最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

【ツアーネタバレ注意】20260909/9mm Parabellum Bullet“Tour 2026-27「Raison d’être」” @新代田FEVER

       

新曲「レーゾン・デートル」を引っ提げて行われるツアーの初日。このツアーでは公演によって3人と5人いずれかの編成となり、この日は5人編成でサポートギターとして久し振りに爲川さんが出演することが発表されていた。

入場すると既に前方が埋まっていたので上手最後方に場所を取った。ステージにはツアー用の、レーゾン・デートルのジャケットのような柄のバックドロップが掲げられていた。19時ちょうどに場内が暗転しSEのDigital Hardcoreが流れ、ステージはほぼ見えなかったがメンバーが出てきたらしいタイミングでフロアが大歓声に包まれた。

 

Black Market Blues

All We Need Is Summer Day

Answer And Answer

Brand New Day

踊る星屑

ハートに火をつけて

Cold Edge

ロング・グッドバイ

レーゾン・デートル

名もなきヒーロー

Supernova

Everyone is fighting on this stage of lonely

カタルシス

黒い森の旅人

カモメ

One More Time

The Revolutionary

生命のワルツ

Discommunication

Punishment

 

新しい光

Talking Machine

 

ツアーの幕開けとなる1曲目はBlack Market Blues、ワンマンでこの曲が1曲目にくるのは珍しい気がして予想外の選曲。最初からお立ち台に上ったらしく観客の頭の上から顔を出した滝さんが天井のパイプを両手で掴んだりギターを弾きまくったりと元気な様子を見られた。観客の大合唱が巻き起こったAll We Need Is Summer Dayでは卓郎さんが1番サビを歌い終えると 「まだ夏だぞー!!」と叫んだ。

滝さんがお立ち台の上で勢いよくイントロを弾いてから始まったAnswer And Answerは観客がオイ!オイ!と元気に声を上げ序盤とは思えない盛り上がり。Answer And Answerのアウトロ直後に滝さん側のお立ち台へやってきた卓郎さんがギターを弾いて音を切らずにほぼ“激つなぎ”でBrand New Dayへスムーズに続いたのが見事だった。Answer And Answerの〈始まったんだ 何言ってんだ 終わりじゃないのさ〉からBrand New Dayの〈したたか雨に うたれ続けて どこまで行こうか〉へと前向きな歌詞の曲が続いたことにいいツアーにするぞ、という気持ちが伝わってきたような気がした。1〜3曲目はこの日久し振りに9mmのサポートに入った爲川さんが真剣な表情で滝さんの方を見ながらギターを弾いていたが、4曲目のBrand New Dayではとびきりの笑顔で演奏していたのが見えた。

 

ここで最初のMC。卓郎さんが結成22年目の9mmの日!と言って喝采を浴びたり、3日前に人見記念講堂でワンマンライブをやったばかりということもあり今日がツアー初日であることを強調したりしていた。

 

踊る星屑では最後のサビに入ると人の頭の隙間から滝さんが曲に合わせて腕を振っていて前方の観客が真似するように動いていて、何か面白いことが起きていたのかなとより楽しい気持ちに。踊る星屑での青い照明から真っ赤な照明に切り替わると、踊る星屑からスカ繋がりで相性がいいハートに火をつけて へと続いた。ハートに火をつけて のアウトロからロッキーさんが途切れることなくドラムを叩いて“激つなぎ”でCold Edgeへ!長い間お馴染みだったハートに火をつけて〜Cold Edgeの“激つなぎ”アレンジを新体制でも踏襲してくれていたことを嬉しく思った。かなり気持ちが昂ったところに滝さんのタッピングからロング・グッドバイが始まるとフロアが更に盛り上がり、力強いブラストビートを叩くロッキーさんのドラムはこの日一番のとんでもない迫力があり最後方にいても驚くほど圧倒され、演奏の凄まじさと観客の熱狂がものすごいことになっていてまだ前半なのにクライマックス感があった。

 

「なんかペタペタしてるな…パスつけたままだった!今日カメラ入ってるのに!」という卓郎さんの話に和んだ後、このあたりだったと思うがサポートの爲川さんとロッキーさんを紹介し、爲川さんについてはサポート半年振りくらいだよね?と卓郎さんが話しかけているのが聞こえた。卓郎さんが話を続けようとすると急に滝さんのギターが鳴って話を遮ってしまい、滝さんが卓郎さんに謝るような仕草をしたのに対し卓郎さんは明るい声色で「ライブやってたらよくあることだから(笑)」と和やかに話していたが、(話すよりも音楽で、というような意味の言葉)もあり、このツアーからはそのような姿勢でやっていくという卓郎さんの意志を感じた。

 

この日リリースされたレーゾン・デートルをしっかりと9曲目に披露。今年に入ってからずっとライブで演奏されてきたが遂に迎えたリリース日に聴くことができてよかった。レーゾン・デートルから“激つなぎ”で名もなきヒーローへ。間奏のギターソロは滝さんがAメロの歌のメロディーを基にしたようなアレンジで弾いていた。再びフロアにオイ!オイ!と力強い声が響いたSupernovaはイントロや間奏のツインリードをギター3本の生演奏で聴けたことが5人編成ならではの嬉しさだった。

ここまでシングル曲多めの選曲だったのでEveryone is fighting on this stage of lonelyのイントロが聴こえてきた瞬間びっくり。卓郎さんが鋭い眼差しで歌っているところだけはほんの僅かに見え、この日は特にステージが見えなくても会場にいられるだけで嬉しいと思ってはいたが、この曲を5人がどのような表情でどう演奏していたのかは見たかったと惜しい気持ちになりつつ見えない分しっかりと聴く方に集中した。それは次のカタルシスでも同じで、9mmの中でも一際シリアスで壮絶な演奏の2曲をまさか続けて聴けるとは思わずただただ立ち尽くすしかなかった。アウトロで滝さんがフロアに背を向けていたのが僅かに見えたので5人で向かい合って演奏していたのだろうか。

一瞬静まり返った場内で滝さんが黒い森の旅人の、ライブアレンジのイントロをトレモロピッキングで弾き始めると徐々に音が重なっていき荘厳かつ勇ましい演奏を繰り広げた。間奏の後半ではスネアドラム一発に人力でリバーブをかけるかのような叩き方をしていた部分があり、ここでもこれまでの9mmを踏襲してくれているんだなと感謝の気持ちしかなかった。黒い森の旅人の〈燃える朝焼けに染まる海に行かないか〉から海の情景を歌い上げるカモメに続いたので伸びやかな演奏を楽しみつつ何と美しい流れなんだろうかと心を揺さぶられた。

 

演奏が終わり場内が静かになると卓郎さんがオフマイクで、でもはっきりと聞こえるように「聴いてくれてありがとう。」と言ってくれたことにものすごく胸を打たれた。今日だって変な天気なのに集まってくれてありがとう、とも。ここでも、もう話すことあんまりないんだよなと言っていたが、いい演奏をするだけだという気持ちが伝わってくるようだった。この時だったか、ライブをやっているとものすごい盛り上がり方をすることがあり、7〜8年振りにRSRに出演した時にすごく盛り上がった、ずっとこれがいい!という話も出てきていた。

 

「ここまではみんなに聴いてもらってたから次は歌ってもらおうかな!One More Time!!」と卓郎さんが言ってから演奏されたOne More Timeはサビでフロアから大合唱、間奏のギターソロに入る前に卓郎さんに「滝ちゃーん!」と呼ばれた滝さんがお立ち台に上がったので、ギターソロを弾いている時に優しげな笑顔を浮かべていたのを後ろからでも見ることができた。「いけるかーー!!」とフロアを煽ってから演奏されたThe Revolutionaryでは時々人の頭の隙間から見えた卓郎さんが晴れやかな笑顔で歌っていた。

ライブアレンジのクリーンなギターのアルペジオとメロディーから始まった生命のワルツで怒涛の如く押し寄せるような爆音に再び圧倒され、フロアの高揚感を更に煽るかのようにここでDiscommunicationも演奏されてから本編最後にPunishment、今年は3人編成のPunishmentの方を多く聴いていたこともあったからかとにかく速い、まだ速くなるのか!と新鮮に驚くほどの爆速Punishmentだった。間奏ではステージ前方に出てきたらしい和彦さんがベースのネックを立てて弾いているのが僅かに見えた。

 

5人が退場してからアンコールの手拍子がしばらく続いた後にステージが明るくなると、姿は見えなかったが卓郎さんが「名作ができました!こいつら(多分キューちゃん達)何だろうね?リーバもいる」と言うのが聞こえたので今回FEVERと9mmがコラボしたTシャツを紹介していたようだった。

いいツアーになりそう、という卓郎さんのひと言もあってから演奏されて再び爆発的にフロアが盛り上がった新しい光を経てこの日最後の曲はTalking Machine、ライブアレンジのイントロでは先日の人見記念講堂と同じく滝さんが何か元ネタがありそうな明るく軽快なメロディーを弾いていて、何だか分からなかったが笑顔で演奏する滝さんが見えたこともありとても楽しい気持ちになった。サビ前には卓郎さんがFEVER!と〈ああ 何べんやっても〉の大合唱がフロアから返ってきた。

拍手をしながらステージの方を見ていると下手側からフロアへペットボトルが2本投げ込まれていたので和彦さんが投げたのだろうか。5人が退場したらしいタイミングで場内にBGMが流れ始めたが、半分ほどの観客はその場から動かずに再びアンコールの手拍子が巻き起こった。メンバーが出てくることなくそのままライブが終わったが、ダブルアンコールを求めたくなるのも分かるくらい、終わって欲しくない、と思いたくなるようなライブだった。

 

この日がツアー初日であることを念押ししながら、どこかのMCでは「これからツアーを回るけど、新代田が一番盛り上がってた、と言っていきたい!今日でまだ1/1だから、すごく盛り上がってることになるよね!」と卓郎さんが言ってステージから見たこの日の盛り上がりを伝えてくれていたようだった。

ツアーが始まったばかりだが「このあと蒲郡行って(9/13のTREASURE05X)またFEVERに来るけど(9/19のLEGO BIG MORLとの2マン)。LEGOを狩らなくちゃならないから…FEVERよく来るな(笑)」とツアーの次公演の前にまたFEVERに帰ってくることを話して笑いを誘いつつ「ツアー行ってきまーーす!!」とも言ってもらえたので、これから各地に旅立つ9mmのお見送りをさせてもらえたことが本当に嬉しかった。各公演を無事に回ってツアーファイナルでまた東京に戻ってくるのを楽しみに待っている。

       

20260906/9mm Parabellum Bullet“カオスの百年 vol.22” @昭和女子大学 人見記念講堂

      

全国ツアーが始まる直前というタイミングで、久々となる人見記念講堂での開催となったホールワンマン。今年から3人編成と5人編成の2パターンでライブを行なっていて、この日は2部制でどちらもやるという構成であることが事前に発表されていた。

 

ホール内に入ると発表通りステージ上には3人分の機材が設置されていた。定刻に場内が暗転しSEのDigital Hardcoreが流れると激しく点滅する照明に照らされながら巨大なバックドロップが下からゆっくりと上がってきて、巨大な双頭の鷲がステージに現れると卓郎さん、滝さん、和彦さんがステージに登場。この日の座席は1階下手側の一番端で、バックドロップの一部がスピーカーで見切れたが3人の姿はどうにか見えるくらいの位置だった。

 

【3人編成】

レーゾン・デートル

Discommunication

Keyword

夏が続くから

黒い森の旅人

キャンドルの灯を

Lovecall From The World

Supernova

叫び -The Freedom You Need-

The Silence

 

9mmの最新曲でありこの日CDがいち早く販売されたレーゾン・デートルからライブがスタート。巨大なバックドロップを背に3人の演奏で、〈正面突破で突っ込んで 壁を壊すんだよ〉と声高に歌い上げるこの曲を真っ先に持ってきたことで3人の決意表明という印象をより強く感じられた幕開けだった。お馴染みの黄緑の照明がステージと客席を彩り、アウトロでは和彦さんがシャツの裾が翻るほどの大立ち回りを見せた定番曲Discommunicationから割とレアな曲Keywordへという流れが特別感あった。Keywordの間奏では同期で流れる滝さんのギターの音に重ねるように卓郎さんがギターソロを弾きタッピングまでしっかり披露していたように見え客席から歓声を浴びていた。

 

演奏が終わって場内が暗転し再び明るくなるまでの間、客席からはいつもより長い拍手が続いた。

そんな中で話し始めた卓郎さんが結成22周年なのでカオスの百年のVol.22を取っておいたことや、もうすぐ始まるツアーでは3人編成と5人編成でやるので今日先に見てもらおうと思って、と説明し「今日は9mm Parabellum Bulletとの対バン」とこの日ならではのライブについて言及していた。

 

