最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20200115/KEYTALK“モルタルレコード presents“SLIP INTO THE 20th YEAR”北浦和KYARA閉店公演『realにあの日に戻れる〜バック・トゥ・ザ・フューチャーチャレンジ〜』”@北浦和KYARA

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1月で閉店してしまう北浦和KYARAにて、KEYTALKのワンマン。ライブのタイトルからKEYTALKの前身バンドrealやKEYTALKの初期曲を聴けるのではないか、という期待。

 

出遅れて開演の少し前にフロアに到着、上手後方にて待機。キャパ170ほどと聞いていたKYARA、キャパに対してステージが高く、後方からでも見やすそうだった。ほぼ定刻に暗転すると「物販」が流れ4人が登場。ステージ前方にお立ち台があったのか?4人の顔がよく見える。びっくりするほど近い…!!

 

Oh!En!Ka

ララ・ラプソディー

YURAMEKI SUMMER

view

MATSURI BAYASHI

パラレル

sympathy

blue moon light

a leaf

旋律の迷宮

MURASAKI

a picture book

アーカンザス

ナンバーブレイン

夕映えの街、今

 

1曲目はOh!En!Ka、割と新しい曲ではあるが自分はしばらくライブでは聴いていなかったため、いきなり嬉しい選曲。続いて昨夏の新曲ララ・ラプソディー、そしてお馴染みYURAMEKI SUMMER。最後のブロックでは武正さんがアドリブを入れまくっていた。やはり驚くほど表情がよく見えるほど近い。早くもフロアに投げていたピックの軌道もよく見えた。

 

曲が終わると武正さんと八木君が何故か「ありがとうございます!」を連発、「どちらがありがとうございますを多く言えるか」勝負を突然始めつつここでMC。今回の主催、モルタルレコード山崎さんはKEYTALKがかつてパンク系のイベントに出た時に観に来ていてダイブしたりしていたらしい。かつて山崎さんとご飯を食べに行った時に、ハンバーグが来る前に200gのライスを平らげてしまってびっくりした(ちなみに塩で)というエピソードが語られた。その食べ方埼玉式?と巨匠が尋ねると義勝さんと武正さんが俺等も埼玉だけど…と返していたような。

 

ここまでは意外と最近の曲が続いたな、と思いながら聴いていたが「そろそろrealになりますか、まずは1曲だけ」という感じのひと言から、KEYTALKの楽曲ではない曲が演奏される。realの曲、view。初期KEYTALKを彷彿とさせるフュージョン的な曲は、サビに入るといきなりテンポが早くなるというなかなかトリッキーな曲。

これに続くのがど定番曲のMATSURI BAYASHI、聴き慣れたこの曲も小箱だとガラッと印象が変わる。普段よりメロディーの美しさとほんの僅かに浮かぶ哀愁が際立つ。小さな空間いっぱいに、普段通り赤と白の照明が広がっていた。言わずもがなviewと曲調はかなり違うが、この2曲のメロディーを並べて聴いても全く違和感がない。間奏では武正さんがorange and cool soundsのリフと思しきメロディーを弾いていたような気がした。その勢いのままパラレル、そしてsympathyへ。どちらも普段のライブではたまに聴ける曲だが、特にSUGAR TITLEの曲であるsympathyをこういうコンセプトのライブで聴けることは、普段とはまた違った嬉しさがある。

 

ここで、real時代にはメインボーカルが武正さんでコーラスを八木君がやっていたこともあるという話が出てくる。しかし後に巨匠が歌った時に“こんなにいいメロディーだったんだ”と思ったらしい。(八木氏コーラス上手いんですよ的な話も)武正さんが1番だけ歌うと言いながら客に拍手と歓声を求め、巻き起こった大歓声からのblue moon light、武正さんがステージ前方まで出てきて表情豊かに、途中で歌詞を飛ばしながらも1番を歌う。サビでは八木君がコーラス。今となってはかなりレアな光景…!2番でボーカルを巨匠、コーラスを義勝さんにバトンタッチ。武正さん&八木君のどこかやんちゃで元気な歌声も好きだなと思いながら聴いていたが巨匠が歌い始めると「巨匠歌上手いなぁ!!」とつい頭の中で呟いてしまった。2番に入る前に巨匠が若干何かを確認するような表情を浮かべているように見えた。次も初期の曲a leaf、歌ったのは巨匠!!KEYTALKだと歌っているのは義勝さんである。これもrealバージョンということか…。

それに続いたのがKEYTALKの中でも最も新しくリリースされた曲、旋律の迷宮。あくまで個人の感想ではあるけれど、初期曲と最新曲、アルバム単位で間を空けて聴くとKEYTALK結構曲調が変わってきたな、という印象が少なからずあるが曲単位だとやはり違和感なく、とても心地よく繋がるような感覚があった。旋律の迷宮がどちらかというと非常にメロウなメロディーだから、というのもあるかもしれないが。

一際歓声が上がっていたMURASAKI、メジャー曲だけれど最近あまりライブで聴けていなかったような気がして、これも嬉しい選曲。

 

このあたりで話が出たが、この日のセトリを考えたのは八木君だという。その紹介を受け「次の曲で歓声がブーイングになるかもしれません…」と言い始める八木君。それを受け、武正さんが「次の曲はラストクリスマス」と続けると時期がずれてるとか、2ビートでやるとか、それだとモルタル山崎さんが飛んじゃうからダメだとか、しばらくふたりで喋り続ける。

