬱憤を叫ぶも良し、自分だけのマントラを唱えるも良し…と言う卓郎さん。みんなに叫んでもらう、と言ってから卓郎さんがまず叫ぶ、「いけるかーー!!!」

 

そんな卓郎さんのMCからMantra、卓郎さんは最初から歌わずマイクから離れてギターを弾いていて、その部分を滝さんと爲川さんが歌っていた。音源で4人が各々叫んでいる部分では和彦さんがずっとソロでシャウトしていたが、その様子がこちらからだと全く見えなかったことが悔やまれる。ドラムセットにマイクは無く、やはりかみじょうさんが歌うことは無いようだ…。客たちに好きなように叫んで欲しいという意図で、メンバーの叫びが少なかったのだろうか。

滝さんのタッピングから始まったロング・グッドバイ、サビなどでは爲川さんがずっと歌詞を口ずさみながら、楽しそうに弾いていた姿が記憶に残っている。卓郎さんが「僕には君がいれば何もいらなかった」と歌い切った直後に下手から歓声が聴こえてきたので、見えなかったがきっと和彦さんがオフマイクで思いっきり叫んでいたんだろうな…と想像していた。最後のサビ前で滝さんが勢いよくペグとナットの間を鳴らすあの瞬間、スポットライトが一斉に滝さんを照らしたのがこの日の照明の中でも屈指の見事な演出だった。

フロアの盛り上がりが更に加速するBlack Market Blues、卓郎さんが「Zepp Nagoyaに辿り着いたなら!!」と歌う。最後のサビ前には滝さんも手拍子をしフロアを煽っていた。

そこから新しい光、真っ白に輝くステージで1サビ後の間奏部分、和彦さんと爲川さんがかみじょうさんの前まで来てネックを掲げ、同時に定位置に戻るというフォーメーションの美しさを見せる。アウトロでは卓郎さんがかみじょうさんと向かい合って弾いていた。

本編最後はCarry On、2番で卓郎さんが「声を聞かせてくれー!!」と叫ぶとフロアから返ってくる大歓声!滝さんはこの日一番大きな声でコーラス。ライブ序盤から曲の盛り上がるところで頭や腕を振ったりする以外は終始滑らかな動きで叩いていたかみじょうさんがこの曲だけは終始、かなりの力と気迫を込めてドラムを叩き続けていた。

演奏が終わると卓郎さんが思いっきり両腕を広げ、その後にギターを高く掲げた。弾けるような笑顔で。やり切ったぞ!!という表情だった。  

 

アンコールで再びステージに登場した卓郎さん、滝さん、和彦さん、かみじょうさん。卓郎さんがまた来年も名古屋に来るから、この先の9mmもよろしくお願いします 、と。その前にMERRY ROCKもあるね!とも。

この時点で爲川さんがステージに戻って来ない。もしかして…と考えていると卓郎さんが4人で演奏します、と言ってから演奏へ。

アンコール1曲目は(teenage)Disaster !ここ最近、4人で演奏する場合にはこの曲が多い気がする。アウトロの終盤は滝さんが原曲通りのメロディーを弾いていた。

この日最後の曲。静かなイントロから爆速カッティングへなだれ込むPunishment、滝さんがアウトロ後に何度もギターのネックを掲げ、最後の最後に空間を斬り上げるように思いっきりネックを振った。

 

真っ先に退場する滝さん。頭の上で手を叩きながら退場していった。和彦さんが下手から上手へ移動しながら手にした大量のピックを1枚ずつフロアに投げる。卓郎さんも下手、上手と動き回ってフロアに挨拶。ステージ中央に戻ってきた卓郎さんがまたフロアに挨拶していると、卓郎さんの左隣にスティックを手にしたかみじょうさんがやってきて、身に着けている衣服の隙間にスティックを差してふざけてから下手方面にスティックを投げていた。最後までステージに残った卓郎さんが万歳三唱から綺麗にお辞儀をして退場。その姿が袖に消えるまでフロアに手を振り笑顔を見せていた。

 

 

この2週間前に観た仙台公演では卓郎さんの声が終始掠れていた。最後まで歌い切り、そのような状態でもアンコールで1曲歌ってくれたものの中盤は声を出すのが辛そうな瞬間があった。翌週の福岡公演でも、詳しい様子は把握していないがやはり喉の不調があったらしいと聞いたので名古屋はどうなるかと心配していた。結果、卓郎さんの声はいつも通りの綺麗でよく通る声に戻っていた。ライブ中ずっと楽しそうに笑顔を見せていて、演奏が終わった後にはこの日一番の清々しい笑顔だったので安心した。よかった…。

ただ、少しだけ歌う部分を減らしていたのでまだ本調子ではないのかもしれない。札幌や仙台では無かった突然のセッションタイムも、今思えば卓郎さんの喉を休めるための時間として急遽入れたものだったのかもしれない。

 

そして名古屋、何と言っても最後にライブで聴いたのがいつだったか覚えてないほど久し振りに聴けたThe Revenge of Surf Queenが一番嬉しかった。とても大好きな曲、ここ数年は全くセトリに入っていない気がしてまたライブで聴けることはないかもしれないと半ば諦めていた曲だったので、まさかのタイミングで聴けて喜びも一入だった。「DEEP BLUE」がリリースされたあたりのインタビューかラジオ番組か何かで、確か夏が続くからの話題の際に「9mmでサマーチューンは無かった」という発言があってそれを聴きながら咄嗟にThe Revenge of Surf Queenを思い浮かべていて、何ならツアーでThe Revenge of Surf Queenも演奏されたらいいのにな、とぼんやり考えていてのが本当に実現した…。

 

この日のMCで卓郎さんが「DEEP BLUE」のテーマである“一生青春”について触れていた。かなりうろ覚えだけれど、まず「昔は“一生青春”という言葉が好きではなかった」と話していた。その後、一生青春= “青を塗り重ねる”ことについて、青には“生命力”と言う意味もあるし、“憂鬱”もある、色々な意味があるんだと。それを塗り重ねてゆくことが“一生青春”なのではないか、そんな感じの話だった。

「DEEP BLUE」の曲たちを目の前で聴いて、卓郎さんの“一生青春”と“青”の話を聴くたびに心が深い青に染められてゆくツアー、これを書いている時点で名古屋の翌日に開催された大阪公演も終わり(大阪公演は観ていないが)、残るはあと2本。残り少ないのが既に寂しい気もするが、今まで以上の期待を持って週末を楽しみに待つ。最後の最後まで青に深く染まるために。

20191109/9mm Parabellum Bullet“FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019”@仙台PIT

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アルバム「DEEP BLUE」リリースツアー5本目、仙台。

仙台といえば和彦さんの地元ということで、普段9mmのライブでは基本的に喋らない和彦さんが仙台公演では毎回マイクを通して喋る姿を観られるのが恒例となっており、そういうところも楽しみな公演。個人的にはこのツアー2本目の参加で、1本目の札幌はゲストにFLOWER FLOWERのyuiさんとmura☆junさんを迎えた特別仕様のセトリだったため、ツアーのレギュラーセトリを観るのはこれが初めてだった。どんな違いがあるのか、それとも基本的には変わらないのか?と色々予想しながら当日を迎えた。

 

  会場に入り様子を窺うとやはりステージにバックドロップは掲げられていない。定刻を数分過ぎた所で暗転、Digital Hardcoreが鳴り響き、ステージ下からバックドロップがゆっくりと上がってくる。

派手に点滅する照明を浴びながら、真っ赤な“ⅩⅤ”の文字を背負った、15周年仕様の巨大な双頭の鷲がステージに現れた。  

 

 DEEP BLUE

名もなきヒーロー

カルマの花環

Answer And Answer

Getting Better

Scarlet Shoes

反逆のマーチ

Ice Cream

Beautiful Dreamer

君は桜

サクリファイス

夏が続くから

Mantra

ロング・グッドバイ

Black Market Blues

新しい光

Carry On  

 