ずっと雨が降っていたので、お足元の悪い中ありがとうございます、でも晴れてたらそれはそれで暑くなっちゃうかな、というような話をしつつ、9月の間にまだ涼しくなるのは寂しいから…という言葉から次の曲を察することができた夏が続くから、淡い水色の照明がステージを照らす中アコギの音が同期で流れ、卓郎さんが最近使い始めたテレキャスターのジャキッとした音とともに軽やかな演奏を繰り広げた。歌に寄り添うように音量抑えめながら2番では手数をより増やしたようなアレンジのドラムは間奏に入ると力強くなり曲に緩急をつけていた。ちょうどこの曲がぴったりな時期に大きな会場で聴けたことが本当に嬉しかった。

僅かな間を挟んで場内に流れたのが黒い森の旅人の、ライブアレンジのイントロをピアノで弾いたものだったのであまりに予想外過ぎて驚くとともに夏が続くから などで同期にアコギを入れたように、この状況だからこそ使えるものを柔軟に活用して新しいアレンジを生み出す様子に純粋に感服。この後の5人編成パートではなく3人だけでこの曲に挑んだことへの気迫を感じる演奏だった。ステージにアップライトベースが運び込まれ、続いてもまさか3人編成でやるとは!という選曲だったキャンドルの灯を。アウトロで和彦さんがアップライトベースを一回転させる光景も実に久し振りだった。

 

場内が暗転して再び長い長い拍手が巻き起こってから、卓郎さんが話し始めた。

「これを言おうか迷ったんだけど、(喉のあたりを指すような仕草で)この辺につっかえて上手く歌えないから。」とぽつりと零すように言ってから本当に慎重に言い方を選ぶような雰囲気を感じさせながら、「おれたちが9mmの過去を否定するわけねえだろ!」と、はっきり言い切った。

 

要約になるが「みんなに向かって演奏してるけど、目の前のお客さんよりもっと遠くに向かってボールを投げるようなつもりでやっていて、いつか本当にしんどい時に曲を聴いて頑張ろうと思えたらいいなって、地球一周して頭にコン、と当たるような感じで届くといいな」というようなことを話し、レーゾン・デートルの歌詞についてはこのような事態になる前、去年のうちに歌詞が書けない自分に向けて書いたけど今の自分達に届くような曲になった、みんなに斜め後ろから愛が飛んでくるようだといいな、というような表現で話してくれた。この状況であんなに語気が強い歌詞の新曲が出てきていたことに聴いた当初は内心ハラハラした部分も少しだけだけあり、この話でそうだったのか…とほっとできたので個人的にはこれがこの日一番聞けてよかった話だった。

 

「今日はおれたちに向けて…9mm!いけるかーー!!!」と卓郎さんが自身を鼓舞するように叫び、観客が呼応するように歓声を上げてそのまま演奏されたのがLovecall From The World、つい先ほどのMCとしっかり繋がるような選曲が見事で、あっという間に駆け抜ける演奏をしっかり追いかけた。Supernovaのイントロや間奏では卓郎さんの演奏と同期で流れる滝さんのギターの音がツインリードを奏でた。CD音源を再現したようなギターの音がイントロや間奏など随所で効いていた叫び -The Freedom You Need-では、特に間奏のあたりが同期に合わせるのがなかなか難しそうな構成だが滝さんが度々カウントを入れてしっかりと3人でタイミングを合わせながら演奏している様子が確認できた。色々な気持ちを抱えながらここまで観ていたが、個人的にリリースされてから何度も困難に立ち向かう時に勇気をもらってきた〈生きることが戦いでも 人が人でいるためには心が必要だろ〉の一節に胸を打たれる感覚は以前と変わらないものだった。

会場全体をを真っ赤に塗りつぶすような照明と徐々に出される音からPunishmentが始まる前のような空気になったが、演奏が始まったのはThe Silenceの静かなイントロで客席がどよめいた。同期も使っているとはいえたった3人で出している音と思えない程の迫力。この時にも間奏ギターソロを卓郎さんが演奏していたようだった。まだライブの前半なのにここでエネルギーの全てを出し切るかのような熱演で最後には滝さんがヘッドホンやドラムスティックを投げていた。9mmの中でもトップクラスに壮絶な演奏となるThe Silenceを敢えて3人でやった、その姿に卓郎さん、滝さん、和彦さんの覚悟や9mmを続けていくことに対する強い執念が見えたような気がした。

 

何年か前に東京で開催されたライブで、卓郎さんが「東京は演奏中は盛り上がるけれど、MCの時にはすぐ静かになって、拍手が鳴り止むのも早いし…それが東京でライブやってるな、という感じがする」と東京公演の拍手の短さをいじったことがあった。この日はMCに入るタイミング2回とも今までにないくらいの、ずっと止まないんじゃないか、ぐらいに長い長い拍手が巻き起こっていた。この会場に集まった人達が、もちろん色々な思いを抱えていたかもしれないがステージ上の3人を讃えたり、感謝したり、応援したいと思ったりする気持ちが鳴り止まない拍手に込められていたように思えて胸が一杯になった。

 

圧巻の演奏を披露した3人が一旦退場すると、20分の休憩を挟むことがアナウンスされ、ステージ上ではドラムセットを換えたりギターアンプを増やしたりと転換作業が進んだ。休憩が終わり客電が落ちると再度Digital Hardcoreが流れて黒い衣装から白いTシャツに着替えた卓郎さんと逆に白いロンTから黒いロンTに着替えた和彦さん、滝さん、そしてサポートギターの武田さんとサポートドラムのロッキーさんが登場。

 

【5人編成】

ロング・グッドバイ

新しい光

Sleepwalk

Black Market Blues

光の雨が降る夜に

The World

Answer And Answer

Brand New Day

Talking Machine

レーゾン・デートル

 

カモメ

太陽が欲しいだけ

 

定位置に着いた5人が音を一発鳴らすと滝さんのタッピングからロング・グッドバイの演奏へ!!先ほどまでの3人編成もなかなかの音量だったが、当たり前かもしれないれど久し振りに観たギター3本の5人編成の音の迫力に圧倒された。ロング・グッドバイに続いたのが新しい光、この2曲は2017年に9mmのライブをお休みしていた滝さんがこの会場で一時復帰してギターを弾いた時と全く同じ選曲だったのであの時と完全に同じ構成ではなくなってしまった無念も一瞬よぎりつつ、9年経って滝さんが完全復帰して同じ曲で元気にギターを弾いている感慨深さを噛み締めた。2回目のサビ後やアウトロのキメでは和彦さん、卓郎さん、滝さんにステージ後方から前に出てきた武田さんも加わり4人が向かい合ってギター・ベースのネックを一斉に高く掲げるお馴染みの光景を見ることができた。

その流れからレア曲Sleepwalkへ。卓郎さんが囁くように歌う〈無駄遣い〉が一瞬静かになったホールに響く様子にこの会場で聴けたことを嬉しく思った。

 

ここで卓郎さんが「サポートギター、武田将幸!HEREのMVがなんかやばそう!」「サポートドラム ロッキー、渡部宏生!」とサポートのお二人を紹介。

「さっき3人編成の9mm君がピアノとか使ってたけど、あのピアノは2013年に滝くんが演奏したものを発掘して持ってきたみたいです。5人編成の9mmは数で押していこうと思います!」と驚きの事実も入れながら先ほどまでのライブについて他人事のように話して和やかに笑いを誘った。

 

Black Market Bluesでは卓郎さんが〈人見記念講堂に辿り着いたなら!!〉と歌詞を変えて歌っていた。5人編成となったことで大きなステージで滝さんや和彦さんが伸び伸びと動いて、ロッキーさんも長い髪を振り乱しながら叩いていた。Black Market Bluesのアウトロから音を切らずにロッキーさんがカウントを入れ、ほぼ“激つなぎ”で光の雨が降る夜に のイントロが始まったので大歓声が巻き起こった。アウトロで滝さんと卓郎さんがお立ち台に上がってツインリードを弾く光景には気持ちが昂った。しっかりとライブ用のイントロから演奏されたThe Worldは真っ白な眩い光が大きなステージを包むような演出も曲によく合っていてホールの大空間で聴けてよかったと強く思った選曲のひとつだった。

 

演奏が終わって少し間を空けてから卓郎さんが話し始めた。「ファンのみんな、ファンっていうけど、おれたちはファンのみんなをお客様だとは思っていない。プリンスがファンのことを『family』のエフエーエムでfamって呼んでたんだけど、でもこの人数で家族っていうのも…(笑)」と言ってから、LUNA SEAはファンのことをSLAVEと呼ぶよね、とこの日会場にお花を贈ってくださったLUNA SEAの名前も出しておれたちは特にファンのみんなに名前は付けないけど、9mmが大変な時に駆けつけてくれて感謝してます、と話してくれた。

 

再びの「いけるかーー!!!」からAnswer And Answer、この状況で聴く〈始まったんだ 何言ってんだ 終わりじゃないのさ〉の一節に前半でのMCを思い出し、何年も前にリリースされたこの曲が今の9mmに届いているのかなと考えた。間奏では和彦さんが足元のモニターを軽々飛び越えてステージ前方へ出てきていた。それに続いたBrand New Dayもここから前向きに頑張っていこうとする今の9mmにとても合っているような選曲に思えた。卓郎さんが1番サビでは〈Brand new day どうか 僕にもひとつください〉と歌ってからすかさずフロアに向かって「みんなにも!」と叫んだ。

お馴染みのライブアレンジのイントロから始まったTalking Machineでは卓郎さんのマラカスの後に滝さんが明るく軽快なメロディーを弾いていて客席が盛り上がっていたので、自分は分からなかったが何か元ネタがあったのだろうか、「Talking Machineのイントロに別の曲を組み込む」も5人編成だからこそできることなので久し振りに聴けてよかった。1番、2番ともにサビの前で〈ああ 何べんやっても〉を観客に歌ってもらうと客席から大合唱が返ってきていた。卓郎さんが「最後の曲です!」と言って本編の最後に演奏されたのは完全に予想外だった2回目のレーゾン・デートル、3人編成と5人編成一度に両方で演奏できるのはこの日しかできないのにそれを事前に全然予想できなくて、その手があったか…とただただ驚いた。サビでは滝さんがギターを弾かずに、卓郎さんに負けないくらいの、この日一番大きな歌声で〈正面突破で突っ込んで 壁を壊すんだよ〉などコーラスパートを全力で歌っていて思わずグッとくるものがあった。

 

アウトロの音が鳴り止む前にギターを置いていた滝さんがまず退場、武田さんとロッキーさんがそれに続き和彦さんは客席全体に挨拶をして、卓郎さんはステージ中央で万歳三唱をしてから退場。

アンコールの手拍子が続く中いつもより早めに5人がステージに再登場。

 

次のツアーで「自分の地元に来てくれない」と思う人もいるかもしれないけど、おれたちはまたすぐにツアーをやってみんなの街にも行く、というような、まだ始まっていないツアーの更にその先を見据えたような卓郎さんの言葉の後に演奏されたアンコールの1曲目はカモメ。本編ではパワフルに叩き続けていたロッキーさんのドラムがこの曲では卓郎さんの伸びやかな歌声に寄り添うような優しさのある音色になっていた。青空や海を思わせるような青い照明が最後のサビになると朝焼けのようなオレンジ色に変わり曲展開の盛り上がりを際立たせていた。

ホールの大空間でじっくりと聴かせる演奏から最後に悪天候を吹き飛ばすような太陽が欲しいだけ  が演奏された。〈さあ両手を広げて全てを受け止めろ〉の部分で客席から無数の手が上がった光景は圧巻で思わず後ろを向いて客席全体を見回した。アウトロの途中で滝さんがギターを置いて下手袖へ向かっていったのと、アンコールの途中で指を気にするような仕草が見えたが、歩きながら曲に合わせてエアドラムのような動きもしていたので不調ではないことを祈った。残った4人がしっかりと締め、笑顔でステージを後にしたロッキーさん、武田さんに続いて和彦さんが再び客席の色々なところを見ながら挨拶するように退場、卓郎さんも客席の端や2階席など隅々まで見て手を上げ笑顔を向けるとステージ中央で万歳三唱をして退場していった。

 

 

3人編成と5人編成の聴き比べ、更に3人編成と5人編成それぞれのレーゾン・デートルを聴き比べられるという特別な内容のワンマン。どんどん柔軟になっていく同期の使い方やたった数ヶ月の間にものすごい勢いでブラッシュアップしていく滝さんのドラムと卓郎さん・滝さん・和彦さんが3人でがっちり肩を組んで困難を乗り越えようとする執念が滲み出ていた3人編成。サポートのおふたりの尽力もあり伸び伸びとした演奏を聴くことができた5人編成。滝さんが最後の方はギターを弾かない部分があったが一公演でドラムとギター両方演奏して計り知れない負担がかかっていたはずで、ギターを置いてもアウトロの締めではリアクションを取っていたので最後の最後まで力を振り絞ってステージに立ってくれたことに感謝の気持ちしかなかった。3人編成と5人編成それぞれに見所があって、これから始まるツアーで自分が行く日がどちらに当たっても楽しみだと思えた。

 

