結成19周年を迎えた9mmが「9」の付くアニバーサリーイヤーを記念して今年1年かけて開催しているツアーの5公演目。ツアーの中でメンバーの出身県にある会場で、そのメンバーセレクトのセトリでライブを行う卓郎さん曰く「ふるさと納税シリーズ」の一環で今回は滝さんの地元茨城県、水戸にあるザ・ヒロサワ・シティ会館にて開催。
会場へ入るとホール内のスモークが若干ロビーに漏れていたようでロビーが少しだけ靄がかかったようになっていた。1500人ほどが入るホールは真っ赤な座席がびっしりと並び、後方へいくにつれて傾斜が急になっていて下から見ると赤い壁のようになっていて美しかった。3階席にあたる後方の座席は何列か空席だった。普通のホールでは前方の10列分くらいは傾斜がなかったり僅かだったりで自分のように身長が高くない場合は前の人の頭で逆に見えづらいことがあるが、この会場は珍しく前方の列にもしっかりと傾斜がついていて結果的にかなり見やすい構造だった。
今回の会場は上手下手ともにステージから花道が伸びていて、自分は下手側のかなり端の方の座席で花道のすぐ近くだった。もしかしたら和彦さんが花道まで出てくるのかもしれないと少し期待しながら開演を待っていた。(花道に至るスペースにスピーカーや照明機材が置いてあり通りづらそうだったので、残念ながらこの日和彦さんが花道まで出てくることはなかった。後で会場HPを確認するとこの花道は全長9mだったらしい。)
開場時間中はステージにバックドロップはなく、定刻から5分ほど過ぎた頃に客席が暗転しSEのDigital Hardcoreが流れるとステージ後方の壁に蜘蛛の巣のような模様が投影される中19周年仕様の巨大なバックドロップが上がってきた。
Lovecall from The World
Mr.Suicide
Sleepwalk
All We Need Is Summer Day
The Revenge of Surf Queen
Heat-Island
Everyone is fighting on this stage of lonely
ラストラウンド
Trigger
Termination
コスモス
黒い森の旅人
The Revolutionary
Beautiful Target
marvelous
Talking Machine
Hourglass
One More Time
Punishment
いきなり予想外のLovecall from The Worldでライブが幕を開けた。49秒のショートチューンを駆け抜けると滝さんがお立ち台へ上がってAnswer And Answerイントロのギターを弾き始める。滝さんがお立ち台に上がった瞬間にスポットライトが滝さん…ではなく無人になった滝さんの本来の定位置を照らしていた。最後のサビ前に全く同じことがもう一回起きていて、“スポットライトが滝さんを捉えることができない”という今まで何度も見てきた光景に思わず頬が緩んだ。
割と定番曲であるAnswer And Answerですっかり油断したところに続いたのがMr.Suicide!まだまだ序盤なのに出し惜しみの一切ない選曲に驚かされる。普段のライブハウスよりも音が綺麗に伸びてゆくホールで聴く〈流星群の雨になって 夜空を洗い流していった〉の部分の卓郎さん&滝さんのファルセットや次の曲、Sleepwalkの2番で卓郎さんが静かに歌う〈無駄遣い〉のウィスパーボイスが空間に響いてスッと消える様子の美しさ。SleepwalkのAメロではステージ後方にウェーブを描くように置かれた照明が、光を右から左へと流すように点滅していたのも曲調のシャープさに合っていて素敵な演出だった。
ここで最初のMC。卓郎さんが「ザ・ヒロサワ・シティ会館…ザ・ヒロサワ・シティ会館」と繰り返して言葉の響きを楽しんでいるかのようだった。「ようやくマスクも個人の判断になって…あっ外してと言っているんじゃないよ」と、ライブのルールが緩和されつつあることに嬉しい気持ちを表しつつもこの場にいる人達を誰も否定しない優しさはさすが卓郎さん。「“人生楽ありゃ苦もあるさ”を体現しているバンド」と9mmについて水戸黄門のテーマソングを引用しご当地ネタを入れながら話していた。
