最後の駅の向こう

何でもすぐ忘れる人の特に記憶に残しておきたいライブの簡易レポートと趣味のレビューの予定。あくまで予定。

20230409/9mm Parabellum Bullet “19th Anniversary Tour” @F.A.D YOKOHAMA

       

9mm Parabellum Bullet 祝結成19周年!「9」が付くアニバーサリーイヤーを記念して今年1年かけて開催されるツアーの3公演目。会場は9mm結成の地・横浜にあり9mmが結成当初より出演しているなど縁深いF.A.D

 

この公演はマスクを着用して隣の人と会話する程度の声量で歌ったり一時的に声を出したりすることは可能と事前に告知があり、当日入場開始前にもマスク必須の旨がスタッフさんからアナウンスされていたので個人的にはちょっと安心して参加することができた。

自分の整理番号はかなり後の方で、入場するとフロアがほぼ人で埋まっていて奥に進めなかったほど。元々前に行くつもりはなかったのでそのまま入口付近に場所を取った。こんなに人でいっぱいになった小箱を見たのはこのご時世になってから初めてで、開場前にマスク着用必須や上着等を預けてから入場するように、とアナウンスがあったことも納得の客入り。スタッフさんが客にできるだけ前へ詰めるよう案内しどうにか最後に入ってきた人まで場内におさまった。

入場に時間がかかったこともあり定刻より10分ほど過ぎてから客電が落ちると自分の数列前にいた人達が一斉に少し前へ動いたので、その光景に3年前までのライブを思い出して懐かしい気持ちになった。

 

 

少年の声

interceptor

One More Time

Black Market Blues

Answer And Answer

Termination

Tear

タイトロープ

荒地

Vampiregirl

Sleepwalk

R.I.N.O.

mervelous

Beautiful Target

sector

新しい光

All We Need Is Summer Day

Talking Machine

 

ハートに火をつけて

(teenage)Disaster

The Revolutionary

Punishment

 

満員になると後方からはステージが全く見えないでお馴染みのF.A.D、やはり後方は人の頭の隙間から辛うじてバックドロップの端や卓郎さんの頭が見えるかどうか、という視界。

リリースツアーではないためセトリ確定曲がないツアー、1曲目は何かと身構えていたらいきなり少年の声でフロアから早速歓声が上がった。場所柄初期曲も入るだろうなとは思っていたがまさか初っ端から!2曲目もinterceptorで初期曲が続くというとんでもない流れにびっくり。少年の声とinterceptorどちらも卓郎さんが柔らかめの歌声で歌い上げていた。インディーズ期はリアルタイムで聴いていたわけではないが自分が9mmに出会った頃を思い出しながら聴いているとそれに続いたのが最新曲のOne More Timeだったので十数年前から現在に時間が一気に進んだような感覚になった。声出し可なのでサビでは卓郎さんが歌うのをやめることで客に声出しを促し、フロア全体で歌声を合わせることができて楽しかった。そこからBlack Market Bluesに繋げる流れは昨年のツアーから披露され続けているもので、シームレスに曲が替わるの聴いていて大変気持ち良い。

 

ここで最初のMC。卓郎さんの第一声は具合が悪くなったら無理せず(スペースのある場所?端の方?)へ行ってねというような気遣いの言葉だった。前方の様子は全く分からなかったが、この時点でかなりの熱気だったことが窺えた。

この日セトリを組むにあたり、F.A.Dのスタッフさんにリクエストを募ったことを話し、でもその前にもうひと盛り上がり的な話があったような。

 

その言葉通りAnswer And Answerで更に盛り上がるフロア。2番に入ったあたりで滝さんがお立ち台に上がったようで滝さんの肩から上あたりが見え、元気にギターのペグあたりの弦を掻き鳴らす瞬間を見ることができた。Terminationではここでもサビで以前よりは控えめな声量ながらフロア全体で大合唱できて感慨深い気持ちになった。

ハイハットで慎重にカウントする音が聴こえると次に演奏が始まったのはTear、初めて聴いた時にAメロ・Bメロ・サビの境界線がはっきりしていないところが初期9mm曲っぽいと思っていたのでF.A.Dで演奏されるのがぴったりな印象。次の曲はタイトロープ、と最新アルバムの曲が並んだ。リリースツアー時に大箱で聴いた時とまた印象が違い、音や振動が近い分この曲が持つ緊張感が増したような気がして、心地よいヒリヒリ感を全身で受け止め存分に味わった。Tearもタイトロープもリリースツアーが終わったのでセトリに入る機会が減るかもしれないと思っていたのでこの2曲、特に個人的にアルバムTIGHTROPEの中でもかなり気に入っているタイトロープを聴けたのはものすごく嬉しかった。馴染みのF.A.Dで凱旋の意味も込めて最新の曲たちも鳴らしたかったのかもしれないな、と勝手に考えながら聴いていた。

 