この数日前に公開されたインタビューによって様々な意見が飛び交った。自分もインタビューを読んで「きっとこういう意図なんだろう」と薄々分かっていながらも、今年からの体制変更についてまだ残っている悲しい気持ちが影響を受けてしまってほんの少しだけ落ち込んだところはあったので、卓郎さんがあのひと言を迷った上ではっきり口に出してくれたことを決して喜んではいけなかったかもしれないけれど、明言してくれた瞬間に腹の奥に刺さった何かがなくなったような、変に構えてしまって体に入っていた力を抜くことができたというような、そんな気持ちになったので、はっきりと伝えてくれたことを正直ちょっとだけ、ありがたく思った。

そんな状況の中でも、終盤かアンコールかどちらかのMCだったと思うが、卓郎さんがさっきライブしてた3人編成の9mmはファンの人たちに恵まれてますね、と客席に向かって温かい言葉もかけてくれたことをそれ以上に嬉しく思った。

これから始まるツアーが終わった後に9mmの編成がどうなるか分からないし、みたいな話も卓郎さんがしていたこともあり、この日のライブを観たことでまだ9mmの変化の過程を見ている段階だからこのままツアーを観に行って、その変化を楽しめたらいいなと考えられるようになった。

       

20260801/9mm Parabellum Bullet“GIANT proudly presents Flowers Loft 6th Anniversary” @Flowers Loft Shimokitazawa

       

Flowers Loftのオープン6周年を記念したイベントシリーズを締めくくる公演として9mmがワンマンライブを開催。Flowers Loftの店長さんがかつて渋谷にあり9mmに馴染み深かったclub乙のスタッフさんだったという縁から声が掛かったとのこと。

開演十数分前にはそのスタッフであるじゃいあんさんから前説があり、乙に9mmが大学生の頃から出ているというエピソードや具合が悪くなったら無理しないで知らせてね、という配慮の言葉などがあった。

 

定刻になり暗転しSEのDigital Hardcoreが流れ始めると上手側の袖からメロイックサインをした片手のみが出てきて、それが引っ込んだと思ったらいいちこのカップをお手玉のように投げる手が出てきたので誰の手だったのか察することができた。滝さん、和彦さん、卓郎さんが登場し定位置に着くとフロアの下手側最後方で観ていたのにステージをかなり近いと感じるくらいの距離だったので驚いた。

 

All We Need Is Summer Day

ハートに火をつけて

踊る星屑

Heat-Island

(teenage)Disaster

Supernova

レーゾン・デートル

名もなきヒーロー

夏が続くから

The Revenge of Surf Queen

サクリファイス

砂の惑星

泡沫

幻の光

カモメ

The Revolutionary

Termination

marvelous

Talking Machine

One More Time

 

叫び -The Freedom You Need-

Punishment

 

1曲目がAll We Need Is Summer Dayだったのはだいぶ意外だったが、1番サビを歌い切った卓郎さんが 「今日も真夏日ー!!」と叫んだのでかなりの暑さだったこの日にぴったりの選曲だった。随所でフロアから〈All We Need Is Summer Day〉と元気な大合唱が巻き起こった。そこから音を切らずに“激つなぎ”でハートに火をつけて、最初のサビで卓郎さんが「灰にならないかFlowers Loft!!」と叫んだり、サビ後やアウトロでは同期に重ねるようにリードのパートを弾いたりしていた。ハートに火をつけて からひと呼吸おいてスカ繋がりとなった踊る星屑では卓郎さんが 〈Loftでラタッタッタッタ〉と見事に歌詞を変えて歌いながら盛り上げていた。踊る星屑から再び“激つなぎ”で音を切らずに次の曲へ入ったがそれが何とHeat-Island、序盤から普段あまりやらない初期曲が演奏されたのがバンド初期からの縁がある今回のイベントならではの特別感があった。

 

4曲終えたところで既にフロアの温度がかなり上がっていたこともあったからか滝さんが酸素スプレーを吸っていた。フロア下手側に柱がありステージが見切れるため下手側はややスペースに余裕があり、自分の位置から上手側の様子は見えなかったがそちらに人が密集していたようで、卓郎さんがみんなちょっと詰められる?と観客を下手側へ移動させようとしたら滝さんが早歩きくらいのテンポでドラムを叩き始め和彦さんがそれに乗っかりセッション。観客が卓郎さんの誘導通りに移動したので「移動のテーマができたね!この曲が始まったらみんな少しずつ移動しよう!」と言っていた。みんな同じ料金払ってるんだから周回制にしたらいいのに、スモールワールドみたいに!とも言っていたが、1回で移動できたからか移動のテーマが演奏されたのはこの一度きりだった。

 

渋谷のclub乙は深夜に(teenage)DisasterのMVを録った場所であり、「テレビにギター叩きつけたんだけどギターが意外と壊れなくて、テレビは爆発したけど。」「その時のギターは滝が先輩からもらったギターで(笑)使わないからいいよね、って。」と貴重なMV撮影時のエピソードを話してくれた。

また、9mmの新曲ができた時に乙にお願いして「9mm Parabellum Bullet」ではない変名で出させてもらったことがあったらしく「こないだムロフェスで…」と卓郎さんが話すと和彦さんが瞬時に思い出したと言わんばかりに「ああ!」と反応、すると卓郎さんが「みんなあっち(和彦さん)見てこっち(卓郎さん)見て面白いね、今日はみんな近いもんね。」と観客が和彦さんの声に反応した様子がよく見えたことを面白がりつつ、「声かけてくれたバンドの人がその時対バンしましたって言ってくれた。」と話を続けた。

 

そんな思い出の曲を、という紹介から(teenage)Disasterが演奏され、ライブでは割とお馴染みのこの曲も当時のエピソードが聞けて、演奏中の楽しそうな様子や終盤に和彦さんが笑顔を見せる瞬間など3人も当時を思い出しながら演奏していたのかなと思うとより嬉しかった。卓郎さんの生演奏と滝さんの同期の音によるツインリードのSupernova、と初期曲を続けてからそのままレーゾン・デートルへ。今まではMCの後に披露することが多い気がした9mmの最新曲をこの流れでさらっとセトリに入れていて驚いたがフロアの盛り上がりも含め何度もライブで演奏してかなり馴染んだ感じがありとてもよかった。レーゾン・デートルから“激つなぎ”で名もなきヒーローへと続き、間奏では和彦さんと卓郎さんが前に出てきてフロアが大いに沸き、あまりの盛り上がりにクライマックス感があり過ぎて演奏が終わるとすかさず卓郎さんもまるでこれが最後の曲だったかのように「ありがとうございました!!」とやりきった表情を浮かべ、その後のMCでここからは第二部、みたいなことを言っていて笑った。

 

滝さんが「あついですね」と呟いたのが聞こえたが既に暑かった序盤から更に場内が暑くなっていた。

テレキャスターのようなギターに持ち替えた卓郎さんがこの日の気温の高さに触れつつ、この曲を作った時には今ほど夏が暑くなかったかもしれないけど、本当に夏が続いて欲しいわけではなくて…というような感じのことを言っていたのと、この時だったか次のMCだったか卓郎さんが「夏になるとApple Musicで夏が続くから の順位が上がるからみんな聴いてるんだな、かわいいな。」と笑顔で話していてとても和んだ。

 

爽やかなアコギの同期の音から始まった夏が続くから。アコギのメロディーに合わせるかのように歌声もベースもドラムも穏やかな演奏、そこから徐々に盛り上がっていく展開で特に間奏でアコギの音が歪んだ瞬間からドラムがかなりパワフルな叩き方になり、間奏が終わると波が引くようにスッと穏やかな叩き方に戻る、という緩急の付け方が大変に素晴らしく滝さんの叩く姿に釘付けになった。とても大好きな曲である夏が続くから、現在の編成になってからこんなにすぐにライブで聴けるとは思わなかったので本当に嬉しかった。嬉しさを噛み締めながら余韻に浸ろうとしたらすぐにThe Revenge of Surf Queenの演奏が始まり更に嬉しくなった。曲の中盤では和彦さんが上手側を指さすと卓郎さんがステージ中央に出てきて同期のギターに重ねるようにリードを弾いてフロアを沸かせていた。夏らしい爽やかな流れから一転、意表を突くようにサクリファイスの重厚な演奏が繰り広げられた。

 

夏が続くから以降卓郎さんがテレキャスターのようなギターを使うの珍しいなと思いながら見ていたが、そのギターについてアコギみたいな音するでしょ?夏らしい曲には使うかも、次の曲もこれでやっていい?と2人に許可を取った、と卓郎さんが話していた。元々滝さんがenvyで使っていたギターで、すごくいいギターなので滝さんが手放すと聞いた時に知らない人の手に渡るくらいなら買い取ります!と卓郎さんがお金を払って譲ってもらったもので、Domino Dominoのレコーディングでも使ったとのこと。

 

そのギターでやりたかったという次の曲が砂の惑星。イントロからタンバリンのような打楽器の音が聴こえたがドラムセットにタンバリンのようなものはなかったのでギターの音とともに同期で出していたようで、3人編成でのライブを重ねる毎に同期の使い方がどんどん自由になっているのを純粋に面白いと思った。卓郎さんのギターのシャキッとした音色もこの曲にとても合っていた。砂の惑星 のしなやかな演奏から泡沫でガラッと雰囲気が変わり、コンパクトで天井低めの空間に青い照明が当てられると歌詞を表すかのような水底感も出ていた。最後のサビで卓郎さんが一際感情を乗せるように〈どこまでも沈めてくれ〉と歌った一節に強く引き込まれそのまま繊細なアコギの同期から始まり卓郎さんが柔らかく歌い上げる幻の光 へというじっくりと聴かせる流れ。

次の曲へ行く前に滝さんがお酒のおかわりが欲しい、みたいな仕草をして、それを見た卓郎さんが「次の曲はいいちこが合うもんね。」とひと言。そんな流れから演奏されたのがカモメだったので「いいちこが合う」にも納得。ギターではなく滝さんのドラムから始まり、他の曲よりも元の音源のドラムのアレンジがだいぶ変わっていたが、余白のあるアレンジが伸びやかな歌のメロディーを際立たせるようでこの編成ならではの良さがありその違いを純粋に素敵だなと思いながら聴いていた。

 

このあたりだったか、卓郎さんが改めてFlowers Loftの6周年を祝い、6年前ってことはコロナ真っ只中にオープンしたってことだよねと大変な時期を乗り越えて営業し続けていることに触れていた。

9mmがツアーを控えていることにも触れ、日によって5人編成だったり3人編成だったりするが、3人編成だとライブで久し振りにやる曲も早く届けることができる、というような前向きな見方を示し、9月6日には3人編成と5人編成どちらもやる、ツアーのプレ公演のようなライブをやることを告知した。5人編成の日もあるという話で「武田くんは名誉会長で、裕也は…名誉総裁?ロッキーは名誉ロッキー!」と爲川さんとロッキーさんにも役職を付けようとしてメンバーより偉くしようとする、代表取締役より上、みたいな、と言って笑いを誘った。そして久し振りにやる曲をたくさん入れたこの日のライブを「今日はツアーのプレ-プレ公演」とも。

 

卓郎さんの「いけるかーー!!」に呼応するかのようにベースを鳴らした和彦さんが自分のすぐ頭上にあるスピーカーに軽く頭突きするような仕草を見せてから、オープン6周年を祝うイベントに相応しいめでたさのThe Revolutionaryが演奏されて清々しい気持ちに。間奏で卓郎さんがステージ前方に出てきてギターソロを弾くのを和彦さんと滝さんが後方で笑顔で見ている瞬間があった。Terminationではサビに入ると和彦さんがみんな歌ってるかな?と言いたげな表情で大合唱する観客を覗き込んでいた。間奏に入ると和彦さんが卓郎さんを指差してそちらに注目を集め、卓郎さんがギターソロを見事に弾ききった。赤い照明を浴びて立ち上がった滝さんがタムをダン!ダン!とかなり強い音で叩き続けてから演奏された初期曲marvelousは3人とも大きく動きまくりこの日一番の獰猛なパフォーマンスでステージが近い分より迫力がものすごく圧倒された。marvelousからすかさずTalking Machine へ続く、“激つなぎ”という呼び方が生まれる前から定番の初期曲の並びがきて嬉しかった。イントロでは滝さんのいいちこの蓋を一瞬卓郎さんが開けてあげるなどリラックスした雰囲気もあったのもよかった。

急に和彦さんが人差し指を立てたので不思議に思っていたら本編最後の曲がOne More Timeだった。滝さんが立ち上がってドラムを叩く場面もあったほどの熱演ぶり、和彦さんはサビでいつものようにフロアを覗き込むように観客が大合唱する様子を確認したり、すぐ近くにある柱にもたれかかりながら無邪気に笑ったりしていた。間奏に入る直前の〈ほら出番だよご主人様〉から「ギター、おれ!!」と叫んでギターソロを弾き、和彦さんはモニターに座って弾きながら卓郎さんを眺めていた。

 

アンコールの手拍子が続く中一旦退場した3人が再びステージへ。場内の至るところに8月6日にLIQUIDROOMで開催される9mmとw.o.d.の2マンのフライヤーが貼ってあったのでLIQUIDROOMはここより人がたくさん入るでしょ?3倍くらい?とフロアに話しかけるともっと入るよというような反応が返ってきたらしく、ここにいるみんなが全員入るね、と告知を入れていた。

 

アンコール1曲目、叫び -The Freedom You Need-のイントロのアンビエントのような同期の音が流れ始めると滝さんが指で1,2,3…というように数字を作ってカウントしてから演奏に入っていて、3人でタイミングを合わせるのが難しそうなこのイントロを工夫して演奏している様子を見ることができた。ライブを締めたのはやはりPunishment、間奏で卓郎さんと和彦さんが前方へ出てきた光景に高揚感を煽られフロアが熱狂する中で最後の最後までものすごい速さでベースを指弾きする和彦さんに釘付けになった。

 

ドラムセットの方から滝さんがシンバルをひとつ持ってきてステージ中央に置いてスティックで叩いてから退場。知らないうちに置かれていたシンバルにびっくりしつつ和彦さんも一発叩いてから退場。最後に卓郎さんがシンバルの横に立つと万歳三唱で手を下ろす時に手をシンバルに当てて音を出していた。

3人が退場すると再びアンコールの手拍子が少し起きたが、じゃいあんさんがライブの終わりを告げつつ自分もみんなと同じ思いだ、こんなバンド他にいないよね!と3人を讃えていた。

 

場所は変われど9mmと乙の長年の縁があり、最初から最後まで主催のじゃいあんさんの9mm愛に溢れていて、9mmの3人も終始ホーム感ある雰囲気で、どこかのMCでは滝さんがほぼオフマイクで「オープン当時からよーく知ってますから」「エレベーターで搬入できる!」Flowers Loftへの愛着を滲ませていて、それぞれにとって念願のライブだったことが伝わってきた。6周年おめでとうございます!!

