最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20160619/9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 Waltz on Life Line@日比谷野外大音楽堂 簡易レポート

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9mm Parabellum Bullet、8年振りの日比谷野音ワンマン

                                                                  

最新アルバム「Waltz on Life Line」(以下WOLL)リリースを記念した、アルバム名を冠したライブ。

 

前回の野音ワンマンも観に行きましたが、チケットが立見しか取れずステージがほとんど見えないという楽しかったけど少し残念な結果だったので、モバイル先行でちゃんと指定席を確保できた今回は個人的には8年前のリベンジのつもりでもありました。

 

なのでこのライブが、今年一番大切で一番楽しみにしていたライブなのです。

 

という訳で非常に楽しみにしていた反面、雨バンドが梅雨の時期に野外でライブですか…と心配していたら案の定朝から曇天、更に楽器のサウンドチェックが始まった途端に小雨が降ってくるという、雨バンドの本気?を発揮していましたがライブ中はずっと雨止んでました。直前に買った雨合羽が無駄な出費になって本当に良かったです。

 

入場するとフライヤーと一緒にサイリウムのブレスレットが4色 (WOLL初回盤に入っているフィルムと同じ赤、青、黄、緑)の中からランダムでひとつ渡されました。如何にも特別なライブ、といった感じで嬉しい演出です。

バックドロップが掲げられていない、装飾もないシンプルなステージには通常の3倍の量のアンプが並び、普段より高い所にかみじょうさんの青い要塞・PHX。バスドラのヘッドが以前は白地に黒いロゴが刻まれていたのが、黒字に金ロゴに変わっていました。メサブギーの前には白いウルトラトーンが用意されていて、あー1曲目ワルツだな、と。

開演時刻を少し過ぎたころ、野外なので客電落ちなどもなくいきなりお馴染みのSEが爆音で流され、アルバムジャケットの巨大なバックドロップが徐に上がり、メンバーが順番に登場しライブが幕を開けました。もうこの時点でまず感極まる。

 

  1. 生命のワルツ
  2. Lost!!
  3. Discommunication
  4. Mad Pierrot
  5. 誰も知らない
  6. ロンリーボーイ
  7. モーニングベル
  8. Kaleidoscope
  9. Lady Rainy
  10. The Revolutionary(菅原卓郎弾き語り)

(ストレイテナー「シーグラス」少し/菅原卓郎弾き語り)

  1. 黒い森の旅人(菅原卓郎弾き語り)
  2. インフェルノ
  3. 火祭り
  4. Black Market Blues
  5. スタンドバイミー
  6. 太陽が欲しいだけ
  7. ハートに火をつけて
  8. 反逆のマーチ
  9. 新しい光

 

En.Lovecall From The World

 

やはり1曲目は生命のワルツ。普段と違って静かなイントロは音源を流していたかと思われる。開放的な野外で、あの炸裂イントロが鳴った瞬間のワクワク感。

続いてアルバムの順番通りLost!! リリース前から散々ライブで披露していたので早くも盛り上がる客席。

更に言わずもがなの定番曲Discommunicationが続き序盤とは思えないくらいの盛り上がり。

 

Mad Pierrotからは7曲連続でWOLL収録曲を。

アルバムのボリュームが過去最大であること(ライブ音源を除く)、これからアルバムの世界に浸ってもらうので、と前置きして湖。音源の印象通りのキリッとした曲。静かになるCメロでの淡い照明が湖畔を連想させる感じ。

ライブで聴くのを特に楽しみにしていたモーニングベル、ギターの音がとにかく元気でタッピングも華麗で期待以上の楽しさ!「あれがしたいな これもしたいな」という歌詞がこのバンドと曲調に全く似つかわしくない可愛らしさ。多重コーラスの部分は滝さんがひとりで歌っててちょっと寂しかったから、回数を重ねたら客が二手に分かれてコーラスしたら面白いんじゃないかな?