ここでまたMC。卓郎さんが話し始める前に少しセッションのような演奏が繰り広げられたのはフロアの熱気を落ち着かせるためだったのか。ここでいよいよF.A.Dのスタッフさんからのリクエスト曲を演奏するパートへ。きっと狙っていたんだろうなと思ったが、リクエストパートが始まるこのタイミングが、9曲目だった。

 

フロアの期待を大いに煽ったリクエストパートは荒地から始まった。イントロでまた歓喜の大歓声、自分も驚きでつい声を漏らした。このあたりでは卓郎さんの頭すら全く見えなくなったので聴くことに集中、9mmの中でも特に好きな歌詞のひとつである〈枯れた花のために ささやかな祈りの雨を〉を卓郎さんがしなやかに歌い上げる様にしっかりと耳を傾けた。続いての曲はVampiregirl、間奏のギターソロではこの日サポートで入っていた爲川さんがステージ前方まで出てきたようで初めてその姿を見ることができた。爲川さんが見えたのは結局このタイミングだけだったが、滝さんの側まで来て笑顔で演奏する爲川さんが一瞬でも見られて良かった。この後のMCで卓郎さんが爲川さんをVampiregirlで前に出てきたけれど今日はステージ上の小部屋みたいなところで弾いていますと改めて紹介していた。ステージ上の、スピーカー裏あたりのことを指していたのだろうか。定番曲のVampiregirlで楽しく盛り上がったところにSleepwalkというまたとんでもないレア曲を投下。卓郎さんの段々囁き声になってゆく〈無駄遣い〉を聴くためのフロアの一瞬の静寂、からの大歓声という盛り上がり方は何度聴いてもやはり良い。

 

このあたりでまた少し長めにセッション的演奏が入った。周りの人と少し隙間があった後方でさえこの時には段々と暑くなり始め、フロアの熱を逃すため遂にスタッフさんが入口に付いて扉の開閉を始めた。この時だったかもう少し後のタイミングだったか失念してしまったが卓郎さんがオフマイクでフロアに何か話しており自分は聴こえなかったが、その後マイクに乗せて「マスクを付けている方が危ないんじゃないか」というようなことを言っていたので前方は熱と酸欠で大変な状態だったのかもしれない。「道開けてください!」というスタッフさんの声や前方から汗だくで後方へ退避する人もいて、同じくこのタイミングだったか失念してしまったが卓郎さんが「F.A.Dの中にいれば9mmの曲は届くから」と気遣いの言葉をかけていた。

 

まだまだ続くリクエストパート、イントロでこの日一番驚愕の声を上げてしまったのがR.I.N.O. 何年振りのセトリ入りだろうか?夢でも見ているのかと思うほどの選曲、ステージは見えないながらも熱狂する客の無数の拳を見ながら演奏の熱演ぶりを楽しんだ。次は初期曲でありそこそこレアな曲mervelousで、イントロではこちらから見る限りフロアで手拍子する人と拳を挙げる人が混在していて自由に楽しんでいる、という様子で良かった。多分この時だったかと思うが中盤でお立ち台に上った滝さんがギターを弾かずに天井のパイプ?を掴み拳を振り上げながら大口を開けて歌う瞬間が見られてこちらもめちゃくちゃテンションが上がった。2年前の再現ライブで演奏されたとはいえこちらもなかなかのレア曲であるBeautiful Targetでは2年前と違い声出し可能になったことで演奏と声出しの掛け合いパートで思いっきり声を上げることができた。

リクエストパートの最後を飾ったsectorは、この日は立ち会えなかった9mmに縁のあるPAの方のリクエストだったとのこと。2004年〜2005年頃、マスクは付けているけれどあの頃にタイムスリップしてくれますかと直前のMCで卓郎さんが言っていた。イントロが鳴った瞬間の無敵感は凄まじく、これでライブが終わってもおかしくないというほどのクライマックス感があった。

sectorで後方まで灼熱になるほどの盛り上がりからそのまま新しい光、サビ前でここでも合唱が巻き起こったAll We Need Is Summer Dayはフロアのあまりの暑さに去年ロッキンで灼熱の中この曲を聴いた時のことを思い出しひと足先に夏を感じたような気持ちになった。本編の最後はTalking Machine、この曲が本編を締めるのはちょっと珍しい気がする。卓郎さんが「踊れーー!!」とフロアを煽りまくり、後方でほぼ動かずにライブを聴いていた自分もこの時ばかりは前方へ突っ込んで行きたくなった。

 

演奏が終わりアンコールの手拍子が始まる中、前方から何人も汗だくの人達が後方へ下がってきたので後方もかなりぎゅうぎゅうになった。体を冷やすために開放された扉から少し外へ出てアンコール待ちをする人もいて改めて前方がどれほどの熱気だったかを察した。

 