 Punishment 

 

 

今回は下手側へ。前から数列目、和彦さんのアンプがちょうど真正面に見えるあたり。そこまで下手寄りにいるのに、意外と卓郎さんや滝さんの方まで見える。何となく、普段より和彦さんのマイクの位置が高いように見えた。和彦さん、曲が始まる前にステージの前方まで出てくるとフロアを見ながら気合のこもったような表情、その後に軽く舌を出してみせる。

1曲目はDEEP BLUE、卓郎さんが朗々とした声で歌う「あっけなく終わりにしたくない」のひと言から、ライブが始まった。札幌公演と同じく、バックドロップの下に小さな電球が横一列に並んだ照明器具が配置され、眩い青の光を放っていた。

続いてはお馴染みになりつつある、間奏のメロディーを元にしたようなライブアレンジのイントロから名もなきヒーローへ。シングル「名もなきヒーロー」のジャケットカラーであるピンクとアルバム「DEEP BLUE」のジャケットカラーである水色の照明が交差するように天井から降り注ぐ。札幌では紫の照明を使っていたので、会場によって違いが出ているのが面白い。この曲では和彦さんがピック弾きをしていて、真っ直ぐな力強いフレーズを繰り出すイントロも、それと対象的に柔らかい手つきで弾いていた。イントロや間奏ではかみじょうさんがスティック回しを入れていたが、この曲でスティックを回しているのを観たのは初めてだったかもしれない。「守りたいものにいつも守られているんだね」と歌う卓郎さんの眼、この日はとても力が込められていた強い眼差しだった。

次はカルマの花環。この日、序盤から卓郎さんの声が少し掠れていた。サビの「花は咲くのか」で卓郎さんの声が聴こえず…代わりに滝さんが歌っていた。滝さん、日によってこの部分は歌ったり歌わなかったりなので1回目は偶然なのかもしれないが、次のサビでは滝さんが明らかに卓郎さんの方を確認してから卓郎さんと一緒に「花は咲くのか」を熱唱していた。まるで滝さんが卓郎さんのフォローをするかのように。和彦さんが最後のサビの入りで軽く回し蹴りするような動きをしていたのが堪らなくかっこよかった。

そこからAnswer And Answer へ。イントロの入りのギターは滝さんが弾いていた。滝さんがお休み中に入りのギターを弾いていたのは卓郎さんで、滝さん復帰後もそのまま卓郎さんが弾いていたので、いつの間にか滝さんの受け持ちに戻ったんだな、と。和彦さん、前髪がかなり伸びていて顔、特に目元はほとんど髪に覆われていたが動きが激しくなると片目が現れたりしていて、フロアをよく観ている様子が窺えた。 

 

卓郎さんがやや柔らかめの口調で「仙台!」とひと言。お久し振りですね、おれたち15周年を祝ってもらう気満々ですからという感じのことを卓郎さんが言うと和彦さんから笑みがこぼれる。 

 

 和彦さんがまた前に出てくると、歪んだベースの音からGetting Betterへ。イントロの間はずっとステージ前方で自身の見せ場を盛り上げていた和彦さん。自分がベースアンプからまっすぐ正面にあたる位置にいたため、イントロのベースのフレーズの迫力を真正面から受け止めることが出来た。ステージは鮮烈な赤へ。Aメロではかみじょうさんがバスドラを踏みながら僅かに一息つくような仕草。

次はレア曲Scarlet Shoes、引き続き真っ赤なステージ。間奏では青も混ざっていた。札幌でもセトリ入りしていたが数年振りにライブで聴けたという驚きから冷静に聴くことができなかったので、ここでもう一度聴けて嬉しい!小気味よいリズムに頭を揺らす。下手で聴いていたこともあり、最後の「赤いクツで」の後に入るベースとブラストのようなドラムの性急なリズムが目立っていてとてもかっこよかったところ。

Scarlet Shoesから間髪入れずにカウントで繋ぎ反逆のマーチへ。曲の入りでフロアを笑顔で見ていた卓郎さんの表情が記憶に残っている。勇ましくベースを弾いてゆく和彦さん、サビ終わりの3連符のスラップを一際強調するかのように弾いていたのが、曲に更に勢いをつけていた。

ステージが暗く深い青に包まれ、どろどろとしたベースの音から始まるIce Cream、このイントロを曲調に合わせるかのようにあまり動かず引いていた和彦さんが、最後だけは少し動きを大きくしていた。 

また少し暗くなったようなステージで、次の曲に繋げるかのように滝さんが静かにギターを奏でるとかみじょうさんがそれに合わせるように静かにシンバルを叩く。 Beautiful Dreamer、イントロの静かなパートはベース側で聴いていたためか音源の印象よりもかなり重い音、そこからなだれ込んだ時にはよく動くスポットライトたち、そしてバックドロップ下の横照明は高速で光を左右に流して行き、かなりの爆速感を演出していた。サビでは「You're Beautiful Dreamer」の大合唱!

君は桜、紫の柔らかい照明が優しい。最後のサビ前、一瞬音が止んだ瞬間にスポットライトの紫が一斉に卓郎さんを照らした瞬間と、そこから卓郎さんの優しい歌声が広がる瞬間は本当に見事な美しさだった。

サクリファイス、しばらくライブで聴けなかった曲なので久々…!確かにジャケットも青でこれまでのライブでも青い照明だったのでこのツアーにぴったりの選曲だったかもしれない。下手側からだと、曲中に数回行われるかみじょうさんのシンバルミュートが全て、何の遮りもなく観られたのでそれがまた良かった。

卓郎さんのアコギの音から始まる、夏が続くから。前回の公演で上手側=ギター前で聴いていた時にはアコギ・エレガット・ドラムの歯切れの良さが際立ちシャキッとした音を楽しむ曲という印象だったが、下手側=ベース前で聴いていると全ての音を一手に支えるようなベースの音がオクターブ間を波のようにうねる、どっしりとしたリズムを楽しむ、という印象。当たり前かもしれないが、それでもフロアのどの場所で聴くかによってこんなにも曲の印象が変わるのか…と驚きながら、その違いを大いに楽しみながら聴いていた。間奏後の歌い出しの部分では和彦さんも一小節分くらい手拍子をしていた。ゆったりと音に浸り指弾きの手元を観ながら、和彦さんが意外と忙しい曲なんだな…と考えていた。

 

 卓郎さんがまた話し始める。うろ覚えだが、次の曲について、みんなも好きな人の名前を叫んだり、嫌いな人の名前を叫んだりしてくださいと言っていたので次に何が来るのかを察する。 

 それに続く曲はもちろん、Mantra!ステージ前方まで出てきた和彦さんがオフマイクで「かかってこい!!」と言うと後半では定位置まで下がりマイクを通して叫び続けていた。

そのままの勢いでロング・グッドバイへ。ずっと赤い照明と共に演奏されてきたこの曲を、ステージが青く照らされる中で聴くのはやはり新鮮な光景。「僕には君がいれば何もいらなかった」の部分では和彦さんがオフマイクで思いっきりシャウト!本当にオフマイクか!?と思うくらいにはっきりと聴こえてきた。

Black Market Blues では卓郎さんが「218秒かけて 仙台PITに辿り着いたなら!!」と歌っていた。2番の「迷える子羊たちが~」の部分、普段ベースを高く掲げてみせることの多い和彦さんがこの日はフロアに背を向け、アンプと向かい合ってノイズを出す、という普段とは違う動きをしていた。

新しい光では1サビの後の間奏で、この日も和彦さんと爲川さんがかみじょうさんの前まで来て向かい合う様子が見えた。ここも個人的にとても好きな瞬間。真っ白い照明達が曲展開の緩急と完全にシンクロし、静かな間奏や最後のサビに入る瞬間の柔らかな光の美しい様子には思わず息を呑んだ。

