最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20260612/9mm Parabellum Bullet “F.A.D30周年シリーズ 9mm Parabellum Bullet ONEMAN LIVE” @F.A.D YOKOHAMA

       

オープン30周年を迎えたF.A.Dが、2026年6月を30周年イベント月間として様々なライブを開催、その一環で結成当初から現在に至るまでF.A.Dに何度も出演している9mmがワンマンライブを開催。

リリースに関連しないワンマンなのでセトリの予想がつかないながらも場所柄初期曲が聴けるのではと期待。入場して下手側の段上に場所を取りステージを見るとF.A.D30周年のロゴが描かれたバックドロップが掲げられていた。19時ちょうどに場内が暗転し滝さん、和彦さん、卓郎さんが登場。

 

(teenage)Disaster

Black Market Blues

踊る星屑

Heat-Island

太陽が欲しいだけ

All We Need Is Summer Day

サクリファイス

インフェルノ

レーゾン・デートル

The Revenge of Surf Queen

Keyword

Domino Domino

幻の光

The World

カタルシス

Baby,Please Burn Out

Termination

叫び -The Freedom You Need-

Talking Machine

Wildpitch

 

The Revolutionary

Punishment

 

滝さんがドラムセットのハイハット側に置かれたパッドを叩いてからカウントを入れて演奏されたのは9mm最初期の曲(teenage)Disaster、期待通りの選曲をいきなり聴けてしまった。続くBlack Market Bluesでも〈Flower and Dragonに辿り着いたなら!!〉と卓郎さんがF.A.Dの正式名称を早口で入れて歌っていたことに結成時からの付き合いであるF.A.Dに捧げるセトリというような特別感があった。真っ赤な照明が青色へ切り替わった踊る星屑では最後のサビ前に卓郎さんが「横浜!」と煽りフロアを一層盛り上げていた。初期曲→定番曲→新しめの曲、と序盤にして絶妙な選曲の構成に唸ったところで僅かに間を空けて滝さんの速いカウントからHeat-Islandの演奏が始まるとフロアのあちこちからどよめきの声が漏れた。滝さんのパンク感ある叩き方でのHeat-IslandがF.A.Dと相性がいいような気がした。

 

ここで最初のMC。この時だったか「F.A.Dはオーディションからライブ出ていて、最初は面白い対バンに出させてもらえなくて、Lizardに行くかって(笑)」という卓郎さんの暴露に和彦さんが人差し指を口に当てシーッ!というジェスチャーで返すとマイク通さないで言えばいいか、と卓郎さんがマイクから離れていったが、既に閉店してしまっている系列店のClub Lizardの名前も出しながらそんなことを言えてしまうくらいに関係の深い場所であることがよく伝わってきた。

 

この日は午後に雨が降ったからか、卓郎さんの「お足元の悪い中お越し頂きありがとうございます。こんな時に欲しいのは太陽だよな!!」というような煽りから演奏された太陽が欲しいだけ が盛り上がらないわけがない!観客がミチミチに詰まったフロアで〈さあ両手を広げて全てを受け止めろ〉の一節でたくさんの手が上がった光景は圧巻で、卓郎さんもその光景を笑顔で見ていた。太陽が欲しいだけ からAll We Need Is Summer Dayへという見事な流れにフロアから〈All We Need Is Summer Day〉と元気な大合唱が巻き起こり1番のサビ終わりでは卓郎さんが「夏を先取り!!」と叫んだ。

サクリファイスは原曲よりキーをやや下げての演奏、終始力強い歌と演奏だったが最後の〈足掻き続けて 生き抜いてみせるだけ〉の一節を卓郎さんが歌声と表情により一層の力を込めて歌い上げていた様子に胸を打たれた。サクリファイスからインフェルノへ、ベルセルク主題歌を続けて聴けるという豪華な流れ。〈運命を喰い破れ いくらでも悪あがけ〉という一節につい今の9mmの姿を重ねながら聴いてしまった。

 

インフェルノでのバスドラ連打など激しい演奏を披露した滝さんが、卓郎さんと和彦さんのチューニング中にひと息つくような仕草をしながら水とお酒を交互に飲んでいた。暑い!とも言っていたようでステージ上の熱気がどれほどか窺えた。

「サクリファイスとインフェルノ、カタカナシリーズで。ベルセルクの方じゃなくて(笑)」と戯けた卓郎さん。カタカナシリーズとして新曲のレーゾン・デートルの話になり、作ったのは去年でライブではやっているけど、F.A.Dに新曲を染み込ませないといけないからね、と会場への愛着を感じる話からこの日の9曲目にレーゾン・デートルを披露し、F.A.Dのフロアに決意表明のようにも感じられる勇ましい演奏を響かせた。

それに続いたのが何とThe Revenge of Surf Queenでイントロが始まった瞬間驚きの声を漏らした。曲が始まって観客が手拍子する様子に笑顔を見せた和彦さんが、手拍子が終わるとキリッとした表情になって演奏し、また途中で手拍子が起きると再び表情が緩んで笑顔でフロアの様子を見る…という変化にこちらも笑顔になった。和彦さんがそれほどフロアの様子をよく見ているんだなというのが伝わってきた。中盤のギターソロのような部分では滝さんのギター音源に重ねるように、ステージ真ん中のお立ち台へ出てきた卓郎さんがソロパートを弾いていたのがものすごく良かった。

The Revenge of Surf Queenから音を切らずに“激つなぎ”でKeywordへというこれまた予想外の流れ、間奏のギターソロでは前半は滝さんのギター音源、後半は卓郎さんがそれに重ねるようにソロパートを弾いてタッピングまで披露し喝采を浴びた。Keywordのアウトロから滝さんがバスドラを少しテンポを落として踏む音がしばらく鳴り響いてからDomino Dominoへと続き、かっちりとしたリズムが心地よかった演奏を聴きながらこの会場で観た「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」のリリースツアーを思い出していた。

 

「耳のいい人は気付いたかもしれないけど、滝のギターを録り直しました。6月のライブ分から。」と卓郎さんから衝撃の告白があった。こないだ名誉会長が来賓して…と言いながらギターの音がよかったことを褒めてもらえたと武田さんの口調を真似しながら話していた。

これからは5人編成もやっていくけど3人編成の方が自由な感じがある、というような話から、音源でアコースティックギター入れている曲はアコギも入れちゃえばいいんだ!と言ったり、それをライブで聴かせることを人体実験と呼んで笑いを誘ったりしながら演奏が始まった幻の光 ではイントロで繊細なアコギの音が鳴り、曲が進むと会場の特性もあるのか生演奏が爆音だったのでアコギ音源の音はほんのり聴こえる程度になったが、その音色と卓郎さんの柔らかな歌声でCD音源の儚さもあるようなイメージに今までよりも寄った新しいアレンジが聴けたのは嬉しかった。〈さよならさえ告げないうちに消えた〉の一節を今歌われるとまだ寂しくなってしまうのも正直なところだった。

相変わらずライブアレンジのイントロが美しいThe Worldは曲の後半〜終盤になるにつれドラムを筆頭にどんどん演奏が激しさを増し、繊細な印象もあった幻の光 からグラデーションのように音色が変わる様が素敵だった。

不穏な雰囲気を作り出すような音が鳴ってから演奏されたのはカタルシス。3人体制になってからのカタルシスは以前一度聴いたが、その時よりも中盤の展開などドラムの緩急がかなりくっきりとしていて滝さんのドラム経験値がものすごいことになっていて、短期間での滝さんのドラマーとしての進化を目の当たりにして圧倒された。

 

ここで卓郎さんが何を話していたか失念してしまったが、卓郎さんが話している間に滝さんが、それまで被っていた黒いキャップを「いいちこ」と書かれた緑色のキャップに変えていた。

「いけるかーー!!!」とフロアを煽ると力強いドラムにベース、ギターと音が重なっていくBaby,Please Burn Outへ。イントロや間奏、サビの要所要所やライブも後半に入り完全に温まったフロアから\オイ!!/と声が上がった。Baby,Please Burn Outから“激つなぎ”でTerminationへと続いたのでフロアが更に爆発的に盛り上がり、サビでは大合唱が巻き起こった。間奏ではここでも卓郎さんがギターソロを披露、この時だったか和彦さんが卓郎さんを見て!と言わんばかりに指差して見せ場を目立たせていた。音源を再現したかのようなギターの音から入った叫び -The Freedom You Need- のイントロに再びF.A.Dでリリースツアーを観た時のことを思い出したが、間奏で演奏を一時停止せず事前録音のギターを生かしてほぼ音源と同じ構成で演奏されていたのがこの編成ならではだった。続くTalking Machineは滝さんのドラムからライブアレンジのイントロへ続いたが3人編成になってからこのアレンジで聴けたのが自分は初めてだったので、ギターを録り直したことでまたできるようになったんだなと驚いた。ただでさえ盛り上がる曲だけれどアウトロに入るとフロアの爆発的な盛り上がりに呼応するように滝さんがバスドラを多めに連打する激しい演奏になっていった。

Talking Machineで本編が終わってもおかしくないような雰囲気だったが滝さんのカウントと和彦さんのシャウトからWildpitchへ!間奏では滝さんのギター音源&卓郎さんのギター演奏によるツインリードに途中から更に和彦さんのベースもハモって全員リードという状態になっていたのがとにかくものすごく良くてライブアレンジの長いアウトロまで興奮しきり。

 

演奏が終わって3人が退場し、少し長めにアンコールの手拍子が続くと黒っぽいTシャツから白いTシャツに着替えた卓郎さん、キャップを「いいちこ」から「下町のナポレオン」と書かれたものに変えた滝さん、そして和彦さんが再びステージへ。

卓郎さんが、これから9mmが初めて対バンするバンドとかとライブすることがあったら応援しに来てください、と対バン多めの今後のスケジュールに触れたり、下手にあるバーカウンターの方を見ながら「その辺に貼ってあると思うけど、30日間休みなくライブをやるって、すごいよね!ASPARAGUSの忍さんは3回出るって、アスパラ、キャプヘジ、キャプヘジで(笑)9mmも3回出たいよね!」と言いつつ、建物の取り壊しなどでなくなるライブハウスもある中で30年続くのはすごいことだ、とF.A.Dを讃えるような言葉もあった。

 

この日のアンコール1曲目The Revolutionary にはF.A.Dの30周年を祝うライブに相応しい晴れやかさを感じてより清々しい気持ちになった。〈世界が変わっても おれはおれのままさ〉の部分を歌った卓郎さんがびっくりするほど柔らかくてとびきり優しい笑顔だったのが忘れられない。卓郎さんと滝さんが溌剌と歌い上げるサビから間奏に入ると和彦さんがドラムセットの横へ移動し、ギターソロを弾く卓郎さんをリズム隊の滝さんと和彦さんが後ろから支えるような構図に見えたのがとてもよかった。

この日最後の曲はPunishment、ライブアレンジのイントロ部分で滝さんが片手でドラムを叩きながらお酒を飲み、空のカップを投げてから手数の多い演奏に入るという気合の入れようで、卓郎さんがギターを掻き鳴らし和彦さんが爆速フレーズを弾きまくり滝さんは同期の音を追い越しそうな勢いでドラムをぶっ叩き最後の最後までフロアを沸かせた。

 

演奏終わるとヘッドホンを投げるように取った滝さん、フロアに流れるお馴染みのMy Wayに合わせてドラムを叩くとそれを聞いた卓郎さんも乗っかってマイクを通してちょっと歌ってくれた。滝さんが退場、和彦さんもフロアにピックを何枚か投げて退場しステージに卓郎さんがひとりで残ると、ステージ中央で万歳三唱をやってからオフマイクでMy Wayを気持ちよさそうに歌っていた(もしくは歌うフリをしていた)のでかなりレアな光景を見られてしまった。最後にありがとうございました!とフロアに笑顔を見せて退場していった。

 

 

9mmが3人編成になってから半年くらい経ち今後5人編成でライブをやる日もあると発表されている中、この日卓郎さんが言った「6月のライブから滝のギターを録り直した」という話が本当に衝撃で、ライブ用のギター音源を録ることがかなり大変だったと滝さんが言っていたので、それをもう一度ワンマン一本分やったということが驚きだった。ギターを音源で流すスタイルを自由だと捉え新しくアコギを入れるという柔軟さも取り入れ、「9mmを続けるための3人編成」というところから短い期間でどんどん演奏やアレンジを磨き上げて進化していく様子を見られたことは純粋に楽しかったし、やはり3人のライブに対する執念も感じた。

卓郎さんが間奏などでリードを担う曲も増えたような気がしてそのような見所も多くなっているのが凄い。どの曲でのことだったか失念してしまったが、卓郎さんがステージ真ん中でギター弾いた後に、ギターで撃ち抜くかのようにフロアにヘッドを向けた瞬間がとてもかっこよかった。

 

どのあたりだったか、最近卓郎さんが 当たり前のように身の回りにあるものをおすすめする遊び をやっていると言っていた時があり(今発見したかのようにスプーンっていいよね!とか電車ってすごい…というリアクションで言い合うらしい)そうするとだんだん感動の閾値が下がってきて、F.A.Dおすすめだよ!9mmおすすめだよ!とおすすめしやすくなるよ、というような話になっていった。

 