Kaleidoscopeでのステージ上を万華鏡を模したような円い照明は大きいステージならでは。変拍子が複雑な曲だけに華やかだけど演奏はやっぱり大変そう。

 

Lady Rainyは雨をイメージした照明(天井近くから縦線状に並べたLEDの点滅とステージの壁に円をランダムで写した雨粒のようなライト)とどんよりした天気がとても良い雰囲気、といった感じで卓郎さんの歌声が伸びやかに響いてとても素敵…

…だったのですがこの曲で滝さんに異変が。曲の途中から全くギターを弾かなくなってしまい、少し体を折り曲げて辛そうな様子。遠目から見ると胸あたりを押さえているように見えて内臓に何かあったのかととても怖かったです…。

 

次の曲のために卓郎さんがアコギを用意するも滝さんは一旦退場してしまい、

最近弾き語りをすることが増えた卓郎さんは「(アコギは)普段の楽器とは全然違うんだよ。ね、カズちゃん」と今まで聞いたこともない呼び方で和彦さんに話を振る。和彦さん、当然びっくり。笑

「弾き語りはおれたち2人でやったりするんだけど…井上陽水奥田民生?」とワンダーなMCが飛び出てきて和む会場。

「前回の野音ではアコギを使ったのに音が少ししか出ていなかった。でも観に来ていた滝のお父さんにアコギ良かったねと言われた(笑)」と卓郎さんが思い出話で繋ぐが、どうやら滝さんの回復に時間が掛かるようで急遽卓郎さんが弾き語りをすることに。和彦さんとかみじょうさんも一旦退場、それを見て えっ2人とも引っ込んじゃうの?という反応と「友よ…」と呟く卓郎さん。

1曲目は弾き語りではお馴染みのThe Revolutionary 今回は2種類あるアレンジのうち、元気な方ではなくゆったりしっとりしたアレンジの方。

「滝は今、体のネジを一旦全部ゆるめて、また締め直しているんだよ」という感じだったと思うけど、卓郎さんからの抽象的な説明が入る。

それでもまだ時間が要るようで、「おれ、何が出来たんだっけ?」とのんびり呟きながらストレイテナーの「シーグラス」を歌いだすも途中で分からなくなってしまい「今年最後の海へ行くまでには弾けるようにしておく」と言い、次は客席前方からリクエストの出た黒い森を「それナイスだね!」と言い、採用。

周りを木々に囲まれ、薄暗くなってきた会場にとても合っていて本当に相応しいリクエストでした。

それも終わってしまうと卓郎さんも「おれもネジ締めてくるね」と言って退場、予定外の休憩タイムへ。

卓郎さん、「二部構成のライブ、SPECIAL OTHERSみたい」と言ってた。

 

しばらくしてメンバーが再び出てくる。滝さんは手を合わせて謝るようなしぐさを客席に向かって。

 

続いてはアニメ「ベルセルク」オープニングテーマで来月発売の新曲、インフェルノ 何とOPの長さに合わせ90秒という短さ。威勢の良いタッピングで始まる3拍子の爆裂メタルナンバーといった曲で、卓郎さんがMCよりも短いと言っていた通りあっという間。でも短い中でも曲展開がはっきりしているのは流石。

ノリの良さで再び客席が盛り上がる火祭りでは滝さんが辛そうにしながらも間奏の途中でちゃんとライター奏法を。先日ラママで見た時のように終わったら元気よくライターを投げることもできず、その場に落としてやっとピックに持ち替える。

 

WOLLについて「作っている途中ではとても迷いがあった」と正直に述べつつ「この曲はデモテープを聴いた時から…実際にテープを使ってる訳じゃないけど(笑)…景色がすぐに浮かんだ」と言ってからのスタンドバイミー もうこの時には暗くなっていて、相変わらず厚い雲に覆われていたけどやっぱり野外がとても合う曲。間奏やアウトロでは照明が大方点いてぱっと明るくなって、開放的なギターソロにぴったりで、この曲の優しい雰囲気が目に見える形で表現されているようでそれはもう美しくて感動的な光景で。