しばらくするとメンバーが再びステージに登場したようで、卓郎さんが事情によりアンコールをいつもより長めにやりますと宣言してから再び演奏へ。ハートに火をつけて では「灰にならないかFAD〜〜!!」「手触りだけのFADは」と歌詞を変えて歌っていた。ここでも初期曲(teenage)Disasterを投下し選曲からもクライマックス感が出ていたがまだまだアンコールは終わらずThe Revolutionaryへ続き、アンコールの最後はPunishmentが締めた。人が密集し全く動けなくなり棒立ちの状態で、容赦なく体を撃ち抜くようなバスドラ連打の振動を受け止め続けた。

メンバー退場もほぼ見えなかったが、和彦さんと卓郎さんはステージ前方まで出てきたのかお立ち台に上がったのか、それぞれ一瞬だけその姿を見ることができた。周りに合わせながら声を出せるようになった万歳三唱に参加し、卓郎さんがフロアへありがとうと声をかけてライブが終わった。その後もかなり長い時間アンコールの手拍子が鳴り止まなかった。

ダブルアンコールはなかったので拍手がおさまるのを待って出口へ向かうと先ほどまでステージ上でギターを弾いていたはずの爲川さんが出口のすぐそばにいて自身のバンド・folcaのフライヤーを配っていたのでお礼の言葉を述べながらフライヤーを頂いた。512日にワンマンライブを開催するとのこと。

 

 

久々のフルキャパのFAD、後列からは想定通りステージはほとんど見えず、更に自分のいた位置はステージ上、中央あたりにあったライトが目を直撃しあまりの眩しさに目を瞑っていた時間も長かった。だからこそ逆に100%音だけに集中できて単純に音の良さや、前列が盛り上がった時に床を伝ってくる振動や体の真ん中を撃ち抜くようなバスドラの振動など、視覚以外をフルに使って楽しむことができた。ほぼ視覚を捨てて音だけに集中したことで、初期の曲を聴けば「9mmに出会ったタイミングで当時の既存曲を必死に追った学生の頃」を思い出し、他の曲も「あの時のこの公演で聴いたのが大変良かったな」など曲に紐付いた思い出が次から次へと頭の中に出てきたので新旧織り混ざった選曲を聴きながら勝手に色々な年代を行ったり来たりしていた。

ステージほぼ見えなかったけれど、それでも卓郎さんも滝さんも和彦さんも長身、かつお立ち台に上ったらしきタイミングがあり、何度か頭が見えたのは良かった。

 

ここまでに何度も言及したがフロアがパンパンだった分フロアの暑さも半端なく、ここ3年程そこそこの人口密度で快適にライブを観ていたのでこの感覚も、熱気で天井の空調から水が滴るのを見たのも実に久し振りだった。卓郎さんが何度もフロアを気遣い声をかけていたがステージも相当暑かったんだろうなと。

事情によりアンコールを長めにやる、と言っていたが一刻も早くフロアの換気をして熱を逃すために本来なら本編でやるはずの曲をアンコールに移したのでは?とまで考えてしまった。そんなに簡単に構成を変えるはずないとも思いつつあまりの暑さと、Talking Machine終わりでハートに火をつけてと(teenage)Disasterを持ってきても違和感がないな、とも思ったので。もしくは映像化の予定があってディスク1枚におさまる長さにしたという可能性もあるだろうか。

 

9mmが結成初期から出演していたF.A.Dでの開催とリクエスト枠のおかげで初期曲や本当に何年振りにライブで聴いたか分からないほどのR.I.N.O.が聴けたとんでもないセトリ。中盤のMCで、卓郎さんが9mmがここで初めてライブした時の1曲目が少年の声だったのでその時の気まずさを味わってもらおうと思ったが存外盛り上がった、と言っていた。そりゃ盛り上がらないわけがないじゃないですか!

 

12月まで続くツアー、まだ会場が告知されていない日程もある。ツアーグッズのTシャツは会場が告知解禁されたらそのタイミングで販売されるTシャツの背中のプリントも更新されるシステムになっており、卓郎さんが着ていたのは919日に開催される武道館公演の日程も解禁されていない時に販売されたバージョンのレアなやつだったそう(Tシャツ販売開始直後のもの)。武道館公演開催にあたりリクエストも受け付けたので今回のライブのようなセトリになるだろうとこちらの期待を更に煽るようなひと言もあり、益々ツアーの続きが楽しみになった。

 

追記
4
19日の生配信YouTube Liveカオスの百年 Vol.21”にて卓郎さんと和彦さんよりリクエスト曲の内訳についての話がありました。
F.A.D
スタッフさんからのリクエストが荒地、VampiregirlR.I.N.O.PAさんからのリクエストがSleepwalkmervelousBeautiful Targetsectorとのこと。

実はF.A.Dのスタッフさんで1人だけリクエストを聞きそびれてしまった方がいたらしいですが、その方がリクエストしたかったのが偶然セトリに入っていたハートに火をつけてだったのでよかった、という話もありました。