本編最後の曲Carry On 、2番で卓郎さんが「声を聞かせてくれ!」と叫ぶとこの日も大歓声と無数の拳が上がる。最後にはかみじょうさんが両腕を回す様にかなり大きな動きでシンバルを乱れ打ち、和彦さんがアウトロあたりで、音を強調するように一際強く弦を弾き、クライマックスを大いに盛り上げていた。

 

  演奏が終わり、滝さんと爲川さんが先に退場、卓郎さん、和彦さん、かみじょうさんは少し短めにフロアに挨拶をしてから順番に退場。和彦さんはソフトボールのような投げ方でフロアにペットボトルを投げ入れた。

 

  しばらくしてから再び暗転、最初にステージに戻ってきたのは和彦さん。何と黒のDEEP BLUE Tシャツ…和彦さんが9mmのライブで半袖Tシャツを着用している!!!徐にマイクスタンドの高さを変え始める和彦さんの姿に、フロアから歓声が起こる。ずっとざわついているフロアの様子をしばし窺っていた和彦さんが「みんな静かにしてくれないと喋れないよ」と照れるように笑いながらひと言。そこから話を続ける…かと思いきや一旦水を飲んだり。フロアから「おかえり!」の声が飛ぶと、「ただいま」と返す和彦さん。

珍しく半袖のTシャツを着ていることに触れ、「ステージでは半袖のTシャツ着ないんだけど。何かキマらなくて…部屋着みたいな。でもここは俺の部屋みたいなものだから」と話す。客のひとりが「かっこいい!」と叫ぶと、「じゃあ、是非買ってください…」と続け笑いを誘う。

ひとしきり話すと落ち着かない様子でステージ袖の方を覗くが誰もステージに現れず、最後には袖に向かって両手で「来い来い!」という感じの仕草をしていた。そこでようやく卓郎さんが登場。和彦さんと色違い、白のDEEP BLUE Tシャツに着替えてきた卓郎さん。「早くマイクスタンド直さないと死んじゃうよ?」と声をかけると和彦さんが「まだ大丈夫」と当たり前のように返し、またフロアからは笑いが起こり和やかな空気に。卓郎さんが和彦さんと色違いのTシャツを着て出てきたため、フロアから「部屋着?」というひと言が飛んでくると和彦さんが「部屋着は俺だけ」と返していた。

 

これからも9mmの音楽を色々な形で日本中に届けます、と卓郎さんが話してからアンコールとしてこの日最後に演奏されたのはPunishment!間奏の終盤で滝さんが「ハイハイハイハイハイハイ!!」と叫びながらギターを弾く。ここから滝さんが「ダーーッ!!!!」と叫んで歌に入る事が多いが、この日これを叫んだのは滝さんではなく、和彦さんだった。偶然かもしれないがふたりの見事な連携プレー!アウトロでは和彦さんがシャウトの代わりに超絶的な早弾きを披露、最後の最後まで食い入るように和彦さんの手元を観ていた。

 

演奏が終わると滝さんと爲川さんが退場、卓郎さんと和彦さんは一緒に上手の方へ行って挨拶。ゆっくりとドラムセットの後ろから出てきたかみじょうさんが投げるスティックを選ぶと2本ほどフロアに投げ入れて退場。最後に卓郎さんが万歳三唱から丁寧にお辞儀をし、袖に消える直前にもう一度こちらに笑顔を見せ、退場していった。

 

 

 前述の通り、下手にいたので和彦さんを多めに観ることができた。何度も何度もステージ前方まで出てきたり、時には下手のかなり端まで出て行ってベースを弾きまくり、フロアを大いに盛り上げていた。どの曲だったか忘れてしまったが、本来弾くフレーズの代わりに弦をスライドして音を出している瞬間があって、その一瞬の光景は記憶に焼き付いている。

札幌と同様会場が大きかったため、前回一目ですっかり好きになった、バックドロップの下に一直線に並ぶ照明も仙台でそのまま使われていた。この後の公演も大箱ばかりなので、どの公演でも同じ照明がまた観られるのではないかと思われる。

 

 セトリは札幌とほぼ一緒だった。まさかScarlet Shoesがもう一回聴けるとは思わなかったので、純粋に嬉しかった。仙台公演ということで期待通り和彦さんが話すのも聞けた。和彦さんが喋る様子を観ながら、そういえば昨年のツアーで「持つと車掌さんみたいになってしまう」と例えていた四角いフォルムのマイクではない…?という気がしたのだけれど、いつの間にマイク変えたのだろうか。

そして“9mmのライブ”で半袖Tシャツを着て演奏する和彦さん、というもしかしたら今まで一度も見たことがないのではないかと思われる貴重なものも観られた。初期は長袖Tシャツ、ここ数年は黒シャツを着て袖を捲る、という出で立ちがお馴染みの和彦さんが9mmのライブで半袖を着てこなかった理由をまさかここで知ることになるとは…。「部屋着」と絶妙な例えをしながら(でも半袖も普通に似合っていましたよ!)地元・仙台のライブハウスで「ここは俺の部屋みたいなもの」と言い切った和彦さん。それを仙台の人たちは幸せ者だな、と思いながら聞いていた。

20191102/9mm Parabellum Bullet“FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019”@Zepp Sapporo

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 2019年9月9日にリリースされたアルバム「DEEP BLUE」リリースツアーの4本目。

 

この公演にFLOWER FLOWERのyuiさんとmura☆junさんがゲスト出演することが事前に告知された。FLOWER FLOWERが9mmのライブの翌日、11月3日に同じくZepp Sapporoにてライブをするという偶然が起こったため。(そしてFLOWER FLOWERのライブには卓郎さんがゲスト出演することも同時に発表されていた。)卓郎さんと共演したことがあるyuiさんと、卓郎さん和彦さんかみじょうさんによるアコースティックユニット・AC 9mmのワンマンにゲスト出演したmura☆junさん。

おふたりは今年のRISING SUN ROCK FESTIVALで9mmと共演するはずだった。しかし、台風の影響により9mmの出演日である8月16日は開催中止。実現できなかった共演が、この公演で果たされることとなった。

 

 

会場に入るとステージにはまだバックドロップは掲げられていなかった。大箱のワンマン公演恒例の演出として、開演したらSEと共にバックドロップ現れると予想できる。今年は15周年の特別なデザインのバックドロップを使用していて、それが初めて披露されたのもZepp Sapporoで行われたライブ(3月17日のカオスの百年ツアー2018振替公演)だったことを思い出していた。

 

定刻を過ぎ、場内が暗転し、Digital Hardcoreが鳴り響くとやはりバックドロップが下からゆっくり上がってくる。しかしそれに15周年ロゴの赤いプリントは無い。上がり始めてすぐに気付いて、驚きと嬉しさが込み上げてきた。

ステージに現れたのは、双頭の鷲とRSRのロゴが重なった、RSR仕様のバックドロップだった。

 

 

 DEEP BLUE

名もなきヒーロー

カルマの花環

Answer And Answer

Getting Better

Scarlet Shoes

反逆のマーチ

Ice Cream

Beautiful Dreamer

君は桜

夏が続くから

Discommunication(ゲスト:mura☆jun)

カモメ(ゲスト:mura☆jun、yui)

Mantra

ロング・グッドバイ

Black Market Blues

新しい光

Carry On

 

いつまでも

Punishment 

 

この日は上手側で観ることにした。かみじょうさん・滝さん・爲川さんは見える、卓郎さんはあまり見えない、和彦さんはほとんど見えない、という位置。

ステージが爽やかな青に染まりDEEP BLUEからライブがスタート。滝さんが曲に入る前からお立ち台に上り、Tシャツの裾からお腹が見えるくらいギターを高く掲げていた。爲川さんは上手の端にいながらも1曲目から滝さんと同じくらい前に出てきて、素敵な笑みを浮かべ歌詞を口ずさみながら弾いていた。