中盤のMCのどこかで、卓郎さんが「滝と和彦にF.A.Dの思い出で言えるやつで何かある?と聞いてみた。」と話し始め、滝さんは昔対バンしたバンド(確かモンゴル◯◯みたいな名前だった)の曲だと言ったそうで、卓郎さんに促されるとドラムを叩きながら、

 

〈就職活動したくな〜い 就職活動したくな〜い 就職活動したくな〜い IT企業に入 れ て く れ!〉

 

という感じの歌詞を歌い始めてフロア爆笑、から滝さんの珍しいドラムボーカルに拍手喝采。それと、F.A.Dの落とし物の中からセパルトゥラのTシャツをもらったことがあるが、以前KEMURIと対バンした際にKEMURIのメンバーの方とそのTシャツが被った話もしてくれた。

和彦さんはF.A.Dに忘れ物を取りに来たらその日がPOLYSICSのライブでメンバーの素顔を見てしまったこと、を挙げていた。卓郎さんは以前対バンしたパンクバンドがMCに困ったのか、悟飯を守るピッコロさんのモノマネをしていたこと(ちょっと似てたらしい)を話し、和彦さんも覚えてる!というリアクションを取っていた。

 

終始卓郎さん達のF.A.Dへの愛着が感じられて、9mmとF.A.Dの微笑ましい思い出話や今は無き系列店のClub Lizardの名前を久し振りに聞けて、F.A.Dの30周年を祝うめでたい雰囲気もあったのが特別感あって楽しいライブだった。9mmの次のツアーでもF.A.Dでの公演が決定しているのを思い出しまた近いうちにF.A.Dで9mmを観られると嬉しい気持ちになった。

20260317/9mm Parabellum Bullet “Live「E」2026” @CLUB CITTA'

    

2026年の317=9mm結成記念日は、これまでにリリースされた楽曲の中で収録曲順が偶数(Even=偶数)の曲のみを演奏する“LiveE2014年の武道館公演以来12年振りに開催。

昨年99日には“LiveOを開催していてその対となるライブだが、昨年と違い9mmの体制が変わるというまさかの事態があったためどんなライブになるのか予想がつかないまま当日を迎えた。

 

場内に入るとステージには大きな会場用の巨大なバックドロップが既に掲げられていた。下手側の一番端、スペースを区切るための柵があったところに場所を取り3人とフロアを斜めから見るような位置を取った。

19時を少し過ぎたあたりで場内が暗転しSEDigital Hardcoreが鳴り響くとまず滝さんが、続いて白いロンTを着た和彦さん、和彦さんと同じ柄の白い半袖Tシャツを着た卓郎さんがステージに登場。

 

名もなきヒーロー

Survive

Lost!!

Grasshopper

Vampiregirl

One More Time

Cold Edge

Story of Glory

レーゾン・デートル

誰も知らない

The Revenge of Surf Queen

Snow Plants

Domino Domino

Muddy Mouth

命ノゼンマイ

カタルシス

煙の街

Scenes

君は桜

The Revolutionary

叫び -The Freedom You Need-

Talking Machine

 

Discommunication

Punishment

 

 

9mm22周年は名もなきヒーローで幕を開けた。〈新しい季節だから〉という一節がこの時期にもよく合う選曲で、ピンクと水色を基調として差し色に赤を使った照明がいつも通りにステージを彩る中、

〈勝ち目が見当たらなくたって 逃げたくないから笑ってんだろ〉

〈明るい未来じゃなくたって 投げ出すわけにはいかないだろ〉

など歌詞のあらゆる言葉が今の卓郎さん達の気持ちを表しているようにしか思えなかった。名もなきヒーローから音を切らずに激つなぎで何とレア曲Surviveへと続いてびっくりしたが〈そして心決めて走る 谷底への道のりも〉など名もなきヒーローからの流れでこの曲も今は3人で活動すると決めてステージに立っている卓郎さん達の覚悟を感じるような選曲に思えた。

それに続いたのが一転して歌詞に強烈な迷いの言葉が並ぶLost!!で、今度は新体制の9mmに対して様々な気持ちを抱えている自分の心がかなり刺激されてしまったが、1曲目から笑顔を見せたり気合を込めるようだったりと表情を変えながらここまでドラムを叩く滝さんの姿やサビで〈おれが向かってんのは「クラブチッタに決まってんだろ!!」〉と歌詞を変えて歌い歓声を浴びる卓郎さんの姿は頼もしく、何か意味があるわけではなくただ偶数曲だからやってるんだと気持ちを切り替えて演奏の様子を観ていた。イントロでまた驚かされたGrasshopperはつい作曲者である和彦さんに釘付けになったが、1番サビ後にベースでメロディーを弾く和彦さんにスポットライトを当てて演出でも和彦さんを目立たせている場面があった。間奏でもそのまま和彦さんを観ていると急に和彦さんが上手側を指さしたのでそちらに視線を移すと、ギターソロの途中から卓郎さんが同期に重ねるようにソロパートを弾いていた。

 

ここで最初のMC。十何年振りかのLiveE」開催でと卓郎さんが話し出すとフロアから聞こえてきた大雪で行けなかった!という大きな声に卓郎さんが反応したが、他にも大雪で行けなかった組の人いる?とフロアにいる全員に話を振って手を上げてもらっていたのが優しかった。全然気付かなかったが、ここまでアルバムの2曲目の曲しかやってないことが明かされて2曲目縛りでこんなにすごい選曲になるのかと目を丸くしていると卓郎さんが作曲者たちがいますから、と笑顔で言い

「滝が言うには、2曲目にハズレなし。」

「和彦が言うには、2曲目は偶数界の1曲目だから。」

と嘘か本当か分からない言葉で会場を和ませた。

 

まだ2曲目を演奏したい、的な前振りから演奏されたのは「VAMPIRE」の2曲目であるVampiregirl 、間奏のギターソロ後半では卓郎さんが同期のギターの音にハモるようにメロディーを弾いていた。「TIGHTROPE」の2曲目であるOne More Timeではサビで定位置より少し前に出てきた和彦さんがフロアのあちこちを見ながらやれんのか?と言わんばかりに煽り、フロアから大合唱が返ってくると満足気な笑顔を見せていた。その後間奏で和彦さんがドラムセットが乗っている台に座って演奏していたのはこの時だったか。間奏に入る時に卓郎さんが「滝ちゃーん!!」と言わなくなったことにはまだ慣れることができない。フロアに\オイ!/と元気な声が響いたのは「Revolutionary」の2曲目であるCold Edge、間奏では和彦さんが姿勢を屈め「川崎ーー!!!」と思いっきりシャウト。

真っ青な照明が一瞬で赤に変わりイントロでついハッとしてしまった「BABEL」の2曲目であるStory of Gloryはリリース時の、9mmが今とは違った困難と立ち向かっていた状況を思い出して無意識に構えてしまった。卓郎さんが少し柔らかい声で歌った〈ちょっとだけほっとして吐いた弱音〉の一節を聴いた瞬間、2月の五反田ワンマンで卓郎さんが

「おれは普段は全然緊張しなくて、ライブもたくさんやってきたからライブでも全然緊張しない。」

「でも3人でみんなの前に出るのは、ちょっと、怖かった。」

と言っていたのを思い出して涙が止まらなくなった。その後にドラムを叩きながらほとんど叫ぶように〈おれたちは今夜無敵なんだ!!!〉と歌った滝さんの姿にも胸を打たれた。

 

ここまで演奏した8曲全てアルバムの2曲目だったので、「でも偶数には2以外もありますから。おれは数字には強いから。みんな知ってた?0って偶数なんだよ。」と卓郎さんが言うとフロアが何となくそうなんだ〜という雰囲気に包まれた。

「新曲をやりたいんだけど、まだリリースしてないから0曲目ってことで、今日演奏してもいい。シングルになったら奇数だしアルバムの曲順が奇数になっても後から怒らないでね(笑)」

 

そんな捩じ込み方があまりにも盲点だった新曲レーゾン・デートルをしっかり9曲目に披露。歌詞が聞き取れるようになると今までの9mmとは少し違う雰囲気の口調に意外さを感じるが、真っ直ぐに突っ走るような曲調と聞こえてきた〈正面突破で〉や〈茨の道を行く〉のような単語にはやはり覚悟を決めて止まらずに活動を続けている3人そのものを歌った曲のように思えてしまう。激しいドラムのフレーズから始まったのはレア曲誰も知らない、しかも2023年頃に披露されていたイントロが音源よりも手数の多いバージョンという予想外の選曲とアレンジ!卓郎さん作詞・作曲の誰も知らない もセトリに入れて偶数曲という縛りがある中でも和彦さん・卓郎さんが作った曲もしっかり聴けたのは嬉しかった。

爽やかな水色の照明がステージを照らしまさかこの体制でやるとは思わなかったインスト曲The Revenge of Surf Queenのイントロが始まって驚いていると卓郎さんが「間違っちゃった!」と音を止め、ひと呼吸置いてから滝さんがオフマイクでいきますよー、と言ってカウントを入れてから再度演奏へ。自分のいた位置の関係かこの日同期で流れるギターの音が少し小さめだったので、後半あたりで卓郎さんが同期のギターに重ねるようにメロディーを弾いていた部分がよく分かった。

 

このあたりだったか。フロアから「ステージ撮ってる人がいる!」とまた大きな声が聞こえてきて、卓郎さんが「いい趣味してるじゃん〜。撮らないでね、撮っていいバンドもあるけど。頼んだよ。」と険悪な雰囲気にならないように、かつピシャリと注意して場を収めていてさすがだった。

 

卓郎さんが次の曲をやろうとしちゃった、季節感がだいぶ違った、というようなことを言ってから演奏されたのがSnow Plantsで納得。感傷的になってしまいそうな歌詞に穏やかなベースラインや粉雪の舞のようなメロディーと思いきや後半になるにつれドラムがかなり力強くなり猛吹雪のような演奏に。バスドラムのリズムに次の曲を察し天井のミラーボールを見上げると、ベースのフレーズが始まると同時に照らされたミラーボールがフロアいっぱいに光の粒を散らす、リリースツアーと同じ演出でのDomino Domino。久し振りにライブで聴けた嬉しさもあったが個人的に好きな一節〈僕は 願いの あきらめ方を 知りたい〉を今この状況で聴くのはとても辛かった。

フロアが明るく輝いていたDomino Dominoから暗くなって赤一色になったステージからベースの重たい音が響くともはやいつ振りにライブで聴けたか分からないくらいのレア曲Muddy Mouthへ。ギターの音源も流しているとはいえ3人でもかなりの爆音で、特にベースの歪んだ音はかなりの迫力があり完全に圧倒される演奏だった。

だいぶシリアスな雰囲気になった中で卓郎さんが「次の曲に行く前に…Muddy Mouthが何年振りだったか知ってる人あとで教えてください。」と言うのでちょっと気持ちが和んだが、ここから更にディープになっていくというような煽りから始まったのが命ノゼンマイ、新体制ではまだやらないだろうかとぼんやり考えていた曲がまさかのセトリ入り。卓郎さんのゆったりとした歌声と曲が進むにつれとんでもない轟音がフロアを埋めていくように広がった。更にカタルシスまでそれに続いて驚愕、ドラムの手数が多いこの曲を滝さんが時々歯を食いしばるような表情で懸命に演奏していた。今までのライブでも観たことがあっただろうか、というくらいのものすごい流れに決定打を放つかのように煙の街まで演奏され、驚きとともに聴けて嬉しい気持ちや曲調に引っ張られてかなり食らってしまったりと色々な気持ちが激しく混ざりながらステージの様子を見て、ただただ立ち尽くすしかなかった。アウトロの最後にドラムの音が一発、ダンッ!と鳴ったところで我に返った。

 

ここでのMCを失念してしまったが、この辺りだったか、卓郎さんが今年に入ってからライブで40曲ぐらいやったと言うと後ろを向いて滝さんに確認して「43曲か!そうだね、録るね、って。」とこの短期間でアレンジを変えてギターの事前録音をやって43曲も仕上げたことに改めて驚いた。

 

卓郎さんが、9mmがあってよかったなと思っています、と話し「よかったですよね?和彦くん。」と卓郎さんに急に話しかけられて、感慨深げにフロアを見回していた和彦さんが不意を突かれてびっくりしながら頷いていた。次いで「よかったですよね?滝くん。」と滝さんに話を振るとドラムを叩いて返していた。

 

〈春の嵐が間近〉という一節が今の時期にぴったりなScenesではイントロやアウトロのリードギター、そして間奏の速弾きのような部分まで同期のギターに重ねて卓郎さんがしっかりと弾きこなし歓声を浴びていた。滝さんの歌うパートがかなり多い曲ではあるがドラムを叩きながらしっかりとコーラスを入れていたのが聴こえた。次の曲に入るタイミングを窺うように後ろを向いた卓郎さんに、滝さんが何やら促すようにスティックで卓郎さんを指すとここで「いけるかーー!!!」とフロアを煽りまくって盛り上げてから、続けてまさにこの時期の曲である君は桜 を澄んだ青空のような水色の照明に照らされながら演奏。