20260612/9mm Parabellum Bullet “F.A.D30周年シリーズ 9mm Parabellum Bullet ONEMAN LIVE” @F.A.D YOKOHAMA

       

オープン30周年を迎えたF.A.Dが、2026年6月を30周年イベント月間として様々なライブを開催、その一環で結成当初から現在に至るまでF.A.Dに何度も出演している9mmがワンマンライブを開催。

リリースに関連しないワンマンなのでセトリの予想がつかないながらも場所柄初期曲が聴けるのではと期待。入場して下手側の段上に場所を取りステージを見るとF.A.D30周年のロゴが描かれたバックドロップが掲げられていた。19時ちょうどに場内が暗転し滝さん、和彦さん、卓郎さんが登場。

 

(teenage)Disaster

Black Market Blues

踊る星屑

Heat-Island

太陽が欲しいだけ

All We Need Is Summer Day

サクリファイス

インフェルノ

レーゾン・デートル

The Revenge of Surf Queen

Keyword

Domino Domino

幻の光

The World

カタルシス

Baby,Please Burn Out

Termination

叫び -The Freedom You Need-

Talking Machine

Wildpitch

 

The Revolutionary

Punishment

 

滝さんがドラムセットのハイハット側に置かれたパッドを叩いてからカウントを入れて演奏されたのは9mm最初期の曲(teenage)Disaster、期待通りの選曲をいきなり聴けてしまった。続くBlack Market Bluesでも〈Flower and Dragonに辿り着いたなら!!〉と卓郎さんがF.A.Dの正式名称を早口で入れて歌っていたことに結成時からの付き合いであるF.A.Dに捧げるセトリというような特別感があった。真っ赤な照明が青色へ切り替わった踊る星屑では最後のサビ前に卓郎さんが「横浜!」と煽りフロアを一層盛り上げていた。初期曲→定番曲→新しめの曲、と序盤にして絶妙な選曲の構成に唸ったところで僅かに間を空けて滝さんの速いカウントからHeat-Islandの演奏が始まるとフロアのあちこちからどよめきの声が漏れた。滝さんのパンク感ある叩き方でのHeat-IslandがF.A.Dと相性がいいような気がした。

 

ここで最初のMC。この時だったか「F.A.Dはオーディションからライブ出ていて、最初は面白い対バンに出させてもらえなくて、Lizardに行くかって(笑)」という卓郎さんの暴露に和彦さんが人差し指を口に当てシーッ!というジェスチャーで返すとマイク通さないで言えばいいか、と卓郎さんがマイクから離れていったが、既に閉店してしまっている系列店のClub Lizardの名前も出しながらそんなことを言えてしまうくらいに関係の深い場所であることがよく伝わってきた。

 

この日は午後に雨が降ったからか、卓郎さんの「お足元の悪い中お越し頂きありがとうございます。こんな時に欲しいのは太陽だよな!!」というような煽りから演奏された太陽が欲しいだけ が盛り上がらないわけがない!観客がミチミチに詰まったフロアで〈さあ両手を広げて全てを受け止めろ〉の一節でたくさんの手が上がった光景は圧巻で、卓郎さんもその光景を笑顔で見ていた。太陽が欲しいだけ からAll We Need Is Summer Dayへという見事な流れにフロアから〈All We Need Is Summer Day〉と元気な大合唱が巻き起こり1番のサビ終わりでは卓郎さんが「夏を先取り!!」と叫んだ。

サクリファイスは原曲よりキーをやや下げての演奏、終始力強い歌と演奏だったが最後の〈足掻き続けて 生き抜いてみせるだけ〉の一節を卓郎さんが歌声と表情により一層の力を込めて歌い上げていた様子に胸を打たれた。サクリファイスからインフェルノへ、ベルセルク主題歌を続けて聴けるという豪華な流れ。〈運命を喰い破れ いくらでも悪あがけ〉という一節につい今の9mmの姿を重ねながら聴いてしまった。

 

インフェルノでのバスドラ連打など激しい演奏を披露した滝さんが、卓郎さんと和彦さんのチューニング中にひと息つくような仕草をしながら水とお酒を交互に飲んでいた。暑い!とも言っていたようでステージ上の熱気がどれほどか窺えた。

「サクリファイスとインフェルノ、カタカナシリーズで。ベルセルクの方じゃなくて(笑)」と戯けた卓郎さん。カタカナシリーズとして新曲のレーゾン・デートルの話になり、作ったのは去年でライブではやっているけど、F.A.Dに新曲を染み込ませないといけないからね、と会場への愛着を感じる話からこの日の9曲目にレーゾン・デートルを披露し、F.A.Dのフロアに決意表明のようにも感じられる勇ましい演奏を響かせた。

それに続いたのが何とThe Revenge of Surf Queenでイントロが始まった瞬間驚きの声を漏らした。曲が始まって観客が手拍子する様子に笑顔を見せた和彦さんが、手拍子が終わるとキリッとした表情になって演奏し、また途中で手拍子が起きると再び表情が緩んで笑顔でフロアの様子を見る…という変化にこちらも笑顔になった。和彦さんがそれほどフロアの様子をよく見ているんだなというのが伝わってきた。中盤のギターソロのような部分では滝さんのギター音源に重ねるように、ステージ真ん中のお立ち台へ出てきた卓郎さんがソロパートを弾いていたのがものすごく良かった。

The Revenge of Surf Queenから音を切らずに“激つなぎ”でKeywordへというこれまた予想外の流れ、間奏のギターソロでは前半は滝さんのギター音源、後半は卓郎さんがそれに重ねるようにソロパートを弾いてタッピングまで披露し喝采を浴びた。Keywordのアウトロから滝さんがバスドラを少しテンポを落として踏む音がしばらく鳴り響いてからDomino Dominoへと続き、かっちりとしたリズムが心地よかった演奏を聴きながらこの会場で観た「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」のリリースツアーを思い出していた。

 

「耳のいい人は気付いたかもしれないけど、滝のギターを録り直しました。6月のライブ分から。」と卓郎さんから衝撃の告白があった。こないだ名誉会長が来賓して…と言いながらギターの音がよかったことを褒めてもらえたと武田さんの口調を真似しながら話していた。

これからは5人編成もやっていくけど3人編成の方が自由な感じがある、というような話から、音源でアコースティックギター入れている曲はアコギも入れちゃえばいいんだ!と言ったり、それをライブで聴かせることを人体実験と呼んで笑いを誘ったりしながら演奏が始まった幻の光 ではイントロで繊細なアコギの音が鳴り、曲が進むと会場の特性もあるのか生演奏が爆音だったのでアコギ音源の音はほんのり聴こえる程度になったが、その音色と卓郎さんの柔らかな歌声でCD音源の儚さもあるようなイメージに今までよりも寄った新しいアレンジが聴けたのは嬉しかった。〈さよならさえ告げないうちに消えた〉の一節を今歌われるとまだ寂しくなってしまうのも正直なところだった。

相変わらずライブアレンジのイントロが美しいThe Worldは曲の後半〜終盤になるにつれドラムを筆頭にどんどん演奏が激しさを増し、繊細な印象もあった幻の光 からグラデーションのように音色が変わる様が素敵だった。

不穏な雰囲気を作り出すような音が鳴ってから演奏されたのはカタルシス。3人体制になってからのカタルシスは以前一度聴いたが、その時よりも中盤の展開などドラムの緩急がかなりくっきりとしていて滝さんのドラム経験値がものすごいことになっていて、短期間での滝さんのドラマーとしての進化を目の当たりにして圧倒された。

 

ここで卓郎さんが何を話していたか失念してしまったが、卓郎さんが話している間に滝さんが、それまで被っていた黒いキャップを「いいちこ」と書かれた緑色のキャップに変えていた。

「いけるかーー!!!」とフロアを煽ると力強いドラムにベース、ギターと音が重なっていくBaby,Please Burn Outへ。イントロや間奏、サビの要所要所やライブも後半に入り完全に温まったフロアから\オイ!!/と声が上がった。Baby,Please Burn Outから“激つなぎ”でTerminationへと続いたのでフロアが更に爆発的に盛り上がり、サビでは大合唱が巻き起こった。間奏ではここでも卓郎さんがギターソロを披露、この時だったか和彦さんが卓郎さんを見て!と言わんばかりに指差して見せ場を目立たせていた。音源を再現したかのようなギターの音から入った叫び -The Freedom You Need- のイントロに再びF.A.Dでリリースツアーを観た時のことを思い出したが、間奏で演奏を一時停止せず事前録音のギターを生かしてほぼ音源と同じ構成で演奏されていたのがこの編成ならではだった。続くTalking Machineは滝さんのドラムからライブアレンジのイントロへ続いたが3人編成になってからこのアレンジで聴けたのが自分は初めてだったので、ギターを録り直したことでまたできるようになったんだなと驚いた。ただでさえ盛り上がる曲だけれどアウトロに入るとフロアの爆発的な盛り上がりに呼応するように滝さんがバスドラを多めに連打する激しい演奏になっていった。

Talking Machineで本編が終わってもおかしくないような雰囲気だったが滝さんのカウントと和彦さんのシャウトからWildpitchへ!間奏では滝さんのギター音源&卓郎さんのギター演奏によるツインリードに途中から更に和彦さんのベースもハモって全員リードという状態になっていたのがとにかくものすごく良くてライブアレンジの長いアウトロまで興奮しきり。

 

演奏が終わって3人が退場し、少し長めにアンコールの手拍子が続くと黒っぽいTシャツから白いTシャツに着替えた卓郎さん、キャップを「いいちこ」から「下町のナポレオン」と書かれたものに変えた滝さん、そして和彦さんが再びステージへ。

卓郎さんが、これから9mmが初めて対バンするバンドとかとライブすることがあったら応援しに来てください、と対バン多めの今後のスケジュールに触れたり、下手にあるバーカウンターの方を見ながら「その辺に貼ってあると思うけど、30日間休みなくライブをやるって、すごいよね!ASPARAGUSの忍さんは3回出るって、アスパラ、キャプヘジ、キャプヘジで(笑)9mmも3回出たいよね!」と言いつつ、建物の取り壊しなどでなくなるライブハウスもある中で30年続くのはすごいことだ、とF.A.Dを讃えるような言葉もあった。

 

この日のアンコール1曲目The Revolutionary にはF.A.Dの30周年を祝うライブに相応しい晴れやかさを感じてより清々しい気持ちになった。〈世界が変わっても おれはおれのままさ〉の部分を歌った卓郎さんがびっくりするほど柔らかくてとびきり優しい笑顔だったのが忘れられない。卓郎さんと滝さんが溌剌と歌い上げるサビから間奏に入ると和彦さんがドラムセットの横へ移動し、ギターソロを弾く卓郎さんをリズム隊の滝さんと和彦さんが後ろから支えるような構図に見えたのがとてもよかった。

この日最後の曲はPunishment、ライブアレンジのイントロ部分で滝さんが片手でドラムを叩きながらお酒を飲み、空のカップを投げてから手数の多い演奏に入るという気合の入れようで、卓郎さんがギターを掻き鳴らし和彦さんが爆速フレーズを弾きまくり滝さんは同期の音を追い越しそうな勢いでドラムをぶっ叩き最後の最後までフロアを沸かせた。

 

演奏終わるとヘッドホンを投げるように取った滝さん、フロアに流れるお馴染みのMy Wayに合わせてドラムを叩くとそれを聞いた卓郎さんも乗っかってマイクを通してちょっと歌ってくれた。滝さんが退場、和彦さんもフロアにピックを何枚か投げて退場しステージに卓郎さんがひとりで残ると、ステージ中央で万歳三唱をやってからオフマイクでMy Wayを気持ちよさそうに歌っていた(もしくは歌うフリをしていた)のでかなりレアな光景を見られてしまった。最後にありがとうございました!とフロアに笑顔を見せて退場していった。