続いては名もなきヒーロー。夏頃から追加された、間奏のメロディーを元にしたようなライブアレンジのイントロから演奏に入る。淡い紫の照明がこの曲の優しさを引き出しているようだった。この日はバックドロップの下に小さな電球?が横一列に並んだ照明器具が使われており、名もなきヒーローの中盤でその照明が青い光の軌道をステージ上から下へと大きく向きを変えたところでその存在に気付いたが、その後もステージを印象的に染める役割を担っていた。

真っ赤な空間に変わったカルマの花環、終始滝さんが生き生きと動いていた、その様子だけが記憶に残っている。続くAnswer And Answerも滝さんと爲川さんの弾き姿にただただ目を奪われる。

 

 

ここで卓郎さんが話し始める。おれたち札幌に来ようとすると何か起こる、というような話をしていたかと思う。昨年のカオスの百年ツアー札幌公演が地震で延期になってしまったことと、今年のRSR中止があったため。それを考えると、今回無事に開催されたことへの喜びが増す。

 

歪んだベースの音からGetting Betterへ。イントロのタッピングは滝さんがひとりで弾いていた。最後のサビの「作りながらぶっこわしなさい〜」からはカオスパートのような演奏が繰り広げられていた。音源とライブ演奏に違いが出る部分を聴けるのがとても楽しい。

次の曲は何とScarlet Shoes!!タイトルや歌詞に合わせるようにステージが赤に包まれる。久々にライブで聴けた…!!一体いつ振りだろうか。予想外の選曲に驚き、大喜びしながら聴いていたが、嬉しさのあまり細かいところを観る余裕が全く無かった。

Scarlet Shoes最後の一音からそのままかみじょうさんが4カウント入れるという見事な繋ぎ方から反逆のマーチへ!オレンジの照明がとても美しかった。「この街はいつのまにか〜」の部分ではかみじょうさんのハイハットを叩く手元の小気味良さに見惚れていた。Aメロ部分では滝さんが爲川さんに演奏をお任せし、その間に水を飲んだりもしていたがその他の部分は大きめの動きで、途中で滝さんが爲川さんと衝突しそうになる程だった。

空間が一気に暗くなりどろどろとしたベースの音から始まったIce Cream、イントロではステージがどす黒い青に包まれる。音源で聴くよりもかなり重く感じた音の壁に圧倒される。歌が入ると上からはいくつもの赤いスポットライトの光が降ってきて、バックドロップ下の横照明は青く光り、そのコントラストが不穏な空気を作り出していた。

続くBeautiful Dreamerではまた爽やかな青の照明へ。イントロの静かなパートから一気に激しさを増す展開がとても好きなところ。サビでは滝さんがコーラスをする隣で爲川さんがタッピングをしていた。

君は桜、シンプルなリズムに乗る可憐なギターのメロディーと優しい歌のメロディーがとても際立っていた印象。名もなきヒーローの時と同様、淡い紫の照明だったのでピンクじゃないんだな、と意外に思いながら観ていたがピンクにアルバムのテーマカラーである青を混ぜたイメージで紫、なのだろうか。

卓郎さんがアコギ、滝さんがエレガットに持ち替える…ということは次の曲は、夏が続くから。個人的にアルバムの中でライブで聴くのを最も楽しみにしていた曲。どっしりとしたベースの上に乗るシャキッとしたアコギとドラム、まろやかなエレガット、伸び伸びとした卓郎さんの歌声、という音の層がただひたすらに気持ち良かった。曲調的に控えめな動きで演奏していた滝さんがソロに入った瞬間にエレガットを歪ませお立ち台に上り、目元に力を込め歯を食いしばるような全力の表情でメロディーを弾き始めるというかなり熱いギターソロが繰り広げられ、その気迫と熱さと繰り出される音の美しさが琴線に触れた。

 

ここで再びMCへ、と同時に卓郎さんと和彦さんの間にキーボードが用意される。卓郎さんが「和彦に、第一声でライジングサンへようこそって言ったら?と言われた」という話をしつつ、ゲストを紹介。まずはmura☆junさん。昨年のAC 9mmのライブにもゲストで出てもらったという紹介をしながら呼び込む。

このあたりだったか。卓郎さんが「RISING SUN ROCK FESTIVALへようこそ!!!」

 

昨年AC 9mmでもmura☆junさんと一緒に演奏したDiscommunicationがコラボの1曲目。卓郎さんと滝さんは夏が続くからで使っていたアコギとエレガットを持ち替えずそのまま演奏が始まる。ACの時の同じ6/8拍子のアレンジ、ACの3人とmura☆junさんによる演奏も言わずもがなとても素敵だったが、あのアレンジを滝さんと爲川さんも加わりライブで披露されたことが嬉しい。キーボードのフレーズがエレガントさを出しつつ、終盤に向かってmura☆junさんの音がどんどん厚くなり盛り上がるという豪華なアレンジ。

 

演奏が終わるともうひとりのゲスト、yuiさんを呼び込む卓郎さん。yuiさんについて「ボーカルもこき使いたいと思います…」と言っていた。その戯けた表現から、これまでにも共演したことのある卓郎さんとyuiさんの仲の良さが窺える。yuiさんを呼び込むまでの間、滝さんが静かにギターを弾き続けていて、弾き終わると卓郎さんがその演奏を「滝くんによるプレリュード」と紹介。黒地に小花柄?のワンピースという可愛らしい出で立ちで登場したyuiさん。「自由にやっていいって言われてるんで…」と言いながら卓郎さんにちょっかいを出したり、楽しそうにステージ前へ進むと滝さん用のお立ち台に上り客席を見渡す。その様子を、後ろでかみじょうさんが笑顔を浮かべながら見守っていた。客に向かって「9mm愛してますかー!!!?」とyuiさんが煽るとフロアからすかさず歓声が返ってくる。卓郎さんが「FLOWER FLOWERから始めます」と言ってから演奏へ。

 

卓郎さんの言葉通り、yuiさんのブレスにmura☆junさんが演奏を合わせ、ふたりの音から始まったのは、カモメ。yuiさんが歌い出した瞬間に柔らかく深い歌声が心身に染み渡り、また空間いっぱいに広がってゆく。その後は卓郎さんとyuiさんが交互に歌っていた。終始楽しそうで歌っていない時にはドラムの台に上ってかみじょうさんと向かい合ったりもしていたyuiさんが本当に自由にやってくれているんだな、という様子だった。間奏では滝さんが音源とは全く異なるメロディーを弾いていた。エレガットの音色に合わせたのか、原曲の壮大なソロとは打って変わってゆったりとしたメロディーを響かせる。サビでは卓郎さんの歌にyuiさんが滝さんパートのコーラスを重ねていたり、卓郎さんの歌にyuiさん・滝さんがコーラスを重ねたりしていたが、3人で歌っている時に滝さんパートの更に上の音程を重ねていて、最初はそれがyuiさんだと思っていたら滝さんの歌声だったので驚いた。滝さんパートを歌うyuiさんよりも高い音を、滝さんが出していたことになる。滝さん、女性のようなとても澄んだ綺麗なファルセットだった。

 

yuiさんとmura☆junさんが退場。卓郎さんが「北海道の夏は涼しいですね、おれダウンジャケット着てきたもの」と話し出す。そんなところまでRSR仕様にしてくれる卓郎さんの言葉に和やかさが広がる。「みんなDEEP BLUEに染まってきたね」と言っていたのはこの時だったか、そして「立てなくなるくらい声出して!いけるか札幌!!」と煽る。

 

その言葉に続くのはMantra!!卓郎さん、滝さん、爲川さんが叫び、途中で下手側の様子を何とか伺うとマイクに向かってシャウトする和彦さんが僅かに見えた。かみじょうさんだけは叫ばず、淡々とドラムを叩いていた。後半では滝さんが何の単語も言わずに叫び声を上げていた。ここからだったか、ふと卓郎さんの方に目を移すと卓郎さんが今までに見たことがないギターを持っていた。あまりよく見えなかったが新しいシグネチャーモデル、Trickstarの色違いに見えた。“DEEP BLUE”に合わせたかのような青いカラーリングで、卓郎さんが青を持っているのがちょっと意外な気がしてそれにも驚く。