 

まだまだいけますかー!!!と武正さんが煽ってからa picture book。緑色の細かいレーザーのような照明が大変綺麗だった…KYARA、予想以上に照明の美しい箱だった。

そこからアーカンザス。ここまで後半はインディー時代〜メジャー初期の曲が続く。原曲よりキーを1音上げたアーカンザスを巨匠が朗々とした歌声で頼もしく歌い上げる様が堪らなくかっこいい。いよいよ勢いが止まらず最高潮に盛り上がるフロアに投下されたのはナンバーブレイン!!そして最後に巨匠が「アンコールはやりません!最後の曲!!」と言って演奏された夕映えの街、今。灼熱の空間に激しいモッシュが巻き起こり次々と人が飛んでいく。ナンバーブレインからの夕映え、KEYTALKの剥き出しの熱さが炸裂する、大好きな曲をこんなに激しい空間で観られるとは…!!ともみくちゃになりながら、最高に嬉しい気持ちでこの光景を見届けた。

 

 

MCを2回ほど挟んでいたが、その間KEYTALKやKYARAの思い出話が途切れることなく出てきていた。あまりにも出てきた話が多かったので以下覚えているだけメモ。

 

今回このような内容のワンマンを開催したが、実は出ていたのは移転前のKYARAであり移転後の現在のKYARAには初めて出たらしく、この場所自体にはあまり思い入れがないらしい。

 

real時代のMC再現もあり、武正さんがボサノヴァ的メロディーをクリーンサウンドで弾いているところで八木君が現在のテンションとは真逆の淡々とした口調で「次回のライブは明日…渋谷クアトロです…」などと喋る。義勝さん加入前にKYARAでライブしていた頃はベースを先輩に弾いてもらいながらMCでメンバー募集をしていたらしく、義勝さんはそれをきっかけに加入したがこのやりとりを聞きながら「どうかしてる……」と呟いていた。それが2006年12月26日、だと。

real時代は曲をMDに録っていて、それを加入前の義勝さんにMDで音源あげたという話もあったか。あとからベースの音を入れて返したりしていたという話も。それからrealのホームページのキリ番を踏んだ義勝さんがその際にコメントを残したという話。(かつてはHPのアクセス数で一定のキリのいい番号を踏むとコメントが残せるというシステムがあった)MDとキリ番のくだりではこの話が分かる人がある一定以上の年齢だと想定できるためにフロアに向かって「こちら側の人間」とか「ババア!」などといじり倒していた。別のくだりで「可愛い声」を出した八木君に向かって「(31)」と年齢を言っていじっていた。

 

KYARAは楽屋にファミコンがあり、もうそれができなくなってしまう…という話から巨匠はロックマンXが上手い、それを八木氏が隣でずっと見てる(昔そういう、ゲームやってるところをずっと見てる友達いたよねという話もあった)巨匠のゲーム見ている間の八木君の反応がいいから、ゲーム実況でもやったらいいんじゃないか、と。是非やってください…!!

 

さっき演奏したview、実はあの曲がきっかけでKEYTALKはKOGA RECORDSに入った、という話。から「今日、古閑いなくね?」「そこに鳴るがライブなんじゃないの?」「最近そこに鳴る にハマってるから…」と古閑さんいじりに変わる。

 

何のくだりだったか忘れてしまったが、武正さんが「今日はMONSTER DANCEはやりません!!」と宣言すると義勝さんが「今ので50人くらい帰っちゃうよ」と返したり、高校生の時に武正さんと義勝さんが大宮駅の真ん中にある「まめの木」でずっと喋ってて、話している間に改札にどんどん近付いていってその流れで解散する話、など細かいエピソードも次々と出てきていた。

普段からMCでは仲良く喋っている4人だがこの日は特に、時間の制約がなければもっと終わりが見えないくらいに思い出話が出てきただろうな、というくらいに話が止まらなかった。自分の位置からは義勝さんが一番見えていたが、MC中終始リラックスしたような穏やかな表情で武正さんや八木君の話を聞いていた。

 

 

ライブのタイトル的にセトリはほぼreal期とインディー時代の曲で構成されるのかなと思いきやメジャー初期の曲に最新曲まで、KEYTALKの歴史の中から満遍なく持ってきたようないいとこ取りのようなセトリだった。繰り返しになるが曲調の全く違う初期曲と最新曲を並べても全然違和感がないのは流石だなと、今更ながら改めて驚嘆しながら聴いていたので、特にa leafから旋律の迷宮、という流れは大変貴重で有難いものだった。

real時代とTIMES SQUARE期はまだKEYTALKを知らず、SUGAR TITLEからリアルタイムで聴いてはいたもののその当時はなかなかライブに行けなかったので、数年経って遂にKYARAでreal〜KEYTALK初期の曲を聴けた嬉しさに浸りながら、終始ライブを観ていた。

 

自分は今までKYARAに行ったことがなかった。だからこの日が最初で最後のKYARAだった。駅から近くて、入口では着ぐるみを着た陽気なお兄さんが迎えてくださり、クロークやドリンクでも優しく対応してくださるスタッフさんがいて、ステージが高めで照明も綺麗という居心地のいい箱だった。何で今まで来なかったんだろうかと後悔するくらいには好きな箱になってしまった。もう閉店してしまうのに。

最後の最後にKEYTALKがKYARAとの縁を繋いでくれた。それが今回一番嬉しかったことだった。

ありがとうございました。