それに続く太陽が欲しいだけ がやはり圧巻で。音源でもスタンドバイミー→太陽が欲しいだけ の流れは感極まるところでありますが、実際ライブで聴いた時の圧倒的な感動は一体どうやって文字で表現すればいいんでしょうか…どうしても「感動」という言葉を使うと薄っぺらく聞こえてしまう…主観ですけどこの2曲に救済と優しさと希望のイメージが色濃く出ていて、魂が揺さぶられるとはこのことか、と。感極まるあまりステージをほとんど観ることが出来ず、メンバーの様子がちゃんと観られなかった。

 

卓郎さんがMCで「音楽は魂の栄養だと思う」「どんなに恵まれていても心のどこかに、真っ黒いものがある」「それを消してくれるのが音楽なんじゃないか」と言ってて、(とても良い事をおっしゃっていたのにうろ覚えですみません)確か太陽が欲しいだけの前だったと思うけど。本当にその通りだよ9年弱聴いてきてどれだけ貴方たちの音楽と言葉に救われてきたか、と思いながら聴いてたら込み上げてくるものが止まらなくなってしまった。

ライブから1日経った今でも、こうして思い出しながら書いていると目頭が熱くなります。

 

Black Market Bluesの前にはフロント3人が退場し、かみじょうさんのドラムソロ。やっぱり野音でもやりました。相変わらず華のあるドラミングには見惚れる。

ハートに火をつけて では普段よりも間奏を長くし、見事なソロ回しを披露。このアレンジでレコーディングし直して音源にして欲しいくらい、かっこいい。

本編ラストは反逆のマーチ→新しい光と、なかなか珍しい流れ。

 

 

本編が終わり、アンコールがあるのか心配していたけどアナウンスも特になく、待っているとメンバーが登場。

本編ラストでまた会おう、といったことに対して「また会おうというのはアンコールで、って事じゃなくてまたどこかのライブ会場で会おうってこと。約束したぜ?」と。

きっとこれならできる、ということであろうLovecall From The World(49秒のショートナンバー)だけど演奏は鬼気迫るものがあり、アウトロでシャウトするべき和彦さんはアンプの上に乗っかって大いに盛り上げていました。とても良いしめくくりでした。滝さんはまた何度も、客席に向かって手を合わせ謝るようなしぐさを見せながら退場、卓郎さんはいつものように長々と客席に向かって手を上げたり、笑顔を見せて最後にマイクを通さずありったけの声で「ありがとう!」と叫んで退場。

 

 

開場時に配られたサイリウムのブレスレット、卓郎さんのMCで照明を少し落としてみんな手を掲げてみましたが、後で9mm公式が上げていた写真を見ると本当に綺麗な光景でした。ちゃんとアルバム名が入っていて、記念に手元に残るのでより嬉しいですね。照明も様々な機材を使って曲の印象を表現していたのは大きな会場ならではの演出で大きな楽しみの一つです。

 

今日は残念ながら滝さんの不調で恐らく大幅にセトリを変えざるを得なかったのか、WOLL収録曲で迷宮のリビングデッドとダークホースが披露されませんでした。

またリハーサルの音漏れでinterceptor、カモメ、キャンドルの灯を、氷の世界が聴こえたので本当のセトリには入っていた可能性があります。ネタバレになるからリハ聴きたくなくて、リハ中は日比谷公園を離れていたり、戻ってきても公園内ではイヤホンをしていたのでこんなことになるなら音漏れちゃんと聴いておくべきだった。interceptorなんて滅多に聴けないのに、と後悔。そういえば卓郎さんが本来アコギを弾く予定だったのはどの曲だったのか…?

 

滝さんは結局、左手を痛めたとの事でしたが本当にそれだけだったの?