滝さんのタッピングから始まるロング・グッドバイ、ここでも驚いたことが、照明が青かったこと。今までのライブではずっと赤を使っていたので、青く染まるロング・グッドバイはかなり新鮮だった。Mantraとロング・グッドバイ、「DEEP BLUE」と「BABEL」の曲を続けて演奏したことが予想外で、それもかなり驚かされたところ。ロング・グッドバイへ繋げたMantraの“終わってたまるか”という叫びの切実さが、後からじわじわと増していくように思えた。

Black Market Blues、曲の頭で普段なら歌っている滝さんがコーラスを爲川さんに任せお立ち台に上りギターで歌のメロディーを弾く、という結構珍しい始まり方をしていた。

新しい光、1サビ後の間奏で和彦さんと爲川さんが向かい合ってかみじょうさんの前へ。その時に和彦さんが爲川さんに向かって「こっち来なよ」と言わんばかりの仕草をしていた。サビではこの日一番の大合唱!やっぱりBMBから新しい光への盛り上がり方は半端なく、熱量に比例してフロアの圧縮も強くなっていた。

本編最後の曲はCarry On、2番で卓郎さんが「声を聞かせてくれーー!!」と煽る。この曲では滝さんが、大袈裟でなく他の曲の3倍くらいの声量で歌っていた。上手で聴いていると卓郎さんの声よりも大きく聞こえるほど。コーラスの最後の一節「いつか鼓動が」の最後の一音を、かなりの声量でずっと歌声を伸ばし続けていた。終盤はずっと大きく動き回っていた滝さん、曲の最後にギターのネックを勢いをつけて思いっきり振り上げていた。

 

曲が終わると滝さんと爲川さんがすぐに退場、卓郎さんと和彦さんが短めながらも丁寧にフロアに挨拶をし、その後ろでかみじょうさんが両手を頭の上で合わせながらゆっくりと退場していった。

 

 しばしのアンコール待ちから5人が再度ステージへ。ギターを構えながら、卓郎さんと滝さんがお互いに「どうぞどうぞ」と譲り合うような仕草を見せるという微笑ましい光景にフロアから笑い声が起こる。ステージに掲げられたRSR仕様のバックドロップについて言及していた。うろ覚えではあるが、これを使いたかったんだという感じの話だったか。yuiさん、mura☆junさん以外のRSRで共演するはずだった人達にも触れていた。そしてフロアに向かって「来年もよろしくお願いします!」

 

アンコール1曲目、いつまでも。何の捻りもない感想だけれど、とにかく何ていい曲なんだ…という気持ちで聴き浸っていた。その一言に尽きた。

この日最後の曲。Punishment、イントロ前のアレンジが少しだけ、先程のIce Creamと雰囲気がちょっと似ていたのは照明のせいだったか。真っ白なスポットライトが目まぐるしく動き回る眩いステージ。間奏でフロント4人が一斉に並んで弾いた後、自分の二の腕を叩きながら手拍子を煽る滝さん。動き回るフロントとは対照的に姿勢を崩さずに冷静に叩き続けるかみじょうさん。最後の最後に滝さんが空間をぶった切るようにギターのネックを思いっきり振り下ろした。  

 

 

前述のように上手側にいたので卓郎さんと和彦さんはほぼ見えない位置だったので、ずっと滝さん、爲川さん、かみじょうさんを観ていた。滝さん、全体的に動きが大きかったなという印象。薄い方のギターを使う曲ではギターの軽さもあり、滝さんの動きが大きくなると首元にギターが引っかかるような状態になっていたほど。Punishmentの他でも本編のどこかで自身の胸のあたりを叩きながら手拍子を煽ったりしていた。また終盤で、ギターを変えようとするスタッフの方を静止してギターを変えずに演奏を始めたが途中でやっぱりギターを持ち替える、という場面もあった。曲の途中であってもスタッフの方と息ぴったりに持ち替えをしていたのが流石だなと思いながら観ていた。

爲川さんは上手の端からほぼ移動しないまま、序盤からステージ前まで出てきて時折歌詞を口ずさみながらぐいぐいとギターを弾き倒していた。あまりにもいい表情と生き生きとした動きに何度も視線を掻っ攫われた。曲のいいところで、ギターのネックで目の前にいる客を撃ち抜いたりもしていたし、相変わらず演奏しながらフロアを丁寧に見ているようだった。かみじょうさんはハイハット・スネア側を叩く時の手元が遮る物なくとてもよく見えた。夏が続くからの間奏前に入ってくる三連符など、個人的に好きなドラムのフレーズが入ってくる所はかみじょうさんがしなやかにドラムを叩く手元を凝視していた。ここまで手元がよく見える機会は意外と少ないので貴重なものを観られた。

 

 9mmに限らずではあるが、いつもライブを観る時にメンバーと同じくらい照明もよく観ている。今回初めて観た、序盤でも書いたバックドロップの下に小さな電球が横一列に並んだような照明器具がかなりの存在感を放っていたのがとても印象的だった。青、赤、オレンジ、白…と色が変わり、一列全部が一斉に点いたりランダムに点滅したり、横並びの何個かずつ点いたり消えたりを繰り返していて、光り方のバリエーションが多く、特に一斉に点いた時の空間の染め方がとても美しかった。その横一列の照明の上にはいくつか、大きい電球の周りに小さな電球が配置されてる、というこれまた観たことのない照明器具もあった。大きい電球の周りで、小さい電球がその周囲を回るように点滅する、という控えめながらも面白い動きをしている物だった。また観たいと思っているので、この後の公演でも同じ照明が使われるのか気になるところ。

 

 この日の1曲目、DEEP BLUEの「あっけなく終わりにしたくない」という一節が、自分でも驚くほど真っ直ぐに、深々と胸に突き刺さった。ライブが終わった直後も、ライブから数日経った今でもまだその一節が心から離れない。青く瑞々しい光の中、独白のようにも聴こえた「あっけなく終わりにしたくない」という言葉。勝手な解釈かもしれないけれど卓郎さんがその言葉を歌うのを聴きながら、もしかしたらDEEP BLUEというアルバムはその言葉を言うためのアルバムなのではないか、とまで考えていた。

 

この日、「DEEP BLUE」の中で21gがセトリに入らなかった。そしてレア曲枠?としてScarlet Shoesが聴けた。自分は現時点で札幌公演しか観ておらず、他の公演のセトリも観ていない(ネタバレ回避のためツアーが終わるまで観るつもりはない)ので、今回のようにアルバム曲をほぼやる+お馴染みの曲もある+レア曲枠がある、という流れは大体同じなのか、どこかで変わってくるのか現時点では予想できない。そんな“セトリが予想できない”ところも含めて楽しみなツアー。深く青に染まり続ける1ヶ月が始まった。

20190909/9mm Parabellum Bullet“6番勝負”@昭和女子大学 人見記念講堂

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 9mmの15周年企画、6番勝負の5戦目。対戦相手に凛として時雨を迎え、三軒茶屋にある昭和女子大学人見記念講堂にて。6番勝負の中で最大のキャパであり唯一の座席指定の会場での開催となった。

“9mmの日”である9月9日、結成15周年の9mmの日が2019年9月9日、西暦では10年振りに「9」が3つ並ぶというかなりめでたい日付。9mmの2年振りのアルバム「DEEP BLUE」の発売日でもある。卓郎さんが以前出演したラジオ番組で、6番勝負は対戦相手に日付と場所を決めてもらったという感じの話をしていたので、 開催日を“9mmの日”、そして会場を2017年に“TOUR OF BABEL Ⅱ”として9mmがワンマンライブを行い、当時ライブ活動休止中だった滝さんが一時復帰を果たした人見記念講堂を指定したのは時雨側であると考えられる。これだけでも時雨の9mmに対する思い入れが伝わってくる。 