All We Need Is Summer Dayでは薄い黄色を基調に白い光の線があたたかな日差しの如く客席に降り注ぐ照明の中大合唱が巻き起こる。ホールの特性なのか客の歌声もライブハウスより聞き取りやすい気がして、溌剌とした演奏と合わさって聴いていて気持ち良さがあった。続いて演奏されたのが何とThe Revenge of Surf Queen、一足先に真夏が来たかのようないい流れと個人的に特に大好きな曲なのでまさかここで聴けるなんて、とイントロを聴いた瞬間に驚きと嬉しさで今年一大きな声が出てしまった。イントロからしばらくの間、和彦さんがリラックスしたような笑顔を客席に向けながら演奏していて観ているこちらも楽しい気持ちが溢れてきた。笑顔全開の和彦さんは途中で一瞬「あっ」と言うような表情になりその後はいつものシュッとした表情に戻っていった。上手に視線を移すと滝さんが広いスペースを存分に使ってステージ中央、卓郎さんがいる方まで動き回りながらギターを弾きまくっていたのが見えた。大好きなThe Revenge of Surf Queenを聴きながらニコニコしていたところへ投下された次の曲がHeat-Islandという驚愕の選曲、自分がライブで聴けたのは9年前、2014年の武道館公演で聴いて以来だったかもしれないというほどのレア曲。その時より演奏力を更に更に爆上げした状態の、しかもトリプルギターの編成でHeat-Islandが聴けるなんて…!“静”と“激”を行き来するような緩急のある構成をこんなにも凄まじくキレのある演奏で聴くことができるなんて、と感激しきりだった。
このタイミングだったかこの後のMCだったか忘れてしまったが、卓郎さんもHeat-Islandいつ振りだっけ?というようなことを言っていたので本当に久々の曲だったのだなと。Heat-Islandと水戸にまつわるエピソードとして、昔『The World Tour』というツアーを開催した時に水戸公演で滝さんのギターのヘッドと接触して卓郎さんが流血したことがあった、よりによってその直前に千葉LOOKの店長さんに「怪我しないでね」と言われたのに!という話が出ていた。(ちなみにその時にタオルを貸してくれたのがUNISON SQUARE GARDENの貴雄さんだったという話は過去に卓郎さんがライブで話したことがある。)
次はお酒に合う曲、というよりビールに合う曲かな?と卓郎さんが前置きしたので次の曲を予想しながら待っていると演奏が始まったのは全く頭に浮かばなかったEveryone is fighting on this stage of lonelyで、卓郎さんはこの曲にそういうイメージを持っていたのか…と興味深かった。ギターが3人いるのにAメロの高速カッティングは武田さんがひとりで担っており和彦さん・かみじょうさんとともに3人だけで出しているとは思えない分厚い音を出していた武田さんの姿がとても頼もしかった。最後のサビでは卓郎さんが〈戦え〉と歌い上げる横で滝さんが英語のコーラスを朗々と歌い上げていた。その勢いのままラストラウンドへ、この曲もかなり久々にライブで聴けたのでまた驚かされた。客席の左右両側の壁には照明で渦のような模様が描かれ凄まじい曲調を視覚でも表しているかのよう。つい先ほどMCで「人生楽ありゃ苦もあるさ、を体現してきたバンド」と自らを表した人達がその後この2曲をぶっ続けで演奏する流れがあまりにも良過ぎた。
Everyone is fighting on this stage of lonelyの〈倒れた勇気を奮い立たせて〉〈立ち上がれよ 何度でも〉とラストラウンドの〈倒されても倒されても立ち上がればいいだろ〉といった言葉の一つひとつが正に9mmそのものであり、特に困難な状況に立たされながらもステージに帰ってきた滝さんが久し振りに地元でライブを開催したこの日のためにこの2曲を選んだと思うと聴きながら感慨深い気持ちになった。