指が攣ると、ギター弾けなくなる代わりに大暴れし始める滝さん(昨年のクアトロワンマンではダイブしてたくらい)が、それもできずに全く動けなくなってしまっていたのは何か別の体調不良があったのではないか?と心配になってしまうくらい様子がおかしかった。9mmのライブはトラブルが多いけど、今回は今までで一番大変なライブになってしまった。

ただそんな満身創痍な状態でも、最後まで弾き切った滝さんのプロ魂。中盤で滝さんが体調を整えるまで、客席に過度な心配をかけないようにのんびりと話しながら、普段の弾き語りライブのようなゆるい雰囲気を作り、また「おれにも色々あったけど(笑)」と先日の結婚報道を自らネタにするような場面があったりもしたけど、大いに楽しませてくれた卓郎さん。滝さんが動けない分、後半暴れまくってステージの見せ場を担っていた和彦さん。これは元のセトリ通りだったんだろうけど、大きなワンマンでは恒例となりつつある華やかな超絶ドラムソロを披露したかみじょうさん。ドラムソロでかみじょうさん1人ステージでパフォーマンスしている間にまた滝さんは体を休める時間が出来た訳で。

 

WOLLの曲はじっくりと聴きこむ曲が多いので野外がお似合いで、今回聴いた中では「湖」「スタンドバイミー」が特に野音の雰囲気に合っていたと思う。でもアルバムのすべてを堪能することは出来なかったので、そこはツアーまで楽しみを取っておきます。

 

トラブルに見舞われてもメンバー・スタッフの皆様のチームワークで乗り越えた、素晴らしいライブでした。

 

でももう一回、完璧なセトリで野音ワンマンが観たいよ。御本人が一番悔しいと思うし、決して良いとは言えない思い出が残ってしまったでしょうし。また近いうちに、野音ワンマンリベンジしてくれたらいいのに。

そして間髪入れずにツアーが始まるので滝さんがとても心配です。ツアーでまた元気な滝さんが観られることを楽しみに、一刻も早い完全回復を祈ります。

9mm Parabellum Bullet「Waltz on Life Line」2016/04/27

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6枚目のアルバム。前作「Dawning」からおよそ3年振りということで、その間にベスト1枚とシングル2枚を挟んでいるけどかなり久々のオリジナルアルバムです。シングル曲が多いこともあり15曲入り・55分と9mm史上最多曲数。

色々なインタビューでメンバーの皆様も仰っている通り、今作は半年くらいにわたる楽曲制作期間を経たことにより、従来はメインコンポーザーである滝さんの楽曲が大半を占めていたのに対し、和彦さん4曲、かみじょうさん3曲、卓郎さん2曲(滝さんは6曲と多めではある)と各メンバー曲の割合が増えています。

 

また、9mmは昨年まで在籍したEMIレコーズを離れ、今作は自主レーベル「Sazanga Records」と日本コロムビア内の名門レーベル「TRIAD」(かつてイエモンやミッシェルが在籍し、現在は吉井和哉さんなどが在籍)とタッグを組んでのリリースとなりました。

移籍でどうなることか…と思ったけど蓋を開けてみれば怒涛の宣伝・販促の数々。各CD店での大規模展開・大看板、黄色いCD屋とのコラボキャンペーン、地上波テレビ番組やラジオ番組に出まくり、発売週には渋谷の大型ビジョンで(30分に1回程度15秒のCMが)放映されたり宣伝トラックまで駆り出されたりと、コロムビアの本気を見た気がします。コロムビア様ありがとうございます。

 

以上が基本的な情報でしょうか。

以下、感想など。

 

 

1「生命のワルツ」(6thシングル 2014/09/10配信、2014/12/10 CDリリース)

詞:菅原卓郎 曲:滝善充

アコギの流麗な音から9mmらしい轟音が炸裂する、幕開けに相応しい曲。某スラッシュメタル四天王の名曲みたいですね。そういえば6/8拍子のスラッシュメタルはとても珍しいのだと、いつぞやのインタビューにて。

「でたらめな時代に立ち向かえ」「いつかのどこかじゃなくて聞いてくれここで命の声を」と、曲の持つエネルギー感に比例するように力強い、説得力のあるような詞。最近はライブの終盤でやることが多いですね。堂々たる風格ある曲なのでライブがかっこよく締まる。

アウトロのまくし立てるようなギターの速弾きフレーズが圧巻。フルピッキングで弾いてるのかあれ…?