 

 

9mmが3人編成になってから半年くらい経ち今後5人編成でライブをやる日もあると発表されている中、この日卓郎さんが言った「6月のライブから滝のギターを録り直した」という話が本当に衝撃で、ライブ用のギター音源を録ることがかなり大変だったと滝さんが言っていたので、それをもう一度ワンマン一本分やったということが驚きだった。ギターを音源で流すスタイルを自由だと捉え新しくアコギを入れるという柔軟さも取り入れ、「9mmを続けるための3人編成」というところから短い期間でどんどん演奏やアレンジを磨き上げて進化していく様子を見られたことは純粋に楽しかったし、やはり3人のライブに対する執念も感じた。

卓郎さんが間奏などでリードを担う曲も増えたような気がしてそのような見所も多くなっているのが凄い。どの曲でのことだったか失念してしまったが、卓郎さんがステージ真ん中でギター弾いた後に、ギターで撃ち抜くかのようにフロアにヘッドを向けた瞬間がとてもかっこよかった。

 

どのあたりだったか、最近卓郎さんが 当たり前のように身の回りにあるものをおすすめする遊び をやっていると言っていた時があり(今発見したかのようにスプーンっていいよね!とか電車ってすごい…というリアクションで言い合うらしい)そうするとだんだん感動の閾値が下がってきて、F.A.Dおすすめだよ!9mmおすすめだよ!とおすすめしやすくなるよ、というような話になっていった。

 

中盤のMCのどこかで、卓郎さんが「滝と和彦にF.A.Dの思い出で言えるやつで何かある?と聞いてみた。」と話し始め、滝さんは昔対バンしたバンド(確かモンゴル◯◯みたいな名前だった)の曲だと言ったそうで、卓郎さんに促されるとドラムを叩きながら、

 

〈就職活動したくな〜い 就職活動したくな〜い 就職活動したくな〜い IT企業に入 れ て く れ!〉

 

という感じの歌詞を歌い始めてフロア爆笑、から滝さんの珍しいドラムボーカルに拍手喝采。それと、F.A.Dの落とし物の中からセパルトゥラのTシャツをもらったことがあるが、以前KEMURIと対バンした際にKEMURIのメンバーの方とそのTシャツが被った話もしてくれた。

和彦さんはF.A.Dに忘れ物を取りに来たらその日がPOLYSICSのライブでメンバーの素顔を見てしまったこと、を挙げていた。卓郎さんは以前対バンしたパンクバンドがMCに困ったのか、悟飯を守るピッコロさんのモノマネをしていたこと(ちょっと似てたらしい)を話し、和彦さんも覚えてる!というリアクションを取っていた。

 

終始卓郎さん達のF.A.Dへの愛着が感じられて、9mmとF.A.Dの微笑ましい思い出話や今は無き系列店のClub Lizardの名前を久し振りに聞けて、F.A.Dの30周年を祝うめでたい雰囲気もあったのが特別感あって楽しいライブだった。9mmの次のツアーでもF.A.Dでの公演が決定しているのを思い出しまた近いうちにF.A.Dで9mmを観られると嬉しい気持ちになった。

20260317/9mm Parabellum Bullet “Live「E」2026” @CLUB CITTA'

    

2026年の317=9mm結成記念日は、これまでにリリースされた楽曲の中で収録曲順が偶数(Even=偶数)の曲のみを演奏する“LiveE2014年の武道館公演以来12年振りに開催。

昨年99日には“LiveOを開催していてその対となるライブだが、昨年と違い9mmの体制が変わるというまさかの事態があったためどんなライブになるのか予想がつかないまま当日を迎えた。

 

場内に入るとステージには大きな会場用の巨大なバックドロップが既に掲げられていた。下手側の一番端、スペースを区切るための柵があったところに場所を取り3人とフロアを斜めから見るような位置を取った。

19時を少し過ぎたあたりで場内が暗転しSEDigital Hardcoreが鳴り響くとまず滝さんが、続いて白いロンTを着た和彦さん、和彦さんと同じ柄の白い半袖Tシャツを着た卓郎さんがステージに登場。

 

名もなきヒーロー

Survive

Lost!!

Grasshopper

Vampiregirl

One More Time

Cold Edge

Story of Glory

レーゾン・デートル

誰も知らない

The Revenge of Surf Queen

Snow Plants

Domino Domino

Muddy Mouth

命ノゼンマイ

カタルシス

煙の街

Scenes

君は桜

The Revolutionary

叫び -The Freedom You Need-

Talking Machine

 

Discommunication

Punishment

 

 

9mm22周年は名もなきヒーローで幕を開けた。〈新しい季節だから〉という一節がこの時期にもよく合う選曲で、ピンクと水色を基調として差し色に赤を使った照明がいつも通りにステージを彩る中、

〈勝ち目が見当たらなくたって 逃げたくないから笑ってんだろ〉

〈明るい未来じゃなくたって 投げ出すわけにはいかないだろ〉

など歌詞のあらゆる言葉が今の卓郎さん達の気持ちを表しているようにしか思えなかった。名もなきヒーローから音を切らずに激つなぎで何とレア曲Surviveへと続いてびっくりしたが〈そして心決めて走る 谷底への道のりも〉など名もなきヒーローからの流れでこの曲も今は3人で活動すると決めてステージに立っている卓郎さん達の覚悟を感じるような選曲に思えた。

それに続いたのが一転して歌詞に強烈な迷いの言葉が並ぶLost!!で、今度は新体制の9mmに対して様々な気持ちを抱えている自分の心がかなり刺激されてしまったが、1曲目から笑顔を見せたり気合を込めるようだったりと表情を変えながらここまでドラムを叩く滝さんの姿やサビで〈おれが向かってんのは「クラブチッタに決まってんだろ!!」〉と歌詞を変えて歌い歓声を浴びる卓郎さんの姿は頼もしく、何か意味があるわけではなくただ偶数曲だからやってるんだと気持ちを切り替えて演奏の様子を観ていた。イントロでまた驚かされたGrasshopperはつい作曲者である和彦さんに釘付けになったが、1番サビ後にベースでメロディーを弾く和彦さんにスポットライトを当てて演出でも和彦さんを目立たせている場面があった。間奏でもそのまま和彦さんを観ていると急に和彦さんが上手側を指さしたのでそちらに視線を移すと、ギターソロの途中から卓郎さんが同期に重ねるようにソロパートを弾いていた。

 

ここで最初のMC。十何年振りかのLiveE」開催でと卓郎さんが話し出すとフロアから聞こえてきた大雪で行けなかった!という大きな声に卓郎さんが反応したが、他にも大雪で行けなかった組の人いる?とフロアにいる全員に話を振って手を上げてもらっていたのが優しかった。全然気付かなかったが、ここまでアルバムの2曲目の曲しかやってないことが明かされて2曲目縛りでこんなにすごい選曲になるのかと目を丸くしていると卓郎さんが作曲者たちがいますから、と笑顔で言い

「滝が言うには、2曲目にハズレなし。」

「和彦が言うには、2曲目は偶数界の1曲目だから。」

と嘘か本当か分からない言葉で会場を和ませた。

 

まだ2曲目を演奏したい、的な前振りから演奏されたのは「VAMPIRE」の2曲目であるVampiregirl 、間奏のギターソロ後半では卓郎さんが同期のギターの音にハモるようにメロディーを弾いていた。「TIGHTROPE」の2曲目であるOne More Timeではサビで定位置より少し前に出てきた和彦さんがフロアのあちこちを見ながらやれんのか?と言わんばかりに煽り、フロアから大合唱が返ってくると満足気な笑顔を見せていた。その後間奏で和彦さんがドラムセットが乗っている台に座って演奏していたのはこの時だったか。間奏に入る時に卓郎さんが「滝ちゃーん!!」と言わなくなったことにはまだ慣れることができない。フロアに\オイ!/と元気な声が響いたのは「Revolutionary」の2曲目であるCold Edge、間奏では和彦さんが姿勢を屈め「川崎ーー!!!」と思いっきりシャウト。

真っ青な照明が一瞬で赤に変わりイントロでついハッとしてしまった「BABEL」の2曲目であるStory of Gloryはリリース時の、9mmが今とは違った困難と立ち向かっていた状況を思い出して無意識に構えてしまった。卓郎さんが少し柔らかい声で歌った〈ちょっとだけほっとして吐いた弱音〉の一節を聴いた瞬間、2月の五反田ワンマンで卓郎さんが

「おれは普段は全然緊張しなくて、ライブもたくさんやってきたからライブでも全然緊張しない。」

「でも3人でみんなの前に出るのは、ちょっと、怖かった。」

と言っていたのを思い出して涙が止まらなくなった。その後にドラムを叩きながらほとんど叫ぶように〈おれたちは今夜無敵なんだ!!!〉と歌った滝さんの姿にも胸を打たれた。

 

ここまで演奏した8曲全てアルバムの2曲目だったので、「でも偶数には2以外もありますから。おれは数字には強いから。みんな知ってた?0って偶数なんだよ。」と卓郎さんが言うとフロアが何となくそうなんだ〜という雰囲気に包まれた。

「新曲をやりたいんだけど、まだリリースしてないから0曲目ってことで、今日演奏してもいい。シングルになったら奇数だしアルバムの曲順が奇数になっても後から怒らないでね(笑)」

 

そんな捩じ込み方があまりにも盲点だった新曲レーゾン・デートルをしっかり9曲目に披露。歌詞が聞き取れるようになると今までの9mmとは少し違う雰囲気の口調に意外さを感じるが、真っ直ぐに突っ走るような曲調と聞こえてきた〈正面突破で〉や〈茨の道を行く〉のような単語にはやはり覚悟を決めて止まらずに活動を続けている3人そのものを歌った曲のように思えてしまう。激しいドラムのフレーズから始まったのはレア曲誰も知らない、しかも2023年頃に披露されていたイントロが音源よりも手数の多いバージョンという予想外の選曲とアレンジ!卓郎さん作詞・作曲の誰も知らない もセトリに入れて偶数曲という縛りがある中でも和彦さん・卓郎さんが作った曲もしっかり聴けたのは嬉しかった。

爽やかな水色の照明がステージを照らしまさかこの体制でやるとは思わなかったインスト曲The Revenge of Surf Queenのイントロが始まって驚いていると卓郎さんが「間違っちゃった!」と音を止め、ひと呼吸置いてから滝さんがオフマイクでいきますよー、と言ってカウントを入れてから再度演奏へ。自分のいた位置の関係かこの日同期で流れるギターの音が少し小さめだったので、後半あたりで卓郎さんが同期のギターに重ねるようにメロディーを弾いていた部分がよく分かった。

 

このあたりだったか。フロアから「ステージ撮ってる人がいる!」とまた大きな声が聞こえてきて、卓郎さんが「いい趣味してるじゃん〜。撮らないでね、撮っていいバンドもあるけど。頼んだよ。」と険悪な雰囲気にならないように、かつピシャリと注意して場を収めていてさすがだった。

 

卓郎さんが次の曲をやろうとしちゃった、季節感がだいぶ違った、というようなことを言ってから演奏されたのがSnow Plantsで納得。感傷的になってしまいそうな歌詞に穏やかなベースラインや粉雪の舞のようなメロディーと思いきや後半になるにつれドラムがかなり力強くなり猛吹雪のような演奏に。バスドラムのリズムに次の曲を察し天井のミラーボールを見上げると、ベースのフレーズが始まると同時に照らされたミラーボールがフロアいっぱいに光の粒を散らす、リリースツアーと同じ演出でのDomino Domino。久し振りにライブで聴けた嬉しさもあったが個人的に好きな一節〈僕は 願いの あきらめ方を 知りたい〉を今この状況で聴くのはとても辛かった。

フロアが明るく輝いていたDomino Dominoから暗くなって赤一色になったステージからベースの重たい音が響くともはやいつ振りにライブで聴けたか分からないくらいのレア曲Muddy Mouthへ。ギターの音源も流しているとはいえ3人でもかなりの爆音で、特にベースの歪んだ音はかなりの迫力があり完全に圧倒される演奏だった。

だいぶシリアスな雰囲気になった中で卓郎さんが「次の曲に行く前に…Muddy Mouthが何年振りだったか知ってる人あとで教えてください。」と言うのでちょっと気持ちが和んだが、ここから更にディープになっていくというような煽りから始まったのが命ノゼンマイ、新体制ではまだやらないだろうかとぼんやり考えていた曲がまさかのセトリ入り。卓郎さんのゆったりとした歌声と曲が進むにつれとんでもない轟音がフロアを埋めていくように広がった。更にカタルシスまでそれに続いて驚愕、ドラムの手数が多いこの曲を滝さんが時々歯を食いしばるような表情で懸命に演奏していた。今までのライブでも観たことがあっただろうか、というくらいのものすごい流れに決定打を放つかのように煙の街まで演奏され、驚きとともに聴けて嬉しい気持ちや曲調に引っ張られてかなり食らってしまったりと色々な気持ちが激しく混ざりながらステージの様子を見て、ただただ立ち尽くすしかなかった。アウトロの最後にドラムの音が一発、ダンッ!と鳴ったところで我に返った。