ここで卓郎さんがもう一回「いけるかーー!!!」と叫ぶとThe Revolutionaryへ。色々な感情が巻き起こっていた中でもこの曲のイントロが鳴った瞬間にどうしても無条件にグッときてしまう。〈世界を変えるのさ おれたちの思い通りに〉と、卓郎さんと滝さんが声高に歌い上げ和彦さんはリズムに合わせ大きくジャンプを繰り返した。まさかやるとは、という選曲がたくさんあったが叫び -The Freedom You Need- もそのうちのひとつ。今までは間奏で演奏を一旦止めるというアレンジがあったが流石に今は難しいようで、逆に今までにはやっていなかったCD音源にほぼ忠実なアレンジでの演奏だった。

ライブアレンジを入れず滝さんのカウントでTalking Machineのイントロが始まると卓郎さんが「最後の曲です!」と叫んだ。1番、2番ともに途中で卓郎さんが川崎!!と叫んで〈ああ 何べんやっても〉を観客に歌ってもらうとフロアから大合唱が返ってきていた。天井に巨大な星を描いたような形の照明機材があるクラブチッタで卓郎さんが天を指差しながら〈永遠に空をただ見上げてるだけ〉と歌うのが似合い過ぎてとてもよかった。

 

演奏が終わると、和彦さんと卓郎さんがそれぞれステージを歩きながらフロアのあちこちに手を振ったり笑顔を向けたりしている最中に滝さんがステージ前方で最前列の観客にお辞儀しながら何かを渡していて、この日も「北茨城市ふるさと応援大使」の名刺を配っていたようだった。

 

3人が一旦退場した後、アンコールの手拍子が続く中ステージに出てきた卓郎さんが、持っていた紙を開こうとしながら「この紙開くまで知らなかったらどうしよう、社長なのに!」と戯けるとフロアから次々と「社長!」「社長!」とたくさん声が飛んできたのでニコニコしながら「そういうのいいから!楽にして!」と更に続けると96日に昭和女子大学人見記念講堂でカオスの百年を開催することを発表すると滝さんと和彦さんも再びステージに登場。

みんなよろしくね、今後は滝がギターを弾く日もありますから、と卓郎さんが断言した。

 

「今日が今年で9回目のライブなんだって。ラーメン屋で座席が9だったり、駐車場が9番だったり。9という数字から逃れられない。3×39だしってあんまり奇数の話ばっかりしてたらよくないよね。バンド名も8mm Parabellum Bulletにしようか(笑)」

 

「みんながつらい時に、9mmしぶといな〜、ずっとやってるな、と思って乗り越えてもらえたら。」

「おれたちはまだ9mmを楽しんでいこうと思っています、だからみんなも9mmを楽しんで欲しい。」

 

三たびの「いけるかーー!!」からのアンコール1曲目はDiscommunication、下手側にいたのでエフェクトをかけながらスラップを披露する和彦さんの手元をよく見ることができた。最初のサビに入る時に卓郎さんが「頼んだぞ!」と叫んで観客たちに〈朝までかけて近付いても 最後の最後にすれ違う〉を歌ってもらい嬉しそうに笑いながら続きを歌っていた。2番サビでは滝さんがフロアを見回すように立ち上がって力強くドラムをぶっ叩く姿には堪らない気持ちになった。

いいちこをグイッと飲み干した滝さんが立ち上がって容器をフロアにぶん投げて座り直してからパッドを叩くと静かなギターの音が流れ始め、ライブアレンジのイントロから滝さんがスティックでカウントするのに合わせて卓郎さんがカッティングをするというスタイルでこの日最後の曲、Punishmentへ。滝さんが同期のギターの音を追い抜かしそうな勢いで僅かに速くなりながら残ったエネルギーをぶつけるように叩き、サビで和彦さんが凄まじい速弾きを披露し、間奏に入ると卓郎さんと和彦さんがステージの中央寄りに移動してバックドロップを、巨大なバンド名のロゴを3人で背負うように演奏する姿には純粋に胸を打たれた。

 

演奏が終わると滝さんがステージ前方にまた出てきて名刺を配っていたが、その前に卓郎さんに名刺を分けて配るように促したので笑いが起き、「おれが!?」と言わんばかりの反応だった卓郎さんも名刺を配っていた(手渡しだけでなく一度フロアに投げていたように見えた)。ベースを置いた和彦さんがアンプ上にあった財布のようなものをポケットに捩じ込んでチェーンもしっかり付けてから、上手に移動しゆっくり下手に戻ってきながらフロアのあちこちを見て手を上げて歓声と拍手に応えながら退場。卓郎さんもフロアの隅々まで見るように移動しながらあちこちに手を振っていて、下手のかなり端だったこちらのあたりにも目を輝かせながら笑顔を向けてくれた卓郎さんの表情が今でも忘れられない。最後にステージ中央に戻って万歳三唱して去り際に和彦さんのマイクで「またな!」と言って退場していった。

 

 

 

最初から最後まで「まさかここまでやるとは思わなかった!」と驚かされっぱなしの2時間だった。近年のワンマンはアンコールを入れて22曲だったがこの日は本編が22曲、アンコールを入れると24曲。そして2月にBLAZE GOTANDAで開催したワンマンや3月に開催した「Re-act I」と全く異なる構成のセトリ。卓郎さん達はレパートリーが43曲になったと笑っていたが、以前YouTube配信で滝さんが一時的にドラムやるにあたり事前にギターを30曲ぐらい収録してかなり大変だったことを明かしていたのでそこから更に曲を増やして、録って、アレンジを変えて、ライブで披露して。

この日のPunishmentはお馴染みのライブアレンジのイントロが入っていたかと思うが、BLAZE GOTANDAでは滝さんのカウントで音源通りのパターンでイントロをやっていた気がして、ギターを録り直した可能性があるんじゃないかと終演後に気付いた。

事前録音のギター音源を流しながら卓郎さんがリードやソロを弾く割合が多く、和彦さんは今までとタイプが全然違うドラム演奏にしっかり合わせつつパフォーマンスの「動」の部分を担い、滝さんは事前準備に加えドラムを叩きながら今まで通りコーラスもやって、特に滝さんが終盤、気力を振り絞るように見える瞬間もあったほど懸命に演奏し24曲も叩き切った。この日以前に観たワンマンでは3人の覚悟が伝わってきた、と思ったがこの日のライブではどうしてここまでやるのか、と言いたくなるほどのもはや覚悟を軽く超えた凄まじい執念さえ感じた。

 

 

それと同時にまだ脱退をどう受け止めたらいいか分からない気持ちや悲しさがかなり残っていることもライブを観るたびにまだ強く実感してしまう。

このセトリを去年までの5人編成で観られたらとどうしようもできないことが何度も頭に浮かんだ。Muddy Mouth〜命ノゼンマイ〜カタルシス〜煙の街、という流れに嬉しさを感じつつかなり食らい過ぎて気持ちが沈んだり、もちろん選曲にそんな意図はないはずだと分かっているけれど、煙の街の〈もう生きていられると あなたなしでも〉〈燃えた夢をいくつ〉〈消えた影はひとつ〉でとても悲しくなったりしてしまった。

優劣の話ではなく言葉そのままの「違う」という意味で、命ノゼンマイやカタルシスが別物級に違いが出ていてこんなに雰囲気が変わるのか、と衝撃を受けたことも忘れられない。

一昨年〜昨年に開催された「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」ツアーと同じ演出だったDomino Dominoや、ちょうど一年前の317日のワンマンでの演奏がまだ忘れられない叫び -The Freedom You Need- を聴いた時には、楽しかったツアーのことを思い出してしまってより寂しさが増した。

 

色々な気持ちがずっと心にあって、盲信的に全てを受け入れたり割り切ったりできるわけではないが、それでも懸命な演奏に心を動かされたり、今だけのスタイルになるかもしれない演奏の様子を素直に楽しみたいとも思ったし、終演後には9mmを続けることを決めてくれてありがとうございます、という気持ちが確かにあった。

20260301/9mm Parabellum Bullet“9mm Parabellum Bullet presents「Re-act I」”@名古屋ボトムライン

    

9mm2009年にリリースした映像作品「act Ⅰ」を再構築するという趣旨のワンマンライブ。昨年10月に告知解禁されチケットを取った時にはまさか9mmの体制自体も変わるなんて予想もつかなかった。

初めて行ったボトムライン、入場すると後方に一段高くなっているスペースはあるもののフロアに柱が2本あって場所によってはステージが見切れるのでどこに場所を取るか迷ったが、段上エリアの真ん中あたりを取ってみた。ステージにはact Ⅰのジャケット画像をアレンジしたような「Re-act I」用のバックドロップが掲げられていた。

開演時刻の17時ちょうどに場内が暗転しSEDigital Hardcoreが鳴り響くと滝さん、和彦さん、卓郎さんがステージに登場。

 

The World

Vampiregirl

Trigger

Wanderland

Psychopolis

悪いクスリ

Sleepwalk

Sundome

砂の惑星

Keyword

Mr.Suicide

Faust

次の駅まで

Supernova

atmosphere

Discommunication

sector

We are Innocent

Talking Machine

Punishment

 

Living Dying Message

Wildpitch

 

act Ⅰ」の1曲目と同じThe Worldからライブがスタート。自分のいた位置からは3人ともしっかりと見え、曲に入る前に滝さんがパッドを叩いて事前録音されたギターの音源を流しているところが確認できた。初っ端から観客の熱量がかなり高く、Vampiregirlではサビでの〈You're Vampiregirl〉の大合唱の声量がものすごかった。間奏では前半は事前録音のギターがリードを担っていたが後半は卓郎さんもメロディーを弾いてツインリードのような状態になっていた。イントロで歓声が上がったレア曲Triggerは元々かなり勢いのある曲調だが滝さんのパワフルでパンク感あるドラムでの演奏となると今までとは違った迫力があり純粋に圧倒された。続くWanderlandでは滝さんがドラムを叩きながらサビのコーラスもしっかり入れていた。

 

ここで最初のMC。卓郎さんは今回のライブをやるにあたりact Ⅰを見返したが恥ずかしいと途中で見るのをやめてしまったそう。(この話の流れでだったか)顔から血が出るほど恥ずかしい、穴があったら死にたい、などと独特な表現が出てきていた。

「こんなバンドと対バンしたくない、観るのはいいけど対バンはしたくない!」や、「あの頃は無軌道でみんなガリガリで今のおれからするとご飯食べさせてあげたくなる。」と当時の自分たちのことを話していた。それに続いた、今のおれたちも昔の自分たちに対バンしたくないと思わせたい、というひと言からは卓郎さん達の気合いが伝わってくるようだった。

 

Psychopolisでは卓郎さんが間奏のギターソロで同期の音に重ねるようにタッピングしていて、出来る限り生演奏の部分を増やそうとしているようだった。Psychopolisのアウトロで次の曲を期待してソワソワしてしまったが、その期待通り和彦さんが音を切らずに悪いクスリの演奏に入る激つなぎを披露!

Sleepwalkでは2番に入る前や最後のサビの後など、演奏の切れ目のような部分で滝さんがパッドを叩くのが見えたのでギターの1曲分を3分割くらいに分けて流している可能性があり、また2番に入る前には和彦さんが滝さんのカウントに合わせてベースのフレーズを弾き始めるなどタイミングを合わせるためにものすごく工夫している様子が窺えて滝さんと和彦さんに見入ってしまった。Sundomeは今までやっていたイントロ前のライブアレンジがなかったことにどうしても寂しさを感じてしまったが、ここでも滝さんが随所でスティックを打ち鳴らして拍を取り、合わせるのが難しそうなこの曲をしっかりと演奏していた。

 

このあたりだったかと思うが、以前仙台に数日滞在した時があってと卓郎さんが話し始めると滝さんと和彦さんがそれぞれ違う反応をしたのを「滝がそうだ、和彦がそんなことあったっけ?って言ってる。」と卓郎さんが拾うと、その際和彦さんの実家にお世話になっていたが滝さんが熱を出してしまってその時にできた曲があった、と「休めよって感じだけど(笑)」と言いながら話してくれた。

 

「レコーディングで70回くらいやり直したけど今日はやり直せないから。」と言って演奏されたのが砂の惑星で、当時の卓郎さんが苦労したというフレーズを現在の卓郎さんがスイスイと弾いて少し柔らかめの発声で歌い、滝さんがそれまでとは若干音量を抑えつつもメリハリのある演奏をし、和彦さんが気持ちの良いベースラインを響かせた。好きな曲ではあるけれどこの状況なので歌詞を聴いてほんの少ししんみりとした気持ちになってしまったが、次のKeywordで再び盛り上がるフロアにちょっと元気が出た。間奏のギターソロは前半は同期のみ、後半はそれまでコード弾きだった卓郎さんがタッピング含めリードのメロディーを弾いていた。アウトロでは和彦さんが滝さんの分までと言わんばかりの大立ち回りを見せた。

卓郎さんがイントロのフレーズを弾いていたMr.SuicideKeywordに続いてかなりの盛り上がりで、間奏の滝さんのドラムの叩きっぷりも凄まじいものがあった。Faustは穏やかな歌い出しから徐々に音数が増える展開の中、間奏で更に演奏が激しくなると和彦さんも卓郎さんもギターやベースのネックを振り上げながらの熱演ぶり、卓郎さんはピックを落としてしまうほどで笑いながらマイクスタンドに刺さったピックを取っていたのが見えた。間奏の終盤には卓郎さんが何となくブルージーなフレーズをアドリブで弾いていたのがこの曲が持つ物寂しさに合っていた。Mr.SuicideからのFaustというレアな流れにしっかり集中して聴いていたつもりだったが、どうしてもこんな状況でこの2曲の歌詞を続けて聴いたからか少し悲しい気持ちになってしまった。