9mm Parabellum Bullet - 生命のワルツ

 

2「Lost!!」

詞:菅原卓郎 曲:滝善充

力強いメッセージソング的な「生命のワルツ」から一転、挫折を思い起こさせる詞が並び途中では前を向いて進んでゆく姿勢を見せつつ、「今度こそは 今度こそは ここはどこだ」と辿り着けずに終わるまったく救いようがない展開。跳ねたリズムは「キャンドルの灯を」に近いけどこの詞が乗ることで、翻弄されてる感が出ているように感じます。

言葉は抽象的じゃなくなってるけど苦悩に満ちた内面を書いた詞は初期の頃に近いかな、とはライブで初めて聴いた時の印象。ここまで救いようがないと逆に気持ちの良い展開で好きです。音だけ聴くととてもノリが良いけどじっくり歌詞見ると…悲しくなりますね…

曲中の「今度こそは」と歌う部分のメロディがゆったりめなので切実さが強調されているように聴こえる。

「片手間で愛さないで」…で3連譜が唐突に出てくるのがなんか面白いと思いました。


9mm Parabellum Bullet - Lost!!

 

3「湖」

詞:菅原卓郎 曲:中村和彦

3月のカオスで聴いた時はとりあえず「湖っぽくない」と。

イントロのギターがいつもよりシャキッとした音だと思ったらジャガー弾いてるのね卓郎さん。

絶望に叩きのめされた「Lost!!」からの流れで、過去を美しいと思いつつもう後ろは振り返らないと言いたげな感傷的な所もあるけど、「おれたちの何かが今 変わろうとしてる」と漠然と前向きな予感が入ってるのがとても良いです。「波ひとつない穏やかな」…あたりから一瞬スローになるところは靄のかかった湖畔が想像できなくもないです。

第一印象はそんなに強烈ではなかったけど、キリッとした曲調と、全体的にゆったり伸びやかなメロディーのバランスが絶妙で段々と頭から離れなくなります。

 

4「Mad Pierrot」(7thシングル 2015/09/09リリース)

詞・曲:かみじょうちひろ

御洒落な雰囲気すらある跳ねたリズムに浮き浮きするけど、ファニーな悪夢のような詞がじわじわと狂気に誘い込んでいくような曲。間奏の手数の多いドラムと速いフレーズのギターが怪しいサーカス感出てますね。

2番の「彼は知ったんだ 悲鳴の味を」の部分のクリーンギターのフレーズがジャジーでとても小粋な感じで素敵です。

「湖」もそうだけど、卓郎さんの語尾の伸ばし方が伸び伸びとしていてとても好きです。


9mm Parabellum Bullet「反逆のマーチ/ダークホース/誰も知らない/Mad Pierrot」トレーラー

※4番目に流れます

 

5「反逆のマーチ」(7thシングル 2015/09/09リリース)

詞:菅原卓郎 曲:滝善充

初めて聴いた時に、不思議な音でインパクトのあるイントロにまずびっくりさせられたあたりがとても9mmらしいなと。全体を通してとても勇ましいけど前述のイントロとか、間奏でカウベルが入ってくる所とかのコミカルさが面白い。

「笑えないリアルも笑いとばしてやるよ」「でっかい壁にぶつかってんだ 絶体絶命も上等さ 失敗糧にしてやったりだ」という詞が、心細い時にどれだけ頼もしかったことか…。


9mm Parabellum Bullet - 反逆のマーチ

 

6「ロンリーボーイ」

詞:菅原卓郎 曲:中村和彦

CDJ15/16でやった新曲ってこれじゃないかな?孤独感を歌ったような詞が、すごい勝手な解釈だけどインディーズ期の曲に出てくるような鬱々とした詞を客観視してみたような印象。