 

ここでのMCを失念してしまったが、この辺りだったか、卓郎さんが今年に入ってからライブで40曲ぐらいやったと言うと後ろを向いて滝さんに確認して「43曲か!そうだね、録るね、って。」とこの短期間でアレンジを変えてギターの事前録音をやって43曲も仕上げたことに改めて驚いた。

 

卓郎さんが、9mmがあってよかったなと思っています、と話し「よかったですよね?和彦くん。」と卓郎さんに急に話しかけられて、感慨深げにフロアを見回していた和彦さんが不意を突かれてびっくりしながら頷いていた。次いで「よかったですよね?滝くん。」と滝さんに話を振るとドラムを叩いて返していた。

 

〈春の嵐が間近〉という一節が今の時期にぴったりなScenesではイントロやアウトロのリードギター、そして間奏の速弾きのような部分まで同期のギターに重ねて卓郎さんがしっかりと弾きこなし歓声を浴びていた。滝さんの歌うパートがかなり多い曲ではあるがドラムを叩きながらしっかりとコーラスを入れていたのが聴こえた。次の曲に入るタイミングを窺うように後ろを向いた卓郎さんに、滝さんが何やら促すようにスティックで卓郎さんを指すとここで「いけるかーー!!!」とフロアを煽りまくって盛り上げてから、続けてまさにこの時期の曲である君は桜 を澄んだ青空のような水色の照明に照らされながら演奏。

ここで卓郎さんがもう一回「いけるかーー!!!」と叫ぶとThe Revolutionaryへ。色々な感情が巻き起こっていた中でもこの曲のイントロが鳴った瞬間にどうしても無条件にグッときてしまう。〈世界を変えるのさ おれたちの思い通りに〉と、卓郎さんと滝さんが声高に歌い上げ和彦さんはリズムに合わせ大きくジャンプを繰り返した。まさかやるとは、という選曲がたくさんあったが叫び -The Freedom You Need- もそのうちのひとつ。今までは間奏で演奏を一旦止めるというアレンジがあったが流石に今は難しいようで、逆に今までにはやっていなかったCD音源にほぼ忠実なアレンジでの演奏だった。

ライブアレンジを入れず滝さんのカウントでTalking Machineのイントロが始まると卓郎さんが「最後の曲です!」と叫んだ。1番、2番ともに途中で卓郎さんが川崎!!と叫んで〈ああ 何べんやっても〉を観客に歌ってもらうとフロアから大合唱が返ってきていた。天井に巨大な星を描いたような形の照明機材があるクラブチッタで卓郎さんが天を指差しながら〈永遠に空をただ見上げてるだけ〉と歌うのが似合い過ぎてとてもよかった。

 

演奏が終わると、和彦さんと卓郎さんがそれぞれステージを歩きながらフロアのあちこちに手を振ったり笑顔を向けたりしている最中に滝さんがステージ前方で最前列の観客にお辞儀しながら何かを渡していて、この日も「北茨城市ふるさと応援大使」の名刺を配っていたようだった。

 

3人が一旦退場した後、アンコールの手拍子が続く中ステージに出てきた卓郎さんが、持っていた紙を開こうとしながら「この紙開くまで知らなかったらどうしよう、社長なのに!」と戯けるとフロアから次々と「社長!」「社長!」とたくさん声が飛んできたのでニコニコしながら「そういうのいいから!楽にして!」と更に続けると96日に昭和女子大学人見記念講堂でカオスの百年を開催することを発表すると滝さんと和彦さんも再びステージに登場。

みんなよろしくね、今後は滝がギターを弾く日もありますから、と卓郎さんが断言した。

 

「今日が今年で9回目のライブなんだって。ラーメン屋で座席が9だったり、駐車場が9番だったり。9という数字から逃れられない。3×39だしってあんまり奇数の話ばっかりしてたらよくないよね。バンド名も8mm Parabellum Bulletにしようか(笑)」

 

「みんながつらい時に、9mmしぶといな〜、ずっとやってるな、と思って乗り越えてもらえたら。」

「おれたちはまだ9mmを楽しんでいこうと思っています、だからみんなも9mmを楽しんで欲しい。」

 

三たびの「いけるかーー!!」からのアンコール1曲目はDiscommunication、下手側にいたのでエフェクトをかけながらスラップを披露する和彦さんの手元をよく見ることができた。最初のサビに入る時に卓郎さんが「頼んだぞ!」と叫んで観客たちに〈朝までかけて近付いても 最後の最後にすれ違う〉を歌ってもらい嬉しそうに笑いながら続きを歌っていた。2番サビでは滝さんがフロアを見回すように立ち上がって力強くドラムをぶっ叩く姿には堪らない気持ちになった。

いいちこをグイッと飲み干した滝さんが立ち上がって容器をフロアにぶん投げて座り直してからパッドを叩くと静かなギターの音が流れ始め、ライブアレンジのイントロから滝さんがスティックでカウントするのに合わせて卓郎さんがカッティングをするというスタイルでこの日最後の曲、Punishmentへ。滝さんが同期のギターの音を追い抜かしそうな勢いで僅かに速くなりながら残ったエネルギーをぶつけるように叩き、サビで和彦さんが凄まじい速弾きを披露し、間奏に入ると卓郎さんと和彦さんがステージの中央寄りに移動してバックドロップを、巨大なバンド名のロゴを3人で背負うように演奏する姿には純粋に胸を打たれた。

 

演奏が終わると滝さんがステージ前方にまた出てきて名刺を配っていたが、その前に卓郎さんに名刺を分けて配るように促したので笑いが起き、「おれが!?」と言わんばかりの反応だった卓郎さんも名刺を配っていた(手渡しだけでなく一度フロアに投げていたように見えた)。ベースを置いた和彦さんがアンプ上にあった財布のようなものをポケットに捩じ込んでチェーンもしっかり付けてから、上手に移動しゆっくり下手に戻ってきながらフロアのあちこちを見て手を上げて歓声と拍手に応えながら退場。卓郎さんもフロアの隅々まで見るように移動しながらあちこちに手を振っていて、下手のかなり端だったこちらのあたりにも目を輝かせながら笑顔を向けてくれた卓郎さんの表情が今でも忘れられない。最後にステージ中央に戻って万歳三唱して去り際に和彦さんのマイクで「またな!」と言って退場していった。

 

 

 

最初から最後まで「まさかここまでやるとは思わなかった!」と驚かされっぱなしの2時間だった。近年のワンマンはアンコールを入れて22曲だったがこの日は本編が22曲、アンコールを入れると24曲。そして2月にBLAZE GOTANDAで開催したワンマンや3月に開催した「Re-act I」と全く異なる構成のセトリ。卓郎さん達はレパートリーが43曲になったと笑っていたが、以前YouTube配信で滝さんが一時的にドラムやるにあたり事前にギターを30曲ぐらい収録してかなり大変だったことを明かしていたのでそこから更に曲を増やして、録って、アレンジを変えて、ライブで披露して。

この日のPunishmentはお馴染みのライブアレンジのイントロが入っていたかと思うが、BLAZE GOTANDAでは滝さんのカウントで音源通りのパターンでイントロをやっていた気がして、ギターを録り直した可能性があるんじゃないかと終演後に気付いた。

事前録音のギター音源を流しながら卓郎さんがリードやソロを弾く割合が多く、和彦さんは今までとタイプが全然違うドラム演奏にしっかり合わせつつパフォーマンスの「動」の部分を担い、滝さんは事前準備に加えドラムを叩きながら今まで通りコーラスもやって、特に滝さんが終盤、気力を振り絞るように見える瞬間もあったほど懸命に演奏し24曲も叩き切った。この日以前に観たワンマンでは3人の覚悟が伝わってきた、と思ったがこの日のライブではどうしてここまでやるのか、と言いたくなるほどのもはや覚悟を軽く超えた凄まじい執念さえ感じた。

 

 

それと同時にまだ脱退をどう受け止めたらいいか分からない気持ちや悲しさがかなり残っていることもライブを観るたびにまだ強く実感してしまう。

このセトリを去年までの5人編成で観られたらとどうしようもできないことが何度も頭に浮かんだ。Muddy Mouth〜命ノゼンマイ〜カタルシス〜煙の街、という流れに嬉しさを感じつつかなり食らい過ぎて気持ちが沈んだり、もちろん選曲にそんな意図はないはずだと分かっているけれど、煙の街の〈もう生きていられると あなたなしでも〉〈燃えた夢をいくつ〉〈消えた影はひとつ〉でとても悲しくなったりしてしまった。

優劣の話ではなく言葉そのままの「違う」という意味で、命ノゼンマイやカタルシスが別物級に違いが出ていてこんなに雰囲気が変わるのか、と衝撃を受けたことも忘れられない。

一昨年〜昨年に開催された「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」ツアーと同じ演出だったDomino Dominoや、ちょうど一年前の317日のワンマンでの演奏がまだ忘れられない叫び -The Freedom You Need- を聴いた時には、楽しかったツアーのことを思い出してしまってより寂しさが増した。

 

色々な気持ちがずっと心にあって、盲信的に全てを受け入れたり割り切ったりできるわけではないが、それでも懸命な演奏に心を動かされたり、今だけのスタイルになるかもしれない演奏の様子を素直に楽しみたいとも思ったし、終演後には9mmを続けることを決めてくれてありがとうございます、という気持ちが確かにあった。

20260301/9mm Parabellum Bullet“9mm Parabellum Bullet presents「Re-act I」”@名古屋ボトムライン

    

9mm2009年にリリースした映像作品「act Ⅰ」を再構築するという趣旨のワンマンライブ。昨年10月に告知解禁されチケットを取った時にはまさか9mmの体制自体も変わるなんて予想もつかなかった。

初めて行ったボトムライン、入場すると後方に一段高くなっているスペースはあるもののフロアに柱が2本あって場所によってはステージが見切れるのでどこに場所を取るか迷ったが、段上エリアの真ん中あたりを取ってみた。ステージにはact Ⅰのジャケット画像をアレンジしたような「Re-act I」用のバックドロップが掲げられていた。

開演時刻の17時ちょうどに場内が暗転しSEDigital Hardcoreが鳴り響くと滝さん、和彦さん、卓郎さんがステージに登場。

 

The World

Vampiregirl

Trigger

Wanderland

Psychopolis

悪いクスリ

Sleepwalk

Sundome

砂の惑星

Keyword

Mr.Suicide

Faust

次の駅まで

Supernova

atmosphere

Discommunication

sector

We are Innocent

Talking Machine

Punishment

 

Living Dying Message

Wildpitch

 

act Ⅰ」の1曲目と同じThe Worldからライブがスタート。自分のいた位置からは3人ともしっかりと見え、曲に入る前に滝さんがパッドを叩いて事前録音されたギターの音源を流しているところが確認できた。初っ端から観客の熱量がかなり高く、Vampiregirlではサビでの〈You're Vampiregirl〉の大合唱の声量がものすごかった。間奏では前半は事前録音のギターがリードを担っていたが後半は卓郎さんもメロディーを弾いてツインリードのような状態になっていた。イントロで歓声が上がったレア曲Triggerは元々かなり勢いのある曲調だが滝さんのパワフルでパンク感あるドラムでの演奏となると今までとは違った迫力があり純粋に圧倒された。続くWanderlandでは滝さんがドラムを叩きながらサビのコーラスもしっかり入れていた。

 

ここで最初のMC。卓郎さんは今回のライブをやるにあたりact Ⅰを見返したが恥ずかしいと途中で見るのをやめてしまったそう。(この話の流れでだったか)顔から血が出るほど恥ずかしい、穴があったら死にたい、などと独特な表現が出てきていた。

「こんなバンドと対バンしたくない、観るのはいいけど対バンはしたくない!」や、「あの頃は無軌道でみんなガリガリで今のおれからするとご飯食べさせてあげたくなる。」と当時の自分たちのことを話していた。それに続いた、今のおれたちも昔の自分たちに対バンしたくないと思わせたい、というひと言からは卓郎さん達の気合いが伝わってくるようだった。

 

Psychopolisでは卓郎さんが間奏のギターソロで同期の音に重ねるようにタッピングしていて、出来る限り生演奏の部分を増やそうとしているようだった。Psychopolisのアウトロで次の曲を期待してソワソワしてしまったが、その期待通り和彦さんが音を切らずに悪いクスリの演奏に入る激つなぎを披露!