そんな熱過ぎる流れを経て次の曲もいつ振りに聴いたか分からないほど久々のTrigger!!最初のサビの〈撃ち抜いてやるんだ〉の部分で滝さんがギターのヘッドを客席に向け撃ち抜くジェスチャーをしていた。Triggerから間髪入れずに演奏に入ったのはTermination、曲が変わったことに気付くのが一瞬遅れるほどシームレスに曲と曲を繋ぐやり方を卓郎さんが以前YouTube配信で“激繋ぎ”と呼んでいたが今回の激繋ぎも見事だった。ここでもサビでは客席から大合唱が起こり、間奏では上手で滝さんがギターソロを弾きながら床に寝転がり、中央では卓郎さんと和彦さんがかみじょうさんの前あたりで向かい合うとすかさず武田さんも仲間に入れてくれと言わんばかりに笑顔で近付いていって4人で向かい合うようにして演奏していた。
ここでも次の曲へ入る前に卓郎さんが次もお酒に合う曲、と紹介していてこの時だったか「お酒に合う選曲、というのは(今回選曲をした)滝が言っているんじゃなくておれが勝手に言っている」という感じのことも言っていたような。そのような前置きからの次の曲はコスモス 。バックドロップの双頭の鷲が淡いピンクの照明に照らされ、先ほどまですさまじい轟音を奏でていたとは思えないほど繊細で澄んだ演奏がホールの空間いっぱいに響き渡る。和彦さんが優しい手つきで柔らかなフレーズを弾く様子に目を奪われた。そんな柔らかな雰囲気のまま砂の惑星へ続き、本当にあと何回レア曲に驚かされるのかと静かに喜びながら演奏に耳を傾ける。決して前向きな内容を歌っているわけではない(けれどそこがいい)砂の惑星を、卓郎さんが心から楽しんでいるような笑顔で歌っていたことがライブから数日経った今でも目に焼き付いていて、どうしても上手く言い表せないけれどそういう内容の曲を単純にそこまで楽しんで演奏している様子が大変よかった。
まだ驚愕のレア曲披露は続く。シングル曲でありながら演奏される機会があまり多くない命ノゼンマイでは何ともどろどろとした模様がバックドロップの双頭の鷲を包み照明が青、赤、橙などこの日一番多くの色を使っていたはずなのに全然明るい雰囲気にならずおどろおどろしい雰囲気を作り上げたのが見事だった。その雰囲気の中で卓郎さんの艶のある歌声が空間を支配してゆくかのように広がり圧巻の迫力だった。
命ノゼンマイが創り上げた独特の雰囲気から空間を浄化するかのような澄んだギターの音が次の曲、黒い森の旅人のフレーズを奏でると客席からも穏やかな拍手が起こったが、その拍手も何とも言えない綺麗な響きだった。間奏で卓郎さんと滝さんがギターソロを弾ききった後、5人が逆光で影になるような演出があり、各々の表情は見えなかったがきっとキリッとした表情で演奏しているんだろうなと思いながら観ていると、照明が切り替わった瞬間に強い光の中から見えるようになった和彦さんが今まで見たことないくらい穏やかな笑顔でとても優しげな表情をしていて、驚いたと同時にその表情から目が離せなくなり、心なしか普段よりも気高さを増したような演奏のようにも感じられていたため僅かな間に自分でもよく分からないくらい一気に色々な感情が溢れてしまった。とにかく抜群に良い瞬間だった。
The Revolutionaryでは間奏で卓郎さんと滝さんがステージ中央に並んでギターを弾き、そのすぐ後ろで和彦さんと武田さんが向かい合って演奏、それを一番後ろのかみじょうさんが見守るというフォーメーション、から滝さんが勢いよくギター回しを披露したので客席から割れんばかりの大歓声が上がった。アウトロでは熱狂するフロアに同調するかのように上手の滝さんも下手の和彦さんも生き生きとジャンプしていた。和彦さんがThe Revolutionaryで大いに盛り上がったフロアの方を向き、人差し指を口元に持ってきて「静かに」とジェスチャーして客席を静めるので何事かと思ったら上手から滝さんのタッピングの音が聞こえBeautiful Target の演奏へ。滝さんのギターの音を全員が聞き逃さないようにという配慮があったのかもしれないし、こんなに客席とコミュニケーションを取ってくれるんだなと改めて嬉しくなった瞬間でもあった。Beautiful Target は2021年のツアーでも演奏されたがその時には声出しが禁止されていたので、中盤で演奏と客席の掛け合い状態になる部分で思いっきり声を上げることができてとにかく楽しかった。