心なしか他の曲に比べて卓郎さんの歌声が明るい気がするのもあり、全体的にはすっきりさっぱりした曲でアグレッシブなギターソロがその分際立っています。

 

7「Kaleidoscope」

詞・曲:かみじょうちひろ

5拍子!個人的にとても好きな5拍子!5拍子になったり6拍子になったりするとても複雑な曲。何回か聴いてやっと全体の拍を把握しました。

詞に使われている言葉が綺麗で、和風なメロディーと相まって、とても華やかです。ギターソロがまた良いんだ…ツインリードっぽくて。

ライブでは色をたくさん使った派手なライティングでやるんだろうか…などと考えるととても楽しみです。

 

8「Lady Rainy」

詞・曲:菅原卓郎

9mmにしては珍しいゆったりしたメロディーとアルペジオ、言葉を噛みしめるようにじっくりと溜めるように歌うボーカル。優しく響くギターの音色がさめざめと降る雨を思い起こさせる。激しさは無くひとつひとつの音の美しさが前面に出ています。

卓郎さん、この曲弾き語りでもやってくれないかなー…

 

9「ダークホース」(7thシングル 2015/09/09リリース)

詞:菅原卓郎 曲:中村和彦

ザクザクとしたリフで突っ走るかっこよさ。そんなメロディーに合わせるように詞も勇ましい。「負けられない理由があるんだろ」…いいですね。ここ一番、という時に聴きたくなる。

和彦さんの曲はよくストレートだと評されてますが、どの曲も決して一本調子な訳ではなくて、所謂Cメロでちょっと展開を変えるところがいつも秀逸です。


9mm Parabellum Bullet「反逆のマーチ/ダークホース/誰も知らない/Mad Pierrot」トレーラー

※2番目に流れます

 

10「誰も知らない」(7thシングル 2015/09/09リリース)

詞・曲:菅原卓郎

ゆったりとした3拍子で、普段ギターをたくさん重ねることが多い9mmの曲と比べると非常にシンプルなアレンジで歌のメロディが目立っています。

鬱々と悩むような詞がこれもやはり初期に近いですね。この曲と「Lost!!」をライブで聴いて今作は初期に近いアルバムになるのかと予想しましたがそうでもなかった。


9mm Parabellum Bullet「反逆のマーチ/ダークホース/誰も知らない/Mad Pierrot」トレーラー

※3番目に流れます

 

11「火祭り」

詞・曲:かみじょうちひろ

イントロのドラムが和太鼓みたいで、せかせかした曲調が如何にもお祭りといった曲。和風「Living Dying Message」みたいにも聴こえます。

曲中に何度か出てくるけどギターとベースのトリプルユニゾンになる部分がかっこいいんですよね。

間奏の凄まじいギターソロはピック代わりに100円ライターを使った「ライター奏法」これ実際にやってみたけど、弦にライターの曲面がこすれてピヨピヨとした音が出るんですね。それにたくさんエフェクトかけるとああなる、と。かみじょうさんがイメージしたという地元のお祭り「どんぶや」は燃え盛る藁をぶん回すというものらしく(YouTubeに動画有り)ピロピロしたギターの音は、パチパチ燃える藁と飛び散る火の粉を表しているのでしょうか。

 

12「モーニングベル」

詞:菅原卓郎 曲:滝善充

これだよこれ!この破壊力!これが9mmです!と言わんばかりの曲。哀愁あるオクターブ使いのフレーズ、元気なブリッジミュート。信頼と安定の9mmサウンド。本当に心の底から安心する。タイトルだけ見た時には、爽やかな曲なのかな?と思ってましたけど。笑

重厚なコーラス(ライブどうするのか?)、けたたましい目覚ましを模したであろう長いタッピング、「目覚ましのベルが鳴りました」の部分で9mmの詞では非常に珍しい丁寧語口調、と新しい試みもたくさんあります。

ざっくり詞をまとめるともう少し寝てたい的な、共感するしかないどこか可愛らしいものですがストレートに寝起きの歌なのか、何かの比喩が入ってるのか…は まだわかりません。