Sleepwalkでは2番に入る前や最後のサビの後など、演奏の切れ目のような部分で滝さんがパッドを叩くのが見えたのでギターの1曲分を3分割くらいに分けて流している可能性があり、また2番に入る前には和彦さんが滝さんのカウントに合わせてベースのフレーズを弾き始めるなどタイミングを合わせるためにものすごく工夫している様子が窺えて滝さんと和彦さんに見入ってしまった。Sundomeは今までやっていたイントロ前のライブアレンジがなかったことにどうしても寂しさを感じてしまったが、ここでも滝さんが随所でスティックを打ち鳴らして拍を取り、合わせるのが難しそうなこの曲をしっかりと演奏していた。

 

このあたりだったかと思うが、以前仙台に数日滞在した時があってと卓郎さんが話し始めると滝さんと和彦さんがそれぞれ違う反応をしたのを「滝がそうだ、和彦がそんなことあったっけ?って言ってる。」と卓郎さんが拾うと、その際和彦さんの実家にお世話になっていたが滝さんが熱を出してしまってその時にできた曲があった、と「休めよって感じだけど(笑)」と言いながら話してくれた。

 

「レコーディングで70回くらいやり直したけど今日はやり直せないから。」と言って演奏されたのが砂の惑星で、当時の卓郎さんが苦労したというフレーズを現在の卓郎さんがスイスイと弾いて少し柔らかめの発声で歌い、滝さんがそれまでとは若干音量を抑えつつもメリハリのある演奏をし、和彦さんが気持ちの良いベースラインを響かせた。好きな曲ではあるけれどこの状況なので歌詞を聴いてほんの少ししんみりとした気持ちになってしまったが、次のKeywordで再び盛り上がるフロアにちょっと元気が出た。間奏のギターソロは前半は同期のみ、後半はそれまでコード弾きだった卓郎さんがタッピング含めリードのメロディーを弾いていた。アウトロでは和彦さんが滝さんの分までと言わんばかりの大立ち回りを見せた。

卓郎さんがイントロのフレーズを弾いていたMr.SuicideKeywordに続いてかなりの盛り上がりで、間奏の滝さんのドラムの叩きっぷりも凄まじいものがあった。Faustは穏やかな歌い出しから徐々に音数が増える展開の中、間奏で更に演奏が激しくなると和彦さんも卓郎さんもギターやベースのネックを振り上げながらの熱演ぶり、卓郎さんはピックを落としてしまうほどで笑いながらマイクスタンドに刺さったピックを取っていたのが見えた。間奏の終盤には卓郎さんが何となくブルージーなフレーズをアドリブで弾いていたのがこの曲が持つ物寂しさに合っていた。Mr.SuicideからのFaustというレアな流れにしっかり集中して聴いていたつもりだったが、どうしてもこんな状況でこの2曲の歌詞を続けて聴いたからか少し悲しい気持ちになってしまった。

 

一度音が止まってから、滝さんがおもむろにドラムを叩き始めて卓郎さん和彦さんが乗っかりしばらくセッションが繰り広げられたのはこのあたりだったか。いい感じに演奏を終わらせた卓郎さんが「フロアタムにいいちこ乗ってるの見えたから止めちゃった!」と笑った。新体制でもうこのような場面まで見られるとは。

 

さっき何かの曲で演奏してて泣きそうになっちゃった、普段はそんなことないんだけどとぽつりと言っていた卓郎さん。

次の曲はさっき話した滝が熱出してた時にできた曲でと卓郎さんが言うと滝さんの声が小さく聞こえて卓郎さんがそれに反応。滝さんが熱を出した時のはButterfly Effectで、次にやる曲は滝さんがお腹痛くてスタジオ行けなかった時にできた曲だそう。

そんな制作秘話から演奏されたのは、次の駅まで。ここまでかなりパワフルにドラムを叩いてきた滝さんもこの時には動きをかなり抑えて和彦さんとともにタイトにリズムを刻んでいた。個人的にずっとライブで聴きたかったがなかなか聴けなかった曲なのでこの機会に聴けたことは嬉しかった。

Supernovaは滝さんが要所要所でスティックでカウントを入れてしっかり拍を取りつつ、サビでは爆発力のある演奏を披露。イントロでフロアの空気が一気に変わったように感じたatmosphere、前半は卓郎さんが事前録音のギターに演奏を任せてほぼ歌に専念し、空間にスーッと消えてゆくような柔らかい歌声で丁寧に歌い、後半演奏が激しくなると明るめの照明が瞬時に真っ赤に変わり和彦さんが髪を振り乱しベースを勢いよく振り下ろし暴れ回る激しい熱演ぶり。最後に再度穏やかなメロディーが流れると轟音の余韻がしばらく残った。

 

「つくづく9mmって変なバンドだな観にきてるみなさんも大概ですよ(笑)」と卓郎さんが笑いを誘った。

昔に戻りたいとは思わないけど未来は変えられるっていうけど過去も変えられると思ってて、昔こういうことがあったから今ここに立ててるんだなって。というような感じで丁寧に話していた卓郎さん。

この時に珍しくベースを下ろしていた和彦さんを見た卓郎さんが「和彦も過去と向き合ってるんだよね?当時のベースを持ってきてるけどあの時もそんな軽々持ててたわけじゃないんでしょ?」と和彦さんに話しかけたところでようやくこの日和彦さんが使っていたベースが最近使っているものと違っていたことに気付いた。「滝も重いギター使ってたよね。」と今度は滝さんに話しかけると、滝さんが両手を上げたコミカルなポージングで返していた。

 

次の曲についてThe World Tourというツアーで恥ずかしいからタイトルも言わずにやったが観客が盛り上がってくれたと思い出を話してから演奏が始まったのはDiscommunication2番のサビに入る直前卓郎さんが「名古屋!!」と叫んでフロアを煽るとマイクから離れ、2番の歌詞を観客に歌ってもらっていた。

卓郎さんが「いけるかーー!!!」と叫んで滝さんのカウントからsectorが始まるとフロアからとんでもない声量の歓声が上がって前方はもみくちゃとまではいかないが人が圧縮して大盛り上がりだった。滝さんのパートや、卓郎さんが歌の途中でマイクから距離を取るとすかさず大合唱が巻き起こりとにかくすごかった。それに続いたWe are Innocentも当然爆発的な盛り上がりで、卓郎さんが同期に重ねるようにリードのメロディーを弾くなど演奏の熱も凄まじかった。

イントロ前のライブアレンジを入れず滝さんのカウントで始まったTalking Machineでも1番、2番ともに途中で卓郎さんが名古屋!!と叫んで〈ああ 何べんやっても〉を観客に歌ってもらい、フロアからはここでも大合唱が返ってきていた。静かなイントロから卓郎さんの「最後の曲です」でPunishmentが本編を締め、間奏で卓郎さん和彦さんがステージ前方の真ん中寄りに出てきた時にはかつての光景が勝手に頭の中に浮かんできて寂しさを感じ、それと同時に今の編成でのベストを尽くすと言わんばかりの姿に胸を打たれ、色々な気持ちが湧いてきた。

 

演奏が終わるとドラムスティックを持ったままステージ前方に出てきた滝さんが、最前列の観客たちにペコペコと丁寧に頭を下げながら何かを配っていたが、この日物販でグッズを買った人に渡されていた「北茨城市ふるさと応援大使」の名刺だったらしい。続いて和彦さん、そして卓郎さんが順番にフロアのあちこちを見ながら挨拶して退場。

 

アンコールの手拍子に迎えられて3人がステージに戻ってくると、卓郎さんが去年ボトムラインで「VAMPIRE」再現ライブをやった時のことに触れ「去年の名古屋でみんなが歌ってくれた時にこの歌詞はこういうこと初めて分かった気がした」と、(当時行けなかったので聞いた話だが)VAMPIRE」再現ライブの時におそらく卓郎さんの声が出ずに歌えなかった時の話をしていて、この日卓郎さんがマイクから離れ観客に歌ってもらう場面がいくつもあったのは、あの時卓郎さんが元気付けられた名古屋の元気な歌声をまた聴きたかったのかなと納得。

 

9mmを楽しんでもらえたら嬉しいです、今年もよろしくね、というような感じでフロアに優しく話しかけてから演奏されたのがLiving Dying Message、最後のサビあたりでは卓郎さんがマイクから離れて観客に歌ってもらい、後半は卓郎さんも笑顔で一緒に歌っていた。

「みんな気をつけて帰ってね!特にタクシーに!」というひと言でハッとして次の曲を察し、和彦さんのシャウトからのWildpitchがこの日最後の曲、間奏は卓郎さんだけでなく和彦さんも同期のリードギターにハモるようにメロディーを弾いてトリプルリード的演奏になっていた。ひたすらに熱かった名古屋のフロアを最後の最後まで爆発的に盛り上げてレアな再構築ライブが幕を下ろした。

 

演奏が終わると滝さんがステージ前方で再び最前列の観客に会釈しながら名刺を手渡ししてから退場。和彦さんも再びフロアのあちこちを見ながら挨拶して退場。最後に卓郎さんがステージ真ん中で万歳三唱をしてから笑顔で退場していった。

 

 

act Ⅰの再構築ライブとはいえアンコールでは新曲をやるのではないか、とも少し思っていたがアンコール含む全22曲すべてact Ⅰ収録曲で構成したセトリ。Psychopolisから悪いクスリの激つなぎやTrigger Faustatmosphereといったレア曲まで。もちろん去年までの編成でこのセトリを聴けたらとライブ中何度も頭をよぎったが、新体制になったばかりでここまでのセトリを組むなんて。滝さんがギター事前録音の大変さをYouTube配信などで語っていたがそれにも頷ける内容、この短期間でここまでやるのがどれほど大変だったか伝わってくるようだった。

 

MCで当時の曲の裏話が聞けたのも興味深かったし、どこで出た話かは失念してしまったが当時の曲について

「昔は一曲の中に完全な宇宙を作ろうとしていた。」

(当時の歌詞について)もうちょい何かあるだろう菅原くん。淳治さんにも言われてたからね。でももう淳治さんより年上になったから、淳治くんだね(笑)」

「何でこんなベースラインにしたか分からない。」

と笑いながら言っていたが、9mmっていい曲多くない?とも話していた。

 

この数日前に五反田でライブをした時にもこの日のライブでも卓郎さんは「今後滝がギターを弾くライブもある」と、現在の編成でずっと続けるわけではないと明言している。

卓郎さんがこの日終盤のMCのどこかで、新体制でライブをやるのが今日で6本目で、今までたくさんライブをしてきて、とてもいいライブだった日もあって、それに近付いていると思う、というようなことを言っていた。今の状況でベストを尽くすことと少しずつ確かな手応えを得ていることが伝わってきた。

       

20260226/9mm Parabellum Bullet“BLAZE GOTANDA Opening Live [ Re: ]”@BLAZE GOTANDA

      

かつて新宿にあり惜しまれつつ2024年に営業を終了したライブハウス「BLAZE」が五反田に再オープン、柿落とし公演として新宿BLAZEで自主企画・MV撮影・ライブ映像上映会を開催するなど縁のあった9mmがワンマンライブを開催。

自分にとっては新体制の9mmを初めて観る日となった。

 

番号がかなり遅かったので、入場すると縦に細長い独特の形をしたフロアは既に後方まで埋まっていた。ほぼ最後方に場所を取ったがステージの高い位置に掲げられたバックドロップは見えたり、フロアの機材も少しだけ見えたのでキャパの割にステージが高いのかなという印象だった。

19時ちょうどにステージにスクリーンが降りてきて、この日のために作ったと思われるオープニング映像(コラージュのような動画の中に9mmモデルのピックが入れられていた)が流れ、お馴染みのSEであるDigital Hardcoreが流れるとスクリーンが上がっていきバックドロップが再び登場するとともに滝さん、卓郎さん、和彦さんが定位置に着いた。

 

Lovecall  From The World

Psychopolis

Vampiregirl

One More Time

Living Dying Message

ハートに火をつけて

Cold Edge

Black Market Blues

レーゾン・デートル

踊る星屑

名もなきヒーロー

Wanderland

Supernova

カモメ

The World

We are Innocent

Baby,Please Burn Out

The Revolutionary

Discommunication

Punishment

 

Wildpitch

Talking Machine

 

 

自分のいた位置からは下手はほぼ見えず、上手に卓郎さんがいるという見慣れない光景を眺めていると滝さんがキャップの上からヘッドホンをつけて演奏へ。初めて目の前で観る3人編成のライブはLovecall  From The Worldで始まり、定番曲でない選曲にいきなり驚かされた。YouTube配信などで事前に情報を聞いていた通り、3人の生演奏と一緒に滝さんが事前録音したというリードギターの音が流れていた。滝さんはドラムを叩きながらコーラスも担当していた。Lovecall  From The Worldから音を切らずに次の曲Psychopolisへ続いた選曲に更にびっくり。

Vampiregirlの間奏のギターソロは卓郎さんがコードではなくギター音源とユニゾンするようにメロディーを弾いていて、収録音源に頼りすぎずに生で演奏を届けるという気合いが伝わってきたような気がした。和彦さんのフレーズが頼もしく響いたOne More Timeでは今までのお馴染みであった、間奏に入る前の卓郎さんの「滝ちゃん!!」の呼びかけがないことにはどうしても寂しさを感じてしまった。

 

ここで最初のMC。柿落とし公演ということで卓郎さんが「柿って木屑のことらしいよ!」という豆知識を教えてくれたり「柿を全部落とすから、みんなひとつ残らず拾っていってください」というような和やかな言葉が出てきたりした。