かつてはお馴染みの流れだったライブ終盤のmarvelousからのTalking Machine、という流れがここで復活!!Talking Machineはイントロに入る前に卓郎さんが客にジャンプを促すところで和彦さんの方を見ると、ジャンプするタイミングで上半身は普通に演奏を続け左足(客席側から見ると右の方)の膝から下を跳ね上げるように動かしていた。毎度滝さんだけがアドリブを入れるところでは何と全員で水戸黄門のテーマソングを演奏し始め卓郎さんが〈歩いてゆくんだしっかりと 自分の道を踏みしめて〉と歌ってからTalking Machineの演奏へ戻り、客席からは大歓声が巻き起こった。客席を大いに躍らせ盛り上がらせこの流れでPunishment…と思いきや本編の最後はHourglassが締めくくった。気のせいかもしれないが昨年リリースされてから毎回のようにライブで演奏されているHourglassがライブの最後に演奏されたのは珍しいのではないかと。〈白い白い生命はこぼれ落ちる砂〉という詞に合わせて客席の壁や天井近くに白い光の粒が描かれそれを見上げながら聴いた。演奏の重厚さを視覚でも表すかのように低い姿勢で演奏していた和彦さんがアウトロに入ったところで突然ベースを置き勢いよくマイクを掴んで力の限りシャウト、からの曲を締めるタイミングでベースのボディを掴んで高く掲げ、客席に背を向けてボディ裏を叩いてみせた姿があまりにも絵になる光景だった。
アンコールで5人が再び登場。ツアーの中でも「ふるさと納税シリーズ」ではメンバーコラボグッズが何種類か販売されるため卓郎さんが珍しく?物販紹介を始めた。それを聞きながら本編で白いシャツに黒ジャケットだった卓郎さんが滝さんTシャツ(バックプリントに滝さんの機材写真が、袖に双頭の鷲と米のイラストが描かれたタグがついている)の白を、アンコールで着替えることが滅多にない滝さんも本編で着ていたTシャツではなく黒の滝さんTシャツに着替えていた。コラボキャップは被ったり投げたりしてください、と紹介して笑いを誘っていた。この日のライブに合わせ茨城の酒造メーカー明利酒類とコラボした日本酒「泡沫の夜」も販売されたが通販分も会場販売分も早々に売り切れたため卓郎さんが「日本酒完売したらしいよ!」と滝さんに話しかけると滝さんがギターのチョーキングで返事をしていた。
卓郎さんが客席に向かって「滝のセトリはどうでしたか?」と話しかけると客席が大歓声や大きな拍手で卓郎さんに反応を返したが、その中でも一番大きなリアクションで喜びを表していたのはステージ上にいる9mmモバイル名誉会長・武田さんだった。
昨年末くらいから声出しできるライブが増えてきて、9mmも今年からはライブの声出しを認めているため「みんなが歌えるようになって…歌ってるな~と思った」と卓郎さんが嬉しそうに話した後のアンコール1曲目はOne More Time 、サビでの客の大合唱を聴く卓郎さんの嬉しそうな様子。滝さんは先ほど卓郎さんがキャップを「被ったり投げたりしてください」と言ったことを受けてなのか演奏が始まって割とすぐに被っていたキャップを上手袖に向かってフリスビーのようにぶん投げていた。その後も両腕をぐるぐる動かしたりパンチを繰り出すような動きをしたり、ニコニコと手拍子をしながらステージ中央の卓郎さんに向かって横歩きしてきてあまりにも楽しそうにしていたものだから観ているこちらも幸せな気持ちになった。最後の曲は満を持してのPunishment、この日のPunisumentもすさまじい速さで、〈暴いた生命科学の末路~〉の部分でいつものように爆速で指弾きしていた和彦さんは遂に爆速タッピングまで披露!間奏ではそれまでほとんど後列にいた武田さんも前に出てきて和彦さん、卓郎さん、滝さん、武田さんが並んだ。
演奏が終わると滝さんはすぐに上手の袖に引っ込んでしまったが、それだけ全エネルギーを注いでいたのかもしれない。武田さんがフロアに視線を遣りながら上手側から歩いてきて下手の袖へ入っていった。和彦さんは上手側にも挨拶しに行った後に下手に戻ってくると下手の客席にピックを何枚も投げてから退場。卓郎さんも客席のあちこちに挨拶をするといつもの万歳をしようとしてやっぱりやらない、を2回ほど繰り返してから万歳三唱して笑顔で下手の袖へ。かみじょうさんが少し戯けたようなポーズを取りながらゆっくり退場していった。