 

同世代である9mmと時雨、どこから話せばいいか分からないくらいこれまでに色々な事があった。何度も対バンしているし、滝さんと中野さんが同じプロジェクトに参加したり(ZiNGやKAT-TUN番組収録のバックバンドなど…)9mmが出演するイベントにDJピエール中野も出ていたり、またメンバー個人の付き合いも深いので挙げていくとキリがない。2マンライブに限ると2008年に“ニッポニア・ニッポン”というツアーを廻り、2014年には時雨の企画“トキニ雨”でも2マンを開催している。

 

 6番勝負、もちろん行ける公演は全てとても楽しみにしていたし、毎回その期待を遥かに上回るほどの楽しさだった。その中でも、正直に言うと時雨との対バンが一番楽しみだった。2019年のライブの中で最も楽しみにしていた。“ニッポニア・ニッポン”も“トキニ雨”も観に行けなかったため、遂に9mmと時雨の2マンを初めて観られる、というライブだったから。また、大変個人的な話になるが三軒茶屋のある世田谷区は自分が生まれてから現在まで長年住み続けている愛すべき地元であり、結成15周年の“9mmの日”というめでたい日に地元・世田谷区でライブが開催されることが本当に嬉しかった。1月1日にその報せを見た瞬間嬉しさで膝から崩れ落ちたほどに。  

 

 

“9mmの日”という特別な日だからか、会場のロビーではモバイル会員向けのスタンプラリー的な企画や、9月9日にリリースされたアルバム「DEEP BLUE」のジャケット柄の記念撮影スポットなどが用意されていた。

入場し自分の座席に着く。この日の座席は上手側。ステージには既に特大サイズの15周年仕様バックドロップが掲げられていて、広いステージの真ん中にぎゅっと集まるようにして時雨3人の機材が用意されていた。

定刻を5分ほど過ぎたところで暗転、3人が登場。  

 

凛として時雨

 

 Telecastic fake show

nakano kill you

DIE meets HARD

High Energy Vacuum

Enigmatic Feeling

DISCO FLIGHT 

laser beamer

感覚UFO

傍観

 

自分の席からはTKは見える、中野さんはTKに隠れてほぼ見えない、345も人の頭であまり見えない、という感じ。ギターを取るために後ろを向いたTKの背中が見えた瞬間に驚きと嬉しさで小さく声を上げてしまった。

TKの背中には、大きな双頭の鷲が描かれていた。 

 

Telecastic fake showからライブが始まる。スティックを振り回し煽る中野さん。アウトロが終わってもTKのギターが唸り続ける。続いてはnakano kill you、手数の多いドラムに合わせるかのごとく照明がストロボのように派手に点滅し、その後も緑・赤・青と目まぐるしく変わり続ける。この、たった2曲の間に普段より多めにシャウトを入れたり間奏で早弾きしまくるTK 、最初から凄まじい振り切れっぷり。

TK がギターを掻き鳴らしダウナーなリズムで始まるDIE meets HARDでは淡い黄緑と“ハチミツ色”の甘ったるい照明がステージに広がる。三軒茶屋の近所にある下北沢に縁のある曲(下北沢が舞台のドラマの主題歌であり、歌詞の内容が下北沢の街を思い起こさせるようだったり、「下北」を連呼しているように聞こえる箇所がある)であるため、世田谷区で凛として時雨がライブをするというただでさえ貴重な機会にこの曲が選ばれたことで、世田谷区でこの曲を聴きたいという悲願が叶った瞬間だった。 

 

ここでTK が「凛として時雨です、よろしくお願いします」と穏やかな口調でひと言、そして再びギターを掻き鳴らす。何の曲だ…?と考えながら観ていると繰り出される高速カッティング、High Energy Vacuum…!!緑と紫の照明が不穏な空気を演出する。曲のテンションに合わせるように片足を上げながらぐいぐいと演奏する345。定番曲やシングル曲が2曲続いた後にアルバム曲であるHigh Energy Vacuum、ワンマンでもないのにこの曲を入れてきたことに驚かされる。

Enigmatic Feelingはシングル曲ではあるが、演奏される機会はあまり多くないため嬉しい選曲。中野さんとTKがタイミングを合わせるようにしながら演奏を始める様子が見えた。一番の盛り上がりだったDISCO FLIGHT、やはりTKが普段の時雨ライブと比べてもかなりテンション高めに見えたのは気のせいか…?シャウトの威力がすごい。最後のサビの「揺れる紫色のDISCO FLIGHT」と歌う345が本当に紫色に包まれる。 

 

曲が終わると中野さんが立ち上がり「凛として時雨です!9mmとは同世代の仲間としてシーンを駆け抜けてきたので…6番勝負に呼んでもらえて嬉しいです!」という感じで大声で元気いっぱいに話し始める。それを聞いて拍手をする345。

「9mmの情報はよくチェックしてるんですけど、前にLINE LIVEをやってて、それにコメントしたりして…どうやら課金してアイテムとかを送ると順位が表示されると。それで2回、1位を取りました!!」

「なのに今日20歳の誕生日を迎えるかみじょうくんがなかなか名前を覚えてくれなくて“エリエール坂田”って呼んでくる…でもまだ20歳だからね。」

※かみじょうさんの誕生日が公式プロフィール上で1999年9月9日(仮)とされているため

「僕は色々SNSをやっていて、345もインスタをやっていて…最近インスタを始めたTKが今からピュンピュさせるんで!!」 

 

ピュンピュンといえばこの曲、laser beamer(レコーディング中のTK のツイートにて“ピュンピュン丸”と呼ばれたことがある)、緑一色に支配された空間をギターで出している音とは思えないピュンピュンが次々と客席目掛けて飛ばされてゆく。中盤、照明の色の関係でバックドロップの赤と黒の部分が完全に見えなくなり、白く巨大な双頭の鷲だけが3人の背後に浮き上がる。こちらを狙撃するようにスリリングな演奏を繰り広げる3人が双頭の鷲を従える光景はとても現実とは思えないもので、一瞬怯んでしまったほど。

そのままセッション的な演奏が続けられる。それだけでどの曲か把握して嬉しくなる。345の思いっきり歪んだフレーズから感覚UFOへ。曲調に合わせ段々と動きが大きくなり、下を向くようにして美しい髪を揺らす345。ライブ序盤から凄まじい振り切れっぷりのTKが更に激しくシャウト、「5・6・7 1・2・3!!!」と絶叫しながら中指を立てる。

 

 感覚 UFOでライブが終わる事も多いので、これで終わりか…?と寂しい気持ちになったがまだ3人はステージにいる。すると先ほどまでシャウトしまくっていたTKがまた穏やかな口調で話し始める。「短い時間でしたが…次が最後の曲です。9mmとは長い間ずっと対バンしてきました。これからも死ぬまで対バンしたいです。」

 

最後の曲は傍観。ステージが暗くなり、赤色が足元から侵食してゆくように広がる。狂気的な赤に照らされて黒い影になる3人。静かな演奏と独白のようなTKの歌声、そこからTKと345がありったけの声量で歌声を重ねる。「消えたい」と絶叫するTK、ステージ前方まで出ていって激しく動き回る345。TKが思いっきりギターを掻き鳴らす間に345と中野さんが退場。ひとりステージの上でギターを弾き続けたTK、演奏を終えギターを投げると最後に右腕を伸ばし、9mmを称えるかのようにバックドロップの双頭の鷲に手を向けるとステージから去っていった。

 