 

一度音が止まってから、滝さんがおもむろにドラムを叩き始めて卓郎さん和彦さんが乗っかりしばらくセッションが繰り広げられたのはこのあたりだったか。いい感じに演奏を終わらせた卓郎さんが「フロアタムにいいちこ乗ってるの見えたから止めちゃった!」と笑った。新体制でもうこのような場面まで見られるとは。

 

さっき何かの曲で演奏してて泣きそうになっちゃった、普段はそんなことないんだけどとぽつりと言っていた卓郎さん。

次の曲はさっき話した滝が熱出してた時にできた曲でと卓郎さんが言うと滝さんの声が小さく聞こえて卓郎さんがそれに反応。滝さんが熱を出した時のはButterfly Effectで、次にやる曲は滝さんがお腹痛くてスタジオ行けなかった時にできた曲だそう。

そんな制作秘話から演奏されたのは、次の駅まで。ここまでかなりパワフルにドラムを叩いてきた滝さんもこの時には動きをかなり抑えて和彦さんとともにタイトにリズムを刻んでいた。個人的にずっとライブで聴きたかったがなかなか聴けなかった曲なのでこの機会に聴けたことは嬉しかった。

Supernovaは滝さんが要所要所でスティックでカウントを入れてしっかり拍を取りつつ、サビでは爆発力のある演奏を披露。イントロでフロアの空気が一気に変わったように感じたatmosphere、前半は卓郎さんが事前録音のギターに演奏を任せてほぼ歌に専念し、空間にスーッと消えてゆくような柔らかい歌声で丁寧に歌い、後半演奏が激しくなると明るめの照明が瞬時に真っ赤に変わり和彦さんが髪を振り乱しベースを勢いよく振り下ろし暴れ回る激しい熱演ぶり。最後に再度穏やかなメロディーが流れると轟音の余韻がしばらく残った。

 

「つくづく9mmって変なバンドだな観にきてるみなさんも大概ですよ(笑)」と卓郎さんが笑いを誘った。

昔に戻りたいとは思わないけど未来は変えられるっていうけど過去も変えられると思ってて、昔こういうことがあったから今ここに立ててるんだなって。というような感じで丁寧に話していた卓郎さん。

この時に珍しくベースを下ろしていた和彦さんを見た卓郎さんが「和彦も過去と向き合ってるんだよね?当時のベースを持ってきてるけどあの時もそんな軽々持ててたわけじゃないんでしょ?」と和彦さんに話しかけたところでようやくこの日和彦さんが使っていたベースが最近使っているものと違っていたことに気付いた。「滝も重いギター使ってたよね。」と今度は滝さんに話しかけると、滝さんが両手を上げたコミカルなポージングで返していた。

 

次の曲についてThe World Tourというツアーで恥ずかしいからタイトルも言わずにやったが観客が盛り上がってくれたと思い出を話してから演奏が始まったのはDiscommunication2番のサビに入る直前卓郎さんが「名古屋!!」と叫んでフロアを煽るとマイクから離れ、2番の歌詞を観客に歌ってもらっていた。

卓郎さんが「いけるかーー!!!」と叫んで滝さんのカウントからsectorが始まるとフロアからとんでもない声量の歓声が上がって前方はもみくちゃとまではいかないが人が圧縮して大盛り上がりだった。滝さんのパートや、卓郎さんが歌の途中でマイクから距離を取るとすかさず大合唱が巻き起こりとにかくすごかった。それに続いたWe are Innocentも当然爆発的な盛り上がりで、卓郎さんが同期に重ねるようにリードのメロディーを弾くなど演奏の熱も凄まじかった。

イントロ前のライブアレンジを入れず滝さんのカウントで始まったTalking Machineでも1番、2番ともに途中で卓郎さんが名古屋!!と叫んで〈ああ 何べんやっても〉を観客に歌ってもらい、フロアからはここでも大合唱が返ってきていた。静かなイントロから卓郎さんの「最後の曲です」でPunishmentが本編を締め、間奏で卓郎さん和彦さんがステージ前方の真ん中寄りに出てきた時にはかつての光景が勝手に頭の中に浮かんできて寂しさを感じ、それと同時に今の編成でのベストを尽くすと言わんばかりの姿に胸を打たれ、色々な気持ちが湧いてきた。

 

演奏が終わるとドラムスティックを持ったままステージ前方に出てきた滝さんが、最前列の観客たちにペコペコと丁寧に頭を下げながら何かを配っていたが、この日物販でグッズを買った人に渡されていた「北茨城市ふるさと応援大使」の名刺だったらしい。続いて和彦さん、そして卓郎さんが順番にフロアのあちこちを見ながら挨拶して退場。

 

アンコールの手拍子に迎えられて3人がステージに戻ってくると、卓郎さんが去年ボトムラインで「VAMPIRE」再現ライブをやった時のことに触れ「去年の名古屋でみんなが歌ってくれた時にこの歌詞はこういうこと初めて分かった気がした」と、(当時行けなかったので聞いた話だが)VAMPIRE」再現ライブの時におそらく卓郎さんの声が出ずに歌えなかった時の話をしていて、この日卓郎さんがマイクから離れ観客に歌ってもらう場面がいくつもあったのは、あの時卓郎さんが元気付けられた名古屋の元気な歌声をまた聴きたかったのかなと納得。

 

9mmを楽しんでもらえたら嬉しいです、今年もよろしくね、というような感じでフロアに優しく話しかけてから演奏されたのがLiving Dying Message、最後のサビあたりでは卓郎さんがマイクから離れて観客に歌ってもらい、後半は卓郎さんも笑顔で一緒に歌っていた。

「みんな気をつけて帰ってね!特にタクシーに!」というひと言でハッとして次の曲を察し、和彦さんのシャウトからのWildpitchがこの日最後の曲、間奏は卓郎さんだけでなく和彦さんも同期のリードギターにハモるようにメロディーを弾いてトリプルリード的演奏になっていた。ひたすらに熱かった名古屋のフロアを最後の最後まで爆発的に盛り上げてレアな再構築ライブが幕を下ろした。

 

演奏が終わると滝さんがステージ前方で再び最前列の観客に会釈しながら名刺を手渡ししてから退場。和彦さんも再びフロアのあちこちを見ながら挨拶して退場。最後に卓郎さんがステージ真ん中で万歳三唱をしてから笑顔で退場していった。

 

 

act Ⅰの再構築ライブとはいえアンコールでは新曲をやるのではないか、とも少し思っていたがアンコール含む全22曲すべてact Ⅰ収録曲で構成したセトリ。Psychopolisから悪いクスリの激つなぎやTrigger Faustatmosphereといったレア曲まで。もちろん去年までの編成でこのセトリを聴けたらとライブ中何度も頭をよぎったが、新体制になったばかりでここまでのセトリを組むなんて。滝さんがギター事前録音の大変さをYouTube配信などで語っていたがそれにも頷ける内容、この短期間でここまでやるのがどれほど大変だったか伝わってくるようだった。

 

MCで当時の曲の裏話が聞けたのも興味深かったし、どこで出た話かは失念してしまったが当時の曲について

「昔は一曲の中に完全な宇宙を作ろうとしていた。」

(当時の歌詞について)もうちょい何かあるだろう菅原くん。淳治さんにも言われてたからね。でももう淳治さんより年上になったから、淳治くんだね(笑)」

「何でこんなベースラインにしたか分からない。」

と笑いながら言っていたが、9mmっていい曲多くない?とも話していた。

 

この数日前に五反田でライブをした時にもこの日のライブでも卓郎さんは「今後滝がギターを弾くライブもある」と、現在の編成でずっと続けるわけではないと明言している。

卓郎さんがこの日終盤のMCのどこかで、新体制でライブをやるのが今日で6本目で、今までたくさんライブをしてきて、とてもいいライブだった日もあって、それに近付いていると思う、というようなことを言っていた。今の状況でベストを尽くすことと少しずつ確かな手応えを得ていることが伝わってきた。

       

20260226/9mm Parabellum Bullet“BLAZE GOTANDA Opening Live [ Re: ]”@BLAZE GOTANDA

      

かつて新宿にあり惜しまれつつ2024年に営業を終了したライブハウス「BLAZE」が五反田に再オープン、柿落とし公演として新宿BLAZEで自主企画・MV撮影・ライブ映像上映会を開催するなど縁のあった9mmがワンマンライブを開催。

自分にとっては新体制の9mmを初めて観る日となった。

 

番号がかなり遅かったので、入場すると縦に細長い独特の形をしたフロアは既に後方まで埋まっていた。ほぼ最後方に場所を取ったがステージの高い位置に掲げられたバックドロップは見えたり、フロアの機材も少しだけ見えたのでキャパの割にステージが高いのかなという印象だった。

19時ちょうどにステージにスクリーンが降りてきて、この日のために作ったと思われるオープニング映像(コラージュのような動画の中に9mmモデルのピックが入れられていた)が流れ、お馴染みのSEであるDigital Hardcoreが流れるとスクリーンが上がっていきバックドロップが再び登場するとともに滝さん、卓郎さん、和彦さんが定位置に着いた。

 

Lovecall  From The World

Psychopolis

Vampiregirl

One More Time

Living Dying Message

ハートに火をつけて

Cold Edge

Black Market Blues

レーゾン・デートル

踊る星屑

名もなきヒーロー

Wanderland

Supernova

カモメ

The World

We are Innocent

Baby,Please Burn Out

The Revolutionary

Discommunication

Punishment

 

Wildpitch

Talking Machine

 

 

自分のいた位置からは下手はほぼ見えず、上手に卓郎さんがいるという見慣れない光景を眺めていると滝さんがキャップの上からヘッドホンをつけて演奏へ。初めて目の前で観る3人編成のライブはLovecall  From The Worldで始まり、定番曲でない選曲にいきなり驚かされた。YouTube配信などで事前に情報を聞いていた通り、3人の生演奏と一緒に滝さんが事前録音したというリードギターの音が流れていた。滝さんはドラムを叩きながらコーラスも担当していた。Lovecall  From The Worldから音を切らずに次の曲Psychopolisへ続いた選曲に更にびっくり。

Vampiregirlの間奏のギターソロは卓郎さんがコードではなくギター音源とユニゾンするようにメロディーを弾いていて、収録音源に頼りすぎずに生で演奏を届けるという気合いが伝わってきたような気がした。和彦さんのフレーズが頼もしく響いたOne More Timeでは今までのお馴染みであった、間奏に入る前の卓郎さんの「滝ちゃん!!」の呼びかけがないことにはどうしても寂しさを感じてしまった。

 

ここで最初のMC。柿落とし公演ということで卓郎さんが「柿って木屑のことらしいよ!」という豆知識を教えてくれたり「柿を全部落とすから、みんなひとつ残らず拾っていってください」というような和やかな言葉が出てきたりした。

BLAZEには9mmと馴染みのあるスタッフさんがいて、新宿BLAZE営業終了の際にまたどこかで(BLAZE)やるというような話があったので、また会いましょうみたいなコメントを寄せたけど復活するのが早いんじゃないか!と笑いを誘いつつBLAZEの復活を祝っていた。

(BLAZEのあるビルが)駅からも多分見えるよね。こんなところにライブできる場所があるなんてみんな思わないんじゃないか」とも。

 

Living Dying Messageではアウトロでの滝さんのバスドラ連打の迫力に圧倒、滝さんのドラムはキツネツキなどで聴いたことがありその腕前は知っていたが9mmでのドラムとなるとここまでバスドラを踏みまくる演奏もやるんだなと驚きつつその気合いが伝わってきた。ハートに火をつけて 2番では卓郎さんが〈手触りだけの五反田BLAZE”は〉と歌詞を変えて歌っていた。

ハートに火をつけて から音を切らずにまさかの激つなぎCold Edgeへ、間奏に入る前には和彦さんが「五反田ーー!!!」と叫んでいたのがはっきりと聴こえた。間奏のギターソロでは卓郎さんが瀧さんのギター音源とオクターブでハモるようにギターソロを弾いていたようだった。〈五反田BLAZEに辿り着いたなら!!〉と歌詞を変えて歌われたBlack Market Blues、今までのライブで一番多く聴いたかもしれないこの曲の聴き慣れた一節〈やり場のない気持ちを引き裂いて さあ 踊れ〉がこの時だけは今までとは違う聞こえ方をしていたような気がした。

 

Black Market Bluesで大盛り上がりのフロアが少し落ち着いた頃に卓郎さんが暑い!とひと言。新しいライブハウスだから機密性が高いのかなと言っていたような。マイクを通してシューシューと不思議な音がしたので背伸びしてステージの様子を窺うと滝さんが酸素スプレーを吸っていた。

 

このあたりだったか、卓郎さんが「今日何回も五反田!って言ってきたけど、五反田とStand Up!って似てるね。己STAND UPみたいな」と盟友HEREの曲名を挙げたり、「GOTAND UP……ホリエさんみたいなこと言っちゃった」とつぶやいて笑いを誘ったりしていた。