ここ最近はずっとそんな感じだけれど、この日もいつも以上に滝さんの暴れっぷりがよくてステージの端まで使って動き回ったり踊ったり手拍子しながらステージ中央まで横歩きしてきたりギターのネックを左右にぶんぶん振ったりギターのボディの端っこを両手で持ってひらひらと扇ぐように動かしたり(滝さんの現行ギターはiPhoneくらい薄い)、とにかくずっと楽しそうに動き回っていた。ギターで扇ぐような動きはボディが薄い滝さんのギターならではの動きだった。和彦さんも(最近また髪の毛が伸びてきていて下を向くと顔が隠れてしまうことが多々あったが)笑顔を見せながら演奏していることが多かったように思えた。
何度かあったMCの際にはほぼ毎回、卓郎さんが話し始める前に滝さんがギターを弾き始め、かみじょうさんや卓郎さんがそれに乗っかってセッションが始まりしばらく演奏したところで滝さんが指揮者が演奏を止める時のように腕を動かしてセッションを終わりにする、ということがあり卓郎さんがどこかのMCで「音を出してからじゃないと喋れなくなって…」とコメントするという和やかな時間もあり、各メンバーが楽しそうだったりリラックスしていそうだったりという様子が観られてこちらも本当に楽しかった。
卓郎さんが何かのタイミングで「あと200曲ぐらい聴きたい?でも9mmがリリースした曲100曲ぐらいしかないから2回同じ曲聴くことになっちゃうよね。」笑いを取ってからそれに続けて「でもそのくらいライブがしたかった」と、一時期ライブを制限せざるを得なかった頃から現在再びたくさんできるようになった喜びを語っていた。
卓郎さんが「またこの3年間みたいなことがあっても9mmとみんななら乗り越えられるよね」と言っていて、そこまで深い意味は無かったのかもしれないけれど卓郎さんの柔軟さが自然と出ていた言葉だったなと 最近の良くなっているんだか悪くなっているんだかよく分からない状況の中で、また何かが起こったとしてもきっと9mmは今まで経験したことを無駄にせずその時に合った動きができるよと言っているように思えたし、客側も同じ姿勢でいると信じてくれているんだな、と聴いていて勝手ながら少しほっとしたひと言だった。
「ふるさと納税シリーズ」は3月にはかみじょうさんの地元長野県辰野町でライブが開催され、今回は滝さんの地元茨城県。次回は7月に卓郎さんの地元山形県の鶴岡市で開催される。どこかのタイミングで「今日来てくれたみんなは全員山形来てくれるんだよね?」と言って拍手喝采を浴びていた。それぞれの地元で、来たいと思った人がみんな来られるくらいの会場規模のライブを開催できることはやはり嬉しいはずで、3月の辰野と今回の水戸を経て卓郎さんが次回自身の地元・山形公演の開催をより待ちきれないものに思ったのかなと考えると微笑ましかった。
卓郎さんが「滝のセトリはどうでしたか?」と客席に向かって問いかけていたが、滝さんの選曲によるセトリは初期曲やライブで長年聴けなかった曲が詰め込まれた、こちらの期待を遥かに上回る驚愕のセトリだった。先行物販に並んでいた時に、音漏れでどの曲か判別できないけれど地鳴りみたいなすさまじい低音が聴こえてきたので今日は一体どの曲をやるんだ…とびっくりしたがライブ中にセトリを把握して納得した。
近年の9mmはライブで久し振りに演奏する曲を積極的に入れている印象があり、ワンマン毎にレア曲が聴けるという嬉しい状態ではあるが、そんな中でもこの日のセトリのレア度は群を抜いていた。卓郎さんもいつ振りにやったっけ?と言うほど久々だったHeat-Islandを筆頭に卓郎さんがどこかのMCで「久し振りの曲を演奏するとおれたちにもいろいろ降りかかってきて…」と言っていたりライブの数日前に和彦さんが「レア曲練習中。しかし昔の曲ってなんでこんな速いんだろな」とツイートしたりしていたのでそれはそうかもしれないが演奏するのも大変なセトリだったんだなと。
かつての9mmはツアーで毎公演のようにセトリをガラッと変えるためツアー中にセトリを見てもネタバレに影響しない、というイメージがあった。開催中の19周年ツアーは自分が行けなかった公演も含めてセトリを見比べると各公演で全然違っていて驚いたと同時に、毎度セトリを変えていた頃の9mmをまた観られるようになったんだなと、ここまでの公演を振り返って改めて嬉しくなった。