BLAZEには9mmと馴染みのあるスタッフさんがいて、新宿BLAZE営業終了の際にまたどこかで(BLAZE)やるというような話があったので、また会いましょうみたいなコメントを寄せたけど復活するのが早いんじゃないか!と笑いを誘いつつBLAZEの復活を祝っていた。

(BLAZEのあるビルが)駅からも多分見えるよね。こんなところにライブできる場所があるなんてみんな思わないんじゃないか」とも。

 

Living Dying Messageではアウトロでの滝さんのバスドラ連打の迫力に圧倒、滝さんのドラムはキツネツキなどで聴いたことがありその腕前は知っていたが9mmでのドラムとなるとここまでバスドラを踏みまくる演奏もやるんだなと驚きつつその気合いが伝わってきた。ハートに火をつけて 2番では卓郎さんが〈手触りだけの五反田BLAZE”は〉と歌詞を変えて歌っていた。

ハートに火をつけて から音を切らずにまさかの激つなぎCold Edgeへ、間奏に入る前には和彦さんが「五反田ーー!!!」と叫んでいたのがはっきりと聴こえた。間奏のギターソロでは卓郎さんが瀧さんのギター音源とオクターブでハモるようにギターソロを弾いていたようだった。〈五反田BLAZEに辿り着いたなら!!〉と歌詞を変えて歌われたBlack Market Blues、今までのライブで一番多く聴いたかもしれないこの曲の聴き慣れた一節〈やり場のない気持ちを引き裂いて さあ 踊れ〉がこの時だけは今までとは違う聞こえ方をしていたような気がした。

 

Black Market Bluesで大盛り上がりのフロアが少し落ち着いた頃に卓郎さんが暑い!とひと言。新しいライブハウスだから機密性が高いのかなと言っていたような。マイクを通してシューシューと不思議な音がしたので背伸びしてステージの様子を窺うと滝さんが酸素スプレーを吸っていた。

 

このあたりだったか、卓郎さんが「今日何回も五反田!って言ってきたけど、五反田とStand Up!って似てるね。己STAND UPみたいな」と盟友HEREの曲名を挙げたり、「GOTAND UP……ホリエさんみたいなこと言っちゃった」とつぶやいて笑いを誘ったりしていた。

要約になるが、スリーピースでの演奏について試行錯誤しながら色々変えたりしているらしく、なかなか完成しないので「サグラダ・ファミリアみたい、と思ったらこないだサグラダ・ファミリアが完成したってニュースを聞いて。おめでとうございます」と、続けて「よく聞いたらまだ色々ファサードをつけるから2034年に完成らしい、おれたちのスリーピースは2034年までやらないと思うけど」と脱線したと見せかけてバンドの今後の展望を少し話してくれた。

 

次に新曲をやることを告げ、一生懸命歌詞を聞いても忘れちゃうと思うから、レコーディングをしてリリースされてから歌詞を読んで、そういうことだったのかと思ってください、というようなことを言っていた気がする。レーゾン・デートルとは「存在意義」という意味なので、去年作ったけど今のおれたちがやるのが合っているのではないか、というようなことも。

9曲目に披露された新曲のレーゾン・デートル、まだライブ以外では聴けずここで初めて聴いたので聞き取れた歌詞も終演後には頭から消えてしまったが〈茨の道を〉という一節が入っていたかと思う、漠然と、バンドを続けるために側から見たら困難な道を歩き始めたかのようにも思える3人の状況と重ね合わせることができるような歌詞、そんなイメージがあった。昨年リリースされた、9mmの中で2番目に新しい曲の踊る星屑がほぼ激つなぎと言ってもいいくらいのスムーズさで続いた。

自分が困難な状況だった時に何度も勇気付けられてきた名もなきヒーローは、この時ばかりは卓郎さんの力のこもった眼差しも含めて歌詞の一言一句が今の9mmに重なって、3人が自分自身を鼓舞しているかのような演奏に感じられた。Wanderlandも時々演奏されるものの定番曲というほどではないのでそのような立ち位置の曲も早くもライブで聴けるとは思わなかった。

 

「この日のライブタイトルに [ Re: ]が付いているので、 “Re-act”みを出していこうかなと。東京ではやらないから。」と、3月に名古屋と大阪で開催する「Re-act I」に卓郎さんが触れたのでWanderland含むこの日の選曲に納得。卓郎さんが次何の曲がいい?とフロアに話しかけると次々に曲名が飛んできたが、それを聴いていた卓郎さんが次は曲順的にこれでしょ、というようなひと言を入れてから演奏されたのがWanderlandと両A面だったSupernova、要所で滝さんの事前収録ギターと卓郎さんの生演奏によるツインギターのメロディーが鳴り響いた。

卓郎さんがギターを少し鳴らし、滝さんのドラムの音から曲に入るという今までとちょっと違ったアレンジのカモメ、滝さんのドラミングはかなりの音量で和彦さんのシャウトも会場の特性か大きく聴こえて最後のサビあたりは今までのカモメよりもかなりパワフルさがあった。この日自分が今までの編成との音の違いを一番感じたのがカモメで、どちらがいいというようなことを言いたいわけではないが、これまでの編成は丁寧に情景を描き徐々に壮大になっていくような演奏だったが滝さんのドラムのパワフルさが加わると荒波の中を力強くカモメが飛んでいくようなイメージが浮かんで印象の違いをものすごく感じた。The Worldでもアウトロの最後に滝さんが立ち上がるほどの熱演ぶりでドラムの音が目立っていた。

 

卓郎さんが「おれは普段は全然緊張しなくて、ライブもたくさんやってきたからライブでも全然緊張しない。ジェットコースターに乗る以外は(笑)ジェットコースターだけはダメ」というような感じで笑顔で話した後に

 

「でも3人でみんなの前に出るのは、ちょっと、怖かった。」

 

(今までと音が変化しているので、的な言葉)それを気に入ってもらえなかったとしたら仕方ないけど、何も変えないで欲しい、っていうのとは戦っていかないといけない。」

 

序盤からずっと和やかに話していた卓郎さんから、話し方は和やかではあったが、ここまで正直な気持ちと並々ならぬ覚悟の言葉が出てくるとは思わなかった。

そして、みんなも変化しないといけない時があると思うけど、9mmだってそうだった、と力になったらいいなと思っています、こんな遠回しな応援しかできないけどというような言葉を続けていた。

 

変化の繰り返しを追いかけっこに例えるような言葉からだったと思うが、ちょうど2ndアルバムに追いかけっこの曲があるというような前置きから始まったWe are Innocentのイントロを聴いた瞬間演奏の負担が大きいこの曲を新体制のワンマンで、終盤のこの位置に入れるのかと度肝を抜かれた。このタイミングで卓郎さんの「いけるかーー!!!」から、滝さんのドラム、和彦さんのベースと順番に音を重ねてBaby,Please Burn Outの演奏へ。ライブ終盤ということもありフロアの盛り上がりも今まで通りといった様子で、毎回サビ終わりにはフロアから元気よく\オイ!!!!/と声が上がっていた。

真っ赤な照明のBaby,Please Burn Outから再び激つなぎThe Revolutionaryへ入ると眩い真っ白な照明に瞬時に切り替わって気迫の演奏が続いた。卓郎さんと滝さんが重ねた〈世界を変えるのさ おれたちの思い通りに〉の歌声の力強さと和彦さんのいつも通りの高くジャンプしながらの熱演には純粋に胸を打たれた。滝さんの4カウントから入ったDiscommunicationではアウトロで和彦さんが大きく回転しながらベースを弾いていて、新体制になって3人の中で一番動き回れるポジションとなった和彦さんの大立ち回りを見ることができた。

卓郎さんが静かにギターを鳴らし、「最後の曲です」と告げると滝さんがドラムスティックで入れるカウントに合わせて卓郎さんがギターのカッティングを入れるという新たなアレンジでPunishmentが演奏された。今までよりテンポを少し落としつつも、3人で足並みを揃えて駆け抜けていくような渾身の演奏でやりきったPunishment3人の覚悟が伝わってきて思わず涙がこぼれた。

 

3人が一旦退場し、しばらく続いたアンコールの手拍子に迎えられて再び登場すると卓郎さんが「こないだダイスケはんに会ったら、BLAZE GOTANDAってどんな感じ?って聞かれて、おれもまだ分からない!って返した(笑)ホルモンは全国のライブハウスのことを気にかけてるんだって。」と話し、ここでホルモンと対バンできたらアツいよね!とも言っていたが、実現したらとんでもない倍率になりそうだなと思った。

 

「まだ柿残ってる!ってなっちゃうから、柿をひとつ残らず拾って帰ってください!」と、最後まで余すことなく楽しんで欲しいという気持ちが伝わるひと言からのアンコール1曲目はWildpitchでここでも予想外の選曲に和彦さんのシャウトが響いた瞬間かなり驚いた。この日最後の曲はTalking Machine、ライブイントロのアレンジがなくなり滝さんが「1,2,3,4!!」と大きな声でカウントしてから曲に入るスタイルになっていたのでほぼ音源通りだったが何だか新鮮だった。今後編成が変わればまたアレンジも変わるかもしれないのでこのスタイルが聴けるのも今のうちなのかもしれない。

 

和彦さんと滝さんが退場するところは見えなかったが、卓郎さんが最後にいつものように万歳三唱するのは見ることができた。卓郎さんが退場するとフロアに爆音でBlazing Soulsが流れ、何度も聴いてきたドラムの音に寂しさがよぎったが、会場名のBLAZEにかけてセトリには入れられずともこの曲を鳴らしたかったのかもしれないというBLAZEへの愛を感じた。

 

 

会場のBLAZE GOTANDAについて。柿落としというなかなかない貴重な機会、出来立てのピカピカのライブハウスに入れたのが嬉しかった。会場に入ると新築の木の匂いがして、会場宛に届けられた花がいくつも置いてあった。ロッカーは少なめだったがロッカー前のスペースを広めに取っていて荷物整理がしやすいのはよかった。

フロアは縦に細長く、後方だとステージが全く見えないかもしれないと覚悟していたがステージが高かったようで、前にいる人達の頭の隙間から少しでも出演者が観られたのでかなりよかった。天井が高いのでさほど圧迫感もなかった。

卓郎さんが「駅からも多分見える」と言うほど五反田駅から近く、初めてでも迷わず行ける場所だったのもありがたかった。またここに9mmを観に来たい。

 

 

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このライブで初めて新体制の9mmを生で観た。

大晦日、COUNTDOWN JAPAN9mmを観てから僅か数時間後に突然出された脱退の報告に、そのタイミングや文章に含まれていた不穏な表現に強いショックを受けてしまって、1月中の9mmライブには日程的に行けなかったこともありモバイルのコラムやYouTube配信は確認しつつ、なるべくこの件について考えないようにして過ごした。9mmは事あるごとに「バンドを続けることが目標」と言っていたので、誰かが抜けるなんて予想もしなかっただけに衝撃が大きかった。

 

自分の目で見て考えなければ、実際に新体制の9mmを観たらどう感じるだろうかと緊張しながらライブに臨んだ。年始からまともに食らうことを避けていた悲しさや寂しさとやっと真正面から向き合うこととなって、1曲目が始まったら頭で考える前に涙が出てきて、懸命に演奏する3人の前でこんなことを考えるのも失礼だと分かってはいたけれど4曲目ぐらいまでとても悲しくて寂しくて涙が止まらなかった。その後はちょっと冷静になって観られたが、ふとした時にかみじょうさんの音が頭の中で勝手に流れてきたり、急に寂しさがよぎったりしてしまった。

 

滝さんが一時的にドラムを担当することで事前にギターを30曲ぐらい収録してかなり大変だったことをYouTube配信で事前に聞いていて、更にライブの途中で酸素スプレーを吸いながらも22曲コーラスしながらドラムを叩ききったこと、卓郎さんは今まで通りのギターボーカルに加えて多くの曲でギターソロを弾いていて明らかに負担が増えていること、(下手はほぼ見えなかったのでこの日は確認できていない部分が多いが)和彦さんがリズム隊として演奏を支えるとともにパフォーマンス面でのの部分を多めに担っていると思われることを実際に目の当たりにして、新体制になって2ヶ月弱で今までのワンマンと同じ22曲をやり切って、終始3人の覚悟が伝わってきて心から応援したいとも強く思った。

卓郎さんが終盤で「普段は全然緊張しないけど3人でみんなの前に出るのは、ちょっと、怖かった」と言っていた時、最後のPunishment3人でやり切った時には悲しさや寂しさとは全く違う感情で涙が止まらなくなった。

 

悲しくて寂しくてつらい気持ちと、9mmを続けると決めた3人を心から応援したいという気持ちは、どちらもものすごく強いけど共存するんだなと思ったし、実際にライブを観たらもう9mm観なくてもいい、とは到底思えなかった。

 

卓郎さんはこの日「9mmを応援してください」とは言わなかった、「9mmを楽しんでください」と言っていた。今のところは、もう長いこと9mmを聴いてきたので多分しばらく寂しさが消えないのは当たり前だと受け入れて、バンドを続けるために変化し続ける9mmを観続けてその変化を楽しむ心づもりでいようと思えた。