要約になるが、スリーピースでの演奏について試行錯誤しながら色々変えたりしているらしく、なかなか完成しないので「サグラダ・ファミリアみたい、と思ったらこないだサグラダ・ファミリアが完成したってニュースを聞いて。おめでとうございます」と、続けて「よく聞いたらまだ色々ファサードをつけるから2034年に完成らしい、おれたちのスリーピースは2034年までやらないと思うけど」と脱線したと見せかけてバンドの今後の展望を少し話してくれた。

 

次に新曲をやることを告げ、一生懸命歌詞を聞いても忘れちゃうと思うから、レコーディングをしてリリースされてから歌詞を読んで、そういうことだったのかと思ってください、というようなことを言っていた気がする。レーゾン・デートルとは「存在意義」という意味なので、去年作ったけど今のおれたちがやるのが合っているのではないか、というようなことも。

9曲目に披露された新曲のレーゾン・デートル、まだライブ以外では聴けずここで初めて聴いたので聞き取れた歌詞も終演後には頭から消えてしまったが〈茨の道を〉という一節が入っていたかと思う、漠然と、バンドを続けるために側から見たら困難な道を歩き始めたかのようにも思える3人の状況と重ね合わせることができるような歌詞、そんなイメージがあった。昨年リリースされた、9mmの中で2番目に新しい曲の踊る星屑がほぼ激つなぎと言ってもいいくらいのスムーズさで続いた。

自分が困難な状況だった時に何度も勇気付けられてきた名もなきヒーローは、この時ばかりは卓郎さんの力のこもった眼差しも含めて歌詞の一言一句が今の9mmに重なって、3人が自分自身を鼓舞しているかのような演奏に感じられた。Wanderlandも時々演奏されるものの定番曲というほどではないのでそのような立ち位置の曲も早くもライブで聴けるとは思わなかった。

 

「この日のライブタイトルに [ Re: ]が付いているので、 “Re-act”みを出していこうかなと。東京ではやらないから。」と、3月に名古屋と大阪で開催する「Re-act I」に卓郎さんが触れたのでWanderland含むこの日の選曲に納得。卓郎さんが次何の曲がいい?とフロアに話しかけると次々に曲名が飛んできたが、それを聴いていた卓郎さんが次は曲順的にこれでしょ、というようなひと言を入れてから演奏されたのがWanderlandと両A面だったSupernova、要所で滝さんの事前収録ギターと卓郎さんの生演奏によるツインギターのメロディーが鳴り響いた。

卓郎さんがギターを少し鳴らし、滝さんのドラムの音から曲に入るという今までとちょっと違ったアレンジのカモメ、滝さんのドラミングはかなりの音量で和彦さんのシャウトも会場の特性か大きく聴こえて最後のサビあたりは今までのカモメよりもかなりパワフルさがあった。この日自分が今までの編成との音の違いを一番感じたのがカモメで、どちらがいいというようなことを言いたいわけではないが、これまでの編成は丁寧に情景を描き徐々に壮大になっていくような演奏だったが滝さんのドラムのパワフルさが加わると荒波の中を力強くカモメが飛んでいくようなイメージが浮かんで印象の違いをものすごく感じた。The Worldでもアウトロの最後に滝さんが立ち上がるほどの熱演ぶりでドラムの音が目立っていた。

 

卓郎さんが「おれは普段は全然緊張しなくて、ライブもたくさんやってきたからライブでも全然緊張しない。ジェットコースターに乗る以外は(笑)ジェットコースターだけはダメ」というような感じで笑顔で話した後に

 

「でも3人でみんなの前に出るのは、ちょっと、怖かった。」

 

(今までと音が変化しているので、的な言葉)それを気に入ってもらえなかったとしたら仕方ないけど、何も変えないで欲しい、っていうのとは戦っていかないといけない。」

 

序盤からずっと和やかに話していた卓郎さんから、話し方は和やかではあったが、ここまで正直な気持ちと並々ならぬ覚悟の言葉が出てくるとは思わなかった。

そして、みんなも変化しないといけない時があると思うけど、9mmだってそうだった、と力になったらいいなと思っています、こんな遠回しな応援しかできないけどというような言葉を続けていた。

 

変化の繰り返しを追いかけっこに例えるような言葉からだったと思うが、ちょうど2ndアルバムに追いかけっこの曲があるというような前置きから始まったWe are Innocentのイントロを聴いた瞬間演奏の負担が大きいこの曲を新体制のワンマンで、終盤のこの位置に入れるのかと度肝を抜かれた。このタイミングで卓郎さんの「いけるかーー!!!」から、滝さんのドラム、和彦さんのベースと順番に音を重ねてBaby,Please Burn Outの演奏へ。ライブ終盤ということもありフロアの盛り上がりも今まで通りといった様子で、毎回サビ終わりにはフロアから元気よく\オイ!!!!/と声が上がっていた。

真っ赤な照明のBaby,Please Burn Outから再び激つなぎThe Revolutionaryへ入ると眩い真っ白な照明に瞬時に切り替わって気迫の演奏が続いた。卓郎さんと滝さんが重ねた〈世界を変えるのさ おれたちの思い通りに〉の歌声の力強さと和彦さんのいつも通りの高くジャンプしながらの熱演には純粋に胸を打たれた。滝さんの4カウントから入ったDiscommunicationではアウトロで和彦さんが大きく回転しながらベースを弾いていて、新体制になって3人の中で一番動き回れるポジションとなった和彦さんの大立ち回りを見ることができた。

卓郎さんが静かにギターを鳴らし、「最後の曲です」と告げると滝さんがドラムスティックで入れるカウントに合わせて卓郎さんがギターのカッティングを入れるという新たなアレンジでPunishmentが演奏された。今までよりテンポを少し落としつつも、3人で足並みを揃えて駆け抜けていくような渾身の演奏でやりきったPunishment3人の覚悟が伝わってきて思わず涙がこぼれた。

 

3人が一旦退場し、しばらく続いたアンコールの手拍子に迎えられて再び登場すると卓郎さんが「こないだダイスケはんに会ったら、BLAZE GOTANDAってどんな感じ?って聞かれて、おれもまだ分からない!って返した(笑)ホルモンは全国のライブハウスのことを気にかけてるんだって。」と話し、ここでホルモンと対バンできたらアツいよね!とも言っていたが、実現したらとんでもない倍率になりそうだなと思った。

 

「まだ柿残ってる!ってなっちゃうから、柿をひとつ残らず拾って帰ってください!」と、最後まで余すことなく楽しんで欲しいという気持ちが伝わるひと言からのアンコール1曲目はWildpitchでここでも予想外の選曲に和彦さんのシャウトが響いた瞬間かなり驚いた。この日最後の曲はTalking Machine、ライブイントロのアレンジがなくなり滝さんが「1,2,3,4!!」と大きな声でカウントしてから曲に入るスタイルになっていたのでほぼ音源通りだったが何だか新鮮だった。今後編成が変わればまたアレンジも変わるかもしれないのでこのスタイルが聴けるのも今のうちなのかもしれない。

 

和彦さんと滝さんが退場するところは見えなかったが、卓郎さんが最後にいつものように万歳三唱するのは見ることができた。卓郎さんが退場するとフロアに爆音でBlazing Soulsが流れ、何度も聴いてきたドラムの音に寂しさがよぎったが、会場名のBLAZEにかけてセトリには入れられずともこの曲を鳴らしたかったのかもしれないというBLAZEへの愛を感じた。

 

 

会場のBLAZE GOTANDAについて。柿落としというなかなかない貴重な機会、出来立てのピカピカのライブハウスに入れたのが嬉しかった。会場に入ると新築の木の匂いがして、会場宛に届けられた花がいくつも置いてあった。ロッカーは少なめだったがロッカー前のスペースを広めに取っていて荷物整理がしやすいのはよかった。

フロアは縦に細長く、後方だとステージが全く見えないかもしれないと覚悟していたがステージが高かったようで、前にいる人達の頭の隙間から少しでも出演者が観られたのでかなりよかった。天井が高いのでさほど圧迫感もなかった。

卓郎さんが「駅からも多分見える」と言うほど五反田駅から近く、初めてでも迷わず行ける場所だったのもありがたかった。またここに9mmを観に来たい。

 

 

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このライブで初めて新体制の9mmを生で観た。

大晦日、COUNTDOWN JAPAN9mmを観てから僅か数時間後に突然出された脱退の報告に、そのタイミングや文章に含まれていた不穏な表現に強いショックを受けてしまって、1月中の9mmライブには日程的に行けなかったこともありモバイルのコラムやYouTube配信は確認しつつ、なるべくこの件について考えないようにして過ごした。9mmは事あるごとに「バンドを続けることが目標」と言っていたので、誰かが抜けるなんて予想もしなかっただけに衝撃が大きかった。

 

自分の目で見て考えなければ、実際に新体制の9mmを観たらどう感じるだろうかと緊張しながらライブに臨んだ。年始からまともに食らうことを避けていた悲しさや寂しさとやっと真正面から向き合うこととなって、1曲目が始まったら頭で考える前に涙が出てきて、懸命に演奏する3人の前でこんなことを考えるのも失礼だと分かってはいたけれど4曲目ぐらいまでとても悲しくて寂しくて涙が止まらなかった。その後はちょっと冷静になって観られたが、ふとした時にかみじょうさんの音が頭の中で勝手に流れてきたり、急に寂しさがよぎったりしてしまった。

 

滝さんが一時的にドラムを担当することで事前にギターを30曲ぐらい収録してかなり大変だったことをYouTube配信で事前に聞いていて、更にライブの途中で酸素スプレーを吸いながらも22曲コーラスしながらドラムを叩ききったこと、卓郎さんは今まで通りのギターボーカルに加えて多くの曲でギターソロを弾いていて明らかに負担が増えていること、(下手はほぼ見えなかったのでこの日は確認できていない部分が多いが)和彦さんがリズム隊として演奏を支えるとともにパフォーマンス面でのの部分を多めに担っていると思われることを実際に目の当たりにして、新体制になって2ヶ月弱で今までのワンマンと同じ22曲をやり切って、終始3人の覚悟が伝わってきて心から応援したいとも強く思った。

卓郎さんが終盤で「普段は全然緊張しないけど3人でみんなの前に出るのは、ちょっと、怖かった」と言っていた時、最後のPunishment3人でやり切った時には悲しさや寂しさとは全く違う感情で涙が止まらなくなった。

 

悲しくて寂しくてつらい気持ちと、9mmを続けると決めた3人を心から応援したいという気持ちは、どちらもものすごく強いけど共存するんだなと思ったし、実際にライブを観たらもう9mm観なくてもいい、とは到底思えなかった。

 

卓郎さんはこの日「9mmを応援してください」とは言わなかった、「9mmを楽しんでください」と言っていた。今のところは、もう長いこと9mmを聴いてきたので多分しばらく寂しさが消えないのは当たり前だと受け入れて、バンドを続けるために変化し続ける9mmを観続けてその変化を楽しむ心づもりでいようと思えた。

 

      

20251129/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年~Never Ending Tour 2025~”@横浜ベイホール

    

9mmを待ってくれている人たちに9mmの音楽を届けに行くのが一番の目的」の「終わらないツアー」という趣旨であるNever Ending Tourの横浜公演。9mm結成の地・横浜ということでお馴染みではあるが普段ワンマンはF.A.DKT Zepp Yokohamaでの開催で、ベイホールで9mmがライブをするのは意外と珍しい気がする。

 

場内へ入るとステージには既にNever Ending Tour用のバックドロップが掲げられていた。場内には何本も柱があるのでステージが見切れてしまう場所が多く場所取りが難しかったが、PA卓後ろの段上から見ることにした。定刻ぴったりに場内が暗転。

 

Wildpitch

Baby,Please Burn Out

名もなきヒーロー

新しい光

荒地

Scream For The Future

Psychopolis

ロング・グッドバイ

白夜の日々

泡沫

Black Market Blues

Domino Domino

Discommunication

眠り姫

カモメ

踊る星屑

Beautiful Target

Marvelous

Talking Machine

(teenage)Disaster

 

One More Time

The Revolutionary

 

真っ赤な照明の中、和彦さんがマイクに向かって屈んだので不思議に思っているとドラムのカウントと和彦さんのシャウトから始まったのはまさかのWildpitch!!ライブでは最後に演奏されるイメージの強い曲なので1曲目にやるなんて想像もしなかった!自分のいた位置は照明が眩しく、真正面を向く照明が弱くなった隙にステージの様子を見るような形になったが、滝さんがお立ち台に上がってギターを弾くなど大きく動き回り、その後ろで爲川さんが鋭い眼差しをフロアに向けながら大きく口を動かして歌詞を口ずさんでいるのが見えた。ライブアレンジの長いアウトロにいきなり高揚感を煽られまくってから普段は1曲目にくることが多いBaby,Please Burn Outが演奏され、Wildpitchで既に大盛り上がりとなったフロアからサビの最後には毎回「オイ!!」と元気な声が上がった。

Baby,Please Burn Outのアウトロからすぐ続いたのは水色とピンクの照明がステージを彩った名もなきヒーロー。ライブと関係ないところで個人的に少し不安な気持ちになっていたタイミングだったので、卓郎さんが観客に真っ直ぐな眼差しを向けながら歌った〈押し寄せる不安だとか プライドは手強いね〉の一節がいつにも増して胸に沁みるようだった。最後のサビ前の〈守りたいものにいつも守られているんだね〉あたりで滝さんがコーラスを入れていたのが珍しい気がしたが、卓郎さんと滝さんがふたり歌声を重ねたことで普段より一層心強く聴こえた。

「新しい横浜!じゃなかった新しい光の中に行こう!」と卓郎さんが言ってからの新しい光、2回目のサビでは滝さんが歌のメロディーをギターで弾いて卓郎さんの歌声にギターの音を重ねていた。その後間奏に入ると、卓郎さんが下手前方に出ると同時に和彦さんと爲川さんがすかさずドラム前へ出てきて向かい合って演奏したり、アウトロでもギター・ベースの4人がキメで一斉にネックを上げるなどフォーメーションの変化を楽しめた。

 

ここで最初のMCNever Ending Tourの経緯は後で話しますと言いつつ、「今日は横浜だからセトリ手加減できない。他の場所を手加減していたわけじゃなくて、おれたち横浜で数えきれないくらいライブやってきたから、ああこういう感じねってなっちゃうから。」と話す卓郎さんから結成地である横浜公演ならではの気合いを感じた。

 

「ここは埋立地だけど、折角埋め立てたのにぺんぺん草一本残さないくらいの荒地にしてやります!」という言葉に大歓声が上がる中、荒地のイントロが勢いよく鳴らされた。歌い出しの部分からは滝さんがダウンピッキング、その後ろにいる爲川さんはアップピッキングを基調としていて同じフレーズでも弾き方の違いを見比べられたのが興味深かった。さいたま・熊谷公演の会場名HEAVEN'S ROCKにちなんでセトリ入りしていたScream For The Futureをこの日も披露。〈天国のドラムを叩いて〉という一節の後に続くドラムのリズムに合わせてフロアから何度も拳が上がっていたのが歌詞に合っていていい光景だった。

ひと呼吸置いて演奏されたのはPsychopolis、時々セトリに入るこの曲も9mm結成の地・横浜で聴けると喜びも一入。Psychopolisからロング・グッドバイという普段まず観られない組み合わせも、ライブ終盤やアンコールで演奏される印象が強いロング・グッドバイ8曲目という意外な位置に入れてきたのもリリースに関係ないこのツアーならではの自由度の高さを象徴しているようだった。1番のサビ後に滝さんがタッピングする部分では卓郎さんも滝さんに合わせ一緒にタッピングを披露。

 

この辺りだったか、クリーンサウンドで静かにギターを弾き始めた滝さんにかみじょうさん達がすぐさま乗っかり、ボサノヴァ的なリズムの小粋なセッションが少し続いた後に卓郎さんが「お茶持ってくるから」と言ったので気持ちが和んだ。

Never Ending Tour2020年から開催予定だったが、「コロナが大ブレイクしちゃって」始められなかったことや「でも悪いことだけじゃなかった、東京の緑ってこんなに綺麗だったんだな、とか。」と、しんみりした空気にならないような言い方をしたり卓郎さんならではの感性で当時を振り返ったりしていた。このツアーで毎回演奏している曲があって、あの時を思い出してと卓郎さんが話を続けると

「泣いちゃってもいいし(滝さん目をこすり泣き真似)

「泣かなくてもいいし(滝さん目をこすり泣き真似)

「酒飲んでもいいし(滝さん目をこすり泣き真似)

と滝さんの仕草でより和やかな雰囲気に。

 

Brand New Dayカップリングに入っている、F.A.Dでのライブ(202349日開催の19th Anniversary Tour)の時にはまだ声出して大丈夫かな?ぐらいの時でと振り返りながら今日は乾燥してるからマスクの人もいるけど、とフロアを気遣いつつ、今こうして満員のライブハウスで声を出してのライブができている喜びを語っていた。

 

「聴いてください、白夜の日々。」と卓郎さんが言うとステージが真っ白な眩い照明で照らされて白夜の日々 の演奏へ。拳を上げ盛り上がりながら観る人、サビで歓声を上げる人、じっくり聴いている人、とリリース当時とは違い満員のライブハウスで制限なく自由にこの曲を楽しめる喜びに浸りながら聴いた。最後の一節〈君に会いに行くよ〉で和彦さんが歌詞に同調するかのように自分の左胸をポンと平手で叩いてからその手を上に掲げていたのが、これからずっと続くNever Ending Tourへの決意表明のように見えた。白夜の日々の翌年、まだコロナ禍の頃にリリースされた泡沫が続けて披露され2番の〈遥か遠くに揺れる灯り〉以降の部分の、卓郎さんの普段と少し違う儚げな歌声に当時の不安定な状況を少し思い出したが、白夜の日々と泡沫をリリース順にライブで続けて聴ける機会は意外となかったなとこの2曲を一緒に聴けることを純粋に嬉しく思った。

そんな流れから急にBlack Market Bluesの元気な演奏が始まって不意を突かれびっくり。滝さんは何度も高くジャンプ、反対側にいる和彦さんは姿勢を低くして演奏という対比が面白かった。〈横浜ベイホールに辿り着いたなら!!〉と歌詞を変えて歌う卓郎さんにフロアが再び盛り上がって自分もテンションが上がったが、白夜の日々〜泡沫 の流れからサビの〈やり場のない気持ち〉という一節にコロナ禍当時の「やり場のない気持ち」を少しだけ重ねてしまったのでお馴染みのこの曲も普段とは少し違った聴こえ方に感じた。Black Market Bluesのアウトロからドラムのみ音を切らずに、少しテンポを下げて演奏が続くとそれにベースのフレーズが乗っかるようにして演奏されたのはこれも予想外のDomino Domino。リリースツアーが終わってからはなかなかライブで聴ける機会もなかったのでセトリに入ったことと、フロア天井のミラーボールがゆっくり回ってフロアに光の粒を散らしリズムに合わせて照明が点滅を繰り返すというリリースツアーと同じ演出で久し振りにこの曲をライブで聴けて嬉しかった。

 

このあたりだったか、卓郎さんが「サポートギター爲川裕也!」と爲川さんを紹介すると「横浜と神戸って似てるよね。おれたちはだんだん似なくなってるけど。」と笑いを誘いつつ「でも裕也のお兄さんよりは似てる。裕也のお父さんよりも似てる!」と言っていた。

 

横浜アリーナのワンマンで勝手に『TVKアンプラグド』って言って、あれがなかったら9mmはアコースティックやってないかもしれないから、それも横浜でゲットした思い出。」と横浜での思い出を語りつつ「飲み物取りに行っても大丈夫だから、元の場所に戻ってくる時に揉めなければ(笑)」と戯けてから、いつも通りの楽器でアンプラグドと同じアレンジのDiscommunicationを演奏。フロアの天井に大きなシャンデリアが2つもあるベイホールの雰囲気に相応しい演奏で、確かに飲み物片手にゆったり聴きたくなるようなアレンジをじっくり楽しんだ。それに続いた眠り姫では間奏などで滝さんがアドリブのフレーズを入れていたように聴こえた。水色を基調に差し込む日差しのような照明も入れていたカモメ は、横浜の海沿いにあるベイホールで聴けたことで会場に来る前に少しだけ見た海の景色を思い浮かべながら聴けたのが嬉しかった。最後のサビに入った時に照明が朝焼けのようなオレンジ色に変わる瞬間の美しさは何度見ても心を奪われる。

 

F.A.Dとか、もうないけどLizardとかによく出ていて、最初はお金払ってライブに出てた。お客さんが2人くらいしかいなくて、友達だからチケットちょっと安くして。でも今はこんなにたくさんの人が観に来てくれて、バイトの合間にライブやってた頃のおれに教えてあげたい!」と卓郎さんが言うと和彦さんの方を向き「研究の合間にライブしてた頃の和彦にも教えてあげたい!」と言ったが和彦さんが笑いながらそこまでじゃないみたいな仕草を見せると卓郎さんが和彦はできませんって言うよね、と返した。

「骨折してた時に続けてライブしてた滝くんにも教えてあげたい」「徹夜続きで、俺のカップ麺どこ?って聞いた時にみんなからさっき食べてた!と言われてたかみじょうくんにも」と当時の思い出を交えて語っていたがそれに続いた「当時の自分には(自身の頭を指して)もじゃもじゃ!とか言われそう!」というような言葉に首を傾げていると、当時の卓郎さんは坊主頭だったことや当時付き合っていた人に剃ってもらったけれど髪の毛がちょっと残ってて自分で直した、など横浜でしか聞けないような思い出がたくさん出てきた。

 

「音楽はそこにあるだけでは意味がなくて、みんなに届いてイェーイ!とかしょぼんとかリアクションが返ってきた時に意味がある。ライブをやっている時はみんながリアクションを返してくれるから意味があるけど、そうでない時は意味があるのかな、と考える時もある。ラーメン食べてお腹いっぱいになってる時とか(笑)だからみんな今日観に来てくれてありがとう!」

 

ただバンドをやりたくてライブやっていた頃を思い出してというようなひと言からいけるかーー!!と卓郎さんが煽ってから踊る星屑 の演奏へ。軽快なリズムにつられて体が勝手に踊り出すような楽しさと繰り返される〈今夜この星は僕たちが回してやるよ〉の一節に、日常でどんな気持ちを抱えていても9mmのライブに来るとその時だけは不安が吹っ飛ぶような気分になれると心強い気持ちに。

踊る星屑 が終わると滝さんが焦らすように1回、また1回と弦を指で叩き徐々に速いタッピングのフレーズになると次の曲を察したフロアから歓声が上がったところでBeautiful Targetを演奏!曲が進むにつれステージ上の熱量も目に見えて上がり後半では滝さんがギターを弾かずに上手で暴れ回っていたほど。その勢いのまま突入したMarvelousでの滝さん和彦さんの暴れっぷりもさることながら卓郎さんが一瞬見せた、普段たまに見せる鋭い目つきとは全然雰囲気の違うギラついた表情に受けた衝撃は結成当時の9mmの姿はこんな感じだったのかとたじろいだほどだった。

Marvelousのアウトロが終わった瞬間に続いたコード一発、激つなぎという言葉が生まれるずっと前から演奏され続けてきたTalking Machineへの導入。もうこの一瞬だけで《優勝だ!!》と言いたくなるような無敵の気分になる。2番の〈永遠に空をただ見上げてるだけ〉の直前に滝さんが卓郎さんが普段そうしているように天井を指さしていた。サビ前では2回とも卓郎さんが「横浜!!」と叫ぶと観客が〈ああ 何べんやっても〉と大合唱で返すなど大盛り上がり。更に卓郎さんの「最後の曲です!」のひと言で(teenage)Disaster を投下、とインディーズ曲4連発というものすごい流れにフロア爆沸き。アウトロのツーバス連打は凄まじく、最後に卓郎さんが勢いおさまらぬと言わんばかりに大きく足を蹴り上げるように動くなど卓郎さんが先ほど言っていた「ただバンドをやりたくてライブしている」を体現するような熱演ぶりだった。

 

演奏が終わると滝さん、爲川さんがまず退場し和彦さんがフロアの上手や下手に挨拶してから退場すると卓郎さんもステージを下手から上手へと移動しながらフロアにある柱の向こう側を覗くようにして観客に手を振っていた。ゆっくりとステージ前方に出てきたかみじょうさんが口の動きではっきりと「ありがとうございました」と言っているのが伝わった。卓郎さんが上手袖に入る直前に笑顔で振り返った。

 

アンコールの手拍子に迎えられて下手袖から和彦さんとかみじょうさん、上手袖から滝さん、爲川さん、卓郎さんが再び登場。最後の方昔の曲ばっかりで知らない!っていう人とかノリ方忘れちゃった、という人もいたかもしれないね、と卓郎さんが本編のセトリに言及。フロアの盛り上がり方を受けてなのか、「和彦サウナ好きだけどライブであったまるのもいいと多分思ってるよね?」と卓郎さんに話しかけられた和彦さんが笑いながら相槌を打つかのようにベースのネックをボディからヘッド側に向かって何度か叩いて返していた。

 

まだ歌える?とフロアに話しかけ「もう一回、もう一回!」と丁寧に振ってから演奏されたアンコール1曲目はOne More Time、卓郎さんが

〈ほら出番だよご主人様〉に続けて「滝ちゃーん!!」と滝さんを呼ぶと和彦さんがしゃがんで「滝さんを見て!」と言わんばかりに上手側を指さし、間奏に入ると滝さんが音源とは違うアドリブのメロディーを弾くという見せ場の連携があった。最後のサビでも大合唱が巻き起こり、元気なフロアの様子を受け卓郎さんがアウトロに入る直前に「ごちそうさまー!!」と叫んだ。この日最後の曲はThe Revolutionary、アンコールの最後に入ってくるのが意外と珍しい気がして最後の最後までこの日のセトリには驚かされた。間奏で卓郎さんと滝さんがツインリードのギターソロを弾き始めると和彦さんと爲川さんがステージ中央へ移動してかみじょうさんと向かい合うようにして演奏。アウトロでは和彦さんと爲川さんが息ぴったりに同じタイミングでジャンプを繰り返していた。

 

演奏が終わるとリラックスした表情の滝さんがお酒のカップを持って退場、爲川さんもそれに続いた。和彦さんがフロア下手や上手に何枚かピックを投げて退場。卓郎さんが万歳三唱を始めるとまだステージに残っていたかみじょうさんも一緒に万歳しながらドラムスティックを1本投げて下手の袖へ。最後に卓郎さんがフロアのあちこちを見ながら笑顔で上手の袖に消えていった。

 

 

ツアー初日と2日目のさいたま・熊谷公演では本編最後に演奏していたWildpitchをこの日は1曲目に持ってくるなどセトリを大胆に変えつつ、Never Ending Tourのテーマ曲のような役割を担う白夜の日々が自分が観た3公演では全て9曲目に入っていたので、この曲がツアーの核としてどれほど大事に演奏されているかがより伝わってきた。どこにも行けなかった時期に生まれた曲を携えて、これから色々な土地へ行って〈君に会いに行くよ〉と歌い続ける「終わらないツアー」本当に素敵過ぎる。

 

9mmが数えきれないくらいライブをやってきた横浜だからセトリを手加減できない、と卓郎さんが言っていた通りの「元横浜市民として」の気合いのこもったセトリ。最新曲の踊る星屑を演奏してから結成当初横浜で何度も演奏されたであろうBeautiful TargetMarvelousを披露して9mmの初期曲Talking Machine(teenage)Disasterで締めるという、粋でありつつただの懐古では終わらせない流れは本当に凄かった。普段は語られないような横浜での思い出話が聴けたのも楽しかった。卓郎さん達の思い出を共有してもらいつつ、自分は横浜で荒地やカモメを聴けたことで横浜アリーナで開催されたワンマンを思い出したり、ロング・グッドバイや眠り姫がセトリ入りしていたがリリースツアーであるTOUR OF BABELはベイホールからさほど離れていない神奈川県民ホールから始まったことをライブが終わってから思い出したり、9mmと横浜にまつわる様々な出来事を思い出ながら楽しめたセトリだった。

20251116/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年~Never Ending Tour 2025~”@HEAVEN'S ROCK熊谷 VJ-1

     

2020年に開催予定だった、「9mmを待ってくれている人たちに9mmの音楽を届けに行くのが一番の目的」の「終わらないツアー」という趣旨であるNever Ending Tourがコロナ禍による開催中止から5年の歳月を経て遂に始まった。

 

初日のHEAVEN'S ROCKさいたま新都心に続き2日目はHEAVEN'S ROCK熊谷にて開催。初めて来た会場で(熊谷自体も初めて訪れた)サウンドチェックでベースやドラムの音が床にかなり響いて足元から強めに振動が伝わってきたことに驚いた。

この日は後方の中央あたりに場所を取ったがステージがさほど高くないようで開演前の状態ではステージがあまり見えなかったが、ステージにグッズのTシャツと同じ鳥がデザインされているNever Ending Tour用のバックドロップが掲げられていたのは把握できた。ほぼ定刻に場内が暗転。

 

Baby,Please Burn Out

新しい光

ハートに火をつけて

Cold Edge

Scream For The Future

悪いクスリ

Psychopolis

Supernova

白夜の日々

銀世界

眠り姫

それは魔法

Discommunication

The World

カモメ

踊る星屑

名もなきヒーロー

Brand New Day

Talking Machine

Wildpitch

 

One More Time

叫び -The Freedom You Need-

 

真っ赤な照明の中、力強いドラムの音が鳴り響くBaby,Please Burn Outからライブがスタート。床から伝わるベースやドラムの振動のおかげで演奏の迫力をより感じた。初っ端からフロアの盛り上がりが凄まじく、1番サビの〈愛の存在証明を始めていいんだろ〉の後などにはフロアから綺麗に揃った声が上がった。Baby,Please Burn Outのアウトロから音を切らずに激つなぎで新しい光 へ、何とこの時点で前日とセトリが変わっている!激つなぎを境に真っ赤な照明が青に切り替わったのも見事。サビ後の間奏ではメンバーは見えなかったものの掲げられたギターやベースのネックが少し見え、下手から姿を消していた和彦さんが戻ってくる様子も少しだけ見えたのでいつものようにフォーメーションを変えながら演奏していたらしいことが窺えた。

ステージの照明が再び赤色に戻り演奏されたハートに火をつけて、間奏後に卓郎さんが〈手触りだけの「HEAVEN'S ROCK熊谷 VJ-1」は〉と長い店名を早口でしっかり歌詞におさめて歌っていた。ハートに火をつけて から激つなぎCold Edgeへと続き、フェスセトリならハイライト級の曲を序盤で出し惜しみなく続けて披露、という並々ならぬ気合を感じる流れだった。

 

Cold Edgeが終わり一瞬静かになった後、フロアからメンバーの名前を呼ぶ声がたくさん上がった。それを受けて卓郎さんが「卓郎ー!!」と自分の名前を叫ぶと、スタジアムじゃないのに名前呼んでくれてありがとう、というようなことを言っていた。2日連続ライブだったからか、このあたりで「ツアー中は毎回違うことを言おうとしてるから、たまにおかしなことを言ってしまう。」とも。

HEAVEN'S ROCK熊谷に最後に来たのはTOTALFATと一緒にライブした時だった、や2008年にはtelephonesとも一緒に出た、などと思い出を語り、「昨日のライブは(長島)涼平君が観に来てくれた」とも話してくれた。

 

「昨日に続いて天国のドラムを叩きまーす!!」

と、HEAVEN'S ROCKという会場名にちなんだ選曲であるScream For The Future を披露、〈天国のドラムを叩いて〉という一節の後に続くドラムのフレーズが確かにノックしているように聞こえるなと気付いたり、アウトロの最後には卓郎さんが両手でドラムを叩くようなジェスチャーをする様子が見えたりした。

悪いクスリ ではこの日も滝さんがギターに不思議な音のエフェクトをかけて演奏したりサビの〈まわる まわる まわり続ける〉で頭上で指をクルクルと回す観客が何人もいて不思議な雰囲気の歌詞と演奏をそれぞれ楽しんでいる様子がとてもよかった。激つなぎで悪いクスリに続いたのがPsychopolisという、今まで披露されてきたものと逆の繋ぎ方でそんなことできるのか!?とびっくり。前日にはPsychopolisから悪いクスリへの激つなぎだったので完全に予想外で、リリース一切関係ないツアーだとセトリがこんなにも自由に組めると嬉しくなった。Psychopolisの次にSupernovaが演奏されたが、この流れは意外とありそうでなかったリリース順での披露だったので割とライブではお馴染みのSupernovaを、2007年から2008年あたりのリリース当時のことを思い返しながら感慨深い気持ちで聴いた。

 

どのような語り口だったかは失念してしまったが、Never Ending Tourが本来は2020年から始まる予定だったことに触れ、ツアーが始まるよりもコロナの方が始まるのが早くて、出遅れちゃってとあまり重たい雰囲気にならないように話してくれた。

 

そのような話から次の曲はコロナ禍にリリースされた白夜の日々。ステージが眩い真っ白な照明に包まれる中での演奏、自分も含めコロナ禍を思い出していたためか曲が始まってすぐはフロアの雰囲気がだいぶ落ち着いていたが、最後のサビに入る頃にはしっかり盛り上がっていた。当時〈君に会いに行くよ〉と繰り返される歌詞がささやかな祈りのように聞こえて不安な中で勇気づけられていた曲を、5年経ってようやく実現したツアーで、観客がパンパンに詰まったライブハウスで元気に演奏されみんなが自由にリアクションを取りながら聴くことができていることを改めて嬉しく思った。

続いて演奏されたのは銀世界、風景や心情を繊細に描く歌詞とは真逆のような激しい演奏とそれを際立たせる照明の点滅、そして手数の多いドラムから伝わってくる振動の迫力という絶妙な組み合わせを楽しんだ。それに続いた眠り姫 とそれは魔法 はリリースツアー以外の普段のライブではなかなか聴けないこの2曲を続けて聴けるという贅沢もNever Ending Tourならではと思いながら聴いていた。

 

ステージの様子が見えずよく分からなかったが、フロア前方で何らかの反応があったのか?卓郎さんが「ボーカルなのにギターいっぱい換えてごめんね、でも自慢したいから!」と言って歓声を浴びていた。

 

最近アンプラグドのアレンジでやったらかなり良かったから、とDiscommunicationをいつも通りの楽器でアンプラグドVer.(主にアコースティック編成で披露される3拍子のアレンジ)で披露。いつもと同じ楽器を使っているとはいえ歯切れのよいエレキギターのクリーンサウンドが響き普段のDiscommunicationとは全く違う印象で、そこからライブではイントロでエレガントなアルペジオを鳴らすThe Worldへと続いた流れが素晴らしかった。更にカモメ もここで披露し、ギターに深いリバーブをかけどこまでも広がっていくような音色での演奏に引き込まれた。小さめの空間でも壮大さを感じさせる演奏に合わせて空や大海原を思い起こさせるような水色の照明が最後のサビでは朝焼けのようなオレンジ色に変化するという演出も見事だった。

 

ここで卓郎さんが、大人の条件は「自分より弱い人に自分から場所を譲ること」そして「大人の条件は電車で人に席を譲ること」と話した。

 

心なしかちょっと落ち着いたかのようなフロアに向かって「いけるかー!!」そして「踊り足りない奴いるかー!!」と卓郎さんが煽って9mmの最新曲、踊る星屑 の演奏が始まると再びフロアが盛り上がる。9mmのライブそのものを歌ったような曲というような印象を持っていて楽しく聴いているが、先ほどの卓郎さんのMCを受け歌詞の口調は勇ましいが、卓郎さんの柔軟さやバンドの懐の深さを何となく感じさせる歌詞のようにこの日は聞こえた。更に名もなきヒーローからBrand New Dayへと続いた流れは、前々から決まっていたセトリだとは思うけれど、個人的に思うところがあったり、ちょっと不安な気持ちがあったりという時だったのでとても安心したりモヤモヤがスッとなくなるような選曲で感謝しかなかった。

Talking Machineではライブアレンジのイントロで「サポートギター爲川裕也!!」と卓郎さんが叫んだので爲川さんの見せ場があったのだろうか、見えなかったのが残念だったが曲のいいところでサポート紹介が入っていたのがよかった。1番サビ前では卓郎さんが「熊谷!!」と叫んで観客が〈ああ 何べんやっても〉と大合唱で返し更に盛り上がった。本編最後はWildpitch、ただでさえ大好きな曲なのに更にベースやドラムの音が床にかなり響いて足元から強めに振動が伝わってくるという特性の会場だと迫力が桁違いでこの会場で聴けて本当に嬉しかった。音源よりも長く演奏するアレンジのアウトロで轟音爆音の演奏を叩きつけている最中に、お立ち台にたったのか観客の頭の上に姿を表した滝さんが、ギターを高く掲げてヘッドが天井に付くかな?みたいな感じのことをやっていて、とてもリラックスした表情だったので気負わず楽しんでいるのかなとその様子により嬉しくなった。

 

演奏が終わり一旦退場したメンバーがアンコールの手拍子に迎えられて再びステージに出てくると、卓郎さんが再度爲川さんを紹介し「ツアーTシャツはコラボスウェットとの差分でシンプルになっているんだけど裕也の着こなしを褒めようと思ったのにシャツ脱いじゃった!」と言っていて、この日爲川さんが全く見えなかったので素敵な着こなしを見たかったなと惜しい気持ちに。

 

「みんなに歌ってもらおうかな!」と卓郎さんが言って始まったアンコールの1曲目はOne More Time1番で〈後ろの正面立ったの 「熊谷」に決まってる!!〉と歌詞を変えて歌い大歓声を浴びていた。この日最後の曲は叫び -The Freedom You Need-  、セトリに入ることもアンコールの一番最後に演奏されることも意外で驚いた。間奏で演奏が止まる部分は日によって静まり返ったり大歓声が起きたり、卓郎さんが真っ先に叫び声を上げた時もあったがこの日はフロアの盛り上がりがいつにも増してすさまじく、元気いっぱいに観客の声が響くというようないい雰囲気だったので大歓声パターンかなと予想したが演奏が止まると水を打ったように静まり返ったのでその一体感に痺れた。

あたたかい拍手が巻き起こる中、和彦さんがフロアの上手や下手に挨拶する姿が見え、最後に卓郎さんが笑顔で万歳三唱をしてから退場していった。

 

 

どのあたりで出てきた話か忘れてしまったもの。最初のMCHEAVEN'S ROCK熊谷2008年にtelephonesと出たと話していたが、卓郎さんが「17年前にライブやった時は新しい光もCold Edgeもなくて、あの頃にはどうやって盛り上げてたんだ?」と笑い、更に「17年も経つと和彦はサウナに通うようになり。」と急に和彦さんをいじり始めて和んだ。

今後のNever Ending Tourについて、旅行のついでだと思って来てもらってもいいというような話から

「鹿児島とか」と具体的な県名を挙げていたが、ライブが決まってる訳でなく「さっき鹿児島のラーメンの話をしたから。」とのこと。でも必ずNever Ending Tourで鹿児島に行くだろうし、ずっと続くツアーなのだから各々の行ける範囲で旅行感覚で遠方のチケットを取る楽しみもあるなと、今後のツアー日程に期待が高まった。

 

初日から2日連続の開催だったためか構成が同じ部分もありつつ悪いクスリからPsychopolisへの逆激つなぎがあったり銀世界〜眠り姫〜それは魔法という今までになかったような流れがあったりと自由度の高いセトリが楽しかった。HEAVEN'S ROCKという会場名にちなんだScream For The Future、とご当地感もしっかりあって今後も会場名や地名にちなんだ選曲があるのかもしれないと楽しみな気持ちになった。

20251115/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年~Never Ending Tour 2025~”@HEAVEN'S ROCKさいたま新都心 VJ-3

     

2020年に開催予定だった、「9mmを待ってくれている人たちに9mmの音楽を届けに行くのが一番の目的」の「終わらないツアー」という趣旨であるNever Ending Tourがコロナ禍による全公演中止から5年の歳月を経て遂に開催されることに。当時は全国様々な地域を周るツアーが予定されていたが、2025年分としてひとまず関東甲信越北陸地方の会場を回るスケジュールが発表された。

 

ツアー初日はさいたま新都心HEAVEN'S ROCK、初めて来た会場なのでそわそわしながら入場すると結構小さめの会場だったがその割にステージは高めのように見えた。ステージにはグッズのTシャツと同じ鳥がデザインされている、Never Ending Tour用のバックドロップが掲げられていた。

ほぼ定刻に場内が暗転。後方にいたのでステージがほぼ見えなかったが暗転と共にフロア前方に人が移動したため人の頭の隙間から卓郎さんや和彦さんが少し見えるようになった。

 

Baby,Please Burn Out

The Revolutionary

Living Dying Message

Cold Edge

Scream For The Future

Psychopolis

悪いクスリ

泡沫

白夜の日々

銀世界

眠り姫

黒い森の旅人

Discommunication

それは魔法

カモメ

踊る星屑

Answer And Answer

新しい光

Talking Machine

Wildpitch

 

カタルシス

One More Time

 

セトリが全く予想できないツアーはBaby,Please Burn Outで幕を開けた。〈完全燃焼 一片の悔いも残すなよ〉と歌うこの曲を待望のツアーの1曲目に持ってきたのがものすごくいいなと嬉しい気持ちで聴いているとそこから音を切らずに激つなぎThe Revolutionaryへという初っ端から出し惜しみ無しの選曲、この時ステージの様子はあまり見えなかったのでギターソロなどのフロアの盛り上がり方からメンバーの熱演ぶりを想像しながら楽しんだ。

更にLiving Dying Messageへと続き、お立ち台に上がったらしい滝さんが観客の頭の上からひょいと姿を表しギターのネックを一本釣りのように大きく振り上げながら演奏する様子がフロア後方からでもよく見えた。Living Dying Messageからここでも激つなぎCold Edgeへ、という激熱な流れに更に高揚感を煽られた。このあたりで自分がフロア下手後方へ移動したので、曲の終盤には作曲者である和彦さんが演奏する勇姿をしっかりと観ることができた。

 

ここで最初のMC。卓郎さんが9mmがさいたま新都心HEAVEN'S ROCKに出るのは初めてと言っていたのが意外だった。ツアーについては後で話すと予告を入れつつ、「ロックバンドは〈天国のドアを叩く〉と歌うもの」そしてここもHEAVEN'S ROCK、と卓郎さんが次の曲を示唆するようなひと言を入れ

 

「でも9mmは天国のドラムを叩きます!!」

 

その言葉にフロアから大歓声が巻き起こる中Scream For The Futureの演奏へ!滝さんが〈天国のドラムを叩いて〉の部分で後ろを向いていたようだったので、かみじょうさんを指さしていたのかもしれない。全く予想外の形で会場の名前にちなんだ選曲が入ってきてびっくり。そこからPsychopolisへと続きこの時点で既にオールタイムベスト的な選曲に思えて、リリースなどの縛りがないとこんなに自由なセトリになるのかと驚きつつ演奏を聴いていた。

Psychopolisが始まった時点で密かに期待していたが、激つなぎで期待通り悪いクスリが演奏されて思わず声が漏れた。歴代の激つなぎの中でも個人的に屈指の大名作だと思っているので聴けて嬉しかった!どっしりとしたリズムが気持ちよく響く中、滝さんがギターに不思議な音のエフェクトをかけて不思議な雰囲気を作り出していた。悪いクスリ ですっかりリラックスしたところに泡沫を入れるという意表を突くような流れが意外だった。自分のいた位置がボーカルがかなり聴きやすかったので、また悪いクスリとの対比もあったのか、卓郎さんの丁寧に響かせるような歌声がとても強い印象で中盤の一際演奏がスローになる部分も音源よりゆったり、重たい演奏になっていた。

 

おれが紹介するのもと卓郎さんが笑いつつ、Never Ending Tour2020年に開催できなかった原因であるコロナ禍に言及。2020年の6月に、次に演奏する曲を出して、その時のちょうど今頃(202011)には普通にライブできるんじゃないかと思ったけどできなかった、と。

 

そのような話からステージが澄んだ白い照明につつまれて白夜の日々 の演奏へ。ライブで聴けたのが久し振りだった気がして純粋に聴けてよかったなとも思ったが聴いていると〈君に会いに行くよ〉と繰り返される歌詞がこれから様々な地域を訪れるであろうNever Ending Tourのテーマ曲のようにも思えてきて、最後のサビの〈答えひとつ持って 流されずに 生きるために 君に会いに行くよ〉の直後に和彦さんが歌詞に同調するかのように左胸の辺りを拳でトントンと叩いた様子に胸を打たれた。

澄んだ白い照明のまま銀世界が始まり、冬の気配を感じるこの時期に銀世界がセトリ入りしたことも嬉しかったが、季節に合わせてなかなかのレア曲である銀世界を入れられるのもこのツアーならではなのかもしれない。イントロが始まるとフロアから驚きの声が漏れたようだった眠り姫、下手にいたので和彦さんが指板の上で滑らかに指を動かして演奏する様子を楽しむことができた。一瞬の静寂と拍手の後、ギターのトレモロピッキングのような音で柔らかなクリーンサウンドが響くとそこから音源通りのイントロへ繋がるというアレンジの黒い森の旅人 へと続き何となく厳かさも感じさせるようだったこのブロックの選曲に思わず姿勢を正した。

 

卓郎さんが次に演奏する曲について、10月に開催されたフロアライブでDiscommunicationをアンプラグドのアレンジ(主にアコースティック編成で披露される3拍子のアレンジ)でやったんだけど、良かったのでまるで新曲かのようにやります、というような感じで紹介。レコーディングとかはしないけど、アンプラグドのCD(恐らくDVD作品MTV Unpluggedに付属のCD)に激速のバージョンが入っています、当時は若かったから緊張しててという卓郎さんの言葉に和彦さん爆笑。

 

そんな9mmも大人になったと言いつつ演奏が始まったDiscommunicationはいつもの楽器でアンプラグドのアレンジをやるという特別な演奏。緊張で速くなるなんてことは当然なく、歌声をやわらかに響かせる卓郎さんのボーカルとゆったりと聴かせる演奏に気持ちよく聴き浸った。更にそれは魔法 の小粋な演奏が続くという素晴らしい流れ!!フロアの天井にあるミラーボールが空間いっぱいに光の粒を降らせた。今年3月にリリースツアーが終わり聴ける機会もほぼなくなると予想していたので、街が少しずつクリスマスの気配を感じさせるようになったこの時期に再びライブで聴くことができたのが嬉しかった。カモメの演奏も音源よりもゆったりとしたテンポだったように思えて、この3曲で9mmの「大人っぽい」一面を存分に堪能できた。

 

ステージがあまり見えなかったので詳しい様子は分からなかったが、滝さんがティッシュください的なことを言っていて鼻をかんでいたからか卓郎さんがみんなも鼻かんでいいからね。花粉症とかの人もいるだろうしと言っていた。卓郎さんは花粉症ではないとのこと。それに続けて卓郎さんが、何だかしんみりしちゃった、さっきコロナ禍のことを思い出させてごめんね、とフロアに向けてなのか、それとも別の方への言葉なのかは分からないが優しく声をかけていた。コロナ対策期間のライブでもそのように言っていたが、そんな中でもどうにかライブをやっていた当時を思い出しながら、だからこの先何があっても乗り越えられる、というようなことを言っていたのが本当に頼もしかった。

 

「いけるかー!!」から9mmの最新曲、踊る星屑が始まると先ほど一旦落ち着いていた観客が再び踊り出し盛り上がったところにAnswer And Answer、更に新しい光 まで続けて演奏するという全部メインディッシュのフルコースみたいな選曲にテンション爆上がり。サビではフロアから大合唱が巻き起こるとお立ち台に上がった滝さんがフロアのあちこちを力強く指さしたりギターのネックを向けたりして煽り、サビ後やアウトロのキメに入る前には卓郎さんが「いくぞー!!」と言わんばかりの表情で笑った顔をフロアに向けているのがちょうど見えてメンバーも楽しんでいる様子が窺えて嬉しかった。

ライブアレンジのイントロでかみじょうさんがカウベルを多めに入れるアドリブを入れていたTalking Machine1番サビ前では卓郎さんが「さいたま!!」と叫ぶと観客が〈ああ 何べんやっても〉の大合唱を響かせた。最後の曲です!と卓郎さんが宣言すると一瞬Punishmentが始まる前のような雰囲気になったが演奏されたのは和彦さんのシャウトが響いたWildpitch!!個人的にライブの最後に聴くWildpitchが大好きなのと、和彦さんがこの日一番と言っていいくらいに髪を振り乱して大立ち回りしながら熱演する様子に一気に血が滾った。

 

演奏が終わり一旦退場したメンバーがアンコールの手拍子に迎えられて再びステージに出てくると、卓郎さんがこの日のサポートギター爲川さんを紹介しつつ、「セトリやばかったね!」と笑っていて思わず何度も頷いてしまった。

「もう少しだけ9mmにひたひたに浸ってもらおうと思います!」というひと言から演奏されたのはカタルシス、近年の9mmの曲の中でもトップクラスに激しくものすごい音圧の曲でひたひたに浸るどころかどっぷり引きずり込むような選曲に興奮しきり。小さめの箱で聴くカタルシスには余計に迫力がありとにかく「かっこいい」のひと言に尽きる演奏。この日最後の曲はOne More Timeというアンコールにぴったりの選曲で、滝さんは間奏に入る前に「滝ちゃーん!!」と卓郎さんに呼ばれるとそれまで飲んでいたお酒のカップとキャップを勢いよく放り投げギターを弾いていた光景が楽しかった。

 

演奏終了後、フロアにピックを投げながら挨拶する和彦さんと万歳三唱する卓郎さんの姿は見ることができた。卓郎さんは最後までフロアに笑顔で手を振り続けて退場していった。

 

 

この日の1週間前にルナフェスに出演した9mm。まだ余韻覚めやらぬといった感じだったのか、MCではルナフェスの話が色々出てきていた。

Discommunication前に大人になった9mm…というくだりがあった時だったか、卓郎さんが「おれはまだ大きくなってる。こないだJさんに大きくなったな、と言われた!」と話していた。

お馴染みの「いけるかーー!!」はJさんがライブで言っていたのを聞き、「おれたちに足りないものはこれだ!」となってそれ以来19年間言い続けている、来年いけるか20周年Tシャツでも作ろうかな?とも言っていた。是非作ってて欲しい。

ルナフェスにてJさんと9mmがコラボしたからか、卓郎さんが今日はJさんいないけどというような感じで「Jさーん!!」と元気に呼び込み(当然出てこない)更に「SUGIZOさん!!吉井さん!!今井さん!!」と名前を呼んでいた。SUGIZOさんや吉井さんは分かるが今井さん?と不思議に思っているとその後のMC9mmがルナフェスの日にBUCK-TICK3回も、しかもそれぞれ違う人から紹介されたというエピソードを話してくれた。最初はラジオDJ中村貴子さんからBUCK-TICKだよ〜と紹介され、次にJさんにBUCK-TICKだよ〜と紹介され、最後にSUGIZOさんにBUCK-TICKだよ〜と紹介されて、3回も紹介されたから9mmのこと覚えてもらえたと思います!とのこと。いずれBUCK-TICK9mmの対バンが実現する日が来るのだろうか。

 

「終わらないツアーが始まりました!」と、初日を迎えられてよかった、などと遂に始まったNever Ending Tourについて嬉しそうに言及する卓郎さんの姿が嬉しかった。現在発表されている日程に気を遣ってか、「関東ばっかりじゃないかと思われるかもしれないけど」という言葉もありつつ、改めてツアーファイナルがないことや今後リリースツアーがあってもその裏でNever Ending Tourが続いているんだということを話していた。そんな言葉を聞きながらNever Ending Tourの実現、何より大好きなバンドが活動を続ける強い意志がないと実現できない「終わらないツアー」「ツアーファイナルがない」と言い切るツアーをやってくれることに、こんなに幸せなことはないと嬉しい気持ちで迎えた初日だった。