序盤から定番曲で盛り上げつつ最新曲とコアな選曲も入れ、更に感覚UFOと傍観をどちらもやるという素晴らし過ぎるセトリだった。コア曲枠として凄まじいテンションのHigh Energy Vacuumを選んだあたりからも、時雨がどれだけ本気で9mmとバチバチにやり合おうとしたかを感じられて、両バンドのファンとしてこんなに嬉しいことはない。9mmのバックドロップを背負って演奏する凛として時雨、という光景だけでもその嬉しさは言葉ではとても言い表せないほどであった。

 

 

 転換の様子をあまり見ていなかったが、9mmの機材がひと通り用意されたあたりでステージを見ると卓郎さんのアンプはマーシャルのヘッドにOrangeのキャビという今までに見たことのないセッティング、滝さんのギターは最近よく使っている薄いギターではなく、ウルトラトーンのようなボディにSufferのようなネックのギターという、これまた見たことのないものだった。そして長いカーペットを敷いているのも確認できた。1階席だったため、そのカーペットのようなものが何なのかは最後まで分からなかった。後日ライブ写真を見てようやく“9mm Parabellum Bullet”の巨大なロゴだったことを把握した。

 

9mm Parabellum Bullet

 

(teenage)Disaster

新しい光

DEEP BLUE

Beautiful Dreamer

Bone To Love You

ガラスの街のアリス

黒い森の旅人

ハートに火をつけて

Black Market Blues

名もなきヒーロー

ロング・グッドバイ

 

 Punishment 

Lovecall From The World 

 

自分の席からは卓郎さんと滝さんは見える、かみじょうさんは卓郎さん越しに見える、和彦さんはあまり見えない、武田さんは見える時もある、という感じ。1曲目は(teenage)Disaster、最近はアンコールで演奏されることが多いため、久々に1曲目に来たな…と思いながら聴いていた。赤と白が交互に点く照明がとてもめでたい感じ。アウトロはお立ち台でギターを弾く滝さん、カオス音は出さずに原曲通りのメロディーを弾いていた。後から気付いたが、10年前、2009年の9月9日の999(アットブドウカン)も1曲目は(teenage)Disasterだった、だからこの曲を最初に持ってきたのだろうか…。

間髪入れずに新しい光へ、今年のライブから毎回ライブ用の新しいイントロから曲に入る、という構成で演奏されているが、この日はそれが無くいきなり曲へ。このバージョンの新しい光を聴くのは久し振りだった。ステージが柔らかな水色に包まれる。サビ後の間奏、1サビ後は前に出る卓郎さんと滝さん、その後ろでは和彦さんと武田さんがかみじょうさんの前まで出てきて、ステージ中心に5人集まるようにして一斉にギター・ベースのネックを上げる。それが終わると和彦さんと武田さんは同時にかみじょうさんの前から離れるという、美しいフォーメーションを見せる。変わって2サビ後は卓郎さんが和彦さん寄り、滝さんが武田さん寄りに移動。すると武田さんがこちらから観るとちょうど滝さんの真後ろに付くような位置まで移動してそのままネック上げを。この曲の時には武田さんがよく見えて、曲中に顔を伏せるようにしてネックを上げながら弾き、直後に顔をこちらに向けると素敵な笑顔を見せる。曲中に卓郎さんが「東京!!!」と叫んでくれたのが東京の人間としては堪らなく嬉しかった。

続いて演奏されたイントロ、ライブで聴いたことない曲だ…?と思ったらこの日が発売日である新しいアルバム、「DEEP BLUE」収録の表題曲、DEEP BLUEだった。何の前置きもなく演奏されたことに驚きながら聴いていた。タイトルに合わせるように濃い青に染まるステージ。ひとつ前の新しい光の時からグラデーションのように変わるステージの様子が鮮烈。まだアルバムを聴き込んでいないためほぼ第一印象という感じだが何だか爽やかさを感じるような。これからツアーで聴き込むうちにこの印象がどう変わってゆくのかが非常に楽しみになる。ライブで披露されたのが初めてだからかフロント4人の動きは控え目なようにも見えたが、かみじょうさんは腕と頭を大きく振りながら叩いていた。 

 

ここで最初のMC。卓郎さんが話し始める前に謎の音がすると笑い声が起きる。こちらからだと状況がよく分からなかったが、曰く「話すより先に喉が鳴っちゃった!」と。なるほど。対戦相手である凛として時雨について「リハから観ていて、凄いとかかっこいいの向こう側でもはやウケました」と言う卓郎さん。おれたちも何かの向こう側に行きたいです、とも。

滝さんは新しいギターだからか、曲中や転換中に何度か音を調整しているようだった。演奏の合間にマイクの位置も何度か直していた。 

 

卓郎さんがひと通り話し終わると演奏へ。ギターのクリーンなサウンドが大きな空間にふわりと広がる。アルバム「DEEP BLUE」から続けてもう1曲、Beautiful Dreamer!イントロやサビ後のギターのメロディーは滝さんと武田さんがユニゾンで、サビの早弾きフレーズは武田さんが弾いていた。MVや音源でもこの曲の力強さは伝わってきていたが、目の前で聴くとそれは予想以上のものだった。

次の曲は6番勝負で毎回セトリ入りしているBone To Love You、滝さんはイントロからゆらゆらと小さく頭を振る。間奏の後、一気に速くなるパートに入ると和彦さんがかなり大きく動き回るのが見えた。ガラスの街のアリスでは2番の歌詞を「透明な“9月”の星を指でなぞったよ」と歌詞を変えて歌う卓郎さん。

徐に何となくどろどろとした音が奏でられ始め、次の曲は何だ?と考えていると、暗闇に一筋の光が射すように滝さんの澄んだギターの音が入ってくるという素晴らしいアレンジから黒い森の旅人。照明には緑ではなく青が使われていたことで夜明け前の森の雰囲気が出ていた。自分が上手にいたからというのもあるかもしれないが、武田さんのブリッジミュートの分厚さがよく伝わってきてとても心地よく聴いていた。サビに入るとかみじょうさんが大きく頭を振る度に耳元がきらっと光っていた。おそらく、ピアスに照明が当たって光っていたと思われるが、普段ならそんな細かい部分が見えることもなかなかないので些細な事ではあるがはっきり記憶に残っている。この日は最後のサビ前のスネアにはリバーブがかかっていた。やはりこの曲はホールが似合うな…と、思いセトリに入ったことを喜びながら聴き浸る。 

 

「10年くらい前に“ニッポニア・ニッポン”というツアーを廻ったんだけど…ニッポニア・ニッポンってどういう意味か分かる?…トキのことです」何故トキだったかというと、あの時に9mmや時雨のような音楽をやってるバンドは珍しかったので、両者とも絶滅危惧種みたいだということで。

時雨の音楽について「さっきも袖でライブ観てたけど……自分が持っているけれど気付かないような感情を表してくれるような時がある」という感じの表現をされていた。9mmも時雨と同様であると。両者の違いについて「温泉で例えると肩に効く、とか腰に効く温泉、みたいな…」と言うと客席にたくさんの「?」が浮かんでいるような空気に。それを見た卓郎さんが「こういうのが迷MC…“迷う”の方の迷MCって言われちゃうんだよね笑」と続ける。

「10年前にはBlack Market Bluesという曲ができて…」

「おれたちも10年生きました!!」 

 

そんなMCがあったので次はBlack Market Blues…?と思いきやハートに火をつけて、間奏で左にスライドする和彦さん・卓郎さん・武田さんとお立ち台の上でギターのネックを大きく左に振る滝さん。次に続いたのがBlack Market Bluesで、卓郎さんが「昭和女子大学人見記念講堂に辿り着いたなら!!」と歌詞を変えて歌っていた。「迷える子羊たちが~」の部分で下手に視線を映すと、この日も和彦さんがベースを高く掲げ、自身の左胸をトントンと叩くと思いっきりベースのボディを叩いていた。