 

13「迷宮のリビングデッド」

詞・曲:中村和彦

和彦さん初作詞の曲です!ぐいぐい進んでゆくような、なかなか不穏な曲です。

聴きどころは言わずもがな、間奏のベースソロ!あと最近ではめっきり減ってしまったシャウト!ベースソロ後の全パート同じリズムで弾いているところはよからぬものが迫りくるような感じで、まるで追い詰められているような詞の雰囲気にぴったりでとても良いです。

あとはアウトロのツーバス連打も是非とも聴きどころに挙げたい。

 

14「スタンドバイミー」

詞:菅原卓郎 曲:滝善充

爽やかで儚げで優しく美しい、とにかく美しい曲。語りかけるような口調の詞もとてもあたたかい印象です。

柔らかい日差しが降り注ぐ野外(草原だと尚可)で聴きたい。歌詞には八月とあるけど、初夏の陽気ぐらいの時がいいです。

クリーンの多い曲は前にもあったけど、ここまで明るくてあたたかい雰囲気の曲は今までなかったんじゃないか?(これまでだと「Monday」が若干明るかったかな?)なので今作の中で一番意表を突かれた曲です。

滝さんのアンプは確かによく歪むパワーのあるものだけど、クリーンの音はとても澄んでいて綺麗な音がするんです。

9mmの曲はうるさくて嫌い、苦手だという人にこそ聴いてもらいたいです。

 

15「太陽が欲しいだけ」

詞:菅原卓郎 曲:滝善充

リリース前に、この曲はエンドロールのような位置にある曲と聞いたのでそのイメージが強い。

展開がくるくる変わるけどわずか3分足らずで、余韻も残さずスパッと終わる後味の良さ。エクストリーム4つ打ちといった印象もあり、とてもノリが良いのでこれからライブ定番曲入りすることに期待しています。

滝さんがこの曲はとても速くて難しいと仰っていましたが…9mmはこの曲より速い曲なんてたくさんあるのにそこまで言わせる曲、スコアが出たら早く見てみたいです。

 

 

今作について最初はアルバムとしてのまとまり方がよく分からない、もはやまとめるのではなくて詰め合わせとして完成したのか?とか正直大変失礼なことを考えていました。

歌詞に統一感がないので…。ポジティブなものとネガティブなものが雑然と入っているようで15曲ぶっ通しで歌詞を見ると感情の起伏が激し過ぎるという、勝手な見解からなのですが。「生命のワルツ」から「Lost!!」への流れだけでも、最初あんなに前向きなのに次もう絶望的みたいな。

 

でも何周も聴いているうちに、最初の「生命のワルツ」と最後の「太陽が欲しいだけ」が今作の大枠をがっちりと担っていて、 (これまた勝手な解釈ですが)個人的には特に「太陽が欲しいだけ」がなかったらまとまってなかったんじゃないかな、なんて思う訳です。

 

「こわれかけの心でもどこにでもいける」

「ツキに見放されて 流れ星は消えた それでも最後には笑え」

「さあ両手を広げて すべてを受け止めろ」

 

この3行が、この曲の懐の深さが出ているというか、ここに至るまでのネガティブな詞も受け止めつつ最終的にはポジティブでカラッとした流れに変えてアルバムを気持ちよく締めくくっているような気がするのです。考え過ぎかもしれませんけど。

特に「スタンドバイミー」から「太陽が欲しいだけ」への流れは大変に素晴らしいと思います。何度聴いても感極まってしまいます。

内容的にも雨上がりの情景→精神面の比喩表現として「雨雲を晴らして」「太陽が欲しいだけ」とつながっていますし。

 

とりあえず1ヶ月聴き続けてみた感想としてはここまでです。

 

 

あと1ヶ月もするとツアーが始まります。現状、収録曲の半分くらいはまだライブで聴いていないのでツアー中にどう化けるのかが素直に楽しみです。それと野音雨降らないといいですね。