そのままほぼ音を途切れさせることなく演奏が続いていたような気がする。今までに聴いたことのないメロディーだったので何の曲だ…?と考えながら聴いていた。卓郎さんと滝さんがお互いに様子を確認するように顔を合わせると次に滝さんが同じく様子を確認するようにかみじょうさんの方を見る。こちらからだと最終的に卓郎さん・滝さん・かみじょうさんが向かい合って演奏を合わせているように見えた。そんな中でピンクの照明が一筋ステージに入ってきたところでようやく何の曲か気付く。名もなきヒーロー!リリースして僅か5ヶ月ほどの新曲に、もう新たなアレンジを!?そうして少し長めのイントロが演奏されてから曲へ。この曲で驚いたことがもうひとつ。間奏でかみじょうさんが音源と違うフレーズを叩いていたように見えたこと。ドラムに関してはど素人なので自信はないが、明らかに手数が多くなっていたり、ギターのメロディーをなぞるように叩いていたような。「守りたいものにいつも守られているんだね」と歌う卓郎さんは優しい眼差しで客席の遠くの方を見ていた。

本編最後の曲。滝さんの元気なタッピングの音が響く…ロング・グッドバイ!最後のサビ前では滝さんが思いっきり勢いをつけて、ギターのナットとペグの間を鳴らす。生き生きと演奏する5人の姿を観ながら頭の中では、かつて観た光景を思い出していた。 

演奏が終わると武田さん、滝さんがまず退場。卓郎さんと和彦さんはステージ前方まで出てきて客席に向かって短めにお手振り。その間にかみじょうさんがドラムセットの方から出てきて、ひらひらと手を振りながら上手から下手へ、悠々と歩いて退場。

 

客電が点き、アンコールの手拍子がしばらく続くと再び暗転。まず出てきた卓郎さんはステージ上を歩いている間、ずっと2階席に視線を遣り手を振ったりしていた。2階席のみんなのことも見てるよ!と伝えるかのように。

「かみじょうくん20歳おめでとう!」と卓郎さんが言うと、かみじょうさんは何?と言いたげに目を丸くして卓郎さんを見つめ、(かみじょうさんから見て)右のイヤモ二を外すと背中を丸め、「何言ってるか全然分かんない、ごめんな~」とドラム用のマイク?を使って返す。卓郎さんが再度かみじょうさんに「おめでとう!」と言うとようやく聞き取れたようでかみじょうさんが卓郎さんに向かってOKのサインを手で作ったり、投げキッス的な動きをしていた。

 卓郎さんとかみじょうさんが話しているのに気を取られていたが、この時ステージ上にいたのは卓郎さん、滝さん、和彦さん、かみじょうさん…武田さんがいない。4人で演奏するようだ。これまでには「4人でやります」と卓郎さんが宣言してから演奏に入る、ということもあったが今回は特に何もなく演奏へ。“4人で演奏する時もある”というのが徐々に“普段の流れ”に近づいているのだろうか、と考えると嬉しい。

 

滝さんが静かにギターを弾き始めればどの曲かすぐ分かる。穏やかなイントロから滝さんの爆速カッティング、Punishment が始まる!滝さんは早弾きも交えながら弾いていた気がする。そして卓郎さん・滝さん・和彦さんが同じメロディーを重ねる間奏の無敵感!!

この日最後の曲はLovecall From The World、滝さんはこの日も卓郎さんと一緒に最初から最後まで熱唱していた。本編でもそうだったが、滝さんはTシャツの裾からお腹が見えてしまうくらい高く腕を上げ、ギターを掲げるところが何度もあった。アウトロでは和彦さんがシャウトを入れた後にベースを軽々と振り上げ、思いっきり動き回っていた。1分足らずのこの曲で残ったエネルギーを全て出し切るように音を叩きつけ、演奏が終わる。 

うねる様なベースの音がまだ残る中、早々と退場する滝さん。卓郎さんと和彦さんは下手、上手、真ん中と客席を見て挨拶しながらピックを投げる。かみじょうさんは頭の上で両手を合わせ、その状態で軽く振るようにしながらゆっくり歩いて袖に消えていった。最後に卓郎さんが万歳三唱、から丁寧にお辞儀をし、客席に笑顔を向けステージから去っていった。

 

 

最初にも少し書いたが、人見記念講堂は2017年7月に9mmモバイル会員限定ワンマンライブ“TOUR OF BABEL Ⅱ”を開催した会場である。当時9mmのライブ活動をお休みしていた滝さんが、数ヶ月振りに9mmライブへの復帰を果たした公演。滝さんが久々に帰ってきた“4人の9mm”で、アンコールにて2曲、新しい光とロング・グッドバイを演奏した。

だから、もしかしたら2年前のことを思い出して過剰に感情的になってしまうかもしれないな…と少し懸念していたが、自分でも驚くほどフラットな気持ちでライブを観られた。良かった。新しい光もロング・グッドバイも両方セトリに入れたのは、やはり2年前のことを意識したのだろうか。どちらの曲も聴きながら2年前の光景を思い浮かべ、それからたった2年後の現在、滝さんが全ての9mmライブに出演できるまでになったことを嬉しく思った。思いのほかフラットな気持ちでいられたとはいえロング・グッドバイのイントロを聴いた瞬間は静かに涙が零れた。

 

9mm Parabellum Bulletと、凛として時雨。彼らが登場した頃に「2000年代後半の突然変異型バンド」というアイキャッチを読んだ記憶がある。その言葉通りにカテゴライズ不可能なバンドが台頭していた世代。同世代の中で当時と同じ形で活動を続けられなくなったり、解散や活動休止を余儀なくされたバンドもいる中で卓郎さんの言葉通り9mmも時雨もずっとバンドとして生きて、TKの言葉通りずっと対バンしてきた。

ここ最近では「9mmと時雨」としての対バンなどの機会は少なくなってしまったが、盟友、を通り越して最早家族のようにも思える関係なのは変わらない。普段から9mm愛溢れる中野さんが元気いっぱいに15周年を祝い、普段あまりライブで喋らない(この日のTKは普段のワンマンより多めに喋っている)TKは穏やかな中に9mmへの親愛と敬意が込められた言葉を贈った。また、中野さんは何を着ているのか残念ながら確認できなかったが、TKは黒のバックドロップTシャツ、345は黒の6番勝負Tシャツと9mmのものを身に着けてステージに立ったことからも9mmへの愛が伝わってくる。

TKが言っていた「死ぬまで対バンしたい」という言葉が心の底から嬉しかったのは、9mmと時雨がこれからもずっと盟友で居続けることはもちろん、死ぬまでバンドを続けるという意志が込められたものでもあったから。

 

 

振り返ってみれば、時雨だけでなくこれまでの6番勝負の対戦相手も同じだった。9mmと長く付き合い、お互いに敬意を持ち、幼馴染のような間柄の同世代バンド。avengers in sci-fithe telephonesUNISON SQUARE GARDEN。これから対戦するTHE BAWDISもそうだ。アルカラは厳密に言うとちょっとだけ上の世代で、9mmとはここ数年で仲良くなったとはいえもはや運命共同体と言えるような特殊な間柄であり、太佑さんの言葉を借りると「思春期ぐらいから付き合い始めた」、とても濃い付き合いの盟友。

それぞれの対戦を観ながら、月並みな感想に聞こえてしまうかもしれないがこんなにも変わった音楽を生み出す人達が集まり、高め合って第一線で活躍し続けている面白さと、それを観続けられている嬉しさを実感した。

 

 

アルバム「DEEP BLUE」の発売日であることから、MCでは卓郎さんが「今言いたいことは全てアルバムに入っているのでたくさん聴いて下さい」と言っていた。6番勝負が終わるとすぐに「DEEP BLUE」のリリースツアーが始まる。今年は6番勝負を含め様々な15周年記念企画で9mmがここまで続いてきたことを祝う節目、という気持ちが強かったが、ここからはまた新しい9mmの、その先を観に行くんだ、という気持ち。これから「DEEP BLUE」の中に深く潜りながら、もうすぐ始まるツアーを楽しみに